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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1321884
審判番号 不服2016-6524  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-02 
確定日 2016-12-06 
事件の表示 特願2013-272485「通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 9日出願公開、特開2015-127846、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月27日の出願であって、平成28年1月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年5月2日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年5月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「所定の範囲内の任意の位置に存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニットと、
サーバと、
を備える通信システムであって、
上記サーバは、
上記近距離無線通信ユニットにより上記通信機器が検出された場合に、当該近距離無線通信ユニットが設置されている場所を特定する場所特定情報と、当該場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報と、を取得する取得手段と、
上記近距離無線通信ユニットにより上記通信機器が検出されてから所定の期間が経過するまでの間に、上記検出された通信機器に対して、上記場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置であって上記装置特定情報に基づいて特定された画像生成装置でゲームをすることをユーザに促す通知情報を送信する送信手段と、を備えている、
ことを特徴とする通信システム。」(下線は補正箇所を示す。)とする補正(以下、「補正事項」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
本件補正の補正事項は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「画像生成装置」について、「場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)引用文献・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2013-97568号公報(以下、「引用文献」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。
a.「【0025】
本発明の一実施形態に係るソーシャルネットワークサービス(SNS)システムについて図面を参照しながら説明すれば以下の通りである。
【0026】
本実施形態に係るSNSシステムは、業種の異なる複数の実店舗に設置されている機器(特許請求の範囲の「機器」に対応、以下では「設置機器」とも称する)と、各機器と通信可能に接続され、実店舗の訪問者が参加可能なSNSを運営するSNSサーバ(特許請求の範囲の「サーバ」に対応)と、を含んでいる。
【0027】
図1は本実施形態に係るSNSシステム1の全体構成を概略的に示したブロック図である。図1に示すように、本実施形態では、アミューズメント施設、衣料品店、ドラッグストアおよび飲食店を上記業種の例として用いている。業種はこれらに限らず、たとえばカラオケ店、居酒屋、またはスポーツジムなどであってもよい。
【0028】
アミューズメント施設の各店舗には、上記設置機器として写真シール機および遊技機の少なくとも一方の機材が1台以上設置されている。各写真シール機および各遊技機は、非接触式ICカード(携帯物)および非接触式ICチップを搭載した携帯端末(携帯物)での決済、情報入力、または情報取得に対応している。
【0029】
衣料品店、ドラッグストアおよび飲食店の各店舗には、上記設置機器として、非接触式ICカード等で決済可能なレジが設置されている。また、上記設置機器として、決済以外の目的のため、個人を特定する情報(メールアドレス等)を取得するための機器が設置されていてもよい。たとえば飲食店のテーブルにそのような機器が設置されたり、または、カラオケ店ではカラオケをするための端末がそのような機器を兼ねている。
【0030】
上記非接触式ICカードは、SNSシステム1の利用契約を結んでいる各店舗において訪問者に発行されるカードである。非接触式ICカードの発行を希望する訪問者が発行に必要な個人情報(年齢、メールアドレス等)を店舗に提示すると、訪問者はシステム1のユーザとして登録される。すなわち、ICチップ内に訪問者の個人情報が登録された非接触式ICカードが訪問者に対して発行され、SNSサーバが備える個人情報テーブルに個人情報と発行された非接触式ICカードのカードIDとが登録される。
【0031】
また、携帯端末に個人情報を入力することでSNSシステム1にユーザ登録することも可能である。ユーザ登録がされると、SNSサーバが備える個人情報テーブルに個人情報が登録され、携帯端末のICチップ内にも個人情報が記録される。」

b.「【0063】
(SNSシステム1の動作について)
次に、写真シール機10Aで決済のために、携帯端末を300をICカード読取部11に近接させた場合におけるSNSシステム1の動作について図5を参照しながら以下に説明する。図5は、本実施形態に係るSNSシステム1の動作を示すアクティビティ図である。
【0064】
図5に示すように、遊戯者が携帯端末300を写真シール機10AのICカード読取部11に近接させると、ICカード読取部11は、近接通信部320内の非接触ICチップに登録されている遊戯者の個人情報(端末ID、メールアドレス等)を読み取る(S2)。端末IDは、遊技者を識別するための情報(訪問者識別情報)である。所定の長さの検知期間(一定期間)が満了する(S3において〔検知期間満了〕)まで、他の遊戯者が自身の携帯端末300をICカード読取部11に近接させると度にS2の処理が行われる。例えば、検知期間が満了するまでに、3人の友人同士が各自の携帯端末300をICカード読取部11に近接させると、メールアドレス等の個人情報が3人分、読み取られる。
【0065】
検知期間が満了した後、写真シールの作成(S4)が完了すると、制御部14Aは、S2にて読み取られた各人の個人情報を互いに関連づけて、通信部13を介してSNSサーバ100に送信する(S5)。さらには、各人の店舗における行動に応じた行動情報も、個人情報と共に送信する。ここでいう行動情報は、写真シールの作成時における遊技者の行動である。たとえば、写真シールの作成のために選択された撮影コース、または、合成用画像のジャンル等である。さらには、写真シール機そのものに関する情報、つまり機種名、機種ID、設置店舗名、または営業時間等も、行動情報の一種である。
【0066】
会員登録部120は、通信部150を介して各個人情報と行動情報とを受信する(S6)。次に会員登録部120は、会員管理テーブルを参照することによって、個人情報が読み取られた各遊戯者がSNSのユーザとして登録されているか否かを確認する(S8)。具体的には、各遊戯者を識別する情報が、会員管理テーブルに記録されている場合は、その遊技者は会員登録されていると判断する。
【0067】
いずれかの遊戯者がユーザ登録されていないと判定された場合(S7において〔ユーザ登録されていない人がいる〕)、会員登録部120は、ユーザ登録されていない遊戯者のメールアドレス宛てに会員登録手続き用のメールを送信する(S8)。
【0068】
S8の後、遊戯者が所有する携帯端末300は、携帯無線通信部340を介してS8にて送信されたメールを受信する(S9)。制御部350は、SNSの会員登録用の送信ボタンが押下されると、携帯無線通信部340を介して、遊戯者によって携帯端末330上で入力された会員登録用の個人情報をSNSサーバ100に送信する(S10)。なお、会員登録用サイトのURLは、S9にて受信したメールの本文に記載されている。
【0069】
S10の後、会員登録部120は、携帯端末300から送信された会員登録用の個人情報を用いて、図6に示す会員管理テーブルに遊戯者の情報を登録する。その際、端末ID、ユーザ名、およびメールアドレスを少なくとも登録する。その後、処理はS13に進む。
【0070】
一方、全遊戯者がユーザ登録されていると判定された場合(S7において〔各人がユーザ登録されている〕)、会員登録部120は、その旨をグループ作成部130に通知する。グループ作成部130は、各遊戯者からなるグループが存在するか否かを判定する(S12)。具体的には、会員管理テーブルにおいて各遊技者の所属グループ情報を確認し、各遊技者に同じ所属グループ情報がある場合、各遊技者からなるグループが存在すると判定する。そうでない場合は、各遊技者からなるグループは存在しないと判定する。
【0071】
各遊技者からなるグループは存在しないと判定された場合(S13において〔該当グループが存在しない〕)、グループ作成部130は、各遊戯者のメールアドレス宛てにグループ登録手続き用のメールを送信する(S13)。なお、SNSサーバ100は、会員登録用メールの送信後、一定時間が経過しても、ユーザの会員登録が完了しない場合(ユーザからの会員登録用の個人情報を受信できない場合)は、S12の処理を実行する。
【0072】
S13の後、各遊戯者が所有する携帯端末300は、携帯無線通信部340を介して、S13にて送信されたメールを受信する(S14)。各携帯端末300は、メールの本文に記載されているグループ登録手続き用URLへのアクセス指示を受け付けると、携帯無線通信部340を介して当該URLのリクエストをSNSサーバ100に送信する(S15)。
【0073】
S15の後、グループ作成部130は、各携帯端末300からリクエストを受け付けた場合に、各遊戯者から構成される新規グループを作成する(S16)。具体的には、新たなグループのID(番号)を、図6に示す会員管理テーブルにおける各遊技者(ユーザ)の所属グループ情報として登録する。また、このグループに関する情報を、図7に示すグループ管理テーブルに登録する。このとき、グループ作成部130は、グループを作成したことを示す記述を含むメールを、各遊技者の各メールアドレス宛てに送信してもよい。これにより、新たなグループが作成された事実を各遊技者が失念せずに済む。
【0074】
グループ作成部130は、グループに関する情報をグループ管理テーブルに登録する際、少なくともそのグループのIDを登録する。さらに、グループの行動情報に基づき、グループ名や特性等を登録することもできる。たとえば行動情報の一つとして実店舗が居酒屋であることを示す情報を受信した場合、グループ名を「飲み友達」とし、さらに特性を「飲食店」として登録する。実店舗がチケット売り場であり、行動情報が、プロレスのチケットを購入したことを示す情報である場合、グループ名を「格闘技」とし、特性を「プロレス」として登録する。なお、グループ名および特定は、そのグループに所属するいずれかの遊技者が、後日、SNS上において設定してもよい。
【0075】
一方、各遊戯者で構成されるグループが存在すると判定された場合(S12において〔該当グループが存在する〕)、グループ作成部130は、グループの行動履歴情報を管理する履歴テーブルを更新する(S17)。このテーブルは、グループの行動情報を行動履歴情報として蓄積しているテーブルである。グループ作成部130は、通信部150から受け取った行動情報を、グループの行動履歴情報の一部として新たに履歴テーブルに追加する。
【0076】
次に、推薦部140は、グループの履歴テーブルを解析して、グループ管理テーブルを更新する。具体的には、グループの行動履歴の一つとして記録されている「場所」に関する情報を解析することによって、もっとも記録数の多い場所を特定する。そして、その場所をそのグループの「出現頻度の高い場所」として、グループ管理テーブルに登録する。さらに、一定期間あたりのグループの行動履歴の数を算出することによって、そのグループが行動する頻度を特定する。そして、その頻度をそのグループの「所属ユーザ同士が遊ぶ頻度」として、グループ管理テーブルに登録する。
【0077】
推薦部140は、グループ管理テーブルに登録されている、グループに関する情報を解析することで、当該グループに属する各遊戯者へのお奨め店舗情報を導出するとともにお奨め店舗情報の記述が含まれるメールを当該遊戯者のメールアドレス宛てに送信する(S18)。具体的には、まず、グループ管理テーブルから、グループに関する情報を抽出する。その際、「出現頻度の高い場所」、「所属ユーザ同士が遊ぶ頻度」、または「特性」などを抽出する。そして、これらの情報にマッチする店舗を、図示しない店舗管理テーブルから特定し、その店舗に関する情報をお奨め店舗情報として導出する。この店舗管理テーブルには、各店舗の設置場所、店舗で販売されている商品または提供されているサービスの詳細、および営業時間帯等の、店舗情報が記録されている。推薦部140は、抽出したグループ情報と一致する店舗情報を持つ店舗を、お奨めの店舗として特定する。たとえばグループIDが「1」のグループに対しては、渋谷に設置されている店舗が、お奨めの店舗である。したがって推薦部140は、このグループに属する各遊技者に対して、渋谷にある店舗をお奨めの店舗として導出する。
【0078】
以上説明したS18の処理の後、各遊戯者の携帯端末300は、当該遊戯者へのお奨め情報の記述が含まれるメールを受信し(S19)、処理を終了する。お奨め情報としては、たとえばお奨めの店舗が発行するクーポンに関する情報があるが、これに限られるものではない。」

上記記載によれば、SNSシステムについて次のことがいえる。
(A)【0064】の「遊戯者が携帯端末300を写真シール機10AのICカード読取部11に近接させると、ICカード読取部11は、近接通信部320内の非接触ICチップに登録されている遊戯者の個人情報(端末ID、メールアドレス等)を読み取る(S2)。」の記載によれば、SNSシステムは、携帯端末の非接触ICチップに登録されている遊戯者の個人情報を読み取るICカード読取部を備えている。
(B)「遊戯者が所有する携帯端末300は、携帯無線通信部340を介してS8にて送信されたメールを受信する(S9)。制御部350は、SNSの会員登録用の送信ボタンが押下されると、携帯無線通信部340を介して、遊戯者によって携帯端末330上で入力された会員登録用の個人情報をSNSサーバ100に送信する(S10)。」の記載によればSNSシステムは、SNSサーバを備えている。
(C)【0065】の「検知期間が満了した後、写真シールの作成(S4)が完了すると、制御部14Aは、S2にて読み取られた各人の個人情報を互いに関連づけて、通信部13を介してSNSサーバ100に送信する(S5)。さらには、各人の店舗における行動に応じた行動情報も、個人情報と共に送信する。ここでいう行動情報は、写真シールの作成時における遊技者の行動である。たとえば、写真シールの作成のために選択された撮影コース、または、合成用画像のジャンル等である。さらには、写真シール機そのものに関する情報、つまり機種名、機種ID、設置店舗名、または営業時間等も、行動情報の一種である。」の記載及び【0066】の「会員登録部120は、通信部150を介して各個人情報と行動情報とを受信する(S6)。」の記載によれば、SNSサーバは、携帯端末300から読み取った遊戯者の個人情報及び写真シール機の機種名、機種IDを含む行動情報を受信する会員登録部を備えている。
そして、【0075】の「各遊戯者で構成されるグループが存在すると判定された場合(S12において〔該当グループが存在する〕)、グループ作成部130は、グループの行動履歴情報を管理する履歴テーブルを更新する(S17)。このテーブルは、グループの行動情報を行動履歴情報として蓄積しているテーブルである。グループ作成部130は、通信部150から受け取った行動情報を、グループの行動履歴情報の一部として新たに履歴テーブルに追加する。」、【0076】の「次に、推薦部140は、グループの履歴テーブルを解析して、グループ管理テーブルを更新する。具体的には、グループの行動履歴の一つとして記録されている「場所」に関する情報を解析することによって、もっとも記録数の多い場所を特定する。そして、その場所をそのグループの「出現頻度の高い場所」として、グループ管理テーブルに登録する。さらに、一定期間あたりのグループの行動履歴の数を算出することによって、そのグループが行動する頻度を特定する。そして、その頻度をそのグループの「所属ユーザ同士が遊ぶ頻度」として、グループ管理テーブルに登録する」の記載によれば、受信する行動情報には、遊戯者が写真シールを作成した写真シール機の場所に関する情報が含まれるものである。
(D)【0077】の「推薦部140は、グループ管理テーブルに登録されている、グループに関する情報を解析することで、当該グループに属する各遊戯者へのお奨め店舗情報を導出するとともにお奨め店舗情報の記述が含まれるメールを当該遊戯者のメールアドレス宛てに送信する(S18)。」の記載によれば、SNSサーバは、お奨め店舗情報の記述が含まれるメールを当該遊戯者のメールアドレス宛てに送信する推薦部を備えている。

したがって、引用文献には、について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「携帯端末の非接触ICチップに登録されている遊戯者の個人情報を読み取るICカード読取部と、
SNSサーバとを備えるSNSシステムであって、
前記SNSサーバは、
携帯端末から読み取った遊戯者の個人情報及び写真シール機の機種名、機種ID、写真シール機の場所に関する情報を含む行動情報を受信する会員登録部と、
お奨め店舗情報の記述が含まれるメールを当該遊戯者のメールアドレス宛てに送信する推薦部とを備えているSNSシステム。」

(2)対比
補正発明1と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「携帯端末」は、補正発明1の「通信装置」に相当する。
イ.引用発明の「携帯端末の非接触ICチップに登録されている遊戯者の個人情報を読み取るICカード読取部」は、補正発明1の「所定の範囲内の任意の位置に存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニット」と「存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニット」である点では共通するといえる。
ウ.引用発明の「SNSサーバ」は、補正発明1の「サーバ」に相当する。
エ.上記ア.?ウ.によれば、引用発明の「SNSシステム」は、補正発明1の「所定の範囲内の任意の位置に存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニットと、サーバと、を備える通信システム」と、「存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニットと、サーバと、を備える通信システム」である点では共通する。
オ.引用発明の「写真シール機」は、補正発明1の「画像生成装置」に相当する。
カ・引用発明の「携帯端末から読み取った遊戯者の個人情報及び写真シール機の機種名、機種ID、写真シール機の場所に関する情報を含む行動情報を受信する会員登録部」は、補正発明1の「上記近距離無線通信ユニットにより上記通信機器が検出された場合に、当該近距離無線通信ユニットが設置されている場所を特定する場所特定情報と、当該場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報と、を取得する取得手段」と、「上記無線通信ユニットにより上記通信機器が検出された場合に、当該無線通信ユニットが設置されている場所に関する情報と、設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報と、を取得する取得手段」である点では共通する。
キ.引用発明の「お奨め店舗情報の記述が含まれるメールを当該遊戯者のメールアドレス宛てに送信する推薦部」は、補正発明1の「上記近距離無線通信ユニットにより上記通信機器が検出されてから所定の期間が経過するまでの間に、上記検出された通信機器に対して、上記場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置であって上記装置特定情報に基づいて特定された画像生成装置でゲームをすることをユーザに促す通知情報を送信する送信手段」と「上記検出された通信機器に対して、通知情報を送信する送信手段」である点では共通する。

したがって、両者は、以下の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニットと、
サーバと、
を備える通信システムであって、
上記サーバは、
上記無線通信ユニットにより上記通信機器が検出された場合に、当該無線通信ユニットが設置されている場所に関する情報と、設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報と、を取得する取得手段と、
上記検出された通信機器に対して、通知情報を送信する送信手段と、を備えている、
ことを特徴とする通信システム。」

<相違点1>
「存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニット」が、補正発明1では、「所定の範囲内の任意の位置に存在する通信機器を検出する近距離無線通信ユニット」であるのに対し、引用発明では、「ICカード読取部」であって、「所定の範囲内の任意の位置に存在する通信機器を検出する」ものではない点。

<相違点2>
「取得手段」が、補正発明1では、「当該近距離無線通信ユニットが設置されている場所を特定する場所特定情報と、当該場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報」を取得するのに対し、引用発明では、写真シールを作成した写真シール機の場所に関する情報と、写真シールを作成した写真シール機の機種名等を取得するものであり、近距離無線通信ユニットが設置されている場所を特定する場所特定情報と、当該場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置を特定する装置特定情報を取得するものではない点。

<相違点3>
「送信手段」が、補正発明1では、「上記近距離無線通信ユニットにより上記通信機器が検出されてから所定の期間が経過するまでの間に、上記検出された通信機器に対して、上記場所特定情報により特定された場所の近隣に設置されている画像生成装置であって上記装置特定情報に基づいて特定された画像生成装置でゲームをすることをユーザに促す通知情報を送信する」のに対し、引用発明では、お奨め店舗情報の記述が含まれるメールを送信するものであって、上記のような通知情報を送信するものではない点。

(3)判断
上記相違点2について検討する。
拒絶査定において引用された他の引用文献には、上記相違点2に係る補正発明1の構成は記載されておらず、示唆されてもいない。

また、上記相違点2に係る補正発明1の構成が周知技術であったともいえない。

ほかに、引用発明において上記相違点2に係る補正発明1の構成を採用することが、当業者が容易に想到し得たことというべき理由は見当たらない。

以上のとおりであるから、上記相違点1、3について検討するまでもなく、補正発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ほかに、補正発明1を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?11に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、本願の請求項1に係る発明は、上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項1に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2?11に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-22 
出願番号 特願2013-272485(P2013-272485)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古河 雅輝  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 山澤 宏
和田 志郎
発明の名称 通信システム  
代理人 村上 尚  

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