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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1321083
審判番号 不服2015-8504  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-07 
確定日 2016-11-01 
事件の表示 特願2013-525912「コンポーネント・マウンティング構造体を備えた電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 1日国際公開、WO2012/027023、平成25年11月14日国内公表、特表2013-541723〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年7月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年8月27日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年4月19日に国際翻訳文(明細書の翻訳文、特許請求の範囲の翻訳文、要約書の翻訳文及び図31、32の翻訳文)が提出され、同年4月19日に手続補正がなされ、平成26年3月19日付けで拒絶理由が通知され、同年6月17日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年7月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年11月20日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年12月19日付けで前記平成26年11月20日付け手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年5月7日に拒絶査定不服審判が請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされ、同年7月13日付けで前置報告がなされ、平成28年5月25日付けで上申書が提出されたものである(以下、平成27年5月7日になされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての却下の決定
1 [結論]
本件補正を却下する。

2 [補正の内容]
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1につき、本件補正前(平成26年6月17日付けの手続補正後のもの。)の
「【請求項1】
カバー層と薄膜トランジスタ層と複数の追加層とを有するディスプレイであって、前記薄膜トランジスタ層が前記ディスプレイ内の前記複数の追加層を通じて前記カバー層と物理的に結合している、前記ディスプレイと、
前記カバー層と前記薄膜トランジスタ層の間に挟み込まれた突出部を有するハウジング
と、
を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタ層に取り付けられた端部を有するフレックス回路を更に含み、
前記突出部は、前記フレックス回路の前記端部と前記カバー層の間に挟み込まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記カバー層は、接着剤で前記突出部に取り付けられたカバーガラスの層を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記薄膜トランジスタ層に隣接したカラーフィルタ層を更に含み、
前記薄膜トランジスタ層は、縁部を有し、
前記突出部は、前記薄膜トランジスタ層の前記縁部と前記カバーガラスの層の間に挟み込まれ、
前記カラーフィルタ層は、前記薄膜トランジスタ層の前記縁部に対して引っ込んでいる縁部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記フレックス回路の一部分がその周りで曲がっている支持構造体と、
前記フレックス回路に接続したコンデンサと、
を更に含み、
前記突出部は、前記ハウジング内の空洞を形成し、
前記コンデンサは、前記空洞内に位置付けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記接着剤は感圧接着剤を含む、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記カバー層の片側に隣接して周辺領域を含み、
前記ハウジングと前記カバー層の間の前記突出部を一つにまとめる接着剤を更に含む、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記カバー層は前記ハウジングの突出部の第1の側にあり、前記ディスプレイは前記ハウジングの突出部の第2の側に複数のディスプレイ構成要素を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記ディスプレイは複数のディスプレイ構成要素を含み、
前記ハウジングの突出部は空洞を形成し、前記複数のディスプレイ構成要素の少なくとも幾つかが前記空洞内に配置される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記カバー層と、どんな空隙も含まない前記薄膜トランジスタ層との間に少なくとも1つのダイレクト線がある、請求項1に記載の電子デバイス。」

「【請求項1】
ディスプレイと、ハウジングと、前記ディスプレイとの接点がある電子コンポーネントとを含む電子装置であって、
前記ディスプレイは、カバー層と薄膜トランジスタ層と複数の追加層とを有し、前記薄膜トランジスタ層が前記ディスプレイ内の前記複数の追加層を通じて前記カバー層と物理的に結合し、
前記ハウジングは、内面、及び前記電子装置のユーザの手と直接接触する外面を含み、且つ突出部及びハウジング背面を有し、前記突出部は、前記カバー層と前記薄膜トランジスタ層の間に挟み込まれ、前記薄膜トランジスタ層は前記カバー層と前記ハウジング背面の間に挟み込まれ、そして前記ハウジング背面及び前記突出部は一続きで形成され、
前記突出部が前記ハウジングの空洞の上を通って延び、前記電子コンポーネントは当該空洞内に配置される、
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタ層に取り付けられた端部を有するフレックス回路を更に含み、
前記突出部は、前記フレックス回路の前記端部と前記カバー層の間に挟み込まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記カバー層は、接着剤で前記突出部に取り付けられたカバーガラスの層を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記薄膜トランジスタ層に隣接したカラーフィルタ層を更に含み、
前記薄膜トランジスタ層は、縁部を有し、
前記突出部は、前記薄膜トランジスタ層の前記縁部と前記カバーガラスの層の間に挟み込まれ、
前記カラーフィルタ層は、前記薄膜トランジスタ層の前記縁部に対して引っ込んでいる縁部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記フレックス回路の一部分がその周りで曲がっている支持構造体とを更に含み、前記電子コンポーネントは、前記フレックス回路に接続するコンデンサとを更に含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接着剤は感圧接着剤を含む、請求項3に記載の電子装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記カバー層の片側に隣接して周辺領域を含み、
前記カバー層を前記ハウジングの突出部に結合させる接着剤を更に含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記カバー層は前記ハウジングの突出部の第1の側にあり、前記ディスプレイは前記ハウジングの突出部の第2の側に複数のディスプレイ構成要素を含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記ディスプレイは複数のディスプレイ構成要素を含み、
前記ハウジングの突出部は前記空洞を形成し、前記複数のディスプレイ構成要素の少なくとも幾つかが前記空洞内に配置される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記カバー層から前記薄膜トランジスタ層へ延びる前記ディスプレイの一部は、どんな空隙(エアギャップ)も含まない、請求項1に記載の電子装置。」(以下「本件補正発明1」ないし「本件補正発明10」といい、これらをまとめて「本件補正発明」という。)
に補正する内容を含むものである(下線は請求人が付したとおりである)。

3 [理由](新規事項の追加及び目的外補正)
特許法第17条の2第3項及び第5項について
(1)補正前の請求項1に「ディスプレイとの接点がある電子コンポーネント」及び「前記電子コンポーネントは当該空洞内に配置される」との構成を付加する内容を含む本件補正(以下、「本件補正事項1」という。)について
ア 本願出願当初の明細書及び図面の記載内容
本願の平成24年6月19日に提出された国際翻訳文の明細書の翻訳文、特許請求の範囲の翻訳文及び要約書の翻訳文、及び、同時に提出された図面(以下「本願当初明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。
「【0002】
本発明は、一般的に電子デバイスに関し、より具体的には、電子デバイスの性能を強化する電子デバイスコンポーネント・マウンティング機能に関する。」
「【0009】
電子デバイスのためのハウジングは、ディスプレイカバー層とディスプレイ構成要素の間に挟み込まれた突出部を有することができる。ディスプレイカバー層は、カバーガラスの層とすることができる。ディスプレイ構成要素は、フレックス回路ケーブルとドライバ集積回路を含むことができる。突出部は、ハウジングの空洞にわたって置くことができる。フレックス回路は、空洞内の支持構造体によって支持された曲げ部分を有することができる。フレックス回路上のコンデンサを空洞に装着することができる。」
「【0022】
ドライバ集積回路(IC)120を薄膜トランジスタ層110の最も外側面上(すなわち、薄膜トランジスタ基板層の最も外側面上)に形成することができる。ディスプレイ104のための薄膜トランジスタ及び他の回路をカラーフィルタ層108に隣接したディスプレイ104の一部の薄膜トランジスタ層110の最も外側面上に形成することができる。この回路は、ディスプレイ104の画像ピクセルアレイのための画像ピクセル回路のアレイを形成する。層110の表面における導電性トレースは、ドライバIC120を画像ピクセルアレイの薄膜トランジスタに相互接続するために使用することができる。ドライバIC120からの制御信号が、望ましくない寄生キャパシタンスを受けることなく画像ピクセルアレイの中に駆動されることを保証するために、層110の表面上にドライバIC120を形成することが一般的には望ましい。
【0023】
デバイス100は、プリント回路基板112のような1つ又はそれよりも多くのプリント回路基板を有することができる。回路基板112は、ガラス繊維を充填したエポキシ(例として)のような剛性プリント回路基板材料から形成することができる。集積回路及び他の構成要素130は、プリント回路基板112上に装着することができる。基板1120の回路をディスプレイ104に相互接続するために、ケーブル114のようなケーブルは、基板112に接続された一端(端部116)を有することができ、かつ薄膜トランジスタ層110に接続された他端(端部118)を有することができる。ケーブル114は、必要に応じて、ポリイミドのような可撓性ポリマーのシートから形成された可撓性プリント回路(「フレックス回路」)を使用して実施することができる。フレックス回路ケーブル114は、いくつかの導電性トレースを含むことができる。フレックス回路ケーブル114の各端部には、基板112及び薄膜トランジスタ層110上の嵌合接点との電気的接続を行う接点を設けることができる。フレックス回路ケーブル114を端部116の基板112上のトレースに接続する際に及びフレックス回路ケーブル112を118の薄膜トランジスタ層110に接続する際にコネクタ構造(フレックス回路コネクタなど)を使用することができる。ケーブル112と基板112及び薄膜トランジスタ層108上の導電性トレース間の接続は、導電性接着剤(異方性導電性フィルムと呼ぶことがある)を使用して形成することができる。」
「【0026】
構造体126が突出部の形状を有するので、突出部126のすぐ下の領域は、ディスプレイ構成要素のようなデバイス100の構成要素を収容するために使用することができる空洞を形成する。図2に示すように、例えば、突出部126の下にある領域134(すなわち、突出部126よりもハウジング102内の更に内側位置に位置付けられる領域)が存在し、内側デバイス構成要素のために利用することができる。図2の例では、空洞領域134は、薄膜トランジスタガラス110の左手縁部、フレックス回路ケーブル114、及びプリント回路基板112の左手縁部を収容するのに使用される。必要に応じて、領域134のハウジング突出部126の下に他の構成要素を装着することができる。図2の構成は単に例示的なものである。」
「【0029】
コンデンサ160のような電気的構成要素は、フレックス回路ケーブル112に装着することができ、突出部126の下の空洞領域134内に収容することができる(図3に示す他の構造と共に)。図4は、コンデンサ160を突出部126の下の空洞にどのように装着するかを示すデバイス100の断面の斜視図である。
【0030】
図3に示すように、バックライト層154の一部分162のようなディスプレイ104の一部分(pシャーシと呼ぶことがある)は、張り出させた突出部(突出部126)の下に形成された空洞(すなわち、空洞領域134)に収容することができる。」

イ 本願当初明細書等全体をみても、「電子コンポーネント」との記載はみあたらないが、本願当初明細書等には、本件補正事項1における「ディスプレイとの接点がある」部材としては、上記アによれば「ディスプレイ104に相互接続するため」の「ケーブル114のようなケーブル」との記載があり、また、本件補正事項1における「空洞内に配置される」部材としては、上記アによれば「フレックス回路」、「フレックス回路上のコンデンサ」、「ディスプレイ構成要素のようなデバイス100の構成要素」、「内側デバイス構成要素」、「薄膜トランジスタガラス110の左手縁部」、「フレックス回路ケーブル114」、「プリント回路基板112の左手縁部」、「他の構成要素」、「コンデンサ160」及び「バックライト層154の一部分162のようなディスプレイ104の一部分(pシャーシと呼ぶことがある)」との記載がある。
また、本件補正後の請求項5には、「前記フレックス回路の一部分がその周りで曲がっている支持構造体とを更に含み、前記電子コンポーネントは、前記フレックス回路に接続するコンデンサとを更に含む」(下線は当審が付した。)と記載されていることから、請求項1の「電子コンポーネント」は、上記のコンデンサを含まないものといえる。

ウ 判断
本願優先日当時の技術常識を踏まえると、「電子コンポーネント」は種々多様な電子部材を想起し得るものであるところ、上記イによれば、本願当初明細書等の記載では、「空洞内に配置される」部材としては、様々の部材が例示されているが、「空洞内に配置される」部材であって、「ディスプレイとの接点がある」部材は、「ケーブル114のようなケーブル」のみ記載されている。
また、本願当初明細書等には、「電子コンポーネント」との用語はないから、本願当初明細書等では、当該「ケーブル114のようなケーブル」を「電子コンポーネント」と称してはいない。
そうすると、本件補正事項1は、種々多様な電子部材であって「フレックス回路に接続するコンデンサ」(本件補正後の請求項5)を含まないとし、かつ、「ディスプレイとの接点がある」ものとなしつつ、「空洞内に配置される」ものとなす「電子コンポーネント」を付加する補正であるから、本件補正事項1を含む本件補正は、新たな技術的事項を追加するものであり、また、請求項1に関して、特許法第17条の2第5項に定める、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれにも該当しない。

(2)請求項10に関して、補正前に「前記カバー層と、どんな空隙も含まない前記薄膜トランジスタ層との間に少なくとも1つのダイレクト線がある」であったものを、「前記カバー層から前記薄膜トランジスタ層へ延びる前記ディスプレイの一部は、どんな空隙(エアギャップ)も含まない」と補正し、「薄膜トランジスタ層との間に少なくとも1つのダイレクト線がある」との発明特定事項を削除する内容を含む本件補正(以下、「本件補正事項2」という。)について
本件補正事項2により、請求項10に関して、「薄膜トランジスタ層との間に少なくとも1つのダイレクト線がある」ものであった補正前の発明が、「薄膜トランジスタ層との間に少なくとも1つのダイレクト線がある」ものではないものを含む(拡張する)こととなる。
したがって、本件補正事項2は、請求項10に関して、特許法第17条の2第5項に定める、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれにも該当しない。

(3)小括
よって、本件補正事項1及び2を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項及び同第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4 付言
なお、たとえ、本件補正が特許請求の範囲の減縮であって、上記3で指摘した特許法第17条の2第5項の規定の規定を満足するものであっても、本件補正発明は、下記(1)または(2)の理由で、特許を受けることができないものであるから、本件補正を認める余地はない。
(1)特許法第36条第6項第1号について
上記3で検討したとおり、本件補正事項1である、「ディスプレイとの接点がある電子コンポーネント」及び「前記電子コンポーネントは当該空洞内に配置される」との構成は、本願明細書等に記載されていないものであり、本件補正発明1は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとは認められないから、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(2)特許法第29条第2項について
ア 刊行物の記載及び引用発明
(ア)原査定における拒絶理由に(引用文献2として)引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2009-175701号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある。
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示面に透光性接着剤により透光性基板を貼り付けた表示装置の製造方法に関する。」

b 「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による表示装置の製造方法を、図1を用いて工程順に説明する。図1(a)は配置工程を表す模式図である。表示装置の枠体10は上部に開口部11を備えている。表示パネル21を枠体10の内側の開口部11に近接して設置する。枠体10の開口端部12と表示パネル21の上面との間に間隙を設けても、接触させてもよい。図1(b)は第1接着層形成工程を表す模式図である。透光性の第1接着剤からなる第1接着層14は表示パネル21の上面に、枠体10の開口端部まで存在するように形成される。図1(c)は第2接着剤塗布工程を表す模式図である。透光性基板16の表面に透光性の第2接着剤17を塗布する。第2接着剤17は、透光性基板16の表面に点状に塗布する。例えば透光性基板16の表面中央部に1点、あるいは、更に隅部に4点塗布する。第2接着剤17の塗布量は、表示パネル21側全面に0.05?0.3mm程度の厚さに塗布することができる量とする。」

c 「【0029】
(実施例1)
本実施例による表示装置の製造方法を図4に基づき説明する。図4(a)は、液晶パネル8及び枠体10の断面構造を示し、配置工程を表している。液晶パネル8は、ガラスからなる上基板1と下基板2がシール材4を介して対向して貼り合わされ、その間隙に液晶層3が形成されている。上基板1の内面にはTFTマトリックスアレイが形成され、下基板2の内面にはカラーフィルターが形成されている。上基板1の右辺は突出し、突出部の下面にはTFTアレイを駆動するためのドライバーIC7がCOGにより実装されている。上基板1の外面に上偏光板5が、下基板2の外面に下偏光板6が貼り付けられている。液晶パネル8の下部にはバックライト9が設置されている。液晶パネル8及びバックライト9は、例えば図示しない筐体に設置されている。液晶パネル8は数インチから15インチの表示画面を有している。
【0030】
枠体10は金属板で形成され、上端には開口部11を有し、下部は図示しない筐体に固定されている。開口部11は開口端部12により仕切られている。液晶パネル8を枠体10の開口端部12に近接して設置する。開口端部12の端部板厚は約0.3?0.6mmである。開口端部12の先端は、上偏光板5の外周部が平面的に重なる部位まで延在する。開口端部12の下面と上偏光板5の上面との隙間は0mmより大きく約0.3mm程度までである。
【0031】
図4(b)は、液晶パネル8の上面に第1接着層14を形成した様子を示す断面図であり、第1接着層形成工程を表している。液晶パネル8の上面に第1接着剤を塗布する。このとき、接着剤を開口端部12まで塗布する。第1接着剤としてUV硬化型の透明接着剤を使用する。第1接着剤の粘度は、1000?6000mPa・sである。次に、紫外線を3000?10000mJ/cm^(2)照射して第1接着剤を硬化させる。第1接着層14は、枠体10の開口端部12の上面13と第1接着層14の上面15とが同程度の高さとする。第1接着剤の上面の凹凸は、約100μmまで許容できるが、100μm以下とするのが好ましい。
【0032】
図4(c)は、透光性基板16の上面に第2接着剤17を塗布した状態を示す断面図であり、第2接着剤塗布工程を表している。透光性基板16としてガラス基板を使用した。第2接着剤17は、透光性のUV硬化型接着剤を使用した。第2接着剤17の粘度は1000?6000mPa・sである。第2接着剤17の粘度を高くすると、次の貼り合せ工程で透光性基板16を反転したときに液だれが形成し難くなり、粘度を低くすると、液だれ量が減少して、液晶パネル8と透光性基板16間に充填する第2接着剤17の量が不足する。
【0033】
図4(d)は、液晶パネル8の上方に第2接着剤17を塗布した面を下面にした透光性基板16の断面構造を示し、貼り合せ工程を表している。透光性基板25の上下を反転して第2接着剤17を下側にする。すると、重力により第2接着剤17は液だれの形状となる。この液だれが形成された状態で、透光性基板16を液晶パネル8の露出面に降下させる。すると、液だれの先端が第1接着層14の表面に点接触する。その後、透光性基板16を更に降下させることにより、第2接着剤17と第1接着層14との接触面は次第に拡大する。この場合に、第2接着剤17からなる液だれが第1接着層14に点接触したときに、液だれの表面に波紋が生じない降下速度で透光性基板16を降下させる。波紋が生ずると、第2接着剤17に気泡が混入するからである。第2接着剤17は透光性基板16の下面表面全面に拡散させる。第1接着層14の表面と開口端部12の上面に段差がほとんどないため、段差部に気泡や空隙が混入することもない。なお、液晶パネル8と透光性基板16間に充填した接着剤に許容される気泡の直径は約100μmまでである。従って、直径が100μmより小さい気泡は問題としていない。
【0034】
図4(e)は、透光性基板16を液晶パネル8の上部に接着した断面構造を示し、第2接着剤硬化工程を表す。第2接着剤17が透光性基板16の下面全面に拡散した後に、紫外線を照射して第2接着剤17を硬化させる。紫外線は、3000?10000mJ/cm^(2)照射する。硬化後の第2接着剤17の硬度は、タイプA硬度1?10である。従って、硬化後の硬度はゴム弾性の性質を有する。硬度が高すぎると、熱膨張等による変形に対して上偏光板5の剥がれや損傷を生じ、硬度が低すぎると、液晶パネル8の耐衝撃性が低下する。
【0035】
なお、実施例1において、第1接着層14と第2接着剤17の屈折率は透光性基板16及び上偏光板5の屈折率と近似させている。そのために、上偏光板5と第1接着層14との間の界面、第1接着層14と第2接着剤17との間に界面、第2接着剤17と透光性基板16との間の界面における光の反射損失が低減する。例えば、第1接着層14及び第2接着剤17の屈折率を1.45?1.55とする。また、透光性基板16として保護用ガラス基板としたが、これに変えて、プラスチック板やタッチパネルを使用することができる。また、UV硬化型接着剤に代えて、熱硬化型接着剤や可視光硬化型接着剤を使用することができる。また、第1接着剤と第2接着剤17にUV硬化型接着剤、熱硬化型接着剤および可視光硬化型接着剤のうち異なる種類の接着剤を組み合わせて使用することもできる。」

d 図4は次のものである。


e 上記cの記載を踏まえて、上記dの図4(e)をみると、表示装置は、液晶パネル8と枠体10とを含む点、液晶パネル8は、透光性基板16、内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1、第1接着層14及び上偏光板5を有し、内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1は、第1接着層14及び上偏光板5を通じて透光性基板16と物理的に結合する点、枠体10は内面及び外面を含む点が見てとれる。
また、上記cの記載を踏まえて、上記dの図4(e)をみると、表示装置は、図面視左右の枠体10、図面視左右上側の枠体10の開口端部12、及び、液晶パネル8の図面視左右端の間に空間(以下。「空間部」という。)を有していて、枠体10の開口端部12は空間部の上を通って延びて突出部を形成する点、及び、枠体10の開口端部12は透光性基板16と上基板1の間に挟み込まれ、ドライバーIC7は空間部に配置されている点が見てとれる。

(イ)引用発明
上記(ア)によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「表示装置は、液晶パネル8と枠体10とを含み、
前記液晶パネル8は、透光性基板16、内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1、第1接着層14及び上偏光板5を有し、
前記内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1は、第1接着層14及び上偏光板5を通じて透光性基板1と物理的に結合し、
前記枠体10は内面及び外面を含み、
前記枠体10の開口端部12は空間部の上を通って延びて突出部を形成し、
前記枠体10の開口端部12は透光性基板16と上基板1の間に挟み込まれ、
前記上基板1の右辺は突出し、突出部の下面にはTFTアレイを駆動するためのドライバーIC7がCOGにより実装され、前記ドライバーIC7は空間部に配置されている、
表示装置。」

イ 対比・判断
(ア)本件補正発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「液晶パネル8」、「枠体10」、「透光性基板16」、「内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1」、「第1接着層14及び上偏光板5」、「突出部を形成する開口端部12」、「空間部」及び「表示装置」は、本件補正発明1の「ディスプレイ」、「ハウジング」、「カバー層」、「薄膜トランジスタ層」、「複数の追加層」、「突出部」、「空洞」及び「電子装置」にそれぞれ相当する。

b ここで、上記第3(1)で述べたとおり、「電子コンポーネント」との用語は、本願当初明細書等にはなく、また、本願優先日当時の技術常識を踏まえると、「電子コンポーネント」は種々多様な電子部材を想起し得るものであるところ、本願当初明細書等の記載では、「空洞内に配置される」部材であって、「ディスプレイとの接点がある」部材は、「ケーブル114のようなケーブル」のみ記載されているが、本「4 付言」では「なお、たとえ、本件補正が特許請求の範囲の減縮であって、上記3で指摘した特許法第17条の2第5項の規定の規定を満足するものであっても」として論じているので、「電子コンポーネント」を、「ディスプレイとの接点がある」ものとなしつつ、「空洞内に配置される」ものと解する。
また、本件補正発明1の解釈において、本件補正発明5については考慮しないものとする。
そうすると、引用発明の「ドライバーIC7」は、右辺が突出した上基板1の、突出部の下面にTFTアレイを駆動するために実装され、空間部に配置されていて、液晶パネル8と接点があるといえるから、本件補正発明1の、ディスプレイとの接点があり、当該空洞内に配置される「電子コンポーネント」に相当する

c 本件補正発明1において特定されている、「外面」が「ユーザの手と直接接触する」ことは、表示装置としての通常の使用状態にすぎないから、引用発明の枠体10においても、「ユーザの手と直接接触する外面を含」むものであることは明らかである。
したがって、引用発明の「枠体10」は、本件補正発明1の「ハウジング」の、「電子装置のユーザの手と直接接触する外面を含」む構成に相当する構成を備えるといえる。

d 以上aないしcの検討を踏まえると、両者は、
「ディスプレイと、ハウジングと、前記ディスプレイとの接点がある電子コンポーネントとを含む電子装置であって、
前記ディスプレイは、カバー層と薄膜トランジスタ層と複数の追加層とを有し、前記薄膜トランジスタ層が前記ディスプレイ内の前記複数の追加層を通じて前記カバー層と物理的に結合し、
前記ハウジングは、内面、及び前記電子装置のユーザの手と直接接触する外面を含み、且つ突出部を有し、前記突出部は、前記カバー層と前記薄膜トランジスタ層の間に挟み込まれ、
前記突出部が前記ハウジングの空洞の上を通って延び、前記電子コンポーネントは当該空洞内に配置される、電子装置。」
である点で一致し、下記点で相違する。

e 本件補正発明1の「ハウジング」は、「ハウジング背面」を有し、「前記薄膜トランジスタ層は前記カバー層と前記ハウジング背面の間に挟み込まれ、そして前記ハウジング背面及び前記突出部は一続きで形成され」るのに対して、引用発明の「枠体10」は、背面を有すると特定されず、「内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1」が「透光性基板16」と、当該背面の間に挟み込まれるとは特定されず、さらに、当該背面と突出部を形成する開口端部12が一続きで形成されるか明らかではない点で相違する(以下「相違点」という)。

(イ)判断
上記相違点について検討する。
引用発明の表示装置が背面を成す部材を有することは明らかである。
ここで、表示装置を一続きで形成した収納ケースのような構造物に収納することは周知・慣用の技術である。
そうすると、当該表示装置の背面を成す部材を枠体10と一続きで形成し、表示装置の収納ケースとなすことは、当業者が容易になし得ることである。
ここで、「開口端部12」は、「枠体10の開口端部12」であるから、「開口端部12」と「枠体10」は一続きで形成されるものである。
そして、引用発明の表示装置の背面を成す部材を、枠体10を介して突出部を形成する開口端部12とで一続きで形成すれば、「内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1」は「透光性基板16」と、当該表示装置の背面を成す部材の間に挟み込まれることとなる。
したがって、引用発明の表示装置の背面を成す部材を、枠体10及び突出部を形成する開口端部12とで一続きで形成して、表示装置の背面を成す部材と突出部を形成する開口端部12は、一続きで形成されることとなし、「内面にTFTマトリックスアレイが形成されたガラスからなる上基板1」は「透光性基板16」と、当該表示装置の背面を成す部材の間に挟み込まれるものとなした構成、すなわち、本件補正発明1の「ハウジング」は、「ハウジング背面」を有し、「前記薄膜トランジスタ層は前記カバー層と前記ハウジング背面の間に挟み込まれ、そして前記ハウジング背面及び前記突出部は一続きで形成され」るものに相当する構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)請求人の主張
a なお、請求人は、平成28年5月25日付けの上申書(第3段落)において、次のとおり主張する。
「引用文献2(特開2009-175701号公報)の段落[0030]には、『枠体10は金属板で形成され、上端には開口部11を有し、下部は図示しない筐体に固定されている。』とあります。つまり、本願発明の『ハウジング』に相当すると判断されている引用文献2の枠体10は、電子装置のハウジングの中に実装される(即ち、筐体に固定されて)ディスプレイパネルの一部を形成することをあらわしています。このことから、ハウジングの中に実装されるディスプレイパネルは、本願発明の特徴である、『前記電子装置のユーザの手と直接接触する外面』を開示しておりません。」

b しかしながら、引用発明が実体的には「電子装置のハウジングの中に実装される(即ち、筐体に固定されて)ディスプレイパネルの一部を形成する」表示装置であっても、製造・組み立て時、修理・メンテナンス・交換時等、表示装置を単体として扱う場合は当然にあり、その際に当該表示装置をユーザが直接手で接触することがあることは明らかである。
そして、このような作業を行う者も引用発明でいうところの表示装置のユーザであることに違いはない。
そうすると、上記上申書における請求人の主張は、上記(イ)の判断を左右するものではない。

ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 補正却下の決定のむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、たとえ、本件補正が特許請求の範囲の減縮であって、上記3で指摘した特許法第17条の2第5項の規定の規定を満足するものであっても、上記4の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるから、本件補正を認める余地はない。

第3 本願発明について
1 本件発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、平成26年6月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2、2 [補正の内容]において、本件補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
上記第2、4 付言(2)アのとおりである。

3 対比・判断
(1)上記第2、4 付言(2)イ(ア)での検討を踏まえて、本件発明と引用発明とを対比すると、両者は、
「カバー層と薄膜トランジスタ層と複数の追加層とを有するディスプレイであって、前記薄膜トランジスタ層が前記ディスプレイ内の前記複数の追加層を通じて前記カバー層と物理的に結合している、前記ディスプレイと、
前記カバー層と前記薄膜トランジスタ層の間に挟み込まれた突出部を有するハウジングと、を含む電子デバイス。」の点で一致し、引用発明は本件発明の構成をすべて備えている。
よって、本件発明は、引用文献に記載された発明である。

4 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用文献に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定された発明に該当し、特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-06 
結審通知日 2016-06-08 
審決日 2016-06-21 
出願番号 特願2013-525912(P2013-525912)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 57- Z (G09F)
P 1 8・ 113- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐竹 政彦角田 光法中村 直行  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 井口 猶二
松川 直樹
発明の名称 コンポーネント・マウンティング構造体を備えた電子デバイス  
代理人 辻居 幸一  
代理人 西島 孝喜  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 越柴 絵里  
代理人 大塚 文昭  
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