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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01M
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01M
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01M
管理番号 1322305
異議申立番号 異議2016-700208  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-09 
確定日 2016-11-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第5780440号発明「固体酸化物形燃料電池装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5780440号の請求項6に係る特許を取り消す。 特許第5780440号の請求項1?5に係る特許を維持する。 
理由 特許第5780440号の請求項1?6に係る特許についての出願は、2012年9月27日(優先権主張2011年9月30日、2012年3月23日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月24日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人井上敬也により特許異議の申立てがなされたものである。
これに対して、同請求項6に係る特許について、平成28年6月14日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もない。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、同請求項6に係る特許は、取り消されるべきものである。
また、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、同請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に同請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

(付言)
申立人は、異議申立書において、本件請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)は、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)と甲第1号証に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反したものである旨主張している。
以下、これらの検討結果を簡単に述べる。(ここでは、唯一の独立請求項である請求項1に係る発明のみについて述べる。)
申立人は、異議申立書第19頁第22?24行において、「甲1発明における「第1の合金層(70a)(第2の合金層(70b))」(発明特定事項「○3」(当審注:3を○で囲った記号))は、本件特許発明1における「銀シール部(96)」(発明特定事項C)に相当する。」と主張している。
なお、上記「第1の合金層(70a)(第2の合金層(70b))」が、「第1の合金層(70a)」または「第2の合金層(70b)」を意味するのか、「第1の合金層(70a)」及び「第2の合金層(70b)」を意味するのか必ずしも明確ではないが、異議申立書第20頁第1?8行の記載から、「第1の合金層(70a)」または「第2の合金層(70b)」を意味するものとする。
ここで、甲第1号証には、シールアセンブリ50は、第1の合金層70aと第2の合金層70bとの間に配置された障壁66を備える旨([0018])が記載されており、さらに、甲第1号証の、第1の合金層70aは空気流に晒され、第2の合金層70bは燃料流に晒され、障壁66は、合金層70a、70b間のどのような酸素および水素の移動も阻止する旨([0020])の記載からすると、甲1発明の「第1の合金層70a」及び「第2の合金層70b」の双方が、本件特許発明1における「銀シール部」に相当し、甲1発明の「障壁66」が、本件特許発明の「緻密体」に相当するといえる。
したがって、甲1発明において、「銀シール部における前記燃料ガス側に位置する部位」とは、甲第1号証のFIG.5における「第2の合金層70b」の右側面の部位が相当し、「銀シール部における」「酸化剤ガス側に位置する部位」とは、甲第1号証のFIG.5における「第1の合金層70a」の左側面の部位が相当するといえる。
その上で、本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、「緻密体」が、本件特許発明1では、「銀シール部における前記燃料ガス側に位置する部位及び前記酸化剤ガス側に位置する部位のうち少なくとも何れか一方の少なくとも一部を覆うように形成された」ものであるのに対し、甲1発明では、第1の合金層70aと第2の合金層70bとの間に配置されたものであるため、障壁66は第2の合金層70bの右側面の部位を覆うように形成されておらず、また、障壁66は第1の合金層70aの左側面の部位を覆うように形成されていない点(甲第1号証の[0018]、[0019]参照。)で相違する。
そうすると、本件特許発明1は、甲1発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものとはいえない。
次に、本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、本件特許発明1では、「銀シール部における前記燃料ガス側に位置する部位及び前記酸化剤ガス側に位置する部位のうち少なくとも何れか一方の少なくとも一部を覆うように形成された緻密体」「を有し、前記緻密体は、少なくとも水素原子、酸素原子、及び水蒸気の何れかの侵入を抑止するものであり、ガラス、又はランタン及びクロムを含む酸化物である」のに対し、甲2発明では、「緻密体」を有さない点で相違する。
前述のように、甲第1号証には、本件特許発明1の「緻密体」に相当する「障壁66」が記載されているものの、甲第1号証に記載された「障壁66」は、第1の合金層70aと第2の合金層70bとの間に配置されており、「銀シール部における前記燃料ガス側に位置する部位及び前記酸化剤ガス側に位置する部位のうち少なくとも何れか一方」「に形成された」ものとはいえないから、甲第2号証に記載された「シール材32」に換えて、甲第1号証に記載されたシールアセンブリ50(すなわち、第1の合金層70a、第2の合金層70b及び障壁66)を採用したとしても、本件特許発明1の、「緻密体」が「銀シール部における前記燃料ガス側に位置する部位及び前記酸化剤ガス側に位置する部位のうち少なくとも何れか一方」「に形成された」という発明特定事項を得ることができない。
また、甲第1号証に記載された「障壁66」は、第1の合金層70aと第2の合金層70bとの間に配置されたものであるから、甲第1号証に記載された「障壁66」のみを、甲2発明に適用しようとしても、甲2発明の「シール材32」の燃料ガス側に位置する部位及び酸化剤ガス側に位置する部位のうち少なくとも何れか一方に形成する動機付けは見当たらない。
よって、本件特許発明1は、甲2発明及び甲第1号証に記載された事項により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法29条2項の規定に違反したものとはいえない。
 
異議決定日 2016-09-27 
出願番号 特願2013-536387(P2013-536387)
審決分類 P 1 651・ 537- ZC (H01M)
P 1 651・ 121- ZC (H01M)
P 1 651・ 113- ZC (H01M)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 太田 一平  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 土屋 知久
河本 充雄
登録日 2015-07-24 
登録番号 特許第5780440号(P5780440)
権利者 TOTO株式会社
発明の名称 固体酸化物形燃料電池装置  
代理人 鎌田 徹  

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