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審決分類 審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正する A63F
管理番号 1321458
審判番号 訂正2016-390073  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-06-07 
確定日 2016-09-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2913871号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2913871号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第2913871号(以下、「本件特許」という。)は、平成3年2月23日に特願平3-50549号として特許出願され、平成11年4月16日に特許権の設定の登録がなされ、平成28年6月7日に本件訂正審判の請求がされ、同年6月29日付けで当審による訂正拒絶理由通知がなされ、同年8月1日付けで意見書が提出されたものである。

第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、次のとおりである(下線部は、訂正箇所を示す。)。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするパチンコ機。」
を、
「図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、
前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであり、
前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするパチンコ機。」
に訂正する。

2 訂正事項2
発明の詳細な説明の段落【0004】の
「【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明においては、図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするものである。」
を、
「【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明においては、図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであり、前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするものである。」
に訂正する。

第4 当審の判断

1 訂正事項1について
訂正事項1は、本件特許の請求項1に「前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであ」ることを追加するものである。

(1)訂正の目的
訂正事項1は、本件特許の請求項1の「確率変更手段」を「電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであ」ると限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の有無
本件特許の明細書の段落【0021】の「また、ステップ112で特別入賞信号S2の立下りが検出されたときには、ステップ114で権利発生フラグがセットされているか否かが判定され、未だセットされていないときには、ステップ116で権利発生フラグがセットされる。これにより権利発生状態となる。・・・そして、その後、ステップ122で作動回数カウンタLが1だけ増加される。」との記載より、「作動回数カウンタL」は、権利発生状態が発生した回数をカウントするものであり、また、段落【0035】の「上記した実施例では、大当り遊技状態として権利発生状態となるパチンコ機を例示した」との記載より、「権利発生状態」は「大当り遊技状態」を意味しているといえる。
さらに、段落【0022】には、「一方、権利発生フラグがセットされているときには、ステップ128で始動入賞玉カウンタDが1だけ増加され、その後、ステップ130で始動入賞玉カウンタDの値が15より大きいか否かが判定される。15より大きいときには、権利発生状態を終了させるべくステップ132で権利発生フラグをリセットし、そのときの作動回数カウンタLの値が奇数であるか否かがステップ134で判定される。作動回数カウンタLの値が奇数であるときには、ステップ136で確率増大フラグがセットされると共に、以後の図柄表示器14a,14bの変動表示を高確率で行う旨を表示するために緑色フラグをセットする。これにより、図柄表示器14a,14bに表示される図柄の変動表示が緑色で行われ、それによって当り図柄が表示される確率が高いことを遊技者に報知している。」と記載されており、権利発生状態(大当り遊技状態)が終了するとき、権利発生状態の発生した回数をカウントする作動回数カウンタLの値が奇数、すなわち、発生していたのが電源投入から奇数回目の権利発生状態であれば、高確率とすることが記載されているといえる。
したがって、本件特許の明細書には、「電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に低確率から高確率に変更するものであ」ることが記載されている。
次に、本件特許の明細書の段落【0021】には、「また、ステップ112で特別入賞信号S2の立下りが検出されたときには、ステップ114で権利発生フラグがセットされているか否かが判定され、未だセットされていないときには、ステップ116で権利発生フラグがセットされる。これにより権利発生状態となる。そして、権利発生状態となったときにステップ118で確率増大フラグがセットいると判定されれば、ステップ120で確率増大フラグをリセットすると共に図柄表示器14a,14bの変動表示を低確率で行う旨を表示するために緑色フラグをリセットする。」と記載されており、本件特許の明細書には、権利発生状態(大当り遊技状態)となると、確率増大フラグがセットされていると判定されれば、確率増大フラグをリセットすること、すなわち、「各大当り遊技状態の開始時に高確率になっている場合には低確率に変更するものであ」ることが記載されているといえる。
ここで、段落【0004】の「所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段」との記載より、大当り図柄の出現確率を変更するのは「確率変更手段」であるといえる。
したがって、本件特許の請求項1に「前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであ」ることを追加する訂正事項1は、新規事項に該当しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
上記(1)のとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件
ア 訂正拒絶理由通知の概要
当審より、平成28年6月29日付け訂正拒絶理由通知書において、「訂正後の請求項1には、その前段において、「所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段」と記載されており、「確率変更手段」は、「大当り遊技状態終了後」に確率を変更するものと定義されているが、当該請求項1には、さらに、「前記確率変更手段は、・・・かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであり」として、「確率変更手段」は、「各大当り遊技状態の開始時」に確率を変更することが記載されている。したがって、「確率変更手段」が確率を変更するタイミングについて、「大当り遊技状態終了後」と「大当り遊技状態の開始時」という相互に矛盾した記載があるため、「確率変更手段」がどのタイミングで確率を変更するものであるか明確でない。したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してあるとはいえないので、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない。」旨通知した。

イ 平成28年8月1日付け意見書の内容
これに対し、請求人は、平成28年8月1日付け意見書において、「本訂正審判で訂正した内容は、「前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更する」(低確率→高確率)ことと、「各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更する」(高確率→低確率)ことであり、両構成は矛盾するものではなく、低確率から高確率に変更する条件と、高確率から低確率に変更する条件とを、いずれも明確に把握することができます。」と主張している。

ウ 判断
請求人の上記主張について以下に検討する。
請求人の主張するとおり、訂正後の請求項1では、「確率変更手段」が、「電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更」し、かつ、「各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更する」ものであることが明確となっている。
そして、訂正後の請求項1の前段の「所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段」との記載は、単に、「確率変更手段」が有する機能のうち、「電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更」する点について概略的に定義したものと解することができ、その後段に「各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更する」ことが記載されていたとしても、直ちに矛盾するとまではいえない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分されており、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしている。
また、他に訂正後の請求項1に係る発明を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1に係る発明の訂正(訂正事項1)に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明細書の段落【0004】に記載された対応する記載を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、
前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであり、
前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現させ、短期間に多量の入賞玉を獲得できるようにしたパチンコ機が多数市場に提供されていた。このようなパチンコ機は、前記大当り図柄の出現確率が一定(例えば、1/200)とされているため、大当り図柄の出現がほぼ一定周期となる傾向にあり、遊技に抑揚がなく遊技者に飽きられ易いという問題があった。このような問題を解決するために、本出願人は、先に特願平3-13768号において、所定回数目の権利発生状態(大当り遊技状態に相当)の終了時に大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を設けたパチンコ機を提案し、これによって遊技に抑揚感を与えることができるようにした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したパチンコ機においては、大当り遊技状態が比較的短い間隔で出現するものであるため、1つ1つの大当り遊技状態とその間の高確率表示遊技状態とを含めて1つの大きな大当り遊技状態を構成するものと見做すことができるが、従来、図柄表示装置が高確率で表示される遊技状態は、通常の遊技状態と見做して特にその旨を報知したり、あるいは、管理したりしていなかった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたものでその目的とするところは、図柄表示装置が高確率で表示制御される遊技状態をも大当り遊技状態と見做してその旨を報知したり管理したりすることができるパチンコ機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、図柄表示装置の表示結果が大当り図柄を表示したことに基づいて大当り遊技状態を出現することが可能であって、所定の大当り遊技状態終了後に前記大当り図柄の出現確率を低確率から高確率に変更する確率変更手段を備えたパチンコ機において、前記確率変更手段は、電源投入から奇数回目の大当り遊技状態の終了後に前記低確率から前記高確率に変更するものであり、かつ、各大当り遊技状態の開始時に前記高確率になっている場合には前記低確率に変更するものであり、前記所定の大当り遊技状態の発生時から前記確率変更手段の作動により高確率で出現した大当り遊技状態の終了時まで継続して大当り信号を導出する大当り信号導出手段を設けたことを特徴とするものである。
【0005】
【作用】
所定の大当り遊技状態が発生し、その大当り遊技状態が終了すると確率変更手段が作動して図柄表示装置が高確率で表示制御される。そして、所定の大当り遊技状態の発生時から高確率で表示制御されている間、大当り信号導出手段が作動して大当り信号を導出し、更に、高確率の表示制御によって出現した大当り遊技状態が終了するまで大当り信号の導出が継続される。このように導出された信号を、例えば、管理コンピュータに伝送することにより、連続して発生する大当り遊技状態の期間中の出玉率を演算したり、あるいは、連続して発生する大当り遊技状態の出現回数を知ることができ、当該パチンコ機の特性や営業データ等の管理データを得ることができる。また、上記大当り信号をパチンコ機やパチンコ島等に設けられる報知装置に伝送することにより、当該パチンコ機が大当り遊技状態中であるか高確率での遊技状態中のいずれかである旨を遊技客又は他の遊技客あるいは遊技場の店員に報知することができる。
【0006】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。まず、図2を参照して実施例に係るパチンコ機の遊技盤1の構成について説明する。図において、遊技盤1の誘導レール2によって囲まれた遊技領域3のほぼ中央には、特別入賞装置4が配置されている。この特別入賞装置4は、特別装置作動領域5を含む複数の通過領域5、6a,6bを有し、上方から受け入れた打球を螺旋円盤を利用して旋回させ、その旋回中にいずれかの通過領域5、6a,6bに落下させるものである。左右の通過領域6a,6bは、打球が落下することによって所定個数(例えば、15個)の景品玉を排出する入賞通過領域として構成されている。また、中央の特別装置作動領域5は、打球が落下することによってそのまま下方に導き、特別入賞装置4の下方に配置される特別入賞口7に入賞させるようになっている。特別入賞口7に打球が入賞すると、前記と同様に所定個数の景品玉を排出すると共に、特別入賞口7に内蔵される特別入賞玉検出スイッチ24(図3参照)をONさせる。特別入賞玉検出スイッチ24のON信号は、権利発生状態の発生と消滅とを検出する信号として利用される。なお、図示の実施例において特別入賞装置4へは、後述する電動入賞装置16によって導かれた打球だけが誘導されるようになっている。
【0007】
上記した特別入賞装置4の下方には、変動入賞装置8が配置されている。この変動入賞装置8は、アタッカーソレノイド29(図3参照)によって開閉駆動されるアタッカー開閉板9を有し、アタッカー開閉板9を開放した状態で遊技領域3を落下する打球を受け止めるようになっている。ただし、アタッカー開閉板9の開放は、権利発生状態が継続されている状態であって後述する始動入賞口11に打球が入賞したことに基づいて実行され、1回の開放が所定個数(例えば、10個)の入賞玉が発生するまで、又は一定時間(例えば、9.7秒)が経過するまで継続される。そして、上記した所定個数を計数するために変動入賞装置8は、入賞玉数検出スイッチ26(図3参照)が付設されていると共に、該入賞玉数検出スイッチ26で検出された入賞玉数を表示するために入賞個数表示器10が内蔵されている。
【0008】
変動入賞装置8の下方には、始動入賞口11が設けられている。この始動入賞口11は、前記したように権利発生状態が継続されている状態であって打球が入賞したことに基づいてアタッカー開閉板9を開放するものであるが、始動入賞口11がアタッカー開閉板9の真下に位置するため、アタッカー開閉板9が開放している状態では、打球が始動入賞口11に入賞し難いようになっている。また、始動入賞口11には、打球の入賞を検出する始動入賞玉検出スイッチ25(図3参照)が付設されている。更に、権利発生状態中に始動入賞口11に入賞した玉数を前記特別入賞装置4の一側(図示右側)に設けられる始動入賞個数表示器17で表示するようになっている。この始動入賞個数表示器17は、多くの場合アタッカー開閉板9の開放回数と等しい数を表示している。また、始動入賞個数表示器17に表示される数値が16となった時点で権利発生状態が終了する。なお、始動入賞口11に打球が入賞することによって排出される景品玉数は、他の入賞口によって排出される景品玉数よりも少ない数(例えば、7個)に設定されている。
【0009】
また、遊技領域3のほぼ中央左右には、ゲート入賞口12a,12bが配置されている。このゲート入賞口12a,12bは、単に遊技領域3を落下する打球が通過するように構成されるだけで景品玉を排出する意味での入賞口ではなく、ゲート入賞口12a,12bを打球が通過することによって前記特別入賞装置4の一側(図示左側)に設けられる図柄表示装置13の変動表示を制御する意味で入賞口と表現しているものである。もちろん、この場合、景品玉が排出される入賞口としても良い。しかして、ゲート入賞口12a,12bには、ゲート入賞玉検出スイッチ23(図3参照)が設けられ、その検出信号に基づいて図柄表示装置13の変動表示が実行される。
【0010】
図柄表示装置13は、複数(図示の実施例では、2つ)の図柄表示器14a,14b(7セグメントLEDで構成される)とゲート入賞記憶表示器15とを含んで構成されている。図柄表示器14a,14bは、前記ゲート入賞口12a,12bに打球が入賞したことに基づいて変動表示を開始すると共に一定時間(例えば、6秒)が経過すると左側の図柄表示器14aが停止した後、僅かな時間遅れて右側の図柄表示器14bが停止制御されるようになっている。また、左側の図柄表示器14aに表示される図柄は、例えば、0?9までの十種類の数字図柄が変動表示され、右側の図柄表示器14bに表示される図柄は、例えば、0?9、A、C、E、F、H、J、L、P、Uまでの19種類の数字及び英字図柄が変動表示されるようになっている。そして、両方の図柄表示器14a,14bの停止時の図柄の組み合わせが「3、3」又は「7、7」の組み合わせであるときに、大当りと判断されて後述する電動入賞装置16が開放駆動されるようになっている。また、図柄表示器14a,14bは、2色発光のセグメントLEDが使用され、後述する低確率で変動表示する場合には、例えば、赤色で変動表示し、高確率で変動表示する場合には、例えば、緑色で変動表示するように表示制御される。これによって、遊技者は、図柄表示装置13がどのような確率で変動表示しているかを即座に知ることができる。
【0011】
また、図柄表示装置13に設けられるゲート入賞記憶表示器15は、前記ゲート入賞口12a,12bを通過した打球を最高4個まで記憶した旨を報知するもので、ゲート入賞記憶表示器15が4個すべて点灯している状態で打球がゲート入賞口12a,12bを通過しても、それは無効として処理される。
【0012】
ところで、前記図柄表示器14a,14bの停止時の組み合わせが当り図柄の組み合わせとなったときには、特別入賞装置4の上方に配置される電動入賞装置16が一定時間(例えば、6秒)開放される。図示の電動入賞装置16は、いわゆるチューリップ式入賞装置であって、チューリップソレノイド28(図3参照)によって開放駆動されるようになっている。しかして、チューリップソレノイド28が励磁されて電動入賞装置16が開放されると遊技領域3を落下する打球が受け入れられ易くなり、電動入賞装置16に受け入れられた打球は、特別入賞装置4に誘導され、複数の前記した通過領域5、6a,6bのいずれかに落入する。なお、電動入賞装置16に打球が1個入賞すると、一定時間の経過前であってもチューリップソレノイド28がOFFとなって閉じるようになっている。また、図示の電動入賞装置16においては、電動入賞装置16が閉じているときに打球が全く入賞しないように障害釘が設けられているものを示しているが、電動入賞装置16が閉じているときでも打球が入賞するようにしてもよい。
【0013】
更に、遊技盤1の遊技領域3には、上記した構成以外に、複数の入賞口18、19a,19b、20a,20bや動作ランプ21a,21bやアウト口22が設けられている。このうち動作ランプ21a,21bは、主として権利発生状態である旨を報知するものであるが、図柄表示装置13や変動入賞装置8が駆動中である旨を報知するランプ群(図示しない)がそれぞれの入賞装置や前記入賞口19a,19b、20a,20b等に内蔵されている。
【0014】
以上説明した図柄表示装置13、特別入賞装置4、及び変動入賞装置8等の動作を制御する制御装置の構成について図3を参照して説明する。図3は、制御装置の電気的な構成を示したブロックダイヤグラムである。制御装置には、マイクロコンピュータ30が使用されている。そのマイクロコンピュータ30には、外部ROM31、外部RAM34が接続されている。そして、ROM31には、図7に示す外れモードの時に図柄表示器14a,14bに表示する数値を決定するための外れ数値テーブル32と、図8に示す当りモードの時に図柄表示器14a,14bに表示する数値を決定するための当り数値テーブル33とが設定されている。
【0015】
RAM34には、モード決定カウンタ35と、外れ数値テーブル32及び当り数値テーブル33によって時々刻々変化する数値が記憶される外れ数値メモリ36及び当り数値メモリ37がそれぞれ形成され、その他、当りモードを決定する確定された数値を記憶する確定メモリ38が形成されている。この確定メモリ38は、ゲート入賞口12a,12bの保留入賞玉数+1だけのメモリを持っている。各保留入賞玉に対するモード決定用の数値は、入賞時(通過時)に決定され、その数値が各確定メモリ38に記憶される。なお、モード決定カウンタ35の最大値を変更して、当りモードの生起確率が変更されるようになっている。
【0016】
一方、ゲート入賞口12a,12bにおける通過玉を検出するゲート入賞玉検出スイッチ23、特別装置作動領域5を通過した入賞玉を検出する特別入賞玉検出スイッチ24、始動入賞口11における入賞玉を検出する始動入賞玉検出スイッチ25、アタッカー開閉板9における入賞玉を検出する入賞玉数検出スイッチ26、及び電動入賞装置16における入賞玉を検出するチューリップ検出スイッチ27は、チャタリングを防止するためのフリップフロップからなる波形整形回路39を介してマイクロコンピュータ30に接続されている。
【0017】
クロック発生回路41は、分周器40を介して外部割込み信号をマイクロコンピュータ30のINT端子に出力している。そして、その外部割込み信号に同期してマイクロコンピュータ30は、図4乃至図6のメインプログラムを実行する。また、マイクロコンピュータ30のRST1端子には、タイミング信号発生回路42の出力するタイミング信号が入力しており、そのタイミング信号に同期して図示しない数値発生プログラムが起動される。また、電源回路44のON動作によってリセット信号発生回路43から出力されるリセット信号がマイクロコンピュータ30のRST2端子に入力しており、そのリセット信号により、図示しない初期プログラムが起動される。
【0018】
マイクロコンピュータ30の各出力ポートには、表示器駆動回路45、表示器選択回路46、外部接続端子47、ドライバ48が接続されている。表示器駆動回路45、表示器選択回路46には、前記した図柄表示器14a,14b、ゲート入賞記憶表示器15、入賞個数表示器10、始動入賞個数表示器17が接続されている。それらの表示器は、マイクロコンピュータ30からの選択データと表示データとを定周期で出力することにより、ダイナミック駆動される。即ち、表示選択回路46により各表示単位が選択され、そのときの表示器駆動回路45の出力信号に応じて表示される。外部接続端子47には、マイクロコンピュータ30から権利発生状態中及び高確率での図柄表示装置13の表示制御中に大当り信号が導出されており、該外部接続端子47と管理コンピュータ(図示しない)とを接続することにより、管理コンピュータに大当り信号を与えている。ドライバ48は、マイクロコンピュータ30からの信号に応じてチューリップソレノイド28、アタッカーソレノイド29、動作ランプ21a,21b、及び図示しないランプ表示器、ランプ群を駆動制御する。
【0019】
次に、上記した制御装置によって制御される動作をマイクロコンピュータ30の処理手順を示したフロー図に基づいて説明する。電源回路44に通電されると、マイクロコンピュータ30に給電されると共に、リセット信号発生回路43は、リセット信号をRST2端子に出力する。すると、マイクロコンピュータ30(以下、CPU30という)は、各レジスタやカウンタを初期値に設定する。初期セット後、分周器40から出力される外部割り込み信号が入力される毎に、CPU30は、図4乃至図6のメインプログラムを実行する。図4において、ステップ100でタイマの更新処理が行われ、ステップ102でスイッチ群の状態信号S1,S2,S3,S4,S5が読み込まれる。これらの状態信号は、負論理で構成されており、信号が低レベルのときにスイッチがON状態にあり、入賞玉を検出したことを示している。
【0020】
しかして、ステップ104でゲート入賞信号S1の立下りが検出されたときには、ステップ106で保留入賞玉の数が4より小さいか否かが判定され、小さい場合にだけステップ108でゲート入賞カウンタCが1だけ更新され、ステップ110でその時のモード決定カウンタ35の値が確定メモリM(c)38に記憶される。即ち、保留入賞玉が無い状態でゲート入賞口12a,12bへの入賞が検出されると、ゲート入賞カウンタCは、1となり、その時のモード決定カウンタ35の値が確定メモリM(1)に記憶される。また、ゲート入賞カウンタCが1以上のときに、さらにゲート入賞口12a,12bに入賞すると、その入賞玉は、保留入賞玉となり、ゲート入賞カウンタCが1だけ増加される。そして、その入賞時のモード決定カウンタ35の値がその保留入賞玉に対応する確定メモリM(c)に記憶される。このようにして、ゲート入賞口12a,12bに入賞したときに、当りモード決定用の数値が決定される。
【0021】
また、ステップ112で特別入賞信号S2の立下りが検出されたときには、ステップ114で権利発生フラグがセットされているか否かが判定され、未だセットされていないときには、ステップ116で権利発生フラグがセットされる。これにより権利発生状態となる。そして、権利発生状態となったときにステップ118で確率増大フラグがセットいると判定されれば、ステップ120で確率増大フラグをリセットすると共に図柄表示器14a,14bの変動表示を低確率で行う旨を表示するために緑色フラグをリセットする。これにより、図柄表示器14a,14bに表示される図柄の変動表示が赤色で行われ、それによって当り図柄が表示される確率が低いことを遊技者に報知している。そして、その後、ステップ122で作動回数カウンタLが1だけ増加される。一方、前記ステップ114で権利発生フラグが既にセットされていると判定されたときには、特別入賞信号S2は、権利発生状態を消滅させるべき信号として扱われ、後述するステップ132に移行する。
【0022】
次に、ステップ124で始動入賞信号S3の立下りが検出されたときには、ステップ126で権利発生フラグがセットされているか否かが判定され、セットされていないときには、以下のステップ128?ステップ136の処理が行われない。一方、権利発生フラグがセットされているときには、ステップ128で始動入賞玉カウンタDが1だけ増加され、その後、ステップ130で始動入賞玉カウンタDの値が15より大きいか否かが判定される。15より大きいときには、権利発生状態を終了させるべくステップ132で権利発生フラグをリセットし、そのときの作動回数カウンタLの値が奇数であるか否かがステップ134で判定される。作動回数カウンタLの値が奇数であるときには、ステップ136で確率増大フラグがセットされると共に、以後の図柄表示器14a,14bの変動表示を高確率で行う旨を表示するために緑色フラグをセットする。これにより、図柄表示器14a,14bに表示される図柄の変動表示が緑色で行われ、それによって当り図柄が表示される確率が高いことを遊技者に報知している。
【0023】
上記したステップ112?ステップ122及びステップ132?ステップ136は、権利発生状態中の特別装置作動領域5への打球の通過及び始動入賞口11への所定個数の打球の入賞に基づいて権利発生状態が終了し、その終了が奇数回目の終了であるときに図柄表示装置13の大当りモードとなる確率が増加し、次の権利発生状態の開始でその確率増加状態が解消されることを示しており、このため、連続して権利発生状態となり易い遊技状態と連続して権利発生状態となり難い遊技状態とが交互に生起する傾向となる為、遊技に抑揚ができ、遊技者の興趣を引きつけることができる。また、当りモードとなる確率の変化が図柄表示器14a,14bの変動表示の色によって区別できるので、遊技者は、図柄表示装置13がどのような確率で変動表示しているかを即座に知ることができる。
【0024】
更に、ステップ138で入賞玉数信号S4の立下りが検出されたときには、ステップ140で入賞玉数カウンタEが1だけ増加される。また、ステップ142でチューリップ入賞信号S5の立下りが検出されたときには、ステップ144でチューリップ入賞カウンタBの値を1に設定する。
【0025】
次の図5及び図6に示すステップ146?174、206?218までの処理は、図柄表示装置13と電動入賞装置16の各状態に応じた処理ステップであり、ステップ176?204、206?218までは、権利発生状態中における変動入賞装置8の各状態に応じた処理ステップである。そして、図柄表示装置13と電動入賞装置16の処理ステップは、権利発生状態中であるか否かに拘らず行われている。
【0026】
そこで、まず、図柄表示装置13と電動入賞装置16の各状態に応じた処理ステップについて説明する。
(a)ゲート入賞玉が存在しないときの処理ゲート入賞玉が存在しないとき、即ち、ゲート入賞カウンタCが0のときには、ステップ100?150、176?218の処理が行われ、それにより、図柄表示器14a,14b、ランプ群、各ソレノイドは、所定の表示又は駆動を行うし、権利発生フラグ又は確率増大フラグのいずれか一方がセットされていれば、大当り信号が導出されている。
【0027】
(b)変動表示処理ステップ150でカウンタCの値が判定され、入賞が検出されるとカウンタCの値を1減算し、変動表示状態を示す為、レジスタFを1にセットし、タイマT1を所定値(例えば、6秒)にセットする(ステップ152、154)。そして、ステップ156でゲート入賞カウンタCが減算されたのに伴い、確定メモリM(c)38の内容が1づつ繰り上げられて更新される。次にステップ158でタイマT1がタイムアップとなったか否かが判定され、タイムアップと判定されると、ステップ160で確定メモリM(0)に記憶されている数値から当りモードを判別する。例えば、モード決定カウンタの値が「3」であるときに当りであると判別され、それ以外の数値であるときに外れであると判別される。そして、ステップ162に移行して当りで無いと判定されたときには、ステップ164へ移行して外れモード時の表示用数値を記憶した外れ数値メモリ36の各桁の値が数値表示レジスタに設定されることにより、図柄表示器14a,14bには、その外れ数値メモリ36に記憶されている外れモード時の表示用数値が変動停止時に表示される。一方、当りであると判定されたときには、ステップ166に移行して当りモード時の表示用数値を記憶した当り数値メモリ37の各桁の値が数値表示レジスタに設定されることにより、図柄表示器14a,14bには、その当り数値メモリ37に記憶されている当りモード時の表示用数値が変動停止時に表示される。
【0028】
このようにして、図柄表示器14a,14bには、モードを決定する為の数値発生手段とは別の表示専用の外れ数値テーブルと当り数値テーブルによって発生された表示用数値が表示されることになる。また、モード決定カウンタ35の最大値が例えば、低確率時に80に設定され、高確率時に8に設定されるので、確定メモリM(c)に記憶される数値が当り数値である確率は、確率増大フラグがセットされている場合には、1/8であり、確率増大フラグがセットされていない場合には、1/80となる。なお、タイマT1がタイムアップするまでは、ステップ146で変動表示中であると判定されるので、ステップ100?146、158、176?218の処理を繰り返す。
【0029】
(c)当り時の処理ステップ162の判定結果が当りであるときには、ステップ168でチューリップソレノイドフラグがセットされ、チューリップ開放中を示す為、状態レジスタFを2に設定し、タイマT2に所定時間(例えば、6秒)をセットする。そして、ステップ170でタイマT2がタイムアップしたと判定されるまで、又はステップ172でチューリップ入賞カウンタBの値が1になっていると判定されるまで、チューリップソレノイド28が励磁されるので、打球が電動入賞装置16に入賞し易い状態を保持する。しかして、所定時間が経過したとき又はチューリップ入賞カウンタBの値に1が設定されたときに、ステップ174でチューリップソレノイドフラグをリセットすると共に、状態レジスタF及びチューリップ入賞カウンタBを0に設定する。このように、当りと判定されたときには、電動入賞装置16が打球を1個受け入れるか又は一定時間が経過するまで開放するので、打球が特別入賞装置4に誘導される可能性が高まり、これによって打球が特別装置作動領域5を通過して権利発生状態とする可能性も高まる。また、タイマT2がタイムアップするまで又はチューリップ入賞カウンタBの値が1となるまでは、ステップ148で開放中であると判定されるので、ステップ100?148、170、172、176?218の処理を繰り返す。なお、電動入賞装置16の開放状態が終了した後、所定のインターバルをおいてから図柄表示装置13の次の変動表示を開始してもよい。
【0030】
次に、変動入賞装置8の処理ステップについて説明する。
(d)権利発生状態中の処理ステップ180及びステップ182で始動入賞玉カウンタDの値が1以上で17より小さく且つ開放回数カウンタGの値よりも大きいと判定されたときには、ステップ184でアタッカーソレノイドフラグがセットされると共に、アタッカー開閉板9の開放中を示す状態レジスタHを1に設定し、その後、ステップ186で開放回数カウンタGを1だけ増加する。そして、ステップ188でアタッカー開閉板9の開放時間を規制するタイマT3を所定値(例えば、9.7秒)にセットし、ステップ190でタイムアップと判定されるまで又はステップ192で入賞玉数カウンタEが10となるまでアタッカーソレノイド29が励磁される。その後、所定時間が経過したとき又は入賞玉数カウンタEが10となったときに、ステップ194でアタッカーソレノイド29の励磁状態を解除すべくアタッカーソレノイドフラグがリセットされると共に、入賞玉数カウンタEが0に設定される。
【0031】
アタッカー開閉板9の1回の開閉状態が終了すると次の開閉までにインターバル時間を設ける為、ステップ196、198の処理が行われる。しかして、インターバル時間が経過したときには、ステップ200でレジスタHを0に設定し、また、その時点で権利発生フラグがセットされているか否かを判定する。権利発生フラグがセットされている場合には、ステップ206に直ちに移行し、セットされていない場合には、ステップ204で始動入賞玉カウンタDと開放回数カウンタGの値を0にしてステップ206に移行する。
【0032】
ステップ206?212では、図柄表示器14a,14b、図示しないランプ表示器やランプ群、チューリップソレノイド28、アタッカーソレノイド29が前記したフラグ又はレジスタの状態に応じて駆動される。なお、図柄表示器14a,14bの変動表示中は、外れ数値テーブル32の内容を順番に識別できない速度で変動表示している。
【0033】
次のステップ214?218では、権利発生フラグ又は確率増大フラグのいずれか一方がセットされているときにマイクロコンピュータ30から外部接続端子47に大当り信号が導出されていることを示す。したがって、権利発生状態中及びそれに続く高確率時における遊技状態中、更に該高確率に基づいて出現した権利発生状態中、継続して大当り信号が導出される。
【0034】
この状態を図1のタイムチャートを参照して説明すると、電源投入後、特別装置がON(権利発生フラグのセット)したa点から特別装置がOFF(権利発生フラグのリセット)したb点までが1回目の権利発生状態である。この時の大当り図柄が出現する確率は、1/80という低確率で表示制御される。そして、権利発生状態が終了したb点(確率増大フラグのセット)から2回目の権利発生状態の開始点であるc点(確率増大フラグのリセット)までの間、図柄表示装置13の大当り図柄が出現する確率は、1/8という高確率で表示制御される。また、2回目の権利発生状態となるc点においては、低確率となるが特別装置がONし、その状態がd点まで継続される。そして、d点においては、偶数回目の権利発生状態の終了であるので、確率の変更は行われない。しかして、上記したa点からd点までの間、権利発生フラグと確率増大フラグとが交互にセットされているので、a点からd点までの間、大当り信号がONとなっている。このように導出された大当り信号を、管理コンピュータに伝送することにより、連続して発生する大当り遊技状態の期間中の出玉率を演算したり、あるいは、連続して発生する大当り遊技状態の出現回数を知ることができ、当該パチンコ機の特性や営業データ等の管理データを得ることができる。また、上記大当り信号を管理コンピュータ以外のパチンコ機やパチンコ島等に設けられる報知ランプに伝送することにより、当該パチンコ機が大当り遊技状態中であるか高確率での遊技状態中のいずれかである旨を遊技客又は他の遊技客あるいは遊技場の店員に報知することができる。なお、3回目と4回目の権利発生状態は、上記した動作を繰り返す。
【0035】
以上、実施例について説明してきたが、上記実施例では、図柄表示器14a,14bとしてセグメントLEDを例示したが、他の表示器であってもよく、また、高確率と低確率の数値も任意に設定すれば良い。また、高確率に変更される回数も奇数回の終了時だけでなく、任意の回数目あるいはランダムな回数目の終了時としても良いし、高確率に基づく権利発生状態が複数回継続するものでも良い。また、上記した実施例では、大当り遊技状態として権利発生状態となるパチンコ機を例示したが、図柄表示装置が大当り図柄を表示したときに、変動入賞装置を所定の態様で繰り返し駆動させる、いわゆるデジタル式パチンコ機であってもよい。更に、大当り信号を導出する開始点として最初にアタッカー開閉板9が開放したときとしてもよい。なお、大当り遊技状態時と高確率変動表示遊技時とで別々の信号を導出し、その別々の信号を管理コンピュータで処理して1つの全体として大きな大当り遊技状態と判断するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明においては、所定の大当り遊技状態の発生時から高確率で表示制御されている間、及び高確率の表示制御によって出現した大当り遊技状態が終了するまで大当り信号の導出が継続されるように構成されているので、このように導出された大当り信号を、例えば、管理コンピュータに伝送することにより、連続して発生する大当り遊技状態の期間中の出玉率を演算したり、あるいは、連続して発生する大当り遊技状態の出現回数を知ることができ、当該パチンコ機の特性や営業データ等の管理データを得ることができる。また、上記大当り信号をパチンコ機やパチンコ島等に設けられる報知装置に伝送することにより、当該パチンコ機が大当り遊技状態中であるか高確率での遊技状態中のいずれかである旨を遊技客又は他の遊技客あるいは遊技場の店員に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技動作を制御する制御装置の動作のうち要部を示すタイムチャートである。
【図2】実施例に係るパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】制御装置の電気的な構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図4】遊技動作を制御する制御装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図5】遊技動作を制御する制御装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図6】遊技動作を制御する制御装置の動作の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 遊技盤
13 図柄表示装置
30 マイクロコンピュータ
47 外部接続端子
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-08-22 
結審通知日 2016-08-24 
審決日 2016-09-06 
出願番号 特願平3-50549
審決分類 P 1 41・ 537- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 平城 俊雅
齋藤 智也
登録日 1999-04-16 
登録番号 特許第2913871号(P2913871)
発明の名称 パチンコ機  

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