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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08F
管理番号 1321228
異議申立番号 異議2016-700087  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-03 
確定日 2016-08-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5758879号発明「ポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5758879号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕、〔4-5〕について訂正することを認める。 特許第5758879号の請求項1、3ないし5に係る特許を維持する。 特許第5758879号の請求項2、6に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5758879号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成22年12月6日に国際出願(優先権主張 平成22年3月18日)され、平成27年6月12日に特許の設定登録がされ、その後、その本件特許の請求項1ないし6に係る特許に対し、特許異議申立人 片桐麻希子(以下、「異議申立人1」という。)及び特許異議申立人 古川佳靖(以下、「異議申立人2」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年3月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年6月6日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正」という。)があり、さらに平成28年7月13日付けで異議申立人2から特許法第120条の5第5項に基づく意見書の提出があったものである。


第2 本件訂正について

1.本件訂正の内容

本件訂正による訂正の内容は以下の(1)?(5)のとおりである。

(1)訂正事項ア
特許請求の範囲の請求項1に
「前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%となるように前記重合液の濃度を調節するポリビニルアルコールの製造方法。」
とあるのを、
「前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加して前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有する、
ポリビニルアルコールの製造方法。」
に訂正する。

(2)訂正事項イ
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項ウ
特許請求の範囲の請求項3に
「前記濃縮後の溶液から、モノマーを回収することを特徴とする請求項2に記載のポリビニルアルコールの製造方法。」
とあるのを、請求項2を引用するものを独立形式に改め、
「1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を少なくとも有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有し、
前記濃縮後の溶液から、モノマーを回収する、
ポリビニルアルコール
の製造方法。」
に訂正する。

(4)訂正事項エ
特許請求の範囲の請求項4に
「塔本体と、
前記塔本体内部に配置された多孔板と、
ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記塔本体上部に重合液を導入する重合液導入機構と、
前記塔本体下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、を有し、
前記液体状のメタノールで希釈されてポリマー濃度が10?70質量%となった前記重合液が前記塔本体に導入されるポリビニルアルコールの製造装置。」
とあるのを、
「塔本体と、
前記塔本体内部に配置された多孔板と、
ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記塔本体上部に重合液を導入する重合液導入機構と、
前記塔本体下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、
前記塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部、を有し、
前記液体状のメタノールで希釈されてポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなった前記重合液が前記塔本体に導入され、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物が共沸組成物まで濃縮されるポリビニルアルコールの製造装置。」
に訂正する。

(5)訂正事項オ
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項ア
訂正事項アは、訂正前には特定されていなかった重合液の粘度を「0.001?2.0Pa・s」とし、更に、「重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程」を付け加えるものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、一群の請求項ごとにされたものである。また、実施例の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。さらに、訂正事項アは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項イ
訂正事項イは、請求項を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、一群の請求項ごとにされたものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項ウ
訂正事項ウは、請求項の記載を独立形式に改めた上で、上記(1)と同様の訂正を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、一群の請求項ごとにされたものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項エ
訂正事項エは、製造装置において、「塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部」を設けた上で、重合液の粘度を「0.001?2.0Pa・s」と新たに特定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、一群の請求項ごとにされたものである。また、実施例の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。さらに、訂正事項エは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項オ
訂正事項オは、請求項を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、一群の請求項ごとにされたものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび

以上のとおりであるから、本件訂正による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし11について訂正を認める。


第3 本件発明

上記第2 3.のとおり、本件訂正による訂正は認容されるので、特許第5758879号の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、平成28年6月6日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を少なくとも有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有する、
ポリビニルアルコールの製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を少なくとも有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有し、
前記濃縮後の溶液から、モノマーを回収する、
ポリビニルアルコール
の製造方法。
【請求項4】
塔本体と、
前記塔本体内部に配置された多孔板と、
ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記塔本体上部に重合液を導入する重合液導入機構と、
前記塔本体下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、
前記塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部、を有し、
前記液体状のメタノールで希釈されてポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなった前記重合液が前記塔本体に導入され、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物が共沸組成物まで濃縮されるポリビニルアルコールの製造装置。
【請求項5】
前記塔本体内部において、重合液とメタノール蒸気とが向流接触することを特徴とする請求項4に記載のポリビニルアルコールの製造装置。
【請求項6】
(削除)」


第4 取消理由の概要

当審において平成28年3月30日付けで通知した取消理由の概要は、
・本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の優先日前に頒布された特公昭44-30989号公報(異議申立人1が提出した異議申立書の証拠方法である甲第1号証。以下、「甲1」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない(以下、「取消理由1」という。)、
・本件特許の請求項1?6に係る発明は、本件特許の優先日前に頒布された米国特許第5292804号明細書(異議申立人1が提出した異議申立書の証拠方法である甲第4号証。以下、「甲4」という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(以下、「取消理由2」という。)、
・本件特許に係る出願は、その発明の詳細な説明が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないので、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない(以下、「取消理由3」という。)
というものである。


第5 当合議体の判断

1.甲1
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。


「ポリビニルアルコールは工業的には酢酸ビニルを溶液重合せしめてえられる溶液状のポリ酢酸ビニルにケン化触媒を添加し、ケン化せしめることにより製造されるが、前記重合によってえられたポリ酢酸ビニル溶液中には多かれ少なかれ未重合の酢酸ビニルモノマーが残存しているのが常である。しかしてかかる未重合の酢酸ビニルモノマーを除去する方法としては、該モノマーを含有するポリ酢酸ビニル溶液に脂肪族低級アルコールの蒸気を向流接触せしめて酢酸ビニルモノマーをアルコール蒸気と共に同伴除去する方法が知られているが、ポリ酢酸ビニル溶液はきわめて高粘稠で流動性に乏しく該溶液とアルコール蒸気との均一な接触を行わせることは必らずしも容易ではなくかなり多量のアルコール蒸気の使用が必要とされ、その装置も比較的大規模なものが要求せられる。」(第1頁第1欄第25行?第2欄第2行)


「実施例1
酢酸ビニル560gに過酸化ベンゾイル4.2gを溶解した溶液とメタノール140gにジメチルアニリン1.05gを溶解した溶液とを何れもそれぞれ窒素ガスで置換し、温度0℃に調節し撹拌しながら10時間重合反応を行わせた。ついで、m-ジニト口ベンゼン20mgを添加して重合反応を停止せしめ、ただちに空気を吹込んで引続き液温を0℃に保った。えられたポリ酢酸ビニル溶液は濃度47.4%、重合率59.3%、重合度2400であった。
前記ポリ酢酸ビニルアルコール溶液にメタノール300gを加えて濃度33%に調整したのち、これを蒸留塔の塔頂に300cc/hrの割合で供給し、一方メタノールを200cc/hrの割合で蒸発器に仕込んで発生する蒸気および150cc/hrの割合の空気を塔底より吹込んで、塔頂より酢酸ビニルモノマーをメタノールと共に留出せしめ、塔底より酢酸ビニルモノマーを含まない濃度30%のポリ酢酸ビニル溶液をえた。
このポリ酢酸ビニル溶液600gに濃度5%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液8.1ccを添加し、ニーダ?で攪拌しつつ、温度40℃に保つてケン化反応を行い、1時間後生成したポリビニルアルコールが析出してきたときに、前記と同一濃度の水酸化ナトリウム溶液8.1ccを追加し、さらに1時間同温度に保つてケン化反応を継続せしめた。かくしてえらえたポリビニルアルコールは重合度2300、ケン化度99.3%、白色度83、結晶化度0.50であった。」 (第2頁第3欄第25行?第4欄第9行)


「1 酢酸ビニルを溶液重合せしめて得られる未重合の酢酸ビニルモノマーを含有するポリ酢酸ビニル溶液に脂肪族低級アルコールの蒸気を向流接触させて前記酢酸ビニルモノマーを除去する際において、アルコール蒸気と共に酸素または酸素含有ガスを前記ポリ酢酸ビニル溶液に接触させることを特徴とし、かくしてえられるポリ酢酸ビニルをケン化してポリビニルアルコールを製造する方法」(第5頁第10欄第13行?第21行、特許請求の範囲請求項1)

(2)甲1に記載された発明
上記の摘示アないしウ、特に摘示イから、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

「酢酸ビニル560gに過酸化ベンゾイル4.2gを溶解した溶液とメタノール140gにジメチルアニリン1.05gを溶解した溶液とを何れもそれぞれ窒素ガスで置換し、温度0℃に調節し撹拌しながら10時間重合反応を行わせた後、m-ジニト口ベンゼン20mgを添加して重合反応を停止せしめ、ただちに空気を吹込んで引続き液温を0℃に保ち、えられたポリ酢酸ビニル溶液にメタノール300gを加えて濃度33%に調整したのち、これを蒸留塔の塔頂に300cc/hrの割合で供給し、一方メタノールを200cc/hrの割合で蒸発器に仕込んで発生する蒸気および150cc/hrの割合の空気を塔底より吹込んで、塔頂より酢酸ビニルモノマーをメタノールと共に留出せしめ、塔底より酢酸ビニルモノマーを含まない濃度30%のポリ酢酸ビニル溶液をえたのち、このポリ酢酸ビニル溶液600gに濃度5%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液8.1ccを添加し、ニーダ?で撹拌しつつ、温度40℃に保つてケン化反応を行い、1時間後生成したポリビニルアルコールが析出してきたときに、前記と同一濃度の水酸化ナトリウム溶液8.1ccを追加し、さらに1時間同温度に保つてケン化反応を継続せしめるポリビニルアルコールの製造方法。」

2.甲4
(1)甲4の記載
甲4には、以下の記載がある。なお甲4は、英語で記載された文献であり、その訳文は、片桐申立人の作成した訳を基に当合議体で作成した。




」(第1図)
(訳文)





「(a) Polymerization Step: A liquid feed stream comprising vinyl acetate, free radical catalyst and methanol are fed to a reactor system (typically a two-stage polykettle reactor) wherein a portion of the vinyl acetate is polymerized into poly(vinyl acetate). The methanol acts as a solvent. The paste-like reactor effluent comprises poly(vinyl acetate), unreacted vinyl acetate and the methanol solvent and is typically referred to as the poly(vinyl acetate) paste.
(b) Stripping Step: The poly(vinyl acetate paste) from step (a) is diluted with additional methanol and fed to the top of a stripping column, typically referred to as the paste stripper. A stream of hot methanol vapor is fed to the bottom of the paste stripper to strip the unreacted vinyl acetate from the poly(vinyl acetate) paste. The overhead from the paste stripper comprises the methanol/vinyl acetate azeotrope at issue while the paste stripper bottoms comprises a paste-like methanol/poly(vinyl acetate) mixture;
(c) Saponification Step: The paste stripper bottoms from step (b) is mixed with caustic and fed to a saponification system wherein the poly(vinyl acetate) reacts with the methanol to produce the poly(vinyl alcohol) product (a solid) and methyl acetate. Since an excess of methanol is used in the saponification reaction, the effluent from the saponification system comprises a methanol/methyl acetate/poly(vinyl alcohol) mixture.」(第2欄第17行?第43行)
(訳文)
「(a) 重合ステップ:酢酸ビニル、フリーラジカル触媒及びメタノールを含む液体フィード系が反応槽系(典型的には二段階ポリケトル反応槽)に入れられ、そこでは酢酸ビニルの一部がポリ酢酸ビニルに重合させられる。ペースト状の反応槽導出液はポリ酢酸ビニル、未反応の酢酸ビニル及びメタノールを含み、典型的には、ポリ酢酸ビニルペーストと称される。
(b) ストリッピングステップ:ステップ (a) からのポリ酢酸ビニルペーストは、追加のメタノールで薄められて、ストリッピング塔、典型的にペーストストリッパーと称される、の最上部に導入される。高温メタノール蒸気流がペーストストリッパーの底部に導入され、ポリ酢酸ビニルペーストから未反応の酢酸ビニルをストリップする。ペーストストリッパー頂部はメタノール/酢酸ビニル共沸物を含み、ペーストストリッパー底部はペースト状のメタノール/ポリ酢酸ビニル混合物を含む。
(c) ケン化ステップ:ステップ (b) からのペースト状ストリッパー底部は、苛性と混合され、ケン化系に導入される。そこでは、ポリ酢酸ビニルはメタノールと反応し、(固体の)ポリ酢酸ビニルと酢酸メチルを産出する。ケン化系では過剰のメタノールが使われるので、ケン化系からの導出液はメタノール/酢酸メチル/ポリビニルアルコール混合物を含む。」


「Referring to FIG. 1, a feed stream 2 comprising vinyl acetate is introduced into a reactor system 1 to produce a reactor effluent 4 comprising poly(vinyl acetate) and unreacted vinyl acetate. The reactor effluent 4 is diluted with additional methanol (stream 9) and fed to a paste stripper 3 wherein hot methanol vapor in stream 8 is used to strip the reactor effluent 4 into a paste stripper overhead 6 comprising the methanol/vinyl acetate azeotrope at issue and a paste stripper bottoms 10 comprising a methanol/poly(vinyl acetate) mixture. The paste stripper bottoms 10 is mixed with caustic (stream 11) and fed to a Saponification system 5 wherein the poly(vinyl acetate) reacts with the methanol to produce a Saponification effluent 12 comprising a methanol/methyl acetate/poly(vinyl alcohol) mixture.」(第4欄第32行?第46行)
(訳文)
「図1に示されるように、酢酸ビニルを含むフィード流2が反応槽システム1に導入され、ポリ酢酸ビニルと未反応の酢酸ビニルを含む反応槽導出液4が生産される。反応槽導出液4は追加のメタノール(フロー9)で希釈されてから、ペーストストリッパー3に導入される。そこでは、フロー8で示される高温メタノール蒸気が反応槽導出液4をストリップするために使用され、メタノール/酢酸ビニル共沸物を含むペーストストリッパー頂部6とメタノール/ポリ酢酸ビニル混合物を含むペーストストリッパー底部10にストリップされる。ペーストストリッパー底部10は、苛性(フロー11)と混合され、ケン化系5に導入される。そこでは、ポリ酢酸ビニルはメタノールと反応し、メタノール/酢酸メチル/ポリ酢酸ビニル混合物を含むケン化導出液12を産出する。」


「A vinyl acetate enriched effluent 18 is discharged from column 9 and is recycled as a portion of the feed stream 2 to the reactor system 1.」(第4欄第55行?第57行)
(訳文)
「酢酸ビニルが濃縮された導出液18は、塔9から排出されて、フィード流2の一部としてリサイクルされて反応槽システムに導入される。」


「1. In a process for preparing poly(vinyl alcohol) which includes stripping poly(vinyl acetate) paste with a first stream of hot methanol vapor, an improved method to separate a methanol/vinyl acetate azeotrope or a methanol/methyl acetate azeotrope or both comprising selective adsorption of methanol on an adsorbent followed by regeneration of the adsorbent with a second stream of hot methanol vapor wherein the second stream of hot methanol vapor is recycled as a portion of the first stream of hot methanol vapor.
2. The process of claim 1 wherein the process for preparing poly(vinyl alcohol) comprises:
(a) introducing a feed stream comprising vinyl acetate into a reactor system to produce a reactor effluent comprising poly(vinyl acetate) and unreacted vinyl acetate;
(b) feeding the reactor effluent to a paste stripper wherein hot methanol vapor is used to strip the reactor effluent into a paste stripper overhead comprising the methanol/vinyl acetate azeotrope and a paste stripper bottoms comprising a methanol/poly(vinyl acetate) mixture;
(c) feeding the paste stripper bottoms to a saponification system to produce a saponification effluent comprising a methanol/methyl acetate/poly(vinyl alcohol) mixture;
(d) feeding the saponification effluent to a solid/liquid separator to separate the saponification effluent into a solid effluent comprising the poly(vinyl alcohol) and a liquid effluent comprising the methanol/methyl acetate azeotrope.」(第5欄第55行?第6欄第17行、特許請求の範囲請求項1、請求項2)
(訳文)
「1.ポリ酢酸ビニルペーストを高温メタノール蒸気の第一流でストリッピングすることを含むポリビニルアルコールを製造するプロセスにおいて、吸収剤による選択的なメタノール吸収、それに引き続く、高温メタノール蒸気の第2流で吸収剤をリサイクルすることを含み、高温メタノール蒸気の第二流は、高温メタノール蒸気の第一流の一部分としてリサイクルされたものである、メタノール/酢酸ビニル共沸物あるいはメタノール/酢酸メチル共沸物あるいは両方を分離する改良された方法。
2.以下を含む、請求項1のポリビニルアルコールを製造するプロセス。
(a) 酢酸ビニルを含むフィード流を反応槽システムに導入し、ポリ酢酸ビニルと未反応の酢酸ビニルを含む反応槽導出液を製造し、
(b) 反応槽導出液をペーストストリッパーに導入し、そこでは、高温メタノール蒸気が反応槽導出液をストリップするのに使用され、メタノール/酢酸ビニル共沸物を含むペーストストリッパー頂部及びメタノール/ポリ酢酸ビニル混合物を含むペーストストリッパー底部となり、
(c) ペーストストリッパー底部をケン化系に導入し、メタノール/酢酸メチル/ポリビニルアルコール混合物を含むケン化導出液を製造し、
(d) ケン化導出液を固体/液体分離装置に導入し、ケン化導出液をポリビニルアルコールを含む固体導出物とメタノール/酢酸メチルを含む液体導出液に分離すること。」

(2)甲4に記載された発明
上記の摘示エないしクから、方法、装置それぞれに着目すれば、甲4には以下の2つの発明が記載されているといえる。

「酢酸ビニルを含む液体フィード流を反応系に供給し、酢酸ビニルの一部をポリ酢酸ビニルに重合する重合工程(a)、
重合工程(a)からのポリ酢酸ビニルペーストを追加のメタノールで希釈して、ストリッピング塔の頂部に供給するとともに、ポリ酢酸ビニルペーストから未反応の酢酸ビニルを除去するためにストリッピング塔の底部に高温メタノール蒸気流を供給する除去工程(b)、
除去工程(b)からのペースト状のメタノールとポリ酢酸ビニルの混合物を含むストリッピング塔底部留出物を苛性と混合し、ポリ酢酸ビニルとメタノールと反応させてポリビニルアルコールを製造する鹸化工程(c)
を含むポリビニルアルコールの製造方法。」(以下「甲4方法発明」という。)

「ストリッピング塔と、
ポリビニル酢酸溶液にメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記ストリッピング塔上部にポリビニル酢酸溶液を導入する導入機構と、
前記ストリッピング塔下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、を有し、
前記メタノールで希釈されたポリビニル酢酸溶液が前記ストリッピング塔に導入されるポリビニルアルコールの製造装置。」(以下「甲4装置発明」という。)

3.取消理由1について
(1)本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを比較すると、
甲1発明における「酢酸ビニル」及び「水酸化ナトリウム」は、それぞれ本件特許発明1の「ビニルエステル」及び「アルカリ触媒」に相当し、
甲1発明では「ポリ酢酸ビニル溶液にメタノール300gを加えて濃度33%に調整し」ていることからみて、該「メタノール」は「液体状」であるといえる。
そして、甲1には重合によってえられたポリ酢酸ビニル溶液が「高粘稠で流動性に乏し」いことが記載されている(上記摘示ア)ことからみて、甲1発明における重合反応により「えられたポリ酢酸ビニル溶液」は「ペースト状」であるといえ、本件特許発明1の「ペースト状の重合液」に相当する。
さらに、塔底から得られる「酢酸ビニルモノマーを含まない濃度30%のポリ酢酸ビニル溶液」は、それまでの製造工程からみて「有機溶媒」の溶液であるといえるので、該溶液は「有機溶媒中において」鹸化されているといえる。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは
「1種のビニルエステルを重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を少なくとも有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加して前記重合液中のポリマー濃度が33質量%となるように前記重合液の濃度を調節するポリビニルアルコールの製造方法。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点1)脱モノマー行程におけるペースト状の重合液に液体状のエタノールを添加した後の重合液の粘度に関し、本件特許発明1は「0.001?2.0Pa・s」と特定するのに対し、甲1発明は、粘度を特定していない点。
(相違点2)本件特許発明1は「重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程」を有することを特定するのに対して、甲1発明はそのような行程を特定していない点。

(2)当審の判断
相違点1の重合液の粘度の点、相違点2の「共沸混合物まで濃縮する工程」の点は、甲1に記載も示唆もなく、相違点1、相違点2とも実質的な相違点である。
そうしてみると、本件特許発明1と甲1発明とは相違点1及び相違点2の点で異なるものである。

(3)小括
本件特許発明1は、甲1発明であるとすることができない。

4.取消理由2について
(1)請求項1
ア 本件特許発明1と甲4方法発明との対比
本件特許発明1と甲4方法発明とを比較すると、
甲4方法発明における「酢酸ビニル」、「ポリ酢酸ビニルペースト」、「苛性」は、本件特許発明1の「ビニルエステル」、「ペースト状の重合液」、「アルカリ触媒」に相当し、
甲4方法発明の「除去工程(b)」は、未反応の酢酸ビニルを除去するものであることから、本件特許発明1の「脱モノマー工程」に相当し、
甲4方法発明における「除去工程(b)からのペースト状のメタノールとポリ酢酸ビニルの混合物を含むストリッピング塔底部留出物」は、除去工程(b)を経たものであるから未反応の酢酸ビニルを除去したものであるといえ、本件特許発明1の「未反応モノマーを除去した溶液」に相当するといえる。
そして、甲4方法発明の「除去工程(b)」でポリ酢酸ビニルペーストの希釈に用いられるメタノールは、希釈用であることからみて、「液体状」であるといえる。
さらに、甲4方法発明における「除去工程(b)」において、希釈した「ポリ酢酸ビニルペースト」が塔の頂部に供給され、「熱いメタノール蒸気流」が塔の底部に供給されていることから、甲4方法発明の「除去工程(b)」において両者が接触していることは明らかである。
そうすると、本件特許発明1と甲4方法発明とは
「1種のビニルエステルを重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を少なくとも有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加して前記重合液中のポリマー濃度を調節するポリビニルアルコールの製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点3)「ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加」する際に、本件特許発明1は「重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節」すると特定するのに対し、甲4方法発明は、そのような特定がない点。
(相違点4)本件特許発明1は「重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程」を有することを特定するのに対して、甲4方法発明はそのような行程を特定していない点。

イ 検討・判断
相違点3について、甲4方法発明で、重合工程(a)からのペースト状の重合液に加えるべきメタノール量は、次工程が行われるストリッピング塔の頂部への供給のしやすさを考慮して決定されるものであるといえる。しかしながら、甲4にはその量の目安となるべき記載はなく、本件特許発明1のような特定のポリマー濃度かつ特定の重合体粘度を設定するためには、通常以上の試行錯誤を必要とするものであると認める。
相違点4について、甲4に関する上記摘示オ、摘示カ、摘示クによれば、甲4方法発明の除去工程によって、メタノール/酢酸ビニル共沸物(以下、「共沸物」という。)を含む流出物が塔頂から得られていることが認められる。斯かる流出物中に占める共沸物の割合は不明ではあるものの、仮に流出物の100%が共沸物であった場合、除去工程から共沸物を部分的に含む流出物を取り出した上で、そのような流出物を「共沸組成物にまで濃縮する」ことを行う動機となるものがあるとは認められないし、また、流出物中に共沸物を部分的に含有する場合、そのような流出物を「共沸組成物まで濃縮する」動機となるものがあるものとも認めることができない。
そして本件特許発明1は、ペースト状の重合液に接触させる「メタノール蒸気の吹き込み量を低減することができる」という効果を奏するものであるが、仮に当業者の通常の試行錯誤の結果、甲4方法発明で相違点3、相違点4を特定することができたとしても、そのような特定を行うことによって、「メタノール蒸気の吹き込み量を低減することができる」という効果を奏することは、当業者が予想し得るものであるとは認めることができない。
したがって、本件特許発明1は、甲4方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(2)請求項3
本件特許発明3は、本件特許発明1で「濃縮後の溶液から、モノマーを回収すること」を更に特定するものであり、本件特許発明3と甲4方法発明とは、上記の相違点3、相違点4に加えてこの点でも相違する。
しかしながら、上記(1)イの通りであるから、本件特許発明1と同様に、本件特許発明3は、甲4方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(3)請求項4
ア 本件特許発明4と甲4装置発明との対比
上記(1)アの対比も考慮して本件特許発明4と甲4装置発明とを対比すると、甲4装置発明における「ストリッピング塔本体」は、本件特許発明4の「塔本体」に相当するので、本件特許発明4と甲4装置発明とは
「塔本体と、
ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記塔本体上部に重合液を導入する重合液導入機構と、
前記塔本体下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、を有し、
前記液体状のメタノールで希釈された前記重合液が前記塔本体に導入されるポリビニルアルコールの製造装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点5)本件特許発明4は「塔本体内部に配置された多孔板」及び「塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部」を備えるのに対し、甲4装置発明は斯かる「多孔板」及び「濃縮部」を備えていない点。

(相違点6)液体状のメタノールで希釈された重合液について、本件特許発明4は「ポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・s」と特定するのに対し、甲4装置発明は、そのような特定がない点。

イ 検討・判断
相違点5については、「多孔板」の点はともかくとして、上記4.(1)イの相違点4で検討したのと同様に、甲4装置発明において、「塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部」を設ける動機付けがあるものとすることはできない。
相違点6については、上記4.(1)イの相違点3で検討したのと同様に、甲4装置発明において、「ポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・s」の重合液を用いることは容易に想到するものとすることができない。
そして本件特許発明4は、本件特許発明1と同様に、ペースト状の重合液に接触させる「メタノール蒸気の吹き込み量を低減することができる」という効果を奏するものであるが、仮に当業者の通常の試行錯誤の結果、甲4装置発明で相違点5、相違点6を特定することができたとしても、そのような特定を行うことによって、ペースト状の重合液に接触させる「メタノール蒸気の吹き込み量を低減することができる」という効果を奏することは、当業者が予想し得るものであるとは認めることができない。
したがって、本件特許発明4は、甲4装置発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(4)請求項5
本件特許発明5は、本件特許発明4で「前記塔本体内部において、重合液とメタノール蒸気とが向流接触すること」を更に特定するものであり、本件特許発明5と甲4装置発明とは、上記の相違点5、相違点6に加えてこの点でも相違する。
しかしながら、上記(3)イの通りであるから、本件特許発明4と同様に、本件特許発明5は、甲4装置発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(5)小括
本件特許発明1、3ないし5は、甲4方法発明、甲4装置発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

5.取消理由3について
取消理由通知で明確でないとされた「流出液」の記載があった本件訂正前の請求項6は削除された。そして、本件訂正前の請求項6の内容が取り込まれた本件訂正後の新たな請求項4において、「流出液」は「混合物」と訂正された。
本件訂正により、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に適合するものとなった。

6.まとめ
上記のとおり、取消理由1ないし3によっては、本件特許を取り消すことができない。


第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件請求項1、3ないし5に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1、3ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2及び6に係る特許は訂正により削除されたため、本件特許の請求項2及び6に対して、特許異議申立人1及び特許異議申立人2がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有する、
ポリビニルアルコールの製造方法。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
1種若しくは2種以上のビニルエステルを重合するか、又は、ビニルエステルとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する重合工程と、
該重合工程により得られたペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させて、未反応のモノマーを除去する脱モノマー工程と、
未反応のモノマーを除去した溶液を、有機溶媒中において、アルカリ触媒の存在下で鹸化する鹸化工程と、を有し、
前記脱モノマー工程において、前記ペースト状の重合液にメタノール蒸気を接触させる前に、前記ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加し、前記重合液中のポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなるように前記重合液の濃度を調節し、
更に、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物を共沸組成物まで濃縮する工程を有し、
前記濃縮後の溶液から、モノマーを回収する、
ポリビニルアルコールの製造方法。
【請求項4】
塔本体と、
前記塔本体内部に配置された多孔板と、
ペースト状の重合液に液体状のメタノールを添加するメタノール導入配管を備え、前記塔本体上部に重合液を導入する重合液導入機構と、
前記塔本体下部にメタノール蒸気を導入するメタノール蒸気導入機構と、
前記塔本体の頂部から取り出された混合物を濃縮する濃縮部、を有し、
前記液体状のメタノールで希釈されてポリマー濃度が10?70質量%かつ重合液の粘度が0.001?2.0Pa・sとなった前記重合液が前記塔本体に導入され、前記重合液とメタノール蒸気との接触により生じたモノマーとメタノールとの混合物が共沸組成物まで濃縮されるポリビニルアルコールの製造装置。
【請求項5】
前記塔本体内部において、重合液とメタノール蒸気とが向流接触することを特徴とする請求項4に記載のポリビニルアルコールの製造装置。
【請求項6】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-08-05 
出願番号 特願2012-505453(P2012-505453)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08F)
P 1 651・ 121- YAA (C08F)
P 1 651・ 113- YAA (C08F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤本 保  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 守安 智
大島 祥吾
登録日 2015-06-12 
登録番号 特許第5758879号(P5758879)
権利者 デンカ株式会社
発明の名称 ポリビニルアルコールの製造方法及び製造装置  
代理人 渡邊 薫  
代理人 渡邊 薫  
代理人 鈴木 恵子  
代理人 鈴木 恵子  
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