ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A62C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A62C |
---|---|
管理番号 | 1320665 |
審判番号 | 不服2015-21565 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-12-04 |
確定日 | 2016-10-20 |
事件の表示 | 特願2011-198529「災害時要援護者のための施設を備えた建物」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日出願公開、特開2013- 59400〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成23年9月12日の出願であって、平成27年6月18日付けで拒絶理由が通知され、平成27年8月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年9月18日付けで拒絶査定されたのに対し、平成27年12月4日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。 第2.平成27年12月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成27年12月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 (1)本件補正の内容 平成27年12月4日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項2に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年8月21日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項2の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2の下記(イ)の記載へと補正するものである。 (ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項2 「 【請求項2】 複数の階床を備え、避難階以外の同一階に、災害時要援護者のための施設として設けられた要援護者用室と健常者が使用する一般室とが設けられている災害時要援護者のための施設を備えた建物であって、 前記要援護者用室及び前記一般室は、前記避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ同一の廊下に面した扉を有して、前記廊下に沿う方向に並べて配置され、 前記要援護者用室及び前記一般室のうちの一方の部屋は複数設けられ、他方の部屋は少なくとも1部屋設けられており、 前記廊下には、当該廊下を、前記一方の部屋と前記他方の部屋との間にて仕切る防火設備が設けられており、 前記一方の部屋は、前記廊下に沿う方向において、前記他方の部屋と前記2つの移動設備のうちの一方の前記移動設備との間のみに設けられていることを特徴とする災害時要援護者のための施設を備えた建物。」 (イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項2 「 【請求項2】 複数の階床を備え、避難階以外の同一階に、災害時要援護者のための施設として設けられた要援護者用室と健常者が使用する一般室とが設けられている災害時要援護者のための施設を備えた建物であって、 前記要援護者用室及び前記一般室は、前記避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ同一かつ同幅の廊下に面した扉を有して、前記廊下に沿う方向に並べて配置され、 前記要援護者用室及び前記一般室のうちの一方の部屋は複数設けられ、他方の部屋は少なくとも1部屋設けられており、 前記廊下には、当該廊下を、前記一方の部屋と前記他方の部屋との間にて仕切る防火設備が設けられており、 前記一方の部屋は、前記廊下に沿う方向において、前記他方の部屋と前記2つの移動設備のうちの一方の前記移動設備との間のみに設けられていることを特徴とする災害時要援護者のための施設を備えた建物。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) (2)本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2における発明特定事項である「避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ同一の廊下」が「同幅」である旨を限定するものであって、本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項2に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2.独立特許要件についての判断 本件補正における特許請求の範囲の請求項2に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2.-1 引用文献 (1)引用文献の記載 本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2011-174370号公報(平成23年9月8日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、「避難安全区画システム」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、ガラスを通して向こう側の様子が分かる視認性を有するガラス防火戸やガラス耐火間仕切壁を使用して一時待避区画を形成し、火災時などの緊急時に避難を必要とする場合に自分で速やかに避難ができない者を、レスキュー隊などの救出者が来るまで安全に一時待避できるようにした避難安全区画システムに関する。 …(後略)…」(段落【0001】) (イ)「【0030】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明を病院施設に適用した場合における避難安全区画システムを、基準階の上方から吹き抜け状態で示す斜視図である。以下の説明では、病院施設の基準階を例に挙げ説明するが、かかる基準階と同一構成が、他の階にも適用されている。 【0031】 図1に示すように、本発明の適用建物としての病院施設10の建物は、左右の入院棟10a、10bが中央の管理棟10cで連絡されるように構成されている。左右の入院棟10aには、それぞれ、緊急時要救出者としての入院患者を収容する収容スペース11として病室11aが設けられている。 【0032】 なお、かかる病院10は、外来患者、入院患者、看護婦、医師、事務員、立ち入り業者など多数の者が建物利用者として考えられるが、以下の説明では、かかる者の内、自力で避難するのが困難な、所謂緊急時要救出者を例に挙げて説明する。 【0033】 病室11a(11)は、通路12を挟んで両側に複数設けられ、通路12とは防火区画壁としての耐火壁21とガラス防火戸31とで区画されている。通路12の奥は、避難階段13に通じている。避難階段13は、防火区画壁としての耐火壁22、ガラス防火戸32により通路12、病室11a側などと延焼防止可能に仕切られている。 【0034】 通路12の一方は、中央の管理棟10bの共用スペース14に、ガラス防火戸33を介して通じている。共用スペース14には、業務区画15として、入退院などの受付業務を行う事務局15a、看護婦の待機あるいは通常業務スペースとしてのナースステーション15bがそれぞれ設けられている。併せて、ベンチ16を設けた待合スペースも形成されている。 【0035】 かかる事務局15a、ナースステーション15bは、それぞれ外部とは、耐火ガラス間仕切壁23により区画され、ガラス防火戸34を介して往来可能に構成されている。 【0036】 共用スペース14は、エレベータ17、階段18aをまとめた上下階連絡スペース18に、ガラス防火戸35を介して通じている。さらに、上下階連絡スペース18には、入院棟10aの通路12を挟んだ一方の側の各病室11aの窓側に面したバルコニー19aが、ガラス防火戸36を介して連絡されている。バルコニー19aは、各病室11aとガラス防火戸37を介して連絡されている。」(段落【0030】ないし【0036】) (2)引用文献記載の事項 上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1の記載から、引用文献には、次の事項が記載されていることが分かる。 (カ)上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1の記載から、引用文献には、火災時などの緊急時に避難を必要とする場合に自分で速やかに避難ができない者を、レスキュー隊などの救出者が来るまで安全に一時待避できるようにした建物が記載されていることが分かる。 (キ)上記(1)(イ)及び図1の記載から、引用文献に記載された建物は、複数の階を備え、同一階に、緊急時要救出者としての入院患者を収容する病室11aと入退院などの受付業務を行う事務局15aとが設けられていることが分かる。 (ク)図1において、共用スペース14には、二つのガラス防火戸を繋ぐとともにその中央部分からガラス防火戸35に延びるT字状の通路ができていることが看取される。このT字状通路のうち、一方のガラス防火戸33からガラス防火戸35に至る鉤形の通路を、以下、便宜上、「鉤形通路」という。このことを、上記(1)(イ)及び図1の記載と合わせれば、引用文献に記載された建物において、病室11a及び事務局15aは、避難階への移動を可能とする避難階段13及び階段18aを繋ぐ通路12及び鉤形通路に面したガラス防火戸31及びガラス防火戸34を有して、通路12及び鉤形通路に沿って配置されていることが分かる。 (ケ)上記(1)(イ)及び図1の記載から、引用文献に記載された建物において、病室11aは複数設けられ、事務局15aは1部屋設けられており、通路12と共用スペース14の間には、両者を病室11aと事務局15aとの間にて仕切るガラス防火戸33が設けられていることが分かる。 (コ)上記(1)(イ)及び図1の記載から、引用文献に記載された建物において、病室11aは、通路12及び鉤形通路に沿って、事務局15a並びに避難階段13及び階段18aのうち、避難階段13との間のみに設けられていることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)並びに図1の記載から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「複数の階を備え、同一階に、緊急時要救出者としての入院患者を収容する病室11aと入退院などの受付業務を行う事務局15aとが設けられている火災時などの緊急時に避難を必要とする場合に自分で速やかに避難ができない者を、レスキュー隊などの救出者が来るまで安全に一時待避できるようにした建物であって、 病室11a及び事務局15aは、避難階への移動を可能とする避難階段13及び階段18aを繋ぐ通路12及び鉤形通路に面したガラス防火戸31及びガラス防火戸34を有して、通路12及び鉤形通路に沿って配置され、 病室11aは複数設けられ、事務局15aは1部屋設けられており、 通路12及び鉤形通路には、通路12及び鉤形通路を病室11aと事務局15aとの間にて仕切るガラス防火戸33が設けられており、 病室11aは、通路12及び鉤形通路に沿って、事務局15a並びに避難階段13及び階段18aのうち、避難階段13との間のみに設けられている火災時などの緊急時に避難を必要とする場合に自分で速やかに非難ができない者を、レスキュー隊などの救出者が来るまで安全に一時待避できるようにした建物。」 2.-2 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「階」は、その構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「階床」に相当し、以下同様に、「緊急時要救出者としての入院患者を収容する病室11a」は「災害時要援護者のための施設として設けられた要援護者用室」に、「病室11a」は「要援護者用室」に、「入退院などの受付業務を行う事務局15a」は「健常者が使用する一般室」に、「事務局15a」は「一般室」に、「火災時などの緊急時に避難を必要とする場合に自分で速やかに避難ができない者を、レスキュー隊などの救出者が来るまで安全に一時待避できるようにした建物」は「災害時要援護者のための施設を備えた建物」に、「避難階段13及び階段18a」は「2つの移動設備」に、「ガラス防火戸31及びガラス防火戸34」は「扉」に、「ガラス防火戸33」は「防火設備」に、それぞれ相当する。 また、引用発明において、火災時などの緊急時に避難階段13及び階段18aにより他の階に避難可能であることを考えれば、引用発明における「同一階」は、本願補正発明における「避難階以外の同一階」に相当する。 そして、「通路」という限りにおいて、引用発明における「通路12及び鉤形通路」は、本願補正発明における「廊下」に相当するから、「要援護者用室及び一般室は、避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ通路に面した扉を有して、前記通路に沿って配置され」るという限りにおいて、引用発明における「病室11a及び事務局15aは、避難階への移動を可能とする避難階段13及び階段18aを繋ぐ通路12及び鉤形通路に面したガラス防火戸31及びガラス防火戸34を有して、通路12及び鉤形通路に沿って配置され」ることは、本願発明における「要援護者用室及び一般室は、避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ同一かつ同幅の廊下に面した扉を有して、前記廊下に沿う方向に並べて配置され」ることに相当する。 さらに、引用発明における「病室11a」及び「事務局15a」は、本願補正発明における「要援護者用室及び一般室のうちの一方の部屋」及び「他方の部屋」に相当するといえるから、「要援護者用室及び一般室のうちの一方の部屋は複数設けられ、他方の部屋は少なくとも1部屋設けられており、廊下には、当該廊下を、前記一方の部屋と前記他方の部屋との間にて仕切る防火設備が設けられて」いるという限りにおいて、引用発明において「病室11aは複数設けられ、事務局15aは1部屋設けられており、通路12及び鉤形通路には、通路12及び鉤形通路を病室11aと事務局15aとの間にて仕切るガラス防火戸33が設けられて」いることは、本願補正発明において「要援護者用室及び一般室のうちの一方の部屋は複数設けられ、他方の部屋は少なくとも1部屋設けられており、廊下には、当該廊下を、前記一方の部屋と前記他方の部屋との間にて仕切る防火設備が設けられて」いることに相当する。 また、「一方の部屋は、通路に沿って、他方の部屋と2つの移動設備のうちの一方の移動設備との間のみに設けられている」という限りにおいて、引用発明において「病室11aは、通路12及び鉤形通路に沿って、事務局15a並びに避難階段13及び階段18aのうち、避難階段13との間のみに設けられている」ことは、本願発明において「一方の部屋は、廊下に沿う方向において、他方の部屋と2つの移動設備のうちの一方の移動設備との間のみに設けられている」ことに相当する。 以上から、本願補正発明と引用発明は、 「 複数の階床を備え、避難階以外の同一階に、災害時要援護者のための施設として設けられた要援護者用室と健常者が使用する一般室とが設けられている災害時要援護者のための施設を備えた建物であって、 前記要援護者用室及び前記一般室は、前記避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ通路に面した扉を有して、前記通路に沿って配置され、 前記要援護者用室及び前記一般室のうちの一方の部屋は複数設けられ、他方の部屋は少なくとも1部屋設けられており、 前記廊下には、当該廊下を、前記一方の部屋と前記他方の部屋との間にて仕切る防火設備が設けられており、 前記一方の部屋は、前記通路に沿って、前記他方の部屋と前記2つの移動設備のうちの一方の前記移動設備との間のみに設けられていることを特徴とする災害時要援護者のための施設を備えた建物。」 である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。 〈相違点〉 (a)「要援護者用室及び一般室は、避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ通路に面した扉を有して、前記通路に沿って配置され」ることに関し、本願発明における「要援護者用室及び一般室は、避難階への移動を可能とする2つの移動設備を繋ぐ同一かつ同幅の廊下に面した扉を有して、前記廊下に沿う方向に並べて配置され」るのに対し、引用発明においては「病室11a及び事務局15aは、避難階への移動を可能とする避難階段13及び階段18aを繋ぐ通路12及び鉤形通路に面したガラス防火戸31及びガラス防火戸34を有して、通路12及び鉤形通路に沿って配置され」る点(以下、「相違点1」という。)。 (b)「一方の部屋は、通路に沿って、他方の部屋と2つの移動設備のうちの一方の移動設備との間のみに設けられている」ことに関し、本願発明においては「一方の部屋は、廊下に沿う方向において、他方の部屋と2つの移動設備のうちの一方の移動設備との間のみに設けられている」のに対し、引用発明においては「病室11aは、通路12及び鉤形通路に沿って、事務局15a並びに避難階段13及び階段18aのうち、避難階段13との間のみに設けられている点(以下、「相違点2」という。)。 2.-3 判断 まず、相違点1について検討すれば、一般に、引用発明のような病院の建物において、通路の配置及び通路の幅の設定、並びに病室及び事務室の配置は、患者や職員の動線、通行量及び業務内容等を考慮して設計上適宜決定されるべきものであるところ、引用発明において、通路12及び鉤形通路を同一かつ同幅の廊下とし、病室11a及び事務局15aを該廊下に並べて配置することに、何ら技術的困難性はなく、設計上の要請に従って、当業者が適宜なし得る程度の事項であるから、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、相違点2について検討すれば、病室、事務室及び通路の配置は通常時及び非常時の患者や職員の動線等を考慮して設計上適宜決定されるべきものであるところ、引用発明において、病室11a及び事務局15aの配置方向を適宜決定することで、病室11aを通路に沿う方向において、事務局15aと避難階段13との間のみに設けることに、何ら技術的困難性はなく、設計上の要請に従って当業者が適宜なし得る程度の事項であるから、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 上記のとおり、平成27年12月4日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成27年8月21日提出の手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲、並びに願書に最初に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであり、請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項2】のとおりのものである。 2.引用発明 本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献(特開2011-174370号公報)記載の発明(引用発明)は、前記第2.の[理由]2.-1の(3)に記載したとおりである。 3.対比・判断 前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.-2及び2.-3に記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4.むすび 上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-08-19 |
結審通知日 | 2016-08-23 |
審決日 | 2016-09-05 |
出願番号 | 特願2011-198529(P2011-198529) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A62C)
P 1 8・ 121- Z (A62C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 飯島 尚郎 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
中村 達之 金澤 俊郎 |
発明の名称 | 災害時要援護者のための施設を備えた建物 |
代理人 | 一色国際特許業務法人 |