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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1321065 |
審判番号 | 不服2015-20753 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-11-20 |
確定日 | 2016-11-04 |
事件の表示 | 特願2011-223856「固体撮像装置、撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月 9日出願公開、特開2013- 84785〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年10月11日の出願であって、 その手続経緯は以下のとおりである。 平成26年 9月16日 審査請求 平成27年 1月 9日 拒絶理由通知 平成27年 3月19日 意見書・手続補正書 平成27年 9月 1日 拒絶査定 平成27年11月20日 審判請求書・手続補正書 第2 補正の却下の決定 本件補正の内容 [補正却下の結論] 平成27年11月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1については、本件補正の前後で以下のとおりである。 (当審注.下線は補正箇所を示し、当審で付加したものである。) ・補正前 「【請求項1】 表面側が回路形成面とされた半導体層と、 前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、 ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、 2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている 固体撮像装置。」 ・補正後 「【請求項1】 表面側が回路形成面とされた半導体層と、 前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、 ゲート電極が前記半導体層の表面側の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、 前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有し、 2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている 固体撮像装置。」 2 補正事項の整理 本件補正による、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1についての補正を整理すると次のとおりとなる。 ・ 補正事項1 補正前の請求項1の「ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタ」を、補正後の請求項1の「ゲート電極が前記半導体層の表面側の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタ」と補正すること。 ・ 補正事項2 補正前の請求項1に対し、補正後の請求項1の「前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有し、」を追加する補正をすること 3 補正事項の適否 補正事項1及び2について、特許法第17条の2第3項ないし第5項で規定する補正の要件を満たしているかについて検討する。 (1) 補正事項1について ア 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0024】乃至【0027】の記載、及び、図2の記載からみて、補正事項1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。 したがって、補正事項1は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 イ 補正事項1は、発明の特別な技術的特徴を変更する補正はないことは明らかである。したがって、補正事項1は、特許法第17条の2第4項の規定に適合する。 ウ 補正事項1は、「ゲート電極」が埋め込まれるところを「半導体層の表面」から「半導体層の表面側の表面」に限定したものと認められる。 したがって、補正事項1は特許法17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2) 補正事項2について ア 当初明細書等の段落【0024】乃至【0027】の記載、及び、図2の記載からみて、補正事項2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。 したがって、補正事項2は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 イ 補正事項2は、発明の特別な技術的特徴を変更する補正はないことは明らかである。 したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第4項の規定に適合する。 ウ 補正事項2は、「固体撮像装置」を「半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有」する「固体撮像装置」に限定するものである。 したがって、補正事項1は特許法17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 4 独立特許要件についての検討 (1) 検討の前提 上記3で検討したとおり、本件補正における、本件補正前の請求項1についての補正事項は、特許法第17の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正を含むから、本件補正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。 (2) 本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものと認められる。(再掲) 「【請求項1】 表面側が回路形成面とされた半導体層と、 前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、 ゲート電極が前記半導体層の表面側の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、 前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有し、 2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている 固体撮像装置。」 (3) 引用文献の記載と引用発明 ア 引用文献 原査定の拒絶理由に引用された本出願日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2010-114323号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (ア)【0021】 [固体撮像装置の全体構造] まず、図1を用いて、以下に説明する第1の実施形態及び第2の実施形態が適用されるCMOS型の固体撮像装置、すなわち、CMOSイメージセンサの全体構造について説明する。 【0022】 図1に示す固体撮像装置1は、Siからなる基板11上に配列された複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路としての垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8等を有して構成される。 【0023】 画素2は、光電変換素子であるフォトダイオードと、複数のMOSトランジスタとから構成され、基板11上に、2次元アレイ状に規則的に複数配列される。 ・・・・ 【0029】 ・・・・ 以下に説明する第1?第5の実施形態における固体撮像装置は、図1における固体撮像装置1を構成するものであり、特に有効撮像領域における画素2の断面構成を示すものである。」 (イ) 「【0030】 <第1の実施形態> 図2に本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の要部の概略平面構成を示す。図2は、本実施形態例の固体撮像装置の撮像領域における複数の画素2(本実施形態例では、第1の画素2a、第2の画素2b)の平面レイアウトを示すものである。また、図3には、図2のX-X’線上に沿う断面構成を示し、図4には、図2のY-Y’線上に沿う断面構成を示す。本実施形態例の固体撮像装置は、基板の表面側から光照射が為される表面照射型の固体撮像装置である。 【0031】 [構成の説明] 本実施形態例の固体撮像装置は、第1の画素2aと第2の画素2bとから構成されている。第1の画素2aは、第1の受光部20aと、第1のゲート電極24と、フローティングディフュージョン領域21aとを含んで構成されている。また、第2の画素2bは、第2の受光部20bと、第2及び第3のゲート電極22,23と、フローティングディフュージョン領域21bとを含んで構成されている。 【0032】 図3に示すように、第1の受光部20aは、基板26内に形成された第1のフォトダイオードPD1により構成されている。第1のフォトダイオードPD1では、第1の波長域の光が光電変換により信号電荷に変換される。 【0033】 図4に示すように、第2の受光部20bは、基板26内の深さ方向に順に形成された第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3により構成されている。第2及び第3のフォトダイオードPD2,PD3では、第1の波長域と補色関係にある第2の波長域及び第3の波長域の光が、光電変換によりそれぞれの信号電荷に変換される。 本実施形態例は、第1の波長域の光を緑色(G)とし、第2の波長域の光を青色(B)とし、第3の波長域の光を赤色(R)とする例である。 【0034】 そして、図2に示すように、第1の受光部20aと、第2の受光部20bは、基板26内に互いに千鳥状に配置されている。すなわち、第1の受光部20aの垂直方向及び水平方向には、第2の受光部20bが隣接して形成されている。また、第2の受光部20bの垂直方向及び水平方向には、第1の受光部20aが隣接して形成されている。 【0035】 ここで、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3は、第1導電型のp型(ここでは、p-不純物濃度)半導体からなる基板26に形成されたp+不純物領域と、第2導電型のn+不純物領域とのpn接合を有して構成されるものである。以下に詳述する。 ・・・・ 【0042】 次に、第2の画素2bについて説明する。 図4に示すように、第2の受光部20bは、深さ方向に積層された第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3とを有する。 【0043】 第2のフォトダイオードPD2は、基板26の表面から深さ方向に順に形成されたp+不純物領域40、n+不純物領域39、n-不純物領域38により構成され、主に、p+不純物領域40とn+不純物領域39とのpn接合j_(3)により構成されている。そして、第2のゲート電極23に隣接する側の第2のフォトダイオードPD2を構成するn-不純物領域38は、p+不純物領域40の途中まで被覆するように形成されている。 また、第3のフォトダイオードPD3は、基板26の第2のフォトダイオードPD2よりも深い位置から深さ方向に形成されたp+不純物領域41、n+不純物領域36、n-不純物領域35により構成されている。この第3のフォトダイオードPD3は、主に、p+不純物領域41とn+不純物領域36とのpn接合j_(4)により構成されている。 【0044】 第2のフォトダイオードPD2を構成するpn接合j_(3)は、第1のフォトダイオードPD1のpn接合j_(1)と同様に、基板26の表面から0.1?0.2μm程度の深さに形成される。また、第3のフォトダイオードPD3を構成するpn接合j_(4)は、第1のフォトダイオードPD1のpn接合j_(2)と同様に、基板26の表面から0.5μm?0.8μm程度の深さに形成される。 【0045】 第2のゲート電極23は、第2の受光部20bの外周部の、第2のフォトダイオードPD2に隣接した基板36上面に形成されている。第2のゲート電極23は、基板26の表面に、ゲート絶縁膜33を介して形成された平面型ゲート電極である。 【0046】 第3のゲート電極22は、第2の受光部20bの、第2のゲート電極23が形成されている側とは反対側の外周部に、第3のフォトダイオードPD3に隣接して形成されている。第3のゲート電極22は、基板26の表面側から、深さ方向に形成された溝部37に、ゲート絶縁膜33を介して電極材料が埋め込まれることにより形成された縦型ゲート電極である。この溝部37は、基板26の表面から0.7μm?1.0μm程度の深さまで掘り込んで形成されている。そして、第3のゲート電極22底部及び、第3のゲート電極22底部に位置するゲート絶縁膜33は、第3のフォトダイオードPD3を構成するpn接合j_(4)よりも深い位置に達するように形成されている。 ・・・・ 【0048】 フローティングディフュージョン領域21bは、第2のゲート電極23に隣接する基板26の表面、及び第3のゲート電極22に隣接する基板の表面に、n+不純物領域により形成されている。このフローティングディフュージョン領域21bは、斜めに隣接する全ての第2の画素2bで共有されている。1つの第2の画素2bに注目すると、第2のゲート電極23に隣接するフローティングディフュージョン領域21bは、隣接する第2の画素2bの第3のゲート電極22に隣接している。また、第3のゲート電極22に隣接するフローティングディフュージョン領域21bは、隣接する第2の画素2bの第2のゲート電極23に隣接している。 【0049】 第2の画素2bでは、第2のゲート電極23と、第2のゲート電極23に隣接するフローティングディフュージョン領域21bにより、第2のフォトダイオードPD2の信号電荷e_(2)を読み出す電荷読み出しトランジスタTr2が構成されている。また、第3のゲート電極22とフローティングディフュージョン領域21bにより、第3のフォトダイオードPD3の信号電荷e_(3)を読み出す電荷読み出しトランジスタTr3が構成されている。 【0050】 そして、第2の受光部20bが形成された基板26上部の光照射側には、図示しない所望の配線層を介して、緑色と補色関係にある赤色の光R及び青色の光Bを透過する補色フィルタである、マゼンダフィルタ42が配置されている。 ・・・・ 【0058】 次に、第2の画素2bについてみると、第2の画素2bでは、第2のゲート電極23がオンされることにより、平面型の第2のゲート電極23下部の基板26内の電位が変動する。これにより、第2のフォトダイオードPD2に蓄積された信号電荷e_(2)は、第2のゲート電極23に隣接して形成されたフローティングディフュージョン領域21bに読み出される。また、第3のゲート電極22がオンされることにより、縦型の第3のゲート電極22周囲の電位が変動する。これにより、第3のフォトダイオードPD3に蓄積された信号電荷e_(3)は、第3のゲート電極22に隣接して形成されたフローティングディフュージョン領域21bに読み出される。」 (ウ) 「【0121】 上述した第1?第5の実施形態では、基板の表面側から光を照射する表面照射型の固体撮像装置を例として説明したが、基板の裏面側から光を照射する裏面照射型の固体撮像装置としてもよい。この場合は、基板の裏面側に、単色フィルタ、補色フィルタ、有機光電変換膜を構成し、基板内部のフォトダイオードの構成を逆にすればよい。」 (エ) 上記(ア)の【0022】及び【0023】より、引用文献には、「Siからなる基板11上に、複数のトランジスタを含む複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路を有」することが記載されていると認められる。そして、上記(ア)に記載の「Siからなる基板11」と上記(イ)に記載の「半導体からなる基板26」とが同じものを指すのは明らかであるから、引用文献には、「半導体からなる基板26上に複数のトランジスタを含む複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路を有」することが記載されていると認められる。 (オ) 上記(イ)の【0030】、【0046】及び【0049】より、引用文献には、「基板26の表面側から光照射が為される表面照射型の固体撮像装置において、基板26の表面側から、深さ方向に形成された溝部37に、ゲート絶縁膜33を介して埋め込まれた縦型ゲート電極である第3のゲート電極22を有する電荷読み出しトランジスタTr3」が記載されていると認められる。また、引用文献の図4には、第3のゲート電極22が基板の表面側の表面から基板26の内部に埋め込まれて形成されていることが記載されている。 よって、引用文献には、「基板26の表面側の表面から基板26の内部に埋め込まれて形成された縦型ゲート電極である第3のゲート電極22を有する電荷読み出しトランジスタTr3」が記載されていると認められる。 イ 引用発明 「半導体からなる基板26上に複数のトランジスタを含む複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路を有し、 基板26内の深さ方向に積層されて形成された第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3と、 基板26の表面側の表面から基板26の内部に埋め込まれて形成された縦型ゲート電極である第3のゲート電極22を有する電荷読み出しトランジスタTr3と、 第3のゲート電極22底部は、第3のフォトダイオードPD3を構成するpn接合j_(4)よりも深い位置に達するように形成されており、 第3のゲート電極22がオンされると、縦型の第3のゲート電極22周囲の電位が変動することにより、第3のフォトダイオードPD3に蓄積された信号電荷e_(3)は、第3のゲート電極22に隣接して形成されたフローティングディフュージョン領域21bに読み出される 基板の表面側から光照射が為される表面照射型の固体撮像装置。」 (4) 周知例の記載と周知技術 ア 周知例1 本出願日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2008-258316号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (ア) 「【請求項1】 半導体基板の深さ方向に積層された複数の受光部を有する複数の固体撮像素子が基板表面に沿った方向に周期的に配列され、入射される電磁波のうち、該半導体基板材料における光吸収係数の波長依存性により各受光部の深さに対応した波長域の電磁波が該各受光部でそれぞれ検出されて信号電荷がそれぞれ生成される固体撮像装置において、 該半導体基板の光入射面または該光入射面と反対側の基板表面から、平面視で互いに重ならない受光部の位置にそれぞれ到達する各トレンチ部がそれぞれ設けられ、該各トレンチ部にそれぞれ読み出しゲート電極が設けられ、該読み出しゲート電極の駆動時に、該複数の受光部からそれぞれ該各トレンチ部の側壁部分をそれぞれ介して、該光入射面側または、該光入射面側と反対側の基板表面部側にそれぞれ独立して電荷転送可能とする電荷転送部が設けられている固体撮像装置。」 (イ) 「【0062】 図1において、本実施形態1の固体撮像装置10は、単位画素部である固体撮像素子100として、半導体基板101に、第1波長域の電磁波を検出する第1受光部(青色の受光部拡散層)111と、第2波長域の電磁波を検出する第2受光部(緑色の受光部拡散層)112と、第3波長域の電磁波を検出する第3受光部(赤色の受光部拡散層)113とが、半導体基板101の深さ方向に順次積層して設けられている。 【0063】 この固体撮像素子100は、図1には示していないが、半導体基板101の平面方向に沿った方向に周期的(2次元状で例えばマトリクス状)に配列されている。各固体撮像素子100では、入射される電磁波のうち、半導体基板101の材料における光吸収係数の波長依存性により各受光部の深さに対応した波長域の電磁波が、各受光部によりそれぞれ検出されて、信号電荷がそれぞれ生成される。光入射面の半導体基板101の表面(第1受光部111上)には、表面準位での電荷発生を抑制するために、受光部拡散層とは電気的極性が異なる逆導電型の不純物拡散層121が設けられている。 【0064】 各固体撮像素子100には、半導体基板101における光入射面とは反対側の基板表面側から、各受光部に到達する深さを有するトレンチ(溝部)が、積層された受光部111?113の各層毎に(平面視で位置を変えて)、受光部と互いに異なる一基板平面方向(基板面に沿った方向)において隣接するように配置されている。図1では、受光部112に隣接するトレンチ112aと、受光部113に隣接するトレンチ113aとが示されており、受光部111に隣接するトレンチ(111aは図示せず)は紙面(図1)の奥方向側に配置されているために見えず、ここでは示されていない。 【0065】 各トレンチ111a?113aの内壁は、ゲート絶縁膜141(熱酸化膜)により覆われており、各トレンチ111a?113a内にはそれぞれ、読み出しゲート電極151の材料(例えば金属材料)が埋め込まれている。上記各トレンチ111a?113aの側壁をそれぞれ覆うゲート絶縁膜141(図1の上下方向)に沿って、各受光部111?113から蓄積拡散層に信号電荷を転送する電荷転送経路して、受光部拡散層とは電気的極性が逆(逆導電型)のチャネル拡散層131(チャネル領域)が設けられている。 ・・・・ 【0068】 さらに、光入射面とは反対側の基板表面側において、トレンチ111a?113aの各側壁に形成されたゲート絶縁膜141と隣接し、かつ、受光部111?113とそれぞれ隔離して各蓄積拡散層161がそれぞれ設けられている。各読み出しゲート電極151に所定の読み出し電圧を印加することによって、各受光部111?113にそれぞれ蓄積された信号電荷が、独立して各蓄積拡散層161にそれぞれ転送される。 【0069】 各固体撮像素子100内にはそれぞれ、複数の固体撮像素子100からの特定の固体撮像素子100の選択およびその固体撮像素子100からの信号出力に係る回路を構成するトランジスタとして、各受光部111?113から蓄積拡散層161にそれぞれ転送された信号電圧に応じて出力を増幅させる増幅トランジスタ163および、電荷転送された信号電荷を検出する電荷検出部(信号電圧変換部)としての蓄積拡散層161の信号電圧を所定電圧にリセットするためのリセットトランジスタ164などが設けられている。 【0070】 これらのトランジスタは、半導体基板101の光入射側とは反対側から、不純物拡散層からなる各ウェル162内および各ウェル162上にそれぞれ形成されている。さらに、信号電荷の転送経路として、半導体基板101の光入射側とは反対側に金属材料からなる配線層191?193が形成されている。これらの配線層191?193はそれぞれ、層間絶縁膜181?184をそれぞれ介して交互に積層されており、層間絶縁膜181?184に設けられたビアコンタクトを介して読み出しゲート電極151や電荷蓄積領域161、および増幅トランジスタ163やリセットトランジスタ164などにそれぞれ接続されている。」 (ウ) 上記(イ)の「半導体基板101における光入射面とは反対側の基板表面側から、各受光部に到達する深さを有するトレンチ(溝部)が、積層された受光部111?113の各層毎に(平面視で位置を変えて)、受光部と互いに異なる一基板平面方向(基板面に沿った方向)において隣接するように配置されている」(【0064】)との記載、及び「各トレンチ111a?113aの内壁は、ゲート絶縁膜141(熱酸化膜)により覆われており、各トレンチ111a?113a内にはそれぞれ、読み出しゲート電極151の材料(例えば金属材料)が埋め込まれている。」(【0065】)との記載から、周知例1には、「読み出しゲート電極151が、半導体基板101における光入射面とは反対側の基板表面側から、基板内部に埋め込まれて形成されている」ことが記載されていると認められる。 (エ) 上記(イ)の「各読み出しゲート電極151に所定の読み出し電圧を印加することによって、各受光部111?113にそれぞれ蓄積された信号電荷が、独立して各蓄積拡散層161にそれぞれ転送される。」(【0068】)との記載、及び、上記(ウ)の「読み出しゲート電極151が、半導体基板101における光入射面とは反対側の基板表面側から、基板内部に埋め込まれて形成されている」との記載から、周知例1には、「各受光部111?113にそれぞれ蓄積された信号電荷を蓄積拡散層161に転送する、読み出しゲート電極151を有する縦型トランジスタ」が記載されていると認められる。 (オ) 上記(イ)の【0070】には、半導体基板101の光入射面とは反対側にトランジスタ及び配線層が形成されていることから、周知例1には、裏面照射構造を有する固体撮像装置が記載されていると認められる。 (カ) 以上より、周知例1には、「半導体基板101の深さ方向に、第1受光部111と第2受光部112と第3受光部113とが順次積層して設けられており、各受光部111?113にそれぞれ蓄積された信号電荷を各蓄積拡散層161に転送する、半導体基板101における光入射面とは反対側の基板表面側から基板内部に埋め込まれて形成されている読み出し電極151を有する縦型トランジスタを備える、裏面照射構造を有する固体撮像装置」が記載されていると認められる。 イ 周知例2 本出願日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2009-295937号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (ア) 「【請求項1】 単位画素領域内の基板内において、異なる深さに形成された複数のフォトダイオードと、 前記複数のフォトダイオードで光電変換された信号電荷を読み出す為のゲート部が、前記複数のフォトダイオードのそれぞれに対応する深さに形成されるように、基板の一方の面側から深さ方向に形成された複数の縦型トランジスタと、 から構成される固体撮像装置。」 (イ) 「【0022】 [第1の実施形態] 図2に、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における断面構成を示す。図2は、1画素分、すなわち、単位画素領域20における断面構成を示すものである。 【0023】 本実施形態例の固体撮像装置は、第1導電型のシリコン基板21内の一方の面(以下、表面)側から、深さ方向に交互に、複数層積層されるように形成された第1導電型の半導体層と第2導電型の半導体層とを有する。また、シリコン基板21の表面側から所望の深さに形成された複数の縦型トランジスタTr1,Tr2,Tr3を有する。この縦型トランジスタTr1,Tr2,Tr3は、後述する電荷転送トランジスタに相当する。そして、シリコン基板21の表面側には、配線層47が構成され、シリコン基板21の裏面側には、オンチップレンズ31が構成される。すなわち、本実施形態例の固体撮像装置は、配線層47とは反対側から光が入射するように構成された裏面照射型の固体撮像装置を例としたものである。 【0024】 以下の説明においては、第1導電型をp型、第2導電型をn型とし、積層されるように形成された第1導電型の半導体層をp型半導体層、第2導電型の半導体層をn型半導体層とする。 【0025】 シリコン基板21内に交互に積層されるように形成されたp型半導体層及びn型半導体層は、単位画素領域20内で、フォトダイオードとなる領域に形成されるものである。本実施形態例においては、シリコン基板21の表面側から、第1のp型半導体層28、第1のn型半導体層27、第2のp型半導体層26、第2のn型半導体層25、第3のp型半導体層24、第3のn型半導体層23の順に積層される。そして、交互に積層されるように形成されたp型半導体層、n型半導体層により、単位画素領域20内で複数のフォトダイオードが形成される。この積層される第1?第3のp型半導体層28,26,24及び第1?第3のn型半導体層27,25,23は、それぞれ平板型に形成され、積層されるものである。また、本実施形態例において、積層される第1?第3のp型半導体層28,26,24は、p型のシリコン基板21よりも不純物濃度が高いものである。 ・・・・ 【0029】 そして、本実施形態例においては、上述した第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3のそれぞれに対応したゲート電極33,37,42を有する転送トランジスタTr1,Tr2,Tr3が形成される。 まず、第1の転送トランジスタTr1のゲート電極33は、シリコン基板21表面側から、第1のフォトダイオードPD1のpn接合j1に達する深さに形成されている。そして、第2の転送トランジスタTr2のゲート電極37は、シリコン基板21表面側から、第2のフォトダイオードPD2のpn接合j2に達する深さに形成されている。第3の転送トランジスタTr3のゲート電極42は、シリコン基板21表面側から、第3のフォトダイオードPD3のpn接合j3に達する深さに形成されている。 【0030】 これらのゲート電極33,37,42は、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3が形成されたシリコン基板21に縦型の開口部を設け、その開口部にゲート絶縁膜34を介して電極材料が埋め込まれることにより形成される。また、ゲート電極33,37,42は、円柱型や、角柱型に形成され、シリコン基板21の深さ方向に長い縦型に形成されるものである。各縦型の転送トランジスタTr1,Tr2,Tr3では、それぞれ、ゲート電極33,37,42と、ゲート絶縁膜34と、後述するチャネル部分とによって、ゲート部が構成される。 【0031】 ここで、第3の転送トランジスタTr3のゲート電極42を含むゲート部のゲート長は、第2の転送トランジスタTr2のゲート電極37を含むゲート部のゲート長よりも長く、第2の転送トランジスタTr2のゲート電極37を含むゲート部のゲート長は、第1の転送トランジスタTr1のゲート電極33を含むゲート部のゲート長よりも長い。 【0032】 また、シリコン基板21の表面であって、それぞれのゲート電極33,37,42に対応するゲート部に接する領域には、高不純物濃度のn型半導体領域、いわゆるn+ソース・ドレイン領域46,41,45が個々に形成される。このように、本実施形態例の固体撮像装置を構成する第1?第3の転送トランジスタTr1,Tr2,Tr3は、信号電荷が、シリコン基板21内に埋め込まれた縦型のゲート電極33,37,42に沿うように縦方向に転送される縦型トランジスタとされている。 【0033】 このような構成により、第1の転送トランジスタTr1のチャネル部分39は、第1のn型半導体層27から、縦型のゲート電極33に沿ってn+ソース・ドレイン領域46まで形成される。第2の転送トランジスタTr2のチャネル部分40は、第2のn型半導体層25から縦型のゲート電極37に沿ってn+ソース・ドレイン領域41まで形成される。第3の転送トランジスタTr3のチャネル部分44は、第3のn型半導体層23から縦型のゲート電極42に沿ってn+ソース・ドレイン領域45まで形成される。そして、これらのチャネル部分39,40,44は、好ましくは、それぞれのゲート電極33,37,42に沿うように、シリコン基板21面に対して垂直方向に形成されるものである。 【0034】 第1の転送トランジスタTr1では、第1のフォトダイオードPD1を構成する第1のn型半導体層27が、ソース・ドレイン領域を兼ねる。これにより、第1のn型半導体層27に蓄積された信号電荷が、チャネル部分39を通り、n+ソース・ドレイン領域46に転送される。 第2の転送トランジスタTr2では、第2のフォトダイオードPD2を構成する第2のn型半導体層25が、ソース・ドレイン領域を兼ねる。これにより、第2のn型半導体層25に蓄積された信号電荷がチャネル部分40を通り、n+ソース・ドレイン領域41に転送される。 第3の転送トランジスタTr3では、第3のフォトダイオードPD3を構成する第3のn型半導体層23が、ソース・ドレイン領域を兼ねる。これにより、第3のn型半導体層23に蓄積された信号電荷がチャネル部分44を通り、n+ソース・ドレイン領域45に転送される。 【0035】 第1?第3の転送トランジスタTr1?Tr3において、シリコン基板21表面であって、それぞれのゲート電極33,37,42に接する領域に形成されるn+ソース・ドレイン領域46,41,45は、それぞれ、フローティングデフュージョンFDとなる。 【0036】 シリコン基板21の表面側には、配線層47が構成される。配線層47には、層間絶縁膜30を介して所望の配線が形成される。本実施形態例は、3層に構成された配線M1?M3を有する例であり、これらの配線M1?M3が所望のゲート電極や電源に接続される。また、配線M1?M3間の接続は、例えば、コンタクト49やVIAを設けて接続される。 【0037】 シリコン基板21の裏面側には、オンチップレンズ31が構成される。そして、シリコン基板21の裏面側から照射された光がオンチップレンズ31において集光されて、例えば、シリコン酸化膜32を介して、単位画素領域内20に入射される。 【0038】 以上の構成の固体撮像装置では、シリコン基板21の裏面側から入射された光は、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3において光電変換され、信号電荷が蓄積される。そして、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3は、シリコン基板21内の異なる深さにそれぞれ形成されているため、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3ではそれぞれ異なる波長の光が吸収される。第1のフォトダイオードPD1においては、赤色の光が吸収され、第2のフォトダイオードPD2においては、緑色の光が吸収され、第3のフォトダイオードPD3においては、青色の光が吸収される。 【0039】 そして、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3に入射されたそれぞれの光は、光電変換され、その光電変換による信号電荷が、第1?第3のn型半導体層27,25,23にそれぞれ蓄積される。すなわち、第1のn型半導体層27には、赤色の光の光電変換による信号電荷が蓄積され、第2のn型半導体層25には、緑色の光の光電変換による信号電荷が蓄積され、第3のn型半導体層23には、青色の光の光電変換による信号電荷が蓄積される。 【0040】 このように、本実施形態例の固体撮像装置では、単位画素領域20内において、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3を有するので、3色の光による信号電荷をそれぞれ蓄積することできる。 【0041】 ところで、本実施形態例の固体撮像装置では、最も長いチャネル長を有する第3の転送トランジスタTr3のゲート電極42は、ゲート絶縁膜34を介して第1?第3のn型半導体層27,25,23全てに接触している。また、2番目に長いチャネル長を有する第2の転送トランジスタTr2のゲート電極37は、ゲート絶縁膜34を介して第1及び第2のn型半導体層27,25に接触している。」 (ウ) 「【0076】 [第4の実施形態] 次に、図5に、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における断面構成を示す。図5は、1画素分、すなわち、単位画素領域20における断面構成を示すものである。図5において、図2と同一部分には、同一符号を付し重複説明を省略する。 【0077】 本実施形態例における固体撮像装置は、第1の実施形態における固体撮像装置において、ゲート部とフォトダイオードを構成するn型半導体層の接触部分の構成を一部変形した例である。 【0078】 図5に示すように、本実施形態例においては、第2の転送トランジスタTr2を構成するゲート電極37のうち、第1のn型半導体層27の深さに位置するゲート電極37の周囲には、p型半導体領域51が形成される。すなわち、第1のフォトダイオードの電荷蓄積領域となる第1のn型半導体層27の第2の転送トランジスタTr2のゲート部に接する部分に、p型半導体領域51が形成される。 また、第3の転送トランジスタTr3を構成するゲート電極42のうち、第1のn型半導体層27及び第2のn型半導体層25の深さに位置するゲート電極42の周囲には、p型半導体領域52が形成される。すなわち、第1及び第2のフォトダイオオードPD1,PD2の電荷蓄積領域となる、第1及び第2のn型半導体層27,25の第3の転送トランジスタTr3のゲート部に接する部分に、p型半導体領域52が形成される。 【0079】 このように、第2,第3の転送トランジスタTr2,Tr3を構成するゲート電極37,42の、読み出しの対象となるフォトダイオード以外のフォトダイオードとの接触部分が、電荷蓄積領域であるn型半導体層と逆の性質を有するp型半導体領域で覆われる。p型半導体領域が形成されているところでは、n型半導体層に蓄積された信号電荷のチャネル部分への移動を抑制することできる。 ・・・・ 【0081】 したがって、第2の転送トランジスタTr2においては、第2のフォトダイオードPD2に蓄積された信号電荷のみが読み出される。そして、同様に、第3の転送トランジスタTr3においても、第3のフォトダイオードPD3に蓄積された信号電荷のみが読み出される。また、第1の転送トランジスタTr1を構成するゲート電極33は、もともと、第1のフォトダイオードPD1のみに接触されるように構成されている。このため、第1の転送トランジスタTr1においても、第1のフォトダイオードPD1に蓄積された信号電荷のみが読み出される。 【0082】 本実施形態例によれば、信号電荷を転送する回路がそれぞれ独立となるので、1つの転送トランジスタにおいて、1色の色による信号電荷を読み出すことができる。したがって、単位画素領域20内において、第1?第3のフォトダイオードPD1?PD3に蓄積された信号電荷を、同時に、かつ、別個に読み出すことが可能となる。」 (イ) 以上より、周知例2には、「シリコン基板21内に、複数のフォトダイオードPD1、PD2及びPD3が積層され設けられており、シリコン基板21表面側から、各フォトダイオードに達する深さに形成されている縦型のゲート電極33、37、42と、各フォトダイオードに蓄積された信号電荷を転送する、縦型のゲート電極33、37、42を有する縦型の転送トランジスタTr1、Tr2、Tr3を備える、裏面照射型の固体撮像装置」が記載されていると認められる。 ウ 周知技術 上記ア及びイより、以下の事項は、本出願日前、当該技術分野では周知技術と認める。 「半導体基板内に複数の受光部が積層され設けられており、受光部から信号電荷を読み出す、半導体基板の表面側の表面から半導体基板内部に埋め込まれたゲート電極を有する縦型の転送トランジスタを備える、裏面照射型構造を有する固体撮像装置。」 (5) 本願補正発明と引用発明との対比 ア 引用発明の「半導体からなる基板26」は、本願補正発明の「半導体層」に相当する。 また、引用発明において、「半導体からなる基板26上に複数のトランジスタを含む複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路を有」することから、半導体からなる基板26上に回路形成面があるといえる。 そして、引用発明は、前記(3)ア(イ)の【0045】、【0046】、【0048】及び【0049】より、基板の表面に複数のトランジスタを形成するものであると認められる。 そうすると、引用発明は「半導体からなる基板26上に複数のトランジスタを含む複数の画素2から構成される撮像領域3と、撮像領域3の周辺回路を有」すること、及び、基板の表面に複数のトランジスタを形成するものであることから、引用発明は、「表面側が回路形成面とされる半導体からなる基板26」を備えるといえ、これは、本願補正発明の「表面側が回路形成面とされた半導体層」に相当するといえる。 イ 引用発明の「第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3」は、本願補正発明の「2層以上の光電変換部」に相当する。 よって、引用発明の「基板26内の深さ方向に積層されて形成された第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3」は、本願補正発明の「前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部」に相当するといえる。 ウ 引用発明の「第3のゲート電極22」が、本願補正発明の「ゲート電極」に相当する。 また、引用発明の「電荷読み出しトランジスタTr3」は「縦型ゲート電極である第3のゲート電極22」を有することから、本願補正発明の「縦型トランジスタ」に相当するといえる。 そうすると、引用発明の「基板26の表面側の表面から基板26の内部に埋め込まれて形成された縦型ゲート電極である第3のゲート電極22を有する電荷読み出しトランジスタTr3」は、本願補正発明の「ゲート電極が前記半導体層の表面側の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタ」に相当するといえる。 エ 上記イのとおり、引用発明の「第2のフォトダイオードPD2と第3のフォトダイオードPD3」は、本願補正発明の「2層以上の光電変換部」に相当する。よって、引用発明の「第3のフォトダイオードPD3」は、本願補正発明の「2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部」に相当するといえる。 また、引用発明は「第3のゲート電極22底部は、第3のフォトダイオードPD3を構成するpn接合j_(4)よりも深い位置に達するように形成され」る構成を特定している。これらのことから、第3のフォトダイオードPD3は、第3のゲート電極22の埋め込まれた部分にまでわたって形成されていると認められる。 よって、引用発明の「第3のゲート電極22底部は、第3のフォトダイオードPD3を構成するpn接合j_(4)よりも深い位置に達するように形成され」る構成は、本願補正発明の「2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され」ることに相当するといえる。 オ 引用発明の「第3のゲート電極22がオンされると、縦型の第3のゲート電極22周囲の電位が変動することにより、第3のフォトダイオードPD3に蓄積された信号電荷e_(3)は、第3のゲート電極22に隣接して形成されたフローティングディフュージョン領域21bに読み出される」との構成より、「フローティングディフュージョン領域21b」と「第3のフォトダイオードPD3」との間の、「第3のゲート電極22がオンされると、縦型の第3のゲート電極22周囲の電位が変動する」領域は、「電荷読み出しトランジスタTr3」のチャネルと認められる。よって、引用発明において、「第3のフォトダイオードPD3」は、「電荷読み出しトランジスタTr3」のチャネルに接続されているといえる。 そうすると、引用発明の「第3のゲート電極22がオンされると、縦型の第3のゲート電極22周囲の電位が変動することにより、第3のフォトダイオードPD3に蓄積された信号電荷e_(3)は、第3のゲート電極22に隣接して形成されたフローティングディフュージョン領域21bに読み出される」は、本願補正発明の「2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は・・・前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている」に相当するといえる。 カ 引用発明の「基板の表面側から光照射が為される表面照射型の固体撮像装置」は、本願補正発明の「固体撮像装置」に相当する。 キ 以上をまとめると、本願補正発明は、引用発明と一致点及び相違点は次のとおりである。 (ア) 一致点 「表面側が回路形成面とされた半導体層と、 前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、 ゲート電極が前記半導体層の表面側の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、 2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている 固体撮像装置。」 (イ) 相違点 ・相違点 一致点における「固体撮像装置」について、本願発明では「前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有」しているのに対し、引用発明は「基板の表面側から光照射が為される表面照射型の固体撮像装置」である点。 (6) 相違点の検討 上記(3)ア(ウ)より、引用文献には、「上述した第1?第5の実施形態では、基板の表面側から光を照射する表面照射型の固体撮像装置を例として説明したが、基板の裏面側から光を照射する裏面照射型の固体撮像装置としてもよい。この場合は、基板の裏面側に、単色フィルタ、補色フィルタ、有機光電変換膜を構成し、基板内部のフォトダイオードの構成を逆にすればよい。」と記載されている。 そして、上記(4)ウより、「半導体基板内に複数の受光部が積層され設けられており、受光部から信号電荷を読み出す、半導体基板の表面側の表面から半導体基板内部に埋め込まれたゲート電極を有する縦型の転送トランジスタを備える、裏面照射型構造を有する固体撮像装置」は、本願の出願日前の周知技術であることを考慮すると、引用発明において、表面照射型の固体撮像装置を、基板の裏面側から光を照射する裏面照射型構造を有する固体撮像装置とすることは、当業者が容易に成し得ることである。 以上より、相違点に係る構成は、引用発明、引用文献の記載、並びに、周知例1及び周知例2にみられる周知技術に基づいて当業者が容易に成し得ることである。 (7) まとめ 本願補正発明は、引用発明、引用文献の記載、並びに、周知例1及び2にみられるような周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 そして、本願補正発明の効果も、引用発明から当業者が容易に予測し得たものと認められる。 したがって、本願補正後の請求項1に係る発明(本願補正発明)は、引用文献に記載の発明(引用発明)、引用文献の記載、並びに、周知例1及び2にみられるような周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 5 むすび したがって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明の容易想到性について 1 本願発明について 平成27年11月20日に提出された手続補正書による手続補正は前記のとおり却下された。そして、平成27年3月19日付けの手続補正書の特許請求の請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりであると認める。 「【請求項1】 表面側が回路形成面とされた半導体層と、 前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、 ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、 2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている 固体撮像装置。」 2 引用文献の記載と引用発明 引用文献の記載事項は、上記「第2の4(3)ア」で摘記したとおりのものである。 また、引用発明は上記「第2の4(3)イ」で認定したとおりのものである。 3 本願発明と引用発明の対比 本願発明は,前記第2で検討した本願補正発明から、「ゲート電極」が埋め込まれる場所を「半導体層の表面側の表面」から「半導体層の表面」とし、「固体撮像装置」に関する「前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有」するとの限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明は本願補正発明から上記「第2の4(5)キ(イ)」の相違点に係る構成を省いたものであり、本願発明と引用発明との間に相違点がないので、本願発明は引用発明であると認められる。 4 まとめ 本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用文献に記載の発明(引用発明)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 第4 結言 したがって、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、その余の請求項についても検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-08-16 |
結審通知日 | 2016-08-23 |
審決日 | 2016-09-15 |
出願番号 | 特願2011-223856(P2011-223856) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 聖和、田邊 顕人、小山 満 |
特許庁審判長 |
深沢 正志 |
特許庁審判官 |
柴山 将隆 鈴木 匡明 |
発明の名称 | 固体撮像装置、撮像装置 |
代理人 | 特許業務法人信友国際特許事務所 |