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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1321055 |
審判番号 | 不服2015-15844 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-08-27 |
確定日 | 2016-11-04 |
事件の表示 | 特願2011-95655号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日出願公開、特開2012-223474号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯の概要 本願は、平成23年4月22日の出願であって、平成26年12月24日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年3月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月27日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月2日)、それに対し、同年8月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2 本願発明 本願の請求項1?4に係る発明は、平成27年3月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである(A?Lについて、本願発明を分説するため当審で付与した。)。 「【請求項1】 A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、 B 遊技毎に規定投入数に相当する遊技媒体の投入を受け付ける投入受付手段と、 C 小役、リプレイ、およびボーナスを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、 D 前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、 E 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、 F 前記小役が入賞した場合に、入賞した小役に対応づけられた配当に基づき遊技媒体を払い出す制御を行う払出制御手段と、 G 前記リプレイが入賞した場合に、遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理を行うリプレイ処理手段と、 H 通常状態において前記ボーナスが当選したことに基づいて遊技状態をボーナス成立状態へ移行させ、ボーナス成立状態において前記ボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス状態へ移行させる制御を行う遊技状態移行制御手段と、 I 前記リプレイの抽選状態を所定条件下で変動させることによって前記リプレイの当選確率を変動させ、前記ボーナス状態の終了を契機としてリプレイの抽選状態を特定抽選状態に設定し、特定抽選状態において所定回数の遊技が行われたことに基づいて特定抽選状態を終了させる制御を行うリプレイ確率変動手段とを備えた遊技機であって、 J 前記小役の配当が規定投入数に応じて設定され、前記通常状態および前記ボーナス成立状態において規定投入数が特定投入数である場合には、規定投入数が特定投入数とは異なる場合よりも前記小役の配当が高くなるように設定されており、 K1 前記投入受付手段が、 リプレイの抽選状態に応じて規定投入数を設定し、リプレイの抽選状態が前記特定抽選状態である場合には規定投入数を前記特定投入数に設定し、 K2 前記ボーナスの入賞に基づいて規定投入数を前記特定投入数に設定し、当該ボーナスの入賞に基づいて遊技状態が前記ボーナス状態に移行してから、当該ボーナス状態の終了後の遊技においてリプレイの抽選状態が前記特定抽選状態に設定されている間は規定投入数を前記特定投入数に維持し、 L 前記リプレイ確率変動手段が、 リプレイの抽選状態が前記特定抽選状態である場合に前記ボーナスが当選しても、当該ボーナスが入賞しない限りは前記所定回数の遊技が行われるまでリプレイの抽選状態を変動させないことを特徴とする遊技機。」 3 刊行物 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-132030号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。 ア 「【0004】 このような回胴式遊技機では、メダルの払い出しに係る内部当籤役が決定される数値の範囲が相対的に大きい内部抽籤テーブルを設け、特定の図柄の組合せが表示窓により表示されることを条件に、この内部抽籤テーブルが選択されて内部当籤役が決定される状態(いわゆるボーナスゲーム)の作動を行うようにしたものが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特公平3-72313号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記従来の回胴式遊技機では、ボーナスゲームの作動が許可されるか否かは内部的な抽籤によってのみ左右されるため、ひとたびボーナスゲームの作動が終了すると、次回のボーナスゲームの作動が開始される時期を予想することが困難であった。このため、次回のボーナスゲームの作動が行われるまでに長い期間が費やされることで獲得したメダルが消費されてしまうリスクを回避すべく、ボーナスゲームの作動が終了するとまもなく席を離れる遊技者も存在する。つまり、ボーナスゲームの作動が終了した後においてもなお遊技者を惹きつける訴求力に乏しく、遊技者の興味を十分に喚起できないという問題があった。 【0006】 そこで、本発明は、訴求力を高めることが可能な回胴式遊技機を提供することを目的とする。」 イ 「【0008】 請求項1に記載の回胴式遊技機は、複数の図柄が夫々の表面に配された複数のリール(例えば、後述のリール3L,3C,3R)と、前記複数のリール毎にその表面に配された図柄を複数表示する図柄表示手段(例えば、後述の表示窓4L,4C,4R)と、遊技者により投入された遊技媒体(例えば、後述のメダル)の値を記憶する遊技媒体記憶手段(例えば、後述のCPU31、後述のRAM33の投入枚数カウンタ、後述のメダル受付・スタートチェック処理)と、開始操作の検出を行う開始操作検出手段(例えば、後述のCPU31、後述のスタートスイッチ6S、後述のメダル受付・スタートチェック処理)と、乱数値を抽出する乱数値抽出手段(例えば、後述のCPU31、後述のリセット割込処理)と、前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値に応じて複数種類の数値の範囲を規定する内部抽籤テーブルを記憶する内部抽籤テーブル記憶手段(例えば、後述のROM32)と、前記開始操作検出手段により行われる開始操作の検出と前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値とに基づいて前記乱数値抽出手段により抽出される乱数値が前記内部抽籤テーブルにより規定される各数値の範囲の何れに属するかの判定に基づいて、内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段(例えば、後述のCPU31、後述の内部抽籤処理)と、前記複数のリールの夫々の回転を行うリール回転手段(例えば、後述のCPU31、後述のステッピングモータ49L,49C,49R、後述のリール制御処理)と、前記複数のリールの種別に応じて停止操作の検出を行う停止操作検出手段(例えば、後述のCPU31、後述のストップスイッチ7S、後述のリール停止制御処理)と、前記停止操作検出手段により行われる停止操作の検出と前記内部当籤役決定手段により決定される内部当籤役とに基づいて該当するリールの回転を停止するリール停止手段(例えば、後述のCPU31、後述のリール停止制御処理)と、前記図柄表示手段により特定の図柄の組合せが表示されると、遊技者にとって有利な状態(例えば、後述のBB)の作動を行う有利状態作動手段(例えば、後述のCPU31、後述のボーナス作動チェック処理)と、を備え、前記内部抽籤テーブル記憶手段は、前記特定の図柄の組合せに係る内部当籤役が決定される数値の範囲(例えば、後述の当籤番号5に対応する数値の範囲)として、前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値が第1の値(例えば、後述の「3」)であるとき、第1の数値の範囲(例えば、後述の「2400?2499」)を規定する一方、前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値が前記第1の値とは異なる第2の値(例えば、後述の「2」)であるとき、前記第1の数値の範囲よりも大きい第2の数値の範囲(例えば、後述の「3020?3269」)を規定する内部抽籤テーブルを記憶しており、前記遊技媒体記憶手段は、前記有利状態作動手段により行われる遊技者にとって有利な状態の作動が終了することを条件に、前記第2の値を上限として、遊技者により投入された遊技媒体の値を記憶することを特徴としている。」 ウ 「【0016】 遊技機1には、後述の主制御回路71などを収容するキャビネット1aとキャビネット1aに対して開閉可能に取り付けられる前面扉1bとが設けられている。キャビネット1aの内部には、3つのリール3L,3C,3Rが横一列に設けられている。各リール3L,3C,3Rの表面には複数種類の図柄がリールの回転方向に連続して配されている。具体的には、各リール3L,3C,3Rの表面には一の図柄に割り当てられる領域が複数(即ち、21個)設けられており、これらの各領域に、後述の各種の図柄が配されている。各リール3L,3C,3Rは、定速で回転(例えば80回転/分)するように後述の主制御回路71により制御され、リール3L,3C,3Rの表面に配された複数の図柄がリールの回転に伴って変動する。」 エ 「【0020】 液晶表示装置5の下方には、略水平面の台座部10が形成されている。台座部10の右側にはメダル投入口22が設けられ、台座部10の左側には1-ベットボタン11、2-ベットボタン12及び最大ベットボタン13が設けられている。基本的に、メダル投入口22にメダルが放り込まれること、及び、ベットボタン11,12,13に対する押圧操作に基づいて、メダルが投入され、上記入賞ライン8a?8eが有効化される(有効化された入賞ラインを以下、有効ラインという)。有効ラインは、後述の利益の付与に係る図柄の組合せが表示されたか否かの判定(言い換えると、いわゆる入賞が成立したか否かの判定)を行う対象となる。尚、本実施の形態では、遊技媒体としてメダルを使用するが、これに限らず、コイン、遊技球又はトークンなどの他、メダルの数量等の情報を記憶したカード等も適用可能である。また、台座部10の中央には、7セグメントLEDから成り、遊技機1に投入されるメダルの枚数(以下、「投入枚数」という)や遊技者に対して払い出されるメダルの枚数(以下、「払出枚数」という)などを表示する情報表示部18が設けられている。」 オ 「【0041】 次に、図5を参照して、ROM32に記憶されている内部抽籤テーブルについて説明する。 【0042】 内部抽籤テーブルでは、各当籤番号に応じて割り当てられた乱数値の下限値及び上限値(即ち、下限値以上、且つ上限値以下の数値の範囲)が規定されている。当籤番号は、内部抽籤テーブルに規定される複数の数値の範囲を識別するためのデータであり、後述の内部当籤役の決定等を行う際に用いられるデータである。本実施の形態では、「0?65535」の範囲から抽出された一の乱数値が、内部抽籤テーブルにより規定される各数値範囲の何れに属するかの判定が行われ、この結果、該当する当籤番号が決定される。尚、抽出された乱数値が、内部抽籤テーブルにより規定される各数値範囲の何れにも属さなければ、当籤番号が0に決定される。また、各当籤番号の当籤確率は、「各当籤番号に規定された上限値と下限値との差に1を加えた数(即ち、数値範囲の大きさであり、図中における幅と等しい)/抽出される可能性のある全ての乱数値の個数(即ち65536)」により算出することができる。 【0043】 図5の(1)は、一般遊技状態用内部抽籤テーブルを示す。一般遊技状態用内部抽籤テーブルでは、投入枚数(即ち、2又は3)毎に、当籤番号1?当籤番号6に応じた数値の範囲が規定されている。一般遊技状態用内部抽籤テーブルにおいて、投入枚数が「2」のとき(これは第2の値に相当する)では、投入枚数が「3」のとき(これは第1の値に相当する)と比べて、後述のメダルの払い出しに係る当籤番号(当籤番号1?当籤番号3)の当籤確率が低く規定されている一方で、後述のビッグボーナス(以下、「BB」と略記する)の作動に係る当籤番号の当籤確率(当籤番号5及び当籤番号6)が高く規定されている。 【0044】 図5の(2)は、レギュラーボーナス(以下、「RB」と略記する)遊技状態用内部抽籤テーブルを示す。RB遊技状態用内部抽籤テーブルでは、当籤番号1?当籤番号3に応じた数値の範囲が規定されている。また、RB遊技状態用内部抽籤テーブルでは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルと比べて、当籤番号2(後述のベル)の当籤確率が高い構成となっている。 【0045】 次に、図6を参照して、ROM32に記憶されている内部当籤役決定テーブルについて説明する。 【0046】 内部当籤役決定テーブルには、各当籤番号に応じて、後述の1バイトからなる内部当籤役格納領域に格納されるフラグデータが規定されている。当該データは、乱数値に基づいた内部的な抽籤の結果として取得されるものであり、本実施の形態では、当該データを説明の便宜上「内部当籤役」と称す(また、本実施の形態では、図中の「内容」の項に示した名称にて各内部当籤役を区別する)。具体的には、当籤番号0?当籤番号6の夫々に応じて、ハズレ、チェリー、ベル、スイカ、リプレイ、BB2、及びBB1の夫々が内部当籤役として規定されている。 【0047】 次に、図7を参照して、主制御回路71の図柄組合せテーブルについて説明する。 【0048】 本実施の形態では、遊技者に対して表示される図柄の組合せが、図柄組合せテーブルにより規定される予め定められた図柄の組合せと一致する場合に、遊技者に利益が付与される。図柄組合せテーブルには、前述の有効ライン8a?8eに沿って表示されることによって遊技者に対して利益の付与が行われる、予め定められた複数種類の図柄の組合せ(いわゆる入賞に係る図柄の組合せ)と、当該図柄の組合せの種別に応じて、後述の1バイトからなる表示役格納領域に格納されるフラグデータと、払出枚数とが規定されている。本実施の形態では、当該データを説明の便宜上「表示役」と称す(本実施の形態では、図中の「内容」の項に示した名称にて各表示役を区別する)。また、表示役は、前述の各数値範囲と一対一で対応する関係にあり、そのデータの内容の具体的な構成は、前述の内部当籤役と同様である。尚、各有効ライン8a?8eに沿って表示される図柄の組合せが、予め定められた図柄の組合せの何れにも該当しない場合には、表示役として「ハズレ」が決定される。 【0049】 左リール3Lの図柄「チェリー」が左表示窓4L内の上段、中段又は下段に表示されると、残りの中表示窓4C及び右表示窓4Rの夫々に表示される図柄の種別に拘らず、表示役としてチェリーが決定される。各リール3L,3C,3Rの図柄「ベル」が一の有効ラインに沿って表示されると、ベルが決定される。また、各リール3L,3C,3Rの図柄「スイカ」が一の有効ラインに沿って表示されると、スイカが決定される。表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数に応じてメダルの払い出しが行われる。 【0050】 各リール3L,3C,3Rの図柄「リプレイ」が一の有効ラインに沿って表示されると、リプレイが決定される。表示役としてリプレイが決定されると、再遊技の作動が行われる。即ち、これらが表示役として決定されたときの投入枚数と同数のメダルが、次回において、遊技者による投入操作に基づかずに自動的に投入される。従って、次回において、遊技者は所有するメダルを消費する必要がなくなる。 【0051】 各リール3L,3C,3Rの図柄「青7」が一の有効ラインに沿って表示されると、BB2が決定される。表示役としてBB2が決定されると、いわゆるボーナスゲームとしてのBB2の作動が開始される。各リール3L,3C,3Rの図柄「赤7」が一の有効ラインに沿って表示されると、BB1が決定される。表示役としてBB1が決定されると、いわゆるボーナスゲームとしてのBB1の作動が開始される。後述するが、BB1の作動及びBB2の作動が行われると、前述のRB遊技状態用内部抽籤テーブルが決定される。この結果、BBの作動中では、内部当籤役「ベル」の当籤確率が増し、この結果、遊技者に対してメダルの払い出しが行われる機会が増す。」 カ 「【0057】 次に、図9を参照して、RAM33の内部当籤役格納領域の構成について説明する。内部当籤役格納領域の構成と表示役格納領域の構成は、同様の内容となっている。 ・・・ 【0059】 次に、図10を参照して、RAM33の持越役格納領域の構成について説明する。 【0060】 内部抽籤テーブルに基づいてボーナスゲームの作動に係る内部当籤役が決定されると、それを示す識別子(即ち、フラグデータ)がこの持越役格納領域に格納される。持越役格納領域では、前述の内部当籤役格納領域と同様に、ビット4がBB2に対応し、ビット5がBB1に対応している(ビット0?ビット3、ビット6及びビット7は未使用)。また、持越役格納領域に格納された識別子は、ボーナスゲームの作動が開始されることによりクリアされる。即ち、ボーナスゲームの作動に係る内部当籤役が決定されると、そのボーナスゲームの作動が開始されるまでの間、その識別子が記憶される構成となっている(いわゆる「持ち越し」と称され、格納されている識別子は「持越役」と称される)。そして、持越役格納領域に識別子が格納されている間は、抽出される乱数値にかかわらず、その格納されている識別子は内部当籤役として決定されるようになっている。また、持越役は、内部当籤役に基づいて決定されることから、内部当籤役の下位概念とも言える。」 キ 「【0071】 次に、図13を参照して、ボーナス作動監視処理について説明する。 【0072】 初めに、CPU31は、BB1作動中フラグ又はBB2作動中フラグはオンであるか否かを判別する(ステップS31)。CPU31は、BB1作動中フラグ又はBB2作動中フラグはオンではないと判別したときには、ボーナス作動監視処理を終了し、BB1作動中フラグ又はBB2作動中フラグはオンであると判別したときには、RB作動中フラグはオンであるか否かを判別する(ステップS32)。CPU31は、RB作動中フラグはオンであると判別したときには、ボーナス作動監視処理を終了し、RB作動中フラグはオンではないと判別したときには、ボーナス作動時テーブルに基づいてRB作動時処理を行う(ステップS33)。つまり、本実施の形態では、BBの作動が行われている間、RBの作動が連続的に行われる構成であり、後述の内部抽籤処理においてRB遊技状態用内部抽籤テーブルに基づいて内部当籤役が決定される。この処理が終了すると、ボーナス作動監視処理を終了する。 ・・・ 【0076】 尚、図示は省略しているが、ステップS51の後において、自動投入カウンタは0であるか否かを判別し、当該カウンタが0ではないと判別したときに、自動投入カウンタを投入枚数カウンタに複写する処理が行われる。自動投入カウンタは、表示役としてリプレイが決定されたときに、投入枚数カウンタの数値が複写される。そして、この処理が行われると、後述のメダル通過禁止を行い、スタートスイッチはオンか否かの判別に移る。 ・・・ 【0078】 次に、CPU31は、投入枚数カウンタは最大値であるか否かを判別する(ステップS64)。CPU31は、投入枚数カウンタは最大値ではないと判別したときには、ステップS57に移り、投入枚数カウンタは最大値であると判別したときには、スタートスイッチ6Sはオンであるか否かを判別する(ステップS65)。即ち、投入枚数カウンタが予め定めた最大値と一致することを条件に、スタートレバー6に対する傾動操作の検出が受け付けられる。即ち、RB作動中フラグがオンのときは「1」であること、BB1作動終了後フラグがオンのときは「2」であること、何れもオフのときは「3」であることを条件に、開始操作の検出が受け付け可能となる。尚、開始操作検出手段は、有利状態作動手段により行われる遊技者にとって有利な状態の作動が終了すると、遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値が第2の値であることを条件に、開始操作の検出を受け付けることを特徴としている。CPU31は、スタートスイッチ6Sはオンではないと判別したときには、ステップS57に移り、スタートスイッチ6Sはオンであると判別したときには、メダル通過禁止を行う(ステップS66)。具体的には、以降、セレクタ(図示せず)のソレノイドの駆動を行わず、メダルの排出を促す。この処理が終了すると、メダル受付・スタートチェック処理を終了する。 【0079】 次に、図15を参照して、内部抽籤処理について説明する。 【0080】 初めに、CPU31は、一般遊技状態用内部抽籤テーブルをセットし、抽籤回数として6をセットする(ステップS81)。次に、CPU31は、RB作動中フラグはオンであるか否かを判別する(ステップS82)。CPU31は、RB作動中フラグはオンであると判別したときには、RB遊技状態用内部抽籤テーブルに変更し、抽籤回数を3に変更する(ステップS83)。CPU31は、RB作動中フラグはオンではないと判別したときには、持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータが格納されているか否かを判別する(ステップS84)。CPU31は、持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータが格納されていると判別したときには、抽籤回数を4に変更する(ステップS85)。この処理により、持越役が存在するときには、BB1及びBB2が重ねて決定されないようになる。CPU31は、ステップS85の後、ステップS83の後、又はステップS84において持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータが格納されていないと判別したときには、抽籤回数と同じ値を当籤番号としてセットする(ステップS86)。 【0081】 次に、CPU31は、乱数値格納領域に格納されている乱数値と、投入枚数カウンタ及びセットされている当籤番号に応じた下限値及び上限値とを比較する(ステップS87)。次に、CPU31は、乱数値は下限値以上、且つ上限値以下であるか否かを判別する(ステップS88)。CPU31は、ステップS88において乱数値は下限値以上、且つ上限値以下であると判別したときには、内部当籤役決定テーブルを参照し、当籤番号に基づいて内部当籤役を決定する(ステップS89)。次に、CPU31は、内部当籤役はBB1又はBB2であるか否かを判別する(ステップS90)。CPU31は、内部当籤役はBB1又はBB2であると判別したときには、持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータを格納する(ステップS91)。 【0082】 CPU31は、ステップS91の後、又はステップS90において内部当籤役はBB1又はBB2ではないと判別したときには、内部当籤役と持越役格納領域の論理和を内部当籤役格納領域に格納する(ステップS92)。CPU31は、ステップS92の後、又はステップS88において乱数値は下限値以上、且つ上限値以下ではないと判別したときには、抽籤回数を1減算する(ステップS93)。次に、CPU31は、抽籤回数は0であるか否かを判別する(ステップS94)。CPU31は、抽籤回数は0ではないと判別したときには、ステップS86に移り、抽籤回数は0であると判別したときには、内部当籤役格納領域と持越役格納領域の論理和を内部当籤役格納領域に格納する(ステップS95)。この処理が終了すると、内部抽籤処理を終了する。」 ク 「【0094】 次に、図19を参照して、主制御回路71のCPU31の制御により行われる、1.1173ms周期の割込処理について説明する。 【0095】 初めに、CPU31は、レジスタの退避を行う(ステップS191)。次に、CPU31は、入力ポートチェック処理を行う(ステップS192)。具体的には、CPU31は、各スイッチなどからの信号の入力などをチェックする。次に、CPU31は、リール制御処理を行う(ステップS193)。具体的には、リールの回転開始要求がされたときは、リール3L,3C,3Rの回転が開始され、その後一定速度での回転が行われる。また、停止予定位置が格納されたときは、該当リールの図柄カウンタが停止予定位置と同一の値に更新されるのを待って、その回転の減速及び停止が行われる。例えば、図柄カウンタが「0」であり、停止予定位置が「4」であれば、図柄カウンタが「4」に更新されたときにリールの回転が停止される。次に、CPU31は、ランプ・7SEG駆動処理を行う(ステップS194)。具体的に、情報表示部18への払出枚数の表示などの処理が行われる。次に、CPU31は、レジスタの復帰を行う(ステップS195)。この処理が終了すると、1.1173ms周期の割込処理を終了する。 【0096】 尚、本実施の形態では、図1?図19を参照して説明したように、BB1の作動が終了すると、BB2の作動が開始されるまで、投入枚数カウンタの最大値が基本値「3」よりも小さい数値「2」に変更される構成(以下、第1の実施の形態という)を採用したが、本発明はこれに限らず、例えば、BB1の作動が終了すること、又は、BB2の作動が終了することを条件に、予め定められた遊技回数にわたって内部当籤役として「リプレイ」が決定される確率が相対的に高い状態(これをリプレイタイムといい、以下、「RT」と略記する)の作動を行い、当該RTの作動が行われている間、投入枚数カウンタの最大値が「2」に変更される構成(以下、第2の実施の形態という)を採用しても良い。以下では、第2の実施の形態における遊技機1について、図20?図23を参照して説明する。また、以下では、主として、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。 【0097】 まず、図20を参照して、一般遊技状態用内部抽籤テーブルについて説明する。 【0098】 第2の実施の形態における一般遊技状態用内部抽籤テーブルでは、再遊技の作動に係る当籤番号4の数値範囲は、投入枚数が「3」のときでは「11000?19979(幅:8980)」に規定されているのに対し、投入枚数が「2」のときでは「3420?57699(幅:54280)」に規定されている。即ち、後述するが、RTの作動が行われ、投入枚数が「3」から「2」に変更されると、内部当籤役としてリプレイが決定される確率が増大する。また、内部当籤役としてBB1及びBB2が決定される確率は、第1の実施の形態と同様、投入枚数が「3」のときよりも投入枚数が「2」のときの方が高い。 【0099】 次に、図21を参照して、メダル受付・スタートチェック処理について説明する。 【0100】 初めに、CPU31は、メダル通過許可を行う(ステップS251)。次に、CPU31は、投入枚数カウンタの最大値を「3」にセットする(ステップS252)。次に、CPU31は、RB作動中フラグはオンであるか否かを判別する(ステップS253)。CPU31は、RB作動中フラグはオンであると判別したときには、投入枚数カウンタの最大値を「1」に変更する(ステップS254)。CPU31は、RB作動中フラグはオンではないと判別したときには、RT遊技数カウンタは1以上であるか否かを判別する(ステップS255)。CPU31は、RT遊技数カウンタは1以上である(即ち、RTの作動中である)と判別したときには、投入枚数カウンタの最大値を「2」に変更する(ステップS256)。このように、RTの作動が行われている間、投入枚数カウンタの最大値が「2」にセットされる。 ・・・ 【0102】 CPU31は、ステップS258において投入枚数カウンタは最大値であると判別したときには、クレジットカウンタを1加算する(ステップS262)。次に、CPU31は、ステップS262の後、ステップS261の後、又はステップS257においてメダルが通過していないと判別したときには、ベットスイッチのチェックを行う(ステップS263)。具体的には、ベットスイッチ11S,12S,13Sがオンである場合は、その種別が特定され、投入枚数カウンタが更新される。 ・・・ 【0104】 次に、図22を参照して、ボーナス作動チェック処理について説明する。 【0105】 初めに、CPU31は、表示役はBB1又はBB2であるか否かを判別する(ステップS351)。CPU31は、表示役はBB1又はBB2であると判別したときには、表示役とボーナス作動時テーブルに基づいてBB作動時処理を行う(ステップS352)。次に、CPU31は、RT遊技数カウンタをクリアする(ステップS353)。即ち、RTの作動はBBの作動が開始されることを条件に終了する。次に、CPU31は、副制御回路72に対してボーナス開始コマンドを送信する(ステップS354)。この処理が終了すると、ボーナス作動チェック処理を終了する。 【0106】 次に、図23を参照して、ボーナス終了チェック処理について説明する。 【0107】 初めに、CPU31は、入賞が成立したか否かを判別する(ステップS371)。CPU31は、入賞が成立したと判別したときには、ボーナス終了枚数カウンタは0であるか否かを判別する(ステップS372)。CPU31は、ボーナス終了枚数カウンタは0であると判別したときには、RT遊技数カウンタに500を格納する(ステップS373)。即ち、BBの作動が終了することを条件に、RTの作動が開始される。次に、CPU31は、BB終了時処理を行う(ステップS374)。次に、CPU31は、副制御回路72に対してボーナス終了コマンドを送信する(ステップS375)。この処理が終了すると、ボーナス終了チェック処理を終了する。 ・・・ 【0112】 以上、本実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、本発明の回胴式遊技機が備える、リール、図柄表示手段、遊技媒体記憶手段、開始操作検出手段、乱数値抽出手段、内部抽籤テーブル記憶手段、内部当籤役決定手段、リール回転手段、停止操作検出手段、リール停止手段、有利状態作動手段などの具体的構成については前述した本実施の形態の各要素に限らず任意に変更可能である。 【0113】 尚、本実施の形態では、第1の値として「3」を、第2の値として「2」を適用し、第2の値を第1の値よりも小さい値としたが、本発明はこれに限らず、大きい値としても良い。」 ケ 上記イの【0008】、クの【0099】、【0100】、【0102】、及び、上記キの【0078】の記載によると、刊行物には、CPU31が、投入枚数カウンタが予め定めた最大値と一致すること(RB作動中フラグがオンのときは「1」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われている間は「2」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われていない間は「3」であること)を条件に、開始操作の検出を受け付け可能とするメダル受付・スタートチェック処理を実行することが示されているものと認められる。 コ 【図7】の図柄組合せテーブルには、投入枚数として「2」と「3」が設定されている。そして、【図5】に図示された内部抽籤テーブルのうち、投入枚数として「2」と「3」が設定されているのは、一般遊技状態用内部抽籤テーブルである。そうすると、【図7】の図柄組合せテーブルは、【図5】のうちの一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対応するものといえる。 したがって、上記オの【0047】?【0049】の記載事項、及び、【図5】、【図7】の図示内容によると、刊行物には、一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対応するものであって、表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数が2枚のときは、投入枚数が3枚のときよりも払出枚数が多くなるように規定され(それぞれ、6枚→3枚、12枚→10枚、10枚→6枚)た図柄組合せテーブルを備えることが示されているものと認められる。 サ 上記ア?クの記載事項、上記ケ、コの認定事項から、刊行物1には、第2の実施の形態を中心に以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(本願発明の構成A?Lに対して、a?lと分説する。)。 「a 各リールの表面に複数種類の図柄がその回転方向に連続して配されている、3つのリール3L,3C,3Rが設けられ(【0016】)、 b CPU31は、投入枚数カウンタが予め定めた最大値と一致すること(RB作動中フラグがオンのときは「1」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われている間は「2」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われていない間は「3」であること)を条件に、開始操作の検出を受け付け可能とするメダル受付・スタートチェック処理を実行し(【0008】、【0099】、【0100】、【0102】、【0078】、認定事項ケ)、 c 内部当籤役決定テーブルに規定されている、ハズレ、チェリー、ベル、スイカ、リプレイ、BB2、及びBB1の内部当籤役の何れに属するかの判定に基づいて、内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段(内部抽籤処理を行うCPU31、【0008】、【0046】)を備え、 d リールの回転開始要求がされたときに複数のリールの夫々の回転を行うリール回転手段と、停止操作の検出と内部当籤役決定手段により決定される内部当籤役とに基づいて該当するリールの回転を停止するリール停止手段(リール制御処理、リール停止制御処理を行うCPU31、【0008】、【0095】)を備え、 e CPU31は、有効ラインに利益の付与に係る図柄の組合せが表示されたか否かの判定により、入賞が成立したか否かを判別し(【0020】、【0107】)、 f 表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数に応じてメダルの払い出しが行われ(【0049】)、 g 表示役としてリプレイが決定されると、自動投入カウンタに投入枚数カウンタの数値が複写され、再遊技の作動が行われ(【0050】、【0076】)、 j 一般遊技状態において、予め定められた最大値である投入枚数(即ち、2又は3)毎に、当籤番号1?当籤番号6に応じた数値の範囲が規定されている一般遊技状態用内部抽籤テーブル(認定事項ケ、【0098】、【0043】)と、RB遊技状態において、投入枚数が1枚の場合について、当籤番号1?当籤番号3に応じた数値の範囲が規定されているRB遊技状態用内部抽籤テーブル(【0044】)と、当籤番号0?当籤番号6の夫々に応じて、ハズレ、チェリー、ベル、スイカ、リプレイ、BB2、及びBB1の夫々が内部当籤役として規定されている内部当籤役決定テーブル(【0046】)とを備え、 h CPU31は、 内部当籤役がBB1又はBB2であると判別したときには、持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータ(持越役)を格納し(ステップS91)(【0081】)、持越役が格納されている間(「持ち越し」状態)は、抽出される乱数値にかかわらず、その格納されている持越役を内部当籤役として決定し(【0060】)、表示役がBB1又はBB2であると判別したときには、表示役とボーナス作動時テーブルに基づいてBB作動時処理を行い(ステップS352)(【0105】)、BB1の作動及びBB2の作動が行われると、RB遊技状態用内部抽籤テーブルが決定され(【0051】)、 i BB1の作動が終了すること、又は、BB2の作動が終了することを条件に、500回にわたって内部当籤役として「リプレイ」が決定される確率が相対的に高い状態(「RT」)の作動を行う(【0096】、【0107】)遊技機であって、 j 一般遊技状態用内部抽籤テーブルに対応するものであって、表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数が2枚のときは、投入枚数が3枚のときよりも払出枚数が多くなるように設定され(それぞれ、6枚→3枚、12枚→10枚、10枚→6枚)(認定事項コ)た図柄組合せテーブルを備え、 l CPU31は、RTの作動をBBの作動が開始されることを条件に終了させる(【0105】) 遊技機。」 4 対比 本願発明(A?L)と刊行物発明(a?l)とを(a)?(l)において対比する。 (a)刊行物発明における「各リールの表面に複数種類の図柄がその回転方向に連続して配されている、3つのリール3L,3C,3R」は、本願発明における「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール」に相当する。 (b)刊行物発明における「投入枚数カウンタが予め定めた最大値と一致すること(RB作動中フラグがオンのときは「1」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われている間は「2」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われていない間は「3」であること)を条件に、開始操作の検出を受け付け可能とするメダル受付・スタートチェック処理を実行」する「CPU31」と、本願発明における「遊技毎に規定投入数に相当する遊技媒体の投入を受け付ける投入受付手段」とを対比する。 刊行物発明における「予め定めた最大値」「1」?「3」は、「RB作動中フラグがオンのとき」か、「RB作動中フラグがオンではないときに、RTの作動が行われている間」であるか、「RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われていない間」であるかといった遊技状態に応じて設定される、遊技機が受け付け可能なメダルの投入枚数であることから、本願発明の遊技毎に受付ける遊技媒体の数である「規定投入数」に相当する。 したがって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「遊技毎に規定投入数に相当する遊技媒体の投入を受け付ける投入受付手段」としての機能を有するものである。 (c)刊行物発明における「内部当籤役決定テーブルに規定されている、ハズレ、チェリー、ベル、スイカ、リプレイ、BB2、及びBB1の内部当籤役の何れに属するかの判定に基づいて、内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段(内部抽籤処理を行うCPU31)」と、本願発明における「小役、リプレイ、およびボーナスを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段」とを対比する。 刊行物発明における「チェリー、ベル、スイカ」、「リプレイ」、「BB2、及びBB1」、「内部当籤役」は、それぞれ、本願発明における「小役」、「リプレイ」、「ボーナス」、「役」に相当する。 そして、刊行物発明の「内部当籤役」の「決定」は、「抽籤処理」によるものであるから、本願発明の「役の当否を決定する内部抽選を行う」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「内部当籤役決定手段」は、本願発明における「内部抽選手段」に相当する。 (d)刊行物発明における「リールの回転開始要求がされたときに複数のリールの夫々の回転を行うリール回転手段と、停止操作の検出と内部当籤役決定手段により決定される内部当籤役とに基づいて該当するリールの回転を停止するリール停止手段(リール制御処理、リール停止制御処理を行うCPU31)」と、本願発明における「複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段」とを対比する。 刊行物発明における「リールの回転開始要求がされたときに複数のリールの夫々の回転を行う」ことは、「リールの回転開始要求」が一遊技毎になされるものであることは明らかであるから、本願発明における「複数のリールを遊技毎に回転させ」ることに相当する。 そして、刊行物発明における「停止操作の検出と内部当籤役決定手段により決定される内部当籤役とに基づいて該当するリールの回転を停止する」ことは、本願発明における「停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行う」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「リール回転手段」と「リール停止手段」とを併せたものは、本願発明における「リール制御手段」に相当する。 (e)刊行物発明における「有効ラインに利益の付与に係る図柄の組合せが表示されたか否かの判定により、入賞が成立したか否かを判別」する「CPU31」と、本願発明における「複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段」とを対比する。 刊行物発明における「有効ラインに利益の付与に係る図柄の組合せが表示された」ことは、本願発明における「複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたこと」に相当する。 そして、刊行物発明における「入賞が成立したか否かを判別」することは、本願発明における「役が入賞したと判定する」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「入賞判定手段」としての機能を有するものである。 (f)刊行物発明における「表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数に応じてメダルの払い出しが行われ」ることと、本願発明における「小役が入賞した場合に、入賞した小役に対応づけられた配当に基づき遊技媒体を払い出す制御を行う払出制御手段」を備えることとを対比する。 刊行物発明における「表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定される」ことは、本願発明における「小役が入賞した場合」に相当する。 そして、刊行物発明における「投入枚数に応じてメダルの払い出しが行われ」ることは、本願発明における「入賞した小役に対応づけられた配当に基づき遊技媒体を払い出す制御を行う」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数に応じてメダルの払い出しが行われ」ることは、本願発明における「小役が入賞した場合に、入賞した小役に対応づけられた配当に基づき遊技媒体を払い出す制御を行う払出制御手段」を備えることに相当する。 (g)刊行物発明における「表示役としてリプレイが決定されると、自動投入カウンタに投入枚数カウンタの数値が複写され、再遊技の作動が行われ」ることと、本願発明における「リプレイが入賞した場合に、遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理を行うリプレイ処理手段」を備えることとを対比する。 刊行物発明における「自動投入カウンタに投入枚数カウンタの数値が複写され」ることは、遊技機にメダルが投入されていないにもかかわらず、遊技機にメダルが投入されたときと同じ数値を自動投入カウンタに書き込むことであるから、本願発明における「遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせる」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「表示役としてリプレイが決定されると、自動投入カウンタに投入枚数カウンタの数値が複写され、再遊技の作動が行われ」ることは、本願発明における「リプレイが入賞した場合に、遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理を行うリプレイ処理手段」を備えることに相当する。 (h)刊行物発明における「内部当籤役がBB1又はBB2であると判別したときには、持越役格納領域にBB1又はBB2を示すデータ(持越役)を格納し、持越役が格納されている間(「持ち越し」状態)は、抽出される乱数値にかかわらず、その格納されている持越役を内部当籤役として決定し、表示役がBB1又はBB2であると判別したときには、表示役とボーナス作動時テーブルに基づいてBB作動時処理を行」う「CPU31」と、本願発明における「通常状態においてボーナスが当選したことに基づいて遊技状態をボーナス成立状態へ移行させ、ボーナス成立状態においてボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス状態へ移行させる制御を行う遊技状態移行制御手段」とを対比する。 刊行物発明における「内部当籤役はBB1又はBB2であると判別したとき」は、一般遊技状態用内部抽籤テーブルにのみ当籤番号5のBB2と、当籤番号6のBB1に応じた数値の範囲が設定されていることから、本願発明における「通常状態においてボーナスが当選したこと」に相当する。 そして、刊行物発明における「持越役が格納されている間(「持ち越し」状態)」は、表示役がBB1又はBB2であると判別され、BBが作動する前の段階であり、本願発明における「遊技状態をボーナス成立状態へ移行させ」たときに相当する。 また、刊行物発明における「表示役はBB1又はBB2であると判別したとき」、「表示役とボーナス作動時テーブルに基づいてBB作動時処理を行」は、それぞれ、本願発明における「ボーナス成立状態においてボーナスが入賞したこと」、「遊技状態をボーナス状態へ移行させる制御を行う」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「遊技状態移行制御手段」としての機能を有するものである。 (i)刊行物発明における「BB1の作動が終了すること、又は、BB2の作動が終了することを条件に、500回にわたって内部当籤役として「リプレイ」が決定される確率が相対的に高い状態(「RT」)の作動を行う」「CPU31」と、本願発明における「リプレイの抽選状態を所定条件下で変動させることによってリプレイの当選確率を変動させ、ボーナス状態の終了を契機としてリプレイの抽選状態を特定抽選状態に設定し、特定抽選状態において所定回数の遊技が行われたことに基づいて特定抽選状態を終了させる制御を行うリプレイ確率変動手段」とを対比する。 まず、刊行物発明における「「リプレイ」が決定される確率が相対的に高い状態(「RT」)」は、本願発明における「特定抽選状態」に相当する。 そして、刊行物発明における「BB1の作動が終了すること、又は、BB2の作動が終了することを条件に」することは、「RT」を作動させる開始条件であるから、本願発明における「ボーナス状態の終了を契機と」することに相当する。 また、刊行物発明における「500回にわたって内部当籤役として「リプレイ」が決定される確率が相対的に高い状態(「RT」)の作動を行う」ことは、「RT」が500回の作動で終了するという「RT」の終了条件であるから、本願発明における「特定抽選状態において所定回数の遊技が行われたことに基づいて特定抽選状態を終了させる制御を行う」ことに相当する。 このように、刊行物発明は、「RT」の開始条件及び終了条件を特定するものであるから、本願発明の「リプレイの抽選状態を所定条件下で変動させることによってリプレイの当選確率を変動させ」ることに相当する構成を備えるものである。 したがって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「リプレイ確率変動手段」としての機能を有するものである。 (j)刊行物発明における「表示役としてチェリー、ベル、及びスイカが決定されると、投入枚数が2枚のときは、投入枚数が3枚のときよりも払出枚数が多くなるように設定された図柄組合せテーブル」と、本願発明における「小役の配当が規定投入数に応じて設定され、通常状態およびボーナス成立状態において規定投入数が特定投入数である場合には、規定投入数が特定投入数とは異なる場合よりも小役の配当が高くなるように設定」することとを対比する。 刊行物発明における「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」には、一般遊技状態において、投入枚数(即ち、2又は3)毎に、当籤番号1?当籤番号6に応じた数値の範囲が規定されている。 一方、刊行物発明における「RB遊技状態用内部抽籤テーブル」には、RB遊技状態において、投入枚数が1枚の場合について、当籤番号1?当籤番号3に応じた数値の範囲が規定されている。そして、刊行物発明において、「表示役がBB1又はBB2であると判別したとき」(「BB1又はBB2」に入賞したとき)に表示役とボーナス作動時テーブルに基づいてBB作動時処理を行い、BB1の作動及びBB2の作動が行われると、RB遊技状態用内部抽籤テーブルが決定され」る。したがって、刊行物発明において、「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」が用いられるのは、「BB1又はBB2」に入賞していない、一般遊技状態と「持ち越し」状態のときとなる。 そして、刊行物発明における「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」に対応する「図柄組合せテーブル」は、小役の払い出しに関して、「投入枚数が2枚のときは、投入枚数が3枚のときよりも払出枚数が多くなるように設定され」たものである。ここで、刊行物発明における「投入枚数が2枚のとき」、「投入枚数が3枚のとき」、「払出枚数が多くなるように設定」されることは、それぞれ、本願発明における「規定投入数が特定投入数である場合」、「規定投入数が特定投入数とは異なる場合」、「小役の配当が高くなるように設定」されていることに相当する。 よって、刊行物発明における「図柄組合せテーブル」は、本願発明における「小役の配当が規定投入数に応じて設定され、通常状態およびボーナス成立状態において規定投入数が特定投入数である場合には、規定投入数が特定投入数とは異なる場合よりも小役の配当が高くなるように設定」されたものに相当する。 (k)刊行物発明の発明特定事項bの「メダル受付・スタートチェック処理を実行」する「CPU31」と、本願発明における「リプレイの抽選状態に応じて規定投入数を設定し、リプレイの抽選状態が特定抽選状態である場合には規定投入数を特定投入数に設定し」た「投入受付手段」とを対比する。 刊行物発明における「メダル受付・スタートチェック処理を実行」する「CPU31」は、上記(b)において検討したように、「投入枚数カウンタが予め定めた最大値と一致すること(RB作動中フラグがオンではないときに、RTの作動が行われている間は「2」であること、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われていない間は「3」であること)を条件に、開始操作の検出を受け付け可能とする」ものである。 そして、上記(i)において検討したように、刊行物発明における「RT」は、本願発明における「特定抽選状態」に相当する。 また、上記(j)において検討したように、刊行物発明における「投入枚数が2枚のとき」は、本願発明における「規定投入数を特定投入数に設定し」た場合に相当する。 したがって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「リプレイの抽選状態に応じて規定投入数を設定し、リプレイの抽選状態が特定抽選状態である場合には規定投入数を特定投入数に設定し」た「投入受付手段」としての機能を有するものである。 (l)刊行物発明における「RTの作動をBBの作動が開始されることを条件に終了させる」「CPU31」と、本願発明における「リプレイの抽選状態が特定抽選状態である場合にボーナスが当選しても、当該ボーナスが入賞しない限りは所定回数の遊技が行われるまでリプレイの抽選状態を変動させない」「リプレイ確率変動手段」とを対比する。 刊行物発明における「BBの作動」は、上記(i)において検討したように、「表示役がBB1又はBB2であると判別」される入賞により開始されるものである。また、刊行物発明は、「内部当籤役がBB1又はBB2であると判別したとき」(BB1又はBB2に当選したとき)に、「持越役を内部当籤役として決定」するが、「BB作動時処理」は行わないものである。 そして、刊行物発明は、「RT」の作動は500回にわたって行われるものである。したがって、刊行物発明の「RTの作動はBBの作動が開始されることを条件に終了する」ことは、本願発明の「ボーナスが入賞しない限りは所定回数の遊技が行われるまでリプレイの抽選状態を変動させない」ことに相当する。 よって、刊行物発明における「CPU31」は、本願発明における「リプレイの抽選状態が特定抽選状態である場合にボーナスが当選しても、当該ボーナスが入賞しない限りは所定回数の遊技が行われるまでリプレイの抽選状態を変動させない」「リプレイ確率変動手段」としての機能を有するものである。 上記(a)?(l)の対比より、本願発明と刊行物発明とは、 「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、 遊技毎に規定投入数に相当する遊技媒体の投入を受け付ける投入受付手段と、 小役、リプレイ、およびボーナスを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、 前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、 前記小役が入賞した場合に、入賞した小役に対応づけられた配当に基づき遊技媒体を払い出す制御を行う払出制御手段と、 前記リプレイが入賞した場合に、遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理を行うリプレイ処理手段と、 通常状態において前記ボーナスが当選したことに基づいて遊技状態をボーナス成立状態へ移行させ、ボーナス成立状態において前記ボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス状態へ移行させる制御を行う遊技状態移行制御手段と、 前記リプレイの抽選状態を所定条件下で変動させることによって前記リプレイの当選確率を変動させ、前記ボーナス状態の終了を契機としてリプレイの抽選状態を特定抽選状態に設定し、特定抽選状態において所定回数の遊技が行われたことに基づいて特定抽選状態を終了させる制御を行うリプレイ確率変動手段とを備えた遊技機であって、 前記小役の配当が規定投入数に応じて設定され、前記通常状態および前記ボーナス成立状態において規定投入数が特定投入数である場合には、規定投入数が特定投入数とは異なる場合よりも前記小役の配当が高くなるように設定されており、 前記投入受付手段が、 リプレイの抽選状態に応じて規定投入数を設定し、リプレイの抽選状態が前記特定抽選状態である場合には規定投入数を前記特定投入数に設定し、 前記リプレイ確率変動手段が、 リプレイの抽選状態が前記特定抽選状態である場合に前記ボーナスが当選しても、当該ボーナスが入賞しない限りは前記所定回数の遊技が行われるまでリプレイの抽選状態を変動させない遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 投入受付手段に関して、 本願発明は、ボーナスの入賞に基づいて規定投入数を特定投入数に設定し、当該ボーナスの入賞に基づいて遊技状態がボーナス状態に移行してから、当該ボーナス状態の終了後の遊技においてリプレイの抽選状態が特定抽選状態に設定されている間は規定投入数を特定投入数に維持するのに対して、 刊行物発明は、投入枚数の「予め定めた最大値」を、RB作動中フラグがオンのときは「1」とし、RB作動中フラグはオンではないときに、RTの作動が行われている間は「2」とする点。 5 当審の判断 (1)上記相違点について検討する。 刊行物発明は、一般遊技状態用内部抽籤テーブル、及び、図柄組合せテーブルに「予め定めた最大値である投入枚数」として、「3」と「2」が規定されたものである。 ここで、刊行物1には、刊行物発明において特定される「予め定めた最大値である投入枚数」に関する記載として、以下のA?Cの記載がある。 ・記載A:「・・・前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値に応じて複数種類の数値の範囲を規定する内部抽籤テーブルを記憶する内部抽籤テーブル記憶手段(例えば、後述のROM32)と、・・・前記内部抽籤テーブル記憶手段は、前記特定の図柄の組合せに係る内部当籤役が決定される数値の範囲(例えば、後述の当籤番号5に対応する数値の範囲)として、前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値が第1の値(例えば、後述の「3」)であるとき、第1の数値の範囲(例えば、後述の「2400?2499」)を規定する一方、前記遊技媒体記憶手段により記憶される遊技媒体の値が前記第1の値とは異なる第2の値(例えば、後述の「2」)であるとき、前記第1の数値の範囲よりも大きい第2の数値の範囲(例えば、後述の「3020?3269」)を規定する内部抽籤テーブルを記憶しており、前記遊技媒体記憶手段は、前記有利状態作動手段により行われる遊技者にとって有利な状態の作動が終了することを条件に、前記第2の値を上限として、遊技者により投入された遊技媒体の値を記憶することを特徴としている。」(前記3 イの【0008】) ・記載B:「尚、本実施の形態では、第1の値として「3」を、第2の値として「2」を適用し、第2の値を第1の値よりも小さい値としたが、本発明はこれに限らず、大きい値としても良い。」(前記3 クの【0113】) ・記載C:「また、本実施の形態では、投入枚数カウンタに格納されうる数値として、「2」及び「3」の2種類しか設けていないが、本発明はこれに限らず、例えば、「1」、「2」、及び「3」の3種類を設けるようにしても良い。また、この場合、第1の値として「3」を、第2の値として「1」及び「2」を適用するようにしても良い。」(前記3 クの【0114】) ここで、上記A?Cの記載中の「第1の値」、「第2の値」は、それぞれ、刊行物発明の「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」、及び、「図柄組合せテーブル」に規定される「予め定めた最大値である投入枚数」としての「3」、「2」に対応している。 そして、上記記載A?Cによると、刊行物1には、第1の値を「3」とした場合、第2の値は「3」以外の「3」より小さい値、すなわち、「2」や「1」とすることが実質的に記載されているといえる。 したがって、刊行物発明の「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」、及び、「図柄組合せテーブル」において、「RTの作動が行われている間」の「予め定めた最大値」である「2」(第2の値に相当する)を「1」とすることは、刊行物1の記載A?Cに基づいて当業者が適宜なし得たものである。 そして、その場合、「RTの作動が行われている間」の「予め定めた最大値」は「1」となり、BB作動中、及び、BB作動終了後のRTの作動中における投入枚数の「予め定めた最大値」が「1」に維持されることになる。 よって、刊行物発明において、刊行物1の上記記載事項A?Cに基づいて、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たものである。 上記相違点について、さらに、別の観点から検討する。 遊技機の技術分野において、遊技状態として、通常遊技状態、ボーナス遊技状態、及び、RTを含む遊技機において、ボーナス状態、及び、ボーナス状態の終了後のRTにおいて、規定投入枚数同一の値に維持することは、本願の出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2009-178408号公報の【0027】、【0044】、特開2010-115417号公報の【0019】、【0036】を参照。)。 したがって、刊行物発明における一般遊技状態用内部抽籤テーブル、及び、図柄組合せテーブルに設定された投入枚数の「予め定めた最大値」に、上記周知の技術事項を適用して、BB作動中、及び、BB作動終了後のRTの作動中における投入枚数の「予め定めた最大値」を同一の値に維持し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 (2)請求人の主張について 請求人は、平成27年8月27日付けの審判請求書において、次のA、Bの主張をしている。 A:「本願発明では、構成(J)、構成(B2)、および構成(I2)を採用したことにより、リプレイの抽選状態が特定抽選状態である場合には、小役の配当が高まって特定抽選状態ではない場合よりも多くの遊技媒体の払い出しを受けることができる遊技を行うことができ、ボーナス状態からボーナス状態の終了後の所定回数の遊技においてボーナスが当選してもボーナスが入賞しない限りは特定抽選状態を維持するようにして、ボーナス状態での遊技とそのボーナス状態の終了後におけるリプレイの抽選状態が特定抽選状態に設定されている通常状態やボーナス成立状態での遊技とを、いずれも特定投入数で遊技を行わせることで一連の遊技区間として遊技者に認識させるというものであります。」(第3頁第24行?第4頁第3行)と主張し、また、 B:「引用文献1の第1の実施の形態および第2の実施の形態に記載された構成より得られる技術思想は、ボーナス状態の終了を条件に規定投入数を特定投入数に変更するというものであります。なお、このような技術思想が引用文献1の記載された発明の趣旨であることは特許請求の範囲の記載等からも明らかであると思料いたします。 このため引用発明1の趣旨を逸脱しない範囲とは、BB1やBB2の作動終了を条件に既定投入数を変更することを前提とするものであり、引用発明1について、ボーナス状態とボーナス状態の終了後の遊技とを一連の遊技区間として認識させるようにボーナス状態の終了後においてもボーナスの入賞時に設定された規定投入数を維持することにまで拡張して変更することを認めているものではありません。」(第5頁第20行?第6頁第1行) そこで、まず、請求人の上記主張Aについて検討する。 本願発明の「前記ボーナスの入賞に基づいて規定投入数を前記特定投入数に設定し、当該ボーナスの入賞に基づいて遊技状態が前記ボーナス状態に移行してから、当該ボーナス状態の終了後の遊技においてリプレイの抽選状態が前記特定抽選状態に設定されている間は規定投入数を前記特定投入数に維持」することの効果に関して、本願明細書には、「遊技状態がボーナス状態である遊技区間とボーナス状態の終了後の遊技においてリプレイの抽選状態が特定抽選状態に設定されている遊技区間とからなる一連の遊技区間において規定投入数を遊技者に有利な条件に設定することができる。」(【0014】)と記載されている。 すなわち、本願発明において、前記相違点に係る構成を採用することの意義は、ボーナス状態の終了後の遊技である、リプレイの抽選状態が特定抽選状態に設定されている遊技区間においても規定投入数を遊技者に有利な条件にすることであり、このようにすれば、ボーナス遊技とボーナス遊技の終了後の遊技とを、遊技者にとって有利な一連の遊技であるとみなせるというものである。 このように、本願発明も、刊行物発明も、遊技の内容(有利さ)の面からみて、ボーナス遊技と特定抽選状態(RT)とを一連の遊技区間とみなせる点において共通するものである。 一方、刊行物発明は、上記(1)において検討したように、「ボーナスゲームの作動が終了した後においてもなお遊技者を惹きつける訴求力に乏しく、遊技者の興味を十分に喚起できないという問題」を解決するものである。そして、ボーナスゲームが遊技者にとって有利なゲームであることは自明であるから、刊行物発明は、本願発明と同様に、ボーナスゲームと、ボーナスゲームの作動が終了した後の「RT」とを、遊技者にとって有利な一連の遊技としたものである。 そして、上記(1)において検討したように、刊行物発明において、上記A?Cの記載に基づいて、あるいは、上記周知の技術事項を適用して、刊行物発明の「一般遊技状態用内部抽籤テーブル」、及び、「図柄組合せテーブル」において、「RTの作動が行われている間」の投入枚数の「予め定めた最大値」である「2」(第2の値に相当する)を「1」とし、あるいは、投入枚数の「予め定めた最大値」を一定値とし、BB作動中、及び、BB作動終了後のRTの作動中における投入枚数の「予め定めた最大値」を同一の値に維持することは当業者が容易になし得たものである。 この場合、ボーナスゲームとRTにおける規定投入数を特定投入数(「1」)とすることにより、遊技者にボーナスゲームとRTとを、遊技の外観の面からみて、一連の遊技区間として認識させることができるものである。 したがって、請求人の上記主張Aを採用することはできない。 次に、請求人の上記主張Bについて検討する。 刊行物1には、(1)において検討したように、上記記載A?Cから、第1の値を「3」とした場合、第2の値は「3」以外の「3」より小さい値、すなわち、「2」や「1」とすることが実質的に記載されているといえる。そして、第2の値を「1」とした場合、BB作動中、及び、BB作動終了後のRTの作動中における「予め定めた最大値である投入枚数」が「1」に維持されることになるから、刊行物1には、「ボーナス状態の終了を条件に規定投入数を特定投入数に変更」しない態様に設定することが示唆されているといえる。 ここで、ボーナス状態とRTにおいて投入枚数を同一値に維持すると、遊技者にとって、異なる遊技状態であるにもかかわらず、ボーナス状態とRTとで同一の遊技が継続しているように認識できることは、当業者に自明である。 したがって、刊行物1には、ボーナス状態とRTにおける投入枚数を維持することにより、遊技者に両遊技区間を一連の遊技区間として認識させることが示唆されている。 よって、請求人の上記主張Bを採用することはできない。 (3)小括 本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明、刊行物1の記載事項、周知の技術事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。 したがって、上記(1)、(2)において検討したように、本願発明は、当業者が刊行物発明と刊行物1の記載事項、あるいは、刊行物発明と周知の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-08-23 |
結審通知日 | 2016-08-31 |
審決日 | 2016-09-16 |
出願番号 | 特願2011-95655(P2011-95655) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中槙 利明 |
特許庁審判長 |
本郷 徹 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 山崎 仁之 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 原 弘晃 |