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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A01K
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A01K
審判 全部申し立て 特174条1項  A01K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A01K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01K
審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  A01K
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  A01K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A01K
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A01K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A01K
管理番号 1322271
異議申立番号 異議2016-700031  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-15 
確定日 2016-09-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5749161号発明「抗体産生非ヒト哺乳動物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5749161号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?28〕について訂正することを認める。 特許第5749161号の請求項1?2,4?15,17?28に係る特許を維持する。 特許第5749161号の請求項3,16に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5749161号の請求項1?28に係る特許は、平成21(2009)年6月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年6月27日 オランダ(NL))を国際出願日とする出願であって、平成27年5月22日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成28年1月18日に特許異議申立人 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッドにより特許異議の申立てがなされ、平成28年3月17日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年6月22日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という)がなされ、平成28年6月28日付けで特許法第120条の5第5項に規定された通知書を特許異議申立人に送付したところ、平成28年8月24日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「そのゲノムに組み込まれた、」なる記載を追加する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、「軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列であり、」なる記載を追加する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項3に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1または2に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から9のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から9のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1から11のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から11のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から13のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から13のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15に「請求項1から14のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項1、2、および4から14のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項16を削除する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項17に「請求項16に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」とあるのを「請求項15に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」と訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項20に「請求項1から19のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から19のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項21に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項22に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項23に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項24に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項25に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項26に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

(21)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項27に「請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」とあるのを「請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、新規事項追加の有無、及び一群の請求項の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項1は、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子がトランスジェニックネズミ科哺乳動物に含まれる態様について、「ゲノムに組み込まれた」ものであることを限定しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
上記2.(1)ア.で述べたとおり限定しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
当初特許請求の範囲の請求項3の「軽鎖/重鎖コード配列が、非ヒト哺乳動物のゲノムに組み込まれる」という記載から明らかなように、訂正事項1は、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項2は、軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列であることを限定しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
上記2.(2)ア.で述べたとおり限定しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
当初特許請求の範囲の請求項15の「軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列である」という記載から明らかなように、訂正事項2は、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(3)訂正事項3について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項3は、請求項3を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項3は、請求項3を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項3は、請求項3を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(4)訂正事項4について
ア.訂正の目的の適否
訂正前の請求項4は請求項3を引用しているが、訂正事項4は、訂正事項3による請求項3の削除に伴い、請求項4と(削除される)請求項3の引用関係を解消し、請求項4が請求項3を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項1による訂正後の請求項1及び2は、訂正前の請求項3の限定事項によって既に減縮されており、訂正事項4は、請求項3の削除に伴って、請求項4の引用先を請求項3から(その請求項3が引用していた)請求項1または2に変更するための訂正であって、何ら実質的な内容を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
上記2.(4)イ.で述べたとおり何ら実質的な内容を伴うものではないから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(5)訂正事項5について
ア.訂正の目的の適否
訂正前の請求項6は、「請求項1から5」を引用しているが、訂正事項3による請求項3の削除に伴い、「請求項1、2、4および5」を引用するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項5は、請求項3の削除に伴い、「請求項1、2、4および5」を引用するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項5は、請求項3の削除に伴い、「請求項1、2、4および5」を引用するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(6)訂正事項6?11について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項6?11については訂正事項5と同様であり、上記2.(5)ア.で述べたとおり、請求項3の削除に伴い、訂正前の請求項10?15がそれぞれ引用する請求項から請求項3を除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項6?11は、請求項3の削除に伴い、訂正前の請求項10?15がそれぞれ引用する請求項から請求項3を除くものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項6?11は、請求項3の削除に伴い、訂正前の請求項10?15がそれぞれ引用する請求項から請求項3を除くものであるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(7)訂正事項12について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項12は、請求項16を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項3は、請求項16を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項3は、請求項16を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(8)訂正事項13について
ア.訂正の目的の適否
訂正前の請求項17は請求項16を引用しているが、訂正事項13は、訂正事項12による請求項16の削除に伴い、請求項17と(削除される)請求項16の引用関係を解消し、請求項17が請求項16を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項12による訂正後の請求項15は、訂正事項2により、訂正前の請求項16の限定事項によって既に減縮されており、訂正事項13は、請求項16の削除に伴って、請求項17の引用先を請求項16から(その請求項16が引用していた)請求項15に変更するための訂正であって、何ら実質的な内容を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
上記2.(8)イ.で述べたとおり何ら実質的な内容を伴うものではないから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(9)訂正事項14について
ア.訂正の目的の適否
訂正前の請求項20は、「請求項1から19」を引用しているが、訂正事項2による請求項3の削除及び訂正事項12による請求項16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から19」を引用するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項14は、請求項3,16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から19」を引用するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項14は、請求項3,16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から19」を引用するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(10)訂正事項15?21について
ア.訂正の目的の適否
訂正前の請求項21?27はそれぞれ、「請求項1から20」を引用しているが、訂正事項2による請求項3の削除及び訂正事項12による請求項16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から20」を引用するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項15?21は、請求項3,16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から20」を引用するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.新規事項追加の有無
訂正事項15?21は、請求項3,16の削除に伴い、「請求項1、2、4から15、および17から20」を引用するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(11)一群の請求項の適否
訂正事項1?21に係る訂正前の請求項1?28について、請求項2?28はすべて直接的又は間接的に「請求項1」を引用しているものであって、訂正事項1,2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?28に対応する訂正後の請求項1?28は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正事項1?21による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項ごとに」適法に請求されたものである。

3.訂正請求に対する結論
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第4項、並びに特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項および第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?28〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明について
本件訂正請求により訂正された請求項1?28に係る発明(削除された請求項を含む、以下、「本件訂正発明1?28」という)は、その特許請求の範囲の請求項1?28に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
少なくともそのB細胞系統において、そのゲノムに組み込まれた、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含むトランスジェニックネズミ科哺乳動物であって、
軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列であり、
重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有されるように、前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき、かつ
前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む、トランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項2】
マウスである、請求項1に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
組み込みが、サイレンシングに対して耐性である遺伝子座内である、請求項3に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項5】
組み込みがRosa遺伝子座内である、請求項4に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項6】
ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域コード核酸分子が、前記核酸分子の発現を本質的にB細胞系統の細胞に限定するのを可能にする手段を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項7】
ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域コード核酸分子が、軽鎖コード核酸分子の発現を、主にB細胞の発生の特定段階期間に可能にする手段を備える、請求項6に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項8】
前記手段が、CD19、CD20、μHC、VプレB1、VプレB2、VプレB3、λ5、Igα、Igβ、κLC、λLCおよびBSAP(Pax5)の群から選択されるプロモーターを含む、請求項7に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項9】
前記手段がcre-lox系を含む、請求項7または8に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項10】
前記軽鎖が、少なくとも2種のネズミ科重鎖とペアリングできる、請求項1から9のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項11】
前記軽鎖が、少なくとも2種のヒト重鎖とペアリングできる、請求項1から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項12】
再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子が、単一のヒトV遺伝子セグメントおよび単一のヒトJ遺伝子セグメントをコードする、請求項1から11のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項13】
内因性軽鎖をコードする内因性遺伝子座の少なくとも1つが、機能的にサイレンシングされる、請求項1から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項14】
内因性κ軽鎖遺伝子座が機能的にサイレンシングされる、請求項1から13のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項15】
軽鎖コード配列の配列がヒトvκ配列である、請求項1から14のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項16】(削除)
【請求項17】
生殖細胞系列配列がO12に基づく、請求項16に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項18】
生殖細胞系列配列がIGKV1-39*01/ IGKJ1*01である、請求項17に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項19】
ヒト免疫グロブリン軽鎖コード核酸分子が5'-3'方向に、: vκプロモーター、ヒトリーダー、ヒトV遺伝子、場合によりMoEκiエンハンサー、ラット定常領域(κ)および場合により(切断型)MoEκ3'エンハンサーを含む、請求項1に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項20】
5'-3'方向に: vκプロモーター、リーダー、ヒトV遺伝子、場合によりMoEκiエンハンサー、ラット定常領域(κ)および場合により(切断型)MoEκ3'エンハンサーを含む発現カセットを備えている、請求項1から19のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に暴露するステップおよび抗原に特異的な抗体を単離するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に曝露するステップおよびこのような抗体を産生する細胞を単離するステップ、前記細胞を培養し、場合により不死化し、前記抗体を収集するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に曝露するステップおよびこのような抗体の少なくとも一部をコードする核酸を単離するステップ、前記核酸分子またはそれらのコピーもしくは誘導体を発現カセットに挿入するステップおよび前記抗体を宿主細胞において発現するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項24】
請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物の子孫であって、少なくともそのB細胞系統中に、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む子孫。
【請求項25】
請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物から単離された細胞であって、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む細胞。
【請求項26】
再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子をネズミ科哺乳動物に挿入する工程を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物を産生する方法であって、
前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき、かつ
前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む、方法。
【請求項27】
抗体を産生するための、請求項1から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物の使用。
【請求項28】
抗体を産生するための、請求項25に記載の細胞の使用。

第4 取消理由および申立て理由の概要
1.取消理由の概要
当審において平成28年3月17日付けで通知した取消理由は、以下のとおりである。

(1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項
ア.本件特許の請求項1?4,6?8,10?11,13?15,21?22,24?28に係る発明は、甲4号証に記載された発明と同一であるか、あるいは、相違点があるとしてもその点は当業者であれば容易になし得るものである。

イ.本件特許の請求項1?4,6?7,10?15,24?26に係る発明は、甲7号証に記載された発明と同一であるか、あるいは、相違点があるとしてもその点は当業者であれば容易になし得るものである。

甲4号証:国際公開第2006/117699号
甲7号証:Blood,2006,Vol.108,No.2,p.536-543

(2)特許法第29条第2項
ア.本件特許の請求項1?4,10?15,19?28に係る発明は、甲15号証に記載された事項、及び、甲13,18?20、22?23、25号証に記載された周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.本件特許の請求項5?18,20?28に係る発明は、甲15号証に記載された事項、甲13,18?20、22?23、25号証に記載された周知の事項、及び甲31?32号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ.本件特許の請求項6?18,20?28に係る発明は、甲15号証に記載された事項、甲13,18?20、22?23、25号証に記載された周知の事項、及び甲32?34号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ.本件特許の請求項16?18,20?28に係る発明は、甲15号証に記載された事項、甲13,18?20、22?23、25号証に記載された周知の事項、及び甲31?34号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

甲13号証:特表2004-524841号公報
甲15号証:国際公開第2004/106375号
甲18号証:Nat.Biotechnool.,2007,Vol.25,No.6,p.613
甲19号証:Nat.Biotechnool.,2007,Vol.25,No.10,p.1075-1077
甲20号証:Mike Nagle, ウェブサイト Outsourcing-Pharma.com
(http://www.outsourcing-pharma.com)
の記事, 2007年12月3日
甲22号証:米国特許出願公開第2007/0280945号明細書
甲23号証:国際公開第2008/076379号
甲25号証:国際公開第2008/054606号
甲31号証:欧州特許出願公開第1439234号明細書
甲32号証:Immunity,2006,Vol.24,p.729-739
甲33号証:NAR,1997,Vol.25,No.6,p.1317-1318
甲34号証:Torres et al.,
Laboratory Protocols for Conditional Gene Targeting,
Oxford University Press,1997,p.42-53

(3)特許法第36条第6項第1号
本件特許の請求項1の以下の記載
「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有されるように、前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき」
について、本件特許の発明の詳細な説明の実施例2に記載の方法は、重鎖において既に再構成された後のレパートリーをライブラリー化しているのであって、再構成及び超突然変異を介して抗体の特異性における多様性を獲得したものではないことから、本件特許の請求項1に係る発明のトランスジェニックネズミ科哺乳動物の作製について、本件特許の発明の詳細な説明による具体的な裏付けがあるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。本件特許の請求項2?28に係る発明についても同様である。

2.取消理由以外の申立て理由の概要
特許異議申立人は、上記取消理由に関連しないものとして、以下の理由を申立てていた。

(1)特許法第17条の2第3項
ア.請求項1に追加された「再構成された」なる文言は、本件特許の出願当初の明細書の開示の範囲内ではなく、該補正は新規事項の追加に該当する。

イ.請求項1に追加された「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有される」なる文言は、本件特許の出願当初の明細書の開示の範囲内ではなく、該補正は新規事項の追加に該当する。

ウ.請求項11として追加された「前記軽鎖が、少なくとも2種のヒト重鎖とペアリングできる、請求項1から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物」なる文言は、本件特許の出願当初の明細書の開示の範囲内ではなく、該補正は新規事項の追加に該当する。

(2)特許法第29条第1項第3号
本件特許の請求項1,2,6?8,10,11,22,23,25,27,28に係る発明は、甲13号証記載の発明と区別できない。

甲13号証:特表2004-524841号公報

(3)特許法第29条第2項
ア.本件特許の請求項1?4,10?15,19?28に係る発明は、甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項とから容易想到。

イ.本件特許の請求項5に係る発明は、甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項、ならびに甲31または32号証に記載の事項とから容易想到。

ウ.本件特許の請求項6?9に係る発明は、甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項、ならびに甲32?34号証のいずれかに記載の事項とから容易想到。

甲16号証:国際公開第2004/009618号
甲13,18?23,25,31?34号証は、第4 1.(2)に記載のとおり。

(4)特許法第36条第4項第1号
ア.請求項1?28
請求項1は、軽鎖を全ての抗体において同一にするための手段を軽鎖が備えるという特徴を有するべきであるところ、たとえそのように請求項が訂正されたとしても、発明の詳細な説明において、そのような手段の具体的構成が何ら記載されておらず、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
発明の詳細な説明は、当業者が請求項に包含される発明における全ての軽鎖を過度の負担なく同定することを可能にする程度に明確かつ十分に記載されていない。
請求項1に記載の「ネズミ科定常領域」は、内因性の軽鎖定常領域から区別可能でなければならないが、文言上、内因性のネズミ科定常領域を包含している。従って、本件特許の請求項1に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。

イ.請求項14?18,20?28
請求項14は、請求項5が従属し、本件特許の請求項14が同一染色体内において、内因性のVκがサイレンシングされ、かつRosa遺伝子座が再構成された軽鎖をコードする核酸を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳動物を含む以上、本件特許の請求項14に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。

ウ.請求項26
請求項26は、「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有される」という特徴を達成するための必要な工程が欠けているため、本件特許の請求項26に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。

(5)特許法第36条第6項第1号
ア.請求項1?28
請求項1は、軽鎖を全ての抗体において同一にするための手段を軽鎖が備えるという特徴を有するべきであるところ、たとえそのように請求項が訂正されたとしても、発明の詳細な説明において、そのような手段の具体的構成が何ら記載されておらず、従って請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。
請求項に係る発明は、免疫原性の軽鎖を許容し、また重鎖における完全な多様性を許容しているから、免疫原性の低い抗体の提供という本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。
請求項に係る発明は、2つの異なる重鎖のみに結合できる軽鎖を許容しているから、実際の目的に役に立たない発明を包含し、よって、何らかの技術的課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。
請求項1に記載の「ネズミ科定常領域」は、内因性の軽鎖定常領域から区別可能でなければならないが、文言上、内因性のネズミ科定常領域を包含している。従って、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える。

イ.請求項14?18,20?28
請求項14は、請求項5が従属し、本件特許の請求項14が同一染色体内において、内因性のVκがサイレンシングされ、かつRosa遺伝子座が再構成された軽鎖をコードする核酸を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳動物を含む以上、本件特許の請求項14に係る発明は、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える。

ウ.請求項26
請求項26は、「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有される」という特徴を達成するための必要な工程が欠けているため、本件特許の請求項26に係る発明は、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える。

(6)特許法第36条第6項第2号
ア.請求項1?28
請求項1の「前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき(る)」なる記載は、不明確である。
請求項1の「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有される」なる記載は、不明確である。
請求項1の「多様性」なる記載は、不明確である。
請求項1の「前記軽鎖」なる記載は、不明確である。

イ.請求項7?18,21?28
請求項7の「特定段階期間」なる記載は、不明確である。

ウ.請求項23
請求項23の「このような抗体の少なくとも一部」なる記載は、不明確である。

エ.請求項24
請求項24に係る発明は、本件特許の請求項1に記載された全ての特徴を引用していないため、不明確である。また、請求項24の「前記軽鎖」なる記載は、不明確である。

オ.請求項25,28
請求項25に係る発明は、本件特許の請求項1に記載された全ての特徴を引用していないため、不明確である。また、請求項25の「前記軽鎖」なる記載は、不明確である。

第5 当審の判断
1.取消理由についての検討
本件特許の請求項3,16は本件訂正請求により削除されたので、請求項3,16に係る特許に対する特許異議の申立ては却下する。
そして、本件訂正発明1?2,3?15,17?28について以下に検討する。

(1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項
第4 1.(1)ア.及びイ.について、訂正前の請求項16は取消理由の対象となっていない。そして、本件訂正発明1は、訂正前の請求項16に基づいて軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列であることが記載されており、取消理由の対象となっていない訂正前の請求項16の特徴を含むものである。
したがって、当該ア.及びイ.の取消理由は理由がない。

(2)特許法第29条第2項
第4 1.(2)ア.について、訂正前の請求項16は取消理由の対象となっておらず、本件訂正発明1は、取消理由の対象となっていない訂正前の請求項16の特徴を含むものである。
したがって、当該ア.の取消理由は理由がない。

次に、第4 1.(2)イ.?エ.のうち、イ.及びウ.は、訂正前の請求項16に関するエ.の取消理由が存在することが前提になるため、まず、第4 1.(2)エ.の取消理由について検討する。

ア.甲15号証の記載
甲15号証には、以下の事項が記載されている。

(甲15-a)「例えば、2つの抗体の抗原結合親和性を大きく変化させることなく、両抗体の可変軽鎖ドメインを他方の抗体の可変軽鎖ドメインと交換できる場合に、該2つの抗体はペアリング互換可変領域を有する。抗体がペアリング互換可変領域を有する場合の別の例としては、それらが同一のまたは密接に関連した可変領域を共有する場合であり、この場合、この共有された領域への2つのパートナードメインのペアリングは、機能的な結合部位の形成をもたらすであろう。」(21頁19行目?22頁5行目)

(甲15-b)「ペアリング互換可変領域を有する抗体は、該重鎖の遺伝子座のみまたは該軽鎖の遺伝子座のみ、および単一のまたは限られたセットの選ばれたパートナー鎖のみを保有するトランスジェニックマウスにおいて、よりいっそう容易に同定され得ることが想定される。この場合、免疫化により、全てが互換共通鎖を有する抗体を生じる。その後、ペアリング互換可変領域を有する抗体は本明細書に記載の方法を用いて同定される。パートナー鎖の体細胞超変異の程度を低減することにより、このような抗体を同定できる効率をさらに改善することができる。これは例えば、可変領域周囲の調節配列を除去することによって、または遺伝子が細胞内の超変異機構の基質になる可能性がより低くなるように可変領域コドンを変異させることにより、または免疫化後の早期にB細胞を回収することにより、行うことができる。」(41頁29行目?42頁11行目)

(甲15-c)「3つの異なる抗体重鎖遺伝子及び1つの共通の軽鎖遺伝子のための真核細胞における発現カセット

」(図20)

(甲15-d)「例えば、それぞれの抗体の重鎖可変領域が、軽鎖κ又はλ遺伝子ファミリーの1つ又はそれ以上を代表する生殖細胞系列がコードされたセグメントを中心で構成される、選択された軽鎖可変領域のセットと組み合わせる。」(26頁16?20行目)

(甲15-a)?(甲15-b)の下線部分の記載、及び(甲15-c)の共通軽鎖の概念の記載より、甲15号証には次の発明(以下、「甲15発明」という)が記載されているものと認められる。

「ペアリング互換可変領域を有する軽鎖の遺伝子座のみを保有するトランスジェニックマウスであって、当該軽鎖の可変領域を共有することで互換共通軽鎖を有する抗体を生じる、トランスジェニックマウス。」

イ.対比
本件訂正発明1と甲15発明を対比すると、甲15発明における「ペアリング互換可変領域を有する軽鎖の遺伝子座のみを保有するトランスジェニックマウス」は、本件訂正発明1の「再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含むトランスジェニックネズミ科哺乳動物」に相当する。
また、(甲15-b)において、抗体がB細胞を回収することで同定していることから明らかなとおり、甲15発明において、共通軽鎖をB細胞系列に導入していることは記載されているに等しい事項であるから、両者は
「少なくともそのB細胞系統において、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含むトランスジェニックネズミ科哺乳動物。」
である点で一致し、以下の4点で相違する。

相違点1:
本件訂正発明1は「軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列である」のに対して、甲15発明はかかる特定を有しない点。

相違点2:
本件訂正発明1は「そのゲノムに組み込まれた、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含む」のに対して、甲15発明はかかる特定を有しない点。

相違点3:
本件訂正発明1では「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有されるように、前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングできる」のに対して、甲15発明では「軽鎖の可変領域を共有することで互換共通軽鎖を有する抗体を生じる」点。

相違点4:
本件訂正発明1は「軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む」のに対して、甲15発明はかかる特定を有しない点。

ウ.相違点の判断
まず、上記相違点1について検討すると、(甲15-d)にあるとおり、甲15号証には、生殖細胞系列がコードされたセグメントを中心で構成される、選択された軽鎖可変領域のセットと組み合わせることが記載されている。
しかしながら、生殖細胞系列についての上記記載は、あくまでペアリング互換可変領域に同定の際の、可能性のある手段を記載したに過ぎず、実際に、軽鎖可変領域に生殖細胞系列配列を用いて、重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有されるように、トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングできることが示されているわけではない。
一方、本件特許の発明の詳細な説明には、実施例18において、生殖細胞系列配列である共通軽鎖導入遺伝子の発現は軽鎖発現の通常のパターンと一致すること(図26)、さらに、当該共通軽鎖が、IgM形態の内生重鎖とペアリングすることによって細胞表面に正しく発現していること(図27)が示されている。
そして、訂正前の請求項16の特徴を含む本件訂正発明1は、重鎖が再構成及び超突然変異を介して抗体の特異性における多様性を獲得することが上述の通り実証されていることで、格別な効果を奏するものと認められる。
よって、上記相違点1については、甲15発明に基づいて当業者が容易になし得たとはいえず、甲15号証の他の記載及び甲15号証以外の先行技術を組み合わせても、当業者が容易になし得たとはいえない。
そうすると、上記相違点2?4について検討するまでもなく、本件訂正発明1および本件訂正発明1を限定した本件訂正発明2,4?15,17?28が、甲15号証に記載された事項、甲13,18?20、22?23、25号証に記載された周知の事項、及び甲31?34号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた、とすることはできないので、第4 1.(2)エ.の取消理由は理由がない。

そして、第4 1.(2)イ.及びウ.については、上記エ.の取消理由が存在することが前提になるため、第4 1.(2)イ.及びウ.の取消理由も理由がない。

(3)特許法第36条第6項第1号
第5 1.(2)ウ.においても述べたとおり、本件特許の発明の詳細な説明の実施例18(特に、図26,27)において、生殖細胞系列配列を有する共通軽鎖が内生重鎖とペアリングする際に、重鎖が再構成及び超突然変異を介して抗体の特異性における多様性を獲得していることが実証されていることから、本件訂正発明1のトランスジェニックネズミ科哺乳動物の作製について、本件特許の発明の詳細な説明による具体的な裏付けがあるとはいえない、とすることはできない。
したがって、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない、とすることはできない。また、本件訂正発明1を限定した本件訂正発明2,4?15,17?28も同様に、発明の詳細な説明に記載したものでない、とすることはできないので、第4 1.(3)の取消理由は理由がない。

(4)小括
よって、通知した取消理由はいずれも理由がない。

2.取消理由以外の申立ての理由についての検討
(1)特許法第17条の2第3項
第4 2.(1)ア.?ウ.について、いずれも当初明細書等に基づいた補正であって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正前の請求項1,11についてされた補正は新規事項の追加に該当する、とすることはできない。

(2)特許法第29条第1項第3号
第4 2.(2)について、訂正前の請求項3,16は申立ての理由の対象となっていない。そして、本件訂正発明1は、申立ての理由の対象となっていない訂正前の請求項3,16の特徴を含むものである。
したがって、本件訂正発明1および本件訂正発明1を限定した本件訂正発明2,4?15,17?28が甲13号証記載の発明と区別できない、とすることはできない。

(3)特許法第29条第2項
第4 2.(3)について、ア.?ウ.のいずれも訂正前の請求項16は申立ての理由の対象となっていない。そして、本件訂正発明1は、申立ての理由の対象となっていない訂正前の請求項16の特徴を含むものである。
したがって、本件訂正発明1および本件訂正発明1を限定した本件訂正発明2,4?15,17?28が、甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項とから容易想到、とすることはできないし、
甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項、ならびに甲31または32号証に記載の事項とから容易想到、とすることもできないし、
甲16号証に記載の発明と、甲13,18?23,25号証のいずれかに記載の事項、ならびに甲32?34号証のいずれかに記載の事項とから容易想到、とすることもできない。

(4)特許法第36条第4項第1号
ア.請求項1?28
第4 2.(4)ア.について、本件訂正発明1には、「再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域」という文言で共通軽鎖の概念が表現されており、当該軽鎖を同定することに過度な負担を要するとまではいえない。また、内因性のネズミ科定常領域を包含することで、本件訂正発明1が、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない、とすることはできない。

イ.請求項14?18,20?28
第4 2.(4)イ.について、内因性のVκがサイレンシングされ、かつRosa遺伝子座が再構成された軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト哺乳動物の発明である、本件訂正発明14が、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない、とすることはできない。

ウ.請求項26
第4 2.(4)ウ.について、出願時の技術常識を考慮すれば、本件訂正発明26が、本願明細書の発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない、とすることはできない。

(5)特許法第36条第6項第1号
ア.請求項1?28
第4 2.(5)ア.について、本件訂正発明1には、「再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域」という文言で共通軽鎖の概念が表現されており、生殖細胞系列配列を有する軽鎖を用いることで免疫原性の低い抗体が提供されるものと認められる。また、2つの異なる重鎖のみに結合できる軽鎖を許容すること、内因性のネズミ科定常領域を包含する点について、これらのことをもって、本件訂正発明1が、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える、とすることはできない。

イ.請求項14?18,20?28
第4 2.(5)イ.について、内因性のVκがサイレンシングされ、かつRosa遺伝子座が再構成された軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト哺乳動物の発明である、本件訂正発明14が、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える、とすることはできない。

ウ.請求項26
第4 2.(5)ウ.について、出願時の技術常識を考慮すれば、本件訂正発明26が、本件特許の出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超える、とすることはできない。

(6)特許法第36条第6項第2号
ア.請求項1?28
第4 2.(6)ア.について、本件訂正発明1の「前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき(る)」、「重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有される」、「多様性」及び「前記軽鎖」なる記載はいずれも不明確である、とすることはできない。

イ.請求項7?18,21?28
第4 2.(6)イ.について、本件訂正発明7の「特定段階期間」なる記載は不明確である、とすることはできない。

ウ.請求項23
第4 2.(6)ウ.について、本件訂正発明23の「このような抗体の少なくとも一部」なる記載は不明確である、とすることはできない。

エ.請求項24
第4 2.(6)エ.について、本件訂正発明24は、本件訂正発明1の全ての特徴を引用していないため不明確であるとすることはできないし、本件訂正発明24の「前記軽鎖」なる記載は不明確であるとすることもできない。

オ.請求項25,28
第4 2.(6)オ.について、本件訂正発明に係る発明は、本件訂正発明1の全ての特徴を引用していないため不明確であるとすることはできないし、本件訂正発明25の「前記軽鎖」なる記載は不明確であるとすることもできない。

(7)小括
よって、取消理由以外の申立ての理由はいずれも採用できない。

3.特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、平成28年8月24日に提出した意見書において、本件訂正発明1を特定する文言「生殖細胞系列」配列の解釈に関する明確性違反、実施可能要件およびサポート要件違反を主張し(意見書3頁14行目?6頁下から6行目)、さらに、当該解釈を言及する形で新規性進歩性違反を主張している(意見書6頁下から5行目?18頁2行目)。
しかしながら、「生殖細胞系列」は、訂正前の請求項16に既に存在していた文言であり、特許異議申立人の上記主張は、訂正の請求の内容に付随して生じる理由であるとはいえず、意見の内容が実質的に新たな理由及び証拠(参考文献1,2)を提示していると認められるため、上記主張を採用することはできない。

第6 結び
以上のとおりであるから、取消理由並びに申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正発明1?2,4?15,17?28に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1?2,4?15,17?28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項3,16は、本件訂正請求により削除されたので、請求項3,16に係る特許に対する申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともそのB細胞系統において、そのゲノムに組み込まれた、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含むトランスジェニックネズミ科哺乳動物であって、
軽鎖コード配列が生殖細胞系列配列であり、
重鎖における再構成および超突然変異を介して抗体の特異性における多様性が保有されるように、前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき、かつ
前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む、トランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項2】
マウスである、請求項1に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
組み込みが、サイレンシングに対して耐性である遺伝子座内である、請求項1または2に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項5】
組み込みがRosa遺伝子座内である、請求項4に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項6】
ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域コード核酸分子が、前記核酸分子の発現を本質的にB細胞系統の細胞に限定するのを可能にする手段を備える、請求項1、2、4、および5のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項7】
ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域コード核酸分子が、軽鎖コード核酸分子の発現を、主にB細胞の発生の特定段階期間に可能にする手段を備える、請求項6に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項8】
前記手段が、CD19、CD20、μHC、VプレB1、VプレB2、VプレB3、λ5、Igα、Igβ、κLC、λLCおよびBSAP(Pax5)の群から選択されるプロモーターを含む、請求項7に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項9】
前記手段がcre-lox系を含む、請求項7または8に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項10】
前記軽鎖が、少なくとも2種のネズミ科重鎖とペアリングできる、請求項1、2、および4から9のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項11】
前記軽鎖が、少なくとも2種のヒト重鎖とペアリングできる、請求項1、2、および4から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項12】
再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子が、単一のヒトV遺伝子セグメントおよび単一のヒトJ遺伝子セグメントをコードする、請求項1、2、および4から11のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項13】
内因性軽鎖をコードする内因性遺伝子座の少なくとも1つが、機能的にサイレンシングされる、請求項1、2、および4から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項14】
内因性κ軽鎖遺伝子座が機能的にサイレンシングされる、請求項1、2、および4から13のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項15】
軽鎖コード配列の配列がヒトvκ配列である、請求項1、2、および4から14のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項16】 (削除)
【請求項17】
生殖細胞系列配列がO12に基づく、請求項15に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項18】
生殖細胞系列配列がIGKV1-39*01/ IGKJ1*01である、請求項17に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項19】
ヒト免疫グロブリン軽鎖コード核酸分子が5’-3’方向に、:vκプロモーター、ヒトリーダー、ヒトV遺伝子、場合によりMoEκiエンハンサー、ラット定常領域(κ)および場合により(切断型)MoEκ3’エンハンサーを含む、請求項1に記載のトランスジェニックネズミ科哺乳動物。
【請求項20】
5’-3’方向に:vκプロモーター、リーダー、ヒトV遺伝子、場合によりMoEκiエンハンサー、ラット定常領域(κ)および場合により(切断型)MoEκ3’エンハンサーを含む発現カセットを備えている、請求項1、2、4から15、および17から19のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物。
【請求項21】
請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に暴露するステップおよび抗原に特異的な抗体を単離するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項22】
請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に曝露するステップおよびこのような抗体を産生する細胞を単離するステップ、前記細胞を培養し、場合により不死化し、前記抗体を収集するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項23】
請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のネズミ科哺乳動物を、抗体応答が誘導されるような抗原に曝露するステップおよびこのような抗体の少なくとも一部をコードする核酸を単離するステップ、前記核酸分子またはそれらのコピーもしくは誘導体を発現カセットに挿入するステップおよび前記抗体を宿主細胞において発現するステップを含む、所望の抗体の作製方法。
【請求項24】
請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物の子孫であって、少なくともそのB細胞系統中に、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む子孫。
【請求項25】
請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物から単離された細胞であって、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む細胞。
【請求項26】
再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする核酸分子をネズミ科哺乳動物に挿入する工程を含む、請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物を産生する方法であって、
前記軽鎖可変領域が、前記トランスジェニックネズミ科哺乳動物によりコードされる少なくとも2種の異なる重鎖可変領域とペアリングでき、かつ
前記軽鎖がネズミ科軽鎖定常領域をさらに含む、方法。
【請求項27】
抗体を産生するための、請求項1、2、4から15、および17から20のいずれか一項に記載のトランスジェニックネズミ科動物の使用。
【請求項28】
抗体を産生するための、請求項25に記載の細胞の使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-09-07 
出願番号 特願2011-516168(P2011-516168)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A01K)
P 1 651・ 854- YAA (A01K)
P 1 651・ 536- YAA (A01K)
P 1 651・ 121- YAA (A01K)
P 1 651・ 841- YAA (A01K)
P 1 651・ 857- YAA (A01K)
P 1 651・ 851- YAA (A01K)
P 1 651・ 55- YAA (A01K)
P 1 651・ 855- YAA (A01K)
P 1 651・ 113- YAA (A01K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 幸田 俊希大久保 智之  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 三原 健治
高堀 栄二
登録日 2015-05-22 
登録番号 特許第5749161号(P5749161)
権利者 メルス・ベー・フェー
発明の名称 抗体産生非ヒト哺乳動物  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 田代 玄  
代理人 鎌田 光宜  
代理人 高島 一  
代理人 箱田 篤  
代理人 服部 博信  
代理人 浅井 賢治  
代理人 田代 玄  
代理人 箱田 篤  
代理人 戸崎 富哉  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 市川 さつき  
代理人 服部 博信  
代理人 山崎 一夫  
代理人 浅井 賢治  
代理人 市川 さつき  
代理人 山崎 一夫  

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