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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G01R 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G01R |
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管理番号 | 1322094 |
審判番号 | 不服2015-16627 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-09 |
確定日 | 2016-12-20 |
事件の表示 | 特願2011-250826「電子部品および測定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-104843、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年11月16日の出願であって、平成26年10月10日付けで拒絶理由が通知され、平成26年12月19日付けで手続補正がなされたが、平成27年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年9月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされ、当審で、平成28年7月22日付けで拒絶理由が通知され、平成28年8月22日付けで手続補正がなされ、平成28年9月13日付けて最後の拒絶理由が通知され、平成28年9月27日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本願発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される、次のとおりのもりである。 「【請求項1】 基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第2部材に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、 前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。 【請求項2】 前記第1電極は、互いに離間した複数の電極を含む、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項3】 前記接続経路は、前記複数の電極と、前記第2電極のうち、少なくとも2つを含む、 請求項2に記載の電子部品。 【請求項4】 前記第1電極が形成された領域は、前記第1部材上の領域のうち、前記第2部材に接続された導電部材と前記第2部材との接続部に最も近い領域を含む、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項5】 前記複数の電極の少なくとも1つが形成された領域は、前記第1部材上の領域のうち、前記第2部材に接続された導電部材と前記第2部材との接続部に最も近い領域を含む、 請求項2に記載の電子部品。 【請求項6】 前記第1電極と前記第2電極との間に空隙が形成された、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項7】 前記複数の電極間、および、前記複数の電極と前記第2電極との間に空隙が形成された、 請求項2に記載の電子部品。 【請求項8】 前記第1電極と前記第2電極との間にレジストが形成された、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項9】 前記複数の電極間、および、前記複数の電極と前記第2電極との間にレジストが形成された、 請求項2に記載の電子部品。 【請求項10】 前記測定部は、前記第1電極を含み、相互に異なる複数の接続経路のそれぞれに対応して複数備えられ、 複数の前記測定部それぞれに対して定められた、前記電気特性と前記第1接合部および前記第2接合部のうち少なくとも一方の損傷に関する指標との関係のうち、前記電気特性が測定された前記接続経路に対して定められた前記関係と、測定された前記電気特性とに基づいて、前記第1接合部および前記第2接合部のうち少なくとも一方の損傷に関する指標を演算する演算部と、をさらに備える、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項11】 前記演算部で求められる演算結果を出力する出力部をさらに備える、 請求項10に記載の電子部品。 【請求項12】 前記第1部材下に形成された第4電極と、 前記第2部材の、前記第3電極が形成された面の裏面に形成された第5電極と、をさらに備え、 前記接続経路は、前記第1電極と、前記第3電極、前記第4電極、および前記第5電極の少なくとも1つと、を接続する、 請求項1に記載の電子部品。 【請求項13】 基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第2部材に形成された第2電極と、 前記第2部材の、前記第2電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第2電極を囲むように一体に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第2電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第1電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、 前記第2電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。 【請求項14】 基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第2部材に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、を備える電子部品における測定方法であって、 測定部が、前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定ステップ を含む測定方法。 【請求項15】 基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第2部材に形成された第2電極と、 前記第2部材の、前記第2電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第2電極を囲むように一体に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第2電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第1電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、を備える電子部品における測定方法であって、 測定部が、前記第2電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定ステップ を含む測定方法。」 第3 平成28年9月13日付けの最後の拒絶理由について 1 当審における平成28年9月13日付けの最後の拒絶理由(以下、「当審における最後の拒絶理由」という。)は、次のとおりのものである。 「 理 由 <<<最後>>> 平成28年8月22日付けでした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 本件補正により、請求項1、14では、「前記第1部材上に形成された第1電極」が「前記第1部材に形成された第1電極」と補正され、「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように形成された第2電極」が「前記第1部材の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極」と補正された(下線は、補正により削除された発明特定事項である。以下、同様。)。 また、請求項4、5では、電極が形成された領域に関して「前記第1部材上の領域」が、「前記第1部材の領域」と補正された。 同様に、請求項13、15では、「前記第1部材上に形成された第1電極」が「前記第1部材に形成された第1電極」と補正された。 しかし、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、(第1部材上ではなく)第1部材に第1電極と第2電極を形成し、かつ、第2部材に第3電極を形成することも、(第1部材上ではなく)第1部材に第1電極を形成し、かつ、第2部材に第2電極と第3電極を形成することも、記載されていない。 よって、本件補正は、新たな技術的知見(電極を、第1部材上以外に形成しても良い)により特許請求の範囲を拡張する補正であって、新規事項を追加するものである。」 2 当審における最後の拒絶理由の当否 本件補正は、請求項1、14について、本件補正前に「前記第1部材に形成された第1電極」とあったところを「前記第1部材上に形成された第1電極」と補正し、本件補正前に「前記第1部材の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極」とあったところを「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように形成された第2電極」と補正し、また、請求項4、5について、電極が形成された領域に関し、本件補正前に「前記第1部材の領域」とあったところを「前記第1部材上の領域」と補正するものである。 そして、出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲には、請求項1、14に「前記第1部材上に形成された第1電極」、及び「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように形成された第2電極」と記載され、請求項4、5は、電極が形成された領域に関し、「前記第1部材上の領域」と記載されているから、本件補正により、本件補正後の特許請求の範囲の記載は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲の範囲内のものとなった。 よって、上記「当審における最後の拒絶理由」は解消した。 第4 本願発明の新規性、進歩性について 上記当審における最後の拒絶理由に「なお、当該補正がなされた明細書、特許請求の範囲又は図面における請求項1ないし15に記載した事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないことが明らかであるから、当該請求項に係る発明については新規性、進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。」と付記したことから、さらに、本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明について、原査定の理由、及び当審において平成28年7月22日付けで通知した拒絶理由の当否について、以下、判断する。 1 原査定の理由について (1)原査定の拒絶の理由の概要 理由1(原査定の理由とはなっていないので、省略) 理由2 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) (理由2、3について) 請求項1-5、8-10、14、15、17-19 引用文献1 本願の請求項1-5、8-10、14、15、17-19に係る発明は、引用文献1に記載された発明であり、また、本願の請求項1-5、8-10、14、15、17-19に係る発明は、引用文献1に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものである。 請求項1、8、17-19 引用文献2 備考: この出願の請求項1、8、17-19に係る発明の発明特定事項と、引用文献2に記載された発明の発明特定事項との間に差異はない。 したがって、本願の請求項1、8、17-19に係る発明は、引用文献2に記載された発明であり、また、本願の請求項1、8、17-19に係る発明は、引用文献2に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものである。 (理由3について) 請求項6、7 引用文献1、3 請求項11-13 引用文献等1、4 請求項16 引用文献等1、5 引 用 文 献 等 一 覧 1.国際公開第2008/149445号 2.特開平10-74800号公報 3.特開2007-35891号公報 4.特開2002-159523号公報 5.特開2008-277457号公報 (2)原査定の拒絶の理由で引用された刊行物 (引用文献1) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、国際公開2008/149445号(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「[0014] 以下、図面を用いて本発明の好適な実施例を説明するが、まず、図1のAから図3のCにより、本発明が適用されるBGA構造の従来の構成及び問題点について説明する。 [0015] 図1のAは、従来のBGAの構成を説明する組立図である。図1のAにおいて、符号1がLSI,2が中継基板であるBGA基板、3がプリント回路基板を示している。この例では、LSI1は半田ボールを用いたBGAによってBGA基板2に実装される。BGA基板2の裏面にはマトリクス状に端子が設けられており、各端子には図1のBに示すように、半田ボール5が取り付けられている。そして、プリント回路基板3の上には、半田ボール5に対応する位置に回路パターンに接続する導電性のパッド6が設けられている。」 「[0019] 一方、本発明者は、図1のCと図2に示すようなBGA構造においては、一般的にBGA基板2の外形周辺部、特に、BGA基板2の四隅、即ち図1のCの符号5Cで示す部分に多くのストレスが印加され、半田接合部にクラックが発生して半田接合部が破断する不具合もこの部分で発生することを見出した。本発明はこの事実から、BGA基板2に対してストレスが発生し易い場所で半田接合部の破断を、診断用の電極パッドを設けることによって診断し、半田接合部が完全に破断する前に予め検出することによって、電子機器のシステム障害を事前に予防する診断装置及び方法を実現したので、以下に説明する。 [0020] 図4のAは本発明の診断装置の基本構成における動作を説明するものである。図4のAに示す部位は、図1のCのP部と同じ部位である。なお、本発明を説明するに当たっては、図1のAから図3のCで説明した部材と同じ構成部材については、同じ符号を付して説明する。 [0021] 本発明では、プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、診断用の電極パッド16とし、この診断用の電極パッド16を少なくとも2つの独立したテストパッドに分割し、分割したテストパッド間の導通を定期的に診断できる装置を設ける。図4のAに示した構成では、プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、4つの独立したパッドであるテストパッド16A,16B,16C及び16Rに分割する。そしてテストパッド16Rを基準として、テストパッド16R-16A間に導通チェッカ8A,テストパッド16R-16B間に導通チェッカ8B,テストパッド16R-16C間に導通チェッカ8Cを設ける。 [0022] 半田接合部5Aにクラックの発生がない場合は、導通チェック時に、導通チェッカ8A,8B,8Cの全てが導通を検出する。一方、半田接合部5Aにクラック9が発生し、クラック9がテストパッド16Cの部分まで発生した場合は、導通チェック時に、導通チェッカ8A,8Bは導通を検出するが、導通チェッカ8Cは導通を検出しない。よって、クラック9が僅かに入ったことが検出できる。更に、半田接合部5Aのクラック9が進行し、クラック9がテストパッド16Bの部分まで進行した場合は、導通チェック時に、導通チェッカ8Aは導通を検出するが、導通チェッカ8B,8Cは導通を検出しない。よって、クラック9が半田接合部5Aの半分迄進行したことが検出できる。 [0023] 図5Aは、本発明の半田接合部を有する電子装置の診断装置の第1の実施例の構成を示すものであり、図5のBは図5のAの一部分の部分拡大図である。第1の実施例では、半田接合部の診断を行うプリント回路基板3の上にマトリクス状に設けられているパッド6のうち、BGA基板2の四隅に対応するパッド6を、図5のBに示すように診断用の電極パッド16とし、これらをそれぞれテストパッド16A,16B,16C及び16Rに分割する。診断用の電極パッド16は半田接合部にクラックが入りやすい方向(ストレスが印加される方向)に直交する方向に分割する。 [0024] テストパッド16A,16B,16C及び16Rは、それぞれリード線21により診断装置20に接続する。診断装置20には、図5のBに示すように、導通チェッカ8A、8B,8Cの機能を備えた診断部22がある。診断部22にはコンピュータのような演算回路がある。テストパッド16A,16B,16C及び16Rは、それぞれリード線21により診断部22の端子C,B,A,Rに接続している。4つの診断装置20は全て同じ診断動作を行う。」 引用文献1における上記記載より、次の技術事項を読み取ることができる。 ア 段落[0014]より、引用文献1に記載された発明は、「BGA基板2の裏面にはマトリクス状に端子が設けられており、各端子には、半田ボール5が取り付けられており、そして、プリント回路基板3の上には、半田ボール5に対応する位置に回路パターンに接続する導電性のパッド6が設けられている」ものに適用されるものであることがわかる。 イ 段落[0021]より、「プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、診断用の電極パッド16とし、この診断用の電極パッド16を少なくとも2つの独立したテストパッドに分割し、分割したテストパッド間の導通を定期的に診断できる装置を設け、プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、4つの独立したパッドであるテストパッド16A,16B,16C及び16Rに分割し、そしてテストパッド16Rを基準として、テストパッド16R-16A間に導通チェッカ8A,テストパッド16R-16B間に導通チェッカ8B,テストパッド16R-16C間に導通チェッカ8Cを設ける。」との技術事項を読み取ることができる。 ウ 段落[0024]より、「テストパッド16A,16B,16C及び16Rは、それぞれリード線21により診断装置20に接続し、診断装置20には、導通チェッカ8A、8B,8Cの機能を備えた診断部22がある。」との技術事項を読み取ることができる。 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「半田接合部を有する電子装置の診断装置であって、 BGA基板2の裏面にはマトリクス状に端子が設けられており、各端子には、半田ボール5が取り付けられており、そして、プリント回路基板3の上には、半田ボール5に対応する位置に回路パターンに接続する導電性のパッド6が設けられており、 プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、診断用の電極パッド16とし、この診断用の電極パッド16を少なくとも2つの独立したテストパッドに分割し、分割したテストパッド間の導通を定期的に診断できる装置を設け、プリント回路基板3の上の所望のパッド6を、4つの独立したパッドであるテストパッド16A,16B,16C及び16Rに分割し、そしてテストパッド16Rを基準として、テストパッド16R-16A間に導通チェッカ8A,テストパッド16R-16B間に導通チェッカ8B,テストパッド16R-16C間に導通チェッカ8Cを設け、テストパッド16A,16B,16C及び16Rは、それぞれリード線21により診断装置20に接続し、診断装置20には、導通チェッカ8A、8B,8Cの機能を備えた診断部22がある、 診断装置。」 (引用文献2) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平10-74800号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の技術事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップのフェイスダウン接続による実装あるいはBGA(Ball Grid Array)パッケージ実装に関する半導体装置の実装構造、実装用基板および実装状態の検査方法に関する。」 「【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明の半導体装置の実装構造は、半導体装置上に形成される外部電極の一つに対して、少なくとも2つ以上に分割された実装用パッドを対応させて基板上に設け、外部電極をはんだバンプを介して実装用パッドに接続したものである。 【0009】また、本発明の実装状態の検査方法は、前述の半導体装置の実装構造において、分割された2つ以上の実装用パッド間の導通状態を検査することによって、はんだバンプと実装用パッドとの接続状態を検査するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0011】本実施形態は、半導体チップを配線基板に実装するものであって、特に半導体チップ上に形成された一つの電極に対して、配線基板上に形成された少なくとも2つ以上の実装用パッドを対応させて接続するものである。そして、半導体チップ上の一つの電極と接続された実装用パッド間の導通状態を検査することによって、半導体チップと配線基板との接続状態を検査するものである。 【0012】図1は、本実施形態の実装構造を示す図であり、図2は、図1に示される配線基板を示す平面図である。図1を参照すると、半導体チップ1は、外部電極2上に形成されたはんだバンプ3を介して配線基板4上に形成された2つの実装用パッド5aおよび5bに接続されている。なお、はんだバンプ2は、Sn/Pb、Sn/AgあるいはSn/In等のはんだ材料により形成されている。また、配線基板4は、プリント基板、セラミック基板あるいはフレキシブル基板等により形成される。実装用パッド5aおよび5bは、金あるいは銅等の導通に優れた金属あるいはそれらの金属上にはんだコートが施された材料により形成されており、かつ円形のパッドが分割されて得られる2つの半円状のパッドで1対をなしている。 【0013】半導体チップ1上に形成された電極2の一つに対応するように配線基板4上に設けられた2つの実装用パッド5aおよび5bは、内部配線7によって別々の外部パッド6aおよび6bに接続されている。ここで、外部パッド6aは、配線基板4の半導体チップ1側の表面に形成され、一方、外部パッド6bは、外部パッド6aが形成された面に対向する面(裏面)に形成されている。 【0014】実装用パッド5aおよび5bは、半導体チップ1と配線基板4との接続状態が良好であれば、はんだバンプ3を介して互いに接続されている。したがって、実装用パッド5aおよび5bと接続された外部パッド6aおよび6bとの間の導通状態を検査することによって、はんだバンプ3が実装用パッド6aおよび6bに確実に接続されていることを確認することができる。」 「【0022】また、前述の第1から第3の実施形態では、配線基板上に形成される実装用パッドとしては、円形のパッドを2分割して得られる2つの半円状の実装用パッドが適用されているが、実装用パッドの形状はこれに限られたものではない。本発明で適用可能な実装用パッドとしては、図5(a)から(f)に示されるようなものがある。さらに、半導体装置上に形成された1つの外部電極に対して2つ1組の実装用パッドを対応させて設けているが、3つ以上に分割されたパッドを1組とした実装用パッドを用いてもよいことは言うまでもない。」 「【0023】また、分割された実装用パッド5aおよび5bとの間の寸法Xは、半導体チップを実装する場合には、10?50μm程度、BGAパッケージを実装する場合には50?200μm程度が好ましい。 【0024】また、前述の第1から第3の実施形態では、外部パッド6aおよび6bが、配線基板4上の互いに対向する面にそれぞれ形成されているが、これに限られたものではなく、図6(a)に示されるように、配線基板4の半導体チップ1側の表面の外周部に双方を形成するような構成としてもかまわない。また、図6(b)に示されるように、それら外部パッド6aおよび6bの双方を配線基板の裏面に形成してもよい。」 また、図5(b)、(e)には、配線基板上に形成される実装用パッドとしては、円形若しくは方形のパッドを内外に2分割し、外側の実装用パッド5aが内側の実装用パッド5bを取り囲むように一体に形成されることが示されている。 よって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「半導体装置上に形成される外部電極の一つに対して、少なくとも2つ以上に分割された実装用パッドを対応させて基板上に設け、外部電極をはんだバンプを介して実装用パッドに接続し、分割された2つ以上の実装用パッド間の導通状態を検査することによって、はんだバンプと実装用パッドとの接続状態を検査する半導体装置の実装構造であって、 半導体チップ1上に形成された電極2の一つに対応するように配線基板4上に設けられた2つの実装用パッド5aおよび5bは、内部配線7によって別々の外部パッド6aおよび6bに接続され、実装用パッド5aおよび5bと接続された外部パッド6aおよび6bとの間の導通状態を検査することによって、はんだバンプ3が実装用パッド6aおよび6bに確実に接続されていることを確認することができ、 配線基板上に形成される実装用パッドとしては、円形若しくは方形のパッドを内外に2分割し、外側の実装用パッド5aが内側の実装用パッド5bを取り囲むように一体に形成される半導体装置の実装構造。」 (引用文献3) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2007-35891号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の技術事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 図1は、本実施の形態が適用される検査システムの構成を示した図である。図1に示す検査システムは、半田ボールを用いたBGAパッケージやCSPなどのパッケージが実装された測定基板100に対して、ストレスが掛かった状態を再現し、実際のプリント配線板にLSIなどが実装された状態でパッケージに半田クラックが発生していることを検出可能としている。この検査システムは、制御装置10と、測定装置20と、チャンネル切り替え装置30と、ストレス印加装置40と、複数のプローブからなるコンタクトプローブ50とを備えている。」 「【0022】 ストレス印加装置40は、制御装置10からの制御信号P(Control signal P)によって動作し、測定基板100の所定箇所に対してストレスを印加している。このストレスとしては加圧が代表的なものであるが、この加圧の代わりに、プリント配線板102の端部を掴んで揺らす等の変位を与える場合も挙げられる。」 「【0023】 この検査システムの動作原理では、測定基板100の半田ボール111に対してプリント配線板102側のコンタクトプローブ50(プローブピン51)から微少な電流を流し、その端子(パッド)102aの入力電圧特性を測定装置20にて測定している。そして、ストレスを加える前の第1の状態にて、電流・電圧特性の初期特性(第1の特性)を把握し、制御装置10のメモリに格納する。その後、ストレスを加えた後の第2の状態にて、第2の電流・電圧特性を把握する。そして、この第1の特性と第2の特性とを比較し、半田ボール111にクラックが有るか否かを判定している。即ち、測定にあたり、対象デバイスである測定基板100の端子(パッド)102aはコンタクトプローブ50を介して電流源21に、GNDピンは電流源21のGNDと接続する。このとき、端子(パッド)102aに微少電流を流すと、その端子(パッド)102aの入力特性を観察することができる。測定装置20は、曲げテストの開始前に各端子(パッド)102aの特性を測定し記憶しておく。そして、ストレスを規定回数、印加した後、測定基板100を曲げた状態で各端子(パッド)102aの電気特性を測定し、テスト開始以前に測定した値と比較する。この測定した値がテスト開始前の値と異なっている場合には、半田ボール111にクラックが発生したものと推定することができる。」 以上より、引用文献3には、次の技術が記載されているものと認められる。 「測定装置20と、ストレス印加装置40と、複数のプローブからなるコンタクトプローブ50とを備えた検査システムであって、 ストレス印加装置40は、制御装置10からの制御信号P(Control signal P)によって動作し、測定基板100の所定箇所に対してストレスを印加し、 測定基板100の半田ボール111に対してプリント配線板102側のコンタクトプローブ50(プローブピン51)から微少な電流を流し、その端子(パッド)102aの入力電圧特性を測定装置20にて測定し、 測定装置20は、曲げテストの開始前に各端子(パッド)102aの特性を測定し記憶しておき、そして、ストレスを規定回数、印加した後、測定基板100を曲げた状態で各端子(パッド)102aの電気特性を測定し、テスト開始以前に測定した値と比較し、この測定した値がテスト開始前の値と異なっている場合には、半田ボール111にクラックが発生したものと推定することができる、 検査システム。」 (引用文献4) 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2002-159523号公報(以下、「引用文献4」という。)には、次の技術が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品の排泄の有無を検知する排泄検知装置に関する。」 「【0053】図11に示すセンサ部2において、固い(曲がらない)基板7の一方の面(表面)には、一対の電極3,4を電極間隔5だけ離して並べて形成されている。一対の電極3,4の各電極は、櫛状に形成されており、一対の電極のうち、外側に配置される一方の電極3は、電極パターン6aに接続されている。内側に配置される他方の電極4は、電極パターン6bに接続されている。電極パターン6a,6bは、図12に示す周波数変換回路10に接続され、電極パターン6aは、接地され、電極パターン6bは、正電位が印加されるようになっている。一対の電極3,4上には電極間を電気的に絶縁し且つ電極を保護するためのレジスト層8が形成され、レジスト層8上には、おむつ等の吸収性物品の外側表面に取付可能な取付部材である結合バンド等の接着物9が形成されている。」 よって、引用文献4には、次の技術が記載されているものと認められる。 「おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品の排泄の有無を検知する排泄検知装置のセンサ部2おいて、基板7の一方の面(表面)に、一対の電極3,4が電極間隔5だけ離して並べて形成され、一対の電極3,4上には電極間を電気的に絶縁し且つ電極を保護するためのレジスト層8が形成される、排泄検知装置のセンサ部2。」 (引用文献5) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2008-277457号公報(以下、「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【0016】 (第1の実施の形態) 本発明の第1の実施の形態にかかる積層型半導体装置について、図1を参照して説明する。 【0017】 図1は第1の実施の形態における積層型半導体装置の構成を示す図であり、図1(a)は第1の半導体装置および第2の半導体装置単体での構成を示す断面図、図1(b)は第1の半導体装置に第2の半導体装置を積層した積層型半導体装置の構成を示す断面図である。図1(c)は第1の半導体装置の裏面図であり、積層型半導体装置の外部端子となる 半田ボールの配置を示す図である。 【0018】 図1に例示する本実施の形態の積層型半導体装置は第1の半導体装置1上に第2の半導体装置2を積層してなる。下段となる第1の半導体装置1は、第1の半導体チップ3aを第1の配線基板1aの主面にアンダーフィル樹脂を設けてフリップチップ実装し、第1の配線基板1aの主面に対する裏面に外部電極となる半田ボール2bを格子状に配置する。上段となる第2の半導体装置2は、第2の配線基板1bと第2の半導体チップ3bが第2の配線基板1bの主面を上に実装されたワイヤーボンディング方式や、もしくは第2の配線基板1bの主面を下にして層間部材によって接続されたフリップチップボンディング方式で電気的接続が形成され、主に封止樹脂4により第2の半導体チップ3bが形成された主面を保護した構造からなる。第1の半導体チップ3aからなる第1の半導体装置1と第2の半導体チップ3bからなる第2の半導体装置2はあらかじめ個別工法によって製造されたものであって、製品の基板に実装する前に双方の半導体装置電極間を半田ボール2bによって電気的に接続して積層型半導体装置とする。」 よって、引用文献5には、次の技術が記載されているものと認められる。 「積層型半導体装置であって、第1の半導体装置1上に第2の半導体装置2を積層してなり、下段となる第1の半導体装置1は、第1の半導体チップ3aを第1の配線基板1aの主面にフリップチップ実装し、第1の配線基板1aの主面に対する裏面に外部電極となる半田ボール2bを格子状に配置し、上段となる第2の半導体装置2は、第2の配線基板1bの主面を下にして層間部材によって接続されたフリップチップボンディング方式で電気的接続が形成された、積層型半導体装置。」 (3)対比・判断 (本願発明1について) ア 引用発明1と本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)とを対比する。 (ア)引用発明1における「プリント回路基板3」が、本願発明1における「基板状の部材である第1部材」に相当する。 (イ)引用発明1における「BGA基板2」が、本願発明1における「基板状の部材、または、半導体素子である第2部材」に相当する。 (ウ)引用発明1における「プリント回路基板3の上の所望のパッド6」を「分割し」た「診断用の電極パッド16」のうち、「導通チェッカ8A、8B,8C」の「基準」となる「テストパッド16R」(以下、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16R」という。)が、本願発明1における「前記第1部材上に形成された第1電極」に相当する。 (エ)引用発明1における「プリント回路基板3の上の所望のパッド6」を「分割し」た「診断用の電極パッド16」のうちの「テストパッド16A,16B,16C」(以下、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16A,16B,16C」という。)は、「テストパッド16R」とともに、「プリント回路基板3の上の所望のパッド6」を「分割」して形成したものであるから、本願発明1における「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極」とは、「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の近傍の領域に形成された第2電極」の点で共通する。 (オ)引用発明1における「BGA基板2の裏面」の「端子」が、本願発明1における「前記第2部材に形成された第3電極」に相当する。 (カ)引用発明1における「BGA基板2の裏面」の「端子」と、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16R」との「半田接合部」が、本願発明1における「前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部」に相当する。 (キ)引用発明1における「半田接合部」は、「BGA基板2の裏面」の「端子」と「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16A,16B,16C」とを接合する接合部であるから、本願発明1における「前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部」とは、「前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部」の点で共通する。 (ク)引用発明1における「診断装置20」は、「導通チェッカ8A、8B,8Cの機能を備えた診断部22があり」、「テストパッド16Rを基準として、テストパッド16R-16A間に導通チェッカ8A,テストパッド16R-16B間に導通チェッカ8B,テストパッド16R-16C間に導通チェッカ8Cを設け、テストパッド16A,16B,16C及び16Rは、それぞれリード線21により診断装置20に接続し」ているから、本願発明1における「前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部」に相当する。 イ よって、引用発明1と本願発明1との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第2部材に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、 前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。」 (相違点1) 本願発明1では、「第2電極」が、「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成され」ているのに対し、引用発明1における「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16R」は、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16A,16B,16C」とともに、「プリント回路基板3の上の所望のパッド6」を「分割」して形成したものであるが、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16A,16B,16C」は、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16R」を囲むように一体に形成されてはいない点。 (相違点2) 本願発明1では、前記第1電極と前記第3電極と接合する「第1接合部」と、前記第2電極と前記第3電極と接合する「第2接合部」とは、「離間」しているのに対し、引用発明1では、「BGA基板2の裏面」の「端子」と「テストパッド16A,16B,16C及び16R」との「半田接合部」は、「離間」していない点。 ウ そこで、上記相違点について検討すると、 (ア)相違点1について 引用文献3?5には、部材上に、第1電極に対して第2電極を囲むように一体に形成することが記載も示唆もされていない。 よって、引用発明1において、「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16A,16B,16C」が「プリント回路基板3の上」の「テストパッド16R」を囲むように一体に形成し、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (イ)相違点2について 一方の基板の裏面の電極と、該電極に接合される他方の基板の分割された電極との間の「接合部」について、一方の基板の裏面の電極と他方の基板の分割された電極の一つとの「接合部」と、一方の基板の裏面の電極と他方の基板の分割された他の電極の一つとの「接合部」を「離間」させることは、引用文献3?5に記載も示唆もされていない。 よって、引用発明1において、「BGA基板2の裏面」の「端子」と「テストパッド16A,16B,16C及び16R」との「半田接合部」とを「離間」させ、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 エ よって、本願発明1は、引用発明1と同一ではなく、また、引用発明1及び引用文献3?5に記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 オ 次に、本願発明1と引用発明2とを対比する。 (ア)引用発明2における「配線基板4」が、本願発明1における「基板状の部材である第1部材」に相当する。 (イ)引用発明2における「半導体装置」である「導体チップ1」が、本願発明1における「基板状の部材、または、半導体素子である第2部材」に相当する。 (ウ)引用発明2における「半導体装置上に形成される外部電極の一つ」である「半導体チップ1上に形成された電極2」が、本願発明1における「前記第2部材に形成された第3電極」に相当する。 (エ)引用発明2において、「配線基板上に形成される実装用パッドとしては、円形若しくは方形のパッドを内外に2分割し、外側の実装用パッド5aが内側の実装用パッド5bを取り囲むように一体に形成される」際の、「内側の実装用パッドb」が、本願発明1における「前記第1部材上に形成された第1電極」に相当する。また、その際の引用発明2における「外側の実装用パッド5a」が「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極」に相当する。 (オ)引用発明2における「半導体チップ1上に形成された電極2の一つに対応するように配線基板4上に設けられた2つの実装用パッド5aおよび5bは、内部配線7によって別々の外部パッド6aおよび6bに接続され、実装用パッド5aおよび5bと接続された外部パッド6aおよび6bとの間の導通状態を検査することによって、はんだバンプ3が実装用パッド6aおよび6bに確実に接続されていることを確認する」検査部が、本願発明1における「前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部」に相当する。 (カ)引用発明2における「はんだバンプ」は、「半導体装置上に形成される外部電極」(つまり、「半導体チップ1上に形成された電極2」)を、「はんだバンプ」を介して「少なくとも2つ以上に分割された」「実装用パッド実装用パッド」(つまり、「実装用パッド6aおよび6b」)に「接続」するものであるから、本願発明1における「前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部」及び「前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部」とは、「前記第1電極と前記第3電極とを接合し、前記第2電極と前記第3電極とを接合する接合部」の点で共通する。 (キ)引用発明2における「半導体装置の実装構造」、つまり「半導体チップ1」を「実装」した「配線基板4」が、本願発明1における「電子部品」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明2との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第2部材に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部と、 前記第1電極と前記第3電極とを接合し、前記第2電極と前記第3電極とを接合する接合部と、 前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。」 (相違点) 本願発明1では、接合部が、「前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部」と、「前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部」とからなるのに対し、引用発明2における「はんだバンプ」は、「半導体装置上に形成される外部電極」(つまり「半導体チップ1上に形成された電極2」)と、「少なくとも2つ以上に分割された」「実装用パッド実装用パッド」(つまり、「実装用パッド6aおよび6b」)とを、離間することなく「接続」している点。 カ そこで、上記相違点について検討すると、引用発明2は「はんだバンプ3が実装用パッド6aおよび6bに確実に接続されていることを確認すること」を目的としているのであって、はんだバンプ3の接続不良の進行度合いの検出に着眼したものではないから、引用発明2における「はんだバンプ」を、「半導体装置上に形成される外部電極」(つまり「半導体チップ1上に形成された電極2」)と、分割された実装用パッドのうちの「実装用パッド6a」とを接続する第1の「はんだバンプ」と、「半導体装置上に形成される外部電極」(つまり「半導体チップ1上に形成された電極2」)と、分割された実装用パッドのうちの「実装用パッド6b」とに、離間して接続することは、何ら動機付けられないことである。 よって、引用発明2において、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことではない。 キ よって、本願発明1は、引用発明2と同一ではなく、また、引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (請求項13に係る発明について) 本願の請求項13に係る発明は、本願発明1において、「第1の部材上」に形成された電極と、「第2の部材」に形成された電極とを入れ替えたものに相当する(なお、本願の請求項13に係る発明における「第1電極」は、本願発明1の「第3電極」に対応し、本願の請求項13に係る発明における「第2電極」は、本願発明1の「第1電極」に対応し、本願の請求項13に係る発明における「第3電極」は、本願発明1の「第2電極」に対応する。)。 そうすると、上記「(本願発明1について)」「イ」、「ウ」、「オ」、「カ」にて述べた対比、判断は、上記のとおり、実質的に、「第1の部材上」に形成された電極と、「第2の部材」に形成された電極とを入れ替えたものに相当する本願の請求項13に係る発明にも当てはまる。 よって、本願の請求項13に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「イ」、「ウ」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1と同一ではなく、また、引用発明1及び引用文献3?5に記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 また、本願の請求項13に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「オ」、「カ」にて述べたのと同様の理由により、引用発明2と同一ではなく、また、引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (請求項2?12に係る発明について) 本願の請求項2?12に係る発明は、本願発明1について、さらに技術的限定を付加した発明であるから、上記「(本願発明1について)」「イ」、「ウ」にて述べたのと同様の理由によって、本願の請求項2?12に係る発明は、引用発明1と同一ではなく、また、引用発明1及び引用文献3?5に記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 また、本願の請求項2?12に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「オ」、「カ」にて述べたのと同様の理由によって、引用発明2と同一ではなく、また、引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (請求項14、15に係る発明について) 本願の請求項14、15に係る発明は、本願の請求項1、13に係る発明を測定方法として表現したものであるから、上記「(本願発明1について)」「イ」、「ウ」、及び「(請求項13に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1と同一ではなく、また引用発明1及び引用文献3?5に記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 同様に、本願の請求項14、15に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「オ」、「カ」、及び「(請求項13に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明2と同一ではなく、また引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願の請求項1?15に係る発明は、原査定の拒絶の理由で拒絶することはできない。 2 当審における平成28年7月22日付けの拒絶の理由(以下、「当審における最初の拒絶の理由」という。)について (1)当審における最初の拒絶の理由の概要 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) (請求項1、14に関して) 1 請求項1、14に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 請求項1、14に係る発明と引用文献3に記載された発明との相違点は、格別なものであるとはいえないから、請求項1、14に係る発明は、引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (請求項13、15に関して) 1 請求項13、15に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 請求項13、15に係る発明は、引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (請求項2?12に関して) 請求項2?12に記載された構成は、引用文献1?3に記載されているか、記載されていないとしても格別なものとはいえないから、請求項2?12に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか、又は、引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2009-264959号公報 2.特開平2-147868号公報 3.特開2009-111108号公報 (2)当審における最初の拒絶理由で引用された刊行物 (引用文献A) 当審の拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2009-264959号公報(以下、「引用文献A」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 この発明は、車載用電子機器などに用いる回路基板に実装された半導体パッケージの半田接続部の接続異常を検知する接続異常検知装置およびその装置を用いた車載用電子機器に関するものである。」 「【0015】 実施の形態1. まず、この発明に係る接続異常検知装置の原理構成について説明する。図1はこの発明の原理構成図である。図1において、半導体パッケージ101は半田接続部102a、102b、102cを介して回路基板103に実装されている。半田接続部102aは信号用半田接続部であり、半田接続部102bは接続異常を検知するための抵抗計測対象の被抵抗計測半田接続部である。また、半田接続部102cは配線取り出し用半田接続部であって、半導体パッケージ101のIC内部配線104により被抵抗計測半田接続部102bに接続されている。 【0016】 被抵抗計測半田接続部102bの回路基板103と接する側は定電圧源105に接続されている。また、配線取り出し用半田接続部102cの回路基板103と接する側は高精度の参照抵抗106を介してアース電位などの接続異常検知装置に共通する共通電位107に接続されている。 【0017】 電圧測定手段108は、被抵抗計測半田接続部102bと定電圧源105が接続される点V1、配線取り出し用半田接続部102cと参照抵抗106が接続される点V2、および参照抵抗106と共通電位107が接続される点V3の電圧を測定する。そして、抵抗算出手段109は、電圧測定手段108で測定された前記電圧測定点V1、V2、V3の測定電圧値Vout1、Vout2、Vout3を用いることにより、後述する方法で被抵抗計測半田接続部102bの抵抗値Rrを算出する。そして、被抵抗計測半田接続部102bの抵抗値Rrを元に異常判定手段110により、接続異常を判定する。なお、図1中の符号111は被抵抗計測半田接続部102bの抵抗を示している。 【0018】 以上、この発明に係る接続異常検知装置の原理構成について説明したが、次に、具体的実施の形態について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る接続異常検知装置を説明する構成図で、図1と共通の部分は同一符号を付している。なお、以降の実施の形態においては、半田接続部として半田ボールを用いた場合を例に挙げて説明する。」 「【0021】 電圧選択手段であるスイッチ201は、例えばアナログスイッチやリレーなど制御信号によって出力が制御されるものである。スイッチ201は、被抵抗計測半田ボール102bの抵抗111と定電圧源105が接続されている点V1の電圧Vout1、配線取り出し用半田接続部102cと参照抵抗106が接続される点V2の電圧Vout2、および参照抵抗106と共通電位107が接続される点V3の電圧Vout3の3つの電圧を選択して入力することが可能であり、その出力は増幅手段である増幅器202にアナログ信号として入力され増幅される。増幅器202で増幅されたアナログ信号は、AD変換手段であるAD変換器203によりデジタル信号に変換される。 【0022】 AD変換器203においてデジタル信号に変換された信号は、マイクロコントローラ204で処理される。マイクロコントローラ204は、スイッチ201の制御を行う制御部205と、電圧Vout1、電圧Vout2、電圧Vout3、および被抵抗計測半田ボール102bの抵抗値Rrを記録するメモリ206と、メモリ206に記録されたデータをもとに抵抗値Rrを算出する抵抗値算出部207と、抵抗値算出部207で算出された抵抗値Rrと予めメモリ206に記憶された初期抵抗値Rr0を用いて抵抗変化ΔRrを算出する抵抗変化算出部208と、抵抗変化算出部208で算出された抵抗変化ΔRrに基づいて接続異常判定の信号を出力する異常判定部209とにより構成される。」 「 【0049】 実施の形態2. 次に、この発明の実施の形態2に係る接続異常検知装置について説明する。図6は実施の形態2に係る接続異常検知装置を説明する構成図で、半導体パッケージのコーナー部分に設けた複数の被抵抗計測半田ボール102bの抵抗値を測定できるように拡張した実施の形態を示す図である。 【0050】 図6において、図1と共通の部分は同一の符号を用いて表し、説明を省略する。また、図の簡略化のため、信号用半田ボールの表示を省略する。図6において、抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4が半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられている。被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4は、IC内部配線104により半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102cに接続されており、配線取り出し用半田ボール102cは回路基板配線601を介して参照抵抗106に接続されている。配線取り出し用半田ボール102cを共通にすることにより、一般的に信号線に使うことの多い半導体パッケージ101の中心付近の半田ボールを節約でき、通常、高価である高精度の参照抵抗106を1つで実現できる利点がある。 【0051】 被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4は、回路基板配線602を介して配線選択手段である配線選択スイッチ603bに接続されている。配線選択スイッチ603bは、被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4のうち、どの被抵抗計測半田ボールの抵抗値を測定するかを選択するものである。」 以上より、引用文献Aには、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 「半導体パッケージ101は半田接続部102a、102b、102cを介して回路基板103に実装され、半田接続部102aは信号用半田接続部であり、半田接続部102bは接続異常を検知するための抵抗計測対象の被抵抗計測半田接続部であり、また、半田接続部102cは配線取り出し用半田接続部であって、半導体パッケージ101のIC内部配線104により被抵抗計測半田接続部102bに接続されており、 電圧測定手段108は、被抵抗計測半田接続部102bと定電圧源105が接続される点V1、配線取り出し用半田接続部102cと参照抵抗106が接続される点V2、および参照抵抗106と共通電位107が接続される点V3の電圧を測定し、そして、抵抗算出手段109は、電圧測定手段108で測定された前記電圧測定点V1、V2、V3の測定電圧値Vout1、Vout2、Vout3を用いることにより、被抵抗計測半田接続部102bの抵抗値Rrを算出し、そして、被抵抗計測半田接続部102bの抵抗値Rrを元に異常判定手段110により、接続異常を判定する、接続異常検知装置であって、 スイッチ201は、被抵抗計測半田ボール102bの抵抗111と定電圧源105が接続されている点V1の電圧Vout1、配線取り出し用半田接続部102cと参照抵抗106が接続される点V2の電圧Vout2、および参照抵抗106と共通電位107が接続される点V3の電圧Vout3の3つの電圧を選択して入力することが可能であり、その出力は増幅手段である増幅器202にアナログ信号として入力され増幅され、増幅器202で増幅されたアナログ信号は、AD変換手段であるAD変換器203によりデジタル信号に変換され、AD変換器203においてデジタル信号に変換された信号は、マイクロコントローラ204で処理され、マイクロコントローラ204は、抵抗値Rrを算出する抵抗値算出部207と、抵抗変化ΔRrを算出する抵抗変化算出部208と、抵抗変化算出部208で算出された抵抗変化ΔRrに基づいて接続異常判定の信号を出力する異常判定部209とにより構成され、 半田接続部として半田ボールを用い、半導体パッケージのコーナー部分に設けた複数の被抵抗計測半田ボール102bの抵抗値を測定できるように拡張した実施の形態では、抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4が半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられ、被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4は、IC内部配線104により半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102cに接続されており、配線取り出し用半田ボール102cは回路基板配線601を介して参照抵抗106に接続されている、接続異常検知装置。」 (引用文献B) 当審における最初の拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平2-147868号公報(以下、「引用文献B」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「3.発明の詳細な説明 〔産業上の利用分野〕 本発明は接続検査装置に係わり、特に外部から接続面の視認が困難な高密度実装されて電子回路部品の接続検査に好適な接続検査装置に関する。」 「〔実施例〕 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。 第1図は本発明の一実施例である接続検査装置の一部を示す概略構成図であり、第2図は本実施例の欠陥接続部に対する接続検出の説明図である。 本実施例の接続検査装置は、第1図に示すように、検査対象の電子部品1が回路基板2上に、基板側パッド3、該基板側パッド3に接続されている接続用はんだ4および該接続用はんだ4に接続されている部品側パッド5の各々を介して接続搭載されている。なお、第1図から明らかなように、接続部は電子部品1と回路基板20間に挟まれており、外部から目視することはできない。基板側パッド3の各々には、引出し配線6が接続され、その他端は回路基板2上に設けられている検査用パッド7に接続されている。」 よって、引用文献Bには、次の技術が記載されているものと認められる。 「検査対象の電子部品1が回路基板2上に、基板側パッド3、該基板側パッド3に接続されている接続用はんだ4および該接続用はんだ4に接続されている部品側パッド5の各々を介して接続搭載されている、接続検査装置。」 (引用文献C) 当審における最初の拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2009-111108号公報(以下、「引用文献C」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、チップ部品の実装構造および実装方法に関し、特に無鉛はんだを用いたチップ部品の配線基板への実装後、チップ部品の電極端子下面の接合部に発生したクラックの進展を、従来の実装構造よりも遅らせ、チップ部品の電気的導通信頼性の向上を図ったチップ部品の実装構造および実装方法に関するものである。」 「【0013】 〔第1の実施の形態〕 図1(a)は、本発明のチップ部品の実装構造の第1の実施の形態を示す上面図であり、図1(b)はその断面図である。ボディ部1とボディ部1の端部に形成された電極端子2から構成されるチップ部品7は、電極パッド4を有する配線基板6上に実装されている。ここで、電極端子2は、導電部材3を介して電極パッド4に接続されている。電極パッド4は、本発明に従い、チップ部品7の電極端子2間方向に二つに、すなわち外側パッド4aと内側パッド4bの二つに分割されている。本実施の形態のように、配線基板平面方向における形状が長方形である2012R、3216R、5025Rと呼ばれるチップ部品の場合には、電極端子2間方向に二つに分割されることは、ボディ部1の長手方向に二つに分割されることになる。その分割の際に、外側パッド4aと内側パッド4bとの間に形成されるスリット5が、チップ部品7下を横断するようになされる。そして、このスリット5は、上面がチップ部品7に接触する絶縁樹脂9により充填されている。よって、スリット5形成箇所において、導電部材3は分断されることになる。」 「【0017】 〔第2の実施の形態〕 図2(a)は、本発明のチップ部品の実装構造の第2の実施の形態を示す上面図であり、図2(b)は、その断面図である。図2において、図1に示す第1の実施の形態の部分と同等の部分には同一の参照符号を付し重複する説明は適宜省略する(以下の他の実施の形態についても同様である)。本実施の形態の図1に示す第1の実施の形態と相違する点は、配線基板6上でチップ部品7のボディ部1の下面以外の箇所に検査パッド11が設けられ、この検査パッド11が内側パッド4bと配線10を介して接続されていることである。 いま、内側パッド4bとチップ部品7の電極端子2間にある導電部材3内で、チップ部品7の中心に近い側からクラックが発生し、そのクラックが絶縁樹脂9まで進展したとすると、内側パッド4bとチップ部品7の電極端子2はクラックにより接続不良となる。このとき検査パッド11と外側パッド4aもしくは検査パッド11同士〔図2(a)のA-B間もしくはB-C間〕の電気抵抗値は、内側パッド4b上でクラックが進展するほど上昇する。そのためA-B間、B-C間の電気抵抗値を測定することにより、外観で観察することが困難であったクラック発生の有無、クラックの進展状況を判断することができ、チップ部品の電気的導通不良が起こる可能性について予測することができる。 また、チップ部品7と配線基板6上に実装された他の電子部品との接続は、外側パッド4aを介して配線しておけば、内側パッドにクラックが発生し、進展した場合でも、チップ部品自身の電気的導通には問題なく、回路は正常に動作することができる。」 「【0021】 〔第5の実施の形態〕 図5(a)は、本発明のチップ部品の実装構造の第5の実施の形態を示す断面図であり、図5(b)は、実装されるチップ部品7の底面図であり、図5(c)?(e)は、図5(a)のX-X’線で見た上面図である。図5(c)?(e)において実装されたチップ部品7の平面形状が点線にて示されている。本実施の形態の、図2に示す第2の実施の形態の実装構造と相違する点は、本実施の形態においては、平面形状が長方形のチップ部品7が、ボディ部1の四つのコーナ部にそれぞれ電極端子2を有しており、それに伴って配線基板6上にも四箇所に電極パッド4が設けられている。 【0022】 図5(c)に示す例では、電極端子2間の距離が最も長い方向〔図5(c)に示すY方向〕に電極パッド4を分割している。図5(d)に示す例では、ボディ部1の平面形状の長辺方向に電極パッド4を分割している。図5(e)に示す例では、ボディ部1の平面形状の長辺方向と短辺方向に電極パッド4を分割している。つまり、図5(e)に示す例では、電極パッドを四つに分割している。そして、最内側の内側パッド4bに検査パッド11を付設している。」 引用文献Cの上記記載より、次の技術事項を読み取ることができる。 ア 段落【0013】、【0021】、【0022】より、〔第5の実施の形態〕について、「平面形状が長方形のチップ部品7が、ボディ部1の四つのコーナ部にそれぞれ電極端子2を有しており、それに伴って配線基板6上にも四箇所に電極パッド4が設けられており、電極パッドを、ボディ部1の平面形状の長辺方向と短辺方向に、四つに分割し、最内側の内側パッド4bに検査パッド11を付設する。」との技術事項を読み取ることができる。 イ 段落【0021】には、〔第5の実施の形態〕について「本実施の形態の、図2に示す第2の実施の形態の実装構造と相違する点は、本実施の形態においては、平面形状が長方形のチップ部品7が、ボディ部1の四つのコーナ部にそれぞれ電極端子2を有しており、それに伴って配線基板6上にも四箇所に電極パッド4が設けられている。」と記載され、段落【0017】には、〔第2の実施の形態〕について「図1に示す第1の実施の形態の部分と同等の部分には同一の参照符号を付し重複する説明は適宜省略する(以下の他の実施の形態についても同様である)。本実施の形態の図1に示す第1の実施の形態と相違する点は、配線基板6上でチップ部品7のボディ部1の下面以外の箇所に検査パッド11が設けられ、この検査パッド11が内側パッド4bと配線10を介して接続されていることである。」と記載されている。さらに、段落【0013】には、〔第1の実施の形態〕について「電極端子2は、導電部材3を介して電極パッド4に接続されている」こと、及び、(電極端子2の)「分割の際に、外側パッド4aと内側パッド4bとの間に形成されるスリット5が、チップ部品7下を横断するようになされる。そして、このスリット5は、上面がチップ部品7に接触する絶縁樹脂9により充填されている。よって、スリット5形成箇所において、導電部材3は分断されることになる。」と記載されている。 よって、〔第5の実施の形態〕についても、段落【0017】より、「配線基板6上でチップ部品7のボディ部1の下面以外の箇所に検査パッド11が設けられ、この検査パッド11が内側パッド4bと配線10を介して接続されている」との技術事項、及び「このとき検査パッド11と外側パッド4a〔A-B間〕の電気抵抗値は、内側パッド4b上でクラックが進展するほど上昇し、そのためA-B間の電気抵抗値を測定することにより、外観で観察することが困難であったクラック発生の有無、クラックの進展状況を判断することができ、チップ部品の電気的導通不良が起こる可能性について予測することができる」との技術事項を読み取ることができる。 さらに、〔第5の実施の形態〕についても、段落【0013】より、「電極パッド4の分割の際に形成されるスリット55は、上面がチップ部品7に接触する絶縁樹脂9により充填されており、よって、スリット5形成箇所において、導電部材3は分断される。」との技術事項を読み取ることができる。 よって、引用文献Cには、次の発明(以下、「引用発明C」という。)が記載されているものと認められる。 「平面形状が長方形のチップ部品7が、ボディ部1の四つのコーナ部にそれぞれ電極端子2を有しており、それに伴って配線基板6上にも四箇所に電極パッド4が設けられており、電極端子2は、導電部材3を介して電極パッド4に接続され、電極パッド4を、ボディ部1の平面形状の長辺方向と短辺方向に、四つに分割し、最内側の内側パッド4bに検査パッド11を付設するが、配線基板6上でチップ部品7のボディ部1の下面以外の箇所に検査パッド11が設けられ、この検査パッド11が内側パッド4bと配線10を介して接続されており、電極パッド4の分割の際に形成されるスリット5は、上面がチップ部品7に接触する絶縁樹脂9により充填されており、よって、スリット5形成箇所において、導電部材3は分断され、このとき検査パッド11と外側パッド4a〔A-B間〕の電気抵抗値は、内側パッド4b上でクラックが進展するほど上昇し、そのためA-B間の電気抵抗値を測定することにより、、外観で観察することが困難であったクラック発生の有無、クラックの進展状況を判断することができ、チップ部品の電気的導通不良が起こる可能性について予測することができる、チップ部品7。」 (3)対比・判断 (本願発明1について) ア 本願発明1と、引用発明Aとを対比すると、引用文献Aに記載された「回路基板103」、「半導体パッケージ101」、「半田接続部102c」、「半田接続部」である「被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」は、それぞれ、本願発明1における「第1部材」、「第2部材」、「第1接合部」、「前記第1接合部と離間し」た「第2接合部」に相当する。 また、引用文献Aに記載された発明における「増幅部202」、「AD変換器203」及び「マイクロコントローラ204」は、本願発明1における「測定部」に相当する。 次に、引用発明Aにおける「半田接続部」において、半導体パッケージと、これを実装する回路基板にそれぞれ「電極」が設けられていることは明らかであるから、引用発明Aにおける「半田接続部102c」つまり、「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」における「半田接続部」と、本願発明1における「前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部」とは、「前記第1電極と前記第2部材に形成された電極と接合する第1接合部」の点で共通する。 次に、引用発明Aにおける「半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられ」た「半田接続部102b」、つまり、「抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」が、本願発明1における「前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第2部材に形成された電極と接合する第2接合部」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明Aとの一致点、相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第1電極と前記第2部材に形成された電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第2部材に形成された電極と接合する第2接合部と、 前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。」 (相違点) 本願発明1では、第2部材に形成された電極が「第3の電極」であって、「第3の電極」は「第1接合部」により「第1電極」と接合するとともに、「前記第1接合部と離間し」た「第2接合部」により、「前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された」「第2電極」と接合しているのに対し、引用発明Aでは、「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」における「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極と、「半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられ」た「抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」による「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極とが、同じ電極であることは示されておらず、また、「被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4は、IC内部配線104により半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102cに接続されて」おり、「被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」が「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」を「囲むように一体に形成され」ていない点。 イ 判断 そこで、上記相違点について検討すると、引用発明Aでは、「被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4が「IC内部配線104」により半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102cに接続されていることが、回路基板に実装された半導体パッケージの半田接続部の接続異常を検知する上で必須の構成であるから、「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」における「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極と、「半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられ」た「抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」による「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極とを、同じ電極とし、「IC内部」ではなく「回路基板」側で電気的に接続することは、通常考えられないことである。 さらに、半導体パッケージと回路基板との半田接続部の電気抵抗値を測定する2つの電極について、一方の電極が他方の電極を囲むように「一体に形成」することは、引用文献Bにも記載も示唆もされていない。 よって、引用発明Aにおいて、「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」における「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極と、「半導体パッケージ101のコーナー部分に設けられ」た「抵抗値測定対象の被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」による「半田接続部」と接続される「回路基板」の電極とを、同じ電極(本願発明1でいう、「第3の電極」)とするとともに、「被抵抗計測半田ボール102b1、102b2、102b3、102b4」が「半導体パッケージ101の中心付近の1つの配線取り出し用半田ボール102c」を「囲むように一体に形成され」るようにして、上記相違点に係る本願発明1の構成とするとこは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ まとめ 以上のとおり、本願発明1は、引用文献Aに記載された発明及び引用文献Bに記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 次に、引用発明Cと本願発明1とを対比する。 (ア)引用文献Cに記載された発明における「配線基板6」、「長方形のチップ部品7」が、それぞれ、本願発明1における「基板状の部材である第1部材」、「基板状の部材、または、半導体素子である第2部材」に相当する。 (イ)引用文献Cに記載された発明における、「ボディ部1の平面形状の長辺方向と短辺方向に、四つに分割」された、四箇所の「電極パッド4」のうち、「検査パッド11を付設」された「最内側の内側パッド4b」(4個)と、それ以外のパッド(12個)とが、それぞれ、本願発明1における「第1電極」、「第2電極」に相当する。 (ウ)次に、引用発明Cの「配線基板6上」において、「電極パッド4」のうちの「最内側の内側パッド4b」(4個)は、「それ以外のパッド(12個)」によって、「囲まれている」と見ることもできるから、引用発明Cの「配線基板6上」において、「電極パッド4」のうち、「最内側の内側パッド4b」(4個)以外、つまり「それ以外のパッド(12個)」によって「囲まれている」と見ることもできる「最内側の内側パッド4b」と、本願発明1における「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極」とは、「前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように形成された第2電極」の点で共通する。 (エ)引用発明Cにおける「長方形のチップ部品7」の「ボディ部1の四つのコーナ部」の「電極端子2」が、本願発明1における「第3電極」に相当する。 (オ)引用発明Cにおいて、「電極端子2は、導電部材3を介して電極パッド4に接続され」るが、「検査パッド11を付設」された「最内側の内側パッド4b」(4個)と「電極端子2」とを接合する「導電部材3」は、「それ以外のパッド(12個)」と「電極端子2」とを接合する「導電部材3」と、「スリット5形成箇所」の「絶縁性樹脂9」により「分断され」ている。 よって、引用発明Cにおいて、「電極パッド4」のうち、「最内側の内側パッド4b」(4個)以外、つまり「それ以外のパッド(12個)」と「電極端子2」と「導電部材3」により接合する部分が、本願発明1における「前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部」に相当する。 同様に、引用発明Cにおいて、「電極パッド4」のうちの「最内側の内側パッド4b」(4個)と「電極端子2」と「導電部材3」により接合する部分が、本願発明1における 「前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部」に相当する。 (カ)引用発明Cにおける「検査パッド11と外側パッド4a〔A-B間〕の電気抵抗値は、内側パッド4b上でクラックが進展するほど上昇し、そのためA-B間の電気抵抗値を測定する」ための測定部が、本願発明1における「前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部」に相当する。 よって、本願発明1と引用文献Cに記載された発明との一致点、相違点は、次のとおりのものである。 (一致点) 「基板状の部材である第1部材と、 基板状の部材、または、半導体素子である第2部材と、 前記第1部材上に形成された第1電極と、 前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、前記第1電極を囲むように一体に形成された第2電極と、 前記第2部材に形成された第3電極と、 前記第1電極と前記第3電極と接合する第1接合部と、 前記第1接合部と離間し、前記第2電極と前記第3電極と接合する第2接合部と、 前記第1電極を含む接続経路の電気特性を測定する測定部と、 を備える電子部品。」 (相違点) 本願発明1では、前記第1部材上の、前記第1電極が形成された領域の周囲の領域に、第2電極が、前記第1電極を囲むように「一体に形成され」ているのに対し、引用発明Cでは、「配線基板6上」において、「電極パッド4」のうちの「最内側の内側パッド4b」(4個)は、「それ以外のパッド(12個)」によって、「囲まれている」と見ることができるものの、「それ以外のパッド(12個)」は一体に形成されていない点。 オ 判断 そこで上記相違点について検討すると、引用発明Cの「配線基板6上」において、「それ以外のパッド(12個)」が、「最内側の内側パッド4b」(4個)を、囲むように「一体に形成され」るように構成したのでは、一体に形成された「それ以外のパッド」と「配線10」とが「配線基板6上」で交差してしまい、「配線基板6上でチップ部品7のボディ部1の下面以外の箇所に検査パッド11」と、「最内側の内側パッド4b」とを「配線10を介して接続」することが困難になることは、幾何学的に明らかである。 よって、引用発明Cの「配線基板6上」において、「電極パッド4」のうちの「最内側の内側パッド4b」(4個)以外、つまり「それ以外のパッド(12個)」が、「最内側の内側パッド4b」(4個)を囲むように「一体に形成され」るように構成することは、当業者が容易になし得たことではない。 カ まとめ 以上のとおり、本願発明1は、引用発明Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (請求項13に係る発明について) 本願の請求項13に係る発明は、本願発明1において、「第1の部材上」に形成された電極と、「第2の部材」に形成された電極とを入れ替えたものに相当する(なお、本願の請求項13に係る発明における「第1電極」は、本願発明1の「第3電極」に対応し、本願の請求項13に係る発明における「第2電極」は、本願発明1の「第1電極」に対応し、本願の請求項13に係る発明における「第3電極」は、本願発明1の「第2電極」に対応する。)。 そうすると、上記「(本願発明1について)」「ア」、「イ」、「エ」、「オ」にて述べた対比、判断は、上記のとおり、実質的に、「第1の部材上」に形成された電極と、「第2の部材」に形成された電極とを入れ替えたものに相当する本願の請求項13に係る発明にも当てはまる。 よって、本願の請求項13に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「ア」、「イ」にて述べたのと同様の理由により、引用発明A及び引用文献Bに記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本願の請求項13に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「エ」、「オ」にて述べたのと同様の理由により、引用発明Cから当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (請求項2?12に係る発明について) 本願の請求項2?12に係る発明は、本願発明1について、さらに技術的限定を付加した発明であるから、上記「(本願発明1について)」「ア」、「イ」にて述べたのと同様の理由によって、引用発明A及び引用文献Bに記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本願の請求項2?12に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「エ」、「オ」にて述べたのと同様の理由によって、引用発明Cから当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (請求項14、15に係る発明について) 本願の請求項14、15に係る発明は、本願の請求項1、13に係る発明を測定方法として表現したものであるから、上記「(本願発明1について)」「ア」、「イ」、及び「(請求項13に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明A及び引用文献Bに記載された技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本願の請求項14、15に係る発明は、上記「(本願発明1について)」「エ」、「オ」、及び「(請求項13に係る発明について)」にて述べたのと同様の理由により、引用発明Cから当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)まとめ 以上のとおり、当審における最初の拒絶の理由で本願の請求項1?15に係る発明を拒絶することはできない。 なお、平成28年9月13日付けの最後の拒絶の理由で本願の請求項1?15に係る発明を拒絶することができないことは、前記「第3」「2 当審における最後の拒絶理由の適否」にて述べたとおりである。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審で通知した拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-12-06 |
出願番号 | 特願2011-250826(P2011-250826) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WY
(G01R)
P 1 8・ 121- WY (G01R) P 1 8・ 113- WY (G01R) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川瀬 正巳、柳 重幸 |
特許庁審判長 |
中塚 直樹 |
特許庁審判官 |
関根 洋之 清水 稔 |
発明の名称 | 電子部品および測定方法 |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |