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審決分類 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 一部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 一部申し立て 発明同一  A23L
管理番号 1322272
異議申立番号 異議2016-700373  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-28 
確定日 2016-09-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5802646号発明「乳含有容器詰飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5802646号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕、〔6?10〕、〔11?15〕について訂正することを認める。 特許第5802646号の請求項1、6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5802646号の請求項1、6に係る特許についての出願は、平成24年12月12日に出願され、平成27年9月4日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人合同会社SASにより特許異議の申立てがされ、平成28年6月13日付けで取消理由が通知され、同年6月24日付けで意見書及び訂正請求書の提出があったものである。
なお、特許法第120条の5第5項の規定に基づく書面を特許異議申立人に送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人から応答はなかった。

第2 訂正について
1 訂正の内容
平成28年6月24日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5、6?10、11?15について訂正することを求めるものであり、具体的な訂正事項は以下のとおりである。
(1)請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正
訂正前の請求項1に
「【請求項1】
(A)乳タンパク質0.4?0.92質量%及び(B)茶葉由来ポリフェノール0.04?0.1質量%を含有し、pHが5.4以上6.3以下であり、乳固形分量が3%以下であることを特徴とする乳含有容器詰飲料。」
とあるのを、
「【請求項1】
(A)乳タンパク質0.7?0.85質量%及び(B)茶葉由来ポリフェノール0.06?0.08質量%を含有し、pHが5.4以上6.3以下であり、乳固形分量が3%以下であり、乳酸及びクエン酸を含有することを特徴とする乳含有容器詰飲料。」
と訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同じ。)。

(2)請求項6?10からなる一群の請求項に係る訂正
訂正前の請求項6に
「【請求項6】
乳タンパク質0.4?0.92質量%に調整する工程と、茶葉由来ポリフェノール量を0.04?0.1質量%に調整する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整する工程と、乳固形分量を3%以下に調整する工程とを含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法。」
とあるのを
「【請求項6】
乳タンパク質0.7?0.85質量%に調整する工程と、茶葉由来ポリフェノール量を0.06?0.08質量%に調整する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整する工程と、乳固形分量を3%以下に調整する工程と、乳酸を調整する工程と、クエン酸を調整する工程とを含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法。」
と訂正する。

(3)請求項11?15からなる一群の請求項に係る訂正
訂正前の請求項11に
「【請求項11】
(A)乳タンパク質を0.4?0.92質量%に調整し、(B)茶葉由来ポリフェノールを0.04?0.1質量%に調整し、pHを5.4以上6.3以下に調整し、乳固形分量を3%以下に調整することを特徴とする乳含容器詰飲料の風味改善方法。」
とあるのを
「【請求項11】
(A)乳タンパク質を0.7?0.85質量%に調整し、(B)茶葉由来ポリフェノールを0.06?0.08質量%に調整し、pHを5.4以上6.3以下に調整し、乳固形分量を3%以下に調整し、乳酸及びクエン酸を調整することを特徴とする乳含容器詰飲料の風味改善方法。」
と訂正する。

2 訂正の適否
(1)請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正について
ア.訂正の目的、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更
請求項1に係る訂正は、乳タンパク質の含有量の範囲を「0.4?0.92質量%」から「0.7?0.85質量%」へと狭め、茶葉由来ポリフェノールの含有量の範囲を「0.04?0.1質量%」から「0.06?0.08質量%」へと狭め、更に、「乳酸及びクエン酸を含有する」との限定事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、請求項1を直接又は間接に引用する請求項2?5についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
また、特許明細書に、「(A)乳タンパク質 ・・・ 乳タンパク質は、好ましくは0.52?0.92重量%、さらに好ましくは0.6?0.9重量%、最も好ましくは0.7?0.85重量%含有すると、適度な濃度感があり望ましい。」(【0012】)、「(B)ポリフェノール ・・・ 好ましくは0.05?0.09重量%、さらに好ましくは0.06?0.08重量%することにより、更に後味のキレを向上させることが可能となる。」(【0017】)、「(pH) ・・・ pHの調整は、必要に応じてpH調整剤を添加することにより行う。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びグルコン酸等の有機酸、ならびに重曹等のアルカリ金属塩等である。」(【0021】)と記載され、【0033】の【表1】に、実施例1?10の配合(g/1000g)として、「乳酸50%」がいずれも0.7であり、「クエン酸」がいずれも0.25であることが記載されていることから、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.独立特許要件
上記ア.のとおり、請求項1に係る訂正は、請求項1を直接又は間接に引用する請求項2?5についても特許請求の範囲を減縮するものであるところ、後述する取消理由1?4を参酌しても、訂正後の請求項2?5に記載されている事項により特定される各発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見いだせない。

(2)請求項6?10からなる一群の請求項に係る訂正について
ア.訂正の目的、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更
請求項6に係る訂正は、乳タンパク質の調整の範囲を「0.4?0.92質量%」から「0.7?0.85質量%」へと狭め、茶葉由来ポリフェノールの調整の範囲を「0.04?0.1質量%」から「0.06?0.08質量%」へと狭め、更に、「乳酸を調整する工程と、クエン酸を調整する工程とを含む」との限定事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、請求項6を直接又は間接に引用する請求項7?10についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
また、前記(1)ア.において請求項1について検討したのと同じく、特許明細書の【0012】、【0017】、【0021】、【0033】の【表1】の記載に基づく訂正であるから、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ.独立特許要件
上記ア.のとおり、請求項6に係る訂正は、請求項6を直接又は間接に引用する請求項7?10についても特許請求の範囲を減縮するものであるところ、後述する取消理由1?4を参酌しても、訂正後の請求項7?10に記載されている事項により特定される各発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見いだせない。

(3)請求項11?15からなる一群の請求項に係る訂正について
ア.訂正の目的、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更
請求項11に係る訂正は、乳タンパク質の調整の範囲を「0.4?0.92質量%」から「0.7?0.85質量%」へと狭め、茶葉由来ポリフェノールの調整の範囲を「0.04?0.1質量%」から「0.06?0.08質量%」へと狭め、更に、「乳酸及びクエン酸を調整する」との限定事項を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、請求項11を直接又は間接に引用する請求項12?15についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
また、前記(1)ア.において請求項1について検討したのと同じく、特許明細書の【0012】、【0017】、【0021】、【0033】の【表1】の記載に基づく訂正であるから、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ.独立特許要件
上記ア.のとおり、請求項11に係る訂正は、請求項11及びこれを直接又は間接に引用する請求項12?15について特許請求の範囲を減縮するものであるところ、後述する取消理由1?4を参酌しても、訂正後の請求項11?15に記載されている事項により特定される各発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見いだせない。

3 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項並びに読み替えて準用する同条第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?5〕、〔6?10〕、〔11?15〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の請求項1及び6に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明6」という。)は、上記訂正された特許請求の範囲の請求項1及び6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
(A)乳タンパク質0.7?0.85質量%及び(B)茶葉由来ポリフェノール0.06?0.08質量%を含有し、pHが5.4以上6.3以下であり、乳固形分量が3%以下であり、乳酸及びクエン酸を含有することを特徴とする乳含有容器詰飲料。

【請求項6】
乳タンパク質0.7?0.85質量%に調整する工程と、茶葉由来ポリフェノール量を0.06?0.08質量%に調整する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整する工程と、乳固形分量を3%以下に調整する工程と、乳酸を調整する工程と、クエン酸を調整する工程とを含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法。

2 取消理由の概要
平成28年6月13日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。

「1.本件特許の請求項1及び6に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その発明についての特許は取り消すべきものである。

2.本件特許の請求項1及び6に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明についての特許は取り消すべきものである。

3.本件特許は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1及び6に係る発明についての特許は取り消すべきものである。

4.本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1及び6に係る発明についての特許は取り消すべきものである。



甲第1号証:特開2014-110782号公報
甲第2号証:特開2012-139155号公報
甲第3号証:堀込広明、「新しい飲料の開発と応用」、有限会社研修社・工業技術会株式会社、1991年3月10日、p.196-215
甲第4号証:村松敬一郎、「茶の科学」、株式会社朝倉書店、1991年3月15日、p.174-183
甲第5号証:科学技術庁資源調査会、「五訂 日本食品標準成分表」、大蔵省印刷局、平成12年12月20日、p.254
甲第6号証:日本食品科学工学会誌、第48巻、第4号、2001年4月15日、p.311-320
甲第7号証:特開2005-85号公報
甲第8号証:特開平11-56231号公報

●理由1について
先願:特願2012-244416号

甲第1号証は、上記先願を優先権の基礎とする出願(後の出願)の公開公報であり、上記後の出願について出願公開がされた時に上記先願について出願公開がされたものとみなして、特許法第29条の2の規定が適用される(特許法第41条第3項)。
そして、甲第3号証?甲第5号証を参照すれば、請求項1及び6に係る発明は、上記先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一である。

●理由2について
請求項1及び6に係る発明は、甲第5号証?甲第8号証を参照すれば、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

●理由3、4について
請求項1及び6には、乳酸及びクエン酸を含有しない乳含有容器詰飲料、及び、乳酸及びクエン酸を含有しない乳含有容器詰飲料の製造方法が含まれる。しかしながら、本件特許明細書の【0022】には、乳酸を一定量含有することにより、常温時に長時間置かれても風味の良好な飲料となることが記載され、全ての実施例において乳酸及びクエン酸が配合されており、乳酸及びクエン酸を配合しない実施例の記載はない。
よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1及び6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
また、請求項1及び6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。」

3 判断
(1)取消理由1(特許法第29条の2)について
ア.先願(特願2012-244416号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面の記載

「本発明の乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料のpHは通常5.6?6.7、好ましくは5.8?6.5、更に好ましくは6.1?6.4の範囲である。なお、本発明において飲料のpHは、殺菌前における飲料のpHを示す。」(甲第1号証【0025】参照。)

「実験例5 乳成分含有紅茶飲料の調製(1)
表6の処方に基づき、乳成分を含有する紅茶飲料(アップルミルクティー)を調製した。
(紅茶抽出液の調製)
茶葉(ウバ)に20倍量の熱湯を加え、2分間浸漬抽出し、濾過を行なった。得られた抽出液を紅茶抽出液とした(紅茶抽出液のBrix1.8?2.0、pH4.9)。
(乳成分含有紅茶飲料の調製)
イオン交換水を撹拌しながら砂糖、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びカラギナンの粉体混合物を添加し、75℃にて10分間撹拌し、冷却した。次いで牛乳を添加し、撹拌しながら紅茶抽出液を添加した。全量が100質量部となるようにイオン交換水にて全量を補正後、75℃にてホモゲナイザーにて均質化処理(一段階目:10MPa、二段階目:5MPa)を行った。140℃30秒の条件でUHT殺菌処理後、無菌的にペットボトル溶液に充填して乳成分含有紅茶飲料(実施例5-1)を調製した(紅茶飲料のpH6.1)。」(甲第1号証【0057】参照。)

「【表6】

」(甲第1号証【0058】参照。)

以上によれば、上記先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、
「牛乳を20質量%、茶葉(ウバ)に20倍量の熱湯を加え、2分間浸漬抽出し、濾過を行なって得られた紅茶抽出液を7.5質量%含有し、pH6.1であり、クエン酸を含有する、ペットボトルに充填した乳成分含有紅茶飲料。」
の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されていると認められる。
また、上記先願発明1の製造方法の発明(以下「先願発明2」という。)も記載されていると認められる。

イ.対比・判断
本件発明1は、少なくとも、「茶葉由来ポリフェノール0.06?0.08質量%を含有」する点、及び、「乳酸」を含有する点で、上記先願発明1と相違する。
特許異議申立人は、甲第3号証を参照して、先願発明1のタンニン濃度が0.044質量%と算出できると主張するが、そうであっても、上記0.06?0.08質量%の範囲外である。また、甲第4号証を参照して、先願発明1のタンニン濃度が0.080質量%と算出されるとも主張するが、甲第4号証に記載されたケニア茶に基づく推定であるから、採用できない。
よって、本件発明1は先願発明1と同一とはいえない。
同様に、本件発明6は先願発明2と同一とはいえない。

(2)取消理由2(特許法第29条第2項)について
ア.甲第2号証の記載

「【0040】
[3.試験1:紅茶抽出液と脱カフェインタイプ紅茶エキスを用いた検討:比較例1?2、実施例1?6]
表3(基本配合)に示す配合で定法にしたがって原料を混合し、均質化処理後にレトルト缶に熱時充填し、124℃、20分間のレトルト殺菌処理を施して比較例1?2、実施例1?6の乳(ミルク)入り紅茶飲料を調製した。紅茶原料は、表4に示す総ポリフェノール量になるように紅茶抽出液と紅茶エキスとを配合したものである。」

「【0042】
【表3】

【0043】
【表4】



「【0048】
[5.試験3:低ポリフェノール量での検討(1):比較例4、実施例13?18]
表4の紅茶原料配合を表8(紅茶原料の配合)に替えた以外は比較例1?2、実施例1?6と同様にして比較例4、実施例13?18を調製した。」

「【0049】
【表8】



「【0054】
[7.試験5:より低エネルギー組成での検討:比較例6?7、実施例22?27]
表3の基本配合を表12(基本配合)に替えた以外は比較例1?2、実施例1?6と同様にして比較例6、7、実施例22?27を調製した。」

「【0055】
【表12】



以上によれば、甲第2号証には以下の発明が記載されていると認められる。
・「試験1」又は「試験3」(基本配合【表3】、総ポリフェノール量【表4】又は【表8】)に係る発明として、
「飲料1000gあたり、牛乳100g、脱脂粉乳16gを配合し、総ポリフェノール量が100mg/100mL又は50mg/100mLになるように紅茶原料を配合した乳入り紅茶飲料。」(以下「甲2発明1」という。)
・「試験5」(基本配合【表12】、総ポリフェノール量【表4】)に係る発明として、
「飲料1000gあたり、牛乳65g、脱脂粉乳6.5gを配合し、総ポリフェノール量が100mg/100mLになるように紅茶原料を配合した乳入り紅茶飲料。」(以下「甲2発明2」という。)

また、甲2発明1の製造方法の発明(以下「甲2発明3」という。)及び甲2発明2の製造方法の発明(以下「甲2発明4」という。)も記載されていると認められる。

イ.対比・判断
甲第5号証によれば、普通牛乳は、タンパク質を3.3%、乳固形分を12.6%(100%-水分87.4%)含み、脱脂粉乳は、タンパク質を34.0%、乳固形分を96.2%(100%-水分3.8%)含むと認められる。
そうすると、甲2発明1は、乳タンパク質を0.87質量%(=(100g×0.033+16g×0.340)/1000g)、乳固形分を2.8質量%(=(100g×0.126+16g×0.962)/1000g)含むといえる。
そして、甲2発明1は、茶葉由来ポリフェノールを、0.1質量%(=100mg/100mL)又は0.05質量%(=50mg/100mL)含む。
また、甲2発明2は、乳タンパク質を0.44質量%(=(65g×0.033+6.5g×0.340)/1000g)、乳固形分を1.4質量%(=(65g×0.126+6.5g×0.962)/1000g)含み、茶葉由来ポリフェノールを、0.1質量%(=100mg/100mL)含む。
そうすると、本件発明1は、少なくとも、「乳タンパク質0.7?0.85質量%」を含有する点、「茶葉由来ポリフェノール0.06?0.08質量%を含有」する点、「pHが5.4以上6.3以下」である点、「乳酸及びクエン酸を含有する」点で、甲2発明1及び甲2発明2と相違する。
そして、甲2発明1及び甲2発明2は、いずれも甲第2号証において、試験のために調整された紅茶飲料にすぎず、当該飲料について上記相違点に係る本件発明1の構成を採用する動機付けは認められない。
よって、上記相違点に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到し得たとはいえず、本件発明1は、甲2発明1又は甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

また、本件発明6と甲2発明3及び甲2発明4との相違点は、本件発明1と甲2発明1及び甲2発明2との相違点と同様であり、判断についても同様である。
よって、本件発明6は、甲2発明3又は甲2発明4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)取消理由3、4(特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号)について
本件訂正により、請求項1に「乳酸及びクエン酸を含有する」との事項が追加され、請求項6に「乳酸を調整する工程と、クエン酸を調整する工程とを含む」との事項が追加されたから、記載の不備は解消した。

(4)むすび
以上のとおり、上記取消理由1?4によっては、請求項1及び6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)乳タンパク質0.7?0.85質量%及び(B)茶葉由来ポリフェノール0.06?0.08質量%を含有し、pHが5.4以上6.3以下であり、乳固形分量が3%以下であり、乳酸及びクエン酸を含有することを特徴とする乳含有容器詰飲料。
【請求項2】
粘度が2.5?19cPであることを特徴とする請求項1に記載の乳含有容器詰飲料。
【請求項3】
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量/ポリフェノール](g/100g)が21?64であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳含有容器詰飲料。
【請求項4】
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノール](g/100g)が0.66?1.33であることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料。
【請求項5】
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/100g)が27?54であることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料。
【請求項6】
乳タンパク質0.7?0.85質量%に調整する工程と、茶葉由来ポリフェノール量を0.06?0.08質量%に調整する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整する工程と、乳固形分量を3%以下に調整する工程と、乳酸を調整する工程と、クエン酸を調整する工程とを含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法。
【請求項7】
粘度を2.5?19cPに調整することを特徴とする請求項6に記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
【請求項8】
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量/ポリフェノール](g/100g)を21?64に調整することを特徴とする請求項6又は7に記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
【請求項9】
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノール](g/100g)を0.66?1.33に調整することを特徴とする請求項6?8のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
【請求項10】
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/100g)を27?54に調整することを特徴とする請求項6?9のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
【請求項11】
(A)乳タンパク質を0.7?0.85質量%に調整し、(B)茶葉由来ポリフェノールを0.06?0.08質量%に調整し、pHを5.4以上6.3以下に調整し、乳固形分量を3%以下に調整し、乳酸及びクエン酸を調整することを特徴とする乳含容器詰飲料の風味改善方法。
【請求項12】
粘度を2.5?19cPに調整することを特徴とする請求項11に記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
【請求項13】
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量/ポリフェノール](g/100g)を21?64に調整することを特徴とする請求項11又は12に記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
【請求項14】
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノール](g/100g)を0.66?1.33に調整することを特徴とする請求項11?13のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
【請求項15】
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/100g)を27?54に調整することを特徴とする請求項11?14のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-09-16 
出願番号 特願2012-270899(P2012-270899)
審決分類 P 1 652・ 536- YAA (A23L)
P 1 652・ 161- YAA (A23L)
P 1 652・ 121- YAA (A23L)
P 1 652・ 537- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太田 雄三  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 紀本 孝
窪田 治彦
登録日 2015-09-04 
登録番号 特許第5802646号(P5802646)
権利者 株式会社 伊藤園
発明の名称 乳含有容器詰飲料  
代理人 花崎 健一  
代理人 小西 達也  
代理人 小西 達也  
代理人 花崎 健一  
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