ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B |
---|---|
管理番号 | 1320879 |
審判番号 | 不服2015-17432 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-25 |
確定日 | 2016-10-26 |
事件の表示 | 特願2013-512136「制御シャフトシーリング」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月 1日国際公開、WO2011/149867、平成25年 7月25日国内公表、特表2013-530337〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2011(平成23)年5月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年5月27日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成24年11月2日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面とともに特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲、図面及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、平成26年8月26日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年12月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年5月19日付けで拒絶査定がされ、平成27年9月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成27年12月24日に上申書が提出されたものである。 第2 平成27年9月25日付けの手続補正について 1 平成27年9月25日付けの手続補正の内容 平成27年9月25日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年12月2日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の記載へ補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 ターボチャージャであって、 ターボチャージャハウジングと、 前記ターボチャージャ内の装置(22)を作動するための作動機構(35)と、 タービンハウジングの内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有する枢動シャフト(29)であって、前記ターボチャージャハウジングの穴の中に回転可能に取り付けられ、前記ターボチャージャハウジングの外側から前記作動機構(35)まで作動動作を伝達するための前記枢動シャフト(29)と、 を備え、 前記枢動シャフトまたは穴にシーリング材(39)が備えられ、 (a)前記シーリング材を芯合わせし、かつ前記枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ための相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面が前記枢動シャフトおよび穴に設けられる、ターボチャージャ。 【請求項2】 前記穴を通る前記枢動シャフトの一部は直径(47、49)が狭くなっており、前記穴の一部は、前記枢動シャフトの前記狭くなっている直径と相補的に直径(46、48)が狭くなっている、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項3】 前記枢動シャフトの直径が部分的に狭くなっている凸部および前記穴の相補的に直径が狭くなっている凹部の形状は、切頭円錐、切頭球形、段付き形状を形成する平坦と円錐または平坦と球形の組み合わせ、異なる角度の円錐表面の組み合わせ、または異なる曲率の表面の組み合わせであり、 前記異なる角度の円錐表面の組み合わせは、複数の円錐表面を有し且つ少なくとも1つの円錐表面が異なる傾斜を示し、 前記異なる曲率の表面の組み合わせは、複数の曲面を有し且つ少なくとも1つの曲面が異なる曲率を示す、 請求項2に記載のターボチャージャ。 【請求項4】 前記枢動シャフトと穴が、前記嵌合接触表面において、360°の同心度を示す、請求項3に記載のターボチャージャ。 【請求項5】 前記シーリング材が、シールリングを収容する環状の溝を含む、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項6】 前記シールリングおよび前記溝が矩形の断面を有する、請求項5に記載のターボチャージャ。 【請求項7】 前記装置が、ノズル通路を形成するベーンを作動するためのユニゾンリングを備えた可変ノズル装置である、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項8】 前記装置がウェイストゲートである、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項9】 前記ターボチャージャハウジングを通る前記穴が、内側端部と外側端部とを有するブシングによって形成される、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項10】 前記自動芯合わせ式の、相補的な同心性嵌合接触表面が、前記ブシングの前記内側端部において形成される、請求項9に記載のターボチャージャ。 【請求項11】 前記自動芯合わせ式の、相補的な同心性嵌合接触表面が、前記ブシングの前記内側端部および前記外側端部において形成される、請求項9に記載のターボチャージャ。 【請求項12】 前記ターボチャージャが、コンプレッサハウジング、ベアリングハウジング、およびタービンハウジングを備え、前記穴が前記タービンハウジングを通って延在する、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項13】 前記ターボチャージャが、コンプレッサハウジング、ベアリングハウジング、およびタービンハウジングを備え、前記穴が前記ベアリングハウジングを通って延在する、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項14】 圧力差を隔てる壁を通して回転力を伝達する装置であって、 第1の側および第2の側を有する壁であって、壁の一方側に第1圧力がかかり、壁の他方側に第2圧力がかかる壁と、 前記壁の一方側に第1端部を有し前記壁の他方側に第2端部を有する枢動シャフト(29)であって、前記壁を通って延在する穴の中に回転可能に取り付けられ、前記壁の一方側から前記壁の他方側へ作動動作を伝達するための枢動シャフト(29)と、 を備え、 前記枢動シャフトまたは穴にシーリング材(39)が備えられ、 (a)前記シーリング材を芯合わせし、かつ前記枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ための相補的で同心性の自動芯合わせ式嵌合接触表面が前記枢動シャフトおよび穴に設けられる、装置。 【請求項15】 前記壁が圧力空間または真空空間を囲む、請求項14に記載の装置。 【請求項16】 前記壁がエンジン吸気部の流路を画定する、請求項15に記載の装置。 【請求項17】 前記流路が、エンジンの作動中、時に大気圧未満の圧力になり時に大気圧を超える圧力になる内部空間を囲む、請求項16に記載の装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 ターボチャージャであって、 ターボチャージャハウジングと、 前記ターボチャージャ内の装置(22)を作動するための作動機構(35)と、 タービンハウジングの内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有する枢動シャフト(29)であって、前記ターボチャージャハウジングの穴の中に回転可能に取り付けられ、前記ターボチャージャハウジングの外側から前記作動機構(35)まで作動動作を伝達するための前記枢動シャフト(29)と、 を備え、 前記枢動シャフトまたは穴にシーリング材(39)が備えられ、 (a)前記シーリング材を芯合わせし、かつ前記枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ための相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面が前記枢動シャフトおよび穴に設けられる、ターボチャージャ。 【請求項2】 前記穴を通る前記枢動シャフトの一部は直径(47、49)が狭くなっており、前記穴の一部は、前記枢動シャフトの前記狭くなっている直径と相補的に直径(46、48)が狭くなっている、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項3】 前記枢動シャフトの直径が部分的に狭くなっている凹部および前記穴の相補的に直径が狭くなっている凸部の形状は、切頭円錐、切頭球形、段付き形状を形成する平坦と円錐または平坦と球形の組み合わせ、異なる角度の円錐表面の組み合わせ、または異なる曲率の表面の組み合わせであり、 前記異なる角度の円錐表面の組み合わせは、複数の円錐表面を有し且つ少なくとも1つの円錐表面は、他の円錐表面の傾斜に対して異なる傾斜を示し、 前記異なる曲率の表面の組み合わせは、複数の曲面を有し且つ少なくとも1つの曲面は、他の曲面の曲率に対して異なる曲率を示す、 請求項2に記載のターボチャージャ。 【請求項4】 前記枢動シャフトと穴が、前記嵌合接触表面において、360°の同心度を示す、請求項3に記載のターボチャージャ。 【請求項5】 前記シーリング材が、シールリングを収容する環状の溝を含む、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項6】 前記シールリングおよび前記溝が矩形の断面を有する、請求項5に記載のターボチャージャ。 【請求項7】 前記装置が、ノズル通路を形成するベーンを作動するためのユニゾンリングを備えた可変ノズル装置である、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項8】 前記装置がウェイストゲートである、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項9】 前記ターボチャージャハウジングを通る前記穴が、内側端部と外側端部とを有するブシングによって形成される、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項10】 前記自動芯合わせ式の、相補的な同心性嵌合接触表面が、前記ブシングの前記内側端部において形成される、請求項9に記載のターボチャージャ。 【請求項11】 前記自動芯合わせ式の、相補的な同心性嵌合接触表面が、前記ブシングの前記内側端部および前記外側端部において形成される、請求項9に記載のターボチャージャ。 【請求項12】 前記ターボチャージャが、コンプレッサハウジング、ベアリングハウジング、およびタービンハウジングを備え、前記穴が前記タービンハウジングを通って延在する、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項13】 前記ターボチャージャが、コンプレッサハウジング、ベアリングハウジング、およびタービンハウジングを備え、前記穴が前記ベアリングハウジングを通って延在する、請求項1に記載のターボチャージャ。 【請求項14】 圧力差を隔てる壁を通して回転力を伝達する装置であって、 第1の側および第2の側を有する壁であって、壁の一方側に第1圧力がかかり、壁の他方側に第2圧力がかかる壁と、 前記壁の一方側に第1端部を有し前記壁の他方側に第2端部を有する枢動シャフト(29)であって、前記壁を通って延在する穴の中に回転可能に取り付けられ、前記壁の一方側から前記壁の他方側へ作動動作を伝達するための枢動シャフト(29)と、 を備え、 前記枢動シャフトまたは穴にシーリング材(39)が備えられ、 (a)前記シーリング材を芯合わせし、かつ前記枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ための相補的で同心性の自動芯合わせ式嵌合接触表面が前記枢動シャフトおよび穴に設けられる、装置。 【請求項15】 前記壁が圧力空間または真空空間を囲む、請求項14に記載の装置。 【請求項16】 前記壁がエンジン吸気部の流路を画定する、請求項15に記載の装置。 【請求項17】 前記流路が、エンジンの作動中、時に大気圧未満の圧力になり時に大気圧を超える圧力になる内部空間を囲む、請求項16に記載の装置。」 (なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。) 2 本件補正の適否 本件補正は、特許請求の範囲の請求項3について、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3における「前記枢動シャフトの直径が部分的に狭くなっている凸部および前記穴の相補的に直径が狭くなっている凹部の形状」を「前記枢動シャフトの直径が部分的に狭くなっている凹部および前記穴の相補的に直径が狭くなっている凸部の形状」とすることにより誤記を訂正し、「少なくとも1つの円錐表面が異なる傾斜を示し」を「少なくとも1つの円錐表面は、他の円錐表面の傾斜に対して異なる傾斜を示し」とし、「少なくとも1つの曲面が異なる曲率を示す」を「少なくとも1つの曲面は、他の曲面の曲率に対して異なる曲率を示す」とすることにより明りょうでない記載を釈明するものであって、特許法第17条の2第5項第3号に規定される誤記の訂正及び特許法第17条の2第5項第4号に規定される明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するものではない。 したがって、本件補正は適法になされたものである。 第3 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし17に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲並びに平成24年11月2日に提出された明細書及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2 1(2)特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定されるとおりである。 第4 特許法第29条第2項について 1 引用文献 1-1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭61-43639号(実開昭62-156139号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、「ガスシール用テーパ座面付き回転弁装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。(なお、下線は理解の一助とするために当審で付した。) ア 「本考案は、ガスシール用のテーパ座面をそなえた回転弁装置に関し、特に可変容量ターボチャージャのノズルベーン駆動部に用いて好適の回転弁装置に関する。」(明細書第1ページ第16ないし19行) イ 「一般に、ターボチャージャにおいでは、第4図の断面図に示すように、排気ガスがタービンハウジング1内に形成された排気ガス流路10からタービンホイール3にそなえられたタービンブレード3a側に流入して、同タービンブレード3aを駆動している。そして、この時のタービンブレード3a側に流れ込む排気ガス量は、排気ガス流路10からタービンブレード3aへの流路中に介装された回転弁4で規制されるようになっている。 この回転弁4は、タービンホイール3の円周部に沿って配設された多数のノズルベーン4aと、同ノズルベーン4aがそれぞれ装着された回転軸5とからなっている。そして、各回転軸5が回転調整されることによって、隣合うノズルベーン4a,4aの相互間隔が調整されて、同相互間を通過する排気ガスの流量が調整されるようになっている。 そして、回転軸5は、排気ガス流路10の壁部の貫通孔に密嵌された円筒状ブッシュ6aに挿通されて、シール部5aを介し排気ガス流路10内の弁体としてのノズルベーン4aに結合されている。 また、シール部5aとブッシュ6aの内端との間にはリング状平面としてのシール面が形成され、これにより排気ガスの漏洩が防止されるようになっている。 なお、タービンブレード3aを通過した排気ガスは、シュラウド2内のタービン室15側へ流出するようになっており、また回転軸5の回転調整は、レバー7を介しピン9で緩着された駆動用リング8の回動制御により行なわれる。」(明細書第2ページ第1行ないし第3ページ第9行) ウ 「しかしながら、従来のターボチャージャにおける回転弁の第4図に示すシール部5aでは、そのシール面がリング状平面となっていて、そのシール幅がブッシュ6aの厚さで制限されて小さいために、回転軸5の中心軸にたおれ(回転軸の傾き)が生じたときにシール面にすきまが生じ有効なシール性能が得られないという問題点がある。」(明細書第3ページ第20行ないし第4ページ第6行) エ 「本考案は、上述の問題点の解決をはかろうとするもので、ガス流路中の回転弁において、中心軸のたおれが生じても、シール部が十分なシール性能を保持できて、しかもシール面の加工が容易に行なえるようにしたガスシール用テーパ座面付き回転弁装置を提供することを目的とする。」(明細書第4ページ第15ないし20行) オ 「このため、本考案のガスシール用テーパ座面付き回転弁装置は、ガス流路中に介装された回転弁をそなえ、同回転弁の回転軸が、上記ガス流路の壁部における貫通孔に密嵌された円筒状ブッシュに挿通されて、シール部を介し上記ガス流路内の弁体に結合され、上記シール部にガスシール用テーパ座面が形成されるとともに、同テーパ座面を受ける円錐形受け面が上記ブッシュの内端に形成されていることを特徴としている。」(明細書第5ページ第2ないし10行) カ 「上述の本考案のガスシール用テーパ座面付き回転弁装置では、回転軸のたおれに対しそれを元に戻そうとする力がテーパ座面からブッシュを介して回転軸に作用して回転軸のたおれが防止される。また、回転軸に対するシール面のテーパ角度を調整することにより、シール面幅を自由に設定できるようになる。」(明細書第5ページ第12ないし18行) キ 「本考案の第1実施例としてのガスシール用テーパ座面付き回転弁装置は、第1図に示すように、第4図に示す従来の技術とほぼ同様の構成になっている。 つまり、排気ガスがタービンハウジング1内に形成された排気ガス流路10からタービンホイール3い(審決注:「い」は「に」の誤記と認められる。)そなえられたタービンブレード3a側に流入して、同タービンブレード3aを駆動している。そして、この時のタービンブレード3a側に流れ込む排気ガス量は、排気ガス流路10からタービンブレード3aへの流路中に介装された回転弁4で規制されるようになっている。 この回転弁4は、タービンホイール3の円周部に沿って配設された多数のノズルベーン4aと、同ノズルベーン4aがそれぞれ装着された回転軸5とからなっている。そして、各回転軸が回転調整されることによって、隣合うノズルベーン4a,4aの相互間隔が調節されて、同相互間を通過する排気ガスの流量が調整されるようになっている。 そして、回転軸5は、排気ガス流路10の壁部の貫通孔に密嵌された円筒状ブッシュ6cに挿通されて、シール部5cを介し排気ガス流路10内の弁体としてのノズルベーン4aに結合されている。 また、シール部5cのブッシュ6c側には、ガスシール用テーパ座面5dが形成されている。そして、同テーパ座面5dを受ける円錐形受け面6dが、ブッシュ6cの内端に形成されている。このようなテーパ座面5dと円錐形受け面6dとによりテーパ状曲面としてのシール面が形成される。」(明細書第6ページ第8行ないし第7ページ第16行) ク 「本考案の第l実施例としてのガスシール用テーパ座面付き回転弁装置は上述のごとく構成されているので、回転軸5の中心軸にたおれ(回転軸の傾き)が生じた場合には、回転軸5の動きは、シール部5cのテーパ座面5dとブッシュ6cの内端の円錐形受け面6dとが互いに係合することで規制され、同テーパ座面ブッシュ6cを介して回転軸に対して回転軸5の中心軸を元の位置(設定された方向に沿う位置)に戻そうとする力が作用する。 これにより、回転軸5の中心軸は元の位置に戻るため、回転軸5のたおれが抑制される。このため、シール面におけるすきまの発生が防止されて所要のシール性能を保持することができる。また、シール部5cのテーパ座面5dとブッシュ6内端の円錐形受け面6dとから構成されるシ-ル面の回転軸5に対するテーパ角度を適当に調整することにより、十分なシール幅を確保することができる。この点でも、シール性能の向上が図れる。」(明細書第7ページ第17行ないし第8ページ第15行) ケ 「次に、本考案の第3実施例について説明すると、本実施例は、ターボチャージャのウェストゲートバルブに適用した場合であり、第3図に示すように、排気ガス流路10の壁部に貫通孔13が形成され、同貫通孔13の出口がウェストゲートバルブ11で密閉されている。 そして、同ウェストゲートバルブ11が、第1実施例におけるノズルベーン4のかわりに、弁体としてL字形継ぎ手を介してシール部5cに結合されている。 また、図中符号14は第1実施例のピン9に対応するもので、他の各符号は第1実施例と同様なものを示す。 本考案の第3実施例としてのガスシール用テーパ座面付き回転弁装置は上述のごとく構成されているので、ピン14を介してレバー7が手前側に倒されると、回転軸5が回転しウェストゲートバルブ11が持ち上げられる。これによって、排気ガス流路10内の排気ガスは貫通孔13を通って外部へ放出されるが、この際に、実施例と同様にして、ブッシュ6と回転軸とのすきまからの排気ガスの漏れが防止される。」(明細書第10ページ第5行ないし第11ページ第6行) コ 「以上詳述したように、本考案のガスシ一ル用テーパ座面付き回転弁装置によれば、ガス流路中に介装された回転弁をそなえ、同回転弁の回転軸が、上記ガス流路の壁部における貫通孔に密嵌された円筒状ブッシュに挿通されて、シール部を介し上記ガス流路内の弁体に結合され、上記シール部にガスシール用テーパ座面が形成されるとともに、同テーパ座面を受ける円錐形受け面が上記ブッシュの内端に形成されているという簡素な構成によって、回転軸のたおれが生じても、シール部におけるすきまの発生が防止され、所要のシール性能を保持できる効果がある。また、テーパ座面の回転軸に対する角度を適当に調整することによってシ-ル幅が十分にとれて、所要のシール性能に設定できる。さらに、シール部分の加工も極めて容易であるという利点もある。」(明細書第11ページ第8行ないし第12ページ第3行) (2)引用文献1の記載から分かること 上記(1)及び図面の記載から、以下の事項が分かる。 サ 上記(1)アから、引用文献1には、可変容量ターボチャージャのノズルベーン駆動部に用いて好適の回転弁装置が記載されていることが分かる。 シ 上記(1)イ及びキから、引用文献1に記載されたターボチャージャは、タービンハウジング1と、ターボチャージャ内のノズルベーン4aを作動するための作動機構と、タービンハウジング1の内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有する回転軸5であって、排気ガス流路10の壁部の貫通孔に密嵌された円筒状ブッシュ6aに挿通されて回転可能に取り付けられ、前記タービンハウジング1の外側から前記作動機構まで作動動作を伝達するための前記回転軸5を備えることが分かる。 ス 上記(1)イから、シール部5aとブッシュ6aの内端との間にはリング状平面としてのシール面が形成され、これにより排気ガスの漏洩が防止されるようになっていることが分かる。 セ 上記(1)ウ、オ、カ及びクから、引用文献1に記載されたターボチャージャは、回転軸5のたおれを防止するために、シール部にガスシール用テーパ座面を備えることが分かる。 ソ 上記(1)カ、ク及びコから、引用文献1に記載されたターボチャージャは、シール部5cのテーパ座面5dとブッシュ6内端の円錐形受け面6dとから構成されるシ-ル面の回転軸5に対するテーパ角度を適当に調整することにより、十分なシール幅を確保することができ、シール性能の向上が図れることが分かる。 タ 上記(1)ケから、引用文献1に記載されたターボチャージャのガスシール用テーパ座面は、ウェストゲートバルブにも適用されることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)、(2)及び図面(特に第1図)の記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「ターボチャージャであって、 タービンハウジング1と、 前記ターボチャージャ内のノズルベーン4aを作動するための作動機構と、 タービンハウジング1の内側の内側端部と前記タービンハウジング1の外側の外側端部とを有する回転軸5であって、前記タービンハウジング1の円筒状ブッシュ6cの中に回転可能に取り付けられ、前記タービンハウジング1の外側から前記作動機構まで作動動作を伝達するための前記回転軸5、 を備え、 前記回転軸5または円筒状ブッシュ6cにシール面が備えられ、 (a)前記シール面を調整し、かつ前記回転軸5およびシール面が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ためのテーパ座面5d及び円錐形受け面6dが前記回転軸5および円筒状ブッシュ6に設けられる、ターボチャージャ。」 1-2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特表2008-542607号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「ターボチャージャの調整軸装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。(なお、下線は理解の一助とするために当審で付した。) ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 VTGまたはウェイストゲートターボチャージャの調整軸装置(1)であって、 固定部分(3)を含む調整軸(2)と、 前記固定部分(3)を介して前記調整軸(2)に連結されるレバー(4)と、 前記調整軸(2)の基本部分(6)に配置されるブッシュ(5)と、 前記ブッシュ(5)および前記調整軸(2)間の前記基本部分(6)の領域に装着されるシール(7)とを有し、 前記調整軸(2)の前記基本部分(6)が段付きの外形輪郭を有し、かつ、 前記ブッシュ(5)が、前記基本部分(6)の形状を相補する形に形成される内側の輪郭を有する、 ことを特徴とする調整軸装置。 【請求項2】 前記シール(7)がピストンリングであることを特徴とする請求項1に記載の調整軸装置。 【請求項3】 前記シール(7)が前記調整軸(2)の溝(9)の中に装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の調整軸装置。 【請求項4】 前記調整軸(2)が、前記調整軸(2)の主要部分(6)の外径よりも小さい外径を有する自由端(8)を備えていることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の調整軸装置。 【請求項5】 前記ブッシュ(5)が、補足的に段付きに形成される外形輪郭を有することを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の調整軸装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項5】) イ 「【0001】 本発明は、請求項1によるVTGターボチャージャまたはウェイストゲートターボチャージャの調整軸装置に関する。」(段落【0001】) ウ 「【0002】 「VTGターボチャージャ」という用語は、調整軸装置を必要とする可変タービンジオメトリ(variable turbine geometry:VTG)を有するターボチャージャに関する。ウェイストゲートターボチャージャにおいては、タービンバイパスが、調整軸によって駆動されるバルブによって制御される。 【0003】 VTGターボチャージャの既知の調整軸装置においては、調整軸およびブッシュ間の部分における隙間シールのシール効果が不完全であるという問題が、印加される排気ガスのプラス圧力に応じて生じる可能性がある。この問題が生じると、ターボチャージャから排気ガスおよび排気煙が外部に排出されることがある。 【0004】 ピストンリングのシール効果を隙間のシール効果と組み合わせるように、ブッシュ内の中央にピストンリングを配置してシールを改善する方法が、国際公開第2004/063535 A1号パンフレットから知られる。 【0005】 しかし、この装置は、ピストンリングの取り付けに必要なスリップオンベベル(面取り部)が、ブッシュの内腔内において有効な隙間シールの長さを著しく短縮するという重大な欠点を有する。これは、ブッシュの形状が対称で、取り付けが側方に向けられていない場合、もう一方のブッシュ端面にも適切なスリップオンベベルが必要になるからである。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従って、VTGまたはウェイストゲートターボチャージャの調整軸装置であって、第1に、排気ガスおよび排気煙の外部への排出を顕著に低減するために隙間シールとピストンリングシールとの組合せを構成し、第2に、同じブッシュ長さにおいてシール効果の改善を可能にする調整軸装置を提供することが本発明の目的である。」(段落【0002】ないし【0006】) エ 「【0008】 本発明によれば、調整軸とブッシュとの間に静止シールが設けられ、このシールが、ブッシュを経由するターボチャージャからの排気ガスおよび排気煙の外部への排出を、完全に防止する程ではないとしても少なくとも大幅に低減する。 【0009】 このシールは、好ましくは、ピストンリングとして構成される。 【0010】 特に好ましい実施形態においては、シールが、固定部分と自由端との間の調整軸の主要部分の溝の中に装着される。 【0011】 主要部分は段付き構造であり、異なる外径を有する2つの円筒状断面のものになっている。主要部分を取り巻くブッシュの内側の輪郭も、同様に、対応する段付き構造であり、異なる寸法の円筒内径を有する2つの領域部分を備えている。2つの領域間の遷移部分は、ピストンリングを取り付けるためのスリップオンベベルとして形成することができるので、両側に、可能な限り長い有効なシール用隙間を残すことができる。この場合、遷移部分によって形成されるブッシュおよび調整軸間の環状の空間は、粒子の集合容積として用いることができる。粒子がこの集合容積に集積することによって、調整軸の動きを遅くする可能性があるシール隙間内への集積が避けられる。ブッシュの外径は必ずしも段付き構造にする必要はなく、ブッシュの外径は全ブッシュ長さについて一定にしてもよい。ブッシュの外径を段付き構造にすると、左右が逆になる誤取り付けを避け得るという付加的な利点がある。」(段落【0008】ないし【0011】) オ 「【0013】 VTGターボチャージャの既知の調整軸装置1を図1に示す。VTGターボチャージャそのものは、それ自体周知の従来型構造のものとすることができるので、図中に詳細表示していない。 【0014】 調整軸装置1は、固定部分3および自由端8を含む調整軸2を有する。さらに、図1は、固定部分3および自由端8が調整軸2の主要部分6よりも小さい外径を有することを示している。主要部分6は、固定部分3と自由端8との間に位置している。この例では、これら3つの部分は、すべて、円筒状の外形輪郭を有する。 【0015】 調整軸2は固定部分3を介してレバー4に連結される。 【0016】 調整軸装置1は、さらに、調整軸2の基本部分6上に配置されるブッシュ5を有する。 【0017】 最後に、ブッシュ5および調整軸2間の基本部分6の範囲に、シール7が配置装着される。このため、基本部分6は円周溝を有しており、好ましくはピストンリングとして構成し得るシールをこの溝9の中に装着する。これによって、排気煙または排気ガスの外部への漏出を顕著に制限するシールが、ブッシュ5と調整軸2またはその基本部分6との間に形成される。 【0018】 図1に示す調整軸装置においては、調整軸2の基本部分6は、連続した円筒状もしくは滑らかな構造であり、スリップオンベベルはブッシュの両端面に明らかに見られる。 【0019】 これとは対照的に、図2に示す本発明による調整軸装置の第1実施形態は、段付き構造の基本部分6、従って異なる外径の2つの円筒断面10および11を有する基本部分6を備える。この実施形態においては、部分10が部分11より大きな外径を有する。 【0020】 この結果、ブッシュ5は、調整軸2の部分10の領域において、部分11を取り巻く領域の内径よりも大きい内径を有する。 【0021】 本発明によるこの実施形態においても、基本部分6の溝の中にシール7が装着される。従って、対応するすべての特徴について、図1に関する記述を参照することができる。 【0022】 また図2が示すように、ブッシュ5も、同様に2つの部分12および13を有し、より大きな内径を有する部分12が、調整軸2の部分10を取り巻き、部分13が、調整軸2の小さい方の外径の領域11を取り巻く。さらに、ブッシュ13の部分12は、ブッシュ5の部分13よりも小さい外径を有する。この点に関しては、図2の表現を参照するとさらに明確である。 【0023】 ウェイストゲートターボチャージャ用として提供される第2の実施形態を図3に示す。調整軸の構成は図2のそれに合致しているので、上記の説明を参照することができる。」(段落【0013】ないし【0023】) (2)引用文献2の記載から分かること 上記(1)及び図面の記載から、以下の事項が分かる。 カ 上記(1)アないしウから、引用文献2には、可変容量ターボチャージャであるVTGターボチャージャ及びウェイストゲートターボチャージャが記載されていることが分かる。 キ 上記(1)アないしオから、引用文献2に記載されたターボチャージャは、ターボチャージャ内の装置を作動させるための調整軸装置1を有していることが分かる。また、技術常識を参酌すると、ターボチャージャはターボチャージャハウジングを備え、調整軸装置1はタービンハウジングの内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有することが分かる。 ク 上記(1)アないしオから、引用文献2に記載されたターボチャージャの調整軸装置1の調整軸2にはシール7が設けられ、該シール7はリング状部材として構成されることが分かる。 (3)引用文献2記載の技術 上記(1)、(2)及び図面の記載から、引用文献2には次の発明(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認める。 「ターボチャージャであって、 ターボチャージャハウジングと、 前記ターボチャージャ内の装置を作動するための作動機構と、 タービンハウジングの内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有する枢動シャフトであって、前記ターボチャージャハウジングの穴の中に回転可能に取り付けられ、前記ターボチャージャハウジングの外側から前記作動機構まで作動動作を伝達するための前記枢動シャフトと、 を備え、 前記枢動シャフトまたは穴にシール7が備えられている技術。」 2 対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明における「タービンハウジング1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「ターボチャージャハウジング」及び「タービンハウジング」に相当し、以下同様に、「ノズルベーン4a」は「装置」に、「回転軸5」は「枢動シャフト」に、「円筒状ブッシュ6c」は「穴」に、「テーパ座面5d及び円錐形受け面6d」は「相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面」に、それぞれ相当する。 したがって、両者は、 「ターボチャージャであって、 ターボチャージャハウジングと、 前記ターボチャージャ内の装置を作動するための作動機構と、 タービンハウジングの内側の内側端部と前記タービンハウジングの外側の外側端部とを有する枢動シャフトであって、前記ターボチャージャハウジングの穴の中に回転可能に取り付けられ、前記ターボチャージャハウジングの外側から前記作動機構まで作動動作を伝達するための前記枢動シャフトと、 を備え、 (a)前記枢動シャフトが傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシール部する、ための相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面が前記枢動シャフトおよび穴に設けられる、ターボチャージャ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点>([ ]内には対応する本願発明の発明特定事項を記載する。) (1)「シーリング材」に関して、本願発明においては、枢動シャフトまたは穴に「シーリング材」が備えられるのに対し、引用発明においては、回転軸5[枢動シャフト]または円筒状ブッシュ6[穴]に「シーリング材」が備えられるか否か明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。 (2)テーパ座面5d及び円錐形受け面6d[相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面]を設ける目的に関して、本願発明においては、「(a)シーリング材を芯合わせし、かつ枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ため」であるのに対して、引用発明においては、「(a)シール面を調整し、かつ回転軸5[枢動シャフト]およびシール面が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ため」である点(以下、「相違点2」という。)。 3 相違点についての判断 相違点について、以下に検討する。 (1)相違点1について、 引用発明においては、回転軸5と円筒ブッシュ6cとの間にシール面5aが形成されている(上記第4 1 1-1(1)イ及び(2)スを参照。)ことから、該シール面5aを構成するシーリング材が備えられているとみることもできる。 また、仮に、本願発明における「シーリング材」が、「シールリング」を意味すると限定的に解釈しても、ターボチャージャの技術分野において、枢動シャフトまたは穴にシールリングを備える技術は、周知技術(以下、「周知技術」という。例えば、引用文献2記載の技術、米国特許出願公開第2009/0226304号明細書(例えば、特許請求の範囲の請求項17及び図面に記載された「O-ring seal(7)」を参照。)、米国特許第6599087号明細書(例えば、第4欄第55行及びFIG.2に記載された「the seal ring 76」を参照。)等を参照。)である。 してみれば、引用発明において、周知技術を適用することにより、相違点1にかかる本願発明の発明特定事項をなすことは、当業者が容易に想到できたことである。 (2)相違点2について 引用発明においては、テーパ座面5d及び円錐形受け面6dが、(a)シール面を調整し、かつ回転軸5およびシール面が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする、ために設けられる。 これは、本願発明における「(a)シーリング材を芯合わせし、かつ枢動シャフトおよびシーリング材が傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする」と軌を一にするものである。 すなわち、表現ぶりは異なっていても、本願発明における相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面は、シーリング材によるシールを維持しつつ自動芯合わせ式嵌合接触表面によってもシールを行うという目的のために設けられ、引用発明におけるテーパ座面5d及び円錐形受け面6dは、シール面によるシールを維持しつつテーパ座面5d及び円錐形受け面6dによってもシールを行うという目的のために設けられているのだから、引用発明における「テーパ座面5d及び円錐形受け面6d」と、本願発明における「相補的で同心状の自動芯合わせ式嵌合接触表面」とは、実質的に同じ目的のために設けられているといえる。 また、仮に、本願発明における「シーリング材」が「シールリング」を意味すると限定的に解釈するとしても、引用発明において周知技術を適用した場合には、「(a)シーリング材であるシールリングを芯合わせし、かつ枢動シャフトおよびシーリング材であるシールリングが傾斜することを防止し、(b)さらに漏出をシーリングする」ものとなることは明らかである。 してみれば、相違点2は実質的な相違点ではなく、仮にそうでないとしても、引用発明において、周知技術を適用することにより、相違点2にかかる本願発明の発明特定事項をなすことは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明を全体としてみても、本願発明は、引用発明及び周知技術からみて、格別顕著な効果を奏するともいえない。 4 小結 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-05-30 |
結審通知日 | 2016-05-31 |
審決日 | 2016-06-13 |
出願番号 | 特願2013-512136(P2013-512136) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F02B)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 二之湯 正俊 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 槙原 進 |
発明の名称 | 制御シャフトシーリング |
代理人 | 百本 宏之 |
代理人 | 大賀 眞司 |