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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1320855
審判番号 不服2015-1985  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-02 
確定日 2016-11-18 
事件の表示 特願2013-541191「トレイデバイスおよび結晶膜成長装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月 7日国際公開,WO2012/071929,平成26年 1月 9日国内公表,特表2014-500626,請求項の数(26)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2011年(平成23年)9月20日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2010年12月1日,2011年3月11日,中国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年 7月17日 審査請求・特許法184条の4第1項の規定による翻訳文提出
平成25年 7月24日 手続補正書
平成25年 8月21日 手続補正書
平成25年10月21日 手続補正指令書
平成25年11月14日 上申書
平成26年 5月 8日 拒絶理由通知
平成26年 8月11日 期間延長請求書
平成26年 9月11日 意見書・手続補正書
平成26年10月 8日 拒絶査定
平成27年 2月 2日 審判請求・手続補正書
平成28年 7月 8日 補正の却下の決定
(平成27年2月2日付け手続補正書でした補正を却下する。)
平成28年 7月 8日 拒絶理由通知
平成28年10月11日 意見書・手続補正書


第2 本願発明について

平成28年10月11日付け手続補正書による補正は,補正前の特許請求の範囲の請求項1の末尾における「を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。」との記載を,「を特徴とするトレイデバイス。」に補正するもので,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるから,上記手続補正書による補正は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する,適法なものと認める。
そうすると,本願に係る発明は,上記手続補正書により補正された,特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載の以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
処理される基板を保持するように構成されるトレイデバイスであって,
縦方向に積重ねられた複数のトレイを含み,前記各トレイはリング状構造であり,このリング状構造の本体部分上に処理予定の複数の基板を配置可能であり,2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在し,
前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が,最下の層のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,および,
前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凹部分が,前記最下のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凹部分に嵌合する第2の凸部分が,その背面上に前記第1の凹部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,または,これらのいずれかが行われ,
前記隣接するトレイは,前記第1の凸部分と前記第2の凹部分との間の嵌合および前記第2の凸部分と前記第1の凹部分との間の嵌合またはこれらのいずれかによって,該隣接するトレイ間に一定の距離がある状態で重ねられること
を特徴とするトレイデバイス。
【請求項2】
前記トレイの数が少なくとも4であるとき,最上の層のトレイおよび前記最下の層のトレイは,基板を保持しないアクセサリトレイとして働くこと
を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。
【請求項3】
前記トレイの材料は,グラファイト,モリブデン,又はモリブデン合金を含むこと
を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。
【請求項4】
前記トレイは,グラファイトから作られ,
前記トレイの表面は,SiCでコーティングされること
を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。
【請求項5】
保持され得る基板の材料は,サファイア,Ge,GaAs,GaN,SiC,ZnOまたはSiを含むこと
を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。
【請求項6】
同期回転運動または独立回転運動を行うように各トレイを駆動するための回転機構をさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。
【請求項7】
プロセスチャンバー,プロセスガス送出システムおよび排気システムを含む結晶膜成長装置であって,請求項1?6のいずれかに記載のトレイデバイスが,プロセス中に基板を保持するために前記プロセスチャンバー内に配置されること
を特徴とする結晶膜成長装置。
【請求項8】
前記プロセスガス送出システムは,前記プロセスチャンバーの縁部分に配置され,
前記プロセスガス送出システムは,プロセスガス入口およびプロセスガス出口を含み,
前記プロセスガス入口は,前記プロセスチャンバーの外側から前記プロセスガス送出システム内に前記プロセスガスを導入し,前記プロセスガス送出システム内の前記プロセスガスは,前記プロセスガス出口を介して前記プロセスチャンバーに入り,前記トレイデバイスによって保持される各基板に達すること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項9】
前記トレイはリング状であり,
前記プロセスガス送出システムは,前記トレイが積重ねられる方向に沿って前記積重ねられたトレイの中空部分を通して貫通し,
前記プロセスガス送出システムは,プロセスガス入口およびプロセスガス出口を含み,
前記プロセスガス入口は,前記プロセスチャンバーの外側から前記プロセスガス送出システム内に前記プロセスガスを導入し,
前記プロセスガス送出システム内の前記プロセスガスは,前記プロセスガス出口を介して前記プロセスチャンバーに入り,前記トレイデバイスによって保持される各基板に達すること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項10】
各トレイに対応するプロセスガス出口が,前記プロセスガスが各トレイに直接出力されるように,前記プロセスガス送出システム上に配置されること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項11】
前記プロセスガスを冷却するための水冷チューブが,同様に前記プロセスガス送出システム内に配置されること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項12】
前記プロセスガス送出システム内に,プロセスガス補充(compensating)通路が,前記プロセスガスの輸送を補助するために更に配置されること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項13】
前記プロセスガス送出システム内に,ガス誘導デバイスおよび複数のプロセスガス送出チューブが配置され,
前記ガス誘導デバイスは,複数のフィンを含み,
前記複数のフィンは,前記トレイが積重ねられる方向に沿って上から下へ順次配置されること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項14】
前記プロセスガス送出チューブが通過するために使用される貫通穴が,前記フィン上に配置され,
各プロセスガス送出チューブについて,前記プロセスガス送出チューブが通過するために使用される貫通穴は,前記出口の下の前記フィン上のみに配置され,
前記複数のプロセスガス送出チューブは,各貫通穴を通過して,前記トレイが積重ねられる方向に沿って延在し,
各プロセスガス送出チューブから流出する前記プロセスガスは,前記出口の上のフィンに衝突して,流れる方向が変化し,最終的に,対応する前記トレイの表面に達すること
を特徴とする請求項13に記載の結晶膜成長装置。
【請求項15】
前記フィンの数と前記トレイの数とが同じであること
を特徴とする請求項13に記載の結晶膜成長装置。
【請求項16】
冷却手段が,前記プロセスガス送出システム内に配置され,
前記冷却手段は,水冷アウターチューブおよび該水冷アウターチューブの内部に配置された水冷インナーチューブを含み,
冷却流体が,前記水冷インナーチューブを介して前記冷却手段に入り,前記水冷アウターチューブ上に設けられた出口を介して放出されること
を特徴とする請求項13に記載の結晶膜成長装置。
【請求項17】
前記複数のフィンは,前記水冷アウターチューブの外壁上に配置されること
を特徴とする請求項16に記載の結晶膜成長装置。
【請求項18】
パージガスで前記プロセスチャンバーを清浄化するためのパージガス入口をさらに含むこと
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項19】
雰囲気を遮断するためにチャンバー内壁およびチャンバー外壁をさらに含み,
前記チャンバー内壁は,前記プロセスチャンバーおよび前記チャンバー外壁によって囲まれたキャビティ部分を形成するように周囲を囲み,
前記チャンバー内壁は,パージガス通路を形成すること
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項20】
誘導加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項21】
前記プロセスガス送出システムおよび前記誘導加熱器またはこれらのいずれかに対して回転するように前記トレイデバイスを駆動するための回転機構をさらに含むこと
を特徴とする請求項20に記載の結晶膜成長装置。
【請求項22】
前記回転機構は,前記トレイデバイスに接続され,前記回転機構の回転軸の周りに回転するよう前記トレイデバイスを駆動して,各トレイ上の異なる位置の温度および/または空気流を均一にすること,
前記回転機構は,前記プロセスガス送出システムに接続され,前記回転機構の回転軸の周りに回転するよう前記プロセスガス送出システムを駆動して,各トレイ上の異なる位置の温度および空気流またはこれらのいずれかを均一にすること,および
前記回転機構は,前記誘導加熱器に接続され,前記回転機構の回転軸の周りに回転するよう前記誘導加熱器を駆動して,各トレイ上の異なる位置の温度および空気流またはこれらのいずれかを均一にすること,
またはこれらの少なくとも1つを行うこと
を特徴とする請求項21に記載の結晶膜成長装置。
【請求項23】
前記排気システムは,
1m/s以上でかつ30m/s以下の速度で前記プロセスチャンバーからガスを圧送するためのポンピング機構を含むこと
を特徴とする請求項7に記載の結晶膜成長装置。
【請求項24】
前記プロセスチャンバーと前記排気システムとの間に配置され,幾つかの貫通穴を介して前記プロセスチャンバーに連通するフィルターチャンバーをさらに含むこと
を特徴とする請求項7に記載結晶膜成長装置。
【請求項25】
前記フィルターチャンバーは,
複数の積重ねられたフィルターベースプレートを含み,
各フィルターベースプレートは,多孔質材料で作られ,該フィルターベースプレート上に,複数の貫通穴が設けられること
を特徴とする請求項24に記載の結晶膜成長装置。
【請求項26】
前記フィルターベースプレートは,グラファイトで作られ,
前記フィルターベースプレートの表面は,SiCでコーティングされ,
隣接するフィルターベースプレート上の貫通穴は,互いに変位すること
を特徴とする請求項25に記載の結晶膜成長装置。」


第3 拒絶査定について

1 拒絶査定の概要
平成26年10月10日付けでした拒絶査定の概要は,以下のとおりである。
[拒絶査定の概要]
この出願については,平成26年5月8日付け拒絶理由通知書に記載した,下記の理由によって,拒絶をすべきものである。
理由
・この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
・この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

本願の請求項1に係る発明の発明特定事項と引用文献1に記載された発明の発明特定事項との間に差異はなく,そうでないとしても,請求項1に係る発明は,引用文献2記載の発明に,引用文献1記載の発明を適用することにより,又は引用文献1記載の発明に,引用文献2記載の発明を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものである。
そして,本願の請求項2ないし16,18,及び20ないし26の各請求項に係る発明は,引用文献1記載の発明と同一であるか,又は引用文献1ないし6に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。

引用文献等一覧
引用文献1 特開2003-113473号公報
引用文献2 特開平8-330397号公報
引用文献3 特開平9-330884号公報
引用文献4 実願平3-074584号(実開平5-019352号)のCD-ROM
引用文献5 米国特許第4421786号明細書
引用文献6 特開2000-208425号公報

2 引用文献の記載と引用発明
(1)引用文献1の記載と引用発明1
ア 引用文献1について
本願の優先権主張の日(以下「本願優先日」という。)前に国内において頒布された刊行物である,特開2003-113473号公報(以下「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(当審注.下線は当審において付加した。)
(ア)「【0010】
【発明の実施の形態】図1乃至2を参照するに,本発明の実施態様にしたがうCVDコーティング装置は,高温のCVDコーティング温度で蒸留器12を加熱するために使用される,概略的に示された耐火物が並べられた加熱炉14に配置するように適合されたリアクター若しくは蒸留器12を含む。炉14は電気抵抗であるか,若しくは別の既知型の炉である。コーティングされる金属基板SBは,蒸留器12に位置しているコーティングリアクターチャンバー20に配置され,加熱された蒸留器の壁からの照射によって加熱される。
・・・
【0012】蒸留器蓋16は,反応的なコーティングするガスが下記に記載されるリアクター20の軸ガスの予熱及び分配導管18に供給される中央のコーティングガス入り口導管22を含んでいる。導管18は内部軸ガス予熱導管52を含んでいる。コーティングリアクターチャンバー20は,蒸留器の異なる軸の高さで,コーティングガス予熱及び分配パイプ若しくは導管18に関して配置されている,複数の個別の環状コーティング帯域24a,24b,24c(図2)を含む。図2を参照するに,コーティングされる基板SBはコーティング帯域24a,24b,24cのトレイ28に配置されている。トレイ28はコーティング帯域24a,24b,24cを閉じる。制限ではなく例証する目的において,発明に少数若しくは多数のコーティング帯域を実際上使用することができるために,コーティング帯域は上に重なって配置されて示されている。」
(イ)「【0030】コーティングガスの流れSTが一旦所望の反応若しくはコーティング温度に到達すると,本発明の実施態様は,コーティングチャンバー20のコーティング帯域24a,24b,24c内に予熱されたコーティングガスの流れのより一定の分配を提供する改良型コーティング分配システムを提供する。
【0031】特に,予熱及び分配導管18は,パイプ若しくは導管18に関するはっきりした環状のコーティング帯域24a,24b,24cをその間に確定する環状の基板サポートトレイ28により軸方向に延在する。パイプ若しくは導管18は,各コーティング帯域の高さの中点値で,各コーティング帯域へ予熱されたコーティングガスの流れを排出する複数の周辺に間隔が置かれたガス放電空孔若しくは開口部を含んでいる。各コーティング帯域での開口部62の数は所望によって変更できる。11/2インチの導管18の直径及びトレイ28間が6インチの軸の間隔において,3つ以上の開口部62が導管18に提供される。コーティング帯域24a,24b,24cでの開口部62のエリア(例えば,孔の数)は,導管18から各コーティング帯域に等しいコーティングガスの流れを提供するために体系的に変化される。典型的に,コーティング帯域24aでの開口部62の数はコーティング帯域24bでの開口部の数よりも大きく,コーティング帯域24bでの開口部62の数はコーティング帯域24cでの開口部の数よりも大きい。例えば,コーティング帯域24aでの孔の数は10で,コーティング帯域24bでの孔の数は8で,コーティング帯域24cでの孔の数は6である。
【0032】導管52はまた,導管52の長さに沿ってコーティングガスを排出するためのより低い主要なコーティングガス排出開口部52a上に一つ以上のブリード開口部(bleed openings)52bを含む。例えば,一つのブリード開口部52bはコーティング帯域24bに位置し,一つのブリード開口部52bはコーティング帯域24a,24b,24c内にコーティングガスの一般的に等しい流れを提供することを支援するためにコーティング帯域24cに位置している。一つのブリード開口部52bが各コーティング帯域24b,24cの上部領域の各コーティング帯域24b及び24cに示されているが,一つ以上のブリード開口部はコーティング帯域24a,24b,24c内のコーティングガスの流れを一般的に一定にするために必要とされるようにコーティング帯域24a,24b,24cでの同一若しくは異なる位置にて提供できる。ブリード開口部52bから排出されるコーティングガスは導管18で上方に向かって流れる。0.125インチの直径を各々有するブリード開口部52bは,ここに記載された大きさを有する導管18,52との使用において提供できる。
【0033】環状トレイ28は,直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲及び直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で軸方法に離れて間隔が置かれる。スペーサー壁64は,トレー28上で溶接されるかそうでなければ提供されるリング67の保持によりパイプ若しくは導管18に関して対称的に位置する。トレイ28は,トレイ28がパイプ若しくは導管26に関して対称的に位置する同様な手法で受けるパイプ若しくは導管18の外径に関して等しい内径を有する中央孔28aを含む。トレイ28,スペーサー壁64,及び隔壁66は互いに上部に積層されて,パイプ若しくは導管18の一番低い側面のフランジ18aに支持される。それによって,ガス分配パイプ若しくは導管18,トレイ28,スペーサー壁64及び隔壁66は,コーティングチャンバー20の中央の縦軸に関して対称的に固定される位置で配置される。
【0034】スペーサー壁64は,パイプ若しくは導管18及び壁64との間の各コーティング帯域24a,24b,24cで環状ガスマニホールド68を形成する。各スペーサー壁64は,そのコーティング帯域でパイプ若しくは導管18のガス排出開口部62に反するか若しくは面している。各スペーサー壁64は,パイプ若しくは導管18の開口部62の高さと等しい距離の上下で位置している周辺に分かれて間隔が置かれたガスの流れの開口部65の第一及び第二セットを含む。それによって,各スペーサー壁64は,各コーティング帯域にガス排出開口部62からガスの流れの開口部65までの視線ガス流れ経路(line-of-sight gas flow path)が存在しないような各コーティング帯域でのガス排出開口部62を備えた配列が欠乏している複数のガスの流れの開口部65を備えて提供される。
【0035】制限するためではなく例証する目的において,0.25インチの直径を有する48のガスの流れの開口部65は,導管18が前述に記載の数と直径を含む場合に各コーティング帯域24a,24b,24cにおいて各壁64に提供できる。開口部65のセットの中間にガス分配パイプ若しくは導管18の開口部62を位置することはガスジェットが各コーティング帯域を直接横切って流れることを防ぐ。さらに,各コーティング帯域での壁64の内部のコーティングガスオフ(coating gas off)の偏向は,各コーティング帯域24a,24b,24cの周囲に関するより一定のガスの流れを生成する。
【0036】前述のガス分配システムは,同一のトレイ28の基板SB内及び異なるコーティング帯域の基板内でコーティング構成部分及び小型構成の均一性を改良するためにコーティング帯域24a,24b,24cに一定で反復可能なガスの流れを提供する。
【0037】一旦コーティングガスの流れSTが各コーティング帯域24a,24b,24cでのトレイ28の基板SB上を流れて,本発明のさらなる実施態様は,コーティング帯域でコーティングガスのより一定の流れのパターンを提供するように各コーティング帯域24a,24b,24cへの入り口のコーティングガスの流れと各コーティングガスからの排出のガスの流れとの間のより少ない相互作用を提供するために改良型の費やされたガス排出システムを提供する。
【0038】特に,穿孔された管状の隔壁66は,図1乃至2に示されるようにトレイ28間でその周囲に提供される。管状の隔壁66は,IN-600ニッケル基剤超合金を含み,コーティング帯域24a,24b,24cからの排出ガスが排出される排出開口部66aのパターンを含む。数や大きさ(例えば直径)と同様に開口部66aのパターンは,各コーティング帯域24a,24b,24cで一定なガスの流れのパターンを提供するために選択できる。制限するためではなく例証する目的において,開口部66aの適切なパターンは,各隔壁66が0.375インチの直径を有する各開口部を備える90の開口部66aを含んで,図1に示されている。かかる隔壁66は,基盤SBに形成される拡散アルミニウム化物イオンコーティング(若しくは他のコーティング)の構成及び小型構造の均一化を改良するために各コーティング帯域24a,24b,24cの内部から外部の周囲により一定なガスの流れを提供し,前述に記載のパイプ若しくは導管18の開口部62及びスペーサー壁64の開口部65の直径と数を備えて使用できる。」
(ウ)図2には,コーティングチャンバー20において,開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲,及び排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で,軸方法に離れて間隔が置かれ,上部に積層された複数の環状トレイ28それぞれに,複数のコーティングされる金属基板SBが配置されていることが記載されていると認められる。
イ 引用発明1
上記アより,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「コーティングされる金属基板SBが配置される基板サポートトレイ28であって,
基板サポートトレイ28,スペーサー壁64,及び隔壁66は互いに上部に積層されて,パイプ若しくは導管18の一番低い側面のフランジ18aに支持され,基板サポートトレイ28は,開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲,及び排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で,軸方法に離れて間隔が置かれ,基板サポートトレイ28は環状であり,上部に積層された複数の基板サポートトレイ28それぞれに,複数のコーティングされる金属基板SBが配置されている,基板サポートトレイ28。」

(2)引用文献2の記載と引用発明2
ア 引用文献2について
本願優先日前に国内において頒布された刊行物である,特開平8-330397号公報(以下「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,半導体を製造するための各種の熱処理工程において用いられる熱処理用基板保持具,この保持具を用いた熱処理方法および熱処理装置に係り,特に半導体ウエハの熱処理による応力集中を軽減させ,かつ,半導体ウエハの自重によるスリップの発生を防止するとともに,高さを自由に調節できるようにした熱処理用基板保持具,この保持具を用いた熱処理方法および熱処理装置に関する。
・・・
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように,従来の熱処理用基板保持具では,ウエハの自重がウエハ周縁部の特定の箇所にだけ集中するため,この応力集中がスリップ発生の原因やウエハの変形の原因になるという問題があった。また,支柱の一本を脱着可能と
・・・
【0013】本発明は,かかる従来の問題を解消すべくなされたもので,その,主たる目的は,作業性を損なうことなく,スリップ発生や変形の原因となる基板の縁部へ均等に応力が加わるようにした熱処理用基板保持具を提供することを目的とする。本発明の他の目的は,破損部分だけの補修の可能な熱処理用基板保持具を提供することを目的とする。」
(イ)「【実施例】以下,本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0039】図1は,本発明の一実施例のタイプのボートユニットを示す斜視図,図2はその組み立てられた状態を示す正面図である。
【0040】図1において,ボートユニット1は全体として環状をなしており,その外周縁1aは載置すべきウエハ2(鎖線で示す)の外径よりも大径とされ,内周縁1bはウエハ2の外径よりも小径とされている。また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置される。
【0041】ボートユニット1の下面には外周縁1aに沿って等間隔で支持脚4が突設されている。ボートユニット1の外径および支持脚4の厚さは,ウエハ2を同心的に載置して他のボートユニット1をその上に同心的かつ透孔3の位置が一致するように積み重ねたとき,上のボートユニット1の支持脚4が下のボートユニット1のウエハを囲んでその外側に位置するように設定されている。
【0042】図2は,このようにして8個のボートユニット1のそれぞれにウエハ2を載置して積み重ねた後,透孔3に係止ピン5を挿通して各ボートユニット1を固定した状態を示している。このように組み立てられた熱処理用基板保持具は,縦型熱処理炉などに装入されて熱処理される。
【0043】図3は,本発明の他の実施例のボートユニットを示す斜視図,図4はその組み立て状態における支持脚の部分を拡大して示す断面図である。
【0044】この実施例は,図1,2における透孔3と係止ピン5による固定手段の代わりに,ボートユニットの支持脚4の下面に係合ボス5(当審注.「係合ボス4a」の誤記と認める。)を突設しする一方,その上面にこの係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6を形成した点を除いて,図1,2のボートユニット1と同一構成である。
【0045】この実施例では,図4に示すように,各ボートユニット1の基板載置部に半導体ウエハ2を載置し,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして複数積み重ねて用いられる。積み重ねた後の位置ずれは係合ボス4aが凹部6に嵌合しているので防止される。
【0046】また,図3,4の実施例では,支持脚4の下面に係合ボス4aを突設させ,この係合ボス4aを凹部6に嵌合させているが,図5に示すように,係合ボス4aを設けずに,上面に支持脚4が嵌合する凹部6を形成して,他のボートユニットの支持脚4をこの凹部6に嵌合させて固定するようにしてもよい。」
(ウ)「【0069】
【発明の効果】本発明の熱処理用基板保持具では,基板の自重が周縁部の全体に均一に加わるので応力集中によるスリップの発生やウエハの変形が防止される。また,複数のボートユニットを積層して用いるので,一部が破損しても交換が容易であり処理コストが易くてすみ,また,高さも変えられるので熱処理装置に転用することができる。さらに,本発明の熱処理用基板保持具は積層構造であるため,連続的に熱処理装置に装入して連続作業を行うことができ,生産性を高め,熱の利用効率を向上させることができる。」
(エ)図3及び4には,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして積み重ねられたボートユニット1間に,一定の距離が存在することが記載されていると認められる。
イ 引用発明2
上記アより,引用文献2には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「半導体を製造するための各種の熱処理工程において熱処理される半導体ウエハ2を載置するボートユニット1であって,
各ボートユニット1の基板載置部に半導体ウエハ2を載置し,複数積み重ねて用いられ,
各ボートユニット1は,全体として環状をなしており,その外周縁1aは載置すべき半導体ウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bは半導体ウエハ2の外径よりも小径とされ,また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,半導体ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置され,積み重ねられたボートユニット1間に一定の距離が存在し,
ボートユニット1の支持脚4の下面に係合ボス4aを突設する一方,その上面にこの係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6を形成し,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして複数積み重ねて用いられ,
一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして積み重ねられたボートユニット1間に,一定の距離が存在する,ボートユニット1。」

(3)引用文献3の記載と引用発明3
ア 引用文献3について
本願優先日前に国内において頒布された刊行物である,特開平9-330884号公報(以下「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0021】基板保持治具30は,炭化ケイ素(SiC)で表面が被覆された導電性材料(具体的には,グラファイト)から作製されている。基板保持治具30は,基板32を垂直方向(エピタキシャル成長室の垂直方向の軸線に平行な方向)に複数枚保持し,しかも,各基板32を水平に保持する。
【0022】以上に説明した構造を有するエピタキシャル成長装置において,基板保持治具30に複数の基板32(具体的には,シリコン半導体基板)上に,シリコン単結晶薄膜から成るエピタキシャル層を形成する場合を例にとり,以下,エピタキシャル成長装置の操作を説明する。
【0023】先ず,複数の基板32を載置した基板保持治具30をエピタキシャル成長室10の下方に搬入し,基板保持治具30をリフター(図示せず)の上に乗せる。そして,リフターを上昇させて,基板保持治具30をエピタキシャル成長室10の内室12内に収納する。そして,高周波コイルから成る誘導加熱装置26に高周波電力を印加することによって基板保持治具30に誘導電流を生ぜしめることにより,基板32を例えば1000゜Cに加熱する。これによって,基板32上にエピタキシャル層を成長させることが可能になる。・・・」
(イ)図1及び2には,エピタキシャル成長室10において,複数の基板保持治具30が縦方向に積重ねられ,2つの隣接する基板保持治具30間に一定の距離が存在することが記載されていると認められる。
イ 引用発明3
上記アより,引用文献3には,次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「シリコン単結晶薄膜から成るエピタキシャル層が形成される基板を保持するように構成される基板保持治具30であって,
複数の基板保持治具30が縦方向に積重ねられ,2つの隣接する基板保持治具30間に一定の距離が存在する,基板保持治具30。」

(4)引用文献4の記載と引用発明4
ア 引用文献4について
本願優先日前に国内において頒布された刊行物である,実願平3-074584号(実開平5-019352号)のCD-ROM(以下「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0007】
【実施例】
図1は本考案の一実施例の構成を示す。図において1,2,3,6,9は図3の同一符号と同一または相当するものを示し,5は複数の基板台3を取付けたガス放出管,8はガス放出管5内に反応ガスを導入するためのガス導入管である。
【0008】
図1の左右の両方向からマイクロ波を投入できる空胴共振器のアプリケータ1内に真空気密構造にされたベルジャー2が設置され,ベルジャー2内に複数の基板台3をガス導入管5に取付けて設置され,ガス導入管5の管壁に複数の穴10が設けられており,回転軸4に取付けられて設置され,基板台3が回転軸4の回転とともに回転する構造になっている。
【0009】
ベルジャー2内を10^(-5)Torr程度に排気した後,ベルジャー2の反応ガス供給口から反応ガスをガス導入管8を経てガス放出管5の穴10からベルジャー2内に供給し,管内圧力を10?40Torr程度に調整する。そして,各基板台を4?20r.p.m.程度の回転速度で回転させながら,アプリケータ1内に左右の両方向からマイクロ波を導入し,ベルジャー2内の反応ガスのプラズマを発生させ,基板台3に載置した複数の基板9の表面に物質を析出させる。
(イ)図1には,ベルジャー2において,複数の基板台3が縦方向に積重ねられ,2つの隣接する基板台3間に一定の距離が存在することが記載されていると認められる。
イ 引用発明4
上記アより,引用文献4には,次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「ベルジャー2内に発生させた反応ガスのプラズマにより,表面に物質を析出させる基板を載置する基板台3であって,
複数の基板台3が縦方向に積重ねられ,基板台3に複数の基板9が載置され,2つの隣接する基板台3間に一定の距離が存在する,基板台3。」

(5)引用文献5の記載と引用発明5
ア 引用文献5について
本願優先日前に米国内において頒布された刊行物である,米国特許第4421786号明細書(以下「引用文献5」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(当審注.訳は当審で作成した。)
(ア)「A plurality of planar, circular wafer holders 44--44, each having a substantially annular shaped, resistance heater 45 on the outer periphery thereof, are fixedly mounted in spaced, parallel, relation on the support member 43 and radially extend therefrom. 」(3欄11行ないし16行)
(訳:それぞれが,外周面に温度依存性抵抗ヒータ45を有し,実質的に円環形状に形成された,複数の平らな円形ウェハ装着部44-44は,支持部材43に対し,離間して平行に固定的に取り付けられ,半径方向に延在している。)
(イ)「In operation, a plurality of silicon wafers 13--13 are placed on the electrical resistance heaters 45--45 associated with each of holders 44--44. The heaters 45--45 are activated via an electrical connection (not shown) to the wire pairs 64--64 to heat the wafers 13--13. A carrier gas (e.g., hydrogen), from a source not shown, carrying a silicon source and a dopant is directed into and through the tubes 46, 47 and 48, each tube bringing an individually controlled amount of gas to a different level. The gas then passes through a plurality of apertures 91--91 in the support member 43, across the surface of the wafers 13--13 and out the axisymmetric exhaust member 81 as indicated by the arrows. The gas, upon coming in contact with the heated wafers 13--13, reacts to deposit a doped silicon layer thereon.」(3欄34行ないし48行)
(訳:動作について説明すると,ホルダ44-44それぞれに,関連する電気抵抗ヒータ45-45上に載置されたシリコンウェハ13-13が設けられている。ヒータ45-45は,ワイヤ対64-64への電気的接続(図示せず)を介して起動されて,ウェハ13-13を加熱する。図示しない供給源から,シリコンソースとドーパントを担持した担体ガス(例えば,水素)は,管46,47及び48内を通過して向けられ,各管は,ガスの個々に制御された量を異なるレベルにする。矢印で示すようにガスは,支持部材43の開口部91-91を介して,ウェハ13-13の表面に沿って,軸対称排気部材81を通過する。ガスは,加熱されたウェハ13-13に当接すると,反応してドープされたシリコン層を堆積させる。)
(ウ)図1には,複数のウェハ装着部44が縦方向に積重ねられ,ウェハ装着部44それぞれに複数のウェハ13が配置され,2つの隣接するウェハ装着部44間に一定の距離が存在することが記載されていると認められる。
イ 引用発明5
上記アより,引用文献5には,次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「ドープされたシリコン層が堆積されるシリコンウェハ13を保持するように構成されるウェハ装着部44であって,
複数のウェハ装着部44が縦方向に積重ねられ,各ウェハ装着部44は実質的に円環形状に形成され,複数のシリコンウェハ13が配置され,2つの隣接するウェハ装着部44間に一定の距離が存在する,ウェハ装着部44。」

(6)引用文献6の記載と引用発明6
ア 引用文献6について
本願優先日前に国内において頒布された刊行物である,特開2000-208425号公報(以下「引用文献6」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
「【0025】
【実施例】図2は本発明法を実施する装置の一実施例を示し,この装置は基本的には加熱炉1とウェーハ昇降機構30から構成される。通常のSiC,石英などの反応管(以下「石英反応管」と言う)2は上端が閉じられ,下端が開放した管体であって,その上部外周を取り囲むように設けられ,均熱空間を作り出すヒーター3を断熱材からなる炉体4に固設している。石英反応管2はL字形に曲げられた下端部で炉底構造体37に気密かつ着脱自在に固定され,又支持台6により支持されている。図示の状態では,ウェーハ5はウェーハ昇降機構30により上限位置まで上昇されている。多段に且つ相互間に約5mm以上の間隔を置いて積み重ねられた,直径が8?12インチのウェーハ5はヒーター3により所定温度に加熱される。5’はダミーウェーハであるが,その支持部は図示を省略している。
【0026】ウェーハ昇降機構30は,下方の部材33,34などを防熱するための断熱機能を有するセパレータ31を途中に固定した回転軸体32に,ウェーハ5を上下に隔てて配列する石英ボート18を棚状に配列したものであって,例えば本出願人の特開平9-17739号公報(図8,9)にて公知のものである。この回転軸体32の下端には磁石又はコイル33を取り付け,一方この磁石又はコイル33に回転力を及ぼす別の磁石又はコイル34を上下可動に設けることによって,ウェーハ昇降機構30を上昇・下降させるとともに回転軸体32を回転する。かかる上昇・下降を行うために磁石34などを支持する台35を螺合したロッド36を駆動装置40aにより回転する。」
イ 引用発明6
上記アより,引用文献6には,次の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されていると認められる。
「加熱炉1とともに用いられるウェーハ昇降機構30において,加熱されるウェーハ5を保持する石英ボート18であって,
回転軸体32に棚状に配列され,ウェーハ5を上下に隔てて配列する石英ボート18。」

3 本願発明の新規性及び進歩性についての判断
(1)本願請求項1に係る発明と引用発明との対比・判断
ア 本願請求項1に係る発明と引用発明1との対比・判断
(ア)対比
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」)の構成は,前記第2で認定したとおりであり,以下,本願発明と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1における「コーティングされる金属基板SB」及び「配置される」は,本願発明の「処理される基板」及び「保持するように構成される」に相当すると認められ,引用発明1における「基板サポートトレイ28」は,後述する相違点に係る構成を除き,本願発明の「トレイデバイス」に相当するといえる。
そうすると,引用発明1は,後述する相違点に係る構成を除き,本願発明の「処理される基板を保持するように構成されるトレイデバイス」に相当する構成を備えるといえる。
b 引用発明1における「基板サポートトレイ28,スペーサー壁64,及び隔壁66は互いに上部に積層されて,パイプ若しくは導管18の一番低い側面のフランジ18aに支持され,基板サポートトレイ28は,開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲,及び排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で,軸方法に離れて間隔が置かれ」ることは,後述する相違点に係る構成を除き,本願発明の「縦方向に積重ねられた複数のトレイを含み」,「2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在」することに相当するといえる。
そして,引用発明1における「基板サポートトレイ28は環状であ」ること,及び「上部に積層された複数の基板サポートトレイ28それぞれに,複数のコーティングされる金属基板SBが配置されている」ことは,後述する相違点に係る構成を除き,それぞれ,本願発明の「前記各トレイはリング状構造であ」ること,及び「このリング状構造の本体部分上に処理予定の複数の基板を配置可能であ」ることに,相当するといえる。
c そうすると,本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は,下記のとおりであると認められる。
・一致点
「処理される基板を保持するように構成されるトレイデバイスであって,
縦方向に積重ねられた複数のトレイを含み,前記各トレイはリング状構造であり,このリング状構造の本体部分上に処理予定の複数の基板を配置可能であり,2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在する,トレイデバイス。」
・相違点
本願発明の「トレイデバイス」は,「前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が,最下の層のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,および,前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凹部分が,前記最下のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凹部分に嵌合する第2の凸部分が,その背面上に前記第1の凹部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,または,これらのいずれかが行われ,前記隣接するトレイは,前記第1の凸部分と前記第2の凹部分との間の嵌合および前記第2の凸部分と前記第1の凹部分との間の嵌合またはこれらのいずれかによって,該隣接するトレイ間に一定の距離がある状態で重ねられること」との構成を備えるのに対し,引用発明1における「基板サポートトレイ28」は,上記の構成を備えていない点。
(イ)新規性及び進歩性の判断
a 新規性について
上記(ア)cのとおり,本願発明と引用発明1との間には相違点があると認められるから,本願発明は,引用発明1と同一であるとはいえない。
b 進歩性について
上記2(2)イのとおり,引用文献2には,「半導体を製造するための各種の熱処理工程において熱処理される半導体ウエハ2を載置するボートユニット1であって,各ボートユニット1の基板載置部に半導体ウエハ2を載置し,複数積み重ねて用いられ,各ボートユニット1は,全体として環状をなしており,その外周縁1aは載置すべき半導体ウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bは半導体ウエハ2の外径よりも小径とされ,また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,半導体ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置され,積み重ねられたボートユニット1間に一定の距離が存在し,ボートユニット1の支持脚4の下面に係合ボス5を突設する一方,その上面にこの係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6を形成し,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして複数積み重ねて用いられ,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして積み重ねられたボートユニット1間に,一定の距離が存在する,ボートユニット1。」(引用発明2)が記載されていると認められる。
他方,上記2(1)ア(イ)より,引用発明1は,「コーティングチャンバー20のコーティング帯域24a,24b,24c内に予熱されたコーティングガスの流れのより一定の分配を提供する改良型コーティング分配システムを提供」し(【0030】),また,「コーティング帯域でコーティングガスのより一定の流れのパターンを提供するように各コーティング帯域24a,24b,24cへの入り口のコーティングガスの流れと各コーティングガスからの排出のガスの流れとの間のより少ない相互作用を提供する」(【0037】)ためのもので,「開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64」により,「コーティング帯域24a,24b,24cに一定で反復可能なガスの流れを提供」し,また,「排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66」により,「各コーティング帯域24a,24b,24cの内部から外部の周囲により一定なガスの流れを提供」するようにしたと認められる。
してみれば,引用発明1は,「基板サポートトレイ28,スペーサー壁64,及び隔壁66は互いに上部に積層されて,パイプ若しくは導管18の一番低い側面のフランジ18aに支持され,基板サポートトレイ28は,開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲,及び排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で,軸方法に離れて間隔が置かれ」るとの構成を備えることで,引用文献1に記載の目的を達成するものと認められるところ,引用発明1に,引用発明2の「ボートユニット1の支持脚4の下面に係合ボス5を突設する一方,その上面にこの係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6を形成し,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして複数積み重ねて用いられ」るとの構成を適用すると,「開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64」及び「排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66」は用いられないこととなり,引用発明1の目的の達成は妨げられるから,引用発明1に引用発明2を適用することには,阻害要因があるといわざるを得ない。
そうすると,相違点1に係る構成は,引用発明1において,引用発明2に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして,同様の理由により,相違点1に係る構成は,引用発明1において,引用発明3ないし6に基づいて,当業者が容易に想到し得たものともいえない。
(ウ)小括
以上から,本願発明は,引用文献1記載の発明であるとはいえず,また,引用文献1記載の発明において,引用文献2ないし6にそれぞれ記載の発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものともいえない。

イ 本願請求項1に係る発明と引用発明2との対比・判断
(ア)対比
a 引用発明2における「半導体を製造するための各種の熱処理工程において熱処理される半導体ウエハ2」及び「載置する」は,本願発明の「処理される基板」及び「保持するように構成される」に相当すると認められ,引用発明1における「ボートユニット1」は,後述する相違点1に係る構成を除き,本願発明の「トレイデバイス」に相当するといえる。
そうすると,引用発明2は,後述する相違点に係る構成を除き,本願発明の「処理される基板を保持するように構成されるトレイデバイス」に相当する構成を備えるといえる。
b 引用発明2における「各ボートユニット1の基板載置部に半導体ウエハ2を載置し,複数積み重ねて用いられ」ること,及び「各ボートユニット1は,全体として環状をなして」いることは,後述する相違点1に係る構成を除き,それぞれ,本願発明の「縦方向に積重ねられた複数のトレイを含」むこと,及び「前記各トレイはリング状構造であ」ることに相当するといえる。
そして,本願発明の「このリング状構造の本体部分上に処理予定の複数の基板を配置可能であ」ることと,引用発明2における「その外周縁1aは載置すべき半導体ウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bは半導体ウエハ2の外径よりも小径とされ」ることとは,「このリング状構造の本体部分上に処理予定の」「基板を配置可能であ」る点で共通するといえる。
また,引用発明2における「積み重ねられたボートユニット1間に一定の距離が存在」することは,後述する相違点に係る構成を除き,本願発明の「2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在」することに相当するといえる。
そうすると,本願発明と引用発明2とは,「縦方向に積重ねられた複数のトレイを含み,前記各トレイはリング状構造であり,このリング状構造の本体部分上に処理予定の」「基板を配置可能であり,2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在し,」との点で共通するといえる。
c 引用発明2における「係合ボス4a」及び「この係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6」は,それぞれ,本願発明の「第1の凸部分」及び「前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分」に相当するといえる。
そうすると,本願発明の「前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が,最下の層のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること」「が行われ」ることと,引用発明における「ボートユニット1の支持脚4の下面に係合ボス5を突設する一方,その上面にこの係合ボス4aが嵌合可能な大きさの凹部6を形成し,一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして複数積み重ねて用いられ」ることとは,後述する相違点1に係る構成を除き,「前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が」,「前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること」「が行われ」る点で共通するといえる。
そして,引用発明2における「一つのボートユニット1の凹部6に他のボートユニット1の係合ボス4aを係合させるようにして積み重ねられたボートユニット1間に,一定の距離が存在する」ことは,後述する相違点1に係る構成を除き,本願発明の「前記隣接するトレイは,前記第1の凸部分と前記第2の凹部分との間の嵌合」「によって,該隣接するトレイ間に一定の距離がある状態で重ねられること」に相当するといえる。
以上から,本願発明と引用発明2とは,後述する相違点1に係る構成を除き,「前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が」,「前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,および,前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凹部分が,前記最下のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凹部分に嵌合する第2の凸部分が,その背面上に前記第1の凹部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,または,これらのいずれかが行われ,前記隣接するトレイは,前記第1の凸部分と前記第2の凹部分との間の嵌合および前記第2の凸部分と前記第1の凹部分との間の嵌合またはこれらのいずれかによって,該隣接するトレイ間に一定の距離がある状態で重ねられること」との構成を備えている点で共通すると認められる。
d 上記aないしcより,本願発明と引用発明2との一致点及び相違点は,下記のとおりであると認められる。
(a)一致点
「処理される基板を保持するように構成されるトレイデバイスであって,
縦方向に積重ねられた複数のトレイを含み,前記各トレイはリング状構造であり,このリング状構造の本体部分上に処理予定の基板を配置可能であり,2つの隣接するトレイ間に一定の距離が存在し,
前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凸部分が,前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凸部分に嵌合する第2の凹部分が,その背面上に前記第1の凸部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,および,
前記縦方向に積重ねられた前記複数のトレイの間で,第1の凹部分が,前記最下のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され,前記第1の凹部分に嵌合する第2の凸部分が,その背面上に前記第1の凹部分が配置される前記トレイに面するトレイの前面上に配置されること,または,これらのいずれかが行われ,
前記隣接するトレイは,前記第1の凸部分と前記第2の凹部分との間の嵌合および前記第2の凸部分と前記第1の凹部分との間の嵌合またはこれらのいずれかによって,該隣接するトレイ間に一定の距離がある状態で重ねられる,トレイデバイス。」
(b)相違点
・相違点1
本願発明は,各トレイのリング状構造の本体部分上に処理予定の複数の基板を配置可能であるとの構成を備えるのに対し,引用発明2の各「ボートユニット1」において,「その外周縁1aは載置すべき半導体ウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bは半導体ウエハ2の外径よりも小径とされ,また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,半導体ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置され」ており,各「ボートユニット1」は,「処理予定の複数の基板を配置可能」ではない点。
・相違点2
本願発明は,「第1の凸部分が,最下の層のトレイを除く前記トレイのそれぞれの背面上に配置され」ているのに対し,引用発明2における「係合ボス4a」は,最下の層の「ボートユニット1」を除いて配置されているものではない点。
(イ)進歩性の判断
相違点1について検討する。
上記(1)イのとおり,引用文献1には, 「コーティングされる金属基板SBが配置される基板サポートトレイ28であって,基板サポートトレイ28,スペーサー壁64,及び隔壁66は互いに上部に積層されて,パイプ若しくは導管18の一番低い側面のフランジ18aに支持され,基板サポートトレイ28は,開口部65を含む直立のスペーサー環状内部壁64によって近隣のトレイの内部周囲,及び排出開口部66aを含む直立の外部の穿孔された隔壁66によって近隣のトレイの外部周囲で,軸方法に離れて間隔が置かれ,基板サポートトレイ28は環状であり,上部に積層された複数の基板サポートトレイ28それぞれに,複数のコーティングされる金属基板SBが配置されている,基板サポートトレイ28。」(引用発明1)が記載されていると認められる。
他方,上記(2)アより,引用発明2は,従来の熱処理用基板保持具では,ウエハの自重がウエハ周縁部の特定の箇所にだけ集中するため,この応力集中がスリップ発生の原因やウエハの変形の原因になるという問題があったので,作業性を損なうことなく,スリップ発生や変形の原因となる基板の縁部へ均等に応力が加わるようにした熱処理用基板保持具を提供することを目的とし(【0009】,【0013】),ボートユニット1は全体として環状をなしており,その外周縁1aは載置すべきウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bはウエハ2の外径よりも小径とされ,また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置されたうえで,ボートユニット1の外径および支持脚4の厚さを,ウエハ2を同心的に載置して他のボートユニット1をその上に同心的かつ透孔3の位置が一致するように積み重ねたとき,上のボートユニット1の支持脚4が下のボートユニット1のウエハを囲んでその外側に位置するように設定すること(【0040】,【0041】)で,基板の自重が周縁部の全体に均一に加わるので応力集中によるスリップの発生やウエハの変形が防止される(【0069】)との効果を奏するようにしたものと認められる。
してみれば,引用発明2は,各「ボートユニット1」が1枚の「半導体ウエハ2」を載置することを前提とし,「その外周縁1aは載置すべき半導体ウエハ2の外径よりも大径とされ,内周縁1bは半導体ウエハ2の外径よりも小径とされ,また,外周縁1a寄りには透孔3が穿設されており,半導体ウエハ2は透孔3がオリエンテーションフラット2aの中央に位置するように載置され」るとの構成を備えることで,引用文献2に記載の従来技術の課題を解決し,所期の目的を達成すると認められるところ,引用発明2に,引用発明1の「基板サポートトレイ28は環状であり,上部に積層された複数の基板サポートトレイ28それぞれに,複数のコーティングされる金属基板SBが配置されている」との構成を適用すると,引用発明2の目的の達成は妨げられ,引用発明1に引用発明2を適用することには,阻害要因があるといわざるを得ない。
そうすると,相違点1に係る構成は,引用発明2において,引用発明1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
そして,同様の理由により,相違点1に係る構成は,引用発明2において,引用発明3ないし6に基づいて,当業者が容易に想到し得たものともいえない。
(ウ)小括
以上から,相違点2について検討するまでもなく,本願発明は,引用文献2記載の発明において,引用文献1,及び引用文献3ないし6にそれぞれ記載の発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

4 まとめ
したがって,本願の請求項1に係る発明(本願発明)は,拒絶査定の理由により,拒絶することはできない。
また,本願の請求項1を引用する,本願の請求項2ないし26の各請求項に係る発明も,拒絶査定の理由により,拒絶すべきものとすることはできない。


第4 当審で通知した拒絶理由について

1 当審で通知した拒絶理由の概要
当審が平成28年7月8日付けでした拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)の概要は,以下のとおりである。
[当審拒絶理由通知の概要]
平成27年2月2日に提出された手続補正書による補正は却下されたので,本願の請求項1ないし26に係る発明は,平成26年9月11日に提出された補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載された事項により特定されたとおりのものである。

理由1:この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1には,「・・・特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。」との記載があるが,請求項1に係る発明は請求項1を引用しているので不明確である。請求項1を引用している請求項2ないし26に係る発明も同様である。

2 当審で通知した拒絶理由についての判断
前記第2のとおり,平成28年10月11日付け手続補正書による補正で,補正前の特許請求の範囲の請求項1の末尾における「を特徴とする請求項1に記載のトレイデバイス。」との記載は,「を特徴とするトレイデバイス。」に補正されたので,本願の特許請求の範囲の請求項1には,当該各請求項に係る発明の構成が明確に記載されていると認められ,また,請求項1を引用する,本願の特許請求の範囲の請求項2ないし26にも,当該各請求項に係る発明の構成が明確に記載されていると認められる。

3 まとめ
したがって,本願の請求項1ないし26の各請求項に係る発明は,当審拒絶理由通知の理由により,拒絶すべきものとすることはできない。


第5 結言

以上のとおり,本願については,原査定の拒絶理由,及び当審で通知した拒絶理由を検討しても,これらの理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-08 
出願番号 特願2013-541191(P2013-541191)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊田 直樹  
特許庁審判長 河口 雅英
特許庁審判官 加藤 浩一
鈴木 匡明
発明の名称 トレイデバイスおよび結晶膜成長装置  
代理人 特許業務法人アイ・ピー・ウィン  

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