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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01J
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01J
管理番号 1321108
審判番号 不服2014-26654  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2016-11-22 
事件の表示 特願2012-508439「不利な条件下であっても均一な量の注入を実施するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月 4日国際公開、WO2010/126470、平成24年10月22日国内公表、特表2012-525678、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年5月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年4月28日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年10月24日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月29日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年8月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年12月26日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされた。
その後、当審において、平成27年12月10日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由1」という。)が通知され、平成28年5月12日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、同年6月6日付けで最後の拒絶理由(以下「当審拒絶理由2」という。)が通知され、同年9月1日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1?17に係る発明は、平成28年9月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1?17に係る発明(以下、項番に従って「本願発明1」などという。)は以下のとおりである。

「 【請求項1】
鉛筆状ビームが走査されることによって形成されたリボン状イオンビームと、
幅方向であってリボン状イオンビームがこの幅方向にエッジ部を有するような、第1の方向に直交する第3の方向に延びる幅を有するリボン状イオンビームを受け、このリボン状イオンビームを曲げて該第1の方向及び該第3の方向に直交する第2の方向に進めるように構成されたビーム曲げ部材と、
該第2の方向に進む該リボン状イオンビームを受けるように構成され、また、加工対象物を、該リボン状イオンビームを注入するために固定するようにさらに構成された、該ビーム曲げ部材の下流に位置するエンドステーションと、
該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定するように構成された、該ビーム曲げ部材の出射開口部に配置されたビーム電流測定システムとを備え、
上記ビーム電流測定システムが、
(1)ファラデーカップのペアであって、各ファラデーカップには1つ以上のスリットが入射口に設けられ、該1つ以上のスリットが、上記リボン状イオンビームのイオンの入射を、該各ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度の範囲に制限するように動作し、上記各ファラデーカップが、上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの対応するエッジ部にそれぞれ位置するような、ファラデーカップのペアと、
(2)上記2つのファラデーカップからビーム電流の測定結果を受信して平均を求めて、上記エンドステーション上の加工対象物の、上記第1の方向における機械的な移動を制御するように構成された線量測定制御システムと、
を有し、
上記各ファラデーカップが、該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成された各電子ゲートをさらに備えた、イオン注入システム。
【請求項2】
上記電子ゲートが、上記ビーム曲げ部材の上流に位置する走査装置の走査電圧の位相に応じて、上記ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記電子ゲートが、走査イオンビームが上記ファラデーカップの入射口に設けられた1つ以上のスリットを掃引する場合には、上記ファラデーカップがビーム電流を記録できるように構成され、かつ、それ以外の場合にはファラデーカップがビーム電流を記録することを防止する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記エンドステーションが処理室内に位置し、この処理室は処理室内で減圧状態が達成できるように処理室に関連して作動可能な真空ポンプを有し、
上記ビーム曲げ部材が磁石室内に位置し、
上記イオン注入システムが、
処理室と磁石室とを互いに連結するように構成され、さらに、エンドステーション上の加工対象物から磁石室へのガス抜け流を抑制するように構成された通気制限装置をさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記磁石室に関連して作動可能で、磁石室において所望の減圧状態を維持するように構成された真空ポンプをさらに備えた、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
上記ビーム曲げ部材が、角度エネルギーフィルタを備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
イオンビームを生成するように構成されたイオン源と、
イオンビームを質量分析するように構成された質量分析装置と、
質量分析されたイオンビームを走査してリボン状イオンビームを形成するように構成された走査装置と、
上記走査装置の下流に位置し、上記リボン状イオンビームを曲げるように構成されたビーム曲げ部材と、
加工対象物を固定し、曲げられた上記リボン状イオンビームを受けるように構成されたエンドステーションと、
上記ビーム曲げ部材のすぐ次に位置し、上記ビーム曲げ部材のすぐ次に、曲げられた上記リボン状イオンビームに関連するイオンビーム電流を測定するように構成されたビーム電流測定システムであって、該ビーム電流測定システムは、上記ビーム曲げ部材の出射部で上記リボン状イオンビームの第1の横エッジ部に位置する第1のファラデーカップと、上記第1の横エッジ部に対向する上記リボン状イオンビームの第2の横エッジ部に位置する第2のファラデーカップとを有している、ビーム電流測定システムと、
上記第1のファラデーカップからの第1のイオンビーム電流測定結果と上記第2のファラデーカップからの第2のイオンビーム電流測定結果とを受信して、上記第1および第2のイオンビーム電流測定結果から、平均イオンビーム電流を計算し、上記平均イオンビーム電流に応じて、上記エンドステーションにおける上記加工対象物の機械的な移動を制御するように構成された制御部と、
を備えた、イオン注入システム。
【請求項8】
上記制御部は、測定されたイオンビーム電流を受信して、それに応じて、上記エンドステーションにおける上記加工対象物の機械的な移動を制御する、請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
上記制御部は、上記ビーム電流測定システムにおけるイオンビーム電流測定を選択的に防止するように構成された電子ゲートを有する、請求項8に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
上記制御部は、走査されるイオンビームが上記ビーム電流測定システムに存在しない期間に上記ビーム電流測定システムにおけるイオンビーム電流測定を防止するために、イオンビーム電流測定の選択的な防止を、走査装置の走査と同期させるように構成されている、請求項9に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
上記第1のファラデーカップは、該ファラデーカップへのイオンの入射角度を制限するように構成されたスリットを有し、
上記第1のファラデーカップの軸に関する所定の閾値より小さい入射角度を持つリボン状イオンビームのイオンのみが、イオンビーム電流測定結果に含まれる、請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項12】
上記所定の閾値は、
上記所定の閾値と等しいまたはそれより大きい入射角度を持つイオンが、上記エンドステーションに固定された加工対象物に到達しないような値に設定される、請求項11に記載のイオン注入システム。
【請求項13】
上記ビーム電流測定システムからは、上記エンドステーションまでよりも、上記ビーム曲げ部材までのほうが近い、請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項14】
上記ビーム電流測定システムは、上記ビーム曲げ部材の出射開口部に位置する、請求項7に記載のイオン注入システム。
【請求項15】
鉛筆状ビームを走査して、幅方向に沿って複数のエッジ部を有するリボン状イオンビームを形成し、
ビーム曲げ部材を用いて上記リボン状イオンビームを曲げ、
上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの各エッジ部にファラデーカップを配置することによって、該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定し、複数のファラデーカップから得られるビーム電流の測定結果の平均を求め、
上記リボン状イオンビームについての加工対象物の機械的な移動を、測定された平均イオンビーム電流の位相に応じて制御し、
ファラデーカップが受けるリボン状イオンビームのイオンの入射を、該ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度に制限し、
電子ゲートを用いて、上記リボン状イオンビームを形成する鉛筆状イオンビームの上記走査の位相に応じて、上記ファラデーカップがビーム電流の測定結果を記録することを選択的に防止する方法。
【請求項16】
上記選択的に防止することは、
走査イオンビームが上記ファラデーカップを掃引する場合には、上記ファラデーカップがビーム電流を記録できるように構成し、かつ、それ以外の場合には、ファラデーカップがビーム電流を記録することを防止することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記加工対象物が処理室内のエンドステーション上に位置し、
上記ビーム曲げ部材が磁石室内に位置し、
上記加工対象物から磁石室へのガス抜け流を抑制するように構成された通気制限装置を用いて、処理室を磁石室に連結することをさらに含む、請求項15に記載の方法。」


第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特表2008-546160号公報
引用文献2:特開平8-115700号公報
引用文献3:特開2000-306540号公報
引用文献4:特開2004-39936号公報

引用文献1には、鉛筆型のイオンビームを走査することによりリボン状としたイオンビームを用い、AEFシステムの出力付近であって過走査領域に配置されたAEF線量カップによりイオン電流を測定するイオンビーム注入システムの発明が記載されている。
引用文献2に記載されているとおり、モニターファラデーのビーム入射口にスリット孔を設けることは、本願優先日前に当業者に周知の技術である。
引用文献3には、イオンビームが小孔を通過してファラデーカップに照射されるときのみにビーム照射を行うことで、ファラデーカップに入る不要な2次電子や雑音成分を少なくするようにしたビーム電流測定装置の発明が記載されている。
引用文献4には、基板が配置される位置におけるイオン電流値として、複数箇所の測定により得られた値の平均値を用いる構成のドーピング装置の発明が記載されている。

2 原査定の理由の判断
(1)本願発明1について
ア 引用文献の記載事項、引用発明
(ア)原査定の拒絶の理由に用いられた引用文献1(特表2008-546160号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)

a「【0041】
図6には、本発明に従う別の例示的なイオン注入システム600が示されている。システム600は、更に、AEFチャンバー領域607中に配置された角度型エネルギーフィルターシステム604を有し、AEFチャンバーは、注入処理チャンバー612内に存在するエンドステーション610の上流に配置されている。又、システム600を通じるイオンビーム602の経路が示されている。エンドステーション610内の環境は、真空分離弁614によって、AEFチャンバー607の環境から分離されている。動作の間、これらのチャンバーのいずれか又は両方の圧力は、例えば、真空ポンプ620及び2つの低温ポンプ622のような、真空ポンプ又は低温ポンプによって低減されている。本発明の一実施形態では、AEFチャンバー領域607内の圧力は、エンドステーション610の圧力よりも低く、これによって、AEF線量カップに対する脱ガス及び他の圧力源の作用を低減するものである。
【0042】
上述した他のシステムと同様に、システム600は、イオン源から走査型又はリボン型イオンビーム602を発生させ、このイオンビーム中のイオンは、加速管626によって必要に応じて加速又は減速される。次いで、イオンビーム602は、ビーム602のエネルギーをフィルタリングするように構成された角度型エネルギーフィルターシステム604に入る。例えば、全体として正に帯電したイオンビーム602は、偏向プレート630によって、正電圧偏向プレート630aから離れ、負電圧偏向プレート630bに向かうように、一定の角度(例えば、15°)だけ屈曲し、この角度は、最終エネルギー状態及び所望の方向に対応する。ここで、イオンビーム602中の所望のエネルギーを有するイオンは、所望のビーム経路に沿って偏向され、抑制電極632を通過して、AEFのベンド付近に配置されたAEFシステム604のAEF線量カップ634に至る。偏向されていない中性粒子のエネルギーは、抑制電極に続く中性ビームトラップ636によって吸収される。AEF線量カップ634は、この中性ビームダンプの直後に配置するものであってもよい。エネルギーが過剰なイオンは、高エネルギー汚染物ダンプ638によって排除(捕捉)され、エネルギーが過少なイオンは、低エネルギー汚染物ダンプ640(2箇所に図示されている)によって排除される。
【0043】
この結果、所望のエネルギーを有するビーム602は、最終エネルギーベンド後の電荷交換によって一定の比率で発生した中性粒子とともに、エンドステーション610の注入処理チャンバー612内のウエハ支持構造体644によって保持されたウエハ642に衝突する。ウエハ支持構造体644を使用して、ウエハを、走査型又はリボン型イオンビーム602に相対的に回転及び/又は平行移動させるものであってもよい。
【0044】
製造運転の間、すなわち、半導体ウエハ加工物642にイオンビーム602が衝突し、それによって、イオンが注入されている間に、イオンビーム602は、イオン源(図示は省略する)から排気された注入チャンバー612に、排気された経路を通じて輸送される。イオンビーム602は、ウエハ加工物642が回転及び/又は平行移動(例えば、図3の330)しているときに、そのウエハ加工物に衝突する。本発明の一態様によれば、加工物642によって受け取られるイオン線量は、少なくとも部分的には、支持構造体644の移動速度によって決定され、この移動速度は、AEF線量カップ634の測定値のフィードバックに基づく制御用電子装置(図示は省略する)による閉ループ制御で制御される。」

b 図6


上記a及びbより、引用文献1には、
「イオン源から走査型又はリボン型イオンビーム602を発生させ、
このイオンビーム中のイオンは、加速管626によって必要に応じて加速又は減速され、
次いで、イオンビーム602は、ビーム602のエネルギーをフィルタリングするように構成された角度型エネルギーフィルターシステム604に入り、全体として正に帯電したイオンビーム602は、偏向プレート630によって、正電圧偏向プレート630aから離れ、負電圧偏向プレート630bに向かうように、一定の角度(例えば、15°)だけ屈曲し、この角度は、最終エネルギー状態及び所望の方向に対応し、ここで、イオンビーム602中の所望のエネルギーを有するイオンは、所望のビーム経路に沿って偏向され、抑制電極632を通過して、AEFのベンド付近に配置されたAEFシステム604のAEF線量カップ634に至り、AEF線量カップ634は、この中性ビームダンプの直後に配置され、
イオンビーム602は、ウエハ加工物642が回転及び/又は平行移動しているときに、エンドステーション610の注入処理チャンバー612内のウエハ支持構造体644によって保持されたウエハ642に衝突し、
加工物642によって受け取られるイオン線量は、少なくとも部分的には、支持構造体644の移動速度によって決定され、この移動速度は、AEF線量カップ634の測定値のフィードバックに基づく制御用電子装置による閉ループ制御で制御される、
イオン注入システム。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

また、上記ア及びイより、引用文献1には、
「イオン源から走査型又はリボン型イオンビーム602を発生させ、
このイオンビーム中のイオンは、加速管626によって必要に応じて加速又は減速され、
次いで、イオンビーム602は、ビーム602のエネルギーをフィルタリングするように構成された角度型エネルギーフィルターシステム604に入り、全体として正に帯電したイオンビーム602は、偏向プレート630によって、正電圧偏向プレート630aから離れ、負電圧偏向プレート630bに向かうように、一定の角度(例えば、15°)だけ屈曲し、この角度は、最終エネルギー状態及び所望の方向に対応し、ここで、イオンビーム602中の所望のエネルギーを有するイオンは、所望のビーム経路に沿って偏向され、抑制電極632を通過して、AEFのベンド付近に配置されたAEFシステム604のAEF線量カップ634に至り、AEF線量カップ634は、この中性ビームダンプの直後に配置され、
イオンビーム602は、ウエハ加工物642が回転及び/又は平行移動しているときに、エンドステーション610の注入処理チャンバー612内のウエハ支持構造体644によって保持されたウエハ642に衝突し、
加工物642によって受け取られるイオン線量は、少なくとも部分的には、支持構造体644の移動速度によって決定され、この移動速度は、AEF線量カップ634の測定値のフィードバックに基づく制御用電子装置による閉ループ制御で制御される、
イオン注入方法。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

(イ)原査定の拒絶の理由に用いられた引用文献2(特開平8-115700号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。
a「【0034】一方、マスク8には、後に詳述するが、中央部分にウェーハ5に照射するイオンビームの照射領域を所要の形状に整形(カット)して通過させるための開口部としての円孔8aが設けられている。また、マスク8には、円孔8aの両側に円孔8aからほぼ等しい間隔をおいて細長い形状をなす副開口部としてのスリット孔8b・8bが設けられている。このスリット孔8b・8bの近傍には、マスク8とメインファラデーケージ7との間にモニタファラデー12・12が設けられている。」

b 図1


c 図2


(ウ)原査定の拒絶の理由に用いられた引用文献3(特開2000-306540号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。
a「【0027】遮光板16と光センサ17によって検出される円盤10の回転位置は、ファラデーカップ50によるビーム電流測定の際のビーム検出期間を設定するために用いられ、遮光板16と光センサ17によって検出される円盤10の回転位置から、円盤10に設けられている小孔30がファラデーカップ50の前を横切る間だけ、ファラデーカップ50でビーム検出を行うようにする。
【0028】このようにファラデーカップ50の前を小孔30が横切る間だけビーム検出をすることで、ファラデーカップ50に入る不要な2次電子や雑音成分を少なくすることができる。
【0029】さらに、揺動軸12に設けられている揺動機構(不図示)には、円盤10の揺動位置を検出するためのセンサ(例えば揺動するどちらか一方の終端を検知するためのリミットスイッチや光センサなど(いずれも不図示))を設けて、円盤10の揺動位置がビーム照射範囲70内にあるときにのみファラデーカップ50によるビーム検出を行うようにしている。これは、図4に示すように、円盤10が振り子揺動することにより、例えば、図示、円盤10を点線で示した状態のように、円盤10が振り子揺動の終端LおよびRに来たときには、円盤10の外縁部に沿って載置されているウェーハがビーム照射範囲70から外れ、この間、小孔30の位置もビーム照射範囲から外れるため、ファラデーカップ50にビームは入らないので、この間はビームを検出しないうようにして、不要な2次電子や雑音成分を検出しないようにし、一方、円盤10が振り子揺動のほぼ中央部Cを通過するときには、円盤10に載置されているウェーハにイオンビームが照射されるので、この間は、小孔30を通過したインビームを検出するようにしている。」

b 図1


(エ)原査定の拒絶の理由に用いられた引用文献4(特開2004-39936号公報)には、以下の事項が記載されている。
a「【0033】
次に、イオン検出器101により、ドーピングの際に基板が配置される処理位置における測定値(イオン電流値)、およびモニター位置における測定値(イオン電流値)の測定を行う。なお、基板が配置される位置におけるイオン電流値は、複数箇所の測定により得られた値の平均値または中央値をイオン電流値として用いる。そして、これらの値(処理位置における測定値、モニター位置における測定値)から、変換値(α)が以下の式(1)により算出される。」

イ 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、本願発明と引用発明1は、
「鉛筆状ビームが走査されることによって形成されたリボン状イオンビームと、
幅方向であってリボン状イオンビームがこの幅方向にエッジ部を有するような、第1の方向に直交する第3の方向に延びる幅を有するリボン状イオンビームを受け、このリボン状イオンビームを曲げて該第1の方向及び該第3の方向に直交する第2の方向に進めるように構成されたビーム曲げ部材と、
該第2の方向に進む該リボン状イオンビームを受けるように構成され、また、加工対象物を、該リボン状イオンビームを注入するために固定するようにさらに構成された、該ビーム曲げ部材の下流に位置するエンドステーションと、
該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定するように構成された、該ビーム曲げ部材の出射開口部に配置されたビーム電流測定システムとを備えた、イオン注入システム。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

<相違点1>
「ビーム電流測定システム」が、本願発明1では、「(1)ファラデーカップのペアであって、各ファラデーカップには1つ以上のスリットが入射口に設けられ、該1つ以上のスリットが、上記リボン状イオンビームのイオンの入射を、該各ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度の範囲に制限するように動作し、上記各ファラデーカップが、上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの対応するエッジ部にそれぞれ位置するような、ファラデーカップのペア」であるのに対して、引用発明1の「AEF線量カップ634」は、そのような構成でない点。

<相違点2>
「線量測定制御システム」が、本願発明1では、「(2)上記2つのファラデーカップからビーム電流の測定結果を受信して平均を求めて、上記エンドステーション上の加工対象物の、上記第1の方向における機械的な移動を制御するように構成された」のに対して、引用発明1の「制御用電子装置」は、そのような構成でない点。

<相違点3>
「各ファラデーカップ」が、本願発明1では、「該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成された各電子ゲートをさらに備えた」のに対して、引用発明1の「AEF線量カップ634」は、そのような構成でない点。

ウ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点1、2についてまとめて検討する。
引用発明1の「AEF線量カップ634」はペアをなすものとはいえず、ペアをなす「AEF線量カップ634」の平均を求めるようにする動機付けはない。また、引用文献2?4には、上記相違点1、2に係る本願発明1の構成は記載されていない。
そして、上記相違点1、2に係る構成により、本願発明1は、本願明細書の【0063】に記載された「2つのファラデー信号の平均を使用することによって、ウエハの中心に到達する実際の粒子の個数を代表させることができ、さらに、ウエハ領域全体の誤差を半減することができる」という顕著な作用効果を奏するものである。
してみると、引用発明1に引用文献2?4に記載された事項を適用して上記相違点1、2に係る構成とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものとすることはできない。

エ 結論
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が引用発明1及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本願発明2?6について
本願発明2?6は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が引用発明1及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本願発明7について
ア 対比
本願発明7と引用発明1とを対比すると、本願発明7と引用発明1は、
「イオンビームを生成するように構成されたイオン源と、
イオンビームを質量分析するように構成された質量分析装置と、
質量分析されたイオンビームを走査してリボン状イオンビームを形成するように構成された走査装置と、
上記走査装置の下流に位置し、上記リボン状イオンビームを曲げるように構成されたビーム曲げ部材と、
加工対象物を固定し、曲げられた上記リボン状イオンビームを受けるように構成されたエンドステーションと、
上記ビーム曲げ部材のすぐ次に位置し、上記ビーム曲げ部材のすぐ次に、曲げられた上記リボン状イオンビームに関連するイオンビーム電流を測定するように構成されたビーム電流測定システム、
を備えた、イオン注入システム。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

<相違点4>
「ビーム電流測定システム」が、本願発明7では、「上記ビーム曲げ部材の出射部で上記リボン状イオンビームの第1の横エッジ部に位置する第1のファラデーカップと、上記第1の横エッジ部に対向する上記リボン状イオンビームの第2の横エッジ部に位置する第2のファラデーカップとを有している」のに対して、引用発明1の「AEF線量カップ634」は、そのような構成でない点。

<相違点5>
本願発明7が、「上記第1のファラデーカップからの第1のイオンビーム電流測定結果と上記第2のファラデーカップからの第2のイオンビーム電流測定結果とを受信して、上記第1および第2のイオンビーム電流測定結果から、平均イオンビーム電流を計算し、上記平均イオンビーム電流に応じて、上記エンドステーションにおける上記加工対象物の機械的な移動を制御するように構成された制御部」「を備えた」のに対して、引用発明1の「制御用電子装置」は、そのような構成でない点。

イ 判断
上記相違点4、5についてまとめて検討すると、上記「(1)」「ウ」で検討したのと同様の理由により、引用発明1に引用文献2?4に記載された事項を適用して上記相違点4、5に係る構成とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものとすることはできない。

ウ 結論
したがって、本願発明7は、当業者が引用発明1及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本願発明8?14について
本願発明8?14は、本願発明7をさらに限定したものであるので、本願発明7と同様に、当業者が引用発明1及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)本願発明15について
ア 対比
本願発明15と引用発明2とを対比すると、本願発明15と引用発明2は、
「鉛筆状ビームを走査して、幅方向に沿って複数のエッジ部を有するリボン状イオンビームを形成し、
ビーム曲げ部材を用いて上記リボン状イオンビームを曲げ、
上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの各エッジ部にファラデーカップを配置することによって、該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定し、
上記リボン状イオンビームについての加工対象物の機械的な移動を、測定されたイオンビーム電流に応じて制御する方法。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

<相違点6>
「上記リボン状イオンビームについての加工対象物の機械的な移動を」、本願発明15では、「複数のファラデーカップから得られるビーム電流の測定結果の平均を求め、測定された平均イオンビーム電流の位相に応じて制御」するのに対して、引用発明2の「AEF線量カップ634」は複数でなく、引用発明2の「制御用電子装置」は、そのような構成でない点。

<相違点7>
本願発明15では、「ファラデーカップが受けるリボン状イオンビームのイオンの入射を、該ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度に制限」するのに対して、引用発明2の「制御用電子装置」は、そのような構成でない点。

<相違点8>
本願発明15では、「電子ゲートを用いて、上記リボン状イオンビームを形成する鉛筆状イオンビームの上記走査の位相に応じて、上記ファラデーカップがビーム電流の測定結果を記録することを選択的に防止する」のに対して、引用発明2の「制御用電子装置」は、そのような構成でない点。

イ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点6、8についてまとめて検討すると、上記「(1)」「ウ」で検討したのと同様の理由により、引用発明2に引用文献2?4に記載された事項を適用して上記相違点6、8に係る構成とすることは、当業者といえども、容易に想到し得たものとすることはできない。

ウ 結論
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明15は、当業者が引用発明2及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

(6)本願発明16?17について
本願発明16?17は、本願発明15をさらに限定したものであるので、本願発明15と同様に、当業者が引用発明2及び引用文献2?4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

3 小括
以上から、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。


第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)当審拒絶理由1の概要
理由1(明確性要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項における「上記ファラデーカップに関連して作動可能で、該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成されたゲートをさらに備え、上記ゲートが、上記ファラデーカップがビーム電流を上記ビーム曲げ部材の上流に位置する走査装置の走査電圧の関数として記録することを選択的に防止するように構成された」こととの記載、及び「上記ファラデーカップがビーム電流の測定結果を、上記リボン状イオンビームを形成する鉛筆状イオンビームの上記走査の関数として記録することを、選択的に防止し、上記選択的に防止することは、走査イオンビームが上記ファラデーカップを掃引する場合には、上記ファラデーカップがビーム電流を記録できるように構成し、かつ、それ以外の場合には、ファラデーカップがビーム電流を記録することを防止すること」との記載は、「ビーム電流」が何に記録されるのか不明であり、「走査電圧の関数として記録」とは、どのような態様をいうのか不明であって、「ゲート」の作用が理解できないことから、不明確な記載となっている。

理由2(進歩性)
本願発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特表2008-546160号公報
引用文献2:特開平8-115700号公報
引用文献3:特開2000-306540号公報

引用文献2記載のコンタミビームとメインビームとを分離するコンタミ処理装置17は、本願発明の「ゲート」に相当するといえる。
そして、正確なビーム電流を求めるという課題は周知のものであるから、引用文献1に記載された発明において、引用文献2に記載された事項を適用して「上記ゲートが、上記ファラデーカップがビーム電流を上記ビーム曲げ部材の上流に位置する走査装置の走査電圧の関数として記録することを選択的に防止する」構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

引用文献3記載のイオン注入装置のAND回路106によって制御される積分回路204は、本願発明の「ゲート」に相当するといえる。
そして、雑音をカットするという課題は周知のものであるから、引用文献1に記載された発明において、引用文献3に記載された事項を適用して「上記ゲートが、上記ファラデーカップがビーム電流を上記ビーム曲げ部材の上流に位置する走査装置の走査電圧の関数として記録することを選択的に防止する」構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)当審拒絶理由2の概要
理由1(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

補正前の請求項1の「加工対象物の、上記第1の方向に対して直交する方向における走査を制御するように構成された」との記載からは、請求項1の「加工対象物」の走査の方向は第1の方向(x方向)に対して直交する方向、すなわち第2の方向(z方向)又は第3の方向(y方向)に、走査、すなわち機械的な移動が行われるものと解される。
これに対して、発明の詳細な説明の【0054】には、「一実施形態では、2つのファラデーカップにおいて観察されたイオンビーム電流が足し合わされて、両電流の和が線量測定制御システム106に入力される。一実施形態では、制御システム106が複数のビーム電流読み取り値の平均を求め、この平均ビーム電流を使用して機械的な移動を制御、または、y方向に延びるイオンビームの幅方向に対して直交するx方向の加工対象物の走査を制御する。」と記載されていて、「加工対象物」の走査の方向は、第1の方向(x方向)である。また、発明の詳細な説明において、「加工対象物」の走査の方向について、第1の方向(x方向)以外の方向とする具体的な記載はない。
よって、請求項1の「加工対象物」の走査の方向は、発明の詳細な説明に対応していない。

請求項1を直接、間接に引用する請求項についても同様である。

以上から、請求項1?6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

理由2(明確性要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1の「リボン状イオンビーム」は、「鉛筆状ビーム」が「走査される」ことが記載されていないために、「各ファラデーカップが、該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止する」ことの技術的意義が不明確なものとなっている。

(2)請求項1、7、15において、「走査」が「イオンビーム」の走査であるのか、「加工対象物」の走査であるのかが、不明確である。

(3)請求項1、7、15を直接、間接に引用する請求項についても同様である。

2 当審拒絶理由の判断
(1)当審拒絶理由1について
ア 理由1(明確性要件)について
(ア)平成28年5月12日付け手続補正書によって、補正前の請求項1における「上記ビーム電流測定システムが、1つ以上のスリットが入射口に設けられたファラデーカップを有し、
該1つ以上のスリットが、上記リボン状イオンビームのイオンの入射を、該ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度の範囲に制限するように動作し、
上記ファラデーカップに関連して作動可能で、該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成されたゲートをさらに備え、
上記ゲートが、上記ファラデーカップがビーム電流を上記ビーム曲げ部材の上流に位置する走査装置の走査電圧の関数として記録することを選択的に防止するように構成された」が、
「上記ビーム電流測定システムが、
(1)ファラデーカップのペアであって、各ファラデーカップには1つ以上のスリットが入射口に設けられ、該1つ以上のスリットが、上記リボン状イオンビームのイオンの入射を、該各ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度の範囲に制限するように動作し、上記各ファラデーカップが、上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの対応するエッジ部にそれぞれ位置するような、ファラデーカップのペアと、
(2)上記2つのファラデーカップからビーム電流の測定結果を受信して平均を求めて、上記エンドステーション上の加工対象物の、上記第1の方向に対して直交する方向における走査を制御するように構成された線量測定制御システムと、
を有し、
上記各ファラデーカップが、該ファラデーカップがビーム電流を記録することを選択的に防止するように構成された各電子ゲートをさらに備えた」に補正された(下線は、補正箇所)。
このことにより、請求項1の「ファラデーカップ」、「ビーム電流」についての記載が明確になった。

(イ)平成28年5月12日付け手続補正書によって、補正前の請求項10の
「鉛筆状ビームを走査してリボン状イオンビームを形成し、
ビーム曲げ部材を用いて上記リボン状イオンビームを曲げ、
該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定し、
加工対象物の走査を、上記リボン状イオンビームについて測定されたイオンビーム電流の関数として制御し、
ファラデーカップが受けるリボン状イオンビームのイオンの入射を、該ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度に制限し、該ファラデーカップを上記ビーム曲げ部材の出射開口部に配置し、
上記ファラデーカップがビーム電流の測定結果を、上記リボン状イオンビームを形成する鉛筆状イオンビームの上記走査の関数として記録することを、選択的に防止し、
上記選択的に防止することは、
走査イオンビームが上記ファラデーカップを掃引する場合には、上記ファラデーカップがビーム電流を記録できるように構成し、かつ、それ以外の場合には、ファラデーカップがビーム電流を記録することを防止することを含む、イオン注入システムにおいて線量測定の制御を実施する方法。」が、補正後の請求項15の
「鉛筆状ビームを走査して、幅方向に沿って複数のエッジ部を有するリボン状イオンビームを形成し、
ビーム曲げ部材を用いて上記リボン状イオンビームを曲げ、
上記ビーム曲げ部材の出射開口部において、リボン状イオンビームの各エッジ部にファラデーカップを配置することによって、該ビーム曲げ部材の出射開口部においてリボン状イオンビームのビーム電流を測定し、複数のファラデーカップから得られるビーム電流の測定結果の平均を求め、
上記リボン状イオンビームについての加工対象物の走査を、測定された平均イオンビーム電流の位相に応じて制御し、
ファラデーカップが受けるリボン状イオンビームのイオンの入射を、該ファラデーカップの軸を中心とする所定の角度に制限し、
電子ゲートを用いて、上記リボン状イオンビームを形成する鉛筆状イオンビームの上記走査の位相に応じて、上記ファラデーカップがビーム電流の測定結果を記録することを選択的に防止する方法。」と補正された(下線は、補正箇所)。
このことにより、請求項15の「ファラデーカップ」、「ビーム電流」についての記載が明確になった。

(ウ)よって、当審拒絶理由1の理由1は解消した。

イ 理由2(進歩性)について
上記「第3」と同様の理由により、本願発明1?14は、当業者が引用発明1及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることできたとはいえない。また、上記「第3」と同様の理由により、本願発明15?17は、当業者が引用発明2及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることできたとはいえない。
よって、当審拒絶理由1の理由2は解消した。

(2)当審拒絶理由2について
ア 理由1(サポート要件)について
平成28年9月1日付け手続補正書によって、補正前の請求項1における「リボン状イオンビーム」が「鉛筆状ビームが走査されることによって形成されたリボン状イオンビーム」に、補正前の請求項1における「第3の方向」が「第1の方向に直交する第3の方向」に、補正前の請求項1における「第2の方向」が「該第1の方向及び該第3の方向と直交する第2の方向」に、それぞれ補正された。
このことにより、請求項1の「リボン状イオンビーム」、「第1の方向」、「第2の方向」及び「第3の方向」についての記載が明確になった。
よって、当審拒絶理由2の理由1は解消した。

イ 理由2(明確性要件)について
平成28年9月1日付け手続補正書によって、補正前の請求項1における「上記第1の方向に直交する方向における走査」という記載が「上記第1の方向における機械的な移動」に、補正前の請求項7、8における「上記エンドステーションの遅い走査速度を制御する」という記載が「上記エンドステーションにおける上記加工対象物の機械的な移動を制御する」に、補正前の請求項15における「加工対象物の走査」という記載が「加工対象物の機械的な移動」に、それぞれ補正された。
このことにより、請求項1、7、8、15の「加工対象物」についての記載が明確になった。
よって、当審拒絶理由2の理由2は解消した。

(3)小括
以上から、当審拒絶理由1及び2によっては、本願を拒絶することはできない。


第5 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-10 
出願番号 特願2012-508439(P2012-508439)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01J)
P 1 8・ 121- WY (H01J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小野 健二桐畑 幸▲廣▼  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 土屋 知久
森林 克郎
発明の名称 不利な条件下であっても均一な量の注入を実施するシステムおよび方法  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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