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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1322123
審判番号 不服2016-4800  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-01 
確定日 2016-12-26 
事件の表示 特願2013-502566「バルクUDTA制御GUI」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/123175、平成25年 7月 4日国内公表、特表2013-527950、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月31日(優先権主張、2010年4月1日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年11月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年4月1日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年4月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「コンピュータが複数のユニバーサルデジタルターミナルアダプタ(UDTA)を制御するための方法であって、前記コンピュータが、
制御に利用可能なUDTAのリストを提供するステップと、
前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するステップと、
前記UDTAをそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに同調させるステップと、
を含み、前記UDTAのリスト内の前記UDTAのうちの1つまたは複数のための前記提供されるコントロールは、すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される、前記方法。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

(2)請求項11について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項11を、
「制御に利用可能なUDTAのリストを提供するステップと、
前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するステップと、
前記UDTAをそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに同調させるステップと、
をコンピュータが実行するための命令を含み、前記UDTAのリスト内の前記UDTAのうちの1つまたは複数のための前記提供されるコントロールは、すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される、コンピュータ読取可能記録媒体。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。

(3)請求項12について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項12を、
「複数のユニバーサルデジタルターミナルアダプタ(UDTA)と、
前記複数のUDTAに接続されたコンピュータと、
前記複数のユニバーサルデジタルターミナルアダプタ(UDTA)を制御するためのユーザインタフェースと、
を備えたシステムであって、前記ユーザインタフェースは、
制御に利用可能なUDTAのリストを表示するためのフィールドと、
前記フィールドのリストに列挙された前記UDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するコントロールパネルと、
を備え、
前記コンピュータが前記UDTAをそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに同調させ、前記UDTAのリスト内の前記UDTAのうちの1つまたは複数のための前記提供されるコントロールは、すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される、前記システム。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正(以下、「補正事項3」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、補正前の請求項1における「前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロール」について、「すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される」ものであるとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

ア.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2009/172757号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、FIG.1?7とともに以下の記載がある。
なお、当審においてした翻訳文を付記する。対比判断等の項における記載は、翻訳文を採用する。
a.13頁左欄第17行?第46行
「1. A method comprising:
receiving a command from a computing device for controlling a plurality of set-top boxes; and
configuring the set-top boxes according to the received command.
・・・中略・・・
9. A method according to claim 1, further comprising:
storing configuration data within the respective set-top boxes, wherein the configuration data relates to either parental control, available channel information, favorite channels specified by a user, program recoding setting, viewing history, or software loaded in the respective set-top boxes.」
(当審訳:1.複数のセットトップボックスをコントロールするために制御装置からコマンドを受信し、受信したコマンドに従ってセットトップボックスを設定する方法。
・・・中略・・・
9.請求項1の方法において、さらに、それぞれのセットトップボックスの中に設定データをストアすること、設定データは、親のコントロール、利用可能なチャンネル情報、ユーザによって指定された好みのチャンネル、番組録画設定、視聴履歴、それぞれのセットトップボックスでロードされたソフトウェアのいずれかに関連する。)

b.[0075]第1行?第4行
「As seen in FIG.6, an interface 600 is provided, wherein an authenticated subscriber may directly review and modify device configurations, such as for STBs 201, displays 221, audio systems 231, peripheral devices, etc.」
(当審訳:FIG6に見られるように、インタフェース600が提供され、認証された加入者が、そこで直接、セットトップボックス 201、ディスプレイ221、オーディオシステム231、周辺装置などのような装置設定を見直し、修正することができる。)

c.[0077]第4行?第9行
「Further, a drop-down list field 617 may be provided for selecting a particular device to configure, e.g., “STB.” Also, a drop-down list field 617 may permit users to program, configure, or otherwise control particular workgroups of devices, such as “WORKGROUP” e.g., workgroup 115 comprising STBs 101a-101n」
(当審訳:さらに、ドロップダウンリストフィールド617は、設定するべき特定の装置、例えば、STBを選ぶために提供される。同じく、ドロップダウンリストフィールド619は、ユーザに、“ワークグループ”、例えば、STB101a-101nで構成するワークグループ115のような、特定の装置のワークグループを、プログラム、設定すること、さもなければコントロールすることを可能にする。)

d.[0078]第4行?第13行
「An ”ADD TAB” tab 601d may be provided for users to configure a personalized interface to make particular device configurations more readily available, such as parental control options, available channel options, favorite channel specifications, program recoding settings, viewing history, software loaded on device, as well as other suitable parameters. Moreover, interface 600 may be configured to accept verbal commands for entering suitable data into entry fields within pane 609 or making selections within pane 607 or from drop-down lists 617 and 619.」
(当審訳:“ADD TAB”タブ 601d は、他の適当なパラメータと同様、親のコントロールオプション、利用可能なチャンネルオプション、好みのチャンネル仕様、番組録画設定、視聴履歴、装置でロードされたソフトウェアのような特定の装置設定をより容易に利用可能にするように個人化されたインタフェースを設定するためにユーザに提供される。さらに、インタフェース600は、ペイン609中のエントリフィールドの中に適当なデータを入力するか、ペイン607の中あるいはドロップダウンリスト617と619から選択するために、言葉によるコマンドを受けとるように構成されることが可能である。)

上記記載事項によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数のセットトップボックスをコントロールするために制御装置からコマンドを受信し、受信したコマンドに従ってセットトップボックスを設定する方法であって、
インタフェース600が提供され、認証された加入者が、そこで直接、セットトップボックス 201、ディスプレイ221、オーディオシステム231、周辺装置などのような装置設定を見直し、修正することができ、
ドロップダウンリストフィールド617は、設定するべき特定の装置、例えば、”STB”を選ぶために提供され、ドロップダウンリストフィールド619は、ユーザに、“ワークグループ”、例えば、STB101a-101nで構成するワークグループ115のような、特定の装置のワークグループを、プログラム、設定すること、さもなければコントロールすることを可能にし、
“ADD TAB”タブ 601d は、他の適当なパラメータと同様、親のコントロールオプション、利用可能なチャンネルオプション、好みのチャンネル仕様、番組録画設定、視聴履歴、装置でロードされたソフトウェアのような特定の装置設定をより容易に利用可能にするように個人化されたインタフェースを設定するためにユーザに提供され、さらに、インタフェース600は、ペイン609中のエントリフィールドの中に適当なデータを入力するか、ペイン607の中あるいはドロップダウンリスト617と619から選択するために、言葉によるコマンドを受けとるように構成することが可能である、
セットトップボックスを設定する方法。」

イ.対比
補正発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「制御装置」は、補正発明1の「コンピュータ」に相当し、引用発明の「複数のセットトップボックス」は、補正発明1の「複数のユニバーサルターミナルアダプタ(UDTA)」に相当するといえる。
したがって、引用発明の「複数のセットトップボックスをコントロールするために制御装置からコマンドを受信し、受信したコマンドに従ってセットトップボックスを設定する方法」は、補正発明1の「コンピュータが複数のユニバーサルターミナルアダプタ(UDTA)」を制御するための方法」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「ドロップダウンリストフィールド617」が、「設定するべき特定の装置、例えば、”STB”を選ぶために提供」される構成は、補正発明1の「制御に利用可能なUDTAのリストを提供するステップ」に相当するといえる。
(ウ)引用発明の「“ADD TAB”タブ 601d」が、「他の適当なパラメータと同様、親のコントロールオプション、利用可能なチャンネルオプション、好みのチャンネル仕様のような特定の装置設定をより容易に利用可能にするように個人化されたインタフェースを設定するためにユーザに提供」される構成は、補正発明1の「前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するステップ」に相当するといえる。

したがって、両者は、以下の一致点と相違点とを有する。
<一致点>
「コンピュータが複数のユニバーサルデジタルターミナルアダプタ(UDTA)を制御するための方法であって、前記コンピュータが、
制御に利用可能なUDTAのリストを提供するステップと、
前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するステップと、
を含む、前記方法。」

<相違点1>
補正発明1は、「前記UDTAをそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに同調させるステップ」を含むのに対し、引用発明は、そのようなステップを有さない点。

<相違点2>
補正発明1は、「前記UDTAのリスト内の前記UDTAのうちの1つまたは複数のための前記提供されるコントロールは、すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなグローバルコマンドが特定されていない点。

ウ.判断
上記相違点1について検討する。
拒絶査定において引用された他の引用文献には、上記相違点1に係る補正発明1の構成は記載されておらず、示唆されてもいない。

また、上記相違点1に係る補正発明1の構成が周知技術であったともいえない。

ほかに、引用発明において上記相違点1に係る補正発明1の構成を採用することが、当業者が容易に想到し得たことというべき理由は見当たらない。

以上のとおりであるから、上記相違点2について検討するまでもなく、補正発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ほかに、補正発明1を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

(2)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項13における「前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロール」について、「すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される」ものであるとの限定を付加するものであって、補正前の請求項13に記載された発明と補正後の請求項11に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そして、本件補正後の前記請求項11に記載された発明(以下、「補正発明11」という。)は、補正発明1と同様に引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、補正事項2についても、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

(3)補正事項3について
補正事項3は、補正前の請求項14における「前記UDTAのリスト内のUDTAのためのコントロールパネル」を「前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロールを提供するコントロールパネル」と限定し、さらに「前記UDTAのリスト内のUDTAのうちの1つまたは複数のためのコントロール」は、「すべての前記利用可能なUDTAを制御するためのグローバルコマンドを備え、前記グローバルコマンドは、端末をクリア、リストに追加、リストをリフレッシュ、すべてリセット、および順次に同調のうちの1つまたは複数を備え、前記順次に同調の前記グローバルコマンドが提供されるとき、前記UDTAのリスト内のすべてのUDTAがそれぞれ異なる利用可能な仮想チャネルに順次同調される」ものであると限定するものであって、補正前の請求項14に記載された発明と補正後の請求項12に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そして、本件補正後の前記請求項12に記載された発明(以下、「補正発明12」という。)は、補正発明1と同様に引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、補正事項3についても、補正事項1と同様に、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?13に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、補正発明1、補正発明11、補正発明12は、上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項1に係る発明を直接又は間接的に引用する請求項2?10に係る発明は、請求項1に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
そして、請求項12に係る発明を直接引用する請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明をさらに限定した発明であるから、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-13 
出願番号 特願2013-502566(P2013-502566)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海江田 章裕上嶋 裕樹間野 裕一  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 千葉 輝久
和田 志郎
発明の名称 バルクUDTA制御GUI  
代理人 内藤 和彦  
代理人 江口 昭彦  
代理人 阿部 豊隆  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  

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