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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08B
管理番号 1321071
審判番号 不服2016-3026  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-29 
確定日 2016-11-04 
事件の表示 特願2011-141896「警備システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月10日出願公開、特開2013- 8298〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成23年6月27日の出願であって、平成27年3月26日付けで拒絶理由が通知され、同年6月1日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年11月20日付け(発送日:同年12月1日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年2月29日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成28年7月12日に上申書が提出されたものである。

第2.平成28年2月29日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成28年2月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成28年2月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年6月1日付けの手続補正書により補正された)下記Aに示す記載を、下記Bに示す記載へと補正するものを含むものである。

A 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
進入規制区域の周囲の少なくとも一部に設定された監視エリアへの不審物体の侵入を監視する警備システムであって、
前記監視エリアの入口の位置を記憶する記憶手段と、
前記監視エリアに存在する移動体の位置を検知する検知手段と、
前記検知した移動体毎に位置を追跡する位置追跡手段と、
前記検知した移動体毎に、前記位置追跡手段による当該移動体の追跡情報に基づいて不審物体として判定する判定手段と、を有し、
前記判定手段は、前記監視エリアの入口から進入した移動体を前記不審物体と判定する判定基準を、前記入口以外から進入した移動体を前記不審物体と判定する判定基準より不審物体として判定され難くなる厳格な基準とする、ことを特徴とする警備システム。」

B 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
進入規制区域の周囲の少なくとも一部に設定された監視エリアへの不審物体の侵入を監視する警備システムであって、
前記監視エリアの入口の位置を記憶する記憶手段と、
前記監視エリアに存在する移動体の位置を検知する検知手段と、
前記検知した移動体毎に位置を追跡する位置追跡手段と、
前記検知した移動体毎に、前記位置追跡手段による当該移動体の追跡情報に基づいて、前記監視エリア内における滞在時間または移動距離を計測し、前記滞在時間または前記移動距離が前記移動体毎に設定された所定の許可時間または許可距離を越えたときに当該移動体を不審物体と判定する判定手段と、を有し、
前記判定手段は、
前記監視エリアに進入した複数の移動体を追跡する場合において、
前記監視エリアの入口から進入した第1移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として第1許可時間または第1許可距離を設定し、前記監視エリア内における第1滞在時間または第1移動距離を計測し、
前記第1移動体を追跡中に前記入口以外から進入した第2移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として前記第1許可時間または前記第1許可距離より短い第2許可時間または第2許可距離を設定し、前記第1移動体とは別に前記監視エリア内における第2滞在時間または第2移動距離を計測する、
ことを特徴とする警備システム。」(アンダーラインは補正箇所を示す。)

2.本件補正の適否についての判断
[理由1]
2-1.新規事項
本件補正によって、請求項1には「前記第1移動体を追跡中に前記入口以外から進入した第2移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として前記第1許可時間または前記第1許可距離より短い第2許可時間または第2許可距離を設定し、前記第1移動体とは別に前記監視エリア内における第2滞在時間または第2移動距離を計測する、」という事項が追加されたが、当該補正事項は、願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には記載されていない。

審判請求書において、請求人は上記補正事項に関連して「上記の補正は、明細書の段落【0006】、【0051】、【0055】、【0059】ないし【0061】、【0064】、【0065】、【0073】、図6ないし8等の記載を根拠とするものである。特に、明細書の段落【0059】には、人物が敷地入口から進入しているときはその人物による入場エリア内での滞留行為を所定の許可時間だけ許容すること、及び、敷地入口から入ってきた人物を不審者と判定する判定基準を敷地入口以外から入ってきた人物を不審者と判定する判定基準より厳格にすることが記載され、段落【0073】には、人物が一定距離以上に移動するまで進入を許容する構成としてもよいことが記載され、段落【0006】には、厳格な判定基準とは、例えば、不審物体と判定するまでの猶予時間を長くすることや、不審物体と判定する移動距離を長くすることであることが記載されており、判定手段が『前記監視エリアの入口から進入した第1移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として第1許可時間または第1許可距離を設定し、前記監視エリア内における第1滞在時間または第1移動距離を計測し、前記第1移動体を追跡中に前記入口以外から進入した第2移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として前記第1許可時間または前記第1許可距離より短い第2許可時間または第2許可距離を設定し、前記第1移動体とは別に前記監視エリア内における第2滞在時間または第2移動距離を計測する』ことは明らかである。したがって、上記の補正は、新規事項を追加するものではな」い旨を主張する(審判請求書第5ページ第8ないし27行)。
また、上申書において、請求人は上記補正事項に関連して「明細書の段落【0006】に、『入口から進入した移動体を不審物体と判定する判定基準を、入口以外から進入した移動体を不審物体と判定する判定基準より厳格な基準とする』と記載され、さらに『厳格な判定基準とは、例えば、不審物体と判定するまでの猶予時間を長くすることや、不審物体と判定する移動距離を長くすることである』と記載されていることから、『入口から進入した移動体を不審物体と判定する』場合も『入口以外から進入した移動体を不審物体と判定する」場合も猶予時間又は移動距離が設定されることは明らかであり、『入口以外から進入した移動体を不審物体と判定する』場合に設定される猶予時間又は移動距離は、『入口から進入した移動体を不審物体と判定する』場合に設定される猶予時間又は移動距離より短くなるように設定されることも明らかである」旨を主張する(上申書第2ページ第27ないし36行)。
しかしながら、入口以外から進入した移動体(本件補正後の請求項1における「第2移動体」に相当。)に関して、当初明細書等の段落【0016】には「この警備システムは、第2監視エリア内に進入した移動体のうち、第2監視エリアの入口以外から進入した移動体は不審物体として判定し」と記載され、同段落【0059】には、「判定手段343は、・・・その人物が非許可者であり、敷地入口以外から進入している場合は、入場エリアか常監視エリアかに関わらず、不正に敷地内に入ってきた不審者と判定する。」と記載され、同段落【0060】には、「その人物が敷地入口以外から進入している場合、判定手段343は、その人物を不審者と判定し、監視エリア内への侵入があったことを表す外周侵入異常を、操作表示器4を介して建物内に在室するユーザに通知するとともに、監視センタ装置6へ通報し(ステップS804)、一連のステップを終了する。」と記載され、同段落【0061】には、「他の人物が敷地入口以外から入場エリアに進入すると、その人物は不審者と判定され、外周侵入異常が通知される。」と記載され、同段落【0073】には、「敷地入口以外から進入した人物を不審者として判定し」と記載され、同段落【0074】には、「判定手段は、その人物が敷地入口以外から進入しているときは不審者と判定して外周侵入異常を建物内に在室するユーザ及び監視センタ装置へ通知する。」と記載されているように、判定手段は、入口以外から進入した移動体を不審者と判定していることから、当初明細書等には入口以外から進入した移動体に対しては、進入を許可するという考え方が記載されていないことは明らかである。
そうすると、入口以外から進入した移動体に対して、進入の許可を前提とした許可時間や許可距離を設定することは当初明細書等に記載されているとはいえない。
そして、入口以外から進入した移動体に対して、進入の許可を前提とした「前記所定の許可時間または許可距離として前記第1許可時間または前記第1許可距離より短い第2許可時間または第2許可距離を設定」することは、当初明細書等に記載されているとはいえない。
よって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由2]
2-2 本件補正の目的
本件補正は、請求項1において、前記判定手段は、「前記監視エリアに進入した複数の移動体を追跡する場合において、前記監視エリアの入口から進入した第1移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として第1許可時間または第1許可距離を設定し、前記監視エリア内における第1滞在時間または第1移動距離を計測し、前記第1移動体を追跡中に前記入口以外から進入した第2移動体に対して、前記所定の許可時間または許可距離として前記第1許可時間または前記第1許可距離より短い第2許可時間または第2許可距離を設定し、前記第1移動体とは別に前記監視エリア内における第2滞在時間または第2移動距離を計測する、」という事項を追加するものである。
この補正によって、請求項1において、移動体について「第1移動体」及び「第2移動体」という事項が特定され、「判定手段」が「前記監視エリアに進入した複数の移動体を追跡する」ものとなり、「判定手段」が「前記第1移動体を追跡中に前記入口以外から進入した第2移動体に対して」第2許可時間等を設定、計測することを特定することによって、明細書の段落【0073】に記載された「複数の人物が異なるタイミングで監視エリア内に進入した場合であっても、それぞれの人物が不審者であるか否かを的確に識別することができる。」という本件補正前の請求項1に係る発明が有しない課題を解決することとなった。
よって、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明特定事項を限定するものではなく、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の解決しようとする課題が同一でもないので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

さらに、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもないことも明らかである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成28年2月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成27年6月1日付けの手続補正書及び願書に最初に添付した特許請求の範囲からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2.[理由]1.Aに記載したとおりである。

2.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-146290号公報(以下、「刊行物」という。)には、「防犯システム」に関し、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア.「【0006】
本発明は、建物を備える敷地の警戒を行う防犯システムであり、前記敷地内への進入者が前記敷地周囲のいずれの場所から進入したかを検出する場所検出手段と、前記場所検出手段により検出された進入場所に応じて警戒レベルを設定するレベル設定手段と、前記レベル設定手段により設定した警戒レベルに応じて警戒を実施する制御手段と、を備えることを特徴とする。」

イ.「【0016】
次に、本防犯システムについて説明する。本防犯システムは、敷地11内に侵入した不審者を排除すべく、敷地11に定められた警戒エリア内に人有りと検出され、かつ所定の警告条件を満たす場合に警告を発するものである。
【0017】
図2は、本防犯システムにおける警戒エリアを示す敷地11の平面図である。図2に示すように、敷地11内には複数の警戒エリアが定められており、具体的には、建物10の外壁周辺に定められた壁際エリアLv1(図2中の点線枠のハッチング部分)と、壁際エリアLv1と外構17との間に定められた中間エリアLv2(図2中の一点鎖線枠のハッチング部分)とが設けられている。
【0018】
警戒エリアLv1,Lv2の各エリアには、図2に示すように、赤外線センサ等からなる人感センサとしての敷地内センサ20A,20Bが少なくとも1つずつ配置されている。各々の敷地内センサ20A,20Bは、その配置された警戒エリアを検出エリアとしており、具体的には、敷地内センサ20のうち、Lv1に配置されたセンサ(LV1センサ)20AはLv1を検出エリアとし、Lv2に配置されたセンサ(LV2センサ)20BはLv2を検出エリアとしている。つまり、敷地内センサ20A,20Bによれば、警戒エリアLv1,Lv2のそれぞれでの人の有無が検出される。
【0019】
また、本防犯システムには、敷地内センサ20A,20B以外の人感センサとして、敷地11の外縁部周辺を検出エリアとする敷地外周センサが設けられている。敷地外周センサについて具体的には、図3に示すように、敷地出入口16を含む正面エリアLv3(図3中の実線枠のハッチング部分)を検出エリアとする正面センサ21Aと、駐車出入口15及び外構17を含む側方エリアLv4(図3中の点線枠のハッチング部分)を検出エリアとする側方センサ21Bとにより構成されている。これにより、正面センサ21Aでは、敷地出入口16を通過して敷地11内に進入する人の存在が検出され,側方センサ21Bでは、駐車出入口15又は外構17を通過して敷地11内に進入する人の存在が検出される。つまり、敷地外周センサ21A,21Bによれば、警戒エリアLv1及びLv2で検出された人の進入場所が、敷地出入口16であるか、敷地出入口16以外かが検出される。なお、本実施形態において、敷地外周センサ21A,21Bが場所検出手段に相当する。」

ウ.「【0022】
敷地内センサ20A,20B及び敷地外周センサ21A,21Bは、各検出エリア内での人の有無を示す人検出信号をコントローラ30に逐次出力する。コントローラ30は、敷地外周センサ21A,21Bのうち正面センサ21Aから人有りの人検出信号を入力した場合に、敷地出入口16に人ありと判断し、側方センサ21Bから人有りの人検出信号を入力した場合に、駐車出入口15又は外構17に人ありと判断する。また、コントローラ30は、敷地内センサ20A,20Bから人有りの人検出信号を入力した場合に、その敷地内センサ20A,20Bの検出エリア内に人が存在していると判断する。」

エ.「【0027】
次に、本システムにおけるコントローラ30の制御について以下詳細に説明する。上記構成において、コントローラ30は、敷地外周センサ21A,21Bからの人検出信号に基づいて進入者の有無及び進入場所を検出し、敷地外周センサ21A,21Bから人有りとする人検出信号を入力した場合には、その人検出信号をいずれのセンサから入力したか、つまり敷地周囲のいずれが進入場所であるかに応じて警戒レベルを設定する。そして、その警戒レベルに応じた態様で警戒を実施する。本実施形態では、警戒レベルの設定として、敷地11内での滞在の許可時間が進入場所に応じて設定してあり、設定された許可時間を超えて進入者が敷地11内に滞在している場合に、警報装置35による警告が発せられる。
【0028】
具体的には、コントローラ30は、図4に示すように、記憶部31と制御部32とを備える。記憶部31は、制御プログラムにかかる各種情報を記憶するものであり、特に本実施形態では、進入場所と滞在許可時間との関係を例えばマップとして予め記憶している。
【0029】
図5は、進入場所と滞在許可時間との関係の一例を示す図である。本実施形態では、敷地11の外から内への進入場所が正面エリアLv3か側方エリアLv4かに応じて、敷地11における滞在許可時間(第1許可時間KA)を異なる値に設定してある。すなわち、訪問者が配達員や隣人などのように敷地11への進入が許容されている者であれば、正規の進入路、つまり敷地出入口16を通って敷地11内に入るものと考えられる。これに対し、不審者の場合には、正規の進入路以外、つまり外構17を越えたり駐車出入口15を通ったりして敷地11内に入ることが考えられる。そこで、配達員や隣人等の進入に対する警戒を緩和する反面、不審者を敷地11からできるだけ早期に排除するために、本実施形態では、図5に示すように、敷地11への進入者の進入場所が正面エリアLv3の場合には、第1許可時間KAをTLV3としている。これに対し、同進入場所が側方エリアLv4の場合には、第1許可時間KAをTLV3よりも短いTLV4(TLV3>TLV4)にしてある。」

オ.「【0032】
図4のコントローラ30の説明に戻り、制御部32は、敷地外周センサ21A,21Bや敷地内センサ20A,20Bから入力される各種信号に基づいて、記憶部31に記憶された各種プログラムを実行する。具体的には、制御部32は、敷地外周センサ21A,21B及び敷地内センサ20A,20Bからの人検出信号や正面センサ21AからのキーIDなどを入力したり、敷地11での人の滞在時間(敷地滞在時間T1)及び壁際エリアLv1での人の滞在時間(建物周辺滞在時間T2)を計測したりする。また、制御部32は、各種入力信号等に基づいて、警報装置35に対し警告を実施する旨の駆動信号を出力する。そして、制御部32は、警戒処理として、敷地外周センサ21A,21Bのいずれかから人有りとする人検出信号を入力した場合に、記憶部31に記憶してある関係を用いて進入者の進入場所及び滞在場所に対応する滞在許可時間を設定し、その設定内容に応じた警告を実施する。
【0033】
次に、コントローラ30の制御部32によって実行される本防犯システムの動作を、図6を用いて説明する。図6は、本防犯システムにおける防犯処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、所定の時間周期で(例えば1sec毎に)実行される。
【0034】
図6において、ステップS10ではまず、敷地11内に人が滞在中か否かを判定する。敷地外周センサ21A,21Bから人有りの人検出信号を入力していないか、又は入力してから所定時間以上(例えば数sec以上)が経過している場合であって、かつ敷地内センサ20A,20Bのいずれからも人有りの人検出信号を入力していない場合には、敷地11内に人が滞在中でないと判定され、ステップS11へ進み、敷地11内へ進入する者がいるか否かを判定する。敷地外周センサ21A,21Bのいずれかから人有りの人検出信号を入力し、かつその直後に敷地内センサ20Bから人有りの人検出信号を入力した場合には、敷地11内への進入者ありと判定し、ステップS12へ進み、その進入者が住人であるか否かを判定する。電子キー23からのID信号を入力し、かつそのキーIDが正規IDであれば、その進入者は住人であると判断されることから、警告を実施することなくそのまま本ルーチンを終了する。
【0035】
一方、キーIDを受信しないか、又は受信したキーIDが正規IDでなければ、進入者は住人でないと判断し、ステップS13へ進み、その進入者がいずれの場所から敷地11内へ進入しているかを判定する。このとき、人検出信号の出力元が、敷地外周センサ21A,21Bのうち正面センサ21Aであれば、進入者の進入場所は敷地出入口16であると判断し、ステップS14へ進み、警戒レベルの設定として、第1許可時間KAをTLV3に設定する。一方、人検出信号の出力元が側方センサ21Bであれば、進入場所は駐車出入口15又は外構17であると判断し、ステップS15へ進み、警戒レベルの設定として、第1許可時間KAをTLV4に設定する。」

カ.「【0042】
進入者が敷地出入口16から敷地11内へ進入した場合、図7(a)に示すように、まず、敷地外周センサ21A,21Bのうち、正面センサ21Aにより人が敷地出入口16を通過したことが検出され、これに引き続いて敷地内センサ20Bで人有りの検出がなされる。これにより、敷地出入口16から敷地11内に進入者ありと検出され、第1許可時間KAとしてTLV3が設定されるとともに、敷地滞在時間T1の計測が開始される。このとき、第1許可時間KAがTLV3に設定されていることから、敷地滞在時間T1がTLV4を超えた時点(図7(a)中のA点)では警告は行われない。そして、敷地滞在時間T1が第1許可時間KA(=TLV3)を超える前に、敷地内センサ20B及び正面センサ21Aにより退出者有りと検出されると、敷地滞在時間T1がリセットされる。これにより、警報装置35による警告が実施されないこととなる。つまり、例えば郵便配達員や隣人、メータ検針員などのように、各々の用件を果たすために通常敷地出入口16を通過して敷地11内に立ち入る者に対しては、比較的長い時間、敷地11内での滞在を許可することとしている。
【0043】
これに対し、進入者が外構17を乗り越えて敷地11内に進入した場合、図7(b)に示すように、敷地外周センサ21A,21Bのうち、側方センサ21Bにより人が外構17を通過したことが検出され、これに引き続いて敷地内センサ20Bで人有りの検出がなされる。これにより、外構17から敷地11内に進入者ありと検出され、第1許可時間KAとしてTLV4が設定されるとともに、敷地滞在時間T1の計測が開始される。その後、敷地滞在時間T1がTLV4になると、その時点で警報装置35による警告が実施される。つまり、敷地出入口16を通過せずに敷地11内へ進入する者は通常不審者であると考えられることから、敷地出入口16以外から敷地11内へ立ち入るものに対しては、敷地11内での滞在を短時間だけ許可することにより警戒を強めている。」

キ.「【0048】
敷地11の警戒エリアとして壁際エリアLv1と中間エリアLv2とを定め、進入者による壁際エリアLv1での滞在許可時間を中間エリアLv2での滞在許可時間よりも短く設定する構成としたため、敷地11のうち建物10近くの警戒を強化することができる。したがって、不審者による建物10内への侵入を抑制することができる。」

ク.上記記載事項イ.の段落【0016】における「本防犯システムは、敷地11内に侵入した不審者を排除すべく、敷地11に定められた警戒エリア内に人有りと検出され、かつ所定の警告条件を満たす場合に警告を発するものである。」との記載、上記記載事項イ.の段落【0018】における「警戒エリアLv1,Lv2の各エリアには、図2に示すように、赤外線センサ等からなる人感センサとしての敷地内センサ20A,20Bが少なくとも1つずつ配置されている。」との記載及び上記記載事項キ.における「不審者による建物10内への侵入を抑制することができる。」との記載並びに図2によれば、防犯システムは、建物10の周囲に設定された警戒エリアLv1,Lv2への不審者の侵入を検出することが分かる。

ケ.上記記載事項ウ.の段落【0022】における「敷地内センサ20A,20B及び敷地外周センサ21A,21Bは、各検出エリア内での人の有無を示す人検出信号をコントローラ30に逐次出力する。コントローラ30は、敷地外周センサ21A,21Bのうち正面センサ21Aから人有りの人検出信号を入力した場合に、敷地出入口16に人ありと判断し、」との記載及び上記記載事項エ.の段落【0028】における「具体的には、コントローラ30は、図4に示すように、記憶部31と制御部32とを備える。記憶部31は、制御プログラムにかかる各種情報を記憶するものであり、特に本実施形態では、進入場所と滞在許可時間との関係を例えばマップとして予め記憶している。」との記載並びに図2ないし図4によれば、コントローラ30の記憶部31は、警戒エリアLv1,Lv2の敷地出入口16の位置を記憶していることが分かる。

コ.上記記載事項イ.の段落【0018】における「警戒エリアLv1,Lv2の各エリアには、図2に示すように、赤外線センサ等からなる人感センサとしての敷地内センサ20A,20Bが少なくとも1つずつ配置されている。各々の敷地内センサ20A,20Bは、その配置された警戒エリアを検出エリアとしており、具体的には、敷地内センサ20のうち、Lv1に配置されたセンサ(LV1センサ)20AはLv1を検出エリアとし、Lv2に配置されたセンサ(LV2センサ)20BはLv2を検出エリアとしている。つまり、敷地内センサ20A,20Bによれば、警戒エリアLv1,Lv2のそれぞれでの人の有無が検出される。」との記載並びに図2及び図3によれば、敷地内センサ20A,20Bは、警戒エリアLv1,Lv2に存在する人の位置を検知することが分かる。

サ.上記記載事項エ.における「そこで、配達員や隣人等の進入に対する警戒を緩和する反面、不審者を敷地11からできるだけ早期に排除するために、本実施形態では、図5に示すように、敷地11への進入者の進入場所が正面エリアLv3の場合には、第1許可時間KAをTLV3としている。これに対し、同進入場所が側方エリアLv4の場合には、第1許可時間KAをTLV3よりも短いTLV4(TLV3>TLV4)にしてある。」との記載、上記記載事項オ.の段落【0032】における「図4のコントローラ30の説明に戻り、制御部32は、敷地外周センサ21A,21Bや敷地内センサ20A,20Bから入力される各種信号に基づいて、記憶部31に記憶された各種プログラムを実行する。」との記載、上記記載事項オ.の段落【0035】における「その進入者がいずれの場所から敷地11内へ進入しているかを判定する。このとき、人検出信号の出力元が、敷地外周センサ21A,21Bのうち正面センサ21Aであれば、進入者の進入場所は敷地出入口16であると判断し、ステップS14へ進み、警戒レベルの設定として、第1許可時間KAをTLV3に設定する。一方、人検出信号の出力元が側方センサ21Bであれば、進入場所は駐車出入口15又は外構17であると判断し、ステップS15へ進み、警戒レベルの設定として、第1許可時間KAをTLV4に設定する。」との記載及び上記記載事項カ.の段落【0043】における「敷地出入口16を通過せずに敷地11内へ進入する者は通常不審者であると考えられることから、敷地出入口16以外から敷地11内へ立ち入るものに対しては、敷地11内での滞在を短時間だけ許可することにより警戒を強めている。」との記載並びに図4によれば、コントローラ30の制御部32は、その進入者がいずれの場所から敷地11内へ進入しているかを判定するものであるから、検知した人の位置を追跡する位置追跡手段(以下、「コントローラ30の位置追跡手段」という。)を有することが分かり、また、コントローラ30の制御部32は、敷地出入口16以外から敷地11内へ立ち入る場合に不審者かどうかの判定のために、敷地11内での滞在を短時間だけ許可するものであるから、検知した人のコントローラ30の位置追跡手段による当該人の追跡情報に基づいて不審者として判定する判定手段(以下、「コントローラ30の判定手段」という。)を有することが分かり、さらに、コントローラ30の判定手段は、敷地出入口16から進入する配達員や隣人等の警戒を緩和のために、敷地出入口16以外から敷地11内へ立ち入る場合の滞在許可時間を短くするものであるから、前記コントローラ30の判定手段は、敷地出入口16から進入した人を不審者と判定する判定基準を、前記敷地出入口16以外から進入した人を前記不審者と判定する判定基準より不審者として判定され難くなる厳格な基準とするといえる。

上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「建物10の周囲に設定された警戒エリアLv1,Lv2への不審者の侵入を検出する防犯システムであって、
前記警戒エリアLv1,Lv2の敷地出入口16の位置を記憶するコントローラ30の記憶部31と、
前記警戒エリアLv1,Lv2に存在する人の位置を検知する敷地内センサ20A,20Bと、
前記検知した人の位置を追跡するコントローラ30の位置追跡手段と、
前記検知した人の、前記コントローラ30の位置追跡手段による当該人の追跡情報に基づいて不審者として判定するコントローラ30の判定手段と、を有し、
前記コントローラ30の判定手段は、前記警戒エリアLv1,Lv2の敷地出入口16から進入した人を前記不審者と判定する判定基準を、前記敷地出入口16以外から進入した人を前記不審者と判定する判定基準より不審者として判定され難くなる厳格な基準とする、防犯システム。」

3.発明の対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「建物10」は、その技術的意義及び機能からみて、本願発明における「進入規制区域」に相当し、以下同様に、「警戒エリアLv1,Lv2」は「監視エリア」に、「不審者」は「不審物体」に、「検出」は「監視」に、「防犯システム」は「警備システム」に、「敷地出入口16」は「入口」に、「コントローラ30の記憶部31」は「記憶手段」に、「人」は「移動体」に、「敷地内センサ20A,20B」は「検知手段」に、「コントローラ30の位置追跡手段」は「位置追跡手段」に、「コントローラ30の判定手段」は「判定手段」に、それぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「進入規制区域の周囲のの少なくとも一部に設定された監視エリアへの不審物体の侵入を監視する警備システムであって、
前記監視エリアの入口の位置を記憶する記憶手段と、
前記監視エリアに存在する移動体の位置を検知する検知手段と、
前記検知した移動体の位置を追跡する位置追跡手段と、
前記検知した移動体の、前記位置追跡手段による当該移動体の追跡情報に基づいて不審物体として判定する判定手段と、を有し、
前記判定手段は、前記監視エリアの入口から進入した移動体を前記不審物体と判定する判定基準を、前記入口以外から進入した移動体を前記不審物体と判定する判定基準より不審者として判定され難くなる厳格な基準とする、警備システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
位置追跡手段と判定手段が、本願発明においては、移動体毎に位置を追跡して不審物体として判定するのに対し、引用発明においては、人(本願発明における「移動体」に相当。)毎に位置を追跡して不審者(本願発明における「不審物体」に相当。)として判定するものではない点(以下、「相違点」という。)。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
位置追跡手段と判定手段が、人毎に位置を追跡して不審者として判定することは周知の技術である(以下、「周知技術」という。例えば、特開平9-50585号公報の段落【0013】ないし【0016】における「物体検出部104及び侵入者判定部107」参照。)。
引用発明及び上記周知技術は、いずれも警備領域への不審者の侵入を防止するという共通の技術分野に属することを参酌すれば、引用発明に上記周知技術を適用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは当業者が容易に想到し得た事項である。

そして、本願発明は、全体でみても、引用発明及び上記周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-29 
結審通知日 2016-08-30 
審決日 2016-09-16 
出願番号 特願2011-141896(P2011-141896)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G08B)
P 1 8・ 121- Z (G08B)
P 1 8・ 57- Z (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 伊佐雄二階堂 恭弘丸山 高政  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 内田 博之
中川 隆司
発明の名称 警備システム  
代理人 伊坪 公一  
代理人 鶴田 準一  
代理人 南山 知広  
代理人 青木 篤  

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