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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1321064
審判番号 不服2015-20699  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-20 
確定日 2016-11-04 
事件の表示 特願2014-135664「画像表示制御装置、画像表示制御方法およびコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 4日出願公開、特開2014-225269〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成14年9月20に出願した特願2013-157462号の一部を平成26年7月1日に新たな特許出願としたものであって,平成27年1月27日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、平成27年4月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年8月17日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は同年8月25日に請求人に送達された。これに対して、同年11月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、同年12月9日付けで前置報告書が作成されたものである。

第2 平成27年11月20日にされた手続補正の検討

1. 本件補正について
(1)平成27年11月20日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、次のとおり補正された。

「【請求項1】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御装置であって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示されることを特徴する画像表示制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示制御装置であって、表示される前記画像データは、縮小して表示される、画像表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像表示制御装置であって、
複数の画像ファイルに共通するテキストが合わせて表示される、画像表示制御装置。
【請求項4】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御方法であって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示される工程と、を備えることを特徴とする、画像表示制御方法。
【請求項5】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、の表示をコンピュータに行わせるためのコンピュータプログラムであって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示される機能を、前記コンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。」

(2)本件補正前の、平成27年4月2日付の手続補正による特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御装置であって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示されることを特徴する画像表示制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示制御装置であって、表示される前記画像データは、縮小して表示される、画像表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像表示制御装置であって、
複数の画像ファイルに共通するテキストが合わせて表示される、画像表示制御装置。
【請求項4】
請求項1または3記載の画像表示制御装置であって、
前記画像ファイルには、撮影時の時間を表す時間情報が含まれ、前記画像表示制御装置は、少なくとも前記時間情報に応じて制御を行う、画像表示制御装置。
【請求項5】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御方法であって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示される工程と、を備えることを特徴とする、画像表示制御方法。
【請求項6】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、の表示をコンピュータに行わせるためのコンピュータプログラムであって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示される機能を、前記コンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。」

(3)本件補正は、本件補正前の請求項4を削除するものであり、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、新規事項を追加するものではないから特許法第17条の2第3項の要件を満たしているといえる。

第3 本願発明の特許要件についての検討

1.本願発明

平成27年11月20日にされた手続補正による補正は、請求項4の削除のみであるから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下の通りのものである。

「【請求項1】
被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、を含む画像ファイルと、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御装置であって、
前記画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの前記位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数と、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報と、が表示され、前記総数と前記順番情報が併せて表示されることを特徴する画像表示制御装置。」

2.引用例
(1) 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開平11-27609号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。)

ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀塩フィルムの各コマに撮影された画像やビデオテープに撮影された各コマの画像等をCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置に再生する画像記録再生システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、銀塩フィルムの各コマに撮影された画像やビデオテープに撮影された各コマの画像等を磁気ディスク等の記録媒体に記録し、適当な方法で記録画像を検索してCRT等の表示装置に再生する画像記録再生システムが提案されている。
【0003】そして、例えば特開平3-247081号公報には、撮影時に撮影場所に関する情報(地名や緯度/経度等の位置情報等)が記録可能なカメラとこのカメラで撮影された画像を上記撮影場所に関する情報を用いて検索してCRT等にモニタ表示させるファイリングシステムが提案されている。
【0004】このファイリングシステムでは、例えば操作ボードから撮影場所の文字情報が入力されると、この文字情報に基づいて撮影画像及び撮影場所に関する情報が記録された記録媒体を検索し、該当する撮影場所の撮影画像が見つかれば、その撮影画像がCRTにモニタ表示されるようになっている。また、撮影場所の検索方法として、直接、地名を入力したり、国-県-市のように階層的に撮影場所を選択して入力する方法が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のファイリングシステムでは、操作ボードから地名や地域等の文字情報を適当に入力して再生すべきコマの検索を行なうようにしているので、検索条件を絞ることが容易でなく、入力操作も比較的煩雑となっている。
【0006】特に、検索情報(場所情報)の入力時に撮影場所にリンクして撮影画像がモニタ表示されるわけではないので、記録媒体に記録されている撮影画像の内容が分からず、再生画像の選択の操作性、効率の点で問題がある。
【0007】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、再生コマの検索を容易に行うことのできる画像記録再生システムを提供するものである。」

イ「【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る画像記録再生システムの外観図である。画像記録再生システムは、画像記録再生装置1、モニタ用の表示装置2及びフィルムの撮影画像以外の画像を入力するための画像入力装置3から構成されている。
【0013】モニタ用の表示装置2は、映像信号用のケーブルC1と音声信号用のケーブルC2とにより画像記録再生装置1に接続されている。また、画像入力装置3も画像記録再生装置1に専用ケーブルで接続されている。
【0014】画像記録再生装置1は、例えば新写真システムに適用されるフィルムの各コマに撮影された画像を撮像装置により撮像し、各コマの撮影画像(以下、コマ画像という。)を再生すべき一群のコマ画像に編集した後、この一群のコマ画像を設定された演出条件に従って表示装置2に再生するものである。本実施の形態では、銀塩フィルムに撮影された画像以外にビデオテープに撮影された画像も画像入力装置3で取り込むことができるようになっている。この場合、ビデオカメラで撮影された動画の画像は、撮影者が所望のコマ(静止画)を選択的に抽出し、この静止画が再生すべきコマ画像として画像記録再生装置1に取り込まれる。
【0015】なお、例えはデジタルビデオカメラやデジタルカメラで撮影され、磁気ディスク等の記録媒体に記録された画像を画像入力装置3で取り込むことができるようにすることもできる。」

ウ「【0018】画像記録再生装置1は、前面パネル101の下部に操作部102が突出して設けられ、この操作部102にテンキーやリターンキー等の各種のスイッチ類やトラックボール等の操作部材が設けられている。画像記録再生装置1の動作に関する指示は、表示装置2のCRT201に選択項目や選択内容がメニュー表示され、主として同CRT201に表示されたカーソルを所望の選択項目もしくは選択内容の表示位置に移動させて行なわれるようになっている。トラックボール102Aは、CRT201におけるカーソルの表示位置を移動させるための操作部材であり、リターンキー102Bは、選択指示の確定を入力する操作部材である。また、スイッチ類102Cは、記録/再生動作の指示や編集内容を入力するためのスイッチである。
【0019】また、前面パネル101には、新写真システムに適用されるフィルムカートリッジKTが装填されるカートリッジ装填口101Aと磁気ディスクMD1,MD2がそれぞれ装填される2個のディスク装填口101B,101Cとが設けられている。
【0020】磁気ディスクMD1は、取り込まれたコマ画像とこのコマ画像に関連した情報とが記録されるものである。再生対象として取り込まれるコマ画像は、通常のカメラで銀塩フィルムに撮影された静止画、デジタルカメラで磁気ディスク等の外部記録媒体に撮影された静止画、ビデオカメラ(デジタルビデオカメラを含む。)で撮像された動画から抽出された静止画及びコンピュータで創作されたグラフィック画像(写真合成したものを含む。)等の静止画等の各種の画像が含まれる。
【0021】また、コマ画像に関連した情報は、例えば情報が磁気的に記録可能なフィルムの当該フィルムに記録された磁気情報やビデオテープの記録画像に対する管理情報であり、具体的には下記表1に示す項目が含まれている。
【0022】
【表1】
【0023】なお、表1に示す情報内容の各項目は、それぞれ以下の内容を有している。
(1) フィルム識別No.;フィルム間の識別を行なうために各フィルムに付される番号。フィルムカートリッジKTに付されている固有の番号を用いることができるが、可能な場合は、撮影時にカメラで自動的に入力された番号や撮影者が手動で入力した番号を用いることができる。
(2) コマNo;各コマの番号。
(3) フィルムタイトル;フィルム全体が共通の撮影内容の場合にフィルム全体に対して付されたタイトル。
(4) コマタイトル;各コマの対して付されたタイトル。
(5) ビデオテープ識別No.;ビデオテープ間の識別を行なうために各ビデオテープに付される番号。
(6) タイムコード;ビデオテープにおける各コマ画像の記録位置を示す情報。
(7) ビデオタイトル;ビデオテープ全体に対して付されたタイトル。
(8) 撮影年月日(時刻);各コマ画像が撮影された時刻の情報。
(9) グループ化情報;銀塩フィルムから取り込まれたコマ画像、デジタルカメラから取り込まれたコマ画像及びビデオテープから取り込まれたコマ画像を、例えば「友達」、「花」といったような後述するキーワードやコマタイトルとは異なるグループ分類を行なうための情報。(キーワードやコマタイトルでは被写体の名称が入力されるが、グループ化情報はそれを大きく括ることができる。
(10) 場所情報;各コマ画像の撮影場所の情報。
(11) キーワード;検索のために各コマの撮影画像を分類するための文字情報。撮影内容に基づいて抽出され、イベント(運動会等の学校行事)、正月や雛祭り等の祭事、写されている人物や建物等の名称が適用される。
(12) 画像情報アドレス;磁気ディスクMD1の記憶領域における各コマ画像のアドレス情報。
【0024】フィルムタイトル、コマタイトル、ビデオタイトル、撮影年月日、グループ化情報、場所情報及びキーワード等の情報は、画像記録再生装置1の操作部102から入力することができるが、カメラが入力機能を有していれば、撮影時に入力することもできる。
【0025】磁気ディスクMD2は、再生すべきコマ画像の撮影場所を含む地図の画像情報とその地域に含まれる主要な場所(市町村、観光地等)に関する地理的、観光的な情報(その地域の特徴(人口/面積)、気候、歴史、風土、文化、産業、史跡、観光地、特産物等の文字及び映像による情報)とが記録されるものである。
【0026】画像記録再生装置1は、後述するように、装置内に取り込んだコマ画像を入力された撮影日時、撮影場所、被撮影者、グループ化情報、キーワード等の検索情報に従って検索し、関連のある一群のコマ画像を再生できるようになっている。
【0027】地図は、検索情報を入力するための入力画面の画像(以下、検索情報入力画像という。)や検索情報に基づき再生コマを指定するための入力画面の画像を作成するために利用されるものである。再生コマを指定する入力画面では、各コマ画像(縮小画像)が地図上の撮影場所に対応付けて表示され、画面上で検索情報を基に指定できるので、撮影内容の把握及び再生コマの指定が容易に行なえるようになっている。」

エ「【0111】ここで、一例として「撮影場所」の入力モードが選択された場合の検索情報の入力処理について、図14?図18の図を用いて説明する。
【0112】「撮影場所」の入力モードが選択されると、インデックス画像用の縮小されたコマ画像と撮影場所を含む地図の画像と所定のメニュー画像とを合成して図14に示すような「入力画面」の画像が作成され、この「入力画面」の画像を表示装置2に表示して撮影場所の検索情報の入力状態となる。
【0113】図14に示す「入力画面」は、撮影場所の検索領域42と地域情報の選択領域43とを有し、選択領域43は、検索領域42の下部に設けられている。
【0114】選択領域43の表示内容は、図11の表示領域32と同一であり、キー表示321?323の選択により撮影場所に関連する観光地等の情報が聴取できる機能も同様である。
【0115】検索領域42に表示される検索情報を入力するための画像は、記録処理時に登録された撮影場所を日本地図上にプロットし、各撮影場所に対応するコマ画像(インデックス用の小画像)を合成して作成されている。
【0116】地域情報メモリ15に記憶されている地名データは、地図メモリ14に記憶された当該地名データを含む地図とその地図上の位置(座標)情報に関連付けて記憶されているので、地図上での撮影場所のプロットは、磁気情報メモリ13に撮影場所として登録されている地名データを読み出し、この地名データの位置情報に基づき地図上に撮影場所のマーク(図14では、+印)を表示することで行なわれる。また、コマ画像と地図との合成は予め設定された合成フォーマットに従って行なわれ、このとき、同一の撮影場所に複数のコマ画像が含まれている場合は、例えば最新の撮影画像や操作者が選択したコマ画像などが代表コマとして表示される。この場合、各撮影場所にコマ画像の枚数を併せて表示させるようにしてもよい。図14では、「東京」、「富士山」、「大阪」、「高山」及び「阿蘇」の5ヵ所についてそれぞれ1枚ずつ代表的なコマ画像G1?G5を表示させている。
【0117】そして、再生コマを検索するための撮影場所の検索情報の入力は、検索領域42の画面上で所望の撮影場所に対応するコマ画像内にカーソルKを移動し、リターンキー102Bを操作することにより行なわれる。
【0118】ところで、図14の例では、記録されたコマ画像の枚数が比較的少ないので、地図上に撮影場所に対応付けて代表的なコマ画像G1?G5を表示するようにしているが、記録されたコマ画像の枚数が大量で、しかも多数の撮影場所に分散しているときは、地図上に撮影場所に対応付けて代表的なコマ画像を表示することが困難となる。
【0119】このような場合は、最初、図15に示すように、地図上に撮影場所を含む地域のみをプロットした画像を検索領域42に表示させ、この画面から特定の撮影地域が選択されると、次に、その選択された地域の地図上に撮影場所と代表的なコマ画像とを表示した検索情報を入力するための画像を検索領域42に表示させるようにしてもよい。
【0120】図16は、図15の入力画面で「長野県」の撮影地域が選択された場合の入力画面の第1実施例を示す図である。同図に示す入力画面の画像の作成は、合成される地図が日本地図であるか長野県地図であるかが異なるのみで、図14に示す入力画面の画像の作成と同様の方法で行なわれる。
【0121】図17は、図15の入力画面で「長野県」の撮影地域が選択された場合の入力画面の第2実施例を示す図である。
【0122】図17に示す入力画面は、「長野県」の撮影地域に含まれるコマ画像が同一場所に集中している場合の表示方法である。図17に示す入力画面のフォーマットは、撮影日時が表示されないことを除いて図11に示すものと同一となっている。左側の地図の表示領域30に地図上に撮影場所をプロットした画像が表示され、右側の表示領域31に選択された撮影場所で撮影された代表的なコマ画像(縮小画像)と撮影日時の情報とが表示されるようになっている。なお、コマ画像が少ない場合は、その撮影場所で撮影された全コマ画像を表示させるようにしてもよい。
【0123】同図において、左側領域の地図内の複数の○印P3は、プロットされた撮影場所を示し、太字の○印P4は、選択された撮影場所「長野県」での撮影画像がある場所を示している。撮影場所の変更は、表示領域31の右端に表示された矢印キー311,312により行なわれる。例えば矢印キー311により変更を指示する毎に撮影場所が「北アルプス」→「木曽」→…→「長野」→「北アルプス」の順にサイクリックに変化し、矢印キー312により変更を指示する毎に撮影場所が上記と逆にサイクリックに変化する。
【0124】また、右側領域に表示されたコマ画像Gは、選択された撮影場所「北アルプス」で撮影された代表的なコマ画像で、新しいコマ画像Gが古いコマ画像Gの上になるように重ね表示されている。撮影場所が変更されると、この領域のコマ画像Gも連動して変更される。撮影場所の変更操作の便宜のため、コマ画像の表示領域の上部には現在、選択されている撮影場所の名称(図では「●北アルプス」)が表示され、下部には次の撮影場所の名称(図では「○木曽」)が表示されている。
【0125】各コマ画像Gには「年/月/日」又は「年/月/日?月/日」の形で撮影日時も表示されている。撮影日時の表示がある期間に亘っているのは、その期間内に撮影された複数のコマ画像Gが含まれていることを示している。また、同一の撮影日時の画像(撮影日時1995/5/3?5/5の画像)が2種類表示されているが、これは、一方がフィルムから取り込まれたコマ画像Gで他方がビデオテープから取り込まれたコマ画像Gであることを示している。なお、コマ画像のソースを識別するため、例えば「1995/5/3?5/5F(フィルムからのコマ画像)」や「1995/5/3?5/5V(ビデオテープからのコマ画像)」のように、撮影日時の末尾に識別記号「F」,「V」を付するようにしてもよい。
【0126】図17に示す入力画面において、代表的に表示されたコマ画像Gを選択指定することにより再生すべき一群のコマ画像の検索情報が入力される。この選択指定は、選択すべきコマ画像内にカーソルKを移動させ、リターンキー102Bを操作することにより行なわれる。
【0127】図18は、図17の入力画面において、撮影日時「1994/8/10?8/12」のコマ画像Gが選択指定された状態を示している。図17の入力画面では、複数のコマ画像Gを重ね表示しているため、最新のコマ画像G以外は一部がより新しいコマ画像Gの下に隠れて撮影内容の詳細が分からない。このため、撮影日時の古いコマ画像Gが選択されたときは、そのコマ画像Gの全体が分かるように重ね表示の順番が変更されるようになっている。また、選択されたことが分かるように、コマ画像Gと撮影日時とが太枠で囲み表示される。
【0128】なお、図14の例では、撮影場所が日本全国に分散しているので、日本全国の地図を用いていたが、記録されたコマ画像の撮影場所が限られた地域に限定されている場合は、より狭い領域の詳細な地図を用いて入力画面の画像を作成し、検索領域42に表示させるようにするとよい。上述の例では、記録されたコマ画像の撮影場所が長野県内に限られている場合は、図14の入力画面の画像に代えて図16に示す入力画面の画像を最初に表示させるとよい。」

オ 図14

カ 図15

キ 図17

以上のア?キの記載によれば、引用例1には以下の事項を含む発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「撮影された各コマの画像等をCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置に再生する画像記録再生システムであって、
画像記録再生システムは、画像記録再生装置1、モニタ用の表示装置2及びフィルムの撮影画像以外の画像を入力するための画像入力装置3から構成され、
デジタルビデオカメラやデジタルカメラで撮影され、磁気ディスク等の記録媒体に記録された画像を画像入力装置3で取り込むことができ、
画像記録再生装置1は、前面パネル101の下部に操作部102が突出して設けられ、
前面パネル101には、磁気ディスクMD1,MD2がそれぞれ装填される2個のディスク装填口101B,101Cとが設けられており、
磁気ディスクMD1は、取り込まれたコマ画像とこのコマ画像に関連した情報とが記録されるものであり、
再生対象として取り込まれるコマ画像は、デジタルカメラで磁気ディスク等の外部記録媒体に撮影された静止画等の各種の画像が含まれ、
コマ画像に関連した情報は、例えば情報が磁気的に記録可能なフィルムの当該フィルムに記録された磁気情報やビデオテープの記録画像に対する管理情報であり、具体的には下記表1に示す項目が含まれ、
表1に示す情報内容の各項目は、それぞれ以下の内容を有しており、
(10) 場所情報;各コマ画像の撮影場所の情報
(11) キーワード;検索のために各コマの撮影画像を分類するための文字情報。撮影内容に基づいて抽出され、イベント(運動会等の学校行事)、正月や雛祭り等の祭事、写されている人物や建物等の名称が適用され、
(12) 画像情報アドレス;磁気ディスクMD1の記憶領域における各コマ画像のアドレス情報
磁気ディスクMD2は、再生すべきコマ画像の撮影場所を含む地図の画像情報が記録されており、
画像記録再生装置1は、撮影場所等の検索情報に従って検索し、関連のある一群のコマ画像を再生でき、
地図は、検索情報に基づき再生コマを指定するための入力画面の画像を作成するために利用され、
再生コマを指定する入力画面では、各コマ画像(縮小画像)が地図上の撮影場所に対応付けて表示され、画面上で検索情報を基に指定できるので、撮影内容の把握及び再生コマの指定が容易に行なえ、
「撮影場所」の入力モードが選択されると、インデックス画像用の縮小されたコマ画像と撮影場所を含む地図の画像と所定のメニュー画像とを合成して「入力画面」の画像が作成され、この「入力画面」の画像を表示装置2に表示して撮影場所の検索情報の入力状態となり、
「入力画面」は、撮影場所の検索領域42と地域情報の選択領域43とを有し、
検索領域42に表示される検索情報を入力するための画像は、記録処理時に登録された撮影場所を日本地図上にプロットし、各撮影場所に対応するコマ画像(インデックス用の小画像)を合成して作成されており、
地図上での撮影場所のプロットは、磁気情報メモリ13に撮影場所として登録されている地名データを読み出し、この地名データの位置情報に基づき地図上に撮影場所のマーク(+印)を表示することで行なわれ、このとき、同一の撮影場所に複数のコマ画像が含まれている場合は、例えば最新の撮影画像や操作者が選択したコマ画像などが代表コマとして表示され、この場合、各撮影場所にコマ画像の枚数を併せて表示させるようにしてもよく、
記録されたコマ画像の枚数が比較的少ないので、地図上に撮影場所に対応付けて代表的なコマ画像G1?G5を表示するようにしているが、記録されたコマ画像の枚数が大量で、しかも多数の撮影場所に分散しているときは、地図上に撮影場所に対応付けて代表的なコマ画像を表示することが困難となり、
このような場合は、最初、地図上に撮影場所を含む地域のみをプロットした画像を検索領域42に表示させ、この画面から特定の撮影地域が選択されると、次に、その選択された地域の地図上に撮影場所と代表的なコマ画像とを表示した検索情報を入力するための画像を検索領域42に表示させるようにしてもよく、
また、入力画面で「長野県」の撮影地域が選択された場合の入力画面は、「長野県」の撮影地域に含まれるコマ画像が同一場所に集中している場合の表示方法であり、
なお、コマ画像が少ない場合は、その撮影場所で撮影された全コマ画像を表示させるようにしてもよい、
画像記録再生システム」

(2)引用例2
原査定の拒絶査定時に周知技術文献として例示された特開2001-5902号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。)

ア「【0041】図6はモニタ8上に映し出されるサムネイル表示の具体例を示す。ステップS3cに移行した状態では、最近記録された画像63aの記録日時データ57と患者IDデータ58を読み込み、同一の記録日、同一の患者IDの画像63b、63c、63d、63e、63f、63g、63hを同一画面上に表示する。
【0042】同一の画面上に表示される画像の最大枚数は例えば12枚であり、画像は古い記録日時順に左上から右下に並んでいる。最近の記録画像がカーソルの役割をする枠64で囲まれている。
【0043】画像選択スイッチ45a又は45bの左ボタン51を押すことにより、枠64が右下の画像から左上の画像へと移動する。逆に右ボタン52を押すことにより枠64は左上の画像から右下の画像へと移動する。
【0044】縮小画像が枠64で囲まれた状態では、モニタ8の画面上部中央にその画像が記録された日付を表示する日付表示65、その画像の患者IDデータ58を表示するID表示66、その画像の記録日中画像番号データ59とその日に記録した画像の総数を表示する日付画像番号表示67、その画像のID中画像番号データ60とその日その患者IDで記録した画像の総数を表示するID画像番号表示68がある。
【0045】モニタ8の画面左上には、縮小画像をスクロールする際、使用する逆スクロール枠69が表示されている。左上の画像(図6の画像63h)が枠64に囲まれた状態でさらに左ボタン51を押した場合には、枠64は逆スクロール枠69の位置に移動する。
【0046】枠64が逆スクロール枠69にある状態でさらに左ボタン51を押すと、図7に示すようなサムネイル表示がなされる。図7で表示される縮小画像は、図6の画像63b?63h以外に、画像63aと同一の記録日、同一の患者IDで記録された画像がある場合には、それらの縮小画像を表示する。
【0047】一方、画像63aと同一の記録日、同一の患者IDで記録された画像が無い場合には、既に表示された縮小画像以外で、最近記録された画像の記録日時データ57と患者IDデータ58を読み込み、それと同一の記録日、同一の患者IDの縮小画像を図6に示すように表示することになる。つまり、内視鏡検査単位でそれに属する縮小画像群をモニタ8に表示し、異なる内視鏡検査に属する縮小画像群は同時に表示しないようにしているので、異なる内視鏡検査の画像と区別がつかなくなるようなことはなく、所望とする画像の検索が容易となる。
【0048】図7に示すサムネイル表示は、ほぼ図6と同じであるが、縮小画像の右上に先ほどのサムネイル表示に戻る順スクロール枠70が表示されている。図7において、右下の縮小画像(Iで示す画像)が枠64で囲まれた状態で右ボタン52が操作されると順スクロール枠70に枠64が移動する。この状態でさらに右ボタン52が操作されると、図6に示したサムネイル表示が再び行われる。
【0049】図7又は図8に示すように逆スクロール枠69または順スクロール枠70に枠64がある場合には、モニタ8の画面上部中央には日付表示65、ID表示66、その日付に記録した画像のサムネイル表示のうち何頁目を表示しているかを示す日付サムネイルページ表示71、その日付及びその患者IDで記録した画像のサムネイル表示のうち何頁目を表示しているかを示すIDサムネイル頁表示72がなされる。日付サムネイル頁表示71及びIDサムネイル頁表示72は、頁の番号であることを示すPの文字と、頁番号とサムネイル画像の総数からなる。これらの操作を繰り返すことによって次々と縮小画像を表示することが可能である。
【0050】画像が枠64に囲まれた状態で、確定ボタン53が押された場合には、その画像が全画面に表示される図5のステップS4cへ移行する。この状態になると、ステップS5cの左ボタン51もしくは右ボタン52の操作ありか否かの判断処理と、ステップS6cの確定ボタン53の操作ありか否かの判断処理が行われ、これらのいずれの操作もされないとステップS4cに戻り、左ボタン51もしくは右ボタン52の操作がされた場合にはステップS3cのサムネイル表示に戻り、確定ボタン53が押されると、ステップS2aの待機状態に戻る。
【0051】本実施の形態は以下の効果を有する。同一の日に同一の患者IDで入力された画像は、同一の内視鏡検査で記録されたものと考えられる(希な例外としては深夜に日付が異なる2日にまたがる内視鏡検査が考えられる)。本実施の形態においては、記録画像をサムネイル表示する際に、同一の記録日、同一の患者IDで記録された画像のみが同一画面上に表示されるように構成したため、検査単位で記録された画像を異なる検査単位の画像と区別して見ることができるので、所望の画像を素早く検索して再生することが可能である。
【0052】また、縮小画像を選択する際に、その縮小画像がその日の何枚目に記録された画像であるか、またその日のその患者IDで何枚目に記録された画像であるかなどの表示を行うため、画像を検索する際にさらに素早く所望の画像を見つけ出すことが可能である。」

イ また、図6では、符号67が示す箇所に「18/18」と表示され、符号68が示す箇所に「8/8」と表示されている。

以上のア及びイの記載によれば、引用例2には以下の事項を含む周知技術(以下「引用例2例示周知技術」という。)が例示されていると認められる。

「モニタ上に映し出されるサムネイル表示技術であって、
画像がカーソルの役割をする枠で囲まれており、
その画像の記録日中画像番号データ59である「18」とその日に記録した画像の総数「18」を表示する日付画像番号表示67として「18/18」と表示し、その画像のID中画像番号データ60である「8」とその日その患者IDで記録した画像の総数「8」を表示するID画像番号表示68として「8/8」があり、
縮小画像を選択する際に、その縮小画像がその日の何枚目に記録された画像であるか、またその日のその患者IDで何枚目に記録された画像であるかなどの表示を行うため、画像を検索する際にさらに素早く所望の画像を見つけ出すことが可能である
サムネイル表示技術」

(3)引用例3
原査定の拒絶査定時に周知技術文献として例示された特開2002-99271号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。)

ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の画像データを記憶し、表示する機能を備えた画像端末であって、特に表示画面の小さい携帯画像端末に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の携帯画像端末では、携帯性に優れた端末とするために、その外形は人間の手のひらに納まる程度の大きさであり、それに伴って表示画面はパーソナルコンピュータなどのモニタに比べて極めて小さく、1?3インチ程度であるため、記憶されている複数の画像データから表示させる画像を選択するには、図2に示すように一枚毎に画像を表示させて、確認を行ってから選択する。あるいは、図3に示すように複数の画像データをサンプリングなどによって縮小して、表示画面上に一覧表示させてから所望の画像を選択する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の携帯画像端末では、一枚毎に画像データを表示させた場合には次に表示される画像が分からず、記憶されている画像データが多い場合には所望の画像データを選択するまでに多くの時間と操作を必要とするという問題点がある。
【0004】また、記憶された複数の画像データを縮小して一覧表示させてから選択する場合には、サンプリングによって画像データの内容がどのような画像なのか判断がつかなくなり、結局、一枚毎に表示しなくては所望する画像データなのか確認することができないこともあるという問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの課題を解決するためのものであり、複数の画像データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の画像データを同時に表示することができる携帯画像端末において、同時に表示されている複数の画像データの中から所望の画像データが選択されたときには全画像中の何番目かを端末画面上に明示するとともに、予め定められた時間だけ拡大して表示するようにした携帯画像端末を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の携帯画像端末の一実施例を説明するものである。a)は選択表示モード中を表したものであり、記憶された24枚の画像データから13枚目の画像を携帯画像端末の表示画面上で選択しているところである。表示画面上に記憶している画像を表示するために、一枚毎に画像を縮小して表示可能にする。また、選択される画像は縁を囲まれて、他の選択されていない画像と区別されている。b)は選択された13枚目の画像を拡大表示しているところであり、予め設定された時間だけ拡大表示した後、c)に示すように選択表示モードの画面に戻る。画像データが拡大表示される場合にも、選択している画像が全画像中の何番目なのかを明示することで、操作者に知らしめることができるようにする。」

イ 図1では、画面右上に「13/24」と表示されている。

以上のア及びイの記載によれば、引用例3には以下の事項を含む周知技術(以下「引用例3例示周知技術」という。)が例示されていると認められる。

「複数の画像データを記憶し、表示する機能を備えた画像端末であって、特に表示画面の小さい携帯画像端末に関し、
記憶された複数の画像データを縮小して一覧表示させてから選択する場合に、
同時に表示されている複数の画像データの中から所望の画像データが選択されたときには全画像中の何番目かを端末画面上に明示するため、
記憶された24枚の画像データから13枚目の画像を携帯画像端末の表示画面上で選択している際に、
画面右上に「13/24」と表示する技術」

2.対比
(1)そこで、本願発明と引用例1発明とを対比する。

ア 引用例1発明では、「撮影された各コマの画像」に「関連した情報」として「写されている人物や建物等の名称」などの「キーワード」が含まれているから、引用例1発明の「写されている人物や建物等」、「撮影された各コマの画像」は、それぞれ、本願発明の「被写体」、「画像データ」に相当している。
引用例1発明の「各コマ画像の撮影場所の情報」である「場所情報」は、本願発明の「撮影時の」「撮像装置の位置」「を表す位置情報」に相当している。
引用例1発明の「再生すべきコマ画像の撮影場所を含む地図の画像情報」は、本願発明の「位置情報が示す位置が表されたマップ」に相当している。
引用例1発明では、「撮影された各コマの画像等をCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置に再生する画像記録再生システム」が「画像記録再生装置」を備えており、「画像記録再生装置」は、「各コマ画像(縮小画像)」を「地図上の撮影場所に対応付けて表示」しているから、引用例1発明の「画像記録再生装置」は、本願発明の「画像表示制御装置」と同様に、被写体を撮像した画像データと、撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報と、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示する点で共通しているといえる。

しかし、本願発明では、「被写体を撮像した画像データ」と、「撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報」とが画像ファイルを構成している一方、引用例1発明では、「被写体を撮像した画像データ」と、「撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報」とが画像ファイルを構成しているのか否か明らかでない点で相違している。

イ 引用例1発明の「コマ画像」は、本願発明の「画像ファイル」に含まれる「被写体を撮像した画像データ」に相当しているから、引用例1発明の「コマ画像」を「表示」する「場合」は、本願発明の「画像ファイルを表示する場合」に対応している。
引用例1発明の「撮影場所として登録されている地名データ」の「位置情報」は、本願発明の「画像ファイルの」「前記」(「撮影時の」「撮像装置の位置」「を表す」)「位置情報」に対応している。
引用例1発明の「画像記録再生装置」は、「撮影場所等の検索情報に従って検索し、関連のある一群のコマ画像を再生でき」、「地図上での撮影場所のプロットは、磁気情報メモリ13に撮影場所として登録されている地名データを読み出し、この地名データの位置情報に基づき地図上に撮影場所のマーク(+印)を表示することで行なわれ、このとき、同一の撮影場所に複数のコマ画像が含まれている場合は、例えば最新の撮影画像や操作者が選択したコマ画像などが代表コマとして表示され」るから、引用例1発明の「画像記録再生装置」が、「コマ画像」が「表示され」る「場合」に、「撮影場所として登録されている地名データを読み出し、この地名データの位置情報に基づき地図上に撮影場所のマーク(+印)を表示すること」は、本願発明の「画像表示制御装置」が「画像ファイルを表示する場合、」「地点の位置」を「表示」することに対応している。
また、引用例1発明の「画像記録再生装置」は、「撮影場所等の検索情報に従って検索し、関連のある一群のコマ画像を再生でき」、「地図上での撮影場所のプロットは、磁気情報メモリ13に撮影場所として登録されている地名データを読み出し、この地名データの位置情報に基づき地図上に撮影場所のマーク(+印)を表示することで行なわれ、このとき、同一の撮影場所に複数のコマ画像が含まれている場合は、例えば最新の撮影画像や操作者が選択したコマ画像などが代表コマとして表示され、この場合、各撮影場所にコマ画像の枚数を併せて表示させるようにしてもよい」とされているから、引用例1発明の「画像記録再生装置」が「コマ画像」を「表示」する「場合」であって、「同一の撮影場所に複数のコマ画像が含まれている場合」に、「各撮影場所にコマ画像の枚数を併せて表示させる」ことは、本願発明の「画像表示制御装置」が「画像ファイルを表示する場合、」「複数の前記画像ファイルの位置情報が同一地点と判断されれば、」「前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数」を「表示」することに対応している。

しかし、本願発明では、位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数を表示する際に、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報も表示しているのに対し、引用例1発明では、表示される画像ファイルの画像データが何番目の画像ファイルの画像データであるかの順番情報を表示していない点で相違している。

(2)一致点、相違点
上記(1)アおよびイによると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。

[一致点]
「被写体を撮像した画像データと、撮影時の前記被写体の位置または撮像装置の位置の少なくとも一方を表す位置情報と、前記位置情報が示す位置が表されたマップと、を表示するための画像表示制御装置であって、
画像ファイルを表示する場合、複数の前記画像ファイルの位置情報が同一地点と判断されれば、前記同一地点の位置と、前記位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数が表示される
画像表示制御装置」

[相違点1]
本願発明では、「被写体を撮像した画像データ」と、「撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報」とが画像ファイルを構成している一方、引用例1発明では、「被写体を撮像した画像データ」と、「撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報」とが画像ファイルを構成しているのか否か明らかでない点。

[相違点2]
本願発明では、位置情報が同一地点と判断される画像ファイルの総数を表示する際に、表示される前記画像ファイルの前記画像データが何番目の前記画像ファイルの前記画像データであるかの順番情報も表示しているのに対し、引用例1発明では、表示される画像ファイルの画像データが何番目の画像ファイルの画像データであるかの順番情報を表示していない点。

3.判断

[相違点1について]
引用例1発明では、「各コマ画像とこのコマ画像に関連した情報」が磁気ディスクMD1に記録されており、磁気ディスクは、一般に、データをファイルとして記録している。 また、本願明細書の段落0044ないし0047及び図4並びに図5に記載されているように、画像データと、当該画像データの撮影時における緯度や経度と行った地理的位置を示す位置情報等の付属情報とを、1つの画像ファイルに格納するためのデジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)は、本願出願前に周知の技術にすぎない。
したがって、引用例1発明において、当該周知技術を採用して、「被写体を撮像した画像データ」と、「撮影時の撮像装置の位置を表す位置情報」と、を含む画像ファイルとすることは、本願の出願日前に当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点2について]
上記1.(2)および(3)のいずれでも述べたように、画像をサムネイル(縮小画像)表示する際に、画像の総数と共に、選択画像の順番を示す番号を併せて表示し、何番目の画像であるかを示すことで、画像を検索する際に素早く所望の画像を見つけ出せることは、周知の技術であったと認められる(なお、同様の周知技術として、特開2002-7130号公報の図3(イ)、特開2002-10056号公報の図6も併せて参照されたい。)。
引用例1発明においても、同一地点の位置で撮影された画像が多数の場合に、選択された代表画像と共に、画像総数を表示しているのであるから、当該周知技術を採用して、画像総数だけでなく、選択された代表画像が何番目の画像であるかを示す順番情報を併せて表示するよう構成することで、画像を検索する際に素早く所望の画像を見つけ出せるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

また、本願発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って、当然に予測される程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明および引用例2および3に例示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明および引用例2および3に例示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-01 
結審通知日 2016-09-06 
審決日 2016-09-20 
出願番号 特願2014-135664(P2014-135664)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加舎 理紅子  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 野崎 大進
石川 正二
発明の名称 画像表示制御装置、画像表示制御方法およびコンピュータプログラム  
代理人 西田 圭介  
代理人 渡辺 和昭  
代理人 仲井 智至  

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