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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1320947
審判番号 不服2015-9815  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-27 
確定日 2016-10-27 
事件の表示 特願2011- 47345号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日出願公開、特開2012-183150号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年3月4日の出願であって、平成27年3月18日付けで拒絶査定(発送日:平成27年3月24日)がなされ、これに対し、平成27年5月27日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされ、その後、当審において、平成28年6月3日付けで拒絶理由が通知(発送日:平成28年6月7日)され、これに対し、平成28年8月4日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

2.本願発明
この出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成28年8月4日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である(A?Iは当審において分説した)。

「【請求項1】
A 複数の駆動モータにそれぞれ軸着され、表面に複数の図柄が表示された複数の回転リールと、
B 前記回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるためのストップスイッチと、
C 複数の図柄の組み合わせからなる役について当選か否かの役抽選を行うための当選抽選手段と、
D 前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作に基づき、前記各駆動モータの駆動及び駆動停止を制御して前記回転リールを回転又は回転停止させるためのモータ制御手段とを少なくとも備え、
E 今回の遊技において、前回の遊技開始から所定の遊技制限時間が経過していない場合には、スタートスイッチが操作されても前記各駆動モータが駆動開始しないように形成され、前記遊技制限時間の経過を条件に、前記駆動モータが駆動開始し、前記駆動モータが駆動を開始した後に前記ストップスイッチの操作を有効とし、
F 前記ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合に、所定の利益が付与されるとともに、
G 前記スタートスイッチの操作後、前記ストップスイッチの操作を有効とするまでの間に、前記回転リールの回転態様による回胴演出を実行可能に形成された遊技機において、
H 前記モータ制御手段は、
前記回胴演出が行われない通常回転時においては、前記スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件に、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを制御して通常回転を行わせ、前記ストップスイッチの操作を有効とし、
I 前記回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、前記スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件に、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを通常回転と同様に制御し、その後回胴演出制御データに基づき前記駆動モータを回胴演出を行うように制御し、回胴演出の終了後に、前記ストップスイッチの操作を有効とすることを特徴とする遊技機。」

3.当審の拒絶理由通知
当審の拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

1)本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない
2)本願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(理由1、2)
・刊行物1(特開2000-157661号公報)

そして、この拒絶理由通知を受け、平成28年8月4日付けの手続補正により、請求項2は削除され、請求項1は請求項2を実質的に取り込み、上記2.のように補正された。

4.刊行物に記載された事項
当審の拒絶理由で引用した本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-157661号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個のリールと、入賞を成立させるためのリール停止制御を実行するかどうかの抽選処理を実行する抽選手段と、遊技者によるゲーム開始操作によりリールを始動させ、遊技者によるリール停止操作と前記抽選手段による抽選処理結果とに基づいてリールの停止を制御する制御装置とを備えたスロットマシンにおいて、
前記制御装置は、前記抽選処理により所定の抽選当たりがあったとき、その抽選当たりがなかったときと異なる態様でリールを動作させることにより、所定の抽選当たりの発生を告知すると共に、告知期間中、少なくとも告知動作を行うリールについての遊技者によるリール停止操作を無効とするようにしたスロットマシン。
【請求項2】 前記制御装置は、複数種の告知動作態様のうち、選択されたいずれかの告知動作態様でリールを動作させる請求項1に記載されたスロットマシン。
【請求項3】 前記制御装置は、告知期間前または告知期間中に、告知動作を行うことを遊技者の視覚または聴覚に訴えて報知する告知手段を動作させるようにした請求項1または2に記載されたスロットマシン。」

(2)「【0017】前記リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8cが一体に組み付けられて成る。各リール8a,8b,8cは、リール枠の外周面に帯状テープを貼設して成る。帯状テープには、特別入賞を成立させる特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷されている。このリールブロック4には、各リール8a,8b,8cを個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてある。」

(3)「【0019】正面パネル11の下方には、始動レバー14,3個の停止釦スイッチ15a,15b,15c、およびメダル投入口16が、また下部パネル13の下方には、メダル放出口17やメダル受け皿18が、それぞれ配備される。メダル投入口16はメダルの投入を受け付ける部分である。始動レバー14は3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させるためのものである。3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cは対応するリール8a,8b,8cを個別に停止させるためのものである。」

(4)「【0027】このスロットマシンでは、メダル投入口16へのメダルの投入またはベット釦スイッチ33,34,35の操作で入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、機械内部で抽選処理が行われる。その後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、通常抽選当たりであれば、入賞シンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。特別抽選当たりであれば、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルが停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。
【0028】前記抽選処理は、乱数発生器が発生する乱数をサンプリングして、そのサンプリングされた乱数値が所定の範囲内の値であるかどうかを判断することにより、特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボルについての抽選当たりであるかどうかを決定する。なお、この種の抽選処理は公知であり、ここでは詳細な説明は省略する。」

(5)「【0029】このスロットマシンでは、内部抽選処理による抽選結果を遊技者に告知するために、抽選処理により特別抽選当たりがあったとき、特別抽選当たりがなかったときと異なる態様でリールを動作させ、これにより特別抽選当たりの発生を遊技者へ告知している。
【0030】図4は、3個のリール8a,8b,8cのうち、特に中央のリール8bによる種々の告知動作態様を示す。図4(1)では、特別抽選当たりがあったとき、まず、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させている。この告知動作の告知期間中は、全てのリール8a,8b,8cについての遊技者によるリール停止操作は無効化され、遊技者がどの停止釦スイッチ15a?15cを操作しても、対応するリールは停止しない。」

(6)「【0041】図7および図8は、前記制御部40による特別入賞処理を主体とした制御の流れを示す。なお図中、STは、一連の制御の流れにおける各ステップを意味する。同図のST1では、CPU41は、遊技者によるゲーム開始操作に待機している。遊技者がメダル投入口16へのメダルの投入するか、いずれかのベット釦スイッチ33,34,35を押操作した後、始動レバー14を操作すると、ST1の「ゲーム開始操作ありか?」の判定が「YES」であり、つぎのST2で、CPU41は、特別抽選当たりがあったことを示す大当たりフラグFGが1にセットされているかどうかをチェックする。この場合、ST2の判定は「NO」であるから、ST3へ進み、CPU41は乱数発生器44が発生した乱数値をサンプリングすることにより内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理で特別抽選当たりがあると、ST5へ進み、大当たりフラグFGがセットされる。特別抽選当たりでなければ、ST4の判定は「NO」であり、ST5がスキップされる。
【0042】特別抽選当たりがあったときは、大当たりフラグFGが1にセットされているので、つぎのST6の判定は「YES」であり、そのままST8以後の告知動作の手順へ進む。この実施例では、演出効果を高めるために、特別抽選当たりがなかった場合、すなわちST6の判定が「NO」の場合でも、一定の頻度で告知動作を行うようにする。告知動作を行うかどうかは乱数抽選により決定し、ST7の「告知動作行うか?」の判定が「YES」のとき、ST8でどの告知動作態様で告知動作を行うかを乱数抽選により決定した後、CPU41は、3個の停止操作表示ランプ22a?22cを点滅動作させる(ST9)。」

(7)「【0043】つぎにCPU41は、3個のリール8a,8b,8cのうち、両端位置のリール8a,8cは定常速度で回転させ、中央のリール8bは、ST8で決定された告知動作態様による回転動作を実行させ、タイマ44をスタートさせる(ST10,11)。このタイマ44は告知動作に必要な時間を計測するためのもので、つぎのST12でタイマ44がタイムアップしたかどうか、ST13でタイマ44の計時中に停止釦スイッチ15a?15cが操作されたかどうかが判定される。タイマ44の計時中、すなわち告知動作が完了する前に停止釦スイッチ15a?15cが操作されると、ST12の判定が「NO」、ST13の判定が「YES」となるが、動作中のリール8a,8b,8cが動作を停止することはなく、停止操作が無効となる。かくして、告知動作の完了に要する時間が経過すると、ST12の判定が「YES」となり、CPU41は、3個のリール8a,8b,8cを定常速度で回転させた後、3個の停止操作表示ランプ22a?22cを点滅から点灯へ移行させ(ST14,15)、停止釦スイッチ15a?15cの操作に待機する状態、すなわち停止操作が有効となる状態を形成する。なお、告知動作を行わない場合は、ST7の判定が「NO」となってST26へ進み、CPU41は、3個の停止操作表示ランプ22a?22cを点灯させ、3個のリール8a,8b,8cを定常速度で一斉に回転させる(ST27)。」

(8)「【0044】3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、遊技者が、いずれかの停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、ST17の判定は「YES」であり、該当する停止操作表示ランプが消灯し、かつ該当するリールが停止する(ST17,18)。この停止動作において、特別抽選当たりや通常抽選当たりがあったときは、特別入賞シンボルや通常入賞シンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。同様の停止操作が繰り返し行われて、全てのリール8a,8b,8cが停止すると、ST19の判定が「YES」となって、ST20へ進み、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立したかどうかが判定される。
【0045】ST20の入賞判定の結果、もし、特別入賞が成立していれば、ST21の判定が「YES」であり、CPU41は、遊技者に対して所定のメダル枚数の配当を行った後、ボーナスゲームへ移行する(ST22)。そして、ボーナスゲームが終了すると、大当たりフラグFGをリセットする(ST23)。ST20の入賞判定の結果、もし、通常入賞が成立していれば、ST21の判定が「NO」、ST24の判定が「YES」であり、入賞の種類に応じたメダル枚数の配当が行われる(ST25)。もし、特別入賞でも通常入賞でもなければ、ST24の判定が「NO」であり、メダルの配当はない。」

そして、上記記載事項から刊行物1には以下の事項が記載されているといえる。
(a)上記(2)【0017】には、3個のリール8a,8b,8cの外周面に特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷された帯状テープが貼設され、また、各リール8a,8b,8cは個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてあることが記載されている。
したがって、刊行物1には、個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてあり、外周面に特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷された帯状テープが貼設された3個のリール8a,8b,8cが記載されているといえる。

(b)上記(3)【0019】には、3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させる始動レバー14およびリール8a,8b,8cを個別に停止させる3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cについて記載されている。

(c)上記(1)【請求項1】、上記(4)【0027】、【0028】には、機械内部での抽選処理について記載され、抽選処理を実行する抽選手段は特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボルについての抽選当たりであるかどうかを決定することが記載されているといえる。

(d)上記(1)【請求項1】には、リールの始動とリールの停止を制御する制御装置について記載され、これらは、上記(b)の始動レバー14および3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cの操作に基づいているといえる。そして、上記(2)【0017】には各リール8a,8b,8cは個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてあることが記載されており、リールの始動、停止を制御するのはステッピングモータの制御手段によることは明らかである。
したがって、刊行物1には、始動レバー14および3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cの操作に基づき、ステッピングモータ9a,9b,9cの駆動を制御して、各リール8a,8b,8cの始動、停止を制御させるモータ制御手段について記載されているといえる。

(e)上記(8)【0044】には、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、遊技者が、いずれかの停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作するとリールが停止することが記載されている。リールが定常速度で回転している状態とは、上記(d)のステッピングモータが駆動開始し定常速度で回転駆動している状態を示している。
したがって、刊行物1には、ステッピングモータが駆動開始し定常速度で回転駆動している状態において停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作するとリールが停止することが記載されているといえる。

(f)上記(8)【0044】には、停止釦スイッチ15a,15b,15cの停止動作において、特別抽選当たりや通常抽選当たりがあったときは、特別入賞シンボルや通常入賞シンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御され、全てのリール8a,8b,8cが停止し、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立したかどうかが判定されることが記載されている。また、(8)【0045】には入賞判定の結果、特別入賞や通常入賞が成立していれば遊技者に対して所定のメダル枚数の配当を行うことが記載されている。
したがって、刊行物1には停止釦スイッチの停止動作により各リールが停止し、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立した場合、所定のメダル枚数の配当を行うことが記載されているといえる。

(g)上記(6)の【0041】、【0042】には、始動レバー14を操作しゲームが開始すると、告知動作を行うか否かが決定されることが記載されている。
また、上記(5)【0030】には、告知動作態様を行う場合、まず、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、この告知動作の告知期間中は、全てのリール8a,8b,8cについての遊技者によるリール停止操作は無効化され、遊技者がどの停止釦スイッチ15a?15cを操作しても、対応するリールは停止しないことが記載されている。
したがって、刊行物1には、始動レバー14を操作しゲームが開始し、告知動作の告知期間中は、停止釦スイッチ15a?15cを操作しても無効化し、告知動作態様は、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させるスロットマシンが記載されているといえる。

(h)上記(7)【0043】には、告知動作を行わない場合は、ST7の判定が「NO」となってST26へ進み、CPU41は、3個の停止操作表示ランプ22a?22cを点灯させ、3個のリール8a,8b,8cを定常速度で一斉に回転させることが記載されている。そして、上記(8)【0044】には、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、遊技者が、いずれかの停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると、ST17の判定は「YES」であり、該当する停止操作表示ランプが消灯し、かつ該当するリールが停止することが記載されている。
そして、上記(d)のとおり各リールの制御はモータ制御手段が行い、また、上記(g)のとおり、始動レバー14を操作しゲームが開始されることは当然のことである。
以上より刊行物1には、モータ制御手段は告知動作を行わない場合は、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると該リールは停止することが記載されているといえる。

(i)上記(5)【0030】には、告知動作態様を行う場合、まず、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、この告知動作の告知期間中は、全てのリール8a,8b,8cについての遊技者によるリール停止操作は無効化され、遊技者がどの停止釦スイッチ15a?15cを操作しても、対応するリールは停止しないことが記載されている。
また、上記(7)【0043】には、告知動作の完了に要する時間が経過すると3個のリール8a,8b,8cを定常速度で回転させた後、3個の停止操作表示ランプ22a?22cを点滅から点灯へ移行させ(ST14,15)、停止釦スイッチ15a?15cの操作に待機する状態、すなわち停止操作が有効となる状態を形成することが記載されている。
以上より刊行物1には、告知動作態様を行う場合、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させ、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、告知動作の完了に要する時間が経過すると停止操作が有効となる状態を形成することが記載されているといえる。

上記(1)?(8)に記載された事項及び(a)?(i)の認定事項を総合すれば、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?iについて当審において分説した)。

「a 個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてあり、外周面に特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷された帯状テープが貼設された3個のリール8a,8b,8cと、

b 3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させる始動レバー14およびリール8a,8b,8cを個別に停止させる3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cと、

c 特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボルについての抽選当たりであるかどうかを決定する抽選処理を実行する抽選手段と、

d 始動レバー14および3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cの操作に基づき、ステッピングモータ9a,9b,9cの駆動を制御して、各リール8a,8b,8cの始動、停止を制御させるモータ制御手段を備え、

e ステッピングモータが駆動開始し定常速度で回転駆動している状態において停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作するとリールが停止し、

f 停止釦スイッチの停止動作により各リールが停止し、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立した場合、所定のメダル枚数の配当を行うとともに、

g 始動レバー14を操作しゲームが開始しても、告知動作の告知期間中は、停止釦スイッチ15a?15cを操作しても無効化し、告知動作態様は、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させるスロットマシンにおいて、

h 前記モータ制御手段は、告知動作を行わない場合、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると該リールは停止し、

i 告知動作態様を行う場合、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させ、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、告知動作の完了に要する時間が経過すると停止操作が有効となる状態を形成するスロットマシン。」

5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の「個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9c」は、本願発明の「複数の駆動モータ」に相当する。そして、引用発明の「外周面に特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷された帯状テープが貼設された3個のリール8a,8b,8c」は、本願発明の「表面に複数の図柄が表示された複数の回転リール」に相当する。また、駆動モータと回転リールとの関係において、引用発明の「組み付け」ることは、本願発明の「軸着」することと技術的に同じである。

(b)引用発明の「3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させる始動レバー14」と「リール8a,8b,8cを個別に停止させる3個の停止釦スイッチ15a,15b,15c」は、それぞれ本願発明の「回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチ」と、「回転中の前記回転リールを個々に停止させるためのストップスイッチ」に相当する。

(c)引用発明の「特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボル」は、本願発明の「複数の図柄の組み合わせからなる役」に相当するから、引用発明の「特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボルについての抽選当たりであるかどうかを決定する抽選処理を実行する抽選手段」は、本願発明の「複数の図柄の組み合わせからなる役について当選か否かの役抽選を行うための当選抽選手段」に相当する。

(d)引用発明の「始動レバー14および3個の停止釦スイッチ15a,15b,15cの操作に基づき、ステッピングモータ9a,9b,9cの駆動を制御して、各リール8a,8b,8cの始動、停止を制御させるモータ制御手段」は、本願発明の「スタートスイッチ及びストップスイッチの操作に基づき、前記各駆動モータの駆動及び駆動停止を制御して前記回転リールを回転又は回転停止させるためのモータ制御手段」に相当する。

(e)引用発明の「ステッピングモータが駆動開始し定常速度で回転駆動している状態において停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作するとリールが停止し、」は、定常速度で回転駆動している状態において停止釦スイッチ15a,15b,15cの押操作が有効になることを前提としている。したがって、引用発明の上記構成は、本願発明の「駆動モータが駆動開始し、前記駆動モータが駆動を開始した後に前記ストップスイッチの操作を有効とし」に相当する。
しかし、引用発明には、本願発明の「今回の遊技において、前回の遊技開始から所定の遊技制限時間が経過していない場合には、スタートスイッチが操作されても前記各駆動モータが駆動開始しないように形成され、前記遊技制限時間の経過を条件に、」に関する構成は特定されていない。

(f)引用発明の「各リールが停止し、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立した場合」は本願発明の「回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合」に相当し、引用発明の「所定のメダル枚数の配当を行う」ことは本願発明の「所定の利益が付与される」ことに相当する。
したがって、引用発明の「停止釦スイッチの停止動作により各リールが停止し、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立した場合、所定のメダル枚数の配当を行う」ことは、本願発明の「ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合に、所定の利益が付与される」ことに相当する。

(g)引用発明の3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、「第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させる」「告知動作態様」は、本願発明の「回転リールの回転態様による回胴演出」に相当する。そして、引用発明は「始動レバー14を操作しゲームが開始し、告知動作の告知期間中は、停止釦スイッチ15a?15cを操作しても無効化」するから、本願発明と同様に「スタートスイッチの操作後、前記ストップスイッチの操作を有効とするまでの間に、前記回転リールの回転態様による回胴演出を実行可能に形成」するものである。また、引用発明の「スロットマシン」は本願発明の「遊技機」に相当するものである。

(h)引用発明の「告知動作を行わない場合」は、本願発明の「回胴演出が行われない通常回転時」に相当する。また、引用発明の「3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態」はあらかじめ定められた定常速度に関するデータを基に通常回転制御される状態であることは明らかである。そうすると、引用発明の「始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態」は本願発明の「スタートスイッチの操作後、」「あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを制御して通常回転を行わせ」る状態に相当する。そして、引用発明の「停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると該リールは停止し、」は、停止釦スイッチが有効になったことを意味する。
したがって、引用発明の「前記モータ制御手段は、告知動作を行わない場合、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cが定常速度で回転している状態において、停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作すると該リールは停止し、」と、本願発明の「前記モータ制御手段は、前記回胴演出が行われない通常回転時においては、前記スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件に、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを制御して通常回転を行わせ、前記ストップスイッチの操作を有効とし、」とは、「前記モータ制御手段は、前記回胴演出が行われない通常回転時においては、前記スタートスイッチの操作後、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを制御して通常回転を行わせ、前記ストップスイッチの操作を有効とし、」た点で共通している。

(i)上記(h)の対比を前提として対比する。引用発明の「告知動作を行う場合」は、本願発明の「回胴演出が行われる回動演出実行時」に相当する。そして、引用発明の「始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させ」は、上記(h)を参照すると、本願発明の「スタートスイッチの操作後、」「あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを通常回転と同様に制御し、」に相当する。
また、引用発明の「第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、」は回動演出の一種であるから、引用発明の「第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、告知動作の完了に要する時間が経過すると停止操作が有効となる」は、本願発明の「その後回胴演出制御データに基づき前記駆動モータを回胴演出を行うように制御し、回胴演出の終了後に、前記ストップスイッチの操作を有効とする」に相当する。
したがって、引用発明の「告知動作態様を行う場合、始動レバー14を操作した後、3個のリール8a,8b,8cを一斉に定常速度で短時間回転させた後、第2のリール8bの回転を一瞬間停止させ、引き続き、第2のリール8bを定常速度で再回転させ、告知動作の完了に要する時間が経過すると停止操作が有効となる」と、本願発明の「前記回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、前記スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件に、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを通常回転と同様に制御し、その後回胴演出制御データに基づき前記駆動モータを回胴演出を行うように制御し、回胴演出の終了後に、前記ストップスイッチの操作を有効とする」とは、「回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、前記スタートスイッチの操作後、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを通常回転と同様に制御し、その後回胴演出制御データに基づき前記駆動モータを回胴演出を行うように制御し、回胴演出の終了後に、前記ストップスイッチの操作を有効とする」点で共通する。

そうすると、両者は、
「A 複数の駆動モータにそれぞれ軸着され、表面に複数の図柄が表示された複数の回転リールと、
B 前記回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるためのストップスイッチと、
C 複数の図柄の組み合わせからなる役について当選か否かの役抽選を行うための当選抽選手段と、
D 前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作に基づき、前記各駆動モータの駆動及び駆動停止を制御して前記回転リールを回転又は回転停止させるためのモータ制御手段とを少なくとも備え、
E’前記駆動モータが駆動開始し、前記駆動モータが駆動を開始した後に前記ストップスイッチの操作を有効とし、
F 前記ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合に、所定の利益が付与されるとともに、
G 前記スタートスイッチの操作後、前記ストップスイッチの操作を有効とするまでの間に、前記回転リールの回転態様による回胴演出を実行可能に形成された遊技機において、
H’前記モータ制御手段は、
前記回胴演出が行われない通常回転時においては、前記スタートスイッチの操作後、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを制御して通常回転を行わせ、前記ストップスイッチの操作を有効とし、
I’前記回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、前記スタートスイッチの操作後、あらかじめ定められた通常回転制御データに基づき前記駆動モータを通常回転と同様に制御し、その後回胴演出制御データに基づき前記駆動モータを回胴演出を行うように制御し、回胴演出の終了後に、前記ストップスイッチの操作を有効とすることを特徴とする遊技機。」
である点で一致しており、次の点(構成E、H、Iに関する点)で相違する。

(相違点1)
駆動モータが駆動開始するために、本願発明は「今回の遊技において、前回の遊技開始から所定の遊技制限時間が経過していない場合には、スタートスイッチが操作されても前記各駆動モータが駆動開始しないように形成され、前記遊技制限時間の経過を条件」としたのに対し、引用発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点2)
通常回転時及び回胴演出実行時においては、本願発明は「スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件」に通常回転を行わせるのに対し、引用発明は「スタートスイッチの操作後」に「通常回転を行わせる」ために「前記遊技制限時間の経過を条件」にしていない点。

6.当審の判断
(1)相違点1について
今回の遊技において、前回の遊技開始から所定の遊技制限時間が経過していない場合には、スタートスイッチが操作されても前記各駆動モータが駆動開始しないように形成することは、スロットマシン分野における技術常識である規則でウエイト時間として4.1秒以上が決められていることから当然のことである。
そして、この4.1秒以上のウエイト時間が本願発明の遊技制限時間に相当するものであるから、引用発明にスロットマシンにおける技術常識を考慮して、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点2について
前記相違点1での検討のとおり、「前記遊技制限時間」はウエイト時間であり、スタートスイッチの操作にかかわらず、駆動モータが駆動開始しないように制御される時間である。
そして、前記4.(5)のとおり、引用発明において回動演出を認識できるのは、中央のリールの告知動作態様であり、前記5.(i)での検討のとおり、引用発明においても本願発明と同様に回動演出の前に通常回転と同様に回転制御されている。
そうすると、引用発明において、本願発明と同様に「スタートスイッチの操作後、前記遊技制限時間の経過を条件」に通常回転を行わせるようにし、前記相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

(3)本願発明の効果について
また、本願発明の効果は引用発明及び刊行物1に記載された事項から予測される範囲のものであり格別のものではない。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-29 
結審通知日 2016-08-30 
審決日 2016-09-13 
出願番号 特願2011-47345(P2011-47345)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中槙 利明  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 齋藤 智也
本郷 徹
発明の名称 遊技機  
代理人 黒田 博道  
代理人 特許業務法人太陽国際特許事務所  
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