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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1322017
審判番号 不服2015-7096  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-15 
確定日 2016-11-29 
事件の表示 特願2013-103317「プログラムガイド情報獲得方法及びこれに適したプログラムガイド方法並びにプログラムガイド装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 9日出願公開、特開2013-179679〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年4月27日(パリ条約による優先権主張1998年9月5日、韓国)に出願した特願平11-120609号の一部を平成15年7月16日に新たな特許出願とした特願2003-275692号の一部を平成22年1月20日に新たな特許出願とした特願2010-10019号の一部を平成25年5月15日に新たな特許出願としたものであって、平成26年2月26日付けの拒絶理由通知に対し、平成26年6月6日付けで手続補正がなされたが、平成26年12月25日付けで拒絶査定がなされた。

本件は、上記拒絶査定を不服として、平成27年4月15日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされ、当審における平成28年2月16日付けの最後の拒絶理由通知に対し、平成28年5月23日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成28年5月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(ア)本件補正は、本件補正前の平成27年4月15日付け手続補正の特許請求の範囲の

「【請求項1】
オーディオデータ、ビデオデータ及び付加情報を含むデジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)を受信するチューナと、
前記付加情報からチャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるチャンネルデータを得るプロセッサと、
ユーザがチャンネルをサーチするために前記チャンネルデータのチャンネル番号を探索できるようにするユーザインターフェースを含み、
前記付加情報は、ATSC標準による前記チャンネルデータとMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含み、
前記チャンネルデータは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルグループからなり、各チャンネルグループは2-部分番号を備え、各チャンネル番号は第1部分であるメーンチャンネル番号と第2部分であるプログラム番号を有し、
前記チャンネルデータは、前記MPEG標準による前記トランスポートストリームに含まれたプログラムを得るために、前記MPEG標準によるプログラム関連情報を含む前記PSIテーブルに関連されており、
前記チャンネル番号の探索は、前記チャンネルグループの前記2-部分番号間、及び前記チャンネルグループ間に2次元チャンネル探索が可能であることを特徴とするデジタルテレビ受信機。
【請求項2】
前記チャンネルデータの前記一つ以上のチャンネル番号は、垂直的及び水平的に羅列されることを特徴とする請求項1に記載のデジタルテレビ受信機。」

を、平成28年5月23日付け手続補正により、

「【請求項1】
オーディオデータ、ビデオデータ及び付加情報を含むデジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)を受信するチューナと、
前記付加情報からチャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるEPG情報を得るプロセッサと、
ユーザが前記EPG情報からのチャンネル及びプログラムを探索できるようにするユーザインターフェースを含み、
前記付加情報は、ATSC標準による前記EPG情報とMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含み、
前記EPG情報から生成されるプログラムリストは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムは該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号で表示され、
前記第1番号は前記各チャンネルによって異なり、前記第2番号は前記プログラムリストに含まれる全チャンネルに対して共通の基本番号から始まり、
前記各チャンネル間、及び前記プログラム間に2次元チャンネル探索が可能である
ことを特徴とするデジタルテレビ受信機。」

と補正するものである。

なお、下線は、補正箇所である。

(イ)特許請求の範囲の上記補正前後の構成を対比すると、以下のように補正するものである。

補正事項1
補正前の請求項1の「チャンネルデータ」を、
「EPG情報」とする。

補正事項2
補正前の請求項1の「チャンネルをサーチするために前記チャンネルデータのチャンネル番号」を、
「前記EPG情報からのチャンネル及びプログラム 」とする。

補正事項3
補正前の請求項1の「前記チャンネルデータは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルグループからなり、各チャンネルグループは2-部分番号を備え、各チャンネル番号は第1部分であるメーンチャンネル番号と第2部分であるプログラム番号を有し、
前記チャンネルデータは、前記MPEG標準による前記トランスポートストリームに含まれたプログラムを得るために、前記MPEG標準によるプログラム関連情報を含む前記PSIテーブルに関連されており、」を、
「前記EPG情報から生成されるプログラムリストは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムは該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号で表示され、
前記第1番号は前記各チャンネルによって異なり、前記第2番号は前記プログラムリストに含まれる全チャンネルに対して共通の基本番号から始まり、」とする。

補正事項4
補正前の請求項1の「前記チャンネル番号の探索は、前記チャンネルグループの前記2-部分番号間、及び前記チャンネルグループ間」を、
「前記各チャンネル間、及び前記プログラム間」とする。

補正事項5
補正前の請求項2を削除する。

2.補正の適否
(ア)新規事項の追加の有無について
(ア-1)補正事項1?4について
明細書の段落0022、0046?0049、0072、図4?図6等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反しない。

(ア-2)補正事項5について
請求項を削除する補正であり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反しない。

(イ)補正の目的について
(イ-1)当審における最後の拒絶理由について
当審における平成28年2月16日付けの最後の拒絶理由通知における第36条に基づく拒絶理由の概要は次のとおりである。

「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1について
(1-1)「チャンネルデータ」は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。理由2のように解釈するのが正しいのであれば、発明の詳細な説明に記載された「EPG情報」と記載するのが望ましい。(中略)

(1-2)「前記チャンネルデータは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルグループからなり、各チャンネルグループは2-部分番号を備え、各チャンネル番号は第1部分であるメーンチャンネル番号と第2部分であるプログラム番号を有し」とあるが、上記(1-1)のように、「チャンネルデータ」は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。
また、「チャンネルグループ」、「2-部分番号」、「第1部分」、「第2部分」が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。
さらに、「チャンネル番号」は、チャンネルの番号であるが、それが、「プログラム番号を有」することは、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができないし、そもそも、チャンネル番号とプログラム番号は異なるものであり、チャンネル番号がプログラム番号を有するという構成が、理解できない。
そして、これらの記載が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができないため、「前記チャンネルデータは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルグループからなり、各チャンネルグループは2-部分番号を備え、各チャンネル番号は第1部分であるメーンチャンネル番号と第2部分であるプログラム番号を有し」が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。(中略)

(1-3)「前記チャンネルデータは、前記MPEG標準による前記トランスポートストリームに含まれたプログラムを得るために、前記MPEG標準によるプログラム関連情報を含む前記PSIテーブルに関連されており」とあるが、チャンネルデータがEPG情報のことであるとしても、EPG情報とPSIに関する記載としては、「このような付加データにはMPEGで規定しているプログラム関連情報に対するテーブルであるプログラム仕様情報(Program Specific Information;以下PSIと称する)及び前述したようなEPG情報が含まれる。」(段落0022)と記載されているのみであり、発明の詳細な説明には、チャンネルデータ(EPG)とPSIが関連していることの具体的な記載がなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。

(1-4)「前記チャンネル番号の探索は、前記チャンネルグループの前記2-部分番号間、及び前記チャンネルグループ間に2次元チャンネル探索が可能である」とあるが、上記(1-2)のように、「チャンネルグループ」、「2-部分番号」が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。また、これらの記載が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができないため、「前記チャンネル番号の探索は、前記チャンネルグループの前記2-部分番号間、及び前記チャンネルグループ間に2次元チャンネル探索が可能である」が、発明の詳細な説明に記載したものでなく、発明の詳細な説明を見てもその意味を理解することができない。(以下略)」

(イ-2)補正事項1について
補正前は、発明の詳細な説明に記載されていない「チャンネルデータ」という不明瞭な用語を用いていたが、「EPG情報」と補正することにより、記載が明瞭となったものであるから、明瞭でない記載の釈明であり、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものであるから、補正事項1は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(イ-3)補正事項2について
補正事項1と同様に、「チャンネルデータ」を「EPG情報」と補正したことに伴い、さらに、探索する対象を明瞭にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明であり、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものであるから、補正事項2は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(イ-4)補正事項3について
補正事項1と同様に、「チャンネルデータ」を「EPG情報」と補正し、また、発明の詳細な説明に記載されていない「チャンネルグループ」という不明瞭な用語を「チャンネル」と補正し、「2-部分番号」、「第1部分」、「第2部分」については、その意味が明瞭になるように補正したものであるから、明瞭でない記載の釈明であり、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものであるから、補正事項3は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(イ-5)補正事項4について
補正前は、「チャンネルグループ」、「2-部分番号」という記載が不明瞭であったため、何の間で2次元チャンネル探索が可能であるか不明瞭であったが、補正により、チャンネル間、プログラム間で2次元チャンネル探索が可能であることが明瞭となるように補正したものであるから、明瞭でない記載の釈明であり、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものであるから、補正事項4は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(イ-6)補正事項5について
請求項を削除する補正であるから、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定された請求項の削除を目的とするものに該当する。

3.むすび
本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項、ないし、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項、ないし、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A?Hについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」、・・・、「構成H」という。)

「A オーディオデータ、ビデオデータ及び付加情報を含むデジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)を受信するチューナと、
B 前記付加情報からチャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるEPG情報を得るプロセッサと、
C ユーザが前記EPG情報からのチャンネル及びプログラムを探索できるようにするユーザインターフェースを含み、
D 前記付加情報は、ATSC標準による前記EPG情報とMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含み、
E 前記EPG情報から生成されるプログラムリストは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムは該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号で表示され、
F 前記第1番号は前記各チャンネルによって異なり、前記第2番号は前記プログラムリストに含まれる全チャンネルに対して共通の基本番号から始まり、
G 前記各チャンネル間、及び前記プログラム間に2次元チャンネル探索が可能である
H ことを特徴とするデジタルテレビ受信機。」

2.刊行物発明
(ア)刊行物1
当審の拒絶理由に引用された、特開平10-13756号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「テレビジョン放送受信装置」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】近年、テレビジョン放送において、番組の主情報(映像,音声等)に番組表を作成するために必要な情報(番組表情報)を多重化して放送し、受信装置側でこの番組表情報を基に番組表を作成しこれを画面上に表示し、視聴者が画面上において番組の選択,予約を行なうEPG(Electronic Program Guide)が実用化されている。
【0003】たとえばMPEG2を用いたディジタル放送では、伝送信号の規格の一つとして、欧州DVB(Digital Video Broadcasting)があるが、このDVB規格では、視聴者が番組を選択,予約する際の手助けとなる情報として、SI(ServiceInformation)が伝送される。これはサービス(放送局)毎に、一定時間毎に送出される情報であり、サービスを識別するためのサービスid,番組を識別するための番組id,番組のタイトル,番組の放送開始時刻,番組の放送時間長が含まれる。また、番組の情報として、DVB-SIに、番組が属するグループを識別するグループidを追加することも考えられている。」

「【0021】次に、本実施の形態1によるテレビジョン放送受信装置の動作について説明する。チューナ部2は周波数を選択することによりアンテナ1を介してディジタル放送の電波を受信し、これをディジタル信号に復調する。チューナ部2で受信された復調されたディジタル信号は信号分離部3に入力される。信号分離部3はディジタル信号をパケット識別子に基づいて分離し、映像/音声を映像/音声再生部4に出力し、番組/グループ情報を番組情報取得部8に出力する。ここで番組情報は、ディジタル放送信号が欧州DVB規格に準拠する場合は、EIT(EventInformatio Table)の内容であり、サービス識別子,番組識別子,放送開始時刻,放送時間長,番組のタイトル,あらすじや出演者などの番組の詳細情報などが含まれる。番組情報として、DVB-SIにグループidを追加することも考えられている。また、グループ情報はDVB-SIの一つとして新規テーブルで伝送されるもので、グループ間の包含関係,グループに含まれる番組の識別子などの情報が含まれる。
【0022】映像/音声再生部4は信号分離部3から渡された、たとえばMPEGなどでディジタル圧縮された映像/音声をデコードして再生し、映像についてはこれを映像合成部6に出力し、音声についてはこれを音声出力部5に出力する。
【0023】一方、番組情報取得部8では、信号分離部3で分離,抽出された番組情報を受け取ると、その番組情報が番組情報管理部9から要求されている番組情報であるかどうかのフィルタリングを行ない、必要な番組情報,及びグループ情報のみを番組情報管理部9に送出する。番組情報管理部9に送られた番組情報,及びグループ情報は、それぞれ番組情報DB10,及びグループ情報DB11に格納され管理される。番組情報DB10には、実際に送出されている番組よりも約1?2週間先までの番組情報が格納される。
【0024】ここで、番組情報管理部9は、受け取った番組情報と既に番組情報DB10に格納されている対応する番組情報とを比較し、番組放送開始時刻等の内容が更新されていれば、番組情報DB10に格納されている情報を更新し、また、受け取ったグループ情報と既にグループ情報DB11に格納されている対応するグループ情報とを比較し、その内容が更新されていれば、グループ情報DB11に格納されている情報を更新する。
【0025】番組表表示/操作部13は、上述のようにして番組情報DB10,グループ情報DB11に格納された番組情報,及びグループ情報に基づいて、画面に表示する番組表を作成し、視聴者によるリモコン18の操作に応じ、表示内容の変更,番組の選局/予約/グループ予約の処理を行なう。この動作をより詳細に説明する。
【0026】まず、番組表による番組の選局/予約操作について説明する。視聴者のリモコン18の操作により、番組表表示/操作部13は、たとえば図2に示すような、現在時間と現在選局中のサービス(放送局)を含む番組表を番組情報管理部9から必要な番組情報を求めて作成し、映像合成部6を介して映像表示部(映像表示画面)7に番組表を表示する。ここで、上述のように番組情報管理部9が番組/グループ情報を受け取るたびに、これと既に番組情報DB10,グループ情報DB11に格納されている対応する番組等の情報とを比較して、内容が更新されているときに番組情報DB10,グループ情報DB11に格納されている対応する番組等の情報を更新するようにしているので、この番組情報DB10,グループ情報DB11に格納されている情報に基づいて作成される番組表を常に最新の情報に基づいたものとすることができる。視聴者はリモコン18を操作して番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択する。この番組の選択に応じて番組表表示/操作部13は、たとえば図3に示すような、「表示」,「番組予約」,「グループ予約」の項目を含む番組表を番組情報管理部9から必要な番組情報を求めて作成し、映像合成部6を介して映像表示部7にこの番組表を表示する。なお、この番組表には番組のタイトルの他に、出演者,あらすじ等の番組の説明を表示することにより視聴者の利便性をより向上させることができる。選択した番組が現在放送中の番組であれば、視聴者による「表示」の項目の選択に応じて、番組表表示/操作部13が対応する番組情報を基に、チューナ部2,信号分離部3,映像/音声再生部4に対応する番組の提示を指示する。これにより、受信したテレビジョン放送信号から選択した番組が抽出され表示画面上に表示される。」

上記記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮し、刊行物1について検討する。

(a)上記段落0002、0003、0021の記載から、刊行物1のテレビジョン放送受信装置は、番組の主情報(映像,音声)に番組表を作成するために必要な番組情報を多重化したMPEG2を用いたディジタル放送の電波を受信するチューナを含むものである。

(b)上記段落0023の記載から、刊行物1のテレビジョン放送受信装置は、番組情報を受け取り、フィルタリング等の処理をする番組情報取得部を含むものである。
そして、上記段落0025の記載から、番組情報は、番組の選局/予約の処理を行うための情報である。
したがって、刊行物1のテレビジョン放送受信装置は、番組の選局/予約の処理を行うための情報である番組情報を受け取り処理する番組情報取得部を含むものである。

(c)上記段落0025、0026の記載から、刊行物1のテレビジョン放送受信装置は、視聴者が、番組情報に基づいて表示された番組表において、番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択するリモコンを含むものである。

(d)上記段落0025、0026の記載から、刊行物1のテレビジョン放送受信装置の番組情報に基づいて表示された番組表は、現在時間と現在選局中のサービス(放送局)を含み、番組のタイトルを表示するものである。
ここで、図2をみると、現在選局中のサービス(放送局)を含む複数の放送局を含み、各放送局について複数の番組を含むものである。
すなわち、刊行物1のテレビジョン放送受信装置の番組情報に基づいて表示された番組表は、現在選局中のサービス(放送局)を含む複数の放送局を含み、各放送局について複数の番組を含み、番組のタイトルを表示するものである。

(e)上記段落0025、0026の記載から、刊行物1のテレビジョン放送受信装置の番組情報に基づいて表示された番組表は、リモコンを操作して番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択するものである。

したがって、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が開示されている。
なお、a?fについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成a」、・・・、「構成f」という。)

「a 番組の主情報(映像,音声)に番組表を作成するために必要な番組情報を多重化したMPEG2を用いたディジタル放送の電波を受信するチューナと、
b 番組の選局/予約の処理を行うための情報である番組情報を受け取る番組情報取得部と、
c 視聴者が、番組情報に基づいて表示された番組表において、番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択するリモコンを含み、
d 番組情報に基づいて表示された番組表は、現在選局中のサービス(放送局)を含む複数の放送局を含み、各放送局について複数の番組を含み、番組のタイトルを表示するものであり、
e リモコンを操作して番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択するものである
f テレビジョン放送受信装置。」

(イ)刊行物2
当審の拒絶理由に引用された、特開平10-117308号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「放送受信端末及び放送システム」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0016】番組の内容などを示す番組表は、新聞または情報誌などで予め知らされているが、例えば時間が不定期なスポーツ中継などが延長したり割り込んだりして、予定されていた放送時間が変更になることがある。また、番組表には番組毎に付された番号も記載されている。本実施形態では、この番号は8桁から成っており、図2に示すように、先頭の2桁がチャンネルの識別情報(ID)、次の2桁が番組自体のID、次の2桁が番組のジャンルID、そして最後の2桁が同一番組内をさらに放送内容で分類する場合の内容IDを表すものとする。
【0017】前記チャンネルIDは、本実施形態では1?30までのチャンネルを区別するために用いられ、次の2桁の番組IDは、同一チャンネル内において番組を区別できればよいので、この場合は1?99までの番組数まで設定できる。もちろん、チャンネルを問わずに番組を識別できるようなIDを設定してもよいが、チャンネルIDと番組IDの組み合せにて確実に区別できるため、番組ID自体のデータ量を大きくしないためにも本実施形態ではこのような設定をしている。また、次の2桁の番組ジャンルIDは、例えばスポーツ、ニュース、映画、お笑い、クイズ、歌、教育などを区別するためのものである。そして、最後の2桁の内容IDは、例えば1つの放送番組中においてCM部分とそれ以外の実質的な番組部分という内容を区別するための識別情報であったり、相撲中継における実際の取り組み部分とそれ以外の部分(力士を紹介している部分や仕切り部分)を区別するための識別情報である。」

「【0019】本実施形態では、放送センタ1から放送受信端末20へのデータはディジタルデータとして送信されることとなる。ディジタルデータであるので、1本のケーブルの中に全てのチャンネルからの映像データが分割されて送られてくる。分割された映像データにはこれまででもチャンネルを識別するためにチャンネル毎にチャンネル識別情報が付与されていた。今回は、チャンネルの他に新たに、上述した番組、番組ジャンルそして内容までも識別可能なIDが付与されている。
【0020】続いて、放送受信端末20の内部構成について説明する、放送受信端末20は、受信データから識別情報を読み出す識別情報読み出し装置21と、受信したデータを一定時間分ため込んでおける一時保持装置A23及び一時保持装置B24と、目的の識別情報のデータを抽出するデータ選択装置25と、映像と音声を再生する映像音声再生装置27と、映像と音声を出力する映像音声出力装置29と、利用者がその時点で見たいチャンネルに設定するときや、識別情報の予約をするときに使用するキー入力用のリモコン(リモート・コントローラ)50と、リモコンI/F31と、RAM33と、ROM35と、受信端末全体の制御を司るCPU37と、識別情報を設定中や設定後に確認するためなどに用いる液晶画面39とを備えている。」

上記記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮し、刊行物2について検討する。

(a)上記段落0016、0017の記載から、刊行物2には、新聞または情報誌などで予め知らされている番組表に、番組毎に付された番号を記載するものであり、この番号は、チャンネルID、番組IDを含み、番組IDは、同一チャンネル内において番組を区別できればよく、1?99までの番組数まで設定できるようにし、チャンネルIDと番組IDの組み合せにて確実に番組を区別できるようにすることが記載されている。

(b)上記段落0019、0020の記載から、刊行物2の放送受信端末は、放送センタから、チャンネル識別情報と上述した番組識別可能なIDが付与された映像データを受信するものである。
ここで、チャンネル識別情報と上述した番組識別可能なIDとは、上記(a)のチャンネルIDと番組IDを指すものである。

したがって、刊行物2には、以下の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が開示されている。

「放送センタから、チャンネルIDと番組IDが付与された映像データを受信する放送受信端末であって、
前記番組IDは、同一チャンネル内において番組を区別できればよく、1?99までの番組数まで設定できるようにし、チャンネルIDと番組IDの組み合せにて確実に番組を区別できるようにするものであり、
チャンネルIDと番組IDの組み合せによる番組毎に付された番号は、新聞または情報誌などで予め知らされている番組表に記載されるものである。」

3.本願発明と刊行物1発明との対比と一致点・相違点の認定
(ア)対比
(ア-1)本願発明の構成Aについて
刊行物1発明の構成aの「番組の主情報(映像,音声)」は、本願発明の構成Aの「オーディオデータ、ビデオデータ」に相当する。

刊行物1発明の構成aの「番組表を作成するために必要な番組情報」は、番組の主情報(映像,音声)に多重化した情報であるから、番組の主情報(映像,音声)に付加された情報であるといえる。
したがって、刊行物1発明の構成aの「番組表を作成するために必要な番組情報」と、本願発明の構成Aの「付加情報」は、『付加された情報』であるという点で共通する。
しかし、『付加された情報』に関して、刊行物1発明では、「番組表を作成するために必要な番組情報」、すなわち、番組表(EPG)を作成するための情報(EPG情報)を指すのに対して、本願発明では、構成Dのように、「ATSC標準による前記EPG情報とMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブル」、すなわち、EPG情報以外の情報を含むものである。

刊行物1発明の構成aの「MPEG2を用いたディジタル放送の電波」は、MPEG2の規格を使用しているものであるから、トランスポートストリームの形式を採用しているものであり、本願発明の構成Aの「デジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)」に相当する。

したがって、刊行物1発明の構成aと本願発明の構成Aは、「オーディオデータ、ビデオデータ及び付加された情報を含むデジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)を受信するチューナ」である点で共通する。

(ア-2)本願発明の構成Bについて
刊行物1発明の構成bの「番組情報」は、番組表すなわちEPGを作成するための情報であり、本願発明の「EPG情報」に相当する。
そして、刊行物1発明の構成bの「番組の選局/予約の処理を行うための情報」とは、構成cを考慮すると、番組情報に基づいて作成された番組表において、リモコンを用いて見たい番組のチャンネルを探して決定するための情報であるといえるから、刊行物1発明の構成bの「番組の選局/予約の処理を行うための情報である番組情報」は、本願発明の構成Bの「チャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるEPG情報」に相当する。
また、刊行物1発明の構成bの「番組情報取得部」は、番組情報を受け取り処理するものであり、情報を処理する処理装置すなわちプロセッサといえるから、刊行物1発明の構成bの「番組情報取得部」は、本願発明の構成Bの「プロセッサ」に相当する。
そうすると、刊行物1発明の構成bと本願発明の構成Bは、「チャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるEPG情報を得るプロセッサ」という点で共通する。
しかし、(ア-1)で論じたように、『付加された情報』に関して、刊行物1発明では、「番組表を作成するために必要な番組情報」(EPG情報)を指すのに対して、本願発明では、構成Dのように、EPG情報以外の情報を含むので、様々な情報を含む付加情報の中からEPG情報を得るものである。
すなわち、「EPG情報を得る」ことに関して、刊行物1発明の構成bは、本願発明の構成Bのように、「前記付加情報から」得るものではない点で相違する。

(ア-3)本願発明の構成Cについて
刊行物1発明の構成cの「視聴者が、番組情報に基づいて表示された番組表において、番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択する」とは、ユーザが、番組表の番組情報(EPG情報)を見て、見たいチャンネルや番組を探すことにより選択するものであるから、本願発明の構成Cの「ユーザが前記EPG情報からのチャンネル及びプログラムを探索」することに相当する。
また、刊行物1発明の構成cは、リモコンにより「番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択する」のであるから、本願発明の構成Cの「ユーザインターフェース」に相当する構成を有している。
したがって、刊行物1発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。

(ア-4)本願発明の構成Dについて
(ア-1)、(ア-2)でも論じたように、『付加された情報』に関して、刊行物1発明では、「番組表を作成するために必要な番組情報」(EPG情報)を指すのに対して、本願発明の「付加情報」は、「ATSC標準による前記EPG情報とMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含」むものであり、EPG情報はATSC標準によるものに限定され、また、EPG情報以外の情報を含む点で相違するものの、刊行物1発明と本願発明の構成Dは、「前記付加された情報は、前記EPG情報を含」む点で共通する。

(ア-5)本願発明の構成Eについて
刊行物1発明の構成dの「番組情報に基づいて表示された番組表」において、「番組情報」が、本願発明の「EPG情報」に相当し、「番組表」は、番組を表示したものであるから、本願発明の「プログラムリスト」に相当する。
したがって、刊行物1発明の構成dの「番組情報に基づいて表示された番組表」は、本願発明の構成Eの「前記EPG情報から生成されるプログラムリスト」に相当する。

また、刊行物1発明の構成dの番組表は、「現在選局中のサービス(放送局)を含む複数の放送局を含み、各放送局について複数の番組を含」んでいるので、複数のチャンネルを含んでおり、各チャンネルは、複数のプログラムを含んでいるといえるので、刊行物1発明の構成dの「現在選局中のサービス(放送局)を含む複数の放送局を含み、各放送局について複数の番組を含み、」は、本願発明の構成Eの「一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、」に相当する。

さらに、刊行物1発明の構成dの「番組のタイトルを表示する」について、番組のタイトルは、番組を特定する情報であるといえるので、本願発明の構成Eの「前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムは該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号で表示」とは、「前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムはプログラムを特定する情報で表示」という点で共通する。

したがって、刊行物1発明の構成dと本願発明の構成Eは、「前記EPG情報から生成されるプログラムリストは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムはプログラムを特定する情報で表示され、」という点で共通する。

しかし、プログラムを特定する情報に関して、刊行物1発明の構成dでは、「番組のタイトル」であるのに対し、本願発明の構成Eでは、「該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号」である点で相違する。

(ア-6)本願発明の構成Fについて
(ア-5)で検討したように、プログラムを特定する情報に関して、刊行物1発明の構成dでは、「番組のタイトル」であるのに対し、本願発明の構成Eでは、「該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号」である点で相違するので、刊行物1発明は、第1番号と第2番号に関してさらに限定する本願発明の構成Fのような構成を有しない点で相違する。

(ア-7)本願発明の構成Gについて
刊行物1発明の構成eの「リモコンを操作して番組を指すカーソルを移動させ、選択ボタンにより番組を選択する」ことについて、番組を指すカーソルは、番組表の上下左右方向に移動することが可能であり、異なるチャンネル、異なる番組を選択することが可能であることといえるから、刊行物1発明の構成eは、本願発明の構成Gに相当する。

(ア-8)本願発明の構成Hについて
刊行物1発明の構成fの「テレビジョン放送受信装置」は、構成aに記載されたように、「ディジタル放送の電波を受信する」ものであるから、本願発明の構成Hの「デジタルテレビ受信機」に相当する。

(イ)一致点・相違点
したがって、本願発明と刊行物1発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「オーディオデータ、ビデオデータ及び付加された情報を含むデジタル放送トランスポートストリーム(transport stream)を受信するチューナと、
チャンネルサーチ及びチューニングのために使用されるEPG情報を得るプロセッサと、
ユーザが前記EPG情報からのチャンネル及びプログラムを探索できるようにするユーザインターフェースを含み、
前記付加された情報は、前記EPG情報を含み、
前記EPG情報から生成されるプログラムリストは、一つ以上の互いに区別可能なチャンネルからなり、各チャンネルは、少なくとも一つ以上のプログラムを含み、前記各チャンネルに含まれるプログラムを特定するために、各プログラムはプログラムを特定する情報で表示され、
前記各チャンネル間、及び前記プログラム間に2次元チャンネル探索が可能である
デジタルテレビ受信機。」

(相違点)
相違点1
「付加された情報」に関して、本願発明では、「ATSC標準による前記EPG情報とMPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含」む付加情報であり、該付加情報からEPG情報を得るのに対し、刊行物1発明では、「番組表を作成するために必要な番組情報」(EPG情報)であり、ATSC標準によるかは限定されておらず、EPG情報以外の情報を含むものではなく、EPG情報とEPG情報以外の情報から「番組表を作成するために必要な番組情報」(EPG情報)を得るものではない点。

相違点2
プログラムを特定する情報に関して、本願発明では、「該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号」であり、さらに、「前記第1番号は前記各チャンネルによって異なり、前記第2番号は前記プログラムリストに含まれる全チャンネルに対して共通の基本番号から始ま」るのに対し、刊行物1発明では、「番組のタイトル」である点。

4.当審の判断
上記相違点について判断する。

相違点1について
当審の拒絶理由に引用された、「横山 幸雄 外4名著、ディジタル放送を支える先端技術:データ放送サービス、三菱電機技報第72巻 第8号、p.57-62.」の「2.データ放送の現状と標準化」にも記載されているように、電子番組に関する規格として、日本ARIB、米国ATSC、欧州DVBはいずれも当業者にとって周知の規格であり、いずれを採用するかは、どの地域で使用するかにより適宜決めれば良いことである。
また、MPEGにおいて、PSIを映像/音声や番組情報とともに送ることも当業者にとって周知の技術(例えば、当審の拒絶理由に引用された、特開平10-174011号公報の段落0002を参照。)である。
そうすると、「付加された情報」に関して、このような周知の技術を適用することにより、「番組表を作成するために必要な番組情報」(EPG情報)をATSC標準によるものとし、MPEG標準によるPSI(Program Specific Information)テーブルを含むようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、付加情報が、EPG情報とEPG以外の情報を含むものであれば、EPG情報を使用する場合に、付加情報からEPG情報を得るようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

相違点2について
上記2.(イ)に記載したように、刊行物2発明の番組IDは、同一チャンネル内において番組を区別できればよく、1?99までの番組数まで設定できるようにし、チャンネルIDと番組IDの組み合せにて確実に番組を区別できるようにするものである。
そうすると、番組IDは、各チャンネルで1から始まるものであるから、全チャンネルに対して共通の基本番号から始まるものといえる。
そして、刊行物2発明のチャンネルIDと番組IDの組み合せによる番組毎に付された番号は、新聞または情報誌などで予め知らされている番組表に記載するものであるが、そもそも、EPGは、新聞または情報誌などのような紙媒体の番組表をテレビの画面上でも見ることを可能にするためのものであるから、紙媒体の番組表で採用されている技術をEPGに適用しようとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、刊行物1発明の「番組のタイトル」を表示することにおいて、チャンネルIDと全チャンネルに対して共通の基本番号から始まる番組IDの組み合せによる番組毎に付された番号を表示する刊行物2発明を適用して、「各プログラムは該当チャンネルと係わる第1番号と前記第1番号と結合される第2番号からなる2-部分番号」であり、さらに、「前記第1番号は前記各チャンネルによって異なり、前記第2番号は前記プログラムリストに含まれる全チャンネルに対して共通の基本番号から始ま」るようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

以上のとおり、各相違点は格別のものではなく、本願発明に関する作用・効果も、刊行物1発明及び刊行物2発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 まとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と、刊行物2に記載された発明と周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-27 
結審通知日 2016-07-04 
審決日 2016-07-19 
出願番号 特願2013-103317(P2013-103317)
審決分類 P 1 8・ 574- WZ (H04N)
P 1 8・ 121- WZ (H04N)
P 1 8・ 571- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福西 章人赤穂 州一郎  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 清水 正一
渡辺 努
発明の名称 プログラムガイド情報獲得方法及びこれに適したプログラムガイド方法並びにプログラムガイド装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 崔 允辰  
代理人 阿部 達彦  
代理人 木内 敬二  

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