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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01L
管理番号 1322014
審判番号 不服2015-22323  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-18 
確定日 2016-12-16 
事件の表示 特願2011-530345「センサ膜」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日国際公開、WO2010/040239、平成24年 3月 1日国内公表、特表2012-505378、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)10月5日(パリ条約による優先権主張2008年(平成20年)10月9日(以下、「優先日」という。)、スイス)を国際出願日とする国際出願であって、平成25年8月30日付けの拒絶理由の通知に対し平成26年2月28日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月1日付けの拒絶理由の通知に対し平成27年3月4日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月17日付けで拒絶査定(同年同月19日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年12月18日に拒絶査定不服審判が請求された。
その後、当審において平成28年7月22日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年10月25日付けで意見書及び手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」等という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定された、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
圧力又は力センサ(1)に使用されるセンサ膜であって、前記センサ膜は、外縁部(4)及び内縁部(5)によって区切られており、前記外縁部(4)は、耐圧態様でセンサ・ハウジング(6)に接続され、前記内縁部(5)は、耐圧態様で可動プランジャ(7)に移行しており、前記センサ膜の偏位は、前記センサ・ハウジング(6)内の測定要素(8)によって検出されることができ、前記センサ膜は、前記外縁部(4)と前記内縁部(5)との間に1つ又は複数の弾性領域(3)を含み、それぞれの前記弾性領域(3)はその中央に最も薄い単一の点(D)を有しており、前記弾性領域(3)の材料厚み(d)が、この最も薄い点(D)の両側で徐々に増大する、センサ膜において、
それぞれの弾性領域(3)の膜の断面が、弧の方向に対して凸形外側形状(10)及び凹形内側形状(11)を有する弧形状(9)を含むことを特徴とする、センサ膜。
【請求項2】
前記弾性領域(3)の1つ又は両方の形状(10、11)が、少なくとも部分的に円弧によって画定されることを特徴とする、請求項1に記載されたセンサ膜。
【請求項3】
前記弧(9)の前記縁部における材料厚み(d2)が、中央における材料厚み(d1)の少なくとも1.3倍の大きさであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたセンサ膜。
【請求項4】
少なくとも10barの圧力差に耐えることができることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項5】
前記弾性領域(3)の前記凹形弧側(11)は、0.1?2.5mmの曲率半径を有することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項6】
前記弾性領域(3)の前記凸形弧側(10)は、0.5?5mmの曲率半径を有することを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項7】
前記弾性領域(3)の最も薄い材料厚み(d1)が、0.02?1mmであることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項8】
前記弧(9)は、外側を向いていることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項9】
前記弧(9)は、内側を向いていることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項10】
前記内縁部(5)と前記外縁部(4)との間の前記センサ膜は、ちょうど1つ又はちょうど2つの弾性領域(3)を含み、前記弾性領域(3)は、1つの凸形外側形状(4)及び1つの凹形内側形状(11)をそれぞれ有する、ことを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項11】
前記センサ膜は、金属、ガラス、セラミック、結晶、又はガラス状合金から形成されることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載されたセンサ膜。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載されたセンサ膜を含むセンサ。
【請求項13】
前記センサは、圧力センサ、高圧センサ及び/又は燃焼室圧力センサであることを特徴とする、請求項12に記載されたセンサ。
【請求項14】
前記センサは、圧電センサ、圧電抵抗センサ、又は光センサであることを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載されたセンサ。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の請求項1?14に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された特開2007-132697号公報(以下、「引用例1」という。)、実願昭60-105129号(実開昭62-13263号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)、特開2004-347387号公報(以下、「引用例3」という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

2 原査定の理由についての判断
(1)引用例1
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。)。
(a)
「【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力センサ100のエンジン200への取付構造を示す概略断面図であり、図2は、図1中の圧力センサ100における受圧用ダイアフラム10近傍部の拡大図である。本圧力センサ100は、エンジン200の燃焼室202内の圧力を検出する燃焼圧センサとして適用されるものである。」

(b)
「【0016】
本例では、胴体部1は、その一端部側から受圧部としての受圧用ダイアフラム10、筒状をなすメタルケース20、筒状をなす金属ステム30、筒状をなすハウジング40が、順次、溶接やロウ付け、接着などにより接続され一体化されたものである。そして、この胴体部1の他端部すなわちハウジング40に対して、コネクタ部2が接続されている。」

(c)
「【0024】
メタルケース20は、ステンレスなどの金属製のものであり、金属ステム30の開口部31にはめ込まれて、接合固定されている。そして、上記受圧用ダイアフラム10は、このメタルケース20における胴体部1の一端部側すなわち胴体部1の燃焼室202側の端部に、接合されている。
【0025】
この受圧用ダイアフラム10は、たとえばステンレスなどの金属製円形板状のものであり、その一面11すなわち燃焼室202に面する一面11が、被測定圧力としての燃焼室202内の圧力Pを受ける受圧面11となっている。
【0026】
そして、この圧力センサ100のエンジン200への取付状態においては、燃焼室202内の圧力Pは、図1中の白抜き矢印に示されるように、胴体部1の一端部に位置する受圧用ダイアフラム10の受圧面11に印加され、この圧力Pの印加により、受圧用ダイアフラム10は、歪み変形するようになっている。」

(d)
「【0029】
本例では、このような圧力検出機構により、受圧用ダイアフラム10が受けた圧力Pが、金属ステム30の歪み部32に伝達され、この歪み部32の歪みに基づいて上記センシング部50から信号が出力されるようになっている。」

(e)
「【0031】
そして、このような圧力センサ100において、本実施形態では、図2に示されるように、受圧用ダイアフラム10は、複数回折り返された波板形状を有している。
【0032】
本実施形態では、図2に示されるように、受圧用ダイアフラム10において、圧力伝達部材60と接触している部位である接触部12は平坦な板状であり、この接触部12の周囲の部位が波板形状となっている。
【0033】
また、受圧用ダイアフラム10において、接触部12は、接触部12の周囲の部位よりも厚い。たとえば、接触部12の周囲の部位は200μm程度の厚さであり、接触部12はそれ以上、たとえば300μm程度の厚さであり、たとえば、接触部12は、接触部12の周囲の部位よりも100μm厚い。
(中略)
【0036】
受圧用ダイアフラム10を、このような波板形状を有するものにすることで、その波板の形状特性から、受圧用ダイアフラム10は、この波板形状の部分にてその波の間隔が広がったり狭まったりするように、バネ性を発揮する。」

(f)


(g)


・上記記載(a)より、
(ア)「圧力センサ100における受圧用ダイアフラム10」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(c)より、
(イ)「円形板状の受圧用ダイアフラム10は、胴体部1の燃焼室202側の端部に、接合されている」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(d)より、
(ウ)「圧力検出機構により、受圧用ダイアフラム10が受けた圧力Pが、金属ステム30の歪み部32に伝達され、この歪み部32の歪みに基づいてセンシング部50から信号が出力される」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(e)より、
(エ)「受圧用ダイアフラム10の接触部12は平坦な板状であり、周囲の部位よりも厚く、接触部12の周囲の部位は波板形状となっており、受圧用ダイアフラム10は、この波板形状の部分にてバネ性を発揮する」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(f)より、
(オ)「センシング部50は胴体部1内にある」との技術的事項が見て取れる。

・上記記載(g)より、
(カ)「受圧用ダイヤフラム10は、接触部12が中央部にあり、周縁部で胴体部1のメタルケース20に接合されている」との技術的事項が見て取れる。

イ 引用発明
以上の技術的事項(ア)ないし(カ)を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「圧力センサ100における受圧用ダイアフラム10であって、円形板状の受圧用ダイアフラム10は、その周縁部で胴体部1の燃焼室202側の端部に接合され、圧力検出機構により、受圧用ダイアフラム10が受けた圧力Pが、金属ステム30の歪み部32に伝達され、この歪み部32の歪みに基づいてセンシング部50から信号が出力され、センシング部50は胴体部1内にあり、受圧用ダイアフラム10の接触部12は、中央部にあり、平坦な板状で、周囲の部位よりも厚く、接触部12の周囲の部位が波板形状となっており、受圧用ダイアフラム10は、この波板形状の部分にてバネ性を発揮する、受圧用ダイアフラム10。」(以下、「引用発明」という。)

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された引用例2には、図面とともに、次の記載がある。
「 第1図(a)は本考案によるダイヤフラムの模式要部断面図、第1図(b)はその平面図である。
円板形状のダイヤフラム31があり、材料は耐蝕性が優れ、且つ機械的伸縮に対し耐久性のある、例えばテフロン等が使用される。
円板のダイヤフラムには平面部32と、円周領域に可撓部33の凹部が形成されており、平面部32の厚みを例えば1.5mm程度にすると、可撓部33の厚みは、その厚みの半分である0.8mm程度にすることちより、最も効果的な可撓構造することができる。」(5頁17行?6頁9行)

(3)引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された引用例3には、図面とともに、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】
(第1従来技術) 内燃機関の燃焼ガスの圧力(燃焼圧)等を測定するために、圧力センサが用いられている。図12に示す圧力センサは、ハウジング20と、ダイアフラム102と、センサ素子54と、伝達部材52を備えている。ダイアフラム102は、ハウジング20の内部と外部を区画する。センサ素子54は、ハウジング20内に配置され、加わった力に応じて出力値が変化する。伝達部材52は、ハウジング20内に配置され、ダイアフラム102に所定圧力が加わると図示下向きに変位してセンサ素子54に力を加える。」

(4)対比・判断
ア 本願発明1について
(ア)本願発明1と引用発明とを対比する。
a 受圧用のダイヤフラムは一般に膜状のものであり、引用発明においても「受圧用ダイアフラム10において、‥‥‥接触部12の周囲の部位は200μm程度の厚さであり、接触部12はそれ以上、たとえば300μm程度の厚さであ」(上記(1)ア(e))るから、「受圧用ダイアフラム10」は膜状であるといえる。そうすると、引用発明における「圧力センサ100における受圧用ダイアフラム10」は、本願発明1の「圧力又は力センサ(1)に使用されるセンサ膜」に相当する。
b 引用発明において、「円形板状の受圧用ダイアフラム10」は、「中央部にあ」り、「平坦な板状で、周囲の部位よりも厚」い「接触部12」に接続される部分と「周縁部」にある「胴体部1」に接合される部分との間にある部位を有し、「中央部にあ」る「接触部12」に接続される部分は内側の縁、「周縁部」にある「胴体部1」に接合される部分は外側の縁であるといえる。また、「受圧用ダイアフラム10」は圧力センサに使われるものであるから、「接触部12」に接続する部分や「胴体部1」に接合する部分は耐圧態様になっていることは明らかである。さらに、胴体部1は「その一端部側から受圧部としての受圧用ダイアフラム10、筒状をなすメタルケース20、筒状をなす金属ステム30、筒状をなすハウジング40が、順次、溶接やロウ付け、接着などにより接続され一体化されたもの」(上記(1)ア(b))であり、「センシング部50」を内部に有するから、センサハウジングであるといえる。その上、「圧力Pの印加により、受圧用ダイアフラム10は、歪み変形する」(上記(1)ア(c))から、「接触部12」は可動であるといえ、圧力Pによる受圧用ダイアフラム10の歪み変形は、「歪み部32の歪みに基づいて」胴体部1内にある「センシング部50」で検出されることになる。
そうすると、引用発明における「円形板状の受圧用ダイアフラム10は、その周縁部で胴体部1の燃焼室202側の端部に接合され、圧力検出機構により、受圧用ダイアフラム10が受けた圧力Pが、金属ステム30の歪み部32に伝達され、この歪み部32の歪みに基づいてセンシング部50から信号が出力され、センシング部50は胴体部1内にあり、」「受圧用ダイアフラム10の接触部12は、中央部にあ」ることは、本願発明1における「前記センサ膜は、外縁部(4)及び内縁部(5)によって区切られており、前記外縁部(4)は、耐圧態様でセンサ・ハウジング(6)に接続され、前記内縁部(5)は、耐圧態様で可動プランジャ(7)に移行しており、前記センサ膜の偏位は、前記センサ・ハウジング(6)内の測定要素(8)によって検出されることができ」ることに相当する。
c 引用発明において、「円形板状の受圧用ダイアフラム10」の「中央部にあ」る「接触部12」に接続される部分と「周縁部」にある「胴体部1」に接合される部分との間にある部位は、「接触部12の周囲の部位」であり、「波板形状」となっていて、「バネ性を発揮」するから、弾性を有する領域であるといえる。
そうすると、引用発明における「受圧用ダイアフラム10の接触部12は、中央部にあり、平坦な板状で、周囲の部位よりも厚く、接触部12の周囲の部位が波板形状となっており、受圧用ダイアフラム10は、この波板形状の部分にてバネ性を発揮する」ことと、本願発明1の「前記センサ膜は、前記外縁部(4)と前記内縁部(5)との間に1つ又は複数の弾性領域(3)を含み、それぞれの前記弾性領域(3)はその中央に最も薄い単一の点(D)を有しており、前記弾性領域(3)の材料厚み(d)が、この最も薄い点(D)の両側で徐々に増大する、センサ膜において、それぞれの弾性領域(3)の膜の断面が、弧の方向に対して凸形外側形状(10)及び凹形内側形状(11)を有する弧形状(9)を含むこと」は、共に、「前記センサ膜は、前記外縁部(4)と前記内縁部(5)との間に1つ又は複数の弾性領域(3)を含」む点で共通する。

(イ)以上のことから、本願発明1と引用発明とは、
「圧力又は力センサ(1)に使用されるセンサ膜であって、前記センサ膜は、外縁部(4)及び内縁部(5)によって区切られており、前記外縁部(4)は、耐圧態様でセンサ・ハウジング(6)に接続され、前記内縁部(5)は、耐圧態様で可動プランジャ(7)に移行しており、前記センサ膜の偏位は、前記センサ・ハウジング(6)内の測定要素(8)によって検出されることができ、前記センサ膜は、前記外縁部(4)と前記内縁部(5)との間に1つ又は複数の弾性領域(3)を含む、センサ膜。」
である点で一致する一方、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明1においては、「それぞれの前記弾性領域(3)はその中央に最も薄い単一の点(D)を有しており、前記弾性領域(3)の材料厚み(d)が、この最も薄い点(D)の両側で徐々に増大」し、「それぞれの弾性領域(3)の膜の断面が、弧の方向に対して凸形外側形状(10)及び凹形内側形状(11)を有する弧形状(9)を含む」のに対し、引用発明では、「接触部12の周囲の部位」の「バネ性を発揮する」「波板形状」の具体的な形状が特定されていない点。

(ウ)相違点の判断
上記相違点について判断する。
引用例2、引用例3のいずれにも、ダイヤフラムに相当するセンサ膜のそれぞれの弾性領域がその中央に最も薄い単一の点を有しており、弾性領域の材料厚みが、この最も薄い点の両側で徐々に増大し、それぞれの弾性領域の膜の断面が、弧の方向に対して凸形外側形状及び凹形内側形状を有する弧形状を含むことについて記載されていないから、本願発明1の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、本願発明1は上記相違点に係る構成を有することにより、本願明細書段落【0012】に記載されたような効果を奏すると認められる。

(エ)したがって、本願発明1は、引用例1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし14について
請求項2ないし14は、いずれも、請求項1を直接又間接的に引用するものであるから、本願発明2ないし14は、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用例1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)小括
以上のとおりであるから、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、以下のとおりである。

「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



請求項1の「それぞれの前記弾性領域(3)は最も薄い点(D)を有しており」という記載からすると、請求項1に係る発明には、それぞれの弾性領域(3)の中央以外に、最も薄い点(D)が複数ある場合が含まれるが、当該場合については発明の詳細な説明に記載されていないから、請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」

2 当審拒絶理由についての判断
本件補正により、本件補正前の請求項1の「それぞれの前記弾性領域(3)は最も薄い点(D)を有しており」という記載が、「それぞれの前記弾性領域(3)はその中央に最も薄い単一の点(D)を有しており」(下線は補正箇所を示す。)と補正されたことにより、本件補正後の請求項1に係る発明に、それぞれの弾性領域(3)の中央以外に、最も薄い点(D)が複数ある場合が含まれないことになったから、請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
したがって、当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由及び当審拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-06 
出願番号 特願2011-530345(P2011-530345)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01L)
P 1 8・ 537- WY (G01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 續山 浩二  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 中塚 直樹
関根 洋之
発明の名称 センサ膜  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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