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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1320941
審判番号 不服2015-1453  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-26 
確定日 2016-10-27 
事件の表示 特願2010-125075「情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月15日出願公開、特開2011-250874〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成22年 5月31日 出願(特願2010-125075号)
平成26年 6月24日 拒絶理由通知
平成26年 8月22日 意見書,及び,手続補正書
平成26年10月22日 拒絶査定
平成27年 1月26日 審判請求書,及び,手続補正書
平成27年 3月 6日 前置報告書
平成27年12月10日 拒絶理由通知
平成28年 2月12日 意見書,及び,手続補正書
平成28年 3月16日 拒絶理由通知
平成28年 5月18日 意見書,及び,手続補正書

第2 当審の判断
1 補正内容
本願の請求項21に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成28年5月18日付けで補正された特許請求の範囲における請求項21に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は次のとおりである。
「【請求項21】
コンテンツデータを記憶する記憶部,
前記コンテンツデータを実行するコンテンツデータ処理手段,
前記コンテンツデータ処理手段によって直近に実行されたコンテンツデータの識別情報を含む送信データを生成する送信データ生成手段,
他の情報処理装置に前記送信データを送信する第1送信手段,
他の情報処理装置から,当該他の情報処理装置が直近に実行したコンテンツデータの識別情報を受信する第1受信手段,及び
前記第1受信手段によって受信した前記識別情報を出力する第1出力手段,を備え,
前記識別情報は,前記コンテンツデータのタイトルのデータ,および/または,前記コンテンツデータの内容を視覚的に表したアイコンのデータを含み,
前記第1出力手段は,前記タイトルのデータに基づいて前記タイトルを表示するためのデータを出力する,および/または,前記アイコンのデータに基づいて前記アイコンを表示するためのデータを出力し,
前記第1受信手段は,前記識別情報にかかるコンテンツデータが前記情報処理装置に記憶されているか否かに関わらず,当該識別情報を受信する情報処理装置。」

2 刊行物に記載された事項
(1)刊行物1
平成28年3月16日付け拒絶の理由に引用し,本願の出願前である平成22年5月20日に頒布された国際公開WO2010-055720号(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は,当審で付与した。他の下線についても同じ。)

ア 「【0017】
図1は,本発明の一実施形態に係る無線通信端末1の構成例を示すブロック図である。同図に示されるように,無線通信端末1は,例えばスマートフォンや携帯型ゲーム機などの携帯可能な情報処理装置であって,制御部11と,記憶部12と,無線通信部13と,媒体情報読み取り部14と,操作部15と,表示部16と,を含んで構成される。
【0018】
制御部11は,例えばマイクロプロセッサ等であって,記憶部12に記憶されるプログラムに従って,各種の情報処理を実行する。本実施形態において制御部11が実行する処理の具体例については,後述する。」

イ 「【0023】
以下,本実施形態に係る無線通信端末1が実現する機能について,説明する。図2は,無線通信端末1の機能例を示す機能ブロック図であって,同図に示されるように,無線通信端末1は,アプリケーション実行部21と,交換データ関連情報管理部22と,交換データ決定部23と,データ交換処理部24と,を含んで構成される。これらの機能は,制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し,無線通信部13を制御することによって実現される。なお,アプリケーション実行部21は,媒体情報読み取り部14によって光ディスク等の情報記憶媒体から読み取られ,記憶部12に格納されたアプリケーションプログラムを,制御部11が実行することにより実現される。一方,他の機能は,制御部11が予めROM等に格納されているシステムソフトウェアプログラムを実行することによって実現される。このシステムソフトウェアプログラムは,前述したアプリケーションプログラムとは独立したプログラムであって,アプリケーションプログラムと同様に各種の情報記憶媒体に格納されて提供されてもよいし,インターネット等の通信ネットワークを介して提供されることとしてもよい。
【0024】
アプリケーション実行部21は,ゲーム等のアプリケーションプログラムを実行する。特に本実施形態では,アプリケーション実行部21はデータ交換処理に対応した複数種類のアプリケーションプログラムを実行する。そして,このようなアプリケーションプログラムを実行した場合に,ユーザの操作部15に対する指示操作や,アプリケーションプログラムの処理の進行に伴って,当該アプリケーションプログラムに対応した交換データ関連情報を出力する。
【0025】
交換データ関連情報は,アプリケーションプログラムに関連して他の無線通信端末1との間で交換されるデータに関する情報であって,他の無線通信端末1との間で交換される交換対象データそのものを含んでもよい。交換データ関連情報管理部22は,アプリケーション実行部21が出力する交換データ関連情報を受け入れて,記憶部12に格納する。これにより,記憶部12には,それぞれ複数のアプリケーションプログラムのいずれかに関連づけられた複数の交換データ関連情報が記憶されることとなる。
【0026】
図3は,記憶部12が記憶する交換データ関連情報の一例を示す図である。同図に示されるように,複数の交換データ関連情報のそれぞれは,対応するアプリケーションプログラムを特定する情報,交換データ制御情報,及び交換対象データを含んで構成されている。例えば,アプリケーションプログラムがゲームアプリケーションの場合,交換対象データは,リプレイデータやアイテムデータ,キャラクターデータなどである。ただし,あるアプリケーションプログラムに関して,無線通信端末1が他の無線通信端末1からデータを取得するだけであって,他の無線通信端末1に対してデータの提供を行わない場合には,当該アプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報は,交換対象データを含まなくともよい。また,ユーザの指示操作等に応じて,一つのアプリケーションプログラムに関連づけて,複数の交換データ関連情報が記憶されてもよい。」

ウ 「【0029】
この交換データ関連情報が記憶部12に記憶された状態で,無線通信端末1は,ユーザの指示に応じて,データ交換モードでの動作の開始及び中断を実行する。このデータ交換モードによる動作中,無線通信端末1は並行して前述した複数のアプリケーションプログラムのいずれかを実行していてもよいし,あるいはこれら以外のアプリケーションプログラムを実行していてもよい。なお,アプリケーション実行部21は,実行中のアプリケーションプログラムの処理内容によっては,一時的にデータ交換モードでの動作を停止させることとしてもよい。このデータ交換モードで動作中に,同じくデータ交換モードで動作している他の無線通信端末1が無線通信可能な距離範囲まで近づくと,無線通信部13がこのような他の無線通信端末1の存在を検知し,無線通信接続の確立を試みる。ここで,無線通信接続の確立とは,互いに通信相手を特定する情報(MACアドレスなど)を交換し,無線通信端末1同士が1対1でデータの送受信を実行可能な状態を確立することを指している。
【0030】
具体例として,アプリケーション実行部21が,レースゲームAのアプリケーションプログラムを実行し,そのリプレイデータを交換対象データとして含んだ交換データ関連情報を出力し,また,ロールプレイングゲームBを実行し,そのキャラクターデータを交換対象データとして含んだ交換データ関連情報を出力したとする。
【0031】
ここで,無線通信端末1は,アプリケーション実行部21がレースゲームA及びロールプレイングゲームBのいずれのアプリケーションプログラムを実行している間も,また,例えばビデオプレイヤーなど別のアプリケーションプログラムを実行している間も,データ交換モードで動作することができる。また,レースゲームAやロールプレイングゲームB,ビデオプレイヤーなどのアプリケーションプログラムを実行中に,ユーザの指示などによってサスペンド状態に移行した場合であっても,無線通信端末1は,データ交換モードで動作することができる。このサスペンド状態においては,例えば制御部11への電力供給は中断されるが,無線通信部13に対しては電力供給が行われ,無線通信部13は他の無線通信端末1を検知するための制御信号出力を継続する。そして,他の無線通信端末1の存在が検知されると,制御部11への電力供給を再開する制御信号が出力され,後述するデータ交換処理が開始されることになる。」

エ 「【0032】
交換データ決定部23は,データ交換モードでの動作中に,他の無線通信端末1との間で無線通信接続が確立された場合に,他の無線通信端末1が記憶する交換データ関連情報のリストを取得する。そして,この他の無線通信端末1が記憶している交換データ関連情報と,自分自身の記憶部12に記憶されている複数の交換データ関連情報と,に応じて,複数の交換データ関連情報のうち,実際にデータ交換処理の対象とする交換データ関連情報を決定する。また,交換データ決定部23は,データ交換処理の対象として決定した交換データ関連情報が複数ある場合に,これら交換データ関連情報に基づくデータ交換処理の実行順序を決定することとしてもよい。
【0033】
具体的に,例えば交換データ決定部23は,自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報を,相手方との間でデータ交換処理の対象として選択する。なお,データ交換処理の実行順序の決定方法の具体例については,後述する。また,交換データ決定部23は,複数の無線通信端末1との間で無線通信接続を確立可能な場合に,どのような順序で各無線通信端末1との間でデータ交換処理を実行するかを決定し,当該決定した順序で各無線通信端末1との間のデータ交換処理を実行することとしてもよい。このデータ交換処理を実行する無線通信端末1の順序の決定方法の具体例についても,後述する。
【0034】
データ交換処理部24は,交換データ決定部23によって決定された順序で,無線通信接続が確立された他の無線通信端末1との間で,交換データ決定部23が決定した各交換データ関連情報に基づくデータ交換処理を実行する。
【0035】
具体的に,データ交換処理部24は,前述した交換データ制御情報に規定される通信手順に従って,他の無線通信端末1への交換対象データの送信,及び/又は,他の無線通信端末1からの交換対象データの受信,を実行する。したがって,データ交換処理の対象となる交換データ関連情報を出力したアプリケーションプログラム自体が実行されていないときでも,予めアプリケーションプラグラムによって規定された通信手順により,当該アプリケーションプログラムに関するデータの交換が実現できる。」

オ 「【0039】
無線通信ネットワークに参加すると,無線通信端末1aは,通信可能な距離範囲Aに存在する他の無線通信端末1(ピア)のリストを取得する(S3)。図4の例では,無線通信端末1b及び1cを示すピアのリストが取得されることとなる。このリストには,例えば各無線通信端末1を特定するMACアドレスや,各無線通信端末1のユーザを特定する情報などが含まれる。
【0040】
続いて無線通信端末1aは,S3で取得したリストに示される複数の無線通信端末1との間で,データ交換処理を行う順序を決定する(S4)。ここでは一例として,まず無線通信端末1b,次いで無線通信端末1cの順でデータ交換を行うと決定されたものとする。
【0041】
次に,無線通信端末1aは,データ交換処理の相手方となった無線通信端末1(ここでは無線通信端末1b)との間で無線通信接続を確立し,相手方の無線通信端末1bが記憶している交換データ関連情報のリストを受信する(S5)。そして,S5で受信した無線通信端末1bの交換データ関連情報のリストと,自分自身が記憶している交換データ関連情報のリストと,に応じて,データ交換処理の実行対象とする交換データ関連情報,及びその実行順序を決定する(S6)。
【0042】
その後,無線通信端末1aは,S6で決定された順序で,交換データ関連情報に基づくデータ交換処理を行う(S7)。具体的に,無線通信端末1aは,データ交換処理の対象となった交換データ関連情報に含まれる交換データ制御情報に基づいて,データ交換処理を実行する。
【0043】
一つの交換データ関連情報に基づくデータ交換処理が終わると,無線通信端末1aは,データ交換処理を実行すべき全ての交換データ関連情報について,処理を実行したか否か判定する(S8)。S6で決定されたデータ交換処理の対象として決定された全ての交換データ関連情報について処理が完了していなければ,無線通信端末1aは,S7に戻って,S6で決定された順序に従って次の交換データ関連情報に基づくデータ交換処理を実行する。逆に,全ての交換データ関連情報に基づくデータ交換処理が終了すれば,無線通信端末1aはS3で取得されたリストに示される全ての無線通信端末1との間でデータ交換処理を実行したか否か判定する(S9)。ここでは無線通信端末1cとの間のデータ交換処理がまだ終わっていないため,この無線通信端末1cをデータ交換処理の相手方として,S5?S8までの処理を再び実行する。無線通信端末1cとの間のデータ交換処理が終われば,リストに示される全ての無線通信端末1との間でデータ交換処理が実行されたことになるので,次の処理が実行される。
【0044】
最後に,無線通信端末1aは,S7で何らかのデータ交換処理が実行された場合に,データ交換処理が実行されたことを示す情報を表示部16に表示することによって,実行結果をユーザに通知する(S10)。具体例として,無線通信端末1aは,表示画面内の所定の領域に,「すれちがい通信が行われました」などのメッセージ情報を表示する。あるいは,所定のアイコン画像などを表示画面内の所定の位置に表示してもよい。また,ここでユーザに提示されるメッセージや画像は,交換されたデータごとに交換データ制御情報によって規定されることとしてもよい。」

カ 「【0048】
以上説明したデータ交換処理によって,他の無線通信端末1から取得された交換対象データは記憶部12に記憶される。そして,アプリケーション実行部21が対応するアプリケーションプログラムを実行する際に,アプリケーション実行部21はこのデータ交換処理結果を参照し,アプリケーションプログラムの処理に反映する。例えば他の無線通信端末1からリプレイデータを取得した場合,このリプレイデータを,すでに記憶されている当該無線通信端末1のユーザ自身のリプレイデータとともに選択肢として提示し,ユーザの選択に応じて再生する。
【0049】
ここで,上述したようなすれちがい通信の実行結果をユーザに提示する処理の具体例について,説明する。前述したS10の通知に対してユーザが応答する指示操作を行った場合や,このような通知と関係なくユーザがすれちがい通信の実行状況を表示する指示操作を行った場合に,無線通信端末1aの交換データ関連情報管理部22は,記憶部12に記憶されている交換データ関連情報に関連づけられたアプリケーションプログラムの一覧を表示部16に表示させることとしてもよい。このとき,交換データ関連情報管理部22は,データ交換処理の対象となった交換データ関連情報に関連づけられており,かつ,データ交換処理の実行後まだ実行されていないアプリケーションプログラム(すなわち,ユーザがデータ交換処理の結果をまだ確認していないアプリケーションプログラム)を,それ以外のアプリケーションプログラムと区別できるような態様で,表示画面に一覧を表示する。
【0050】
図6は,このようなすれちがい通信対応アプリケーションプログラムの一覧表示画面の具体例を示している。この図の例では,データ交換処理が実行されたアプリケーションプログラム(レースゲームA及びロールプレイングゲームB)に対して,データ交換処理があったことを示す画像が付与されており,データ交換処理が実行されていないアプリケーションプログラム(シミュレーションゲームC)については,明度の低い色で暗転表示されている(図中においては破線で表現されている)。なお,表示方法はこのような例に限られず,例えばデータ交換処理が実行されたアプリケーションプログラムをハイライト表示するなどの方法で強調表示したりしてもよい。このような一覧表示画面を参照することで,ユーザは,すれちがい通信の対象として登録されているアプリケーションプログラム,また,そのうちデータ交換処理が実際に実行されたアプリケーションプログラムを容易に把握することができる。
【0051】
さらに,このような一覧表示画面において,ユーザは,操作部15から操作入力を行うことで,データ交換処理が実行されたアプリケーションプログラムを選択できることとしてもよい。交換データ関連情報管理部22は,このようなユーザの指示操作に応じて,選択されたアプリケーションプログラムについて実行されたデータ交換処理の処理結果に関する詳細情報を,表示部16に表示させる。ここで表示される詳細情報は,例えばデータ交換処理の対象となった他の無線通信端末1を使用するユーザのユーザ名や,データ交換処理の実行日時,データ交換処理によって取得したデータの内容(例えばアイテム名やキャラクター名)を含んでもよい。図7は,このようなデータ交換処理の結果表示画面の一例を示している。この図の例では,選択されたアプリケーションプログラム名,データ交換処理の詳細情報の他,アプリケーションプログラムの起動ボタンが画面上に表示されている。ユーザがこの起動ボタンを選択する指示操作を行った場合,アプリケーション実行部21が,選択されたアプリケーションプログラムを実行することとしてもよい。こうすれば,ユーザは,すれちがい通信の実行結果を参照して興味のあるアプリケーションプログラムを選択し,そのまま簡易な操作でアプリケーションプログラムの実行を開始させることができる。」

キ 【図3】は,記憶部12が記憶する交換データ関連情報を示す図であって,「アプリケーションプログラム」として,「レースゲームA」,「ロールプレイングゲームB」と記載されている。
【図6】は,すれちがい通信対応アプリケーションプログラムの一覧表示画面の具体例を示す図であって,「すれちがい対象ゲーム」として,「レースゲームA」,「ロールプレイングゲームB」等が記載されている。
【図7】は,データ交換処理の結果表示画面の一例を示す図であって,「すれちがい対象ゲーム」として,「ロールプレイングゲームB」と「相手ユーザ」,「交換日時」,「入手アイテム」等が記載されている。

上記ア乃至キの記載を総合すると,刊行物1には,次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が開示されていると認められる。
「制御部11と,記憶部12と,無線通信部13と,媒体情報読み取り部14と,操作部15と,表示部16とを備えた無線通信端末1であって,
制御部11は,記憶部12に格納されたプログラムを実行し,無線通信部13を制御することで,アプリケーション実行部21と,交換データ関連情報管理部22と,交換データ決定部23と,データ交換処理部24の機能を実現させ,
アプリケーション実行部21は,アプリケーションプログラムを実行するとともに,アプリケーションプログラムに関連して他の無線通信端末1との間で交換されるデータに関する情報である交換データ関連情報を出力し,該交換データ関連情報には,交換対象データが含まれ,
データ交換処理部24は,データ交換処理を実行し,他の無線通信端末1への交換対象データの送信,及び/又は,他の無線通信端末1からの交換対象データの受信を行い,該データ交換処理によって,他の無線通信端末1から取得された交換対象データは記憶部12に記憶され,
交換データ関連情報管理部22は,データ交換処理が実行されたアプリケーションプログラムに対して,データ交換処理があったことを示す画像を表示部16に表示させ,
交換データ決定部23は,他の無線通信端末1との間で無線通信接続が確立された場合に,他の無線通信端末1が記憶する交換データ関連情報のリストを取得し,自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報を,相手方との間でデータ交換処理の対象として選択する無線通信端末1」が記載されている。

3 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
後者の「アプリケーションプログラム」は,前者の「コンテンツデータ」に相当する。
以下,同様に「(格納する)記憶部12」は,「(記憶する)記憶部」に,
「コンテンツデータ処理手段」は,「コンテンツデータ処理手段」に,
「無線通信端末1」は,「情報処理装置」に,
「制御部11」は,「コンピュータ」に,それぞれ相当する。
後者の「データ交換処理があったことを示す画像」は,例えば【図6】の「レースゲームA」,「ロールプレイングゲームB」等を表示する画像であって,これは「ゲーム名」,つまり「ゲームのアプリケーションプログラムのタイトル」であり,さらに,「ゲームのアプリケーションプログラムのタイトル」を,データ交換処理があったことを示す画像として表示するためには,前者の「交換対象データ」に「ゲームのアプリケーションプログラムのタイトル」のデータが含まれていることは自明である。ここで,前者の「コンテンツデータのタイトルのデータ」が「識別情報」に含まれるものであって,該「識別情報」が「送信データ」に含まれることを踏まえると,後者の「交換対象データ」は,「ゲームのアプリケーションプログラムの,識別情報としてのゲームのアプリケーションプログラムのタイトル」を含むから,前者の「送信データ」に相当する。
後者の「アプリケーション実行部21」は「アプリケーションプログラムに関連して他の無線通信端末1との間で交換されるデータに関する情報である交換データ関連情報を出力」するものであるから,交換データ関連情報を生成して出力していることは自明であって,後者の「アプリケーション実行部21」と,前者の「送信データ生成手段」とは,「他の情報処理装置に送信する送信データを生成する」との概念で共通するから,後者の「アプリケーション実行部21」は,前者の「送信データ生成手段」に相当する機能を有することは自明である。
後者の「データ交換処理部24」は,他の無線通信端末1への交換対象データの送信,及び/又は,他の無線通信端末1からの交換対象データの受信を実行しているから,前者の「第1送信手段」及び「第1受信手段」に相当する。
後者の「交換データ関連情報管理部22」は,データ交換処理が実行されたアプリケーションプログラムに対して,データ交換処理があったことを示す画像を表示部16に表示させるものであって,上述したとおり,その画像は「アプリケーションプログラムのタイトル」を含むものであるから,「タイトルのデータに基づいてアプリケーションプログラムのタイトルを表示するためのデータを出力」すると,言い換えることができ,後者の「第1出力手段」に相当する。
以上のことより,両者は,
〈一致点〉
「コンテンツデータを記憶する記憶部,
前記コンテンツデータを実行するコンテンツデータ処理手段,
前記コンテンツデータ処理手段によって実行されたコンテンツデータの識別情報を含む送信データを生成する送信データ生成手段,
他の情報処理装置に前記送信データを送信する第1送信手段,
他の情報処理装置から,当該他の情報処理装置が実行したコンテンツデータの送信データを受信する第1受信手段,及び
前記第1受信手段によって受信した前記識別情報を出力する第1出力手段,を備え,
前記識別情報は,前記コンテンツデータのタイトルのデータを含み,
前記第1出力手段は,前記タイトルのデータに基づいて前記タイトルを表示するためのデータを出力する,情報処理装置」
である点で一致し,以下の点で相違している。
<相違点1>
コンテンツデータ処理手段によって実行されたコンテンツデータの識別情報を含む送信データに関して,本願発明は「直近に実行」されたものであるが,刊行物1発明では,実行の時期が明らかではない点。
<相違点2>
第1受信手段に関して,本願発明は「前記識別情報にかかるコンテンツデータが前記情報処理装置に記憶されているか否かに関わらず,当該識別情報を受信」するものであるが,刊行物1発明では,その点が明らかではない点。

4 判断
相違点1について
刊行物1の発明の詳細な説明の段落【0030】には「…アプリケーション実行部21が,レースゲームAのアプリケーションプログラムを実行し,そのリプレイデータを交換対象データとして含んだ交換データ関連情報を出力し,また,ロールプレイングゲームBを実行し,そのキャラクターデータを交換対象データとして含んだ交換データ関連情報を出力」と記載されているように,アプリケーション実行部21は,実行されたゲームのアプリケーションプログラムに対応して,交換対象データを含んだ交換データ関連情報を出力しているから,該交換データ関連情報に「直近」に実行されたゲームのアプリケーションプログラムが含まれていることは,当業者にとって自明である。
とすれば,送信データを生成するに当たって,それまでに実行されたゲームのアプリケーションプログラムのうちから「直近に実行されたゲームのアプリケーションプログラム」を対象とすることに,何ら技術的困難性はなく,当業者が容易に想到しうる程度の技術的事項にすぎない。
また,直近に実行されたゲームのアプリケーションプログラムとしたことによって,格別な作用効果が生じるものではないから,相違点1に係る本願発明の発明特定事項は,刊行物1発明から,当業者が容易に想到し得たものである。

相違点2について
刊行物1発明が「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報を,相手方との間でデータ交換処理の対象として選択」するにあたって「他の無線通信端末1との間で無線通信接続が確立された場合に,他の無線通信端末1が記憶する交換データ関連情報のリストを取得」し,その「リスト」に基づいて「選択」するのであるから,該リストには,「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」のみならず,「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通しないアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」をも含んでいると解するのが技術的に自然である。つまり,該リストは「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」と「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通しないアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」とを区別することなく生成されたものであることは自明である。
そして,刊行物1発明において,「交換対象データ(本願発明の送信データに相当)」には、「ゲームのアプリケーションプログラムのタイトル(本願発明のタイトルのデータに相当)」が含まれていることは,「3 対比」で検討したとおりである。
以上,まとめると,刊行物1発明の無線通信端末は,「「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムに関連づけられたアプリケーションプログラムのタイトルを含む交換データ関連情報」と「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通しないアプリケーションプログラムに関連づけられたアプリケーションプログラムのタイトルを含む交換データ関連情報」が混在しているリストを受信」していることになる。
ここで,刊行物1発明でいうところの「共通する」及び「共通しない」は,本願発明における「情報処理装置に記憶されている」及び「情報処理装置に記憶されていない,つまり,否」に相当することを踏まえると,刊行物1発明の無線通信端末は,「アプリケーションプログラムのタイトルにかかるアプリケーションプログラムが無線通信端末に記憶されているか否かに関わらず,アプリケーションプログラムのタイトル」を受信するものであるといえる。
よって,相違点2に係る本願発明の発明特定事項については,刊行物1発明に実質的に記載されている。

そして,本願発明の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,刊行物1発明から,当業者が予測しうる程度のものである。

なお,本願発明においても刊行物1発明においても,第1出力手段が出力するタイトルを表示するためのデータは,第1受信手段が受信した識別情報が含むコンテンツデータのタイトルのデータに基づいている点で一致していることは,上記「3 対比」で述べたとおりである。
しかしながら,前者において表示されるタイトルのデータが,「識別情報にかかるコンテンツデータが情報処理装置に記憶されているか否かに関わらず,当該識別情報を受信」したことによる識別情報,つまり「自分自身と他の情報処理装置とで共通しないコンテンツデータのタイトルのデータ」を含むとし,後者においてデータ交換処理があったことを示す画像として表示部16に表示される画像が,自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するアプリケーションプログラムのタイトルであるから,「自分自身と他の情報処理装置とで共通しないコンテンツデータのタイトルのデータ」を含まないと解することで,両者は相違すると考えられる可能性があるため,この点について,念のため検討する。
刊行物1発明において,他の無線通信端末から送信される交換データ関連情報に,「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通するゲームのアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」及び,「自分自身と相手方の無線通信端末1とで共通しないゲームのアプリケーションプログラムに関連づけられた交換データ関連情報」の双方が含まれていてよいこと,及び,刊行物1発明でいうところの「共通する」及び「共通しない」は,本願発明における「情報処理装置に記憶されている」及び「情報処理装置に記憶されていない,つまり,否」に相当することについては,相違点2で検討したとおりである。
そして,刊行物1発明において,「共通するアプリケーションプログラムのタイトルのデータ」及び「共通しないアプリケーションプログラムのタイトルのデータ」の双方を含む他の無線通信端末から受信した交換データ関連情報から,「共通する」ものを表示することに代えて,受信した交換データ関連情報に含まれる「ゲームのアプリケーションプログラムのタイトル」の全てを表示するように構成することに,格別の技術的困難性はなく,当業者が適宜採用しうる程度の技術事項にすぎない。
また,「表示するためのデータ」が,「識別情報にかかるコンテンツデータが情報処理装置に記憶されているか否かに関わらない識別情報」に基づくものとしたことによって,格別な作用効果が生じるものではないから,上記相違点に係る本願発明の発明特定事項は,刊行物1発明から,当業者が容易に想到し得たものである。

第3 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-26 
結審通知日 2016-08-30 
審決日 2016-09-14 
出願番号 特願2010-125075(P2010-125075)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
植田 高盛
発明の名称 情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法  
代理人 石原 盛規  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  
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