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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1321990
審判番号 不服2015-11541  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-18 
確定日 2016-11-22 
事件の表示 特願2013-549592「モバイルプラットフォームでの可変ビーム形成」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月19日国際公開、WO2012/097314、平成26年 4月24日国内公表、特表2014-510430〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2012年1月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年1月13日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年3月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月18日付けで拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたものであって、当審において平成28年1月12日付けで、最後の拒絶理由が通知され、これに対して同年3月8日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。


第2 補正却下の決定

[結論]

平成28年3月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 平成28年3月8日付けの手続補正の概要

平成28年3月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、特許請求の範囲1ないし19を、

「【請求項1】
モバイルプラットフォームが音源の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記音源の方向を特定するステップと、
方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動きに基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅または抑圧するための前記音源の方向を決定するステップと、
前記音源からの可聴音情報を増幅または抑圧するために、前記音源の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うステップと、
前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動きを決定するステップと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整し、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるステップと
を含むモバイルプラットフォームによって実行される方法。
(請求項2ないし19については、省略。)」
(以下、補正前の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

から、

「【請求項1】
モバイルプラットフォームが音源の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記音源の方向を特定するステップと、
方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動きに基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅するための前記音源の方向を決定するステップと、
前記音源からの可聴音情報を増幅するために、前記音源の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うステップと、
前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動きを決定するステップと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整し、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるステップと、
前記モバイルプラットフォームが第2の音源の第2の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記第2の音源の第2の方向を特定するステップと、
前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するステップと、
前記第2の音源からの可聴音情報を抑圧するために、前記第2の音源の前記第2の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うステップと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整し、前記モバイルプラットフォームが前記第2の音源に対して動いた後、前記第2の音源の前記第2の方向にビーム形成を行い続けるステップと
を含むモバイルプラットフォームによって実行される方法。
【請求項2】
ビーム形成を行うステップが、前記モバイルプラットフォームにおけるマイクロフォンアレイからのマルチチャネル信号を処理するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビーム形成を行った後、前記音源の方向からの可聴音情報をワイヤレスで送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可聴音情報が、電話の通話においてワイヤレスで送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ビーム形成を行った後、前記音源の方向からの可聴音情報の翻訳文を取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイルプラットフォームにおけるカメラを制御して、前記音源の方向からの映像および画像の少なくとも一方を取り込むステップと、
前記決定された動きを用いて前記カメラの制御を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向からの映像および画像の少なくとも一方を取り込み続けるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マイクロフォンアレイと、
方位センサと、
前記マイクロフォンアレイおよび前記方位センサに接続されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、
前記メモリ内に保持され、前記プロセッサの中で動作するソフトウェアであって、前記プロセッサに、モバイルプラットフォームが音源の方向に向けられることに基づいて前記音源の方向を特定させ、前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動きに基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅するための前記音源の方向を決定させ、前記音源の方向における前記マイクロフォンアレイによって受信された可聴音情報を増幅するためにビーム形成を行わせ、前記方位センサによって提供されたデータを用いてモバイルプラットフォームの動きを決定させ、前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行わせ続け、前記モバイルプラットフォームが第2の音源の第2の方向に向けられることに基づいて前記第2の音源の第2の方向を特定させ、前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定させ、前記第2の音源における前記第2の方向における前記マイクロフォンアレイによって受信された可聴音情報を抑圧するためにビーム形成を行わせ、前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記第2の音源における前記第2の方向にビ
ーム形成を行わせ続けるソフトウェアと
を備えるモバイルプラットフォーム。
【請求項8】
メモリ内に保持され、前記プロセッサの中で動作する前記ソフトウェアが、さらに前記プロセッサに、前記マイクロフォンアレイからのマルチチャネル信号を処理することによってビーム形成を行わせる、請求項7に記載のモバイルプラットフォーム。
【請求項9】
前記プロセッサに結合されたワイヤレストランシーバをさらに備えるモバイルプラットフォームであって、メモリ内に保持され、前記プロセッサの中で動作する前記ソフトウェアが、さらに前記プロセッサに、ビーム形成が行われた後、前記音源の方向から得られた可聴音情報を送信するように前記ワイヤレストランシーバを制御させる、請求項7に記載のモバイルプラットフォーム。
【請求項10】
前記可聴音情報が、電話の通話において送信される、請求項9に記載のモバイルプラットフォーム。
【請求項11】
前記ワイヤレストランシーバが、前記送信された可聴音情報に応じて前記可聴音情報の翻訳文を受信する、請求項9に記載のモバイルプラットフォーム。
【請求項12】
前記プロセッサに結合されたカメラをさらに備えるモバイルプラットフォームであって、メモリ内に保持され、前記プロセッサの中で動作する前記ソフトウェアが、さらに前記プロセッサに、前記音源の方向からの映像および画像の少なくとも一方を取り込み、前記カメラの制御を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向からの映像および画像の少なくとも一方を取り込み続けるようにカメラを制御させる、請求項7に記載のモバイルプラットフォーム。
【請求項13】
モバイルプラットフォームが音源の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記音源の方向を特定するための手段と、
方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動きに基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅するための前記音源の方向を決定するための手段と、
前記音源からの可聴音情報を増幅するために、前記音源の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うための手段と、
前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動きを決定するための手段と、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるための手段と、
前記モバイルプラットフォームが第2の音源の第2の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記第2の音源の第2の方向を特定するための手段と、
前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するための手段と、
前記第2の音源からの可聴音情報を抑圧するために、前記第2の音源の第2の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うための手段と、
前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動きを決定するための手段と、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるための手段とを備えるシステム。
【請求項14】
プロセッサにより実行可能なプログラムコードを記録するコンピュータ可読記録媒体であって、
マイクロフォンアレイが音源の方向に向けられることに基づいて、前記音源の方向を特定するためのプログラムコードと、
方位センサによって検出されるモバイルプラットフォームの急な動きに基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅するための前記音源の方向を決定するためのプログラムコードと、
前記音源の方向における前記マイクロフォンアレイによって受信された可聴音情報を増幅するためにビーム形成を行うためのプログラムコードと、
前記マイクロフォンアレイの動きを決定するためのプログラムコードと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記マイクロフォンアレイが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるためのプログラムコードと、
前記マイクロフォンアレイが第2の音源の第2の方向に向けられることに基づいて、前記第2の音源の第2の方向を特定するためのプログラムコードと、
前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するためのプログラムコードと、
前記第2の音源の第2の方向における前記マイクロフォンアレイによって受信された可聴音情報を抑圧するためにビーム形成を行うためのプログラムコードと、
前記マイクロフォンアレイの動きを決定するためのプログラムコードと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整して、前記マイクロフォンアレイが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるためのプログラムコードと
を記録する、コンピュータ可読記録媒体。」(以下、特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

とすることを含むものである。

2 新規事項の有無

本件補正が、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、即ち、本件補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて、以下に検討する。
本件補正のうち、本件補正前の請求項1、9、18,19を本件補正後の請求項1、7、13、14に変更する補正は、以下の補正事項(1)ないし(4)を含むものである。

(1)補正後請求項1の「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するステップと、」(以下、「補正事項1」という。)
(2)補正後請求項7の「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定させ、」(以下、「補正事項2」という。)
(3)補正後請求項13の「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するための手段と、」(以下、「補正事項3」という。)
(4)補正後請求項14の「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するためのプログラムコードと、」(以下、「補正事項4」という。)

そこでまず、上記補正事項1について、新規事項を含むか否か検討する。
上記補正事項1によれば、「第2の音源の第2の方向を決定」は、「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動き」に「基づ」くものである。一方、当初明細書等の明細書段落【0013】には、「【0013】図4A、図4B、および図4Cは、モバイルプラットフォームを音源に向けることによって音源の方向を示すことを例示している。図4Aは、ディスプレイ102の中の音源Aの画像によって示されている、音源Aの方向に向けられたモバイルプラットフォーム100を例として示す。ユーザは、音源Aの方に向けられたモバイルプラットフォーム100を用いて、たとえばボタンを押すか、またはタッチスクリーンディスプレイ102をタップする(tap)か、または、モバイルプラットフォーム100のジェスチャもしくは急な動きなどの他の適切なユーザインターフェースによって、ビーム形成のために音源Aの方向を選択することができる。図4Aに示されているように、音源Aは、矢印130によって示されている増幅のために選択され、それによりたとえば、プライマリユーザからの可聴音情報とともに音源Aからの可聴音情報が電話またはテレビ電話の会話に含まれ得る。モバイルプラットフォーム100は、音源Aの方向を指示した後、図4Bに示されているように異なる位置に移動または回転させられ、それによりプライマリユーザにとって快適な位置に置かれることになる場合がある。矢印130によって示されているように、モバイルプラットフォーム100は、音源Aからの可聴音情報がビーム形成システムによって増幅され続けるように、モバイルプラットフォーム100の動きに対する補償を行い続けることになる。さらに、図4Cに示されているように、モバイルプラットフォーム100は、ディスプレイ102の中に現れている音源Bの画像によって示されているように、音源Bの方向に向くように動かされてもよい。図4Cでは、音源Bは、たとえば異なるボタンを押すか、異なる方法でディスプレイ102をタップするか、または他の適切なユーザインターフェースによって、(記号132によって示されている)抑圧に向けて選択される。この音源Bは、音源Bからの可聴音情報が電話またはテレビ電話の会話において少なくとも部分的に低減されるよう、抑圧されるために選択される。」と記載されている。上記補正事項1の「前記第2の音源の第2の方向」に相当する「音源Bの方向」の「選択」については、「図4Cでは、音源Bは、たとえば異なるボタンを押すか、異なる方法でディスプレイ102をタップするか、または他の適切なユーザインターフェースによって、(記号132によって示されている)抑圧に向けて選択される。」としか記載されておらず、「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動き」(以下、「前記急な動きと異なる第2の急な動き」という。)については、記載も示唆もされておらず、本件出願の優先日当時の技術常識から自明であるとも認められない。
更に、本件明細書段落【0013】の前半部には、「音源A」の方向の選択について、「たとえばボタンを押すか、またはタッチスクリーンディスプレイ102をタップする(tap)か、または、モバイルプラットフォーム100のジェスチャもしくは急な動きなどの他の適切なユーザインターフェースによって、ビーム形成のために音源Aの方向を選択することができる。」と記載され、同段落の後半部には、「音源B」の方向の選択について、「図4Cでは、音源Bは、たとえば異なるボタンを押すか、異なる方法でディスプレイ102をタップするか、または他の適切なユーザインターフェースによって、(記号132によって示されている)抑圧に向けて選択される。」と記載されている。両者の対応関係を見ると、「音源A」の「ボタン」に対して、「音源B」の「異なるボタン」、「音源A」の「タッチスクリーンディスプレイ102をタップ」に対して、「音源B」の「異なる方法でディスプレイ102をタップ」となっており、「音源A」と「音源B」とで、「ボタン」及び「タッチスクリーンディスプレイ102」が異なる点が限定されている。しかし、「他の適切なユーザインターフェース」については、「音源A」では、「モバイルプラットフォーム100のジェスチャもしくは急な動きなどの他の適切なユーザインターフェース」と具体的に例示がされているのに対し、「音源B」について、「他の適切なユーザインターフェース」としか記載されておらず、具体的な例示がないばかりでなく、「異なる」点についての限定も見当たらないことから、上記「前記急な動きと異なる第2の急な動き」は、当初明細書等から読み取ることができない。
そして、上記補正事項2ないし上記補正事項4についても、上記補正事項1についての理由と同じ理由により新規事項を含むものである。
以上に検討したとおり、上記補正事項1乃至4を含む本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

3 平成28年3月8日付けの意見書の請求人の主張について
請求人は、平成28年3月8日付けの意見書において、本件補正の根拠として、「尚、上記補正のうち、「前記方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの前記急な動きと異なる第2の急な動きに基づいて、前記特定された第2の音源の第2の方向から可聴音情報を抑圧するための前記第2の音源の第2の方向を決定するステップ」の部分については、本願明細書の段落【0013】の「図4Cでは、音源Bは、たとえば異なるボタンを押すか、異なる方法でディスプレイ102をタップするか、または他の適切なユーザインターフェースによって、(記号132によって示されている)抑圧に向けて選択される。」の記載に基づいています。」と主張しているが、上記「2 新規事項の有無」に記載した理由により上記主張については採用することができない。

4 結語

以上のとおり、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてされたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、同補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正は上記「第2 補正却下の決定」のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 1 平成28年3月8日付けの手続補正の概要」の項で、「本願発明」として認定したとおりである。

2 引用発明
原審の拒絶理由に引用された、特開2008-205957号公報(以下、「引用例」という。)には、「受音装置及びその方法」(発明の名称)として、以下の事項が記載されている。

あ 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声強調技術の一つであるマイクロホンアレー技術を携帯端末等に実装し、複数の話者に対し効率良く指向性を形成する受音装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロホンアレー技術は、複数のマイクロホンを用いて、受音した信号に対し信号処理を行い指向性を形成し、指向性の向いている方向から到来する信号を強調し、それ以外の音を抑圧する音声強調技術の1つである。

・・・(中略)・・・

【0005】
近年、このようなマイクロホンを携帯電話やPDA等の携帯機器に実装し、ユーザの声をより明瞭に捉えるという応用が盛んである。この場合に指向性をどの方向に形成するかは重要な問題である。例えば携帯電話の場合、電話を持って話をする姿勢が既知なので、目的音方向である話者の口の方向に指向性を形成するように予め設計しておくことは妥当である。
【0006】
また、音声翻訳携帯端末のように複数の人が入力する場合、現在発話している話者はどの方向か、つまり目的音方向はどこかを適切に設定する必要がある。」(3?4頁)

い 「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、マイクロホンアレーを搭載した端末に複数の人が入力する場合、指向方向を話者交代等に伴い変化する目的音方向に合わせる必要があり、煩わしいばかりか、端末の向きによっては画面が見えなくなる等の不都合があった。また、発話中に端末の姿勢が変る場合は、せっかく合わせた指向方向が目的音方向からずれるという問題点があった。
【0009】
そこで本発明は上記問題を解決するものであり、端末の姿勢が変化しても音の指向方向が常に一定方向を向くように制御される受音装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、筐体に設けられた複数の受音部と、前記筐体の予め設定された初期化方向を、前記筐体を中心とした端末座標系で記憶する初期化方向記憶部と、実空間に対応したワールド座標系における前記筐体の姿勢を表す姿勢情報を検出する姿勢情報検出部と、受音を行うタイミングを表すロック情報を出力するロック情報出力部と、前記ロック情報が入力した時の前記姿勢情報を、ロック姿勢情報として記憶する姿勢情報記憶部と、前記ロック姿勢情報を用いて、前記端末座標系によって表された初期化方向を前記ワールド座標系における方向である目的音方向に変換する方向変換部と、前記目的音方向に受音のための指向性を定めて、前記複数の受音部によって受音する指向性受音部と、を有する受音装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体を動かしても目的音が常に高い感度で受音できる。」(4頁)

う 「【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係わる受音装置100について図1、図6、図7に基づいて説明する。
【0014】
(1)受音装置100の構成
図1は、本実施形態に係わる受音装置100の構成を示すブロック図である。
【0015】
受音装置100は、マイクロホン101-1?Mと、受音装置100の筐体105の姿勢情報を入力する入力端子102と、姿勢情報を記憶するタイミングを示すロック情報が入力する入力端子103と、前記タイミングで姿勢情報を記憶する姿勢情報記憶部104と、姿勢情報に基づき実空間での目的音方向を算出する目的音方向算出部106と、入力端子102からの姿勢情報と目的音方向算出部106の出力に基づき受音装置100から見てどの方向に指向性を向ければ良いかを決定する指向方向算出部107と、算出された指向方向に基づき複数のマイクロホンの信号を処理し、指向方向を向けた方向の信号を強調出力する指向性形成部108から構成される。これら各部101?108は、直方体の筐体105に収納されている。
【0016】
ロック情報としては、受音装置100に備え付けてあるロックボタンをユーザが押すなどが考えられる。」(4?5頁)

え 「【0019】
(2)受音装置100の動作内容
次に、受音装置100の動作について述べる。
【0020】
まず、入力端子102には、受音装置100の筐体105の姿勢が時々刻々に入力される。受音装置100の筐体105の姿勢は、例えば3軸加速度センサや3軸磁気センサを用いることで検出が可能である。これらのセンサーは、例えば、受音装置100に搭載可能な小型チップである。
【0021】
入力端子103には、前記ロック情報が入力された時点での受音装置100の筐体105の姿勢が姿勢情報記憶部104で保持される。
【0022】
目的音方向算出部106では、検出された受音装置100の筐体105の姿勢と、予め設定された筐体105に定められている初期化方向とから実空間における目的信号の方向を算出する。「初期化方向」とは、例えば、受音装置100の筐体105が直方体であり、その長辺方向が指し示す方向を初期化方向と設定する。そして、「目的音方向」とは、ロック情報が入力された時に受音装置100の筐体105の長辺方向(初期化方向)が天井を向いていれば、天井方向を目的音方向とする。
【0023】
指向方向算出部107では、入力端子102に入力された姿勢情報と目的音方向算出部106から出力された目的音方向を用いて、時々刻々と変化する受音装置100の筐体105の姿勢に対し、目的音方向は受音装置100から見てどの方向になるかを算出する。先の例では、目的音方向は天井方向であるが、ロック後に受音装置100の筐体105を水平方向きに動かした場合、受音装置100から見て目的音方向は、長辺方向と直角方向になるように制御される。
【0024】
指向性形成部108では算出された方向に指向性を形成し、信号処理によりその方向の信号を強調するようにマイクロホン101-1?101-Mに入力された信号を処理する」(5頁)

お 「【0025】
(3)具体例
(3-1)第1の具体例
本実施形態の第1の具体例を図6を用いて説明する。
【0026】
図6に示されている受音装置100の筐体105の4隅にマイクロホン101-1?101-4が搭載されている。
【0027】
図6(a)は、起動時における受音装置100の筐体105と実空間との関係を示している。
【0028】
起動時に内蔵のセンサ等を用いることで、受音装置100の筐体105の実空間に対する姿勢を得る。例えば南方向をX軸、西方向をY軸、天井方向をZ軸とする座標系(以下、「ワールド座標系」と呼ぶ)において、現在の受音装置100の筐体105の姿勢を各軸の回転角(θx,θy,θz)で表すことができる。
【0029】
一方で、受音装置100の筐体105に固定された座標系(以下、「端末座標系」と呼ぶ)も存在し、図6のように縦方向をx軸、横方向をy軸、法線方向をz軸とする。さらに、初期化方向として端末座標系でp=(1,0,0)の方向、すなわち、x軸方向を設定する。
【0030】
次に、受音装置100の筐体105を動かし、図6(b)の状態でユーザが受音装置100に対しロック情報を出力する。受音装置100はこのロック情報に基づき受音装置100の初期化方向pを目的音方向tとする。目的音方向tは受音装置100に搭載されたマイクロホン101-1?101-Mの指向性を向ける方向であり、端末座標系で得られている必要がある。」
(5?7頁)

か 「【0053】
(5)利用方法
図7に本実施形態の利用方法を模式的に表した図を示す。この例では2人の人が向かい合い、左側の人が受音装置100の筐体105を持っている。
【0054】
相手の声を入力しようとする場合に図7(a)のロック時に示すように、受音装置100の筐体105の長辺方向を相手に向けロックボタンを押す。受音装置100の筐体105の長辺は初期化方向になっているため、目的音方向が矢印のように設定される。
【0055】
その後、図7(b)の動作時のように受音装置100の筐体105の画面等を見るために受音装置100の筐体105の姿勢を変えたとしても、目的音方向は矢印のように相手方向に固定されているため、受音装置100の筐体105に搭載されているマイクロホンアレー等の受音システムの指向方向が目的音方向から外れてしまうことはない。」(9?10頁)

き 「【0097】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係わる翻訳装置200について図6と図12に基づいて説明する。本実施形態は、第1の実施形態の受音装置100を翻訳装置に適用した場合である。
【0098】
図12は、翻訳装置200のブロック図であり、受音装置100によって指向性方向の音声を翻訳部202が所定の言語(例えば、英語から日本語)に翻訳する。」(13頁)

上記引用例の記載、及び図面並びにこの技術分野における技術常識を考慮すると、

a 上記摘記事項あの【0001】の「本発明は、音声強調技術の一つであるマイクロホンアレー技術を携帯端末等に実装し、複数の話者に対し効率良く指向性を形成する受音装置及びその方法に関する」の記載より、引用例には、「受音装置によって実行される方法」が記載されているといえる。

b 上記摘記事項えの【0022】の「目的音方向算出部106では、検出された受音装置100の筐体105の姿勢と、予め設定された筐体105に定められている初期化方向とから実空間における目的信号の方向を算出する。「初期化方向」とは、例えば、受音装置100の筐体105が直方体であり、その長辺方向が指し示す方向を初期化方向と設定する。」の記載より、受音装置を目的信号の方向に向けることで、目的信号の方向を設定しているので、「受音装置が目的信号の方向に向けられることで、前記受音装置に対する前記目的信号の方向が設定されること」といえる。

c (a)上記摘記事項うの【0016】の「ロック情報としては、受音装置100に備え付けてあるロックボタンをユーザが押すなどが考えられる。」の記載より、ロック情報の出力は、「受音装置のロックボタンを押すことに基づいて」といえる。(b)上記摘記事項おの【0030】の「次に、受音装置100の筐体105を動かし、図6(b)の状態でユーザが受音装置100に対しロック情報を出力する。受音装置100はこのロック情報に基づき受音装置100の初期化方向pを目的音方向tとする。目的音方向tは受音装置100に搭載されたマイクロホン101-1?101-Mの指向性を向ける方向であり、端末座標系で得られている必要がある。」の記載より、ロック情報が出力されたときの目的信号の方向を「目的音方向とすること」といえる。(c)上記摘記事項あの【0001】の「本発明は、音声強調技術の一つであるマイクロホンアレー技術を携帯端末等に実装し」と、摘記事項えの【0022】の「目的音方向算出部106では、検出された受音装置100の筐体105の姿勢と、予め設定された筐体105に定められている初期化方向とから実空間における目的信号の方向を算出する。」と、摘記事項えの【0024】の「指向性形成部108では算出された方向に指向性を形成し、信号処理によりその方向の信号を強調するようにマイクロホン101-1?101-Mに入力された信号を処理する」の各記載より、設定された目的音方向は、目的信号の方向から受信した信号を強調するための方向であり、強調するために、目的音方向とマイクロホンアレーによる指向性を形成している。(a)?(c)を総合すると、「前記受音装置のロックボタンを押すことに基づいて、前記設定された前記目的信号の方向からの信号を強調する目的音方向とすること」といえるし、「前記目的信号から受信した信号を強調するために、前記目的音方向に前記受音装置によってマイクロホンアレーによる指向性を形成すること」といえる。

d 上記摘記事項えの【0023】の「指向方向算出部107では、入力端子102に入力された姿勢情報と目的音方向算出部106から出力された目的音方向を用いて、時々刻々と変化する受音装置100の筐体105の姿勢に対し、目的音方向は受音装置100から見てどの方向になるかを算出する。」の記載から、受音装置は、時々刻々と変化する受音装置の姿勢を算出するので、「受音装置の姿勢の変化を算出すること」といえる。上記摘記事項えの【0024】の「指向性形成部108では算出された方向に指向性を形成し、信号処理によりその方向の信号を強調するようにマイクロホン101-1?101-Mに入力された信号を処理する」と、上記摘記事項おの【0034】の「受音装置100に搭載されたマイクロホンアレーはその指向方向をロックされた時の目的音方向に常に向けるように制御される。」と、上記摘記事項かの【0055】の「その後、図7(b)の動作時のように受音装置100の筐体105の画面等を見るために受音装置100の筐体105の姿勢を変えたとしても、目的音方向は矢印のように相手方向に固定されているため、受音装置100の筐体105に搭載されているマイクロホンアレー等の受音システムの指向方向が目的音方向から外れてしまうことはない。」の各記載より、「算出された受音装置の姿勢の変化を用いて、前記算出された方向にマイクロホンアレーの指向性を形成し、前記受音装置が前記目的音方向に対して動いても」、目的音方向からはずれてしまうことはないといえる。そして、「目的音方向から外れてしまうことはない」とは、常に目的音方向にマイクロホンアレーの指向性を形成することであるから、「目的音方向にマイクロホンアレーの指向性を形成し続けること」と言い換えることができる。これらを総合すると、「前記算出された前記姿勢の変化を用いて前記算出された方向に前記マイクロホンアレーによる指向性を形成し、前記受音装置が前記目的音方向に対して動いても、前記目的音方向にマイクロホンアレーによる指向性を形成し続けること」といえる。

以上、上記a?dを総合すると、上記引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「受音装置が目的信号の方向に向けられることで、前記受音装置に対する前記目的信号の方向が設定されること、
前記受音装置のロックボタンを押すことに基づいて、前記設定された前記目的信号の方向からの受信した信号を強調するための目的音方向とすること、
前記目的信号から受信した信号を強調するために、前記目的音方向に前記受音装置によってマイクロホンアレーにより指向性を形成すること、
前記目的音方向に対する前記受音装置の姿勢の変化を算出すること、
前記算出された前記姿勢の変化を用いて前記算出された方向に前記マイクロホンアレーによる指向性を形成し、前記受音装置が前記目的音方向に対して動いても、前記目的音方向にマイクロホンアレーによる指向性を形成し続けること、
を含む受音装置によって実行される方法」

3.対比・判断

本願発明と引用発明とを対比する。

a 本願発明の「モバイルプラットフォーム」に関し、本願明細書等(【0009】)には、「モバイルプラットフォームは、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、または他のワイヤレス通信デバイス、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)、個人情報マネージャ(PIM)、携帯情報端末(PDA)、または他の好適なモバイルデバイス等の任意の携帯型電子デバイスを指す。」と記載されている。一方、引用発明の「受音装置」に関し、引用例(【0015】等)の記載から、「受音装置」が電子デバイスを内蔵することは明らかであり、また、引用例の図6、図7から「受音装置」が、携帯型の端末であることが見てとれる。
よって、引用発明の「受音装置」は、本願発明の「モバイルプラットフォーム」に含まれる。

b 引用発明の「目的信号の方向」は、本願発明の「音源の方向」に相当する。また、引用発明の「方向が設定される」は、「方向を特定する」と言い換えることができる。

c 上記aの検討結果を踏まえると引用発明の「前記受音装置のロックボタンを押すことに基づいて、」と、本願発明の「方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動きに基づいて」とは、後述する相違点を除いて、「前記音源の方向を決定するための前記モバイルプラットフォームの操作に基づいて、」で共通する。

d 本願発明の「ビーム形成」に関し、本願明細書(【0015】)には、「ビーム形成は音源の方向において行われる(204)。ビーム形成は、ある所望の方向からの音を増幅し、他の方向からの音を抑圧するために、マイクロフォンアレイ108における個々のマイクロフォンに対する遅延とゲインを変化させるマイクロフォンアレイコントローラ192によって行われる。」と記載されている。他方、引用発明の「マイクロホンアレによる指向性を形成」に関し、引用例(【0002】)には、「マイクロホンアレー技術は、複数のマイクロホンを用いて、受音した信号に対し信号処理を行い指向性を形成し、指向性の向いている方向から到来する信号を強調し、それ以外の音を抑圧する音声強調技術の1つである。」と記載されている。双方の記載に基づくと引用発明の「マイクロホンアレーによる指向性を形成」は、本願発明の「ビーム形成」に相当し、また、引用発明の「強調」は本願発明の「増幅」に相当する。

e 引用発明の「受信した信号」は引用例の段落【0006】【0008】等の記載から、話者の音声等であって耳に聞こえる音であることは明らかなので、本願発明の「可聴音情報」に相当する。そして、上記bの検討の結果を踏まえると、引用発明の「前記設定された前記目的信号の方向から受信した信号」は、本願発明の「前記特定された音源の方向から可聴音情報」に相当する。

f 引用発明の「目的音方向」は、ロックボタンを押すことで特定された目的信号の方向であるから、本願発明の「特定された音源の方向」に相当する。

g 引用発明の「前記受音装置の姿勢の変化」は、本願発明の「前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動き」に相当する。また、引用発明の「算出する」は、演算による算出によって(姿勢の変化)を決定することであるから、「決定する」と言い換えることができる。

h 本願発明の「前記ビーム形成を調整し」に関し、本願明細書(【0018】)には、「この場合には50度だけビーム形成の方向を変更することによって、測定された動きを用いてビーム形成が調整される。]と記載されているので、「調整」とは、ビーム形成の方向を変更することと解される。一方、引用発明の「前記算出された方向に前記マイクロホンアレーによる指向性を形成し」は、マイクロフォンアレーによる指向性の方向を変更するものであることは、明らかである。
よって、引用発明の、「前記算出された前記姿勢の変化を用いて前記算出された方向に前記マイクロホンアレーによる指向性を形成し、」は、本願発明の「前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整し、」に相当する。

i 上記dないしhの検討の結果を踏まえると、引用発明の「前記受音装置が前記目的音方向に対して動いても、前記マイクロホンアレーによる指向性を形成し続けること」は、本願発明の、「前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続ける」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「モバイルプラットフォームが音源の方向に向けられることに基づいて、前記モバイルプラットフォームに対する前記音源の方向を特定するステップと、
前記音源の方向を決定するための前記モバイルプラットフォームの操作に基づいて、前記特定された音源の方向から可聴音情報を増幅するための前記音源の方向を決定するステップと、
前記音源からの可聴音情報を増幅するために、前記音源の方向に前記モバイルプラットフォームによってビーム形成を行うステップと、
前記音源に対する前記モバイルプラットフォームの動きを決定するステップと、
前記決定された動きを用いて前記ビーム形成を調整し、前記モバイルプラットフォームが前記音源に対して動いた後、前記音源の方向にビーム形成を行い続けるステップと
を含むモバイルプラットフォームによって実行される方法。」

(相違点)
一致点の「前記音源の方向を決定するための前記モバイルプラットフォームの操作」について、本願発明が「方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動き」であるのに対して、引用発明は、「前記受音装置のロックボタンを押すこと」である点。

上記(相違点)について検討する。
引用例の明細書段落【0020】には、加速度センサを受音装置に搭載することが示唆されている。
そして、加速度センサによって検出される携帯端末の急な動きに基づいて、携帯端末に所定の入力を行うことは、周知技術(例えば、特開平2005-92667号公報(【0035】、【0052】、【0053】、図5)、特開2010-204810号公報(【0043】、【0058】、図1、図3参照))である。
してみると、引用発明に上記周知技術を適用して、引用発明の目的音の方向を決定するための操作として、受音装置のロックボタンを押すことに代えて、加速度センサ(方位センサ)によって検出される受音装置の急な動きを採用し、「方位センサによって検出される前記モバイルプラットフォームの急な動き」に相当する構成とすることは、当業者が容易に想到し得た程度のことである。

そして、本願発明が奏する効果も引用発明及び周知技術から容易に予測できる範囲内のものである。

4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、周知技術を参酌することにより、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項に言及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-19 
結審通知日 2016-05-23 
審決日 2016-07-11 
出願番号 特願2013-549592(P2013-549592)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 正貴小林 勝広  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山中 実
林 毅
発明の名称 モバイルプラットフォームでの可変ビーム形成  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  
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