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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09J |
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管理番号 | 1320692 |
審判番号 | 不服2014-20623 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-10-10 |
確定日 | 2016-10-19 |
事件の表示 | 特願2011-501853「非粘着性微小球を有する接着剤組成物並びにそれから製造されるシート」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月 1日国際公開、WO2009/120412、平成23年 7月14日国内公表、特表2011-519977〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、国際出願日である平成21年2月9日(パリ条約による優先権主張 2008年3月27日 (US)アメリカ合衆国)にされた特許出願であって、平成24年2月8日に特許請求の範囲が補正され、平成25年4月11日付けで拒絶理由が通知され、同年10月15日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲が補正され、同年11月6日付けで拒絶理由が通知され、平成26年5月12日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲及び明細書が補正されたが、同年6月2日付けで拒絶査定がなされたところ、同年10月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正されたので、特許法162条所定の審査がされた結果、同年11月7日付けで同法164条3項の規定による報告がされたものである。 第2.本願発明 平成26年10月10日に提出された手続補正書による補正は、特許請求の範囲について、請求項の削除を目的とするものであって適法なものであるので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年10月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「対峙する第一及び第二表面並びに対峙する第一及び第二の周辺部エッジを有するシートであって、接着剤配合物のバンドが周辺部エッジのひとつに隣接するシートの第二表面上にコーティングされており、前記接着剤配合物が、 (a)50から99重量部の感圧性接着剤、及び (b)1から50重量部の非粘着性エラストラメリック微小球 を含み、前記感圧性接着剤が粘着性の微小球及び接着剤バインダーの配合物を含み、 前記非粘着性エラストラメリック微小球が (1)50から99重量部の、1から14の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、 (2)1から50重量部の、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される多官能性架橋剤、 (3)0.01から4.0重量%の反応開始剤、及び (4)0.01から3重量%の重合安定剤、 からなる反応生成物を含み、 また、構成成分(b)(1)及び(b)(2)の重量部は総量100部に等しく、かつ(b)(3)及び(b)(4)は構成成分(b)(1)及び(b)(2)の総重量を基準にした重量%であり、前記非粘着性エラストラメリック微小球の一部分はシートの第二表面と接している前記接着剤配合物のバンドの表面とは反対側の前記接着剤配合物のバンドの表面から上に突き出ている、シート。」 第3.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、要するに、「本願発明は、その優先日前に日本国内において頒布された下記引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 引用文献1:特表2001-502002号公報 」 というものを含むものである。 第4.引用文献1の記載事項 本願の優先日前に頒布された引用文献1には、以下の事項が記載されている。 1.「1.表面を有する基材を含み、該表面の少なくとも一部分に、離散した架橋ポリマ微小球とポリママトリックスとのブレンドを含有する感圧接着剤組成物が配置され、該接着剤組成物が、実質的に平滑で接着可能な露出面を有する製品。 2.前記微小球が粘着性微小球を含む請求項1記載の製品。 3.前記微小球が中実微小球を含む請求項1記載の製品。 4.前記微小球が中空微小球を含む請求項1記載の製品。 5.前記微小球が不粘着性微小球を含む請求項1記載の製品。 6.前記微小球がプラスチック微小球を含む請求項1記載の製品。 7.前記微小球が粘着性中空微小球を含む請求項1記載の製品。 8.肉眼で観察した場合に実質的に透明である請求項1記載の製品。 9.前記接着剤組成物が前記基材の前記表面上に実質的に連続なコーティングの形態で存在する請求項1記載の製品。 10.前記接着剤組成物が前記基材の前記表面上に不連続なコーティングの形態で存在する請求項1記載の製品。 11.患者の皮膚に接着させるために適用される請求項1記載の製品。 12.皮膚パッチの形態である請求項1記載の製品。 13.創傷ドレッシングの形態である請求項1記載の製品。 14.接着性バンデージの形態である請求項1記載の製品。 15.アイランドドレッシングの形態である請求項1記載の製品。 16.請求項1記載の製品を製造する方法であって、 (a)離散した架橋ポリマ微小球とポリママトリックスとのブレンドを含有する感圧接着剤組成物を調製するステップと、 (b)該ブレンドを基材の少なくとも一部分上にコーティングの形態で付着させるステップと、 を含み、 該コーティングが実質的に平滑で接着可能な露出面を有するように、該微小球の平均直径、該組成物中の該微小球の体積分率、および該コーティングの厚さが選択される方法。」(【特許請求の範囲】) 2.「本発明のエラストマまたはプラスチックの微小球の作製に使用される組成物にはまた、多官能性架橋剤が含まれていてもよい。本明細書中で使用される「多官能性」という用語は、2つ以上の遊離基重合性エチレン系不飽和基を有するカップリング剤を意味する。有用な多官能性架橋剤としては、ブタンジオールジアクリレートのようなジオール、グリセロールのようなトリオール、およびペンタエリトリトールのようなテトラオールのアクリルまたはメタクリルエステルが挙げられる。他の有用な架橋剤としては、高分子多官能性(メタ)アクリレート、例えば、ポリ(エチレンオキシド)ジアクリレートまたはポリ(エチレン)オキシドジメタクリレート、ポリビニル系架橋剤、例えば、置換および無置換ジビニルベンゼン、ならびに二官能性ウレタンアクリレート、例えば、「EBECRYL」270および「EBECRYL」230(それぞれ重量平均分子量1500および重量平均分子量5000のアクリル化ウレタンであり、いずれもRadcure Specialtiesから入手可能である)、更に、これらの混合物が挙げられる。 架橋剤を使用する場合、典型的には、約10当量パーセントまでのレベルで使用される。全重合性微小球組成物を基準に約0.15当量パーセントを超えると、ほとんどのエラストマ微小球は不粘着性になる。」(15頁21行?16頁8行) 3.「有用な開始剤は、一般にアクリレートモノマまたはビニルエステルモノマの遊離基重合に好適なものであり、しかも油溶性であって水への溶解性が非常に低く、典型的には20℃において1g未満/水100gである。このような開始剤としては、例えば、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシドなど、更には、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンのような光開始剤が挙げられる。開始剤は、一般的には、全重合性成分の約0.01重量%?約10重量%の範囲の量、好ましくは約5%までの量で使用される。」(18頁4?11行) 4.「微小球3(IOA:AA:EOA/97:2:1) 4.8gのアクリル酸(AA)、2.4gのCarbowaxTM 750アクリレート(ポリエチレンオキシドアクリレート)(EOA)、および1.13gのLucidolTM-70(70%ベンゾイルペルオキシド)を232.8gのイソ-オクチルアクリレート(IOA)中に溶解することによりモノマ混合物を調製した。0.75gのナトリウムドデシルベンゼンスルホネートを360gの水に溶解することにより界面活性剤溶液を調製した。次に、モノマ混合物を界面活性剤溶液に添加した。得られた混合物を1リットルのバッフル付き反応器に仕込み、400RPMで攪拌し、65℃まで加熱し、N_(2)で脱ガスし、8時間反応させた。この反応時間で、平均直径約60μmを有する微小球が形成された。」(27頁5?13行) 5.「微小球8(IOA:AA:BDA/95.5:2.5:2) 微小球3の手順に従ったが、ただし、モノマ混合物は、6gのアクリル酸(AA)、4.8gのブタンジオールジアクリレート(BDA)、および1.13gのLucidolTM-70(70%ベンゾイルペルオキシド)を229.2gのイソ-オクチルアクリレート(IOA)中に溶解することにより調製した。更に、攪拌は300RPMで行った。この反応時間で、平均直径約70μmを有する微小球が形成された。」(28頁1?6行) 6.「 マトリックスの調製 マトリックス組成物1(IOA/AA/EOA 70/15/15) マトリックス組成物1は、PCT US84/00506およびWO 84/03837に概説されている手順に従って、70重量部のイソ-オクチルアクリレート、15重量部のアクリル酸、および15部のEOAを含有するモノマ混合物を用いて調製した。」(29頁21?25行) 7.「 製品44 製品44は、Morton International製のMorthaneTM PE-44-203バッキング(厚さ27μmのポリウレタンフィルム)上に微小球8とマトリックス1とのブレンド(20phrの微小球)がコーティングされていることを特徴とするものであった。接着剤ブレンドのコーティング厚は約25μmであった。平衡クリープコンプライアンス試験は、これと同じ接着剤をポリエステルバッキング上に配置して実施した。」(38頁9?15行) 第5.引用文献1に記載された発明 上記第4.4.?7.からみて、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「6gのアクリル酸(AA)、4.8gのブタンジオールジアクリレート(BDA)、および1.13gのLucidolTM-70(70%ベンゾイルペルオキシド)を229.2gのイソ-オクチルアクリレート(IOA)中に溶解することによりモノマ混合物を調製し、0.75gのナトリウムドデシルベンゼンスルホネートを360gの水に溶解することにより界面活性剤溶液を調製し、次に、モノマ混合物を界面活性剤溶液に添加し、得られた混合物を1リットルのバッフル付き反応器に仕込み、300RPMで攪拌し、65℃まで加熱し、N_(2)で脱ガスし、8時間反応させ、平均直径約70μmを有する微小球8を形成し、また、マトリックス組成物1は、PCT US84/00506およびWO 84/03837に概説されている手順に従って、70重量部のイソ-オクチルアクリレート、15重量部のアクリル酸、および15部のEOAを含有するモノマ混合物を用いて調製し、さらに、厚さ27μmのポリウレタンフィルム上に微小球8とマトリックス1とのブレンド(20phrの微小球)がコーティングされ、接着剤ブレンドのコーティング厚は約25μmである製品」 第6.本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1.引用発明の「イソ-オクチルアクリレート」、「ブタンジオールジアクリレート」は、それぞれ、本願発明の「1から14の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー」、「ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される多官能性架橋剤」に相当し、それぞれの質量は「229.2g」、「4.8g」であるから、両者の総量を100部とするとそれぞれ「98重量部」、「2重量部」となる。 そうしてみると、引用発明の「229.2gのイソ-オクチルアクリレート」、「4.8gのブタンジオールジアクリレート」は、それぞれ、本願発明の「(1)50から99重量部の、1から14の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー」、「(2)1から50重量部の、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される多官能性架橋剤」に相当すると認められる。 また、引用発明の「ベンゾイルペルオキシド」は、上記第4.3.からみて、引用発明の「反応開始剤」に相当し、その質量は1.13g×70%=0.791gであり、上記「イソ-オクチルアクリレート」及び「ブタンジオールジアクリレート」の総重量を基準にすると、0.791g÷(229.2g+4.8g)×100=0.34重量%となる。 そうしてみると、引用発明の「1.13gの70%ベンゾイルペルオキシド」は、本願発明の「(3)0.01から4.0重量%の反応開始剤」に相当すると認められる。 さらに、上記のように、引用発明の微小球8は、2重量部の架橋剤を用いて形成しているところ、上記第4.2.の記載からみて、引用発明の微小球8は不粘着性であると認められるし、また、架橋剤により架橋されているのであるから、当該技術分野の技術常識を踏まえると、微小球8は弾性を有していると認められ、引用発明の微小球8は、本願発明の「非粘着性エラストラメリック微小球」に相当するものである。 以上のことを踏まえると、引用発明の微小球8は「(1)50から99重量部の、1から14の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(2)1から50重量部の、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される多官能性架橋剤、及び、(3)0.01から4.0重量%の反応開始剤、からなる反応生成物」を含む「非粘着性エラストラメリック微小球」であると認められる。 2.引用発明の「ポリウレタンフィルム」及び「製品」は、当然に対峙する第一及び第二表面を有するところ、本願発明の「対峙する第一及び第二表面を有するシート」に相当すると認められる。 また、引用発明の微小球8とマトリックス組成物1との「ブレンド」は接着剤ブレンドであるから、本願発明の「接着剤配合物」に相当すると認められる。 そうしてみると、引用発明では微小球8とマトリックス組成物1とのブレンドをポリウレタンフィルム上にコーティングしているのであるから、引用発明では本願発明と同様に「接着剤配合物がシートの第二表面上にコーティングされて」いると認められる。 3.引用発明の「マトリックス組成物1」は、微小球8とのブレンドが接着剤ブレンドになるのであるから、本願発明の「接着剤バインダーを含む感圧性接着剤」に相当すると認められる。 また、引用発明の微小球8とマトリックス組成物1とのブレンドにおいて、微小球8が20phr、すなわち20重量部であるから、マトリックス組成物1は80重量部であると認められる。 そうしてみると、引用発明のブレンドに含まれる「マトリックス組成物1」、「微小球8」は、それぞれ、本願発明の「(a)50から99重量部の感圧性接着剤」、「(b)1から50重量部の非粘着性エラストラメリック微小球」に相当すると認められる。 4.引用発明では、ポリウレタンフィルム上に形成されたコーティングの厚さは約25μmであり、該コーティングに含まれている微小球8の平均直径は約70μmであるから、その大小関係からみて、引用発明では、微小球8の一部分はポリウレタンフィルムの第二表面と接しているコーティングの表面とは反対側のコーティングの表面から上に突き出ていると認められる。 5.以上のことを総合すると、本願発明と引用発明との一致点と相違点は、次のとおりである。 (一致点)「対峙する第一及び第二表面を有するシートであって、接着剤配合物がシートの第二表面上にコーティングされており、前記接着剤配合物が、 (a)50から99重量部の感圧性接着剤、及び (b)1から50重量部の非粘着性エラストラメリック微小球 を含み、前記感圧性接着剤が接着剤バインダーを含み、 前記非粘着性エラストラメリック微小球が (1)50から99重量部の、1から14の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、 (2)1から50重量部の、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、及びそれらの組み合わせ物からなる群から選択される多官能性架橋剤、及び (3)0.01から4.0重量%の反応開始剤、 からなる反応生成物を含み、 また、構成成分(b)(1)及び(b)(2)の重量部は総量100部に等しく、かつ(b)(3)は構成成分(b)(1)及び(b)(2)の総重量を基準にした重量%であり、前記非粘着性エラストラメリック微小球の一部分はシートの第二表面と接している前記接着剤配合物の表面とは反対側の前記接着剤配合物の表面から上に突き出ている、シート。」 (相違点1)本願発明では、シートが第一及び第二の周辺部エッジを有し、接着剤配合物が周辺部エッジのひとつに隣接するシートの第二表面上にバンド形状にコーティングされているのに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 (相違点2)本願発明では、感圧性接着剤が粘着性の微小球を含むのに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 (相違点3)本願発明では、非粘着性エラストラメリック微小球が、さらに、0.01から3重量%の重合安定剤を含むものからなる反応生成物であるのに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。 6.上記各相違点について検討する。 (1)(相違点1)上記第4.1.にあるように、引用発明は、患者の皮膚に接着させるために適用されたり、皮膚パッチ、創傷ドレッシング及び接着性バンデージ等の形態であるところ、引用発明を適用する具体的な形態の状況に応じて、引用発明のポリウレタンフィルムをどのような形状にするのかを決定することや、微小球8とマトリックス組成物1とのブレンドをポリウレタンフィルムのどの領域にどのような形状でコーティングするのかを決定することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。 そうしてみると、引用発明のポリウレタンフィルムを第一及び第二の周辺部エッジを有する形状とすることや、微小球8とマトリックス組成物1とのブレンドを、ポリウレタンフィルムの周辺部エッジのひとつに隣接する領域にバンド形状にコーティングすることは、当業者が容易になし得たことであるといえる。 また、本願発明において、シートが第一及び第二の周辺部エッジを有し、接着剤配合物が周辺部エッジのひとつに隣接するシートの第二表面上にバンド形状にコーティングされていることにより、当業者が予測できない格別顕著な効果が奏されるとも認められない。 (2)(相違点2)医療用の粘着シートや再剥離性の粘着シートの分野においては、高い透湿性や良好な再剥離性を付与するために、これら粘着シートの粘着層に粘着性微粒子と非粘着性微粒子の両者を配合することは周知である(例えば、特開2003-129013号公報:【請求項1】、【請求項10】、段落【0005】、【0026】?【0028】、【0047】等参照、特開平7-216320号公報:【請求項1】、段落【0007】、【0040】等参照、特開平6-172739号公報:【請求項2】、段落【0029】等参照)。 そうしてみると、引用発明の製品も医療用のものであり、高い透湿性や良好な再剥離性を付与するために、非粘着性の微小球8が配合されているマトリックス組成物1に対して粘着性微粒子をさらに配合することは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願発明において、感圧性接着剤が粘着性の微小球を含むことにより、当業者が予測できない格別顕著な効果が奏されるとも認められない。 (3)(相違点3)接着剤配合物に含ませる微粒子を製造する際に、アクリレートモノマー、多官能性架橋剤、反応開始剤の他に、適量の重合安定剤を加えることは周知である(特表2002-532610号:段落【0011】、【0029】?【0035】等参照、特表2000-503331号公報:【特許請求の範囲】、15頁4行?16頁20行等参照、特表2000-511956号公報:【特許請求の範囲】、11頁20行?16頁21行等参照)。 そうしてみると、引用発明において、微小球8をアクリレートモノマー、多官能性架橋剤、反応開始剤の他に、適量の重合安定剤を加えたものからなる反応生成物とすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願発明において、非粘着性エラストラメリック微小球が、さらに、0.01から3重量%の重合安定剤を含むものからなる反応生成物であることにより、当業者が予測できない格別顕著な効果が奏されるとも認められない。 よって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-05-20 |
結審通知日 | 2016-05-24 |
審決日 | 2016-06-06 |
出願番号 | 特願2011-501853(P2011-501853) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C09J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 磯貝 香苗 |
特許庁審判長 |
加藤 友也 |
特許庁審判官 |
菊地 則義 前田 寛之 |
発明の名称 | 非粘着性微小球を有する接着剤組成物並びにそれから製造されるシート |
代理人 | 出野 知 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 永坂 友康 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 高橋 正俊 |
代理人 | 青木 篤 |