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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23D
管理番号 1321213
異議申立番号 異議2015-700226  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-27 
確定日 2016-08-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5729731号発明「サンドクリーム用油脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5729731号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第5729731号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5729731号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成20年3月27日に出願した特願2008-82401号の一部が平成25年4月2日に新たな特許出願とされ、平成27年4月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人山林己美子により特許異議の申立てがされ、平成28年2月29日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年4月25日に意見書及び訂正請求書の提出があったものである。

第2 訂正について
1 訂正の内容
平成28年4月25日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものであり、具体的な訂正事項は以下のとおりである。
(訂正事項1)請求項1の(A1)における「(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満」を「(PPO/POP)が0.37以上0.65未満」に訂正する。
(訂正事項2)請求項1の(A2)における「(PPO/POP)が0.20より大きく0.45未満」を「(PPO/POP)が0.37以上0.45未満」に訂正する。
(訂正事項3)請求項1の
「(B)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含む、上記(A1)または(A2)に記載の油脂組成物」を
「(B1)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B2)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)」に訂正する。
(訂正事項4)請求項1の(C)における「上記(B)」を「上記(B1)または(B2)」に訂正する。
(訂正事項5)明細書の段落【0007】について、上記(1)?(4)と同様に訂正する。

2 訂正の適否
訂正事項1及び2は、請求項1の(PPO/POP)の下限値を0.20から0.37へと引き上げて、(PPO/POP)の範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書の段落【0046】の表3にPPO/POPが0.37の実施例8が記載されているから、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項3は、訂正前の請求項1の(B)が、「(A1)または(A2)」を引用していたところ、訂正事項1及び2によって(A1)と(A2)が訂正されたことに伴い、訂正前の(A1)を引用する(B)を、訂正後の(B1)とし、訂正前の(A2)を引用する(B)を、訂正後の(B2)として、形式上整理したにすぎず、実質的な変更を伴うものではないから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項4は、訂正前の請求項1の(C)が(B)を引用していたところ、訂正事項3に伴い、「(B1)または(B2)」を引用するように訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項5は、訂正事項1ないし4と整合させるための明細書の訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、上記訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】(本件発明1)
以下の(A1)?(C)のいずれかに記載の油脂組成物をマーガリンの全油相中に70?100質量%含んでなる油相60質量%以上のマーガリン。
(A1)P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(A2)P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B1)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B2)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(C)さらに、構成脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上の脂肪酸からなる油脂の極度硬化油を含む、上記(B1)または(B2)に記載の油脂組成物。

【請求項2】(本件発明2)
請求項1に記載のマーガリンを含んでなるサンドクリーム。

2 取消理由の概要
平成28年2月29日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。

「本件特許の請求項1、2に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

引用文献1:特開2006-225559号公報
引用文献2:藤田哲、「食用油脂-その利用と油脂食品」、株式会社幸書房、2000年4月5日、p.94
引用文献3:特開平7-155106号公報
引用文献4:特開2007-135443号公報
引用文献5:加藤秋男、「パーム油・パーム核油の利用」、株式会社幸書房、1990年7月31日、p.47、p.169
引用文献6:特開2007-116984号公報
引用文献7:特開平10-56964号公報
引用文献8:特開2007-215521号公報
引用文献9:特開2006-325541号公報 」

3 引用文献の記載
(1)引用文献1
引用文献1には、以下の記載がある。
「【請求項1】
油相中に、SUS型トリグリセリドを15?80質量%(油相基準)含有し、且つ、HLBが3以下のショ糖脂肪酸エステルと、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとを、1:9?9:1の質量比率(前者:後者)で含有することを特徴とする油脂組成物。
ただし、上記S及びUは、それぞれ下記の脂肪酸を示す。
S:炭素数16?18の飽和脂肪酸
U:炭素数16?18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸」

「【0016】
本発明の油脂組成物は、油相中のSUS型トリグリセリド含量が上記範囲である限りにおいて、上記「SUS型トリグリセリドそのもの」や、上記「SUS型トリグリセリドを多く含有する油脂」に加え、その他のトリグリセリドやその他の油脂を使用することができる。
・・・・・・
【0018】
上記のその他の油脂としては、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム核油、ヤシ油、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。」

「【0037】
〔実施例1?7及び比較例1?9〕
以下に示す油脂及び乳化剤を用い下記〔表1〕に示す配合に従って調製した油相を、溶解、急冷練り合わせした後、25℃で24時間テンパリングし、油脂組成物(ショートニング)を得た。得られたショートニングのSUS型トリグリセリド含量、POPグリセリド含量、及びPOPグリセリド含量/SUS型トリグリセリド含量を〔表2〕に記した。
(油脂及び乳化剤)
パーム油:SUS型トリグリセリド含量=32質量%、POPグリセリド含量=28質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=87質量%
パーム中部油:SUS型トリグリセリド含量=73質量%、POPグリセリド含量=60質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=83質量%
カカオ脂:SUS型トリグリセリド含量=85質量%、POPグリセリド含量=17質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=21質量%
ショ糖脂肪酸エステル:HLB=1
ポリグリセリン脂肪酸エステル:HLB=4」

【0038】の【表1】に示される配合(質量部)は次のとおりである。
実施例5 実施例6
パーム油 100 50
パーム中部油 50
ショ糖脂肪酸エステル 0.1 0.1
ポリグリセリン脂肪酸エステル 0.1 0.1

以上によれば、引用文献1には、実施例5に関する、以下の発明が記載されていると認められる。

「パーム油100質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1質量部を配合したショートニング。」(以下「引用発明1」という。)

(2)引用文献2
引用文献2には、マレーシア産パーム油のトリグリセリド組成として、飽和酸のみのものの合計=9.57%、POP=20.02%、PPO=7.16%であること、及び、マレーシア産パーム油の脂肪酸組成として、リノール酸が平均10.12%、リノレン酸が平均0.37%であることが記載されている。

4 対比
本件発明1の「以下の(A1)?(C)のいずれかに記載の油脂組成物」(当審注:(A1)?(C)の記載は省略する。)と引用発明1の「パーム油」は、少なくとも、「PPO、POP、SSS、リノール酸、リノレン酸を含有する油脂組成物」との限りで一致し、本件発明1の「マーガリン」と引用発明1の「ショートニング」は、「食用油脂」の点で一致する。
引用発明1の全油相中におけるパーム油の割合は「100質量%」であり、本件発明1の「70?100質量%」の範囲内である。また、引用発明1は「油相100質量%」であり、本件発明1の「油相60質量%以上」に相当する。
よって、本件発明1と引用発明1との一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
PPO、POP、SSS、リノール酸、リノレン酸を含有する油脂組成物を食用油脂の全油相中に70?100質量%含んでなる油相60質量%以上の食用油脂。

(相違点1)
本件発明1が「マーガリン」であるのに対し、引用発明1は「ショートニング」である点。

(相違点2)
本件発明1のマーガリンに含まれる油脂組成物が「以下の(A1)?(C)のいずれかに記載の油脂組成物」(当審注:(A1)?(C)の記載は省略する。)であるのに対し、引用発明1のショートニングに含まれる油脂組成物は「パーム油」である点。

5 判断
(1)相違点1について
ショートニングをマーガリンの油相成分として利用できることは明らかであるから、引用発明1をマーガリンとすること、すなわち相違点1に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
本件発明1の(A1)?(C)のいずれかに該当する油脂組成物は、引用文献1?9には記載されていない。
また、本件発明1の(A1)?(C)の油脂組成物は、いずれも、P2O含量、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)、SSS含量、及び、リノール酸とリノレン酸との合計含量を、所定の範囲内に特定したものであるが、引用文献1?9には、油脂組成物について、上記各パラメータを所定の範囲内に特定するという技術思想は示されていない。
よって、引用文献1?9を参照しても、相違点2に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。

もっとも、引用文献2に示されるパーム油は、P2O含量が27.18質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.358、SSS含量が9.57質量%、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が10.49質量%であるから、本件発明1の(A2)の油脂組成物とは、「PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上」の点を除いて一致し、本件発明1の(B2)の油脂組成物とは、「パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み」の点を除いて一致するものではある。
そして、特許異議申立人は、引用発明1において、引用文献4に示されるランダムエステル交換油脂を用いることにより、相違点2に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到し得た旨を主張する(平成28年6月2日付け意見書3頁1行?7頁16行)。
しかし、特許異議申立人の主張は、引用発明1のパーム油が引用文献2に示されるパーム油であることを前提にしているところ、引用文献1には「パーム油:SUS型トリグリセリド含量=32質量%、POPグリセリド含量=28質量%」(【0037】)と記載されていることから、引用発明1のパーム油が引用文献2に示されるPOP=20.02%のパーム油でないことは明らかである。加えて、乙第1号証(加藤秋男、「パーム油・パーム核油の利用」、株式会社幸書房、1990年7月31日、p.41)に示されるパーム油は、PPO/POP=0.12であるから、引用文献2に示されるパーム油のように、PPO/POP=0.358であることは必ずしも一般的なこととはいえない。よって、特許異議申立人の主張は、上記前提において誤りである。
また、引用文献1に、「本発明の油脂組成物は、油相中のSUS型トリグリセリド含量が上記範囲である限りにおいて・・・その他の油脂を使用することができる。」(【0016】)、「上記のその他の油脂としては・・・エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。」(【0018】)と、エステル交換油脂を使用できることが記載されているものの、単に、使用可能な「その他の油脂」に関して、多数の油脂が例示され、これら油脂に適用できる処理の一つとしてエステル交換が例示されているにすぎないのであるから、引用文献4に示された特定のエステル交換油脂を配合することまでは動機付けられない。
そうすると、引用発明1において、引用文献2に示される特定のパーム油を用い、その上で、さらに引用文献4に示される特定のエステル交換油脂を配合することを当業者が容易に想到し得たとはいえず、上記特許異議申立人の主張は採用できない。
よって、相違点2に係る本件発明1の構成は、引用発明1及び引用文献1?9に示される技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たということはできない。

(3)まとめ
したがって、本件発明1は、引用発明1及び引用文献1?9に示される技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、同様に、引用発明1及び引用文献1?9に示される技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第4 むすび
以上のとおり、上記取消理由によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことができない。
また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
サンドクリーム用油脂組成物
【技術分野】
【0001】
本発明はマーガリン/ショートニング等の可塑性油脂製品に適した油脂組成物、特にサンドクリームに適した油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
お菓子のクッキー及びビスケット等の焼製品に挟まれるクリーム(センタークリーム及びサンドクリーム)は、その商品特性から、硬さ(保形性)、酸化安定性(保存性)、及び良好な食感(口溶け)が要求される。従来、上記特性を得るため、トランス脂肪酸含量の高い部分水素添加油を使用したマーガリン/ショートニング(以下、M/S)を使用することが一般的であった。
【0003】
しかしながら、部分水素添加油に含まれるトランス脂肪酸と心疾患の因果関係が明らかにされ、部分水素添加油の使用を控える要望が高まっている。部分水素添加油の替わりとしては、植物性脂肪として唯一安定的に供給され得るパーム油への置き換えが行われているが、経時的なクリーム組織の荒れ・硬化が起こるなど、部分水素添加油の機能を十分に代替できていないのが現状である。
【0004】
かかる課題を解決するために、パームの中融点部画分と炭素数20以上の飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂との特定条件を満たすエステル交換油脂の利用(例えば、特許文献1)、特殊な対称型トリグリセリドのコンビネーションによる改質(例えば、特許文献2)、乳化剤による改質(例えば、特許文献3)等が知られているが、トリグリセリドの改質は通常のエステル交換法では達成され得ず、工程が煩雑でコストがかかるものであった。また、乳化剤による改質では依然機能的に満たされたものではなかった。
【0005】
従って、現在、トランス脂肪酸含量を低減するために部分水素添加油の使用を控え、かつ、保形性、保存性、酸化安定性、及び口溶けに優れ、他方、クリーミング特性に優れた、製造及び取り扱い容易な、サンドクリーム用油脂組成物の開発が要求されている。
【特許文献1】 特許公開平8-332093
【特許文献2】 特許公開2000-169600
【特許文献3】 特許公開平8-47373
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、トランス脂肪酸含量を低減するために部分水素添加油の使用を控え、かつ、保形性、保存性、及び口溶けに優れ、他方、クリーミング特性に優れた、製造及び取り扱い容易な油脂組成物、特に、サンドクリームに適した油脂組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のトリグリセリドの組成比を調整することで、部分水素添加油の使用を控えても上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1の発明は、以下の(A1)?(C)のいずれかに記載の油脂組成物をマーガリンの全油相中に70?100質量%含んでなる油相60質量%以上のマーガリンである。
(A1)P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(A2)P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B1)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B2)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(C)さらに、構成脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上の脂肪酸からなる油脂の極度硬化油を含む、上記(B1)または(B2)に記載の油脂組成物。
本発明の第2の発明は、第1の発明に記載のマーガリンを含んでなるサンドクリームである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油脂組成物を使用することで、トランス脂肪酸含量が低く、かつ、保形性、保存性、酸化安定性及び口溶けに優れ、他方、クリーミング特性に優れた、製造及び取り扱い容易な、マーガリン/ショートニング、サンドクリームが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を構成するトリグリセリドであるPOPは、1,3パルミトイル-2オレイルグリセロールのことである。当トリグリセリドは化学合成によっても得られるが、より経済的にはパーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション、以下PMF)に濃縮して得られるので、これを使用することが好ましい。PMFとしては、代表的なものとしてソフトパームミッドフラクション(以下、ソフトPMFとする)とハードパームミッドフラクション(以下、ハードPMFとする)が挙げられる。
ソフトPMFは、パーム油を分別処理して得られる軟質部(パームオレインと呼ばれることもある)を、更に分別処理して得られる硬質部のことあり、ヨウ素価は約40?50である。
ハードPMFは、ソフトPMFを分別処理して得られる硬質部のことであり、ヨウ素価は約30?40である。本発明の油脂組成物には、POP含量が30質量%以上であるPMFを使用することが好ましい。
また、本発明の油脂組成物には、トランス酸が過度に生成しない程度にヨウ素価を0.5?6程度下げる軽微な水素添加を施したPMFも好適に使用できる。本発明の油脂組成物は、適当なPOP含量を有するPMFを適宜選択し、後述するPPOを含有する油脂と混合することが好ましい。
【0010】
本発明を構成するトリグリセリドであるPPOは、1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロールのことである。当トリグリセリドは化学合成によっても得られるが、より経済的には、パルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油を好適に使用できる。
より具体的には、パーム油を分別して得られる高融点部(パームステアリン、以下PST)と構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する液状油脂とを非選択的エステル交換したエステル交換油を用いることが好ましい。
PPOを濃縮するために更に該エステル交換油を分別した高融点部又は中融点部についても本発明に好適に使用することができる。また、パーム油又はパーム油を分別して得られる低融点部(パームオレイン、以下POL)を単独で、又は構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する液状油脂と混合して、非選択的エステル交換したエステル交換油も好適に用いることができる。
PPOを濃縮するために更に該エステル交換油を分別した高融点部又は中融点部についても本発明に好適に使用することができる。また、本発明の油脂組成物には、トランス酸が過度に生成しない程度にヨウ素価を0.5?6程度下げる軽微な水素添加を施した上述のエステル交換油も好適に使用できる。
本発明に使用するPPOを含有したエステル交換油は、PPOを10質量%以上含有することが好ましい。
【0011】
上記エステル交換油の原料であるPSTとしては、代表的なものとしてパーム油を1段分別して得られるパームステアリン(以下SPST)とSPSTを更に分別した高融点部であるパームハードステアリン(以下HPST)が挙げられる。
SPSTのヨウ素価は約28?48であり、HPSTのヨウ素価は約10?20である。本発明の油脂組成物には、適当なパルミチン酸含量を有するSPST又はHPSTを適宜選択し、次に具体例を挙げて説明する構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する液状油脂と混合して非選択的エステル交換に供する。
【0012】
構成脂肪酸としてオレイン酸を50質量%以上含有する液状油脂としては、より具体的には、菜種油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ油、等が挙げられる。
【0013】
本発明でPPOを含有する油脂を製造するためのエステル交換法に関しては特に制限はなく、合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換の何れの方法でも行うことができる。
【0014】
化学的エステル交換は、ナトリウムメチラート等の化学触媒を触媒として用いてエステル交換反応が行われる。化学的エステル交換によるエステル交換反応は、位置特異性の無いエステル交換反応となる(ランダムエステル交換とも言われる)。
化学的エステル交換は、例えば、常法に従って、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油脂に対して0.1?1質量%添加した後、減圧下、80?120℃で0.5?1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗にて触媒を洗い流した後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
【0015】
酵素的エステル交換は、リパーゼを触媒として用いてエステル交換反応が行われる。リパーゼは、リパーゼ粉末やリパーゼ粉末をセライト、イオン交換樹脂等の担体に固定化した固定化リパーゼを使用することができる。
酵素的エステル交換によるエステル交換反応は、リパーゼの種類によって、位置特異性の乏しいエステル交換反応と1,3位特異性の高いエステル交換反応が存在するが、位置特異性の乏しいランダムエステル交換に近いものが好ましい。位置特異性の乏しいエステル交換反応を行うことのできるリパーゼとしては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02?10質量%、好ましくは0.04?5質量%添加した後、40?80℃、好ましくは40?70℃で0.5?48時間、好ましくは0.5?24時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過等によりリパーゼ粉末又は固定化リパーゼを除去後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
【0016】
本発明でPPOを含有する油脂のPPO含量を高めるために必要に応じて行う分別法に関しては特に制限はなく、当業界で通常行われている乾式分別、乳化分別、溶剤分別等が適宜使用できる。
【0017】
本発明を構成するトリグリセリドであるSSSは、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸が全て炭素数16以上の飽和脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドである。当トリグリセリドは化学合成によっても得られるが、より経済的には、上述のPPOを含有するエステル交換油の成分として、また、構成脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上の脂肪酸からなる油脂(例えば、大豆油、菜種油、綿実油、パーム油、ハイエルシン酸菜種油等)の極度硬化油として得られる。
飽和脂肪酸の炭素数は16?26であることが好ましく、16?22であることがより好ましく、16?18であることが更に好ましい。飽和脂肪酸の炭素数が上記範囲である場合、良好な保形性が得られる。
上記の保形性に優れた油脂組成物から製造されたM/S及びサンドクリームは適度な硬さと結着性に優れ、製造及び取り扱いが容易となる。
【0018】
本発明の油脂組成物は、経済的には、上述のPOPを含有した油脂とPPOを含有した油脂、及び必要に応じて構成脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上の脂肪酸からなる油脂の極度硬化油とを適宜混合して、P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満であるように調製することによって得られる。
例えば、POPを40?50質量%含有したPMFと、構成脂肪酸としてパルミチン酸含量が30?55質量%、より好ましくは35?50質量%であり、オレイン酸含量が35?60質量%、より好ましくは40?55質量%である油脂を化学的にエステル交換したエステル交換油とを7:3?3:7の質量比で混合し、必要に応じてパーム油の極度硬化油を0.5?2質量%配合することにより調製できる。
更に具体的には、POPを含有した油脂がソフトPMFであり、PPOを含有した油脂がヨウ素価56のパームオレインを化学的エステル交換した油脂である場合は、前者と後者とを7:3?3:7の質量比で混合し、必要に応じてパーム油の極度硬化油を0.5?2質量%配合することにより調製できる。
【0019】
本発明の油脂組成物は、P2O含量が25?45質量%であり、より好ましくは28?43質量%であり、更に好ましくは31?40質量%であり、最も好ましくは33?38質量%である。P2O含量が上記範囲である場合、口溶けが良好でクリームが過度に硬くならず、またクリーミング特性も良好となり好ましい。
PPOとPOPの質量比(PPO/POP)は0.20より大きく0.65未満であり、0.25より大きく0.50未満であることが好ましく、0.3より大きく0.45未満であることがより好ましい。PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が上記範囲である場合、組織の状態が良好に保たれ、また、口溶け及びクリーミング特性が良好なものとなる。
SSS含量は2?12質量%であり、より好ましくは3?10質量%であり、更に好ましくは4?8質量%である。SSS含量が上記範囲である場合、口溶けを損なわずに耐熱性を高めることができる。リノール酸とリノレン酸との合計含量は12質量%未満であり、より好ましくは10質量%未満であり、更に好ましくは8質量%未満であり、最も好ましくは6質量%未満である。リノール酸とリノレン酸の合計含量が上記範囲である場合、酸化安定性、保存性が良好であり好ましい。
【0020】
本発明の油脂組成物は上述の構成要件の他、油脂の構成脂肪酸が、炭素数16以上の飽和脂肪酸が35?60質量%、より好ましくは40?55質量%、炭素数16以上の不飽和脂肪酸が30?65質量%、より好ましくは35?55質量%を満たすことが好ましい。構成脂肪酸が上記範囲である場合、保形性と酸化安定性、保存性がバランスよく実現できる。
【0021】
本発明の油脂組成物は、構成トリグリセリド及び構成脂肪酸が上記範囲を満たす限り、その他の油脂を含んでも良い。より具体的には、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、紅花油、米油、綿実油、コーン油、オリーブ油、牛脂、豚脂、乳脂、カカオ脂、シア脂、サル脂、マンゴー核油、イリッペ脂等の各種動植物性油脂、これらの各種動植物性油脂から選択された1種または2種以上の動植物性油脂を必要に応じて水素添加、エステル交換、分別等の加工をして得られる各種加工油脂、これら各種動植物性油脂及び各種加工油脂から選択された1種または2種以上の油脂を適宜配合することができる。
特にヤシ油、パーム核油及びそれらの分別油等、構成脂肪酸としてラウリン酸を30質量%以上含むラウリン系油脂を油脂組成物中に5?30質量%、より好ましくは10?25質量%配合した場合、クリーミング性の向上及びM/S組織の改質が期待できる。
【0022】
本発明の油脂組成物は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないことが好ましい。水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、これによって得られる水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常構成脂肪酸中にトランス脂肪酸が10?50質量%程度含まれている。
一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸がほとんど存在しないが、油脂の精製工程である脱臭工程で高温に晒されるため精製油で僅かに存在する以外は反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているに過ぎない。近年、トランス脂肪酸の過剰摂取の健康への影響が問題視されており、実質的にトランス脂肪酸を含有しない油脂組成物を使用したM/Sが求められている。
【0023】
ここで、「実質的にトランス脂肪酸を含有しない」とは、トランス脂肪酸含有量が、本発明の油脂組成物中、好ましくは5質量%未満、更に好ましくは3質量%未満、最も好ましくは2質量%未満であることを意味する。
【0024】
本発明の油脂組成物は、M/S等の可塑性油脂組成物に使用できる。マーガリンに代表される油中水型乳化物に使用する場合、油相の含有量が、好ましくは60?100質量%、更に好ましくは80?98質量%であり、水相の含有量が、好ましくは0?40質量%、更に好ましくは2?20質量%である。
一般に水相が無い場合がショートニングであり、水相を含む場合はマーガリンと呼ばれる。油相及び水相の含有量が上記範囲内の場合、得られた可塑性油脂組成物は、その乳化状態がより良好に保たれる。
マーガリン、ショートニング及びサンドクリームに本発明の油脂組成物を使用する場合、その油相中における本発明の油脂組成物の含有量は特に限定されないが、70?100質量%であることが好ましく、80?100質量%であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0025】
本発明の油脂組成物を使用したM/S等の可塑性油脂組成物は、上記以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、乳化剤、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
【0026】
上記乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリドエステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤でない乳化剤等が挙げられる。特にHLBが5以下であり、構成脂肪酸の50質量%以上が炭素数16以上の飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベートが好ましい
【0027】
上記酸化防止剤としては、トコフェロール、トコトリエノール、茶抽出物、ローズマリー抽出物、甘草抽出物、アスコルビン酸、アスコルビン脂肪酸エステル等であり、特にトコフェロール、茶抽出物、アスコルビン酸脂肪酸エステルから選ばれた2種を併用することが好ましい。
【0028】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられる。
【0029】
本発明の可塑性油脂組成物において、上記その他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0030】
次に、本発明のM/S等の可塑性油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明の可塑性油脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、本発明の油脂組成物を含有する油相を溶解し、冷却し、結晶化することにより得ることができる。具体的には、先ず、上記油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。そして次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式であってもよく、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式であってもよい。
【0031】
次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上とする。この際、除冷却より急冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せが挙げられる。
【0032】
本発明の油脂組成物は、上述のように実質的にトランス脂肪酸を含有しておらず、マーガリン又はショートニングの原料油脂として好適に用いることができる。
本発明の可塑性油脂組成物を使用してマーガリンを製造する場合、その乳化形態は油中水型、水中油型、及び二重乳化型の何れであってもよい。
【0033】
本発明の油脂組成物を用いて製造したマーガリン又はショートニングは、良好な組織と起泡性、口溶けを有するという特性から、クリーム用、特にサンドクリーム用として好適に使用できる。
本発明によるサンドクリームとは、食品に用いられるものであり、かつ、特に限定されるものではないが、食品(パン、パイ、シュー、デニッシュ等)の内側に包含又は、複数の食品(クッキー、ビスケット等)に挟持されるクリームとして使用されるものをいう。
本発明の油脂組成物を使用したマーガリン又はショートニングはまた、製菓製パンの生地練り込み、折り込み用としても使用できる。
【0034】
本発明の油脂組成物または本発明の油脂組成物を使用したM/Sを使用した食品としては、食パン・菓子パン・クロワッサン・デニッシュ等のパン類、クッキー・ビスケット・ケーキ・パイ等の焼き菓子類等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらによって、本発明は何ら制限されるものではない。
【0036】
各種分析・評価は基本的に以下の方法を適用することができる。
1)「ヨウ素価」は、「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1-1996」の方法に準じて測定することができる。
2)「構成脂肪酸分析・トランス酸分析」はAOCS Ce1f-96に準じてガスクロマトグラフィー法で行うことができる。
3)「P2O、SSS含量の分析」は、JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)の方法に準じてガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
4)「PPO/POP質量比」は、J.High Resolut.Chromatogr.,18,105-107(1995)の方法に準じて銀イオンカラム-HPLC法でXXO/XOX(Xは飽和脂肪酸、Oはオレイン酸)質量比を求め、この質量比をPPO/POP質量比に代用することで求めることができる。
5)「POP、PPO含量」は、上記3)で求めたP2O含量に、上記4)で求めたPPO/POP質量比から各々係数を乗じることで求められる。
【0037】
<評価方法>
(1)クリーミング性評価試験
実施例1?8及び比較例1?6のそれぞれのショートニング300gと、粉糖300gをミキサーボールに充填し、ホバートミキサー(商品名:N?50:ホバート・ジャパン社製)に充填し、低速(70rpm)で30秒間混合した。その後、中速(130rpm)で比重が0.80になるまでミキシングをおこない、サンドクリームを調製した。サンドクリームの比重は容積100mlの比重カップを用いて次のように測定した。
※ 比重=サンドクリームを充填した比重カップの重量(g)-比重カップの重量(g)/比重カップの容積(ml)
評価A:ミキシング時間が5分以下で、作業性は非常に良好な状態である。
評価B:ミキシング時間が8分以下で、作業性は良好な状態である。
評価C:ミキシング時間が10分以下で、作業性は悪い状態である。
評価D:ミキシング時間が15分以上かかり、サンドクリームの適性に欠ける状態である。
※ ミキシング時間は中速でミキシングした時間を計測した。
(2)保形性官能評価試験
直径約5cmのビスケットに、クリーミング性評価試験で調製したサンドクリームを約3g挟持した時の作業性を以下の基準し従って評価した
A: 挟持に適した硬さと優れた結着性を有し、たいへん良好である。
B: 挟持に必要な硬さと結着性を有し、良好である。
C: クリームにダレやシマリの傾向が見られ、結着性にも難点があり、やや不適である。
D: クリームにダレやシマリが生じ、結着性が悪く、不適である。
(3)口溶け官能評価試験
クリーミング性評価試験で調製したサンドクリームの口溶け性について、20歳代から60歳代までのパネラー5名に試食させ、下記の五段階評価を行った。
評価値
評価5:口の中ですぐに溶解し、優れた口溶けを有するものであった。
評価4:口の中で溶解し、良好な口溶けを有するものであった。
評価3:口の中で若干もたつく感があったが、通常の口溶けを有していた。
評価2:口の中で溶解するのに時間が掛かり、口溶けが悪かった。
評価1:口溶けが非常に悪く、サンドクリームとして使用できるものではなかった。
【0038】
<POPを含有する油脂の調製>
POPを含有する油脂として次のA1、A2を調製した。
(A1):
パーム中融点部(ヨウ素価45)(マレーシアISF社製、P2O含量49.0質量%、POP含量44.1質量%、PPO含量4.9質量%、SSS含量1.8質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含量7.6質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂A1とした。
(A2):
パーム中融点部(ヨウ素価35)(マレーシアISF社製、P2O含量71.1質量%、POP含量66.8質量%、PPO含量4.3質量%、SSS含量2.2質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含量3.0質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂A2とした。
【0039】
<PPOを含有する油脂の調製>
PPOを含有する油脂として次のB1、B2、B3及びB4を調製した。
(B1):
パームハードステアリン(ヨウ素価13)(マレーシアISF社製)45質量部とハイオレイックサフラワー油(商品名:日清紅花油、日清オイリオグループ株式会社製)55質量部との混合油を触媒としてナトリウムメチラートを使用して化学的エステル交換したエステル交換油(P2O含量22.2質量%、POP含量7.4質量%、PPO含量14.8質量%、SSS含量9.0質量%、リノール酸とリノレン酸との合計含量8.5質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂B1とした。
(B2):
パームオレイン(ヨウ素価56)(商品名:パームオレイン、日清オイリオグループ株式会社製)を触媒としてナトリウムメチラートを使用して化学的エステル交換したエステル交換油(P2O含量23.4質量%、POP含量7.7質量%、PPO含量15.7質量%、SSS含量11.3質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含量10.7質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂B2とした。
(B3):
パームハードステアリン(ヨウ素価13)(マレーシアISF社製)35質量部とハイオレイックサフラワー油(商品名:日清紅花油、日清オイリオグループ株式会社製)65質量部との混合油を触媒としてナトリウムメチラートを使用して化学的エステル交換したエステル交換油(P2O含量16.9質量%、POP含量5.6質量%、PPO含量11.2質量%、SSS含量5.2質量%、リノール酸とリノレン酸との合計含量9.7質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂B3とした。
(B4):
パームハードステアリン(ヨウ素価13)(マレーシアISF社製)70質量部とハイオレイックサフラワー油(商品名:日清紅花油、日清オイリオグループ株式会社製)30質量部との混合油を触媒としてナトリウムメチラートを使用して化学的エステル交換したエステル交換油(P2O含量30.1質量%、POP含量10.1質量%、PPO含量20.0質量%、SSS含量26.5質量%、リノール酸とリノレン酸との合計含量5.5質量%、トランス酸含量1質量%未満)を油脂B4とした。
【0040】
<その他油脂の調製>
(C1):
パーム極度硬化油(ヨウ素価2未満)(商品名:パーム極度硬化油、横関油脂株式会社製、P2O含量1質量%未満、POP含量1質量%未満、PPO含量1質量%未満、SSS含量98質量%以上、リノール酸とリノレン酸との合計含量1質量%未満、トランス酸含量1質量%未満)を油脂C1とした。
(C2):
ヤシ油(商品名:精製ヤシ油、日清オイリオグループ株式会社製、P2O含量1質量%未満、POP含量1質量%未満、PPO含量1質量%未満、SSS含量1質量%未満、リノール酸とリノレン酸との合計含量1質量%未満、トランス酸含量1質量%未満)を油脂C2とした。
(C3):
大豆油(商品名:大豆白絞油、日清オイリオグループ株式会社製、P2O含量1質量%未満、POP含量1質量%未満、PPO含量1質量%未満、SSS含量1質量%未満、リノール酸とリノレン酸との合計含量57.6質量%、トランス酸含量1.9質量%)を油脂C3とした。
【0041】
油脂A1?A2、B1?B4、C1?C3の脂肪酸組成を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
<油脂組成物及びショートニングの調製1>
油脂A1及び油脂B1を表2の比率で配合して油脂組成物を調製し、調製した油脂組成物を使用して、常法に従い、吹き込みガス量約10%のショートニングを製造した。製造したショートニングについて、以下の基準に従って、クリーミング性、保形性、口溶けの評価を行った。結果を表2に示した。
【0044】
【表2】

【0045】
<油脂組成物及びショートニングの調製2>
油脂A1?A2、油脂B2?B4及び油脂C1?C3を表3の比率で配合して油脂組成物を調製し、調製した油脂組成物を使用して、常法に従い、吹き込みガス量約10%のショートニングを製造した。製造したショートニングについて、以下の基準に従って、クリーミング性、保形性、口溶けの評価を行った。結果を表3に示した。
【0046】
【表3】

【0047】
<油脂組成物及びショートニングの調製3>
実施例6及び比較例6の油脂組成物を使用し、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:SYグリスターPS-3S(HLB2.6)、阪本薬品工業株式会社)を0.5質量%、レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ株式会社製)を0.1質量%、トコフェロール(商品名:トコフェロール80、日清オイリオグループ株式会社製)及び茶抽出物(商品名:サンフェノンOD30、太陽化学株式会社製)をそれぞれ200ppm添加して、常法に従い、吹き込みガス量約10%のショートニングを製造した。
製造したショートニングについて、30℃にて保存試験を行った結果、保存3ヵ月で比較例6を使用したものには風味劣化が認められたが、実施例6を使用したものに風味の劣化は見られなかった。
この結果から実施例6の油脂組成物から得られたショートニングは、比較例6の油脂組成物から得られたショートニングと比べ、保存性及び酸化安定性に優れていると言える。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の油脂組成物を使用することで、トランス脂肪酸含量が低く、かつ、保形性、保存性、酸化安定性及び口溶けに優れ、他方、クリーミング特性に優れた、製造及び取り扱い容易なマーガリン/ショートニングが得られ、特に、サンドクリームに適しているので、製菓製パン等広範な食品に使用できる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A1)?(C)のいずれかに記載の油脂組成物をマーガリンの全油相中に70?100質量%含んでなる油相60質量%以上のマーガリン。
(A1)P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(A2)P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.37以上0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B1)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が28?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.65未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(B2)パーム油を分別して得られる中融点部(パームミッドフラクション)と、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30?70質量%及びオレイン酸を30?70質量%含有する油脂を非選択的エステル交換したエステル交換油とを含み、P2O含量が25?45質量%、PPOとPOPの質量比(PPO/POP)が0.20より大きく0.45未満、SSS含量が2?12質量%であり、かつ、リノール酸とリノレン酸との合計含量が12質量%未満である油脂組成物。(ただし、PPO:1,2パルミトイル-3オレイルグリセロール及び/又は1オレイル-2,3パルミトイルグリセロール、POP:1,3パルミトイル-2オレイルグリセロール、P2O:PPOとPOPとの合計、SSS:炭素数16以上の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを表す)、
(C)さらに、構成脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上の脂肪酸からなる油脂の極度硬化油を含む、上記(B1)または(B2)に記載の油脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のマーガリンを含んでなるサンドクリーム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-07-28 
出願番号 特願2013-76571(P2013-76571)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 晋也  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 佐々木 正章
紀本 孝
登録日 2015-04-17 
登録番号 特許第5729731号(P5729731)
権利者 日清オイリオグループ株式会社
発明の名称 サンドクリーム用油脂組成物  
代理人 引地 進  
代理人 引地 進  

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