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審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B01D
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B01D
管理番号 1321469
審判番号 訂正2016-390072  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-05-30 
確定日 2016-09-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5876871号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5876871号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項8について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5876871号は、2012年3月29日(優先権主張2011年3月30日、日本国)を国際出願日として出願された特願2013-507714号の請求項1?8に係る発明について、平成28年1月29日に特許権の設定登録がされたものであり、その後の経緯は以下のとおりである。

平成28年 1月29日 :特許権の設定登録
同年 5月30日 :本件訂正審判の審判請求書の提出
同年 6月24日付け:訂正拒絶理由の通知
同年 7月27日 :意見書の提出

第2 請求の趣旨
本件請求の趣旨は、特許第5876871号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項8について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。

(訂正事項)
特許請求の範囲の請求項8に記載されている、「で構成されることを特徴とする水フィルター用濾材。」を、「を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジを備えた水濾過装置。」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正前の請求項1及び請求項8は、いずれも「水フィルター用濾材」に関するものであり、その特定事項は文言上全く同じである。
文言が全く同じ請求項が二つ存在しても、それにより本件特許発明の技術的範囲が広がるものではないから、かかる特定は不合理であり、訂正前の請求項1又は請求項8の記載に、何らかの誤記がある可能性があることは明らかである。

(2)そこで、本件特許の特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び図面(以下、「本件特許明細書等」という。)をみると、以下の記載がある。

ア 「【請求項1】
・・・ナノファイバー層と、
・・・基材層と、が積層されて、前記ナノファイバー層と前記基材層とが層間接着されているシートで構成されることを特徴とする水フィルター用濾材。」

イ 「【請求項7】
請求項1?6のいずれか1項に記載の水フィルター用濾材を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジ。」

ウ 「【0002】
本発明は、・・・ナノファイバー層と・・・基材とを積層してなる水フィルター用濾材および該濾材を備える水濾過装置に関する。」

エ 「【0006】
本発明が解決しようとする第1の課題は、・・・水フィルター用濾材を提供することである。
さらにまた、本発明の第2の課題は、上記の濾材を搭載するフィルターカートリッジ、および該カートリッジを具備する水濾過装置を提供することである。」

オ 「【0015】
本発明において、水濾過装置とは、前記のフィルターカートリッジを備え、水中の微粒子等の不要成分または回収すべき成分を濾過により除去または取り出すことを可能にした装置をいう。」

(3)上記ア?オによれば、本件特許明細書等には、「ナノファイバー層と基材層とが層間接着されているシートで構成されることを特徴とする水フィルター用濾材」、「該水フィルター用濾材を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジ」、及び「該フィルターカートリッジを備えた水濾過装置」が発明として記載されていたといえる。

(4)その一方で、訂正前の特許請求の範囲に記載されているのは、「水フィルター用濾材」(請求項1?6、8)、及び「フィルターカートリッジ」(請求項7)に係る発明のみである。

(5)上記(1)、(3)、(4)の事項、及び訂正前の請求項1を直接又は間接に引用する請求項2?6が「水フィルター用濾材」に関する発明であることに照らせば、訂正前の請求項8に記載された「・・・シートで構成されることを特徴とする水フィルター用濾材。」が「誤記」であり、「・・・シート(で構成される水フィルター用濾材)を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジを備えた水濾過装置。」が「正しい記載」であることは明らかである。

(6)したがって、これを訂正することは、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

2 新規事項の有無について
上記1(3)で説示したとおり、本件特許明細書等には、「ナノファイバー層と基材層とが層間接着されているシートで構成される水フィルター用濾材を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジを備えた水濾過装置」が発明として記載されていたものといえるから、本件訂正の訂正事項は新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
本件訂正の訂正事項は誤記の訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4 独立特許要件について
訂正後の請求項8に係る発明は、訂正前の請求項7に係る「(特定のシートで構成される)水フィルター用濾材を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジ」を備えることを構成要件とするものであるから、新規性進歩性の判断について新たな事情が存在するものではなく、また、訂正により新たな記載不備を生じるものともいえないから、訂正後の請求項8に係る発明は独立特許要件を満たし、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論の通り審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維の平均繊維径が10?1000nmの範囲にある繊維から形成された、以下の(1)?(3)の条件を全て満足するナノファイバー層と、
単繊維の平均繊維径が1μm以上の、親水性の繊維表面を有する親水性繊維を含む不織布または織布からなる基材層と、が積層されて、前記ナノファイバー層と前記基材層とが層間接着されているシートで構成されることを特徴とする水フィルター用濾材。
(1)ナノファイバー層の目付が、0.1?10g/m^(2)であること。
(2)ナノファイバーが連続長繊維であること。
(3)ナノファイバーが、(イ)エチレンと酢酸ビニルの二成分のみからなる共重合体のケン化物である、エチレン含有量が3?70モル%、ケン化度が80モル%以上のエチレンービニルアルコール共重合体単独、または(ロ)前記エチレン-ビニルアルコール共重合体を少なくとも10質量%以上含む組成物、から作製された親水性の単層繊維であること。
【請求項2】
前記ナノファイバー層が静電紡糸法により形成された繊維を集積したものである請求項1に記載の水フィルター用濾材。
【請求項3】
前記不織布を構成する親水性繊維が、ポリビニルアルコール系ポリマーを含むものである請求項1または2に記載の水フィルター用濾材。
【請求項4】
前記基材層の目付が20?500g/m^(2)である請求項1に記載の水フィルター用濾材。
【請求項5】
前記積層されたシートが、前記基材層の上に、静電紡糸法により形成されたナノファイバーを層状に集積したものである請求項4に記載の水フィルター用濾材。
【請求項6】
前記積層されたシートが、前記集積後、エンボス処理またはカレンダー処理されたものである請求項5に記載の水フィルター濾材。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか1項に記載の水フィルター用濾材を少なくとも一部に含むフィルターカートリッジ。
【請求項8】
単繊維の平均繊維径が10?1000nmの範囲にある繊維から形成された、以下の(1)?(3)の条件を全て満足するナノファイバー層と、
単繊維の平均繊維径が1μm以上の、親水性の繊維表面を有する親水性繊維を含む不織布または織布からなる基材層と、が積層されて、前記ナノファイバー層と前記基材層とが層間接着されているシートを少なくとも一部に含むフィルターカートリッジを備えた水濾過装置。
(1)ナノファイバー層の目付が、0.1?10g/m^(2)であること。
(2)ナノファイバーが連続長繊維であること。
(3)ナノファイバーが、(イ)エチレンと酢酸ビニルの二成分のみからなる共重合体のケン化物である、エチレン含有量が3?70モル%、ケン化度が80モル%以上のエチレンービニルアルコール共重合体単独、または(ロ)前記エチレン-ビニルアルコール共重合体を少なくとも10質量%以上含む組成物、から作製された親水性の単層繊維であること。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-08-31 
結審通知日 2016-09-02 
審決日 2016-09-13 
出願番号 特願2013-507714(P2013-507714)
審決分類 P 1 41・ 854- Y (B01D)
P 1 41・ 852- Y (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 泰三  
特許庁審判長 板谷 一弘
特許庁審判官 永田 史泰
新居田 知生
登録日 2016-01-29 
登録番号 特許第5876871号(P5876871)
発明の名称 フィルター用濾材および該濾材を備える水濾過装置  
代理人 杉本 修司  
代理人 堤 健郎  
代理人 小林 由佳  
代理人 小林 由佳  
代理人 杉本 修司  
代理人 野田 雅士  
代理人 中田 健一  
代理人 野田 雅士  
代理人 堤 健郎  
代理人 中田 健一  

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