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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1321547
審判番号 不服2016-3370  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-04 
確定日 2016-11-29 
事件の表示 特願2011-131272「混合段階及び分離段階の光学的な監視方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月 5日出願公開、特開2012- 2811、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月13日(パリ条約による優先権主張 2010年6月15日 (EP)欧州特許庁)を出願日とする外国語出願であって、平成27年1月30日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年4月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月27日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年3月4日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年3月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1乃至9を削除し、補正前の請求項14及び請求項15の発明特定事項を補正前の請求項10に付加し補正後の請求項1とする補正を行うと共に、補正前の請求項11乃至13を、補正後の請求項2乃至4とするものである。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項の引用関係を考慮すると特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。

第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成28年3月4日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める

「垂直方向に移動され得る磁石を備えた分離デバイスであって、複数の光源を備えた分離デバイスを有する分離ステーションと、
開放頂端部と閉塞底部とを有する少なくとも1つの容器であって、液体中における磁性
粒子又は磁化可能な粒子を有する少なくとも1つの容器と、
前記液体中における前記磁性粒子を吸引して供与する分注ユニットと、
前記ピペット先端部が前記容器から離間移動されたときに前記容器の上方に配置される検出デバイスとを具備し、
前記光源が前記容器を照らし、
前記液体中における前記磁性粒子の粒子分布を算出する制御ユニットを更に具備し、
前記制御ユニットが、前記検出デバイスによる前記粒子分布の測定内容に基づき、前記容器内に含まれた個別的な検査対象物であって無効である個別的な検査対象物を決定する、
分析システム。」

第4 原査定の理由の概要

本願請求項1ないし4(補正前の請求項10ないし15)に対する原査定の理由は以下の通りである。(なお、特許法第36条6項2号についての拒絶の理由は、対象となる請求項が削除されたものであり、省略する。)

この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例 国際公開第2009/129415号

引用例(特に1ページ12行-14行、38ページ28行-33行、及びそれらに関連する記載を参照。)には、固相粒子を含む懸濁物を液体に対して混合又は分離することを監視する方法において、容器を光源によって照らす段階(38ページ28行-33行)、光源によって照射された光を検出デバイスによって検出する段階とを含み、検出された光が液体中に存在する固相粒子の粒子分布に関連する方法が開示されている。
同文献には、検出デバイスの位置について明示的に記載されていないが、当該位置は当業者が発明の実施にあたり適宜設計し得た事項である。
そして、液体中における磁性粒子の粒子分布を算出する制御ユニットを更に具備する点、及び、制御ユニットが、検出デバイスによる粒子分布の測定内容に基づき、容器内に含まれた個別的な検査対象物であって無効である個別的な検査対象物を決定する点については、いずれも当業者が発明の実施にあたり適宜設計し得た事項である。

第5 当審の判断
1 引用例に記載の事項及び引用例に記載された発明
原査定で引用された引用例には、以下の記載がある。(下線は、当審にて付与した。)

(1)「The post separation operations described here involve primarily methods for releasing target species from magnetic particles that have been trapped in a trapping station or otherwise separated in a sorting station. In a typical scenario, at the end of a trapping operation, the only sample species that remain in the trapping region are bound to magnetic particles. For many applications, it is important to separate the captured species from the magnetic particles prior to further processing.」
(当審訳「分離後動作は、トラップ局に捕捉された又は他の方法で選別ステーション内で分離された磁性粒子から標的種を解除するための主に方法を含んでいる。典型的なシナリオでは、捕捉動作の最後に、トラッピング領域内にのみ残存サンプル種は、磁性粒子に結合している。多くの用途では、さらなる処理の前に磁性粒子から捕捉された化学種を分離するために重要である。」)

(2)「The depicted apparatus includes an on chip fluidic trapping station which receives a buffer solution 280 and a mixture of labeled and unlabeled sample species. The non- target species 281 are depicted as dark circles while the target species 282 are depicted as light circles. The target species are coupled to magnetic particles 283 which are shown as small dots. The fluidics trapping station includes upstream and downstream valves that can isolate the station so that no fluid enters or leaves the station during certain operations.
The depicted apparatus also includes two groups of external magnets (284 and 285), upper and lower arrays of alternating polarity permanent magnets. These arrays can move with respect to the trapping station with at least two degrees of freedom. First, they can move laterally along the direction of flow of the sample and buffer and second, they can move in an orthogonal direction, toward and away from upper and lower surfaces of the trapping station of the fruidics device. The two arrays of magnets may move independently of one another or coupled together dependently.」
(当審訳「上記装置は、緩衝液280を受けるチップ流体トラップ局と標識された、標識化されていないサンプル種の混合物を含む。標的種282は、円として描かれているが非標的種281は、黒丸として示されている。標的種は、小さなドットとして示されている磁性粒子283に結合される。流体が特定の動作中に自局に出入りするように流体トラップステーションは、ステーションを分離できない上流及び下流の弁を備えている。
上記装置は、極性を交互に変えた上下にあれ以上に並べた2つのグループの外部磁石(284、285)を含む。これらのアレイは、少なくとも二つの自由度でトラップ局に対して移動することができる。一つ目は、サンプルバッファの流れの方向に沿って横方向に移動できることであり、二つ目は、流体装置のトラップ局の上下面に対し直交する方向や、流体装置のトラップ局の上下面から離れるように移動できることである。二つの磁石のアレイは、互いに独立にまたは相互に依存して移動してもよい。」)

(3)「While a magnetic field or other capturing stimulus is applied to the trap features 325, the particles flowing into trap 301 are captured. After a sufficient number of particles are captured (which might be indicated by simply running a sample stream through device 305 for a defined period of time), valves 317 and 319 are closed. Thereafter, in one embodiment, valves 321 and 323 are opened, and a buffer is passed from line 311, through trap 301, and out line 313. This serves to wash the captured particles. After washing for a sufficient length of time, the washed particles may be recovered by eluting (by e.g., removing an external magnetic or electrical field while the buffer continues to flow), by pipetting from trap 301, by removing a lid or cover on the trap or the entire device, etc. Regarding the last option, note that in some embodiments the devices are disposable and can be designed so that the top portion or a cover is easily removed by, e.g., peeling. In any of these cases, the species may be released from their magnetic particle labels prior to further processing by one or more the techniques described above.」
(当審訳「磁場または他の取り込み刺激は、トラップ構造325を示したが、トラップ301内に流れる粒子が捕捉される。十分な数の粒子が捕捉される(定義された時間枠にわたって装置305を介してサンプルストリームを実行するだけで示すこともある)した後、バルブ317、319を閉じる。その後、一実施形態では、弁321と電磁弁323を開き、ライン311を介してトラップ301、及びアウトライン313から渡されたバッファである。捕捉粒子を洗浄するためのものである。十分な時間洗浄した後、洗浄した粒子は、閉じこめるか、あるいは装置全体に蓋又はカバーを除去することにより、トラップ301からピペットにより、溶離(例えば、バッファが常に流れ続け、外部磁界または電界を除去することによって)により回収し、などとすることができる。最後のオプションは、いくつかの実施形態では装置が使い捨てであり、頂部又は頂部カバーは、たとえば、剥離によって容易に除去されるように設計することができる。いずれの場合にも、化学種は、上述の1つ以上の技術によって更なる処理の前に、その磁性粒子標識から放出することができる。」)

(4)「In various applications envisaged for integrated microsystems it will be necessary to quantify the material present in a channel at one or more positions similar to conventional laboratory measurement processes. Techniques typically utilized for quantification include, but are not limited to, optical absorbance, refractive index changes, fluorescence emission, chemiluminescence, various forms of Raman spectroscopy, electrical conductometric measurements, impedance measurements (e.g., impedance cytometry) electrochemical amperiometric measurements, acoustic wave propagation measurements.
Optical absorbance measurements are commonly employed with conventional laboratory analysis systems because of the generality of the phenomenon in the UV portion of the electromagnetic spectrum. Optical absorbance is commonly determined by measuring the attenuation of impinging optical power as it passes through a known length of material to be quantified. Alternative approaches are possible with laser technology including photo acoustic and photo thermal techniques. Such measurements can be utilized with the integrated fluidics devices discussed here with the additional advantage of potentially integrating optical wave guides on microfabricated devices. The use of solid-state optical sources such as LEDs and diode lasers with and without frequency conversion elements would be attractive for reduction of system size.
Refractive index detectors have also been commonly used for quantification of flowing stream chemical analysis systems because of generality of the phenomenon but have typically been less sensitive than optical absorption. Laser based implementations of refractive index detection could provide adequate sensitivity in some situations and have advantages of simplicity. Fluorescence emission (or fluorescence detection) is an extremely sensitive detection technique and is commonly employed for the analysis of biological materials. This approach to detection has much relevance to miniature chemical analysis and synthesis devices because of the sensitivity of the technique and the small volumes that can be manipulated and analyzed (volumes in the picoliter range are feasible). For example, a 100 pL sample volume with 1 nM concentration of analyte would have only 60,000 analyte molecules to be processed and detected. There are several demonstrations in the literature of detecting a single molecule in solution by fluorescence detection. A laser source is often used as the excitation source for ultrasensitive measurements but conventional light sources such as rare gas discharge lamps and light emitting diodes (LEDs) are also used. The fluorescence emission can be detected by a photomultiplier tube, photodiode or other light sensor. An array detector such as a charge coupled device (CCD) detector can be used to image an analyte spatial distribution.」
(当審訳「集積マイクロシステムズの想定される様々な用途において、従来の実験室測定処理と同様の1つまたは複数の位置でチャネルに存在する材料を定量化する必要がある。定量化のために典型的に利用される技術は、これに限定されず、光吸収率、屈折率変化、蛍光発光、化学発光、種々のラマン分光法の中でも、電気導電率測定値、インピーダンス測定値(例えば、インピーダンスサイトメトリー)電気化学電流測定の測定値、音響波伝播測定が含まれる。
光吸収率の測定は、一般に電磁スペクトルのUV部分の現象の一般性のために、従来の実験室分析システムと共に使用される。材料の既知の長さを通過して定量化することと光学的吸収は、入射光強度の減衰を測定することによって決定されるのが一般的である。代替的アプローチはフォト音響熱技術を含むレーザ技術を用いて可能である。そのような測定は、微細加工素子上に光導波路を積分可能性の付加的な利点をここで検討された統合流体デバイスで利用することができる。周波数変換素子を用いて又は用いずにLEDやダイオードレーザーなどの固体光源を使用することによって、システム・サイズの減少のために魅力的である。
屈折率検出器は、典型的には光吸収よりも敏感ではないが、現象の一般化のため流れ化学分析システムの定量化のために通常使用されている。屈折率検出のレーザベースの実施態様は、いくつかの状況では十分な感度を提供し、簡略化できる点が利点である。蛍光放出(蛍光検出)は極めて敏感な検出技術であり、生物学的物質の分析のために一般に用いられる。検出に対するこのアプローチは、技術の感度や、操作及び分析可能な容量(ピコリットルの範囲内のボリュームが実行可能である)のために小型化学分析および合成装置と関連性を有する。例えば、1nmの分析物の濃度を100plのサンプル・ボリュームが処理され、検出すべき60,000検体分子のみを有することになる。蛍光検出により溶液中の単一分子を検出することは、文献によって、いくつか実証されている。レーザ源は、超高感度測定の励起光源として多用されている希ガス放電ランプや発光ダイオード(LED)のような従来の光源も使用されている。発光が光電子増倍管、フォトダイオード等の光センサで検出することができる。電荷結合素子(CCD)検出器のようなアレイ検出器は、分析物の空間分布を画像化するために使用することができる。」)

(5)


(6)上記(1)ないし(5)の記載を踏まえると、引用例から以下の点が理解される。
ア 上記(1)の記載より、「トラップ局」は、分離のためのデバイスである点が理解される。

イ 上記(2)より、「流体装置」の「トラップ局」は、上下面に対して直交する方向に移動できる外部磁石(284、285)を有している点が理解される。

ウ 上記(3)の「トラップ構造325」は、その機能から見て上記(2)の「トラップ局」に相当するものであると認められる。そうすると、「トラップ構造325」は、「トラップ301」内にあるから、「トラップ局」は、「トラップ301」内にある点が理解される。

エ 上記(4)には、「集積マイクロシステムズの想定される様々な用途において、従来の実験室測定処理と同様の1つまたは複数の位置でチャネルに存在する材料を定量化する必要がある。」と記載されており、「トラップ局」においても、材料を定量化する必要があることは、明らかであり、材料を定量化するために、「屈折率検出器は、現象の一般性のため流れ化学分析システムの定量化のために通常使用され」、該「屈折率検出器」の構成として、「レーザ源は、超高感度測定の励起光源として多用されている希ガス放電ランプや発光ダイオード(LED)のような従来の光源も使用されている。発光が光電子増倍管、フォトダイオード等の光センサで検出することができる。電荷結合素子(CCD)検出器のようなアレイ検出器は、分析物の空間分布を画像化するために使用することができる。」と記載されているから、「トラップ局」は、「光源」と分析物の空間分布を画像化する「アレイ検出器」を備えている点、及び、その結果によりチャネルに存在する材料を定量化する化学分析システムを有している点が理解される。

オ 上記(2)より、「トラップ局」は、流体中に磁性粒子を有している点が理解される。

カ 上記(3)より、「トラップ301」は、ピペットを有している点が理解される。

キ 上記アないしカを総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「上下面に対して直交する方向に移動できる外部磁石(284、285)を有している分離のためのデバイスであるトラップ局であって、
光源と分析物の空間分布を画像化するアレイ検出器を備えるトラップ局を有するトラップ301と
流体中に磁性粒子を有しているトラップ局と、
ピペットを有するトラップ301と、
を備えた流体装置であって
アレイ検出器の結果によりチャネルに存在する材料を定量化する化学分析システム」

2 対比
本願発明と引用発明とを比較する。

(1)引用発明の「外部磁石(284、285)」、「分離のためのデバイスであるトラップ局」及び「化学分析システム」は、それぞれ、本願発明の「磁石」、「分離デバイス」及び「分析システム」に相当する。

(2)引用発明の「トラップ301」は、「分離のためのデバイスであるトラップ局」を有しているから、本願発明の「分離ステーション」に相当するといえる。

(3)引用発明の「トラップ局」は、流体を有しているから容器であるといえる。そうすると、引用発明の「流体中に磁性粒子を有しているトラップ局」は、本願発明の「液体中における磁性粒子又は磁化可能な粒子を有する少なくとも1つの容器」に相当するといえる。

(4)引用発明の「アレイ検出器」は、本願発明の「検出デバイス」に相当する。

(5)引用発明の「アレイ検出器」が「分析物の空間分布を画像化する」には、「トラップ局」を照らしていなければならないことは明らかであるから、引用発明の光源は、「トラップ局」を照らしているから、引用発明の「光源」と、本願発明の「光源」とは、「容器を照らし」ている点で共通する。

(6)引用発明の「分析物の空間分布を画像化する」ことにより「材料を定量化」するためには、「制御ユニット」を有していなければならないことは明らかであり、引用発明の「分析物」は「粒子」であって、「空間分布を画像化する」ことは、「粒子分布を算出する」ことであるといえるから、引用発明の「化学分析システム」と、本願発明の「分析システム」とは、「粒子分布を算出する」「制御ユニット」を有している点共通する。

以上のことから、両発明は、

「垂直方向に移動され得る磁石を備えた分離デバイスであって、光源を備えた分離デバイスを有する分離ステーションと、
液体中における磁性粒子又は磁化可能な粒子を有する少なくとも1つの容器と、
検出デバイスとを具備し、
前記光源が前記容器を照らし、
前記液体中における粒子分布を算出する制御ユニットを更に具備する、
分析システム。」

で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明の「光源」は、複数備えているのに対し、引用発明の「光源」は複数であるか不明な点、

(相違点2)
本願発明の「容器」は、開放頂端部と閉塞底部とを有しているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点、

(相違点3)
本願発明は、「前記液体中における前記磁性粒子を吸引して供与する分注ユニット」を有しているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点、

(相違点4)
本願発明の「検出デバイス」は、「前記ピペット先端部が前記容器から離間移動されたときに前記容器の上方に配置される」のに対し、引用発明の「アレイ検出器」は、何処に配置されているのか特定されていない点、

(相違点5)
本願発明は、液体中における「磁性粒子」の粒子分布を算出しているのに対し、引用発明は、液体中における「分析物」の粒子分布を算出している点、

(相違点6)
本願発明は、「前記検出デバイスによる前記粒子分布の測定内容に基づき、前記容器内に含まれた個別的な検査対象物であって無効である個別的な検査対象物を決定」しているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点、

3 判断
(1)相違点5について
本願発明は、容器内の分離度合を測定するために、「磁気粒子」の粒子分布を測定するものである。それに対し、引用発明は、分析物を定量するために、「分析物」の粒子分布を測定するものである。すると、両者は、測定する目的及び測定対象物が相違していることとなる。そうすると、引用発明の粒子分布を測定する測定対象を、「分析物」から「磁性粒子」に構成を変更することは、測定する目的が相違する以上、動機付けがあるとはいえないから、当業者が容易に想到できたこととはいえない。

(2)相違点6について
検査対象物が無効であるか否かに関する決定を行う点は、引用例には記載も示唆もなく、引用発明における、測定は、分析物を定量するための測定であって、分析物の状態を測定するものでないから、引用発明において、検査対象物が無効であるか否かに関する決定行う事は、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。

(3)小括
上記(1)で検討したとおり、相違点5として指摘した、測定対象物を「分析物」から「磁気粒子」に変更することは当業者が容易に想到できたものではなく、例え、この点が容易に想到できたものであったとしても、相違点6である、検査対象物が無効であるか否かに関する決定行う事は、当業者が容易に想到できたことではないので、相違点1ないし4について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願の請求項2-4に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-14 
出願番号 特願2011-131272(P2011-131272)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
P 1 8・ 537- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北川 創東松 修太郎  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 福島 浩司
信田 昌男
発明の名称 混合段階及び分離段階の光学的な監視方法  
代理人 島田 哲郎  
代理人 大橋 康史  
代理人 前島 一夫  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 真二  

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