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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1320752
審判番号 不服2015-12998  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-08 
確定日 2016-11-08 
事件の表示 特願2010-272476「組み合わせ先端部用ラック」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月23日出願公開、特開2011-123065、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年12月7日(パリ条約による優先権主張 2009年12月10日 欧州特許庁(EP))の出願であって、平成26年4月28日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年10月23日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年3月16日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。
これに対して、同年7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、当審において平成28年4月19日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対して、同年9月1日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願発明
本願の請求項1?9に係る発明は、平成28年9月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「 【請求項1】
少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、前記第1形式のピペット先端部よりも短寸であり且つ第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラックにおいて、
前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され、
前記第1形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔及び前記第2形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔を具備し、該貫通ボア孔が前記チャンバと連通し、
ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ、
前記第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされることを特徴とするラック。」


第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開平11-326340号公報
引用文献2:特開2001-330617号公報
引用文献3:米国特許出願公開第2007/0020151号明細書
周知文献8:実願昭62-050204号(実開昭63-157243号)のマイクロフィルム

複数の第1形式の試験管と、複数の第2形式の試験管とを収容する複数のチャンバを具備する複数の試験管を保持するラックであって、前記第2形式の試験管が、前記第1形式の試験管よりも短寸であり且つ第1形式の試験管が収容されるよりも少量の液体を収容するために用いられるラックにおいて、前記チャンバが独立し、前記第1形式の試験管及び第2形式の試験管が、当該ラック内に交互配置的な列にて格納されるラックは、例えば、周知文献8に記載されているように周知の技術である。
そして、実験分析技術において、ピペットも試験管もラックによって支持されて用いられているので、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するピペット用ラック(引用文献1?3)において、上記周知技術を考慮し、第1形式のピペット先端部及び第2形式のピペット先端部が、ラック内に交互配置的な列にて格納される構成とすることは、当業者が適宜設計し得る程度のことである。
したがって、本願発明は、引用文献1?3に記載された発明及び周知文献8に記載された周知技術より、当業者が容易に想到し得たものである。


2 原査定の理由の判断
(1)引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)。

(ア)「【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、生化学研究又は臨床診断等の分野において用いられる自動処理装置に搭載するサンプル処理ユニットに関する。」

(イ)「【0015】図1中(a)は、ノズルの配置を上方からの透視図として示した図であり、(b)は正面図で、両ノズルがそれぞれ1列に、合計2列に並んでいることがわかる。本例では、サンプリング用及び液体吸引廃棄用ノズルとしていずれも同一形状のディスポーザブルチップを使用する方式としたことから、両者の形状を同一にでき、しかもアームヘッド3から下側(反応容器等に対向する側)に突出する長さも同一としている。両ノズルのうちの一方をパーマネントノズルにしたり、或いは異なる寸法・形状のディスポーザブルチップを配置する場合、アームヘッドを下降等したときにノズル(ディスポーザブルチップ)先端が反応容器等の内部に侵入し到達する距離と、ノズルチップを載置して処理ユニットに対して供給するチップラックの形状・寸法を勘案し、各ノズルが反応容器やチップラックと干渉しないように寸法・形状を決定することが重要である。
【0016】サンプリング用ノズルは、不図示のシリンジやポンプ等に接続されており、ここで発生した圧力により所定量の液体を吸引し吐出する。一方液体吸引廃棄用ノズルは、不図示のポンプ等にいわゆるトラップボトルを介して接続され、ポンプ等により発生された負圧により液体を吸引しトラップボトルに廃棄する。なお本例は一例であり、両ノズルに接続されるサンプリング又は液体吸引廃棄用の他の手段はこれに限定されない。
【0017】ノズルが搭載されている移動手段のアームヘッド3は、モーターやスライドガイド等の不図示の移動手段によりX方向(水平左右方向)・Y方向(水平前後方向)・Z方向(鉛直上下方向)に移動可能な状態で自動処理装置等に搭載される。移動手段は通常の構成を使用することが可能であり、特に制限はない。特に両ノズルをZ方向、即ち鉛直上下方向にのみ移動すれば良い場合には、移動手段として簡便な手段を採用することができる。例えば反応容器等、液体をサンプリングしたり廃棄されるべき液体を保持する容器をX・Y方向、即ち水平面上で前後・左右に自由に移動する手段を有する自動処理装置に本発明の処理ユニットを搭載する場合等である。
【0018】図2及び3は、図1に示したに処理ユニットを用いて液体のサンプリングを行う際の作業を示す図である。図2(b)の向かって右側のサンプリング用ノズル2を用いる場合は、チップラック(a)に載置されたノズルチップを左側から順次装着、使用する。図2では左端第1列目の8個のチップが既に装着、使用され、廃棄されて存在しない場合を示しているが、続いて(a)のドットを付して示した左から第2列目の8本のノズルチップを装着しようとしている状態を示している。
【0019】(b)の斜線を付して示した8本のサンプリング用ノズル2を、(c)のように目的のノズルチップ列(左端から第2列目のチップ)の上方まで移動するか、或いはチップラックをノズル下方まで移動し、この状態でノズルを下降するかチップラックを上昇させて目的列のノズルチップをサンプリング用ノズル2に装着する。このとき、液体吸引廃棄用ノズルは、図2(c)に示すように、第1回目のノズルチップ装着で空になった位置に来るので、チップラックやそこに載置されたノズルチップと干渉を起こすことは無い。本例では、液体吸引排出用ノズルとサンプリング用ノズルがアームヘッド3からノズルラック側に突出する長さは同一だからである。
【0020】図2(d)は、上述のようにしてチップを装着した後のノズルチップの様子を示す図であり、左から第2列まで空となっている。
【0021】図3は、(b)の向かって左側の液体吸引廃棄用ノズル1を用いて液体の吸引廃棄を行う場合の作業を示す図である。この場合は上記のサンプリング作業の場合とは逆に、チップラックの向かって右端からノズルチップを順次装着していくことになる。図3では右端第1列目の8個のチップが既に装着、使用され、廃棄されて存在しない場合を示しているが、続いて(a)にドットを付して示した右から第2列目の8本のノズルチップを装着しようとしている状態を示している。(b)の網線を付して示した8本の液体吸引廃棄用ノズル1を、(c)のように目的のノズルチップ列の上方まで前述のように移動し、目的列のノズルチップを液体吸引廃棄用ノズル1に装着する。このとき、サンプリング用ノズルは、図2(c)に示すように、第1回目のノズルチップ装着で空になった位置に来るので、チップラックやそこに載置されたノズルチップと干渉を起こすことは無い。本例では、サンプリング用ノズルと液体吸引排出用ノズルがアームヘッド3からノズルラック側に突出する長さは同一だからである。
【0022】図3(d)は、上述のようにしてチップを装着した後のノズルチップの様子を示す図であり、右から第2列まで空となっている。
【0023】上述の例において、サンプリング作業及び液体吸引廃棄作業は、不図示のマイクロチップ等に作業手順を記憶させておき、該チップの指示で不図示の移動手段を制御して作業毎にチップラックの左側又は右側のいずれの側からチップを取得するかを決定し、更には作業回数を記憶させておいたり、或いはチップラック上のチップの存否を検出するセンサー等を配置しておき、各端から任意の列目のチップを装着するかを自動的に決定して行うこともできる。
【0024】本発明の処理ユニットにおいては、上述の例とは異なり、サンプリング用及び/又は液体吸引排気用ノズルを2列以上にすることも可能である。この場合、移動手段のアームヘッド上に両ノズルを混在させるのではなく、両者を分けて各ノズル別に列に配置すれば、上述の例と同様の作業を行うことが可能である。」

(ウ)図1には以下の図面が示されている。


(エ)図2には以下の図面が示されている。


(オ)図3には以下の図面が示されている。



イ 引用文献1に記載された発明の認定
上記(1)ア(ア)に記載の「チップラック」は、上記(1)ア(エ)及び(オ)の図面も参酌すれば、「ノズルチップを載置する」ものであることが明らかであるから、当該技術事項、及び、上記ア(ア)?(オ)を含む引用文献1の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ノズルチップを載置するチップラックであって、
サンプリング用及び液体吸引廃棄用ノズルが合計2列に並んでいるアームヘッドを用い、
異なる寸法・形状のディスポーザブルチップを配置する場合、ノズルチップを載置するチップラックの形状・寸法を勘案し、各ノズルが反応容器やチップラックと干渉しないように寸法・形状を決定することが重要であるものであり、
右側のサンプリング用ノズル2を用いる場合は、チップラックに載置されたノズルチップを左側から順次装着することで、目的列のノズルチップをサンプリング用ノズル2に装着し、
左側の液体吸引廃棄用ノズル1を用いて液体の吸引廃棄を行う場合は、チップラックの向かって右端からノズルチップを順次装着することで、目的列のノズルチップを液体吸引廃棄用ノズル1に装着するように構成された、
チップラック。」


ウ 引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動分注装置に関し、特に使い捨て(ディスポーザブル)のノズルチップを自動的に装着して分注を行う自動分注装置に関する。」

(イ)「【0016】ノズル基部24は、ノズルチップ100又は110に嵌合される部位であり、吸引・吐出機構(図示省略)に繋がっている。
【0017】ノズルチップ100及び110は、チップラック200に立設保持される。チップラック200は、自動分注装置の基台40上の所定の位置に設置される。チップラック200は、大サイズのノズルチップ100用の収容孔と小サイズのノズルチップ用の収容孔を有している。これら大小の収容孔は、決まった配列関係で設けられており、制御回路10はこの前提の下で所望サイズのノズルチップを装着対象に選択する。」

(ウ)図1には以下の図面が示されている。


エ 引用文献2に記載された発明の認定
上記ウ(ア)?(ウ)を含む引用文献2の記載を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「ノズルチップを自動的に装着して分注を行う自動分注装置に関するチップラックであって、
大サイズのノズルチップ用の収容孔と小サイズのノズルチップ用の収容孔を有しており、これら大小の収容孔は、決まった配列関係で設けられている、
チップラック。」


オ 引用文献3の記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)。

(ア)「[0001] This invention relates generally to pipette tip holders, and more particularly to pipette tip holders or boxes for use with automated pipette machines. 」
(当審訳)
「[0001] 本発明は、一般に、ピペットチップホルダに係り、特に自動化ピペット機械と共に使用するためのピペットチップホルダまたはボックスに関するものである。」

(イ)「[0030] Referring to FIG. 1, there is illustrated in an exploded view a pipette tip holder or pipette tip box 10 in accordance with an embodiment of the present invention. Pipette tip box 10 comprises a container 12 and a tip support member such as lid member 14, and optionally also includes a cap 16. Container 12, lid member 14 and cap 16 may be similarly dimensioned in cross-section to that of an isosceles trapezoid with rounded corners. Lid member 14 is adapted for a snap-fit engagement with container 12, and cap 16 is designed to fit over and engage a top portion of lid member 14, as described below. In FIG. 2, pipette tip box 10 without the cap 16 is shown holding a plurality of tips 7, including a tip 6 of a first size, and two tips 8 of a second size, which is different from the first size. The tip holder 10 is positioned within a complementarily dimensioned aperture 4 of a carousel 5 of an automated pipette machine (not shown). It will be apparent to persons skilled in the art that the tip box 10 may be otherwise shaped or dimensioned for use with particular sizes of pipette tips and/or with particular automated pipette machines. While the tip holder 10 is shown holding two different sizes of tips 7, it is possible for the tip folder 10 to be configured to hold more than two different sizes of tip 7. Preferably, the container 12, lid member 14 and cap 16 are made of a suitable injection molded plastic for ease of production and low cost. 」
(当審訳)
「[0030] 図1を参照すると、そこには本発明の一実施形態によるピペットチップホルダまたはピペットチップボックス10の分解図が示されている。ピペットチップボックス10は、容器12と蓋部材14のようなチップ支持部材で構成され、必要に応じてキャップ16も含む。容器12、蓋部材14、キャップ16は、同様に断面角を丸めた等脚台形状になるように寸法設定され得る。蓋部材14は、容器12とスナップフィット係合するように構成され、キャップ16に嵌まり込み、蓋部材14の頂部に係合するように設計されている。図2では、キャップ16を有しないピペットチップボックス10は、複数のチップ7のうち、第1のサイズのチップ6、および第2のサイズの2チップ8、第1サイズとは異なるなどを保持している。チップホルダ10は、自動化されたピペット装置のカルーセル5の相補的に寸法決めされた開口4(図示せず)内に配置される。チップボックス10は、特定のサイズのピペットチップと共に使用するためのおよび/または特定の自動化ピペット機械と形状または寸法設定され得ることが当業者には明らかであろう。チップホルダ10は、2の異なるサイズの先端部7を示しているが、チップホルダ10は、2以上の異なるサイズ先端7を保持するように構成することが可能である。好ましくは、容器12、蓋部材14、キャップ16は製造及び低コストを容易にするために好適な射出成形されたプラスチックで形成されている。」

(ウ)「[0032] Within a lower two-thirds of container 12 is provided a central vertical divider 32 that extends between side walls 21 and 22 and joins with bottom 18, to divide the lower portion of cavity 24 (FIG. 4) into two sections which may be of unequal size. These two sections are further divided by vertical dividers 33, 34, and 35 (FIG. 7) that extend between central divider 32 and side walls 23 and 20 respectively, and join with bottom 18. The dividers 32, 33, 34 and 35 divide the lower portion of cavity 24 into separate compartments 36, 37, 38, 39 and 40. The dividers separate the bottom portions of a plurality of pipette tips 7 when the pipette tips 7 are positioned in the tip holder 10. The bottom portions of the pipette tips 7 are those portions of the pipette tips 7 that are immersed in a liquid during use of the pipette tips during use. In other words, the bottom portion of the pipette tips 7 is the portion whose exterior surface is wetted during use of the tip 7.
[0033] The dividers 32, 33, 34 and 35 may be sealingly connected to the container 12, such that the compartments are sealed along their sides and bottom thereby forming reservoirs 36, 37, 38, 39 and 40. The compartments are sized to hold a volume of fluid and thereby inhibit a flow of fluid contained therein to any other of the compartments. 」
(当審訳)
「[0032] 容器12の下側の3分の2には、側壁21及び22との間に延び、底部18と接合され、キャビティ24の下部(図4)を、異なる大きさであってもよいように2つに分割する、中心垂直分離手段32が設けられている。これらの2の部分は、それぞれ、中央仕切り32と側壁23及び20との間に延在し、底部18に合流する垂直分離手段33、34、35(図7)で分割されている。分離手段32、33、34、35は、キャビティ24の下部を別個の区画36、37、38、39、40に分割する。ピペットチップ7は、チップホルダ10に配置されると分離手段が複数のピペットチップ7の底部を分離する。ピペットチップ7の底部は、使用中にピペットチップの使用中に液体中に浸漬されているピペットチップ7の部分である。つまり、ピペットチップ7の底部は、その外表面が先端7の使用中に湿潤される部分である。
[0033] 分離手段32、33、34、35は、容器12にシール状態で接続され、区画は、それらの側部及び底部に沿って密封することによりリザーバ36、37、38、39、40が形成されるようになっている。コンパートメントは、ある体積の流体を保持し、その中に含まれる流体の流れを阻害する任意の他の区画の大きさとされている。」


(エ)「[0036] Within the second cavity of lid member 14 (FIG. 12) is provided a central divider 70 that extends between side walls 47 and 48, and joins with top member 50 to divide the cavity into two. These are further divided by sub-dividers 71 and 72, 73 that extend between central divider 70 and side wall 46 and 49 respectively, and join with top member 50. Accordingly, the cavity of lid member 14 is divided into separate compartments 75, 76, 77, 78 and 79 thereby preventing contact between adjacent tips as a tip is being inserted into the tip holder by the pipette machine.
[0037] Referring to FIG. 12, top member 50 defines apertures such as holes 80, 81, 82, 83 and 84, each of which is aligned within the boundaries of a compartment. The holes are sized to accommodate a desired size or shape of pipette tip and to suspend the main portion of the tip within the tip box 10. With lid member 14 (FIG. 12) connected to container 12 (FIG. 7), the cavities 51 and 24 communicate with each other and form an internal cavity. Additionally, central divider 70 (FIG. 12) aligns with central divider 32, (FIG. 7) and dividers 71, and 72 and 73 (FIG. 12) align with dividers 35, and 34 and 33 (FIG. 7) respectively. Accordingly, compartments 75, 76, 77, 78 and 79 (FIG. 12) in lid member 14 align with reservoirs 36, 37, 38, 39 and 40 (FIG. 7) respectively in container 12. Thus, each pipette tip suspended from the top member 50 is within the boundaries of its own compartment-reservoir combination and is thereby shielded from contact with the fluid of adjacent pipette tips. In the illustrated embodiment, holes 80 and 81 and corresponding compartment-reservoir combinations 75-36 and 76-37 are sized to accommodate a larger pipette tip, such as a 5 mL tip; whereas, holes 82, 83 and 84 and corresponding compartment-reservoir combinations 77-38, 78-39 and 79-40 are sized to accommodate a smaller pipette tip, such as a 1 mL tip. Preferably, the size and the number of pipette tips that the tip holder 10 can accommodate matches the size and the number of tips required to process a given sample. For example, the illustrated embodiment is designed to hold the size and number of tips required for a specific magnetic cell separation process. However, the present invention can be applied to other automated pipetting processes. 」
(当審訳)
「[0036] 蓋部材14の第2のキャビティ(図12)内には、側壁47及び48との間で延び、キャビティを2つに分けるための上部部材50に合流する中央分離手段70が設けられている。これらはまたそれぞれ中央分離手段70と側壁46および49の間に延在するサブ分離手段71、72、73によって分割されており、上部部材50と結合している。先端がピペット機によりチップホルダに挿入されるとき、蓋部材14の空洞部は、分離コンパートメント(separate compartments)75、76、77、 78、79に分割することにより、隣接する先端部との間の接触を防止することができる。
[0037] 図12を参照すると、上部部材50は、孔80、81、82、83及び84のような開口を画定しており、各孔は、区画の境界の内側に整列されている。孔はピペットチップの所望の大きさまたは形状に対応するように形成されており、チップボックス10内でチップの要部を係止するように形成されている。容器12(図7参照)に連結される蓋部材14(図12)と、空洞51および24が連通して内部キャビティを形成している。加えて、中央分離手段70(図12)は中央分離手段32(図7)と整合し、分離手段71、72、73(図12)は、それぞれ分離手段35、34、33(図7)と整合している。そして、蓋部材14の区画75、76、77、78、79(図12)が、容器12内で、それぞれリザーバ36、37、38、39、40(図7)と整合する。上部部材50から垂設された各ピペットチップが自身の区画リザーバの組み合わせの境界内にあり、それにより隣接するピペットチップの流体との接触から遮蔽される。図示された実施形態では、孔80及び81とそれに対応する区画リザーバの組み合わせ75-36と76-37は、5mlチップのようなより大きなチップを収容するために寸法決めされており、一方、孔82、83及び84とその区画リザーバの組み合わせ77-38、78-39及び79-40は、1mlチップのようなより小さいチップを収容するために寸法決めされている。サイズとチップホルダー10に収容可能なピペットチップの数は、寸法および所与のサンプルを処理するのに必要なチップの数と一致する。例えば、図示の実施形態は、特定の磁気セル分離プロセスのために必要とされるチップの大きさや数を保持するように設計されている。が、本発明は他の自動分注処理に適用することができる。」

(オ)図1には、以下の図面が示されている。


(カ)図7には、以下の図面が示されている。


(キ)図12には、以下の図面が示されている。


カ 引用文献3に記載された発明の認定
上記オ(ア)?(キ)を含む引用文献3の記載を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「ピペットチップボックスであって、
容器12と蓋部材14のようなチップ支持部材で構成され、
容器12の下側の3分の2には、側壁21及び22との間に延び、底部18と接合され、キャビティ24の下部を、異なる大きさであってもよいように2つに分割する、中心垂直分離手段32が設けられており、これらの2つの部分は、それぞれ、中心分離手段32と側壁23及び20との間に延在し、底部18に合流する垂直分離手段33、34、35で分割されており、分離手段32、33、34、35は、キャビティ24の下部を別個の区画36、37、38、39、40に分割するものであり、区画は、それらの側部及び底部に沿って密封することによりリザーバ36、37、38、39、40が形成されており、
蓋部材14は、孔80、81、82、83及び84のような開口を画定する上部部材50を含み、孔は、チップボックス10内でチップの要部を係止するものであり、
孔80及び81とそれに対応する区画リザーバの組み合わせ75-36と76-37は、5mlチップのようなより大きなチップを収容するために寸法決めされており、一方、孔82、83及び84とその区画リザーバの組み合わせ77-38、78-39及び79-40は、1mlチップのようなより小さいチップを収容するために寸法決めされている、
ピペットチップボックス。」


(2)本願発明と引用発明1との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(ア) 引用発明1の「サンプリング用ノズル」が「装着」する「ノズルチップ」、及び、「液体吸引廃棄用ノズル」が「装着」する「ノズルチップ」は、本願発明の「第1形式のピペット先端部」、及び、「第2形式のピペット先端部」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明の当該複数の「ノズルチップを載置するチップラック」と、本願発明の「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラック」とは、「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを保持するラック」という点で共通する。

(イ) 上記(1)ア(エ)及び(オ)の図面より、引用発明の「チップラック」には、複数の「サンプリング用ノズル」及び「液体吸引用ノズル」に「装着」する「ノズルチップ」の複数の列が配置されるものであることが明らかであるから、引用発明の当該「ノズルチップ」の複数の列が「チップラック」に配置されることと、本願発明の「1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ることとは、「前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部の列が、当該ラック内に複数の列として配置され」る点で共通する。

(ウ) 引用発明1の「ノズルチップ」が、「チップラック」に「載置」されるためには、当該「ノズルチップ」を着座(載置)させるための何らかの着座領域が必要であることは明らかであるから、引用発明1の「チップラック」に「ノズルチップ」を「載置」するための構成と、本願発明の「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ」ることとは、「ピペット先端部を着座させる着座領域が設けられ」る点で共通する。

(エ) したがって、本願発明と引用発明1とは、
(一致点1)
「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを保持するラックであって、
前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部の列が、当該ラック内に複数の列として配置され、
ピペット先端部を着座させる着座領域が設けられる、
ラック。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「複数の第1形式のピペット先端部」及び「複数の第2形式のピペット先端部」を「保持」することについて、本願発明は、「ピペット先端部を収容する複数のチャンバ」を有し、当該「複数のチャンバ」は、「個々のピペット先端部が個別にチャンバに収容されるように独立」したものであるのに対して、引用発明1は、そのような構成を有するものか不明である点。

(相違点2)
「第1形式のピペット先端部」と「第2形式のピペット先端部」の「形式」について、本願発明は、「前記第2形式のピペット先端部が、前記第1形式のピペット先端部よりも短寸であり且つ第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられる」ものであるのに対して、引用発明1は、そのような構成を有するものか不明である点。

(相違点3)
「第1形式のピペット先端部」及び「第2形式のピペット先端部」の配置関係について、本願発明は、「1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ているのに対して、引用発明1は、そのような構成を有しない点。

(相違点4)
本願発明は、「前記第1形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔及び前記第2形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔を具備し、該貫通ボア孔が前記チャンバと連通し」ているのに対して、引用発明1は、そのような構成を有するものか不明である点。

(相違点5)
「着座領域」について、本願発明は、「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ、前記第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ものであるのに対して、引用発明1は、そのような構成を有しない点。


イ 判断
上記(相違点5)について検討する。
引用文献2には、上記(1)エで示したとおり、「ノズルチップを自動的に装着して分注を行う自動分注装置に関するチップラックであって、大サイズのノズルチップ100用の収容孔と小サイズのノズルチップ用の収容孔を有しており、これら大小の収容孔は、決まった配列関係で設けられている、チップラック」が記載されており、引用文献3には、上記(1)カで示したとおり、「ピペットチップボックスであって、容器12と蓋部材14のようなチップ支持部材で構成され、容器12の下側の3分の2には、内側壁21及び22との間に延び、底部18と接合され、キャビティ24の下部を、異なる大きさであってもよいように2つに分割する、中心垂直分離手段32が設けられており、これらの2つの部分は、それぞれ、中心分離手段32と側壁23及び20との間に延在し、底部18に合流する垂直分離手段33、34、35で分割されており、分離手段32、33、34、35は、キャビティ24の下部を別個の区画36、37、38、39、40に分割するものであり、区画は、それらの側部及び底部に沿って密封することによりリザーバ36、37、38、39、40が形成されるようになっており、蓋部材14は、孔80、81、82、83及び84のような開口を画定する上部部材50を含み、孔は、チップボックス10内でチップの要部を係止するものであり、孔80及び81とそれに対応する区画リザーバの組み合わせ75-36と76-37は、5mlチップのようなより大きなチップを収容するために寸法決めされており、一方、孔82、83及び84とその区画リザーバの組み合わせ77-38、78-39及び79-40は、1mlチップのようなより小さいチップを収容するために寸法決めされている、ピペットチップボックス」が記載されており、また、周知文献8(第7頁第2行?第11行、図1?図2)には、大小異なる径の孔を交互配置したラックが開示されているのみである。
しかしながら、上記いずれの文献にも、「ピペット先端部を着座させる着座領域が各貫通ボア孔の周辺に設けられ、第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ことは記載されておらず、引用発明1において、上記引用文献2?3及び周知文献8に記載の技術を採用しても、上記(相違点5)の構成とはならない。
また、引用発明1において、上記(相違点5)の構成を採用することは、単なる設計的事項ともいえない。
したがって、上記(相違点5)に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、引用発明1及び引用文献2?3、周知文献8に記載の技術より、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ 小括
よって、本願発明は、その余の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用発明1及び引用文献2?3、周知文献8に記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。


(3)本願発明と引用発明2との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明2とを対比する。

(ア) 引用発明2の「大サイズのノズルチップ」、「小サイズのノズルチップ」、「収容孔」は、本願発明の「第1形式のピペット先端部」、「第2形式のピペット先端部」、「チャンバ」に相当する。
また、上記(1)ウ(ウ)の図面より、引用発明2の「チップラック」が、複数の「大サイズのノズルチップ」及び「小サイズのノズルチップ」を収容するものであり、小サイズのノズルチップは大サイズのノズルチップよりも短寸で、少量の液体を分注するためのものであることが明らかである。
したがって、引用発明2の「大サイズのノズルチップ」及び「小サイズのノズルチップ」を収容する「収容孔」を設けた当該「チップラック」は、本願発明の「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、前記第1形式のピペット先端部よりも短寸であり且つ第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラック」に相当する。

(イ) 上記(1)ウ(ウ)の図面より、引用発明2の「チップラック」における個々の「ノズルチップ」を収容する「収容孔」は、個別の独立したものであることが明らかである。
そして、引用発明2の「大小の収容孔」は「決まった配列関係で設けられている」ものであるから、引用発明2の当該「チップラック」における「収容孔」の配置構成と、本願発明の「前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ることとは、「前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、決まった配列関係で配置されて」いる点で共通する。

(ウ) 上記(1)ウ(ウ)の図面より、「ノズルチップ」のそれぞれが、「チップラック」の「収容孔」に収容されるためには、当該「ノズルチップ」を着座させるための何らかの着座領域が必要であることは明らかであるから、引用発明2の「チップラック」の「収容孔」に「ノズルチップ」を収容するための構成と、本願発明の「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ」ることとは、「ピペット先端部を着座させる着座領域が設けられ」る点で共通する。

(エ) したがって、本願発明と引用文献2とは、
(一致点2)
「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、前記第1形式のピペット先端部よりも短寸であり且つ第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラックにおいて、
前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、決まった配列関係で配置されており、
ピペット先端部を着座させる着座領域が設けられる、
ラック。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点6)
「ピペット先端部」の「配置」について、本願発明は、「1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ているのに対して、引用発明2は、そのような構成を有しない点。

(相違点7)
本願発明は、「前記第1形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔及び前記第2形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔を具備し、該貫通ボア孔が前記チャンバと連通し」ているのに対して、引用発明2は、そのような構成を有するものかどうか不明である点。

(相違点8)
「着座領域」について、本願発明は、「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ、前記第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ものであるのに対して、引用発明2は、そのような構成を有しない点。

イ 判断
上記(相違点8)について検討する。
引用文献1には、上記(1)イで示したとおり、「チップラックであって、サンプリング用及び液体吸引廃棄用ノズルが合計2列に並んでいるアームヘッドを用い、異なる寸法・形状のディスポーザブルチップを配置する場合、チップラックの形状・寸法を勘案し、各ノズルが反応容器やチップラックと干渉しないように寸法・形状を決定することが重要であるものであり、右側のサンプリング用ノズル2を用いる場合は、チップラックに載置されたノズルチップを左側から順次装着することで、目的列のノズルチップをサンプリング用ノズル2に装着し、左側の液体吸引廃棄用ノズル1を用いて液体の吸引廃棄を行う場合は、チップラックの向かって右端からノズルチップを順次装着することで、目的列のノズルチップを液体吸引廃棄用ノズル1に装着するように構成された、チップラック」が記載されている。
また、引用文献3には、上記(1)カで示したとおりのものが記載されており、周知文献8には、上記(2)イでしたとおりのものが記載されている。
しかしながら、上記いずれの文献にも、「ピペット先端部を着座させる着座領域が各貫通ボア孔の周辺に設けられ、第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ことは記載されておらず、引用発明2において、上記引用文献1、3及び周知文献8に記載の技術を採用しても、上記(相違点8)の構成とはならない。
また、引用発明2において、上記(相違点8)の構成を採用することは、単なる設計的事項ともいえない。
したがって、上記(相違点8)に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、引用発明2及び引用文献1、3、周知文献8に記載の技術より、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ 小括
よって、本願発明は、その余の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用発明2及び引用文献1、3、周知文献8に記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。


(4)本願発明と引用発明3との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明3とを対比する。

(ア) 引用発明3の「5mlチップのようなより大きなチップ」、「1mlチップのようなより小さいチップ」は、本願発明の「第1形式のピペット先端部」及び「第2形式のピペット先端部」にそれぞれ相当する。
また、引用発明3の「分離手段」で「分割」された「リザーバ36、37、38、39、40」は、各「チップ」を「収容」するものであるから、本願発明の「複数のチャンバ」に相当する。
したがって、引用発明3の当該「リザーバ36、37、38、39、40」に「5mlチップのようなより大きなチップ」及び「1mlチップのようなより小さいチップ」を「収容」した「ピペットチップボックス」と、本願発明の「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、前記第1形式のピペット先端部よりも短寸であり且つ第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラック」とは、「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラック」という点で共通する。

(イ) 引用発明3の「リザーバ36、37、38、39、40」は、それぞれが「分離手段」で分離されたものであり、また、上記(1)オ(オ)?(キ)の図面より、複数の「大きなチップ」及び複数の「小さなチップ」を「収容」する「リザーバ」が、それぞれ列(リザーバ36、37の列と、リザーバ38、39、40の列)をなして配置されていることが明らかである。
したがって、引用発明3の「ピペットチップボックス」における当該「リザーバ」及び各「チップ」の配置関係と、本願発明の「前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ることとは、「前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、当該ラック内に複数のチャンバの列が配置され」ている点で共通する。

(ウ) 引用発明3の「孔」は、本願発明の「貫通ボア孔」に相当する。
そして、引用発明3の各「孔」は、「それに対応する区画リザーバの組み合わせ」により、各「チップ」をそれぞれ「収容」するためのものであるから、引用発明3の「孔」と「リザーバ」からなる構成は、本願発明の「前記第1形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔及び前記第2形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔を具備し、該貫通ボア孔が前記チャンバと連通」することに相当する。

(エ) 引用発明3の「蓋部材」は、「孔」を備えた「上部部材」を含むものであり、この「孔」は「チップを収容」し、かつ、「チップの要部を係止するもの」であるから、引用発明3の「チップの要部を係止する」ために設けられる「上部部材」の「孔」の周辺領域が、本願発明の「着座領域」に相当し、引用文献3の「上部部材」の「孔」の周辺に当該周辺領域が設けられることは、本願発明の「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ」ることに相当する。

(オ) したがって、本願発明と引用発明3とは、
(一致点3)
「少なくとも、複数の第1形式のピペット先端部と、複数の第2形式のピペット先端部とを収容する複数のチャンバを具備する複数のピペット先端部を保持するラックであって、前記第2形式のピペット先端部が、第1形式のピペット先端部により分注されるよりも少量の液体を分注するために用いられるラックにおいて、
前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し、当該ラック内に複数のチャンバの列が配置され、
前記第1形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔及び前記第2形式の複数のピペット先端部の夫々に対する貫通ボア孔を具備し、該貫通ボア孔が前記チャンバと連通し、
ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられる、
ラック。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点9)
「ピペット先端部」の「第1形式」と「第2形式」について、本願発明は、「第2形式のピペット先端部が、第1形式のピペット先端部よりも短寸」であるのに対して、引用発明3は、そのような構成を有するものか不明である点。

(相違点10)
「ピペット先端部」の「配置」について、本願発明は、「1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び前記第2形式のピペット先端部が交互配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」ているのに対して、引用発明3は、そのような構成を有しない点。

(相違点11)
「着座領域」について、本願発明は、「前記第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ものであるのに対して、引用発明3は、そのような構成を有しない点。

イ 判断
上記(相違点11)について検討する。
引用文献1には、上記(1)イで示したとおりのものが記載されており、引用文献2には、上記(1)エで示したとおりのものが記載されており、周知文献8には、上記(2)イで示したとおりのものが記載されている。
しかしながら、上記いずれの文献にも、「第2形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域は、前記第1形式のピペット先端部を着座させる前記着座領域と比較して高位とされる」ことは記載されておらず、引用発明3において、上記引用文献1?2及び周知文献8に記載の技術を採用しても、上記(相違点11)の構成とはならない。
また、引用発明3において、上記(相違点11)の構成を採用することは、単なる設計的事項ともいえない。
したがって、上記(相違点11)に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、引用発明3及び引用文献1?2、周知文献8に記載の技術より、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ 小括
よって、本願発明は、その余の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用発明3及び引用文献1?2、周知文献8に記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。


3 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1?3、及び、引用文献1?3に記載の技術、並びに、周知文献8に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願の請求項2?9に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるから、本願発明と同様に、引用発明1?3、及び、引用文献1?3に記載の技術、並びに、周知文献8に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。


第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1) 本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。



ア 請求項1には、「当該ラック内に各列において交互配置的な複数の列にて格納され」と記載されているが、この記載のみでは、一列の中で第1形式のピペットと第2形式のピペットが交互配置され、交互配置された当該列が複数あることを意図しているのか、それとも、第1形式のピペットのみからなる列と、第2形式のピペットのみからなる列とが、交互に複数配置されることを意図しているのかが、不明確である。

イ 請求項1において、「チャンバ」と「貫通ボア孔」との相互関係、及び、それぞれのラック内における配置が何ら特定されていないため、「チャンバ」と「貫通ボア孔」との関連性が不明確であり、その結果、「着座領域」が具体的にどこの部分を指し示すことになるのか、不明確となっている。

ウ 請求項1には、「チャンバが独立し」と記載されているが、当該記載が、個々のピペット先端部がそれぞれ個別のチャンバに収容されていることを意味するのか、第1形式のピペット先端部を収容するチャンバと第2形式のピペット先端部を収容するチャンバが別体であることを意味するのか、チャンバがラックから分離可能であることを意味するのか、不明瞭である。

エ 請求項1に従属する他の請求項も、上記1?3の記載不備を有することになる。

(2) この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。



段落【0054】?【0055】、【0057】、【0063】?【0065】、【0068】?【0070】、【0076】の図面の番号に多数の誤記が見られる。


2 当審拒絶理由の判断
(1) 上記1(1)の拒絶理由について
平成28年9月1日に提出された手続補正書によって、請求項1において、「前記チャンバが独立し」との記載が、「前記チャンバは、個々のピペット先端部が個別のチャンバに収容されるように独立し」と補正され、「前記第1形式のピペット先端部及び第2形式のピペット先端部が、当該ラック内に各列において交互配置的な複数の列にて格納され」との記載が、「1つの列の中に前記第1形式のピペット先端部及び第2形式のピペット先端部が交互に配置され、当該ラック内に複数の前記列が配置され」と補正され、「該貫通ボア孔が前記チャンバと連通」することが特定され、「前記各貫通ボア孔は、ピペット先端部を着座させる着座領域を具備し」との記載が、「ピペット先端部を着座させる着座領域が前記各貫通ボア孔の周辺に設けられ」と補正された。
したがって、請求項1?9に係る発明は、明確となった。

(2) 上記1(2)の拒絶理由について、
平成28年9月1日に提出された手続補正書によって、段落【0054】?【0055】、【0057】、【0063】?【0065】、【0068】?【0070】、【0076】の図面の番号が補正された。
したがって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?9に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとなった。

よって、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。


第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-10-25 
出願番号 特願2010-272476(P2010-272476)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01N)
P 1 8・ 121- WY (G01N)
P 1 8・ 536- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 勇▲高▼見 重雄  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
田中 洋介
発明の名称 組み合わせ先端部用ラック  
代理人 大橋 康史  
代理人 前島 一夫  
代理人 島田 哲郎  
代理人 青木 篤  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 三橋 真二  

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