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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1321567
審判番号 不服2015-20944  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-25 
確定日 2016-11-29 
事件の表示 特願2011-148691「電子デバイス用パッケージの製造方法および電子デバイスの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年1月24日出願公開、特開2013-16659、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年7月4日の出願であって、平成26年6月23日付けで手続補正がなされ、同年11月11日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月16日付けで手続補正がなされたが、同年8月18日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年11月25日付けで拒絶査定不服の審判が請求され、同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年8月22日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月5日付けで手続補正がなされたものである。

第2 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
[A]本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第2の接合工程について、具体的な溶接の種類や溶加材(封止材)の有無について何ら特定されていない請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、請求項1及び当該請求項1の従属請求項である請求項2ないし10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、請求項11の記載についても同様であるから、請求項11及び当該請求項11の従属請求項である請求項12ないし13に係る発明も、発明の詳細な説明に記載したものでない。

[B]本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項12は、「電子デバイス」という物の発明であるが、「請求項11に記載の電子デバイスの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする」との記載は、製造方法の発明を引用する場合に該当するため、当該請求項12にはその物の製造方法が記載されているといえるが、本願明細書等には、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情について何ら記載がなく、当業者にとって当該事情が明らかであるとも言えない。
したがって、請求項12及び当該請求項12の従属請求項である請求項13に係る発明は明確でない。

2.当審拒絶理由の判断
(1)平成28年10月5日付けの手続補正によって、本願の請求項1における第2の接合工程は、「前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程」と補正され(なお、下線は審判請求人が付与した。)、エネルギー線溶接であることが特定されたので発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
また、請求項10(補正前の請求項11)についても、同様に補正され、エネルギー線溶接であることが特定されたので発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
よって、当審拒絶理由[A]は解消した。
(2)平成28年10月5日付けの手続補正によって、補正前の請求項12及び13は削除された。
よって、当審拒絶理由[B]は解消した。

第3 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成28年10月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は次の(1)に示すとおりのものであり、請求項10に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次の(2)に示すとおりのものである。

(1)「【請求項1】
ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイス用パッケージの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする電子デバイス用パッケージの製造方法。」
(2)「【請求項10】
ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイスの製造方法であって、
前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成された前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
前記内部空間に電子部品を収容する工程と、
平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが前記溝を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態および不活性ガス封入状態の少なくとも一方にして、前記溝をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。」

第4 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
現査定の理由は、平成27年1月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4、7ないし14に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項5及び6に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献2ないし4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献1.特開2008-153485号公報
引用文献2.特開平6-151620号公報
引用文献3.特開平7-122670号公報
引用文献4.特開2009-295780号公報

そして、平成26年11月11日付け拒絶理由通知書に記載された理由のうち、上記本願発明に関連する理由を摘記すると次のとおりである。
「引用文献1(段落0032?0036、図5、6参照)には、ベース部材と蓋部材との接合予定部位の一部をシーム溶接により接合した後、残部をエネルギー線溶接により接合することが記載されている。
ベース部材と蓋部材との接合予定部位の一部を接合するために、蓋部材に溝を形成することは、引用文献2(段落0012、図4参照)、引用文献3(段落0016、図1参照)等に記載のように周知技術である。」

2.原査定の理由の判断
(1)引用発明
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【0014】
図1及び図2は、本発明の実施形態が適用される電子部品の一例としての圧電デバイスを示しており、図1はその概略平面図、図2は図1のA-A線切断端面図である。
図において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、収容容器としてのパッケージ57内に(収容)部品としての圧電振動片32を収容している。パッケージ57は、例えば、図1および図2を参照して理解されるように、一方向にやや長い矩形の箱状のものである。
パッケージ57は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板54,55,56を順次積層した後、焼結して形成されている。第3の基板56は、その内側の材料を除去して所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間Sを形成するようにされている。この内部空間Sが圧電振動片32を収容するための収容空間である。」
イ.「【0025】
(電子部品(圧電デバイス)の製造方法)
次に、電子部品の製造方法の一例として、圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明する。
図3は、本実施形態の圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明するための簡単なフローチャートである。
(前工程)
圧電デバイス30の圧電振動片32と、パッケージ57と、蓋体40は、前工程としてそれぞれ別々に製造される(ST11)。
蓋体40は、既に説明したように、導通性の金属により形成される。本実施形態では、例えば、コバールの板体を所定の大きさに加工し、ニッケルメッキすることにより得られる。」
ウ.「【0029】
(実装(マウント)工程)
以上の前工程を実行した後で、完成した圧電振動片32の接合を行う。
具体的には、図2の各電極部31,31上に導電性接着剤43,43を塗布する(4箇所)。これらの上に図1に示すように、対応する支持用アーム61,62を載置し、軽く荷重をかける。
この状態で、ベルト炉などで加熱して導電性接着剤を硬化することにより(ST12)、圧電振動片32が接合される。」
エ.「【0031】
(蓋体溶接工程)
次にパッケージ57に蓋体40を接合する(ST13)。
図4は、蓋体の溶接手法を簡単に説明する図であり、パッケージ57内の圧電振動片の図示は省略されている。
図示されているように、パッケージ57の上に蓋体40が載置される。
パッケージ57と蓋体40の間には、金属ロウ材であるシームリング58が介在されている。
この状態で、蓋体40の一端部の両側には溶接電極となる一対の電極ローラ22,22を当てて、溶接電流を流す。そして、電極ローラ22,22を矢印方向に回転させながら、蓋体40の他端部まで転動させていく。この図では電極ローラ22,22は紙面の背後の方向に移動していく。これにより、各電極ローラ22,22からは、矢印方向(およびこれと逆方向)に溶接電流が印加され、その時の電気抵抗によるジュール熱により、シームリング58が溶融される。
これにより、蓋体40とパッケージ57の境界は、レーザ光だけによる溶接と比べると、全周にわたってムラなく溶接されるので、極めて高い気密シール性を得ることができる。
【0032】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、蓋体40の周縁の一部を残して、残り領域をパッケージ57に対してシーム溶接するようにしている。
つまり、部分的にシーム溶接をしない箇所を形成する。このようなシーム溶接しない箇所は、1箇所でも2箇所でもよく、それ以上でもよいが、あまり多いと、後の作業が煩雑になる。また、溶接されない箇所は、パッケージ57と外部とを通気できる程度に小さくすることが好ましい。
例えば、図5では、蓋体40の角部に対応したP1,P2の2箇所が、図4で説明した蓋体の溶接工程を終えても、シーム溶接されない箇所、すなわち未溶接箇所として残るようにされている。
【0033】
図6は、図5に示したような未溶接箇所を残す蓋体の溶接工程を実行するための手法のひとつを簡単に示した説明図である。
図において、電極ローラとしては、互いに平行に配置した一対の電極ローラ22-1,22-1を使用する。この場合、一方の電極ローラと他方の電極ローラは、矢印に示す進行方向に沿って、前後に少しずらして配置する。そうすると、開始端と終了端には、このずらし量に応じて未溶接箇所P1,P2ができる。
すなわち、進行方向に沿って、後に位置する電極ローラを開始端におけば、先行する電極ローラの該先行距離分だけ、未溶接箇所P1ができ、この先行する電極ローラが終端に達した際に、後ろの電極ローラの先には未溶接箇所P2が残る。このようにして、未溶接箇所P1,P2を作るのがきわめて容易である。
【0034】
図7は、未溶接箇所を残す蓋体の溶接工程を実行するための手法の他のひとつを簡単に示した説明図である。
電極ローラは一つでも一対でもよい。使用する電極ローラ22-2には、外周の一部を除去した切欠き部25を形成している。切欠き部25は1箇所が好ましい。そして、図4に説明したように、電極ローラ22-2の外周を蓋体40の上端部に当接させて転動させると、切欠き部25に対応した箇所では、蓋体40への当接が行われない。これによって、当該未当接箇所に未溶接箇所P3が容易に形成される。
【0035】
次に、溶接状態について、外観検査を行い(ST14)、気密チャンバーに移送される(ST15)。
ここで、蓋体溶接工程により蓋体40をシーム溶接したパッケージ57を、真空・加熱チャンバーなどに収容し、所定の温度プロファイルで加熱する(ST16)。
この熱によって、パッケージ57内面の水分や、導電性接着剤43の溶剤成分などが十分に気化する。この過程により生成したガスは、未溶接箇所P1,P2を介して外部に排出されることで、十分なガス出し、ないしは脱ガスがされ、パッケージ57内は、例えば、1×10-2Pa程度の高い真空度とされる。
【0036】
続いて、図5に示すように、未溶接箇所P1,P2に加熱ビームを照射して、封止を行う(ST17)。
ここで加熱ビームは、蓋体40の未溶接箇所に照射して、スポット的に加熱することにより、ロウ材であるシームリング58の対応箇所を溶融して、僅かな隙間を埋めるために用いられる。したがって、このような用途に適していれば、電子ビームやハロゲン光ビームなどなんでも使用できるが、ここでは、照射位置のコントロールが可能で、局所的に高いエネルギーを集中するのに適しているレーザによる光ビームを用いる。また、レーザ光ビームは、周波数調整などにも使用できる。」

ここで、上記ウの「溶接されない箇所は、パッケージ57と外部とを通気できる」という記載、及び、上記エの「この過程により生成したガスは、未溶接箇所P1,P2を介して外部に排出される」という記載からみて、内部空間と外部とは、未溶接箇所を介して連通している。したがって、上記アないしエの記載事項並びに図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「パッケージ57と蓋体40との間に圧電振動片32が収容される内部空間を形成し、前記パッケージ57と前記蓋体40とが接合された圧電デバイスの製造方法であって、
前記蓋体40及び前記パッケージ57を製造する工程と、
前記内部空間に前記圧電振動片32を接合する工程と、
前記蓋体40の周縁に一部分を除いて溶接電流を流して前記パッケージ57と前記蓋体40とをシーム溶接する工程であって、前記一部分は未溶接箇所として残るとともに、当該未溶接箇所を介して内部領域と外部は連通する工程と、
前記シーム溶接する工程の後に、前記内部空間を高い真空度にして、シーム溶接の未溶接箇所に加熱ビームを照射して封止を行う工程と、
を有する圧電デバイスの製造方法。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア.引用発明における「パッケージ57」、「蓋体40」は、本願発明における「ベース部材」、「蓋部材」にそれぞれ相当する。
イ.引用発明における「圧電振動片32」、「圧電デバイス」は、本願発明における「電子部品」、「電子デバイス」にそれぞれ相当する。
ウ.引用発明における「前記蓋体40及び前記パッケージ57を製造する工程」、「前記内部空間に前記圧電振動片32を接合する工程」は、本願発明における「前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程」、「前記内部空間に電子部品を収容する工程」にそれぞれ相当する。
エ.引用発明における「加熱ビームを照射して、封止を行う」ことは、本願発明における「エネルギー線溶接により塞ぐ」ことに相当し、その際に、引用発明において「高い真空度にして」いることは、本願発明において「減圧状態にして」いることに相当する。

そうすると、引用発明と本願発明とは、
「ベース部材と蓋部材との間に電子部品が収納される内部空間を形成し、前記ベース部材と前記蓋部材とが接合された電子デバイスの製造方法であって、
前記蓋部材、および前記ベース部材を用意する工程と、
前記内部空間に電子部品を収容する工程と、
平面視で前記蓋部材の外周に電流を流し、前記内部空間と外部とが未溶接部分を介して連通した状態を維持して、前記ベース部材の接合面と前記蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程の後、前記内部空間を減圧状態にして、前記未溶接部分をエネルギー線溶接により塞ぐ第2の接合工程と、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
ベース部材の接合面と蓋部材とをシーム溶接する第1の接合工程において、未溶接部分を残すために、本願発明においては、蓋部材に予め「前記ベース部材と接合される側の面に溝が形成され」ているとともに、シーム溶接する際に、「平面視で前記蓋部材の前記溝が形成された部分を含む外周に電流を流し」ているのに対して、引用発明においては、蓋部材にそのような溝が形成されておらず、シーム溶接する際に、蓋部材の外周に一部分を除いて溶接電流を流している、すなわち、蓋部材の外周の一部分に溶接電流を流していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献2には、蓋部材に相当するキャップに溝に相当する切り欠き部を設けることは記載されているが、そもそもシーム溶接を行うためのものではないし、未溶接部分として残すためのものでもない。
また、原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献3には、蓋部材に相当するキャップに溝に相当するスリットを設けることは記載されているが、上記引用文献2と同様にそもそもシーム溶接を行うためのものではないし、未溶接部分として残すためのものでもない。
以上のように、引用文献2及び引用文献3のいずれにもシーム溶接に関する技術は開示されておらず、シーム溶接の際に蓋部材に溝を設けることによって未溶接部分を残すという技術思想は記載も示唆もされていない。
また、引用発明は、シーム溶接する工程において、未溶接部分を残すために蓋部材の外周の一部分に溶接電流を流していないから、未溶接部分を残すための溝はそもそも不要であるし、溝ではない未溶接部分を介してガスが外部に排出されているから、ガスを排出するという機能面からみても溝にする必要性を把握することはできない。さらに、引用文献1には、一部分に溶接電流を流さないようにするために、一対の電極ローラを前後に少しずらして配置したり、電極ローラの外周に切欠き部を設けたりすることが記載されているが、それらの技術事項に対する課題についても何ら記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明に記載の蓋部材に、引用文献2又は引用文献3に記載されている溝を設ける動機付けはないと言わざるを得ない。
そして、本願発明は、蓋部材のベース部材と接合される側の面に溝を形成することによって、蓋部材の外周全体に対して溶接電流を流すことが可能となり、引用発明を実施する際のように、一対の電極ローラを前後に少しずらして配置したり、電極ローラの外周に切欠き部を設けたりする必要がないものである。
したがって、本願発明は、当業者が引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献4には、蓋部材に溝を形成することは何ら記載されていないから、本願発明は、当業者が引用文献1ないし4に記載された発明に基づいても容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本願の請求項1に係る発明は、本願発明から「前記内部空間に電子部品を収容する工程」を除いただけのものであるから、本願の請求項1に係る発明並びにその従属請求項である請求項2ないし9に係る発明も、本願発明についての判断と同様に、当業者が引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし10に係る発明は、当業者が引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-14 
出願番号 特願2011-148691(P2011-148691)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金田 孝之松田 直也  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 國分 直樹
井上 信一
発明の名称 電子デバイス用パッケージの製造方法および電子デバイスの製造方法  
代理人 増田 達哉  

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