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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1322150
審判番号 不服2014-19908  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-03 
確定日 2016-11-30 
事件の表示 特願2012-230748「複数の設備の相対位置を監視するデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年4月18日出願公開、特開2013-70063〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年5月26日(パリ条約による優先権主張2005年10月21日(DE)ドイツ)に出願した特願2008-535901の一部を平成24年10月18日に新たな特許出願としたものであって,平成25年8月23日付けで拒絶理由を通知し,平成26年2月27日に意見書及び手続補正書が提出され,同年5月30日付けで拒絶査定がなされ,同査定の謄本は同年6月3日に請求人に送達された。
それに対して,平成26年10月3日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
一方,当審において,平成27年6月3日付けで拒絶理由を通知し,応答期間内である同年9月2日に意見書及び手続補正書が提出され,さらに当審において,同年9月29日付けで拒絶理由を通知し,延長された応答期間内である平成28年4月1日に意見書が提出されたところである。

第2 本願発明
この出願の請求項1-7に係る発明は,平成27年9月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定されたとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
リソグラフィ・デバイスである第1のデバイス(20)及び該リソグラフィ・デバイスと相互の交換にあずかるワークステーション・デバイスである第2のデバイス(30)を少なくとも含む装置であって、
前記第1のデバイス(20)は、第1の受動振動隔離デバイス(3)を介してベース・プレート(4)上に搭載され、その個別の動作或いは前記第2のデバイスとの相互間の動作に応じて、前記ベース・プレート(4)に対して変動しうる第1のデバイス位置をとり、
前記第2のデバイス(30)は、第2の受動振動隔離デバイス(5)を介してベース・プレート(4)上に搭載され、その個別の動作或いは前記第1のデバイスとの相互間の動作に応じて、前記ベース・プレート(4)に対して変動しうる第2のデバイス位置をとり、更に、
前記第1及び第2のデバイス位置を規則的な間隔で又は連続して測定する手段(9)、
前記第1及び第2のデバイス(20、30)の間の相対位置を前記第1及び第2のデバイス位置に基づく演算処理により決定する手段(11)、及び
前記相対位置が、前記第1及び第2のデバイス(20、30)が通常の動作を行いうる所定の公差範囲内にあるか、それとも、該所定の公差範囲外にあって該第1及び第2のデバイスに対して損傷又は間違った動作を導く惧れがあるか、を評価する手段(40)を含む、装置。」

第3 当審拒絶理由の概要
平成27年9月29日付けで当審にて通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。

本件出願の発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1.特開平6-163357号公報
刊行物2.特開平10-526号公報

第4 刊行物に記載された発明
1 刊行物1
(1)当審において通知した拒絶の理由に引用された特開平6-163357号公報(以下、「刊行物1」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている。

ア「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の技術によれば、特に、ウエハを回収用カセットに移送するロボット等は動作ストロークも長くまた複雑な動作が要求されるため、これによって発生する振動を抑えることが非常に難しい。また、プリアライメントステージ駆動装置も、複雑で重量が大きいために、その振動を防止することが難しい。これらの振動は、上記ロボットやプリアライメントステージ駆動装置の駆動速度が上昇するにつれて増大し、ステッパ本体の台盤と一体である支持台を経てステッパ本体に伝達され、最終アライメントや露光、焼付けの精度を著しく低下させる。このため、上記ロボットやプリアライメントステージ駆動装置を充分な高速度で駆動することができず、露光装置全体のスループットの向上が妨げられて、生産性を改善することができない。
【0008】本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、基板供給装置の振動がステッパ本体の台盤に伝わるのを全体的あるいは部分的に防ぐことのできる露光装置を提供することを目的とするものである。」

イ「【0015】図1は第1実施例を示す模式立面図であって、本実施例の露光装置は台盤1に支持され、駆動手段である公知の6軸駆動テーブル機構によって移動されるXYステージ2と、XYステージ2上に載置されたトップステージ3と、その上方に配置された縮小投影レンズ系4と、その上方に配置された照明系5と、照明系5と縮小投影レンズ系4の間に配設されたレチクル6を支持するレチクル支持装置(図示せず)からなるステッパ本体S_(1)を有し、縮小投影レンズ系4はレンズ系支持体4aを介して台盤1に支持され、また、照明系5は、レンズ系支持体4aおよびこれと一体である照明系支持体5aを介して台盤に支持されている。台盤1と床7あるいは床7上の不図示の固定盤の間には弾性支持手段である複数のエアマウント8が設けられ、台盤1は各エアマウント8によって弾力的に支持され、これによって床7の振動が直接ステッパ本体S_(1)に伝達するのを防止するとともに、ステッパ本体S_(1)の自己振動による共振を防ぎ、かつ基板搬送用コンベア等から伝わる外部振動を吸収する。
【0016】照明系5から発せられた照明光は、レチクル6および縮小投影レンズ系4を経てトップステージ3に吸着された基板であるウエハ(図示せず)に照射され、該ウエハの表面のレジストを露光する。
【0017】ステッパ本体S_(1)の側傍には、ウエハを自動的に供給、回収するための基板供給装置F_(1)が設けられ、該基板供給装置F_(1)は、図2に示すように、図示しない搬送用コンベア等から搬入されたウエハを集積する供給用カセット9と、供給用カセット9から順次取出されたウエハのプリアライメントを行うプリアライメント装置10と、プリアライメントを終えたウエハをステッパ本体S_(1)に搬入する搬入ハンド11と、露光、焼付けを終えたウエハをステッパ本体S_(1)から回収する動作と、供給用カセット9から順次ウエハを取出してプリアライメント装置へ搬入する動作を交互に行うロボット12と、ロボット12によって回収されたウエハを集積する回収用カセット13を有し、これらはすべて支持台14に支持され、支持台14は、ステッパ本体S_(1)の台盤1と別体であり、台盤1との間に間隙T_(1)を有し、支持台14の脚部は直接床7あるいは床7上の固定盤に固定されている。」

ウ「【0023】なお、基板供給装置F_(1) の支持台14に、ステッパ本体S_(1)の台盤1のZ軸方向の位置ずれを検出するZポジションセンサを附加して、ステッパ本体S_(1)の自己振動が著しい場合には、搬入ハンド11によるウエハの受渡しを一時停止するように構成してもよい。
【0024】また、Xすき間センサ14aおよび両Yすき間センサ14b,14cには、光磁気または静電容量型の非接触ポジションセンサ、あるいは接触圧力の小さいダイヤルゲージ等が用いられる。」

(2)上記記載から,刊行物1には,次の技術的事項が記載されている。

ア 刊行物1に記載された技術は,基板供給装置の振動がステッパ本体の台盤に伝わるのを全体的あるいは部分的に防ぐことのできる露光装置に関するものである(【0008】)。

イ ウエハの表面のレジストを露光するステッパ本体S_(1)と,ウエハを自動的に供給,回収するための基板供給装置F_(1)が設けられており,露光装置は台盤1に支持され,台盤1と床7あるいは床7上の不図示の固定盤の間には弾性支持手段である複数のエアマウント8が設けられ,台盤1は各エアマウント8によって弾力的に支持され,該基板供給装置F_(1)は,支持台14に支持され,支持台14の脚部は直接床7あるいは床7上の固定盤に固定されている(【0015】-【0017】)。

ウ 基板供給装置F_(1)の支持台14に、ステッパ本体S_(1)の台盤1のZ軸方向の位置ずれを検出するZポジションセンサを附加して,ステッパ本体S_(1)の自己振動が著しい場合には,搬入ハンド11によるウエハの受渡しを一時停止するように構成してもよい(【0023])。

(3)これらのことから,刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ウエハの表面のレジストを露光するステッパ本体S_(1)と,ウエハを自動的に供給,回収するための基板供給装置F_(1)を少なくとも含む装置であって,
ステッパ本体S_(1)は,弾性支持手段であるエアマウント8を介して床7上に搭載され,
基板供給装置F_(1)は,直接床7上に搭載され,
基板供給装置F_(1)の支持台14に附加された,ステッパ本体S_(1)の台盤1のZ軸方向の位置ずれを検出するZポジションセンサと,
ステッパ本体S_(1)の自己振動が著しい場合には,搬入ハンド11によるウエハの受渡しを一時停止する構成を含む,装置」

2 刊行物2
(1)当審において通知した拒絶の理由に引用された特開平10-526号公報(以下、「刊行物2」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている。

ア 「【0002】
【従来の技術】半導体素子等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンを感光性の基板としてのフォトレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写するステッパー等の露光装置が使用されている。斯かる露光装置では、露光対象のウエハをウエハステージ上にロードすると共に、露光済みのウエハをアンロードするためのウエハローダ系が備えられている。従来のウエハローダ系は、主に露光装置本体に組み込まれた構成(組み込み型)であったたため、ウエハをウエハステージ上に受け渡す際のウエハの位置精度である受け渡し精度は比較的良好であった。
【0003】しかし、そのような組み込み型では、ウエハローダ系の搬送動作と露光装置本体の露光動作とは、処理速度を上げるために並行して行われるため、ウエハローダ系の振動が露光装置本体に直接伝わり、露光装置本体側でのウエハの位置決め精度、ひいては重ね合わせ精度等を低下させるといった問題があった。この問題を解決するため、最近ではウエハローダ系と露光装置本体とを物理的に分離して、ウエハローダ系の振動が露光装置本体に伝わらないような構成(分離型)を採るようになって来ている。」

イ 「【0016】次に、ウエハローダ系2、及び投影露光装置1内のウエハステージ上のウエハの受け渡し機構について図1及び図2を参照して説明する。図1に示すように、ウエハローダ系2は、不図示のウエハカセットと、このウエハカセットからのウエハを図1の紙面に垂直な方向に搬送するY軸駆動部31と、このY軸駆動部31上でウエハの大まかな位置決めを行う不図示のプリアライメント機構と、そのY軸駆動部31上に固定され、そのプリアライメント機構から受け渡されたウエハをX軸に平行にウエハステージ上に搬送するX軸駆動部33と、Y軸駆動部31を床上に支持する防振台32とから構成されている。また、X軸駆動部33には、ウエハをウエハステージ上に搬入するロードスライダと、そのウエハステージからウエハを搬出するアンロードスライダとが備えられている。本例ではウエハローダ系2のY軸駆動部31及びX軸駆動部33を支持する防振台32と、投影露光装置1のウエハステージを支持する防振台13とが別体であるため、ウエハローダ系2のY軸駆動部31及びX軸駆動部33で発生する振動が投影露光装置1側に伝わらないようになっている。」

(2)上記記載から,刊行物2には,次の技術が記載されている。
「ウエハローダ系と露光装置本体とを物理的に分離して,ウエハローダ系の振動が露光装置本体に伝わらないような構成の装置において,ウエハローダ系2のY軸駆動部31及びX軸駆動部33を支持する防振台32と、投影露光装置1のウエハステージを支持する防振台13とが別体であるため、ウエハローダ系2のY軸駆動部31及びX軸駆動部33で発生する振動が投影露光装置1側に伝わらないようになっている装置」

第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「ウエハの表面のレジストを露光するステッパ本体S_(1)」,「ウエハを自動的に供給,回収するための基板供給装置F_(1)」は,それぞれ本願発明の「リソグラフィ・デバイスである第1のデバイス(20)」,「該リソグラフィ・デバイスと相互の交換にあずかるワークステーション・デバイスである第2のデバイス(30)」に相当する。

(2)引用発明の「弾性支持手段であるエアマウント8」は,いわゆる空気ばねであり,ばねとして弾性的に支持するものであるから,本願発明の「第1の受動振動隔離デバイス(3)」に相当し,引用発明の「床7」は,本願発明の「ベース・プレート(4)」に相当する。
さらに引用発明において「ステッパ本体S_(1)の自己振動が著しい」ということは,「ステッパ本体S_(1)」が,「弾性支持手段であるエアマウント8」上で振動するということであるから,「床7」に対して変動することになる。してみると,引用発明は当然に,本願発明の「前記ベース・プレート(4)に対して変動しうる第1のデバイス位置をと」る構成を有していることになる。
そして,「ステッパ本体S_(1)」が,「振動」する原因として,「ステッパ本体S_(1)」の動作や,「ステッパ本体S_(1)」と「基板供給装置F_(1)」との相互間の動作であることは自明であるから,引用発明は当然に,本願発明の「その個別の動作或いは前記第2のデバイスとの相互間の動作に応じて」という構成も有していることになる。

(3)引用発明の「基板供給装置F_(1)」は,直接「床7上」に搭載されているものであり,「センサ」は一般的に「規則的な間隔で又は連続して測定するる」ものであるから,引用発明の「基板供給装置F_(1)の支持台14に附加された,ステッパ本体S_(1)の台盤1のZ軸方向の位置ずれを検出するZポジションセンサ」は,本願発明の「第1のデバイス位置を規則的な間隔で又は連続して測定する手段(9)」に相当する。

(4)引用発明の「ステッパ本体S_(1)の自己振動が著しい場合には,搬入ハンド11によるウエハの受渡しを一時停止する構成」とは,「ステッパ本体」の自己振動が著しい場合には,搬入ハンドによるウエハの受け渡しが困難な程,両者が相対的にずれているから一時停止することを意味している。そして,引用発明は,そのために「基板供給装置F_(1)の支持台14に附加された,ステッパ本体S_(1)の台盤1のZ軸方向の位置ずれを検出するZポジションセンサ」を用いており,「台盤1」と「支持台14」との位置ずれ,すなわち「ステッパ本体S_(1)」と「基板供給装置F_(1)」との位置ずれを検出している。
これは,本願発明の「第1及び第2のデバイス(20、30)の間」の位置ずれ,すなわち「相対位置」を検出していることを意味している。
また,センサで計測された電圧等から,位置を求めるために演算を行うことは通常行われていることであるので,「第2のデバイスに対する第1のデバイス位置に基づく演算処理により決定する手段(11)」も引用発明は当然に有している。
そうすると,引用発明では,後述する相違点2に示すように「第2のデバイス位置」を「測定」していないものの,「第1及び第2のデバイスの間の相対位置」を決定する以上,「第1及び第2のデバイス位置」に基づいて演算することになる。
よって,引用発明は,本願発明の「前記第1及び第2のデバイス(20、30)の間の相対位置を前記第1及び第2のデバイス位置に基づく演算処理により決定する手段(11)」に相当する構成も当然に有していると認められる。
そして,「自己振動が著しい」か否かを評価し,「ウエハの受渡しを一時停止する」場合,ウエハの受渡しができるか否かとして,「通常の動作を行いうる所定の範囲内にあるか」,それとも「該所定の範囲外にあるか」という,所定の範囲をあらかじめ設定することは,通常行われることである。
してみると,引用発明は,本願発明の「前記相対位置が、前記第1及び第2のデバイス(20、30)が通常の動作を行いうる所定の公差範囲内にあるか、それとも、該所定の公差範囲外にあって該第1及び第2のデバイスに対して損傷又は間違った動作を導く惧れがあるか、を評価する手段(40)」に相当する構成も当然に有していると認められる。

2 以上のことから,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

[一致点]
「リソグラフィ・デバイスである第1のデバイス及び該リソグラフィ・デバイスと相互の交換にあずかるワークステーション・デバイスである第2のデバイスを少なくとも含む装置であって,
前記第1のデバイスは,第1の受動振動隔離デバイスを介してベース・プレート上に搭載され,その個別の動作或いは前記第2のデバイスとの相互間の動作に応じて,前記ベース・プレートに対して変動しうる第1のデバイス位置をとり,
前記第2のデバイスは,ベース・プレート上に搭載され,更に,
前記第1のデバイス位置を規則的な間隔で又は連続して測定する手段,
前記第1及び第2のデバイスの間の相対位置を前記第1及び第2のデバイス位置に基づく演算処理により決定する手段,及び
前記相対位置が,前記第1及び第2のデバイスが通常の動作を行いうる所定の公差範囲内にあるか,それとも,該所定の公差範囲外にあって該第1及び第2のデバイスに対して損傷又は間違った動作を導く惧れがあるか,を評価する手段を含む,装置。」

[相違点1]
本願発明が,「前記第2のデバイスは,第2の受動振動隔離デバイスを介してベース・プレート上に搭載され,その個別の動作或いは前記第1のデバイスとの相互間の動作に応じて,前記ベース・プレートに対して変動しうる第2のデバイス位置をと」るのに対し,引用発明は,「第2のデバイス」は,直接「ベース・プレート上に搭載され」ている点。

[相違点2]
本願発明が,「第2のデバイス位置を規則的な間隔で又は連続して測定する手段」を有しているのに対し,引用発明は,そのような手段を有していない点。

第6 当審の判断
相違点について検討する。
1 相違点1について
引用発明は,刊行物1の【0008】に「基板供給装置の振動がステッパ本体の台盤に伝わるのを全体的あるいは部分的に防ぐことのできる露光装置を提供することを目的とするものである。」と記載されているように,「ステッパ本体」と「基板供給装置」との間で振動が伝わるのを防ぐものである。
一方,「ステッパ本体」に相当する「投影露光装置1」と「基板供給装置」に相当する「ウエハローダ系2」のそれぞれに,「防振台」を設けることが,刊行物2に示されているように,「基板供給装置」にも「受動振動隔離デバイス」を設けることは従来周知の技術にすぎない。
してみると,引用発明を認識した当業者は,「ステッパ本体」と「基板供給装置」との間で振動が伝わるのを防ぐために,より望ましい技術を適用しようと思うことは十分に想到しうる事項であり,引用発明において,「第2のデバイス」を「ベース・プレート上に搭載」する際に,「第2の受動振動隔離デバイスを介」すようになすことは,適宜なし得る事項にすぎない。
さらに,そのようにすれば,「その個別の動作或いは前記第1のデバイスとの相互間の動作に応じて,前記ベース・プレートに対して変動しうる第2のデバイス位置をと」るようになることは,上記第5 1(2)で示したことと同様に,当然に得られる事項にすぎない。

2 相違点2について
相違点1について検討したように,引用発明において,「第2のデバイスは,第2の受動振動隔離デバイスを介してベース・プレート上に搭載」されるようにすると,具体的には,刊行物1の図1に示されたものにおいて,「支持台14」の下にも「エアマウント8」を設けるような構成となる。
そうすると,「第2のデバイス」に対する「第1のデバイス」の位置を測定することとなる。
しかしながら,一般的に動く2つの物体の相対位置を測定するために,直接相対位置を測定するか,それぞれの物体の絶対位置を測定して演算するかは,測定のやり方としてはどちらも従来周知であり,用いるセンサや制御装置などに応じて適宜選択しうる程度の事項にすぎない。
したがって,「第1及び第2のデバイスの間の相対位置」を測定するに際して,直接相対位置を測定することに変えて,それぞれの「位置」を求めてから,相対位置を演算するようにすることとし,「第2のデバイス位置を規則的な間隔で又は連続して測定する」ようになすことに困難性は認められない。

3 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明,刊行物2に記載された技術事項及び従来周知の事項から当業者が予測可能なものであって格別なものではない。
よって,本願発明は,引用発明,刊行物2に記載された技術事項及び従来周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。

4 請求人の主張について
請求人は,平成28年4月1日付け意見書において,「本願発明の(第2のデバイスもそうですが)第1のデバイスは「受動」振動隔離デバイスを介してベース・プレート上に搭載されている」点を主張している。
しかしながら,刊行物1に示された,「エアマウント8」は通常は,単に空気が充填されているだけのものであり,振動に対しては「受動」である。
請求人の主張する「受動」の意味するところが不明であるが,振動に対して「受動」でないとすると,振動に対して,リアルタイムで空気を出し入れして振動を打ち消すものとも考えられるが,空気では現実的にはそのような制御は不可能であり,また刊行物1にはそのような技術が記載されているものとも認められないので,請求人の主張を採用することはできない。

また,請求人は,「本願発明のように、ベース・プレートを基準にして両者の(当該ベース・プレートに対する相対)位置を測定した場合には、両者それぞれの絶対位置が直接特定できると同時に、それらを演算処理することで両者間の相対位置も特定できます。」,「両者の絶対位置がともに変動する場合には、両者間の相対位置を求める演算はかなり複雑になります。本願発明の実施例で演算装置としてCPUを用いているのは、そうした演算が単純ではないことを如実に示すものです。すなわち、本願発明における『演算処理により決定する手段」というのは、そうした複雑な演算を正確に実行できる演算装置を指しているわけであり、そのような演算装置を用いることが引用文献1に記載されていないことは明らかです。」とも主張している。
しかしながら,最終的には「第1及び第2のデバイスの間の相対位置を・・・演算処理により決定する」にあたり,「そうした複雑な演算を正確に実行できる演算装置」を用いて「両者それぞれの絶対位置が直接特定できる」ようになすことに,格別の創意工夫が必要であったと認めることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,刊行物1記載の発明,刊行物2記載の技術事項及び従来周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明において検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-30 
結審通知日 2016-07-05 
審決日 2016-07-19 
出願番号 特願2012-230748(P2012-230748)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 崇文柿崎 拓金丸 治之  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 渡邊 真
平岩 正一
発明の名称 複数の設備の相対位置を監視するデバイス  
代理人 木村 克彦  
代理人 高梨 憲通  
代理人 小林 恒夫  
代理人 臼井 伸一  
代理人 岡部 讓  
代理人 本田 亜希  
代理人 齋藤 正巳  

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