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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1321961
審判番号 不服2015-22651  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-24 
確定日 2016-11-24 
事件の表示 特願2012- 33277「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日出願公開、特開2012-185815〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成24年2月17日(優先権主張2011年2月18日)の出願であって、平成27年9月25日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同月29日)、これに対して同年12月24日に審判の請求がなされ、その後、平成28年6月24日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年8月26日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年8月26日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
タッチパネルと、
該タッチパネルの裏面に配置されて該タッチパネルを振動させて触感を呈示する振動部と、
該タッチパネルが配置される開口部を有する支持部材と、
を備えた電子機器であって、
上記タッチパネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置し、
前記弾性架設部材の厚さは、前記外縁と、前記開口部内の側面との間の中央付近程薄いことを特徴とする電子機器。」


3.引用文献1、引用発明
(1) 引用文献1、引用発明について
平成28年6月24日付けの拒絶理由通知に引用された、本願優先日前に公開された、特開2009-111847号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに下記の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

(1) 【請求項5】
「【請求項5】
前記窓材の内側面には前記窓材を振動させるアクチュエータが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。」

(2) 段落【0012】-【0025】(〔第1実施形態〕)
「【0012】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る電子機器として、携帯電話機1を示す斜視図であり、図2は携帯電話機1の分解斜視図であり、図3は携帯電話機1を図1のIII-III切断線において切断した状態を示す斜視図である。携帯電話機1は、上ケース10と、下ケース20と、Oリング31と、上ケース10と下ケース20とを締結する締結ネジ30と、等から概略構成される。
【0013】
Oリング31はゴム等の弾性材からなり、上ケース10の背面と下ケース20の前面との間において、外周部に沿って環状に配置される。図3に示すように、Oリング31は締結ネジ30を締めることで上ケース10の背面及び下ケース20の前面の外周部と当接し、上ケース10と下ケース20との隙間を封止する。
【0014】
上ケース10は、枠材11と、キー部シール材13と、窓材14と、窓部シール材15とからなる。枠材11には、キー操作部が設けられる位置に貫通孔16が設けられ、貫通孔16は枠材11の背面側からキー部シール材13により塞がれている。キー部シール材13はゴム等の弾性材からなる。
【0015】
また、枠材11には、表示部が設けられる位置に開口17が設けられている。開口17の内縁部には窓部シール材15が設けられている。窓部シール材15はゴム等の弾性材からなり、窓部シール材15により開口17の内部に窓材14が固定されている。
【0016】
窓材14はガラスまたは透明な樹脂等からなり、窓材14の背面側には下ケース20内に収納される表示装置22が配置され、窓材14と表示装置22により表示部が形成される。表示装置22から放射される光は窓材14を透過して外部に放射されるため、表示装置22の画像を外部から見ることができる。
【0017】
また、窓材14の背面には、図3に示すように、窓材14を振動させるアクチュエータ18が取り付けられる。アクチュエータ18は窓材14をパネルスピーカの振動板として機能させる。なお、窓材14は弾性材からなる窓部シール材15を介して枠材11に支持されているため、枠材11とは独立して振動させることができる。
【0018】
上ケース10はインサート成形により形成され、枠材11と窓材14とが窓部シール材15により一体に形成されている。上ケース10は締結ネジ30により下ケース20に締結される。さらに、枠材11、窓材14、窓部シール材15とともに、キー部シール材13もインサート成形により一体に形成してもよい。
【0019】
下ケース20は前面に凹部21が形成され、凹部21の内部には、表示装置22や、図示しないが、メイン基板等が収納される。
【0020】
ここで、上ケース10のインサート成形に用いる型枠について説明する。
上ケース10のインサート成形には、図4(a)?(d)に示すように、下型枠40及び上型枠50を用いる。下型枠40の上面及び上型枠50の下面には、窓部シール材15を形成するための環状の溝41,51が設けられている。さらに、キー部シール材13もインサート成形により一体に形成する場合には、下型枠40の上面及び上型枠50の下面に、キー部シール材13を形成するための凹部(図示せず)をそれぞれ形成する。
【0021】
以下、インサート成形の手順について図4(a)?(d)を用いて説明する。
まず、図4(a)に示すように、溝41の上に窓材14の外周部が配置されるように、下型枠40の上に窓材14を載置する。また、溝41の上に枠材11の開口17の周縁部が配置されるように、下型枠40の上に枠材11を載置する。
【0022】
次に、図4(b)に示すように、上型枠50を枠材11及び窓材14の上に載せ、下型枠40との間に挟持する。
その後、図4(c)に示すように、溝41,51に窓部シール材15の原料となる弾性体材料15aを注入し、固化させる。キー部シール材13もインサート成形により一体に形成する場合には、キー部シール材13を形成するための凹部にも弾性体材料を注入し、固化させる。
【0023】
注入した弾性体材料が固化したら、図4(d)に示すように、上型枠50を持ち上げ、成型品を取り出す。
以上により、図5に示すような上ケース10が完成する。
【0024】
このように形成された上ケース10では、枠材11、窓材14、及び窓部シール材15がインサート成形により一体に形成されているので、枠材11と窓材14との隙間を容易かつ確実に塞ぎ、完全に防水することができる。また、両面テープで接着する場合のように組立の不具合が生じることがなく、また温度特性に左右されることがない。
【0025】
また、枠材11の開口17の内部に窓材14を配置した状態でインサート成形を行うため、枠材11の開口17の縁部と窓材14の外周部とを重ねて接着する場合と比較して、上ケース10の厚さを小さくすることができる。さらに、キー部シール材13もインサート成形により一体に形成する場合には、貫通孔16を容易かつ確実に塞ぎ、完全に防水することができる。加えて、枠材11にキー部シール材13を貼り付ける工程が不要となり、携帯電話機1の組立工程を簡略化することができる。」

(3) 段落【0026】-【0029】(<第1変形例>?<第4変形例>)
「【0026】
<第1変形例>
なお、図5においては、窓部シール材15が上ケース10の前面側及び背面側に突出する形状であったが、上型枠50から溝51を省略することで、図6に示すように、窓部シール材15を背面側のみに突出した形状としてもよい。このように成型することで、上ケース10の前面を平坦に形成し、上ケース10の厚さを低減することができる。
【0027】
<第2変形例>
あるいは、下型枠40から溝41を省略するとともに、上型枠50から溝51を省略することで、図7に示すように、窓部シール材15を前面及び背面のいずれにも突出しない形状としてもよい。このように成型することで、上ケース10の両面を平坦に形成し、上ケース10の厚さをさらに低減することができる。
【0028】
<第3変形例>
また、図8に示すように、窓材14の表面に樹脂フィルム14aを張り、枠材11、窓材14、樹脂フィルム14a及び窓部シール材15をインサート成形により一体に形成してもよい。なお、樹脂フィルム14aとしてはガラス破損時の飛散防止用の保護フィルムや覗き見防止用のフィルム等を用いることができる。
【0029】
<第4変形例>
また、上記実施形態においては、枠材11、窓材14、及び窓部シール材15をインサート成形により一体に形成したが、本発明はこれに限らず、図9に示すように、窓材14と一体に形成された表示装置22そのものを枠材11の開口17の内部に配置し、枠材11、表示装置22、及び窓部シール材15をインサート成形により一体に形成してもよい。この表示装置22には、タッチセンサ等の入力装置が組み込まれていてもよい。」

よって、特に上記(2)の〔第1実施形態〕(段落【0012】-【0025】)の下線部の記載を参照すれば、関連図面と技術常識に照らし、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「電子機器としての、携帯電話機1であって、
携帯電話機1は、上ケース10と、下ケース20と、Oリング31と、上ケース10と下ケース20とを締結する締結ネジ30と、等から概略構成され、
上ケース10は、枠材11と、キー部シール材13と、窓材14と、窓部シール材15とからなり、
枠材11には、表示部が設けられる位置に開口17が設けられ、開口17の内縁部には窓部シール材15が設けられ、
窓部シール材15はゴム等の弾性材からなり、窓部シール材15により開口17の内部に窓材14が固定され、
窓材14はガラスまたは透明な樹脂等からなり、
窓材14の背面側には下ケース20内に収納される表示装置22が配置され、窓材14と表示装置22により表示部が形成され、
窓材14の背面には、窓材14を振動させるアクチュエータ18が取り付けられ、アクチュエータ18は窓材14をパネルスピーカの振動板として機能させ、窓材14は弾性材からなる窓部シール材15を介して枠材11に支持されているため、枠材11とは独立して振動させることができ、
上ケース10はインサート成形により形成され、枠材11と窓材14とが窓部シール材15により一体に形成され、
枠材11、窓材14、及び窓部シール材15がインサート成形により一体に形成されているので、枠材11と窓材14との隙間を容易かつ確実に塞ぎ、完全に防水することができる、
電子機器としての、携帯電話機1。」


4.対比
請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「窓材14」は、「窓材14はガラスまたは透明な樹脂等からなり、窓材14の背面側には下ケース20内に収納される表示装置22が配置され、窓材14と表示装置22により表示部が形成され」ており、表示パネルとも言い得るものであるから、本願発明の「タッチパネル」と、「パネル」である点で共通するといえる。

(2) 引用発明の「アクチュエータ18」は、「窓材14の背面には、窓材14を振動させるアクチュエータ18が取り付けられ、アクチュエータ18は窓材14をパネルスピーカの振動板として機能させ」るから、本願発明の「該タッチパネルの裏面に配置されて該タッチパネルを振動させて触感を呈示する振動部」とは、「該パネルの裏面に配置されて該パネルを振動させる振動部」である点で共通するといえる。

(3) 引用発明の「枠材11」は、「枠材11には、表示部が設けられる位置に開口17が設けられ」、「窓部シール材15により開口17の内部に窓材14が固定され」るから、本願発明の「該タッチパネルが配置される開口部を有する支持部材」と、「該パネルが配置される開口部を有する支持部材」である点で共通するといえる。

(4) 引用発明の「電子機器としての、携帯電話機1」は、本願発明の「電子機器」に相当する。

(5) 引用発明の「窓部シール材15」は、「ゴム等の弾性材からなり、窓部シール材15により開口17の内部に窓材14が固定され」るものであって、「窓部シール材15により開口17の内部に窓材14が固定され」ることは、開口17と窓材14との間に、「窓部シール材15」が架け渡されることに外ならないから、本願発明の「弾性架設部材」に相当する。
引用発明の「窓部シール材15」について、「窓材14は弾性材からなる窓部シール材15を介して枠材11に支持されているため、枠材11とは独立して振動させることができ」、「枠材11、窓材14、及び窓部シール材15がインサート成形により一体に形成されているので、枠材11と窓材14との隙間を容易かつ確実に塞ぎ、完全に防水することができる」ことは、本願発明の「弾性架設部材」について、「上記タッチパネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置し」ていることと、「上記パネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置し」ている点で共通するといえる。

したがって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりである。

<一致点>
「パネルと、
該パネルの裏面に配置されて該パネルを振動させる振動部と、
該パネルが配置される開口部を有する支持部材と、
を備えた電子機器であって、
上記パネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置した、
ことを特徴とする電子機器。」である点。

<相違点1>
本願発明では、パネルが「タッチパネル」であって、「タッチパネルと、該タッチパネルの裏面に配置されて該タッチパネルを振動させ」「る振動部と、該タッチパネルが配置される開口部を有する支持部材とを備え」、「上記タッチパネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置し」ている構成であるのに対して、引用発明では、パネルが「窓材14」であって、「タッチパネル」ではない点。

<相違点2>
本願発明では、振動部が「該タッチパネルの裏面に配置されて該タッチパネルを振動させて触感を呈示する振動部」であるのに対して、引用発明では、振動部が「アクチュエータ18は窓材14をパネルスピーカの振動板として機能させ」るものであって、「触感を提示する」ことは、特定がなされていない点。

<相違点3>
本願発明の「弾性架設部材」は、「前記弾性架設部材の厚さは、前記外縁と、前記開口部内の側面との間の中央付近程薄いこと」を特徴とするのに対して、引用発明の「窓部シール材15」は、「厚さは、前記外縁と、前記開口部内の側面との間の中央付近程薄い」ことは、特定がなされていない点。


5.当審の判断
<相違点1>について
携帯電話機等の電子機器において、タッチ入力機能を付加するために、表示部の前面に表示部の保護も行う「タッチパネル」を設けることは、下記<引用文献5-7>に記載されるように、周知技術である。

<引用文献5:特開2010-157037号公報>
(図2、段落【0021】「〔第1実施形態〕図1?図3に示すように、パネル部材の一例である保護パネル4を有する携帯電話機1は、前面に表示窓2Aなどが形成された合成樹脂製の筐体2に、液晶又は有機ELなどの表示部3Aを有する表示装置3、その表示装置3の表面を被覆し保護する保護パネル4、及び、複数の入力キー5などを備えて構成されている。」、段落【0024】「保護パネル4としては、保護パネル4に対するタッチ操作に基づいて、その操作位置となるX-Y座標を検知する所謂タッチ入力機能を備えるものと、そのタッチ入力機能を備えていないものとを選択でき、又、タッチ入力機能を備えるものにおいては、抵抗膜方式、静電容量方式、及び電磁誘導方式などから選択できる。」の記載を参照。)

<引用文献6:特開2008-216733号公報>
(図1、段落【0002】「現在、表示素子本体である表示パネルとして液晶表示ディスプレイ(LCD)などを用いた表示素子を有する携帯電話機などの各種電子機器は、その表示素子を、水、塵埃、あるいは外力などから保護するために、表示パネルが直接露出する構造とせずに、外側に透明プラスチック板などによる窓材を設け、窓材と表示パネルとの間に空隙を形成する構造としている。」、段落【0046】「なお、上記一実施の形態において、窓材2は、タッチパネルを兼用する構造を有したものでもよい。…」の記載を参照。)

<引用文献7:特開2008-181365号公報>
(図6、段落【0004】「…フロントケース1には表示窓3が形成されており、該表示窓3に表面側を向けて透明材料からなるタッチパネル4が取り付けられる。5はフロントケース1の内面とタッチパネル表面との間に設けたクッション材、6はタッチパネルと対向して配置されたLCD等の表示装置で、この表示装置6とタッチパネル4との間にもクッション材7が設けられている。8はリアケース2にねじ(図示せず)で固定されたフレーム、9はタッチパネル4の一端側に貼り付けられたフォースリアクタ等の振動素子である。」の記載を参照。)

一方、引用文献1には、段落【0029】に、〔第1実施形態〕の<第4変形例>として、窓材14と一体に形成された表示装置22そのものを枠材11の開口17の内部に配置する場合について、「この表示装置22には、タッチセンサ等の入力装置が組み込まれていてもよい」旨が記載されているから、引用文献1には、<第4変形例>として、タッチ入力機能を付加することについて開示があるといえる。

よって、引用発明において、タッチ入力機能を付加するために、表示部の手前にタッチ入力用の「タッチパネル」を設ける周知技術を採用して、表示装置の前面の「窓材14」を「タッチパネル」とすることによって、「タッチパネルと、該タッチパネルの裏面に配置されて該タッチパネルを振動させる振動部と、該タッチパネルが配置される開口部を有する支持部材とを備えた電子機器であって、上記タッチパネルの外縁全周にわたり、該外縁と上記支持部材の開口部内の側面との間に、弾性架設部材を、伸縮可能かつ外気遮断可能に設置し」ている、上記<相違点1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

<相違点2>について
アクチュエータによりパネルを振動させるものにおいて、振動によって「音」を発生することも、「触覚」を発生することも、例えば、平成28年6月24日付けの拒絶理由で引用された<引用文献5>、<引用文献8>、及び、<特開2002-149312号公報>に記載されるように、いずれも周知技術であって、普通に行われている。
さらに、<引用文献8>、及び、<特開2002-149312号公報>に記載されるように、同一の振動装置を、「音」と「触覚」の発生に兼用することも周知技術である。

<引用文献5:特開2010-157037号公報>
(段落【0004】「そこで、特許文献1や特許文献2のように、可動板や支持基板を振動させることにより、押圧した指から感触せしめるフォースフィードバック型タッチパネルが開発されている。」の記載、及び、段落【0007】「また、特許文献3のように、パネルスピーカにおいても、パネルとして兼用される音響振動板を加振ドライバにて振動させることにより音声を出力するような構成となっている。」の記載を参照。)

<引用文献8:特開2005-228161号公報>
(段落【0003】-【0004】「しかしながら、上述のパネル状の入力装置を例えば入力スイッチとして用いる場合、タッチパネルのような平面状スイッチは、機械式スイッチのような押下時のクリック感がないため、使用者が押下したと認識しにくいという問題点があった。このような問題点を解決するために、特許文献1では、・・・(中略)・・・また、特許文献2では、例えば図2に示すように、突起面11を設けた振動板12を、振動板12に設けられた可動コイル13と連結筐体14に設けられた磁石15との間の電磁力により振動させて、振動板12の突起面11に触れた指等に触覚刺激を与える装置10の構成が開示されている。」、段落【0007】「しかしながら、特許文献1記載のタッチパネル入力装置では、・・・(中略)・・・すなわち、上部可動板3が機械的に大きな変位量を取ることができないため、押下によりパネルが持ち上がるクリック感を出すことが困難である。また、圧電基板2によって振動を発生させるため、低電圧での駆動が困難であるという問題点もあった。」、段落【0009】「そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、コイル及び磁界発生手段を有する構成を用いて平面板に大きなストロークの振動を与えることが可能な平面板振動装置を提供することを目的とする。」の記載、及び、段落【0060】「さらに、本発明による平面板振動装置は、タッチパネルからの入力情報に応じて所望の波形及び強さの電流をコイルに与えることによって、タッチパネルに任意の振動を与えることが可能であるため、タッチパネルの振動によって所望の音を発生させることが可能である。」の記載を参照。)

<特開2002-149312号公報>
(段落【0075】「なお、この振動アクチュエータ115のコイル121に可聴帯域の音声信号を印加すると、例えば、振動アクチュエータ115のケース115aや、当該振動アクチュエータ115が設置されたPDA10の本体ケース101などを振動させて、音声信号に応じた音を発生させることができる。つまり、振動アクチュエータ115を発音源としても利用することができる。この場合、音声信号の印加に応じて振動アクチュエータ115から発生する振動が伝わる、例えば、液晶表示パネル103aや本体ケース101などを音響拡声機構として用い、振動アクチュエータ115から発生させた音の大きさを増幅させる構成とすることが好適である。このように振動発生器と発音源を兼用することができると、例えば、携帯電話機やページャなどの小型電子機器において、構成部品の設置スペースを大幅に節約できる。」の記載を参照。)

引用発明は、アクチュエータで窓材14(パネル)を振動させ、音を発生するものであるが、引用発明のアクチュエータによる窓材14(パネル)の振動を、触覚の発生にも転用できることは、引用文献1に接した当業者であれば、明らかである。
上記のとおり、アクチュエータによりパネルを振動させることによって、「音」を発生することも、「触覚」を発生することも、周知技術であり、普通に行われていることを考慮すると、引用発明において、「窓材14」を周知技術である「タッチパネル」とする際に、窓材14(パネル)を振動させる「アクチュエータ18」を、「触覚」の発生に転用することによって、振動部が「触感を呈示する振動部」である、上記<相違点2>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

<相違点3>について
引用発明において、「窓部シール材15」の部材としての具体的な厚みや形状は、シール材としての必要な強度や、振動に対する変形のしやすさ等の種々の条件を考慮して、当業者が適宜選択できる設計的事項であると認められる。
引用文献1には、図5-7、段落【0026】-【0027】を参照すると、〔第1実施形態〕に対する<第1変形例>、及び、<第2変形例>として、窓部シール材15の前面側と背面側に突出する形状に加えて、図6のように、窓部シール材15の前面のみを平坦に形成できること、図7のように、窓部シール材15の両面を平坦に形成できることが列記されていることからも、引用発明の「窓部シール材15」の具体的な厚みや形状が、種々の条件を考慮して、当業者が適宜選択できる設計的事項であるといえる。

一方、部材の一部を、より変形しやすくするために、他の部分よりも薄くするなど外形を変えることは、拒絶査定で引用された、<引用文献3:特開2005-228040号公報>(図1-3、段落【0019】、【0023】の「薄肉部6c」を有する「パッド6」に関する記載を参照。)、及び、<引用文献4:特開2001-090838号公報>(図1、2、4、段落【0017】-【0020】の「パッキンP」に形成した「凹溝7」(弧状面8)に関する記載を参照。)に加えて、下記<引用文献5、8-9>にも記載されるように、周知技術である。

<引用文献5:特開2010-157037号公報>
(図10、段落【0062】-【0063】「保護パネル4の低剛性部分は、保護パネル4の周縁部4A全体に形成されている必要はなく、例えば、保護パネルの隅部や一辺の長さにも満たない小領域等のように、保護パネル4の周縁部4Aの少なくとも一部に形成されていればよい。保護パネル4の周縁部4Aの一部であっても剛性を低下させた低剛性部分が形成されていれば、保護パネル4の一部のみが振動しやすくなり、保護パネルの低剛性部分の位置や大きさを変更することで、用途に合わせてさまざまな振動モードを発生させることも可能となる。保護パネル4の一部を低剛性部分にするための方法としては、保護パネル4に凹状溝部4aを形成する方法に限定されることはなく、例えば、保護パネル4の厚みを単に変えるだけの方法や、保護パネル4の厚みを変えずに、保護パネル4の材質の特性等を利用することで低剛性部分とする方法を採用してもよい。」、段落【0069】「(5)パネル部材4の裏面に形成される凹状溝部4aは、パネル部材4の周縁部4Aのうちの一辺部分のみでなく、2辺や3辺の部分、または図10のように全周囲に設けられていてもよい。このとき、パネル部材4の振動領域をより広くするため、凹状溝部4aはパネル部材4の周縁端部まで設けられていることが好ましい。また、パネル部材4に凹状溝部4aを必要に応じて複数箇所形成することで、パネル部材の振動の度合いを変更すること等も容易となる。」の記載を参照。)

<引用文献8:特開2005-228161号公報>
(図4(a),(b)、段落【0045】「固定部材101は、図4(a)に示すように、略矩形外周部中央に突起状の凸部101bが形成されていても良い。このように形成することによって、平坦なものに比べて、タッチパネル102の上下動による小さな力または応力で大きな変位量を与えることが可能となる。また、固定部材101は、図4(b)に示すように、タッチパネル102及び枠型基部104とそれぞれ例えばシリコン系接着剤等の耐水性接着剤107aで接合され、かつ装置全体を保護するカバー108と例えばシリコンゴム等の防水用弾性部材107bを介して固定されても良い。このような構成にすることによって、平面板振動装置100の外部又はタッチパネル102の入力面側から水やチリ等の不純物が付与された場合でも、コイル部103や磁界発生手段105が設けられたタッチパネル102の裏面側には入り込まないようにすることができる。」の記載を参照。)

<引用文献9:特開2000-217192号公報>
(図8(a)、段落【0015】「本発明によれば、エッジは、その略中央近傍で薄くされ、振動板及びフレームに近づくに従って、つまりその内外周に近づくに従って厚くされている。従って、エッジの中央近傍で剛性が低く、その内外周近傍で剛性が高くなっている。エッジの中央近傍で剛性が低いため、振動板の振動振幅が一定範囲内であれば、エッジ中央近傍が容易に変形し、ボイスコイルに印加される駆動電流に対する振動板の変位の直線性が保たれる。」、段落【0055】「尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものなく、多様に変形することができる。図8は、エッジの断面形状の各種変形例を示している。図8(a)のエッジ81は全体に平坦であり、図8(b)のエッジ82は山型であり、図8(c)のエッジ83は連続する凹凸型の2つのロール部83a,83bを有し、図8(d)のエッジ85は台形状であり、図8(e)のエッジ86は連続する2つの波形部86a,86bを有し、図8(f)のエッジ87は連続する3つの波形部87a,87b,87cを有し、図8(g)のエッジ88は中央の凹部88aと内外周の小さな半径の各ロール部88b,88cを有し、図8(h)のエッジ89は中央の凹部89aと内外周の各ロール部89b,89cを有し、図8(i)のエッジ90は中央の凹部90aと内外周の各波形部90b,90cを有する。各エッジ81?90のいずれも、中央部が薄く、内外周に近づくに従って厚くなっており、振動板の振動振幅が一定の範囲内では柔らかく変形し易いという利点と、振動振幅が大きくなっても突っ張り難く、異常音が発生しないという利点を合わせ持つ。」の記載を参照。)

よって、引用発明において、部材の一部を、より変形しやすくするために、他の部分よりも薄くするなど外形を変える周知技術を採用して、このとき、引用発明の弾性部材について、中央付近を薄くするように外形を変えることを選択することによって、「前記弾性架設部材の厚さは、前記外縁と、前記開口部内の側面との間の中央付近程薄い」、上記<相違点3>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。


6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-23 
結審通知日 2016-09-27 
審決日 2016-10-11 
出願番号 特願2012-33277(P2012-33277)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
山田 正文
発明の名称 電子機器  
代理人 大倉 昭人  
代理人 杉村 憲司  
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