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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1320668
審判番号 不服2016-429  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-08 
確定日 2016-10-20 
事件の表示 特願2012- 23177「半導体発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-161967〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月6日の出願であって、平成27年7月24日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月10日に特許請求の範囲の補正がなされるとともに意見書が提出され、同年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年1月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲の補正がなされたものである。

第2 平成28年1月8日になされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年1月8日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含んでおり、補正前及び補正後の請求項1の記載は、以下の(1)、(2)のとおりである。
(1)補正前の請求項1
「基板と、
前記基板上に設けられ、380nm?480nmの波長域にピーク波長を有する光を出射する少なくとも一つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射した光により励起されて可視光を発する蛍光体を含み、前記半導体発光素子を覆うモールド部材と、を有し、
前記モールド部材は、前記モールド部材の前記基板からの高さH[mm]と、前記基板と前記モールド部材との接触面積の平方根s[mm]と、前記モールド部材に覆われた前記半導体発光素子の個数nとしたとき、指標A=H/(s/n)が、0.3≦A≦6を満たすように形成されている、半導体発光装置。」
(2)補正後の請求項1
(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
「基板と、
前記基板上に設けられ、380nm?480nmの波長域にピーク波長を有する光を出射する少なくとも一つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射した光により励起されて可視光を発する蛍光体を含み、前記半導体発光素子を覆うモールド部材と、を有し、
前記モールド部材は、前記モールド部材の前記基板からの高さH[mm]と、前記基板と前記モールド部材との接触面積の平方根s[mm]と、前記モールド部材に覆われた前記半導体発光素子の個数nとしたとき、指標A=H/(s/n)が、0.3≦A≦6を満たすように形成されており、
前記モールド部材の上部は、前記半導体発光素子の光軸の真上に位置する頂部の曲率が小さく前記光軸から離れた側面の曲率が大きな円錐形状に形成されている、半導体発光装置。」


2.補正の適否
上記の請求項1についての補正は、補正前の請求項1に記載された事項である「モールド部材」について、その形状を限定するものであり、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められる。
したがって、上記の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正による補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(2)に記載した事項により特定されるとおりのものである。
なお、本願補正発明は、「モールド部材の上部」について、「頂部の曲率が小さく」、「側面の曲率が大きな」形状としている。ここで、一般に「曲率」という用語は、「曲率半径」の逆数を表す意味で使用される(岩波書店「広辞苑 第6版」”曲率”の項参照)。そのような一般の字義のとおりだと、本願補正発明における「モールド部材の上部」は、換言すると「頂部の曲率半径が大きく」、「側面の曲率半径が小さな」ものとなるが、本願明細書の記載からみて、上記「頂部の曲率が小さく」、「側面の曲率が大きな」との記載は、本願図面の図1に示されるモールド部材4の形状を表現しようとするものであると認められるから、本願補正発明における「曲率」は、「曲率半径」を意味するものと解すべきものと認められる。以下、この解釈を前提として検討する。

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2009/145259号(以下「引用例」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審による。)。

ア 「[0001] 本発明は、発光ダイオードを用いた白色光源、並びにこの白色光源を用いたバックライト、液晶表示装置および照明装置に関する。」
イ 「[0015] [白色光源]
以下、本発明に係る白色光源について説明する。図1は本発明の白色光源の一例を示す断面図である。図中、1は白色光源、2は絶縁性基板、3はLEDチップ、4は蛍光体層、xは蛍光体層の高さ、yは蛍光体層の胴体部の高さである。
[0016](絶縁性基板)
絶縁性基板2は、電気絶縁性を有する基板である。絶縁性基板2としては、たとえばセラミックス基板やプリント基板が挙げられる。絶縁性基板2は、必要な個所にLEDチップ3と導通するための配線が設けられている。
[0017](発光ダイオードチップ)
絶縁性基板2上にはLEDチップ3が配置される。
[0018]
本発明では、LEDチップ(発光ダイオードチップ)3として、発光ピークが330nm?410nmの紫外光を発生する発光ダイオードチップが用いられる。LEDチップ3の形状は特に限定されない。
[0019] 発光ダイオードチップの発光ピークが330nm未満であると、発光ピークが蛍光体の励起波長領域と異なるため蛍光体の別途調整が必要になるとともに、紫外線が強くなりすぎて人体に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、発光ダイオードチップの発光ピークが410nmを超えると、青色が強くなりすぎ発光ピークが蛍光体の励起波長領域と異なるため蛍光体の別途調整が必要になるおそれがある。
[0020](蛍光体層)
蛍光体層4は、発光ダイオードチップ3を覆うように形成され、蛍光体として赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体を含有し、蛍光体が透明樹脂硬化物中に分散してなるものである。
[0021] 蛍光体層4中に分散される蛍光体としては、少なくとも、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体の3種の蛍光体が用いられる。
[0022] 赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体は、それぞれ励起波長330nm?410nmの光により青色・緑色・赤色に発光する蛍光体であれば、いずれの蛍光体も使用可能である。しかし、演色性、輝度特性等の面を考慮すると、それぞれ以下の蛍光体であることが望ましい。」
ウ 「[0044] 蛍光体層表面と発光ダイオードチップ外周部との最短距離t(mm)とは、LEDチップ3の任意の外周端部と蛍光体層4の表面との間の距離の中で最も短い距離を意味する。換言すれば、tは蛍光体層の厚さの最小値を示すものである。なお、LEDチップ3が、四角形、台形等の角のある断面形状を有するものである場合、LEDチップ3の任意の外周端部は、断面形状の角部であってもよい。
[0045] 図2は、最短距離tの測定方法を説明する図である。図2に示すようにLEDチップの外周端部から蛍光体層の表面までの距離t1、t2等の距離を求めたときt2が最も短い距離であればこのt2が最短距離tとなる。」
エ 「[0055] 蛍光体層4は、絶縁性基板2側に形成された円柱状の第1形状部41と、この第1形状部41の端部に連続して形成されたドーム状の第2形状部42とからなり、ドーム状の端面43を有する筒状体になっている。すなわち、蛍光体層4は、外形が、いわゆる砲弾型に形成される。蛍光体層4が砲弾型に形成されると、白色光源1の発光が均一になりやすいため好ましい。
[0056] 蛍光体層4は、第1形状部41の軸方向の長さは、蛍光体層4全体の軸方向の長さに対して、通常10%以上、好ましくは10%?95%である。蛍光体層4全体の軸方向の長さに対する第1形状部41の軸方向の長さの比率がこの範囲内にあると、白色光源1の発光が均一になりやすいため望ましい。
[0057] 図1に、蛍光体層4全体の軸方向の長さをx、円柱状の第1形状部41の軸方向の長さをyと示す。白色光源1の蛍光体層4は、第1形状部41の軸方向の長さyが、蛍光体層4全体の軸方向の長さxに対して、すなわち、y/xが、通常0.5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは10%?95%になっている。
[0058] なお、白色光源1において、仮に円柱状の第1形状部41がない(y=0)場合、すなわちy/xが0%である場合には、蛍光体層は山型形状となる。このように、蛍光体層が山型形状(y/xが0%)であったり、y/xが0%を超え0.5%未満であったりすると、蛍光体層表面の全体または表面の多くが曲面になり光が蛍光体層から出る際に屈折するため、白色光源から発光する光の光路が不均一になりやすい。
[0059] また、白色光源1において、仮にドーム状の第2形状部42がない(x=y)場合、すなわちy/xが100%である場合には、蛍光体層は棒型形状となる。このように、蛍光体層が棒型形状(y/xが100%)であったり、y/xが95%を超え100%未満であったりすると、蛍光体層の先端部の周囲に角部が形成され、この角部に光が届き難くなるため、白色光源に発光の不均一性が生じやすい。」
オ 「[0082] [実施例1]
(発光ダイオードチップの実装)
縦3mm×横3mm×厚さ0.2mmの窒化アルミニウム絶縁性基板(熱伝導率220W/m・K)を用い、その表面に順にTi/Pt/Auの各層からなる正方形状の金属パターンを複数個形成した。また、窒化アルミニウム絶縁性基板はスルーホールにより裏面側に導通する構造とし、基板の裏面には電極パッドを形成した。
[0083] さらに、各金属パターン上に励起波長390nmの紫外線を発光する発光ダイオードチップ(LEDチップ)を1個ずつ接合し、発光ダイオードチップの下部電極と金属パターンとをそれぞれ電気的に接続した。さらに、発光ダイオードチップの上部電極と、この発光ダイオードチップが搭載されている金属パターンに隣接する他の金属パターンとをボンディングワイヤ法を使って導電性ワイヤにより電気的に接続した。なお、発光ダイオードチップの大きさは縦0.36mm×横0.36mm×高さ0.2mmである。
[0084](蛍光体層の形成)
以下の手順により、発光ダイオードチップが搭載された絶縁性基板上に蛍光体層を形成した。
…。
[0088]<蛍光体ペースト組成物の塗布・乾燥>
発光ダイオードチップが搭載された絶縁性基板を用意し、この絶縁性基板上の発光ダイオードチップを覆うように蛍光体ペースト組成物を塗布し、乾燥させて、絶縁性基板上に蛍光体層を形成した。蛍光体層は、図1に示すような砲弾型に形成した。蛍光体層の形成により白色光源が得られた。
…。
[0090] 表1および表2に白色光源の製造条件を示す。また、表2に白色光源の配光性ばらつきの結果を示す。」
カ 表1は以下のものである。
[表1]


キ 図1及び図2は以下のものである。
[図1]

[図2]

カ [表1]には、実施例1について、蛍光体層の厚さの最小値tが0.6mm、平坦部長さyが0.01mm、蛍光体高さxが1.2mmであると記載されている。
キ 図1、2によれば、LEDチップ3は、蛍光体層4の中心に位置していると認められる。

上記によれば、引用例には、
「絶縁性基板2上にLEDチップ3が配置され、蛍光体層4がLEDチップ(発光ダイオードチップ)3を覆うように形成されている白色光源1であって、
LEDチップ3は、励起波長390nmの紫外線を発光する発光ダイオードチップであり、その大きさは、縦0.36mm×横0.36mm×高さ0.2mmであり、
蛍光体層4は、励起波長330nm?410nmの光により青色・緑色・赤色に発光する赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体を含有し、
また、蛍光体層4は、絶縁性基板2側に形成された円柱状の第1形状部41と、この第1形状部41の端部に連続して形成されたドーム状の第2形状部42とからなり、ドーム状の端面43を有するいわゆる砲弾型に形成されており、
LEDチップ3は、蛍光体層4の中心に位置しており、
蛍光体層4の厚さの最小値tが0.6mm、平坦部長さyが0.01mm、蛍光体高さxが1.2mmである、白色光源1。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「絶縁性基板2」は、本願補正発明の「基板」に相当する。
イ 引用発明の「LEDチップ3」は、「励起波長390nmの紫外線を発光する発光ダイオードチップ」であるところ、これは、引用例の[0018]及び[0019]の記載を参照すれば、発光ピークが(蛍光体の励起波長領域である)390nmの紫外光を発生する発光ダイオードチップのことと認められるから、本願補正発明の「380nm?480nmの波長域にピーク波長を有する光を出射する少なくとも一つの半導体発光素子」に相当する。
ウ 引用発明の「蛍光体層4」は、「励起波長330nm?410nmの光により青色・緑色・赤色に発光する赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体を含有」するものであり、「LEDチップ(発光ダイオードチップ)3を覆うように形成されている」から、本願補正発明の「前記半導体発光素子から出射した光により励起されて可視光を発する蛍光体を含み、前記半導体発光素子を覆うモールド部材」に相当する。
エ 引用発明の「蛍光体層4」は、「厚さの最小値tが0.6mm」であるところ、引用例の[0044]及び[0045]の記載を参照すれば、この「最小値t」は、「(図2における)LEDチップの外周端部から蛍光体層の表面までの距離t2」のことであり、「LEDチップの外周端部」としては、「LEDチップ3の角部」が採用されるものと認められる。
ここで、引用発明の「LEDチップ3」は、「縦0.36mm×横0.36mm」の形状であり、蛍光体層4の中心に位置しており、その角部と「蛍光体層4」の表面までの距離が「0.6mm」ということであるから、「蛍光体層4」の「絶縁性基板2側に形成された円柱状の第1形状部41」は、直径が(0.36mm×√2+0.6mm+0.6mm)≒1.71mmの円柱であると認められる。
したがって、引用発明において、本願補正発明でいう「前記基板と前記モールド部材との接触面積の平方根s[mm]」は、π×(1.71/2)^(2) の平方根として計算され、s≒1.52となる。
また、引用発明の「蛍光体高さx」が本願補正発明の「前記モールド部材の前記基板からの高さH[mm]」に相当するところであり、この値は、「1.2mm」である。
してみると、本願補正発明の指標A=H/(s/n)は、1.2/1.52≒0.79と計算されるところであり、この値は、本願補正発明の「0.3≦A≦6」を満たしている。
したがって、引用発明も本願補正発明と同様に「前記モールド部材は、前記モールド部材の前記基板からの高さH[mm]と、前記基板と前記モールド部材との接触面積の平方根s[mm]と、前記モールド部材に覆われた前記半導体発光素子の個数nとしたとき、指標A=H/(s/n)が、0.3≦A≦6を満たすように形成されて」いるものといえる。
オ 引用発明の「白色光源1」は、本願補正発明の「半導体発光装置」に相当する。
カ 以上のことから、本願補正発明と引用発明は、
「基板と、
前記基板上に設けられ、380nm?480nmの波長域にピーク波長を有する光を出射する少なくとも一つの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射した光により励起されて可視光を発する蛍光体を含み、前記半導体発光素子を覆うモールド部材と、を有し、
前記モールド部材は、前記モールド部材の前記基板からの高さH[mm]と、前記基板と前記モールド部材との接触面積の平方根s[mm]と、前記モールド部材に覆われた前記半導体発光素子の個数nとしたとき、指標A=H/(s/n)が、0.3≦A≦6を満たすように形成されている、半導体発光装置。」の点で一致する。
キ 一方、両者は、本願補正発明では、「前記モールド部材の上部は、前記半導体発光素子の光軸の真上に位置する頂部の曲率が小さく前記光軸から離れた側面の曲率が大きな円錐形状に形成されている」のに対し、引用発明がこのようなものであるか不明な点(以下「相違点という。」)で相違する。

(4)判断
上記相違点について検討する。
引用発明の「蛍光体層4」は、「絶縁性基板2側に形成された円柱状の第1形状部41と、この第1形状部41の端部に連続して形成されたドーム状の第2形状部42とからなり、ドーム状の端面43を有するいわゆる砲弾型に形成されて」いるものである。
ここで、引用発明の「円柱状の第1形状部41」は、上記3.(4)で指摘したように直径が1.71mmの円柱であり、その高さは、引用例の[0057]に記載されるように図1でyと示されるものであり、引用発明において、「y」は、「0.01mm」であるから、引用発明の「円柱状の第1形状部41」の高さは、0.01mmであると認められる。
してみると、引用発明における「蛍光体層4」の「第1形状部41の端部に連続して形成されたドーム状の第2形状部42」は、底面の直径が1.71mmであり、その高さが(1.2mm-0.01mm)=1.19mmのドーム形状を有するのものである。
すなわち、引用発明の「ドーム状の第2形状部42」は、高さ(1.19mm)が底面の半径(1.71/2=0.855mm)より大きいドーム形状を有するものであるところ、高さが底面の半径より大きいドーム形状としては、例えば、特開2011-243963号公報の図20(a)、特開2002-314142号公報の図8、図9、図13?15、特開2006-83219号公報の図11、特開2010-165996号公報の図2にみられるように、頂部の曲率半径が小さく、側面の曲率半径が大きい形状のものが普通であるから、高さ(1.19mm)が底面の半径(0.855mm)より大きいドーム形状を有する引用発明の「ドーム状の第2形状部42」として、頂部の曲率半径が小さく、側面の曲率半径が大きい形状のものを採用して、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることに格別の困難性は認められない。
そして、本願補正発明により、当業者が予期し得ない格別顕著な効果が奏されるとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)小括
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年9月10日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載される事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載した事項により特定されるとおりのものである。

2.判断
本願発明は、本願補正発明から「前記モールド部材の上部は、前記半導体発光素子の光軸の真上に位置する頂部の曲率が小さく前記光軸から離れた側面の曲率が大きな円錐形状に形成されている」との事項を削除したものに相当する。
本願発明と引用発明とを対比すると、上記第2[理由]2.(3)カに記載した本願補正発明と引用発明との一致点と同じ点で一致し、両者に相違点は認められない。
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明である。

3.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-18 
結審通知日 2016-08-23 
審決日 2016-09-06 
出願番号 特願2012-23177(P2012-23177)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 俊彦  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 河原 英雄
小松 徹三
発明の名称 半導体発光装置  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  

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