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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1321857
審判番号 不服2015-19064  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-22 
確定日 2016-12-06 
事件の表示 特願2014- 57325「データ生成装置および画像生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日出願公開、特開2015-179480、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成26年3月20日の出願であって、平成27年3月18日付けで手続補正がなされ、平成27年4月22日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成27年7月6日付けで手続補正がなされたが、平成27年7月21日(起案日)付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成27年10月22日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたが、その後当審において、平成28年7月14日(起案日)付けで最初の拒絶理由が通知され、それに応答して平成28年9月20日付けで手続補正がなされたものである。

第2.本願の特許請求の範囲に係る発明
本願の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、平成28年9月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】
課金に応じてユーザを撮影して画像を生成する画像生成装置において生成された複数の画像から上記ユーザが1年以内に上記画像生成装置を利用して生成された画像を少なくとも1枚抽出する抽出部と、
上記抽出部が抽出した画像に対して加工処理を施す加工部と、
上記加工部が加工処理を施した画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成部と、を備え、
上記生成部は、上記画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像を構成するフレーム画像を用いて、上記順次表示用データを生成するとともに、
上記フレーム画像は、合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成された画像であることを特徴とするデータ生成装置。

【請求項2】
上記加工処理は、動画効果付加処理、フィルタリング処理および人物抽出処理の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ生成装置。

【請求項3】
上記動画効果付加処理は、上記複数の画像に対して、動画像のような動きを付加する処理である、
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ生成装置。

【請求項4】
上記動画効果付加処理は、画像を徐々に拡大するズームイン動画効果、画像を徐々に縮小するズームアウト動画効果、および、画像を所定の方向に移動させるパン動画効果の少なくとも何れかの効果を付加する処理である、
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ生成装置。

【請求項5】
上記抽出部は、上記ユーザと一緒に写っている他のユーザが同じである画像を抽出する、
ことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載のデータ生成装置。

【請求項6】
上記生成部は、上記順次表示用データに音楽データを付加する、
ことを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載のデータ生成装置。

【請求項7】
上記加工部は、上記複数の画像に対して、各画像を徐々に変化させる加工処理を施す、
ことを特徴とする請求項1?6の何れか1項に記載のデータ生成装置。

【請求項8】
課金に応じてユーザを撮影して画像を生成する画像生成装置において生成された複数の画像から上記ユーザが1年以内に上記画像生成装置を利用して生成された画像を少なくとも1枚抽出する工程と、
上記抽出する工程において抽出された画像に対して加工処理を施す加工工程と、
上記加工工程において加工処理が施された画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成工程と、を含み、
上記生成工程では、上記画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像を構成するフレーム画像を用いて、上記順次表示用データを生成するとともに、
上記フレーム画像は、合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成された画像であることを特徴とする画像生成方法。

第3.原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
本願の平成27年7月6日付け手続補正による請求項1ないし9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1ないし5,9について
引用文献1,2,4,5

・請求項6ないし8について
引用文献1ないし5

記(引用文献)
引用文献1:特開2009-213002号公報
引用文献2:特開2006-236218号公報
引用文献3:特開2011-205279号公報
引用文献4:特開2002-027157号公報
引用文献5:特開2002-342790号公報

2.原査定の理由の判断
2-1.本願発明1について
(1)本願発明1
本願発明1は、上記第2の請求項1に記載した事項により特定される次のとおりのものである。
なお、本願発明1の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。

(本願発明1)
(A)課金に応じてユーザを撮影して画像を生成する画像生成装置において生成された複数の画像から上記ユーザが1年以内に上記画像生成装置を利用して生成された画像を少なくとも1枚抽出する抽出部と、
(B)上記抽出部が抽出した画像に対して加工処理を施す加工部と、
(C)上記加工部が加工処理を施した画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成部と、を備え、
(D)上記生成部は、上記画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像を構成するフレーム画像を用いて、上記順次表示用データを生成するとともに、
(E)上記フレーム画像は、合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成された画像である
(F)ことを特徴とするデータ生成装置。

(2)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2009-213002号公報には、「携帯電話の待受画像配信システムおよび待受画像配信方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0027】
<画像合成装置としての写真シール払出機の構成>
本実施形態では、画像合成装置としての写真シール払出機1およびセンタ装置150(後述する)により、携帯電話の携帯電話の待受画像配信システムが構成されており、まず写真シール払出機1の構成について説明する。
【0028】
図1および図2に示すように、本実施形態における写真シール払出機1は、機器本体3と装置本体1の前方に配設された横断面コ字状の背景幕部5とにより構成されており、背景幕部5の上部は矩形枠状の連結部材7等により機器本体3の上部と連結され、この背景幕部5と機器本体3との間の左右の開放部分は、内部への出入口としてカーテン(図示せず)により開閉自在に閉塞され、機器本体3と背景幕部5との間に複数人の遊技者を収容可能な撮影ブース11が形成され、この撮影ブース11内で撮影モードの一連の処理が実行されるようになっている。なお、背景幕部5には複数色の背景幕が選択設置可能に設けられ、撮影の際に利用者が自分の好みに合った背景色の幕を選べるようになっている。

【0038】
図3に示すように、コントローラ部100は、予め設定されたプログラムを実行するCPU101、このCPU101が実行するプログラム等を保持するROM及び各種データを一時記憶するRAM等からなるメモリ部102、各種画像データ等を保存記憶するハードディスク(HD)装置やレーザディスク装置等の大容量記憶装置103、遊技時間等を計測するタイマ部104、遊技料金に相当するコイン投入を検出するコイン投入検出部105、撮影制御処理部106、落書き制御処理部107、印刷出力部108、インターネット等のネットワークと接続してデータの送受信等を制御する通信制御部109等を備える。なお、PHS等の通信手段110が通信制御部109に接続されて画像送信手段を構成している。

【0040】
また、落書き制御処理部107は、落書きパネル23の表示やタッチペン24による落書き、各種操作ボタンによる落書きのスタンプやシールの選択等を受け付けて被写体画像に編集画像を重畳描画した複数の合成画像を形成し、印刷出力部108を制御してプリンタ26により複数の合成画像をシール台紙に所定の印刷パターンにより印刷するなど、編集手段として落書きプレイの各種制御処理を行なう。
【0041】
さらに、落書き制御処理部107は、上記したようにして形成された複数の合成画像を、後述する画像データベースに記憶保存するための制御も行なう。すなわち、落書きパネル23に「合成画像をサーバーに送信するか」などのメッセージを表示し、遊技者に対して複数の合成画像を後述する画像データベースに記憶保存する意志があるかどうかを問い合わせ、「保存する」場合には、当該遊技者の固有の属性情報としてメールアドレス、パスワードや識別記号(ID)の入力を要求する画面として、タッチペン24等を用いたパスワードや識別記号の入力画面を落書きパネル23に表示し、通信制御部109および通信手段110を制御して入力された当該遊技者に固有のメールアドレス、パスワード、識別記号等の属性情報とともに複数の合成画像を後述するデータベースサーバーに送信する制御も行なう。

【0043】
図4に示すように、写真シール払出機1から送信されてくる画像データやその他の情報はセンタ装置150により画像データベースに保存されるようになっており、写真シール払出機1の通信制御部109により通信手段110、通信網であるインターネット113を介してセンタ装置150とコントローラ部100とが接続されると、画像データベース152を管理するデータベースサーバー154の受信手段として機能により、遊技者の作成による複数の合成画像が当該遊技者の属性情報とともに受信され、画像データベース152の当該遊技者の属性情報毎にアドレス(記憶場所)が割り振られ、割り振られた画像データベース152のアドレスに、受信した複数の合成画像および属性情報が1組の保存画像として記憶されるようになっている。

【0045】
また、携帯電話MBによりインターネット113を介してサーバー154にアクセスされ、画像データベース152からの所定の保存画像の読み出しとその配信要求があると、受付手段であるユーザ受付部160によりその要求が受け付けられる。その際、配信要求を発した携帯電話MBの使用者に対して、ユーザ受付部160から属性情報(メールアドレス、パスワード、IDなど)の入力送信が要求され、これに応じて携帯電話MBから属性情報が送信されてくると、照合部158により登録部156の登録情報との照合が行なわれ、すでに登録済みの属性情報であるか否かのユーザ認証が行なわれる。なお、ユーザ認証の結果、登録済みのユーザであると判断されると、データベースサーバー154お読出手段としての機能により、画像データベース152の当該属性情報に対応するアドレスに格納されている保存画像が読み出される。このとき、読み出された保存画像は、以下で説明するような加工が施される前に、携帯電話MBに送信されて表示画面に一覧表示され、携帯電話MBの使用者の確認に供される。
【0046】
一方、上記したユーザ認証の結果、正規の登録済みユーザであれば、読み出した保存画像をどのようなフラッシュアニメーションのパターンに加工するかの問い合わせがユーザ受付部160により携帯電話MBの使用者になされる。このとき、例えば保存画像が4枚の合成画像A,B,C,Dからなる場合、フラッシュアニメーションパターンとして、図5(a)?(d)に示すように、携帯電話MBの表示画面中、小さく表示される4枚の合成画像A?Dが1つずつ順番に大きく表示されるコラージュパターン、図6に示すように、4枚の合成画像A?Dが携帯電話MBの表示画面に頁めくりのように順番に大きく表示されるスライドパターン、図7に示すように、瞬く星や大きさが変わるハートマークや動くキャラクタ画像などの動画を含むフレーム画像FGに保存画像(図7では合成画像A)を静止画として嵌め込んで表示するアニメーションパターンのうち、いずれかを選択指定するようにユーザ受付部160により携帯電話MBの使用者に要求が発せられ、これに応じて携帯電話MBの使用者が所望のパターンを選択指定すると、処理手段であるデータ処理部162により、読み出した保存画像が指定したパターンで表示されるように処理され、応答送信手段であるデータ送信処理部164の制御により、インターネット113を介して携帯電話MBに送信されるようになっている。
【0047】
なお、図7に示すアニメーションパターンの変形例(請求項5に対応)として、フレーム画像FGを複数種類準備し、これらのフレーム画像FGをデータ処理部162の内部または外部に設けたフレーム登録手段(図7には図示せず)に予め登録しておき、フラッシュアニメーションパターンとしてアニメーションパターンが選択されたときに、どのフレーム画像FGを選択してどの合成画像と組み合わせるかの問い合わせを、ユーザ受付部160により携帯電話MBの使用者に行ない、データ処理部162により、選択指定されたフレーム画像FGに指定の合成画像を静止画として嵌め込む処理を行なって、データ送信処理部164の制御により、インターネット113を介して携帯電話MBに送信するようにしてもよい。
【0048】
また、上記したコラージュパターン、スライドパターン、アニメーションパターンを組み合わせる処理を行なってもよい。さらに、アニメーションパターンでは、携帯電話MBの使用時、例えば携帯電話MBが携帯するときは二つ折りで使用するときに広げるタイプの場合に、使用時に動画を含むフレーム画像FGの動画が変化したり、フレーム画像FGの色が変わったりする処理を行なってもよく、これらフレーム画像FGの変化や色の変化を、携帯電話の電池残量や電波の受信強度、時刻などに応じて適宜生成するような処理をしてもよい。

(3)引用文献1に記載された発明及び技術事項
(3-1)引用文献1に記載された発明
a.写真シール払出機及びセンタ装置
引用文献1の段落【0027】,【0028】,【0038】,【0040】,【0041】,【0043】の記載によれば、引用文献1には、遊戯料金を徴収して、遊戯者を撮影し、その被写体画像に落書き等の編集画像を重畳描画した合成画像を形成し、そのようにして形成された複数の合成画像をセンタ装置へ送信する写真シール払出機と、写真シール払出機1から送信されてくる画像データを画像データベースに保存するセンタ装置が記載されている。
すなわち、引用文献1記載のセンタ装置は、遊戯料金を徴収して、遊戯者を撮影し、その被写体画像に落書き等の編集画像を重畳描画した合成画像を形成する写真シール払出機から、その写真シール払出機において形成された複数の合成画像を受信して保存する画像データベースを有している。

b.センタ装置の構成
引用文献1の段落【0045】,【0046】の記載によれば、引用文献1のセンタ装置は、携帯電話により画像データベースからの所定の保存画像の読み出しとその配信要求があると、データベースサーバーの読出手段としての機能により、画像データベースの保存画像が読み出される。
そして、読み出した保存画像をどのようなフラッシュアニメーションのパターンに加工するかの問い合わせが携帯電話の使用者になされ、携帯電話の使用者が所望のパターンを選択指定すると、処理手段であるデータ処理部により、読み出した保存画像が指定したパターンで表示されるように処理される。
ここで、フラッシュアニメーションパターンとしては、小さく表示される4枚の合成画像A?Dが1つずつ順番に大きく表示されるコラージュパターン、4枚の合成画像A?Dが頁めくりのように順番に大きく表示されるスライドパターンなどがある。
これらのことから、引用文献1記載のセンタ装置は、画像データベースの複数の保存画像を読み出す読出手段としてデータベースサーバーと、読み出した複数の保存画像を指定したフラッシュアニメーション、例えば、小さく表示される4枚の合成画像が1つずつ順番に大きく表示されるコラージュパターン、4枚の合成画像が頁めくりのように順番に大きく表示されるスライドパターンなどのパターンで表示されるように処理する処理手段であるデータ処理部を有している。

c.まとめ
上記a.及びb.で認定した事項をまとめると、引用文献1には、次の発明(以下、引用発明1という。)が記載されていると認められる。

(引用発明1)
(a)遊戯料金を徴収して、遊戯者を撮影し、その被写体画像に落書き等の編集画像を重畳描画した合成画像を形成する写真シール払出機から、その写真シール払出機において形成された複数の合成画像を受信して保存する画像データベースを有し、その画像データベースの複数の保存画像を読み出す読出手段としての機能を有するデータベースサーバーと、
(b)読み出した複数の保存画像を指定したフラッシュアニメーション、例えば、小さく表示される4枚の合成画像が1つずつ順番に大きく表示されるコラージュパターン、4枚の合成画像が頁めくりのように順番に大きく表示されるスライドパターンなどのパターンで表示されるように処理する処理手段であるデータ処理部と、
(c)を備えたセンタ装置。

(3-2)引用文献1に記載された技術事項
引用文献1の段落【0047】,【0048】の記載によれば、引用文献1には、『動画を含むフレーム画像に指定の合成画像を静止画として嵌め込む処理を行う技術』が記載されている。

(4)引用文献2ないし5に記載された技術事項
(4-1)引用文献2に記載された技術事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2である特開2006-236218号公報には、「電子アルバム表示システム、電子アルバム表示方法、及び電子アルバム表示プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る電子アルバム表示システム10の一例を示す。電子アルバム表示システム10は、電子アルバム再生部20、及び画像表示部30を備え、電子アルバムに含まれる複数の画像を表示して、鑑賞者(40a、40b、・・・。以下40と表記)に鑑賞させる。例えば、電子アルバム表示システム10は、当該複数の画像を、所謂スライドショーとして、予め定められた時間間隔で切り替えつつ順次表示してよい。

【0020】
本発明の実施形態に係る電子アルバム表示システム10は、鑑賞者40である人物或いは人物の組み合わせに基づいて、電子アルバム再生部20が格納している複数の画像の中から、鑑賞者40が鑑賞したいと所望する画像を、精度よく自動的に選択して、スライドショーとして表示することを目的とする。

【0048】
続いて、グループ選択部270は、複数のグループのそれぞれについて検出された人物の組み合わせと、鑑賞者40である人物の組み合わせとに基づいて、当該複数のグループの中から、画像表示部30によって表示されるべき画像が分類されているグループを選択する(S1050)。例えば、グループ選択部270は、複数のグループの中から、グループ検出部230により検出された人物の組み合わせが、鑑賞者検出部260により検出された組み合わせに含まれるすべての人物を含むグループを、表示されるべき画像が分類されているグループとして選択してよい。これにより、表示すべき画像が分類されているグループとして、鑑賞者40であるすべての人物が含まれる組み合わせが検出されたグループを選択することができるので、鑑賞者40の何れもが満足できるスライドショーを表示することができる。

【0051】
例えば、画像選択部280は、選択されたグループに分類されている画像の中から、画像に含まれるすべての人物が、鑑賞者検出部260により検出された、鑑賞者40である人物の組み合わせに含まれている画像を、表示されるべき画像として選択してよい。つまり、電子アルバム表示システム10によれば、鑑賞者40である人物の組み合わせには含まれていない人物を含む画像を除外して、表示すべき画像を選択することができる。これにより、例えば、恋人同士で撮像した画像といった、画像に含まれる人物間の関係がよりプライベートである画像を、画像に含まれる人物のうち少なくとも一部の人物が鑑賞者40に含まれていない場合には、表示すべき画像として選択することなく、スライドショーを表示することができる。従って、電子アルバム表示システム10によれば、鑑賞者40のプライバシーに配慮した、鑑賞者40にとって、より満足度の高いスライドショーを表示することができる。

これらの記載によれば、引用文献2には、『電子アルバム表示システムにおいて、格納している複数の画像の中から鑑賞者であるすべての人物が含まれる組み合わせの画像を精度よく自動的に選択してスライドショーを表示する技術』が記載されている。

(4-2)引用文献3に記載された技術事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3である特開2011-205279号公報には、「情報システム、情報処理方法、およびプログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0011】
情報システム10を利用する場合に、ユーザは、情報システム10に動画ファイルをアップロードする。アップロードとは、ユーザのコンピュータから、情報システム10へのデータ転送をいう。より具体的には、ユーザは、情報システム10が提供するウェブページのアップロード受付機能を利用して動画ファイルを情報システム10に転送する。なお、ユーザは、デジタルコンテンツを編集する編集者と考えることができる。

【0013】
次に、情報システム10は、受け付けた設定にしたがって、動画ファイルから、種々の素材を抽出する。例えば、情報システム10は、動画を構成する画像フレームに対応する1枚以上の静止画を抽出する。また、情報システム10は、動画ファイルの再生区間の一部を切り出した部分区間で再生される動画ファイルを作成する。あるいは、情報システム10は、動画ファイルから、再生区間の一部または全部に含まれる音声データを抽出する。

【0015】
情報システム10は、例えば、静止画を含むフォトアルバムを作成し、ウェブサイトに掲載する。また、情報システム10は、部分区間で再生される動画ファイルを用いて、動画コンテンツ(ムービーともいう)を掲載する。また、情報システム10は、動画ファイルから抽出した音声データ、あるいは音データを用いて着信メロディ音(着メロともいう)、音声メール(ボイスメールともいう)を生成する。また、情報システム10は、動画ファイルから抽出した静止画を組み合わせて、Flashファイルを作成する。Flashファイルは、複数の静止画と、静止画を加工して画像効果(イフェクトとも呼ばれる)を発生させるプログラムとを組み合わせたファイルである。また、情報システム10は、動画ファイルから抽出した静止画を組み合わせて、携帯電話などの通信機器の待ち受け画面、情報機器の画面の背景となる壁紙などを生成する。また、情報システム10は、動画ファイルから抽出した素材を用いて、それぞれのユーザに独自の構成で情報を提供する情報提供サービスのテンプレートを作成する。さらに、情報システム10は、動画ファイルから抽出した素材を用いて、それぞれのユーザが発信する電子メール用の装飾データのテンプレートを作成する。ここで、情報提供サービスとは、ユーザの生活スタイル、現在の状況などを検出し、ユーザの生活スタイル、現在の状況などに合わせた情報を提供するサービスなどをいう。

これらの記載によれば、引用文献3には、『情報システムにアップロードされた動画ファイルから、動画を構成する画像フレームに対応する1枚以上の静止画を抽出し、抽出した静止画を組み合わせ、静止画を加工して、Flashファイルを作成する技術』が記載されている。

(4-3)引用文献4に記載された技術事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4である特開2002-27157号公報には、「サービス・プロバイダへデジタル画像を転送するためのシステムおよびカメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル画像を転送するための装置およびシステムに関する。より詳しくは、通信ネットワークを介してサービス・プロバイダにデジタルカメラで捕捉した画像を転送するための装置およびシステムに関する。

【0031】インターフェース接続342を使ってデジタルカメラ12を通信装置20に接続すると、デジタルカメラ12のプロセッサ320と通信装置20のマイクロプロセッサ80が協力してDPOFファイル412(図7参照)とDPOFファイルによってレンダリングしたサブディレクトリ422からの適切な画像をサービス・プロバイダ22に転送する。通信装置20は通信装置の一種で、通信ネットワーク24を介してサービス・プロバイダ22と通信するよう設計する。図1に示す実施例では、通信ネットワーク24は電話回線からなる。しかしながら、通信装置は、図2を参照して説明するように、ワイヤレスネットワークを含む他のタイプの通信ネットワークを利用できることが理解される。サービス・プロバイダ22は、この特定の実施例では、プリント26、デジタル画像ファイルを保存した画像CD28、フォトアルバム、マグ、Tシャツその他パーソナル画像を組み込んだアイテムである該当する商品および/またはサービスを作成する。そして注文された商品またはサービスを顧客に返されまたは提供することができる。商品の場合、これらは例えば郵便システムによって顧客に配送される。

【0047】ステップ62において装置の送信が完了すると、緑の表示ライト34が作動する。ステップ64で、サービス・プロバイダ22への送信の成功後、サブディレクトリ430のExif画像ファイルからのサムネイル画像(図7参照)が、将来、追加プリントを注文できるよう、適切な名前をつけたサムネイルファイルとしてサブディレクトリ440に転送される。デジタル画像ファイルは、サービス取り決めに応じて、一定期間(1年間等)または無限にサービス・プロバイダ22によって保持される。サブディレクトリ430のフル解像度画像ファイルとDPOFファイル412はリムーバブルメモリ16から削除されるため、カメラ12が使用するリムーバブルメモリ16に入っているメモリの大半がフリーになる。あるいは、ユーザに削除されるまで、デジタル画像ファイルと関連データをメモリカードに保持することができる。

これらの記載によれば、引用文献4には、『デジタルカメラで捕捉した画像をサービス・プロバイダに転送し、サービス取り決めに応じて、一定期間(1年間等)または無限に保持する技術』が記載されている。

(4-4)引用文献5に記載された技術事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5である特開2002-342790号公報には、「電子ショップの提供方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0007】会員登録1は、Webによるサービス利用者の登録を行うためのページである。新着情報2は、Webサイトに新しく登録されたコンテンツなどの情報をサービス利用者に紹介するためのページである。製品情報3は、サービス利用者にカメラなどの製品を紹介するページである。サービス・サポート4は、製品ユーザから寄せられた質問、およびその質問に対する回答などをサービス利用者に紹介するページである。オンラインアルバム5は、サービス利用者に電子画像データを扱うサービスを提供するページである。たとえば、オンラインアルバム5では、サービス利用者が撮影した画像データを無料で所定容量になるまで蓄積したり、蓄積した画像データの中からサービス利用者が選択した画像データを高詳細にプリントアウトして配送可能にするなどのサービスを提供する。オンラインショップ6は、サービス利用者に商品を販売するページである。コミュニティ7は、サービス利用者同士のコミュニケーションの場を提供するページである。たとえば、コミュニティ7では、質問を持つサービス利用者が質問を掲載し、質問に対する回答を知っているサービス利用者が回答を掲載するような掲示板機能などを提供する。

【0143】アルバム用のデータ格納領域のメモリサイズ(記憶容量)は、たとえば、1利用者当たり50Mバイト、有効期間(使用期間)を1年とする。このメモリサイズおよび有効期間は、上述したように、顧客登録したサービス利用者に対してメモリサイズを通常より大きく、有効期間を通常より長くするように適宜優遇措置が行われる。

これらの記載によれば、引用文献5には、『サービス利用者が撮影した画像データを無料で所定容量になるまで蓄積するサービスを提供するオンラインアルバムにおいて、アルバム用のデータ格納領域のメモリサイズ(記憶容量)を、1利用者当たり50Mバイト、有効期間(使用期間)を1年とする技術』が記載されている。

(5)前置報告書において提示された文献に記載された技術事項
(5-1)国際公開第2004/073300号(以下、引用文献6という。)に記載された技術事項
前置報告書において提示された引用文献6には、「動画像合成装置、動画像合成方法、及び動画像合成機能付き情報端末装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

本発明は、入力される動画像データに対して、グラフィックス画像データ等の合成用画像データをリアルタイムに合成して(すなわち、「動画オーバレイ」又は「アニメーションオーバレイ」して)合成動画像データを生成する動画像合成装置及び動画像合成方法、並びに、テレビ電話装置等のような動画像合成機能付き情報端末装置に関するものである。
(明細書第1頁第6行?第10行)

また、図1に示されるように、動画像合成装置100は、合成用データ記憶部3と、合成制御部4と、画像合成部5とを有している。合成制御部4と画像合成部5は、動画像データG1Gに合成用画像データG2Gを合成する(すなわち、「動画オーバーレイ」する)ための処理を行う合成処理部20を構成している。動画像合成装置100は、例えば、半導集積回路により構成されている。
撮像部1は、例えば、カメラであり、動画像データG1G及びこれに付随する動画像制御信号G1Cを含むビデオ信号G1を生成する。生成されたビデオ信号G1は、実際に画像表示されるデータ部分である動画像データG1Gと、制御データ部分である動画像制御信号G1Cとに分けられ、動画像合成装置100に入力される。また、動画像制御信号G1Cは、CPU6にも入力される。
(明細書第3頁第21行?第4頁第1行)

これらの記載によれば、引用文献6には、『テレビ電話装置において、撮像部が生成する動画像データに対して、グラフィックス画像データ等の合成用画像データをリアルタイムに合成して(すなわち、「動画オーバレイ」又は「アニメーションオーバレイ」して)合成動画像データを生成する技術』が記載されている。

(5-2)特開2002-223389号公報(以下、引用文献7という。)に記載された技術事項
前置報告書において提示された引用文献7には、「動画像合成装置及び方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画像と静止画像とを合成する動画像合成装置及び方法に関し、特に、ビデオカメラの映像とビデオカメラ内で加工された静止画像とを合成する動画像合成装置及び方法に関する。

【0021】次に、画像処理部20は、専用メモリ21に保存された静止画像を基に、上述したように設定された動作パターンに必要な枚数分の静止画を加工生成する。加工生成された静止画は、動画パターン用静止画群として、専用メモリ21に書き込まれる。
【0022】ここまでの処理が終了すると、静止画マイコン11は、準備完了を指示する信号を操作マイコン10に供給する。ビデオカメラの使用者がスイッチ、ダイアル等によって画像合成の開始及び終了等を指定すると、操作マイコン10は、画像処理部20に命令信号を送る。この命令信号により、画像処理部20は、専用メモリ21から順に読み出した静止画像信号とビデオカメラからの映像信号とをリアルタイムに比較し、両者を合成して合成画像信号として出力する。画像処理部20における静止画の加工生成及びビデオカメラからの映像信号との合成については、後で詳述する。

これらの記載によれば、引用文献7には、『ビデオカメラにおいて、動画像と加工された動画パターン用静止画群とを合成する技術』が記載されている。

(6)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

a.本願発明1の構成(A)と引用発明1の構成(a)との対比
引用発明1の「遊戯料金を徴収して、遊戯者を撮影し、その被写体画像に落書き等の編集画像を重畳描画した合成画像を形成する写真シール払出機」は、遊戯者は写真シール払出機のユーザであるから、本願発明1の「課金に応じてユーザを撮影して画像を生成する画像生成装置」に相当する。
引用発明1は、「写真シール払出機において形成された複数の合成画像を受信して保存する画像データベースを有し、その画像データベースの複数の保存画像を読み出す読出手段としての機能を有するデータベースサーバー」を備えており、これは、本願発明1の「上記ユーザ」が「画像生成装置において生成された複数の画像から少なくとも1枚抽出する抽出部」に相当する。
ただし、本願発明1の抽出部は、「1年以内に上記画像生成装置を利用して生成された画像」を抽出するものであるのに対し、引用発明1の読出手段としての機能を有するデータベースサーバーは、そのような機能は特定されていない点で両者は相違する。

b.本願発明1の構成(B)及び(C)と引用発明1の構成(b)との対比
引用発明1が備える「データ処理部」は、「読み出した複数の保存画像を指定したフラッシュアニメーション、例えば、小さく表示される4枚の合成画像が1つずつ順番に大きく表示されるコラージュパターン、4枚の合成画像が頁めくりのように順番に大きく表示されるスライドパターンなどのパターンで表示されるように処理する処理手段」であり、この処理は、4枚の保存画像を加工し、4枚の加工された保存画像を順次表示する合成画像を生成する処理といえる。
そして、合成画像は本願発明1の「順次表示用データ」に相当する。
以上のことから、引用発明1の「データ処理部」は、本願発明1の「上記抽出部が抽出した画像に対して加工処理を施す加工部」と「上記加工部が加工処理を施した画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成部」に相当するものといえる。

c.本願発明1の構成(D)及び(E)について
引用発明1は、本願発明1の構成(D)及び(E)に相当する構成を備えていない点で、本願発明1と相違する。

d.本願発明1の構成(F)と引用発明1の構成(c)との対比
引用発明1の「センタ装置」は、本願発明1とは、上記a.及びc.で認定した相違点を有するものの、上記a.及びb.で認定したように抽出部、加工部、生成部を備えた装置である点で本願発明1の「データ生成装置」に相当する。

e.まとめ
上述した対比結果をまとめると、本願発明1と引用発明1との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
課金に応じてユーザを撮影して画像を生成する画像生成装置において生成された複数の画像から上記ユーザが上記画像生成装置を利用して生成された画像を少なくとも1枚抽出する抽出部と、
上記抽出部が抽出した画像に対して加工処理を施す加工部と、
上記加工部が加工処理を施した画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成部と、を備え、
ことを特徴とするデータ生成装置。

[相違点1]
本願発明1の抽出部は、「1年以内に上記画像生成装置を利用して生成された画像」を抽出するものであるのに対し、引用発明1の読出手段としての機能を有するデータベースサーバーは、そのような機能は特定されていない点。

[相違点2]
引用発明1は、本願発明1の「上記生成部は、上記画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像を構成するフレーム画像を用いて、上記順次表示用データを生成するとともに、上記フレーム画像は、合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成された画像である」という構成を備えていない点。

(7)相違点についての判断
a.相違点1について
ユーザが生成する画像を保存するサーバ装置において、画像の保存期間に制限を設けることは慣用技術(上記(4-3)で認定した引用文献4記載の技術、(4-4)で認定した引用文献5記載の技術を参照のこと)であり、その際には、サーバ装置から抽出する画像が保存期間内の画像となることは当然のことである。
よって、引用発明1に上記慣用技術を適用し、センタ装置が保存する画像を、写真シール払出機から1年以内に受信した画像、すなわち、遊戯者が1年以内に写真シール払出機を利用して生成した画像に制限し、相違点1に係る構成を導くことは、当業者が容易になし得ることである。

b.相違点2について
相違点2に係る構成は、生成部が順次表示用データを生成するために用いる画像は、画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像を構成するフレーム画像であること、及び、そのフレーム画像は、合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成された画像であることを特定するものである。

ここで、当該構成を説明する本願明細書の段落【0208】の「また、編集部12は、動画像に対する編集処理において、さらに動画像(合成用動画像)を合成する編集処理を施してもよい。この場合には、例えば、動画像を構成する所定の枚数のフレーム画像のうち、合成用動画像を構成する最初のフレーム画像(1枚目のフレーム画像)を合成するフレーム画像から順に、合成用動画像を構成するフレームが合成される。これにより、編集部12は、動画像に対してさらに動画像を合成する合成処理を施すことができる。」、及び、段落【0212】の「この場合には、管理サーバ4は、写真シール作成装置1から、ユーザを撮影した動画像を取得すると共に、取得した動画像を画像データベース424に格納している。そして、抽出部442は、画像データベース424から動画像を抽出すると共に、当該抽出した動画像を構成する何れかのフレーム画像を、所定の枚数の画像のうちの1枚として抽出する。」との記載を参酌すれば、相違点2に係る構成が特定する技術事項は、『生成部』は、『画像生成装置がユーザを撮影して生成した動画像に合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成されて生成された動画像から抽出される、その動画像を構成するフレーム画像を用いて、順次表示用データを生成する』というものと認められる。

上記(4-2)で認定したように、引用文献3には、動画像から抽出される、その動画像を構成するフレーム画像を組み合わせて、動きのある表示用データを生成する技術が記載され、上記(3-2)及び(5)で認定したように、引用文献1、引用文献6、引用文献7には、動画像データに、合成用動画像のフレーム画像をさらに合成する技術が記載されており、それぞれの要素技術は公知であるといえるものの、それらの技術を組み合わせた『動画像に合成用動画像を構成するフレーム画像がさらに合成されて生成された動画像から抽出される、その動画像を構成するフレーム画像を用いて、順次表示用データを生成する』ことは示唆されておらず、さらに、その元となる動画像が『画像生成装置がユーザを撮影して生成した』動画像であること、すなわち、引用発明1の写真シール払出機が動画像を生成し、その動画像を元に合成画像を生成することは、上記各引用文献記載の技術から、当業者が容易に到達し得るものとはいえない。

よって、相違点2に係る構成は、引用文献1ないし引用文献7に記載される技術に基づいて、当業者が容易になし得ることとはいえない。

(8)小括
以上のとおり、本願発明1は、引用発明1及び引用文献1ないし引用文献7に記載される技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2-2.本願発明2ないし8について
本願発明2ないし7は、請求項1を直接的または間接的に引用する発明であり、本願発明8は、本願発明1の「データ生成装置」の物の発明を「画像生成方法」の方法の発明としたものであって、本願発明1と同様の発明特定事項を有するものである。
よって、本願発明2ないし8は、本願発明1と同様に引用発明1及び引用文献1ないし引用文献7に記載される技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第4.当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



本件明細書の発明の詳細な説明には、加工部が、抽出部により抽出された画像に対して加工処理を施すことは記載されているものの、「生成部が、抽出部により抽出された画像に対して加工処理が施すこと」は記載されていない。
また、加工部が、抽出部により抽出された画像に対して加工処理を施す場合には、生成部は、加工部により加工処理が施された画像を用いて順次表示する順次表示用データを生成するのであって、「生成部が、抽出部により抽出された画像を用いて順次表示する順次表示用データを生成すること」は記載されていない。
以上のように、請求項1に係る発明の「上記抽出部が抽出した画像を順次表示する順次表示用データを生成する生成部」という事項と、「上記生成部は、上記抽出部が抽出した画像に対して、加工処理を施す」という事項は、発明の詳細な説明に記載されていない事項である。
また、請求項2ないし8についても同様である。

2.当審拒絶理由の判断
平成28年9月20日付けの手続補正書によって、請求項1及び請求項8において、「抽出された画像に対して加工処理を施すこと」、また、「順次表示用データを生成する」ために用いる画像は、「加工処理を施した画像」であることを規定した。
それにより、請求項1ないし8は、発明の詳細な説明に記載されたものとなり、当審拒絶理由は解消した。

第5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし8に係る発明は、原査定の拒絶理由によっては拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-22 
出願番号 特願2014-57325(P2014-57325)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06T)
P 1 8・ 121- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村松 貴士  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 冨田 高史
清水 正一
発明の名称 データ生成装置および画像生成方法  
代理人 村上 尚  

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