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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21S
管理番号 1321837
審判番号 不服2015-15888  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-27 
確定日 2016-12-06 
事件の表示 特願2011- 49361号「導光体および照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日出願公開、特開2012-186081号、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月7日の出願であって、平成27年2月3日付けで拒絶理由が通知され、同年4月10日に意見書が提出され、同年6月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年8月27日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「光入射部と、
前記光入射部から入射した光を導光する導光部と、
を有し、
前記導光部は、透明樹脂に光散乱粒子が含有される光散乱導光部であり、
前記導光部を挟んで、前記導光部内の光を反射する第1の反射面と、前記導光部内の光を出射する光出射面とが配置され、
前記第1の反射面と前記光出射面との間隔は、前記光入射部からの距離が長くなるほど狭くなり、
前記光出射面には、前記導光部の側に反射面を向ける複数の反射面からなる第2の反射面が設けられ、
前記第2の反射面は、前記光入射部からの距離が長くなるほど、前記複数の反射面が設けられる密度が低くなる、
ことを特徴とする導光体。」

第3 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開2010-250974号公報(引用文献1)
刊行物2:特開2008-027886号公報(引用文献2)
刊行物3:特開平07-169311号公報(引用文献3)

引用文献2には、光出射面(放射面3A)には、導光部の側に反射面を向ける複数の反射面からなる反射面(放射側反射部6、10)が設けられ、前記第2の反射面は、光入射部からの距離が長くなるほど、前記複数の反射面が設けられる密度が低くなるようにし、光量の多い中央部分での光透過量を制限し外側の光透過量を増大させて、照明光の均一化を図ることが、記載されていると認められる([0063]?[0073]、図3、6等参照)。
引用文献2に記載の反射面(放射側反射部6、10)が、照明光の指向性をより向上させようとする技術思想を有するものではないにしても、照明光の均一化を図ることは、引用文献1に記載された導光体も当然に有する課題であるところ([0045]等参照)、当該引用文献1に記載された導光体に、照明光の更なる均一化のために、引用文献2に記載された光出射面に設けられた反射面の構造を適用し、本願請求項1に係る発明の事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たものである。
なお、反射を繰り返させ、光出射部から遠くなるほど光出射面に対する入射角を小さくさせ照明光に指向性を持たせるという作用に関し、必要があれば、引用文献3の[0066]?[0085]、図9等参照。

第4 当審の判断
1.刊行物の記載事項
(1)刊行物1の記載事項及び引用発明
刊行物1には、「発光装置」に用いられる「導光体」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与。以下同様。)。
ア.「【0017】
導光体11は、透明のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と略記する。)からなる樹脂成形体である。また、導光体11は、その中央部に配置される略円柱状の第1の導光部12と、その第1の導光部12の周囲に設けられ、外形が四角形状の第2の導光部13とが、2材成形により一体成形されたものである。なお、出射面2は、第1の導光部12の出射面2aと第2の導光部13の出射面2bとから形成されている。」
「【0059】
また、導光体11の形状・構造等は、適宜変更することができる。たとえば、第1の導光部12と第2の導光部13とは2材成形で一体化されているが、単なる一体成形によって導光体11を形成しても良い。・・・」
イ.「【0021】
第1の導光部12および第2の導光部13には、光散乱粒子(図示省略)が含有されている。その含有密度は、第1の導光部12の方が第2の導光部13よりも高い。この光散乱粒子は、粒子径が2μmから9μmの球状かつ透光性のシリコーン粒子である。このシリコーン粒子は、体積的に一様な散乱能が与えられた導光体であり、散乱微粒子としての球形粒子を多数含んでいる。導光体11の内部に光が入射すると、その光はシリコーン粒子によって散乱することになる。」
ウ.「【0022】
図2に示すように、保持体31は、樹脂の一体成形物であり、外形が扁平な四角柱形状であって一方の面側が完全に開口する開口部32となり、他方の面側がその中央部に円形の穴33を有する略容器状の形状をしている。保持体31の開口部32側の底面34は、その中央から端部へと進むに従い出射面2に近づく傾斜面となっている。そして、底面34には、第2の導光部13に導光された光を出射面2の方向に反射する白色シート(図示省略)が貼付されている。」
「【0052】
また、第2の導光部13と保持部材61の間には、第2の導光部13にて導光される光を反射して出射面から光を出射させる反射部材(光を反射する白色シート)が配置されている。しかし、この白色シートは必須の構成要素ではないため、省略することができる。また、白色シートに代えて、鏡面状のシート等とすることができる。また、発光装置1は、第2の導光部13の傾斜面20にプリズムを細かく形成し光を方向転換させることで、白色シートと同様の光の方向転換効果を得ることとしても良い。」
「【0039】
図7は、発光装置1における光路の一例を示す図で、光路L1,L2について説明する図である。LED52から発せられる光の一部は、凹部15から第1の導光部12に入射し、凹部14の出射面2aで全反射して第2の導光部13へと導光し、出射面2bにて全反射して傾斜面20へと到達する。ここで、傾斜面20は、出射面2bから全反射された光の照射角度が小さくなるように傾斜しているため、傾斜面20へは全反射臨界角以下の角度で光が照射する部分が生じる(光路L1)。その場合、その光は傾斜面20を通過して保持体31の底面34に貼付されている白色シート(図示省略)によって反射され、第2の導光部13を通過して出射面2bから出射する。また、傾斜面20への入射角が全反射臨界角を超えた入射角度の場合(光路L2)、傾斜面20で全反射して出射面2bへ向かい、出射面2bを通り抜けていく。また、第2の導光部13は光散乱粒子を含有しているため、光が光散乱作用によって散乱しながら出射面2bを通過して出射される光もある。すなわち、第2の導光部13にも光散乱粒子が入れられているので、光路L1,L2とは異なる光路を取り散乱しながら出射面2bを通過して出射される光も存在する。
【0040】
光路L3について説明する。LED52から発せられる光の一部は、凹部15から第1の導光部12に入射し、斜面17にて全反射し、そのまま凹部14の面を通過して出射面2aから出射される。また、第1の導光部12は、光散乱粒子を含有しているため、凹部15に入射した光が光散乱作用によって散乱して凹部14の面である出射面2aを通過して出射される光もある。以上のように、発光装置1は、第1の導光部12および第2の導光部13の略全体から略均等に光を出射する。」
エ.図2及び図7が記載されている。


以上より、刊行物1には、
「LED52から発せられる光の一部が入射する凹部15と、
前記凹部15から入射した光を導光する導光体11と、
を有し、
前記導光体11は、透明のポリメチルメタクリレートからなる樹脂成形体に光散乱粒子が含有されている導光体11であり、
前記導光体11を挟んで、導光された光を出射面2の方向に反射する、傾斜面20及び白色シートが貼付された底面34と、導光された光を出射する出射面2とが配置され、
前記傾斜面20及び白色シートが貼付された底面34は、その中央から端部へと進むに従い出射面2に近づく傾斜面となる、
導光体。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)刊行物2の記載事項
刊行物2には、
オ.「【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する光源と、
該光源からの光を伝搬してその放射方向の所定位置に放射面を有する光学的に透明な導光体と、
該導光体の前記放射面以外の面を閉鎖する無蓋のケーシングと、
該ケーシングと前記導光体の間の全体に設けられた内側反射手段と、
前記放射面に設けられ、前記光源からの光を所定の割合で反射させる放射側反射手段と、を具備する
ことを特徴とする面照明光源装置。」
カ.「【0054】
・・・
(第1の実施形態)
図2A,図2Bに、本実施形態の放射側反射部6を示す。この放射側反射部6は、例えば図2A, 図2Bに示すもので、光透過基板9の内側に、発光源2から前方に直進する光を所定の範囲で反射させる中央反射部6Aを有している。光透過基板9としては、例えばガラス板、アクリル樹脂等の透明度の高いプラスチック板を用いる。そして、この光透過基板9に、一様な反射透過膜をコーティングする。この反射透過膜としては、例えば酸化チタンや窒化マグネシウム等が用いられる。
【0055】
図2Cは、このコーティング膜の性質として、光の吸収が少なくかつ反射率Rを0%?50%と75%の場合の光の分布を示している。また、図2Dは、コーティング膜の性質として、光の吸収が少なくかつ反射率Rを98%?99.3%とした場合の光の分布を示している。
【0056】
図2Cによれば、反射率Rが0%?50%の場合、発光源2の真上の照度が局部的に高く、また、反射率Rが75%の場合、若干緩和されている。さらに、図2Dによれば、反射率Rを98%?99.3%とした場合、発光源2の周辺部A点において透過した光の分布はフラットな特性のものを得ることができる。しかし、中央部は明るいスポットが残る。
【0057】
図2Eは、図2Dの周辺部A点での透過した光の光量と反射率Rとの関係を示している。
この図2Eによれば、反射率Rが高くなるほど光量が増加していることがわかる。
【0058】
また、前述した明るいスポット光を有効に利用するために、中央反射部6Aを用いて、発光源2側により多くの光を反射させ、光の均一度を向上させることができる。ただし、あまり中央反射部6Aの反射率が高いと暗くなるために、中央反射部6Aは、多少の透過率を備えた光吸収の少ない部材を用いるのが良い。または、中央反射部6Aの中央部に小さな光透過部を形成し、あるいは膜を薄く形成して、光の均一度を高めるようにする。」
キ.「【0063】
・・・
(第2の実施形態)
図3(a)?(c)に、本実施形態の放射側反射部6を示す。
【0064】
図3(a)に示すように、この放射側反射部6は、導光体3に設けられた円形の中央反射部6Aと、この中央反射部6Aから外方に所定の間隔を空けて同心に配された複数のリング状の外方反射部6Bを具備する。これによって所定の間隔で外方光透過部7が形成される。さらに、中央反射部6Aは、放射面3Aに設けられた円形の反射板又は反射膜であり、外方反射部6Bは、円形の反射板又は反射膜から所定の間隔で、この反射板又は反射膜に同心に形成された環状の反射板又は反射膜である。
【0065】
また、本実施形態では、外方反射部6Bを構成する反射板又は反射膜の幅は、外側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている。これによって、光量の多い中央部分での光透過量を制限し、外側の光透過量を増大させることができるので、照明光の均一化をさらに図れるものである。」

そうすると、刊行物2には、
「放射面には、発光源2から前方に直進する光を所定の範囲で反射させる中央反射部6A、外方反射部6Bが設けられ、
外方反射部6Bを構成する反射板又は反射膜の幅は、外側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている、導光体3。」が記載されているといえる。

2.対比・判断
(1)対比
ア.引用発明の「LED52から発せられる光の一部が入射する凹部15」は本願発明の「光入射部」に相当し、以下同様に、「導光体11」は「導光部」及び「導光体」に、「透明のポリメチルメタクリレートからなる樹脂成形体」は「透明樹脂」に、「光散乱粒子が含有されている導光体11」は「光散乱粒子が含有される光散乱導光部」に、「導光された光を出射する」「出射面2」は「導光部内の光を出射する」「光出射面」にそれぞれ相当するといえる。
イ.本願明細書段落【0018】には「第1反射面7は、第1反射面7に入射した導光部5内の光を、導光部5内に反射させる反射面である。第1反射面7は、導光部5の側面5Bに、たとえば、アルミニウム等の金属の蒸着やメッキ処理を施したり、あるいは反射材を貼付することで形成することができる。また、側面5Bに直接反射面を形成する替わりに、側面5Bは光を透過可能にしておき、側面5Bの後方に第1反射面7としての反射鏡を配置する構成としてもよい。底面5Aは、光軸Xに対して直交する面に沿う面であるのに対し、側面5Bは、外方向が前方に傾斜している。すなわち、第1反射面7と光出射面6との間隔は、凹部4すなわち光軸Xからの距離が長くなるほど狭くなっている。」と記載されているから、本願発明の「第1の反射面」は、導光部5の側面5Bを透過した光を反射するように、側面5Bの後方に配置される反射部材(反射鏡)の構成を含み得ると解される。また、側面5Bを透過しない光は側面5Bを反射面として反射されることは技術常識に照らし明らかである。
ここで、引用発明における「白色シート」は、導光体11の傾斜面20の後方に配置され、傾斜面20を通過した光を反射する反射部材として機能することが明らかであるから(上記1.(1)ウ.エ.参照)、引用発明の「傾斜面20及び白色シートが貼付された底面34」は、本願発明の「第1の反射面」に相当するということができる。
また、引用発明の「傾斜面20及び白色シートが貼付された底面34」は、「その中央から端部へと進むに従い出射面2に近づく傾斜面となる」ものであるから、引用発明の「前記傾斜面20及び白色シートが貼付された底面34は、その中央から端部へと進むに従い出射面2に近づく傾斜面となる」は本願発明の「前記第1の反射面と前記光出射面との間隔は、前記光入射部からの距離が長くなるほど狭くなり」に相当するといえる。
以上によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
光入射部と、
前記光入射部から入射した光を導光する導光部と、
を有し、
前記導光部は、透明樹脂に光散乱粒子が含有される光散乱導光部であり、
前記導光部を挟んで、前記導光部内の光を反射する第1の反射面と、前記導光部内の光を出射する光出射面とが配置され、
前記第1の反射面と前記光出射面との間隔は、前記光入射部からの距離が長くなるほど狭くなる導光体。
<相違点>
本願発明は「前記光出射面には、前記導光部の側に反射面を向ける複数の反射面からなる第2の反射面が設けられ、
前記第2の反射面は、前記光入射部からの距離が長くなるほど、前記複数の反射面が設けられる密度が低くなる」構成を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
刊行物2には、上記1(2)のとおり、「放射面には、発光源2から前方に直進する光を所定の範囲で反射させる中央反射部6A、外方反射部6Bが設けられ、
外方反射部6Bを構成する反射板又は反射膜の幅は、外側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている、導光体3。」が記載されているといえる(以下「刊行物2の技術的事項」という。)。
ここで、刊行物2の技術的事項の「放射面」は本願発明の「光出射面」に相当し、以下同様に「導光体3」は「導光部」及び「導光体」に相当するといえる。
また、刊行物2の技術的事項の「外方反射部6Bを構成する反射板又は反射膜の幅は、外側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている」との事項は、これにより内側の放射面の光透過量を制限し、外側の光透過量を増大させることができるであるから(上記1.(2)キ.【0065】参照)、内側よりも外側の反射部の密度を低くすることと実質的に同じことといえる。そうすると、引用発明の上記事項は、本願発明の「前記光入射部からの距離が長くなるほど、前記複数の反射面が設けられる密度が低くなる」という構成の限度で一致するといえる。
しかしながら、刊行物2の技術的事項の少なくとも「中央反射部6A」は、以下に述べるとおり、本願発明の「第2の反射面」に相当するとはいえない。
刊行物2の技術的事項の「中央反射部6A」は、「発光源2から前方に直進する光を所定の範囲で反射させる」ものであるところ、刊行物2には、「光透過基板9の内側に、発光源2から前方に直進する光を所定の範囲で反射させる中央反射部6Aを有している。…そして、この光透過基板9に、一様な反射透過膜をコーティングする」との記載(上記1.(2)キ.【0054】参照)、及び「中央反射部6Aの反射率が高いと暗くなるために、中央反射部6Aは、多少の透過率を備えた光吸収の少ない部材を用いる」との記載(上記1.(2)キ.【0058】参照)があることから、刊行物2の技術的事項の「中央反射部6A」は、入射する光の一部が透過することを前提とする反射部であることが理解できる。
これに対し本願発明の「第2の反射面」は、本願明細書の「第2反射面8は、第2反射面8に入射した導光部5内の光を、導光部5内に反射させる反射面である。…光出射面6のうち、第2反射面8が形成されていない部分、すなわち、隣接する反射面8Aと反射面8Aとの間は、導光部5内の光を導光部5の前方側に出射することができる光出射部10として形成されている。」(【0019】参照)、「第2反射面8は、導光部5の光出射面6に、たとえば、アルミニウム等の金属の蒸着やメッキ処理を施したり、あるいは反射材を貼付することで形成することができる。また、光出射面6に直接反射面を形成する替わりに、光出射面6の前方に第2反射面8としての反射鏡を配置する構成としてもよい。」(【0020】参照)、及び「LED3から出射した光は、第2反射面8と第1反射面7との間で反射を繰り返す」との記載(【0043】)にみられるように、そこに入射する光が透過しないことを前提とする反射部であると解される。
そうすると、入射する光が透過することを前提としない本願発明の「第2の反射面」と透過することを前提とする引用発明の「中央反射部6A」とが相当関係にあるということはできない。
したがって、刊行物2の技術的事項は上記相違点に係る本願発明の構成を充足しないといえるから、引用発明に刊行物2の技術的事項を適用しても上記相違点に係る本願発明の構成に至らないことは明らかである。
また、引用発明の導光体11は、上記1.(1)ウ.【0040】に「…発光装置1は、第1の導光部12および第2の導光部13の略全体から略均等に光を出射する」と記載されているように、第1及び第2の導光部からなる導光体11の略全体から略均等に光を出射するように、その形状・構造等について最適に設計されていると解されるところ、これに刊行物2の技術的事項の「中央反射部6A,外方反射部6B」を適用すると、本来であれば光を出射すべき出射面に入射した光が当該反射部により再度導光体内に反射されてしまい、結果的に略均等に光を出射できなくなるということになるから、そもそも引用発明に刊行物2の技術的事項を適用する動機付けは存在しないということもできる。
そして、本願発明は、引用発明及び刊行物2の技術的事項から予測できない「面照明光でありながら一層の指向性を持たせることができると共に、照明エリア内の照度の一層の均一化を図ることができる導光体と照明装置を提供することができる。」との作用効果を奏するものといえる。
なお、刊行物3にも、上記相違点に係る本願発明の構成は記載も示唆もされていない(上記第3のなお書き参照)。
以上によれば、本願発明は、引用発明、刊行物2の技術的事項、及び刊行物3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願の請求項2ないし6に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、引用発明、刊行物2の技術的事項、及び刊行物3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし6に係る発明は、いずれも、当業者が引用発明、刊行物2の技術的事項、及び刊行物3の記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-22 
出願番号 特願2011-49361(P2011-49361)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F21S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 太田 良隆  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 和田 雄二
尾崎 和寛
発明の名称 導光体および照明装置  
代理人 アイアット国際特許業務法人  
代理人 アイアット国際特許業務法人  

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