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審決分類 |
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H04Q 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04Q 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する H04Q 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04Q 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04Q 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04Q |
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管理番号 | 1322560 |
審判番号 | 訂正2016-390103 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2016-08-09 |
確定日 | 2016-10-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4919914号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4919914号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第4919914号(以下,「本件特許」という。)は,平成19年9月27日に出願され,その請求項1及び2に係る発明について平成24年2月10日に特許権の設定登録がなされたものであり,その後,平成28年8月9日に本件審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨 本件審判請求の趣旨は,特許第4919914号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件特許の訂正(以下,「本件訂正」という。)は,以下の(1)ないし(10)の訂正事項からなる。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1筐体は,第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成される第2隆起部」とある記載の内,「前記第1筐体」を「前記第2筐体」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1筐体は,第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成される第2隆起部」とある記載の内,「第1筐体の裏面側」を「前記第1筐体の裏面側」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1筐体は,第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成される第2隆起部」とある記載の内,「その長手方向に沿って形成される第2隆起部」を「その長手方向に沿って一様な横幅で形成される第2隆起部」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に「前記第2の隆起部」とある記載を「前記第2隆起部」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2に「前記第1隆起部の横幅より小さな横幅で棒状に形成される第2隆起部」とある記載を,「前記第1隆起部の横幅より小さい一様な横幅で棒状に形成される第2隆起部」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0008】に「前記第1筐体は,第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成されてる第2隆起部」とある記載のうち,「前記第1筐体」を「前記第2筐体」に,「第1筐体の裏面側」を「前記第1筐体の裏面側」に,「その長手方向に沿って形成される第2隆起部」を「その長手方向に沿って一様な横幅で形成される第2隆起部」に,「前記第2の隆起部」を「前記第2隆起部」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0015】に「操作スイッチ11」とある記載を「操作パネル11」に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0017】に「第1筐体21」とある記載を「第1筐体10a」に訂正する。 (9)訂正事項9 明細書の段落【0019】に「本体筐体10a」とある記載を「本体筐体10」に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落【0030】に「遠隔操作装置の遠隔操作装置の」とある記載を「遠隔操作装置の」に訂正する。 第4 当審の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は,特許請求の範囲の請求項1に「前記第1筐体は,第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成される第2隆起部と,該第2隆起部の一端側に形成され,該第2隆起部の横幅より幅広の第1隆起部とから構成され」(以下,「発明特定事項1」という。)とある記載のうち,「前記第1筐体」を「前記第2筐体」に訂正するものである。 この点について検討するに,本件訂正前の明細書(以下,単に「明細書」という。)の段落【0014】の「本体筐体10は,前記操作配置面12を備えた薄い板状の第1筐体10aと,この第1筐体10aの裏面側に段差部16をもって隆起して形成される第2筐体10bとから構成される。」の記載から,本体筐体10は,第1筐体10aと第2筐体10bとから構成されることが理解でき,また,段落【0016】の「本体筐体10の長手方向に沿って形成される第2筐体10bを,第1筐体10aの裏面側の中央に形成し,この第2筐体10bを,長手方向の両端部に形成される第1隆起部21と,この一対の第1隆起部21との間で,前記第1隆起部21の横幅W1より小さな横幅W2で棒状に形成される第2隆起部22とから構成し」の記載から,第2筐体10bは,第1筐体10aの裏面側の中央に形成されたものであり,かつ,第1の隆起部21と第2の隆起部22とから構成されることが理解できる。そして,本体筐体の長手方向が第1筐体の長手方向であることは,明らかである。 そうすると,発明特定事項1のうちの「第1筐体の裏面側の中央に,その長手方向に沿って形成される第2隆起部と,該第2隆起部の一端側に形成され,該第2隆起部の横幅より幅広の第1隆起部とから構成され」は,「第2筐体」に関する事項であることが明らかであるから,発明特定事項1の「前記第1筐体」は,本来「前記第2筐体」と記載すべき事項を誤って記載したものであることが明らかである。 よって,訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項1は,誤記の訂正に留まり,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は,特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項1のうち,「第1筐体の裏面側」を「前記第1筐体の裏面側」に訂正するものである。 この点について検討するに,特許請求の範囲の請求項1には,発明特定事項1の記載より前に,「前記本体筐体は,前記操作配置面を備えた薄い板状の第1筐体と,この第1筐体の裏面側に段差部をもって隆起して形成される第2筐体とから構成され」(以下,「発明特定事項2」という。)と記載されているところ,発明特定事項1と発明特定事項2の各「第1筐体」が同じものを表すことは,明細書の前記段落【0014】及び【0016】の記載から明らかである。 そうすると,訂正事項2は,発明特定事項1の「第1筐体の裏面側」を「前記第1筐体の裏面側」に訂正することで,発明特定事項1の「第1筐体の裏面側」のうちの「第1筐体」と発明特定事項2の「第1筐体」が同じものであることを明瞭にするための訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定された明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項2は,前記2箇所の「第1筐体」の関係を明瞭にするものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,または変更するものには該当せず,特許法第126条第6項の規定に適合する。 また,訂正事項2は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであるから,特許法第126条第5項の規定に適合し,特許法第126条第7項の規定に適合することも明らかである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は,特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項1のうち,「その長手方向に沿って形成される第2隆起部」を「その長手方向に沿って一様な横幅で形成される第2隆起部」に訂正するものである。 この点について検討するに,明細書の段落【0017】には,図1とともに「第2隆起部22は,一対の第1隆起部21の間にあって,一様な横幅で形成される棒状の形態としているので,本体筐体10の長手方向のどの位置を持っても同様な姿勢で支持することができる。」と記載されており,「第2隆起部」が「一様な横幅で形成される」ことは明細書に記載されている事項である。 そして,訂正事項3は,発明特定事項1の「第2隆起部」について,「その長手方向に沿って形成される」との特定にさらに限定事項を付加して,「その長手方向に沿って一様な横幅で形成される」と限縮するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。 そうすると,訂正事項3は,特許請求の範囲の請求項1に係る発明を下位概念の発明に限定したものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第126条第6項に適合する。 また,訂正事項3は,特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであるから,特許法第126条第5項に適合し,特許法第126条第7項の規定に適合することも明らかである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は,特許請求の範囲の請求項1に「前記第2の隆起部は,直列配置の電池収納部を備えている」(以下,「発明特定事項3」という。)とある記載のうち,「前記第2の隆起部」を「前記第2隆起部」に訂正するものである。 この点について検討するに,明細書の段落【0017】には,図1(a)とともに「第2隆起部22に直列配置の電池18を収納する電池収納スペース24を確保することができ」と記載されているから,発明特定事項3の「第2の隆起部」が明細書の「第2隆起部22」に対応することは明らかであり,当該「第2隆起部22」が請求項1に記載される「第2隆起部」に対応することは明らかである。 さらに,発明特定事項3の「前記第2の隆起部」は,「前記」の記載から「第2の隆起部」が当該記載より前に記載された事項を受けてのものであることに照らすと,本来「前記第2隆起部」と記載すべき事項を誤って記載したものであることが明らかである。 よって,訂正事項4は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項4は,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は,特許請求の範囲の請求項2に「この一対の第1隆起部の間で前記第1隆起部の横幅より小さな横幅で棒状に形成される第2隆起部」(以下,「発明特定事項4」という。)とある記載のうち,「前記第1隆起部の横幅より小さな横幅で棒状に形成される第2隆起部」を「前記第1隆起部の横幅より小さい一様な横幅で棒状に形成される第2隆起部」に訂正するものである。 この点について検討するに,明細書の段落【0017】には,図1とともに「第2隆起部22は,一対の第1隆起部21の間にあって,一様な横幅で形成される棒状の形態としているので,本体筐体10の長手方向のどの位置を持っても同様な姿勢で支持することができる。更にまた,本体筐体10の裏面側に延びる第2隆起部22の両端部には,この第2隆起部22の横幅W2より幅の広い第1隆起部21が形成されているので,この隆起する部分が手がかりとなって,片手で持った際に遠隔操作装置1が滑って落下することを軽減することができる。」と記載されており,「第2隆起部」が「前記第1隆起部の横幅より小さい一様な横幅で形成される」ことは明細書に記載されている事項である。 そうすると,訂正事項5は,発明特定事項4の「第2隆起部」について,「前記第1隆起部の横幅より小さな横幅で棒状に形成される」との特定にさらに限定事項を付加して,「前記第1隆起部の横幅より小さい一様な横幅で棒状に形成される第2隆起部」と限縮するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものに該当する。 また,訂正事項5は,特許請求の範囲の請求項2に係る発明を下位概念の発明に限定したものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第126条第6項に適合する。 また,訂正事項5は,特許明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであるから,特許法第126条第5項に適合し,特許法第126条第7項の規定に適合することも明らかである。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は,請求項1に係る発明に対する訂正事項1ないし4の訂正に伴い,明細書の段落【0008】の記載を訂正後の請求項1の記載に整合させるためにする訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そうすると,訂正事項6は,特許法第126条第5項ないし第7項の規定にも適合することは明らかである。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は,明細書の段落【0015】に「この送信窓20を制御対象となる電子機器に向けるように片手で保持しながら操作スイッチ11を操作することができる。」とある記載のうち,「操作スイッチ11」を「操作パネル11」に訂正するものである。 この点について検討するに,明細書の段落【0020】に,「遠隔操作装置1をテーブル面などに設置した際に,操作パネル11を備えた操作配置面12を傾斜面とすることができるので,操作パネル11の操作性を向上することができる。」と記載されているように,「操作」の対象は「操作パネル11」であると理解できる。 さらに,明細書において,「操作スイッチ」という用語は,当該箇所以外に記載されておらず,「スイッチ」という用語は,明細書の段落【0023】の「操作パネル11の両側のスイッチ11a」のように,操作パネル11内の特定のスイッチを表す用語として用いられていることを勘案すると,明細書の段落【0015】は,本来「操作パネル11」と記載すべき事項を誤って「操作スイッチ11」と記載したものであることが明らかである。 よって,訂正事項7は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項7は,誤記の訂正に留まり,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は,明細書の段落【0017】に「しかもこの第2隆起部22を第1筐体21の裏面の中央部に設けることにより」とある記載のうち,「第1筐体21」を「第1筐体10a」に訂正するものである。 この点について検討するに,同段落【0017】に「第1筐体10aの裏面と第2隆起部22との間に段差部16を形成することができる」と記載されているように,訂正事項8に係る箇所以外では,「第1筐体」の符号は「10a」に統一されている。 また,符号「21」は,同段落【0017】に「第1隆起部21」とあるように「第1隆起部」を示しているが,仮に明細書の段落【0017】の当該箇所の「第1筐体21」を「第1隆起部21」に置き換えると,「第2隆起部22を第1隆起部21の裏面の中央部に設ける」となり,技術的に意味をなさなくなる。 そうすると,明細書の段落【0017】は,本来「第1筐体10a」と記載すべき事項を誤って「第1筐体21」と記載したものであることが明らかであるから,訂正事項8は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項8は,誤記の訂正に留まり,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は,明細書の段落【0019】に「図2において,この実施の形態では,本体筐体10の横幅寸法Wを51mm,高さ寸法Hを23mm,奥行き寸法Dを230mmとする片手で保持するのに十分な大きさを有する棒状の寸法体形としている。また,第1筐体10aは,その高さ(厚さ)H1を8mmとする一様な厚さで形成されており,前記第2筐体10bの外周より外側に張り出すことで,この本体筐体10aの薄さが強調された形状としている。」とある記載のうち,「本体筐体10a」を「本体筐体10」に訂正するものである。 この点について検討するに,前記段落【0019】に「本体筐体10」と記載されているように,訂正事項9に係る箇所以外では,「本体筐体」の符号は「10」に統一されている。 また,符号「10a」は,前記段落【0019】に「第1筐体10a」と記載されているように「第1筐体」を示しており,仮に明細書の段落【0019】の当該箇所に「第1筐体10a」を当てはめると,「この本体筐体10aの薄さが強調された形状としている」となる。しかしながら,本件発明は明細書の段落【0024】に「遠隔操作装置1の薄形感を向上させることができる。」と記載されているように,「遠隔操作装置1」全体を薄く見せることを技術課題の1つとしていることが明らかであるから,当該箇所に「第1筐体10a」を当てはめることは不自然であるといえる。 そうすると,明細書の段落【0019】は,本来「本体筐体10」と記載すべき事項を誤って「本体筐体10a」と記載したものであることが明らかであるから,訂正事項9は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項9は,誤記の訂正に留まり,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 (10)訂正事項10について 訂正事項10は,明細書の段落【0030】に「遠隔操作装置の遠隔操作装置の」とある4箇所の記載をいずれも「遠隔操作装置の」に訂正するものである。 この点について検討するに,同段落【0030】の「【図1】第1の実施の形態に係る遠隔操作装置の遠隔操作装置の外観図である。」が,日本語の表記として,「【図1】第1の実施の形態に係る遠隔操作装置の外観図である。」の誤記であることは自明であり,他の3箇所も同様である。 そうすると,訂正事項10は,特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 そして,訂正事項10は,誤記の訂正に留まり,何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから,特許法第126条第5項及び第6項に適合するものであり,同第7項に適合することも明らかである。 第5 むすび したがって,本件訂正は,特許法第126条第1項に規定された事項を目的とし,かつ,同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 遠隔操作装置 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、テレビジョン受像機や画像再生装置などの遠隔操作を行う遠隔操作装置に関し、特に、片手で筐体を保持して操作することが可能な携帯型の遠隔操作装置である。 【背景技術】 【0002】 家庭内で普及しているテレビジョン受像機や録画記録再生装置などの情報機器は、赤外線信号を介してコードレスで接続される遠隔操作装置で操作することが主流となっている。これら遠隔操作装置は、長手方向の一端側に赤外線信号を発信する送信窓を備えた棒状の本体筐体を片手で保持し、この本体筐体の操作パネルに設けた複数の操作キーを、遠隔操作装置を保持した手の親指や他の指で操作することで、情報機器本体を操作することができる。 【0003】 また、これらの遠隔操作装置は、その内部に前記操作キーの操作基板と電池と赤外線発信部を設けている。そして、この遠隔操作装置は、片手で保持し易く、かつ、テーブル面でも安定して設置できるように、操作パネル配置面以外の筐体面に模様や凹部などの滑り防止の造形を施したグリップ部を形成している。 【0004】 【特許文献1】意匠登録第1203771号公報 【特許文献2】意匠登録第1297590号公報 【特許文献3】意匠登録第1299970号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 近年、家庭内に普及している情報機器や複合情報機器が多数となっており、必然的にこれら機器を操作する遠隔操作装置も多数必要となる。そこで、テレビジョン受像機や録画再生装置では、これら多数の遠隔操作装置の統合が図られている。このため、1つの遠隔操作装置で操作する機能が多数必要となるため、必然的に多くの操作スイッチが配置可能な広い操作パネル面を備えている。また、従来の遠隔操作装置においては、前記広い操作パネル面を備えた本体筐体に合わせて単3電池や単4電池を並列配置したものが一般的である。しかしながら、従来の遠隔操作装置は、電池を並列配置することにより本体筐体が大きくなり、片手で保持した際の操作性が良くないとの課題がある。 【0006】 そこで、操作スイッチを機能ごとに分類して、それを本体筐体の長手方向に効率よく配置した細い棒状の本体筐体を備えた遠隔操作装置が提案されている。これら棒状の遠隔操作装置は、片手で握り易くするためにグリップ部を丸みを持って形成し、滑り防止用の模様や凹部を形成している。しかしながら、滑り防止策を施しているものの、その棒状の形態から今だ滑りやすいという課題がある。また、丸み形状ゆえにテーブル面に設置した際の安定感が良くないという課題を備えている。 【0007】 そこで、この発明の目的とするところは、テーブル面に設置した際に安定操作することができるとともに、片手で保持した際に良好な操作性が得られる携帯型の遠隔操作装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 前記目的を達成するために、本発明に係る遠隔操作装置では、その内部に、操作基板と電池と通信部を備え、高さ寸法より横幅寸法が大きく、この横幅寸法より奥行き寸法が長い縦長の本体筐体の最も広い面の一面を操作パネルの操作配置面とし、その両側と裏面側の筐体面をグリップ部とする遠隔操作装置において、前記本体筐体は、前記操作配置面を備えた薄い板状の第1筐体と、この第1筐体の裏面側に段差部をもって隆起して形成される第2筐体とから構成され、前記第2筐体は、前記第1筐体の裏面側の中央に、その長手方向に沿って一様な横幅で形成される第2隆起部と、該第2隆起部の一端側に形成され、該第2隆起部の横幅より幅広の第1隆起部とから構成され、前記第1隆起部は、その両側に形成される脚部と通信窓を備え、前記第2隆起部は、直列配置の電池収納部を備えるようにする。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、テーブル面に設置した際に安定操作することができるとともに、片手で保持した際に良好な操作性が得られる携帯型の遠隔操作装置を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、図1から図4を参照して、この発明に係る遠隔操作装置を具体的に説明する。ここで、図1から図3が第1の実施形態を示し、図4が第2の実施形態を示している。なお、同一部位や矢印などは同一符号をもって示し、重複した説明を省略する。 【0011】 (第1の実施形態) 図1から図3を参照して、第1の実施形態に係る遠隔操作装置を具体的に説明する。ここで、図1は遠隔操作装置の外観図であり、図1(a)が背面側から見た状態の外観斜視図、図1(b)が正面から見た状態の外観斜視図である。図2は遠隔操作装置の外観図であり、図2(a)が正面図、図2(b)が背面図、図2(c)が右側面図、図2(d)が底面図、図2(e)が上面図を示している。図3は遠隔操作装置の使用状態図であり、図3(a)図は片手で保持した状態の側面図、図3(b)は片手で保持した状態の背面図、図3(c)図はテーブルに設置した状態の側面図を示している。 【0012】 先ず、図1を参照して、第1の実施形態に係る遠隔操作装置の概略構造を説明する。図1において、符号1で総括的に示す遠隔操作装置は、テレビジョン放送の操作系と記録再生系の操作信号を発信することが可能な遠隔操作装置である。もちろん、この実施の形態に係る遠隔操作装置1は、テレビ放送系や記録再生系の操作に限定されるものでなく、他の多様な遠隔操作装置でも適用可能である。また、この遠隔操作装置1は、赤外線信号を介して制御対象となる電子機器への操作指示を送信することができる。しかし、送信する操作信号は赤外線信号に限定されるものではなく無線通信でも適用することができる。更に、送信のみではなく送受信が可能な遠隔操作装置でも適用することができる。 【0013】 さて、この遠隔操作装置1は、高さ寸法Hより横幅寸法Wが大きく、横幅寸法Wより奥行き寸法Dが長い縦長の本体筐体10を備えている。本体筐体10は、この本体筐体10の最も広い面の一面を操作パネル11の操作配置面12とし、その両側と裏面側の筐体面をグリップ部13としている。この本体筐体10は、前記操作配置面12を備えた薄い上カバー14と、前記グリップ部13を構成する厚い下カバー15とを、図示しないネジで連結して構成される。 【0014】 また、外観形状的にみると、本体筐体10は、前記操作配置面12を備えた薄い板状の第1筐体10aと、この第1筐体10aの裏面側に段差部16をもって隆起して形成される第2筐体10bとから構成される。第1筐体10aには、通信機能と操作機能を備えた操作スイッチ基板17(図2参照)が内蔵され、第2筐体10bには、長手方向に沿って直列に配置された複数の電池18が内蔵されている。そして、第1筐体10aの周囲に前記上カバー14と下カバー15とを結合する結合溝19が形成されるように、上カバー14と下カバー15とで本体筐体10の外観を構成している。 【0015】 前記操作配置面12は、フラットに形成されることで多くのスイッチからなる操作パネル11を配置可能としている。逆に、グリップ部13は凹凸ある形状とすることで、片手で支持しやすく、かつ、テーブル面での安定設置が可能な形状としている。また、この本体筐体10の長手方向の一端側には、赤外線信号を発信する送信窓20が配置され、この送信窓20を制御対象となる電子機器に向けるように片手で保持しながら操作パネル11を操作することができる。 【0016】 そして、この実施形態に係る遠隔操作装置の大きな特徴の1つは、本体筐体10の長手方向に沿って形成される第2筐体10bを、第1筐体10aの裏面側の中央に形成し、この第2筐体10bを、長手方向の両端部に形成される第1隆起部21と、この一対の第1隆起部21との間で、前記第1隆起部21の横幅W1より小さな横幅W2で棒状に形成される第2隆起部22とから構成し、前記第1隆起部21の両端部に脚部23を備え、前記第2隆起部22には直列配置の電池18を収納した点にある。 【0017】 この実施の形態によれば、前記第1隆起部21の両端に設けた脚部23により、この遠隔操作装置1をテーブル面に設置した際に安定した操作姿勢を確保することができる。また、第2隆起部22に直列配置の電池18を収納する電池収納スペース24を確保することができ、しかもこの第2隆起部22を第1筐体10aの裏面の中央部に設けることにより、第1筐体10aの裏面と第2隆起部22との間に段差部16を形成することができるから、この段差部16を指掛部として安定した片手保持姿勢を取ることができる。しかも、第2隆起部22は、一対の第1隆起部21の間にあって、一様な横幅で形成される棒状の形態としているので、本体筐体10の長手方向のどの位置を持っても同様な姿勢で支持することができる。更にまた、本体筐体10の裏面側に延びる第2隆起部22の両端部には、この第2隆起部22の横幅W2より幅の広い第1隆起部21が形成されているので、この隆起する部分が手がかりとなって、片手で持った際に遠隔操作装置1が滑って落下することを軽減することができる。 【0018】 以下、図2と図3を参照して、この実施の形態に係る遠隔操作装置1を更に説明する。 【0019】 図2において、この実施の形態では、本体筐体10の横幅寸法Wを51mm、高さ寸法Hを23mm、奥行き寸法Dを230mmとする片手で保持するのに十分な大きさを有する棒状の寸法体形としている。また、第1筐体10aは、その高さ(厚さ)H1を8mmとする一様な厚さで形成されており、前記第2筐体10bの外周より外側に張り出すことで、この本体筐体10の薄さが強調された形状としている。 【0020】 一方、第2筐体10bは、送信窓20を備えた長手方向の一端側の高さ寸法(厚さ)H2が、長手方向の他端側の高さ寸法(厚さ)H3より高く形成されるように、その側面形状をクサビ形に形成している。これにより、遠隔操作装置1をテーブル面などに設置した際に、操作パネル11を備えた操作配置面12を傾斜面とすることができるので、操作パネル11の操作性を向上することができる。また、本体筐体10を一端側に向かって細くなる外観形状とすることができるので、遠隔操作装置1を片手で保持した際のホールド性を向上することができる。そして何より、前記作用効果を維持しながら、前記高さ(厚さ)のある部分に電池18を収納する電池収納スペース24を確保しつつ、全体をコンパクトな形態とすることができる。 【0021】 また、この実施形態では、遠隔操作装置1を片手で持った際の保持性をより確保するために、前記段差部16の横幅寸法W3を第2隆起部22の横幅W4を小さくしている。これを実現するために、この実施形態では、電池18を直列に配置することで解決している。即ち、この実施の形態では、第2隆起部22の横幅W2を電池18の直径を収められる横幅寸法とすることで、この第2隆起部22の両側に広い横幅寸法W3を備えた段差部16を形成することができる。 【0022】 そして、この実施形態では、この第2隆起部22の横幅W3を、本体筐体10の長手方向の両端部近傍まで確保することで、長い本体筐体10のどの位置で持っても同様な保持性が得られる外観形状としている。 【0023】 一方、前記第2隆起部22の両端部には、この第2隆起部22の横幅寸法W2より幅の広い横幅寸法W1を備えた第1隆起部21が形成される。この第1隆起部21の機能は、遠隔操作装置1をテーブル面に設置した際に、操作パネル11へ加わる押下する力に対向する機能と、前記したように、指の手がかりとなる滑り防止(落下防止)の機能である。この実施形態では、遠隔操作装置1とテーブル面との接触部となる突起状の脚部23が、操作パネル11の両側のスイッチ11aの中心Pの近傍となるように、第1隆起部21の横幅寸法W1と脚部23が設定される。しかも、前記機能を確保すればよいので、第1隆起部21の奥行き寸法D1を大きくする必要はなく、強度を考慮した寸法を確保すれば足りる。しかも、第1隆起部21の一方に送信窓20を配置することができるので、これを内蔵するスペースを確保することができる。例えば、送受信のための図示しない受信窓と送信窓20を並べて配置するスペースや、無線装置を内蔵するスペースに活用することもできる。 【0024】 ここで、操作パネル11は、前記送信窓20側の一端側にテレビ系の操作スイッチが、他端側に録画再生系の操作スイッチがそれぞれ配置され、その周囲には操作スイッチ基板17とスイッチの配置を考慮してテーパーカットされた縁取部25が形成されている。このため、操作パネル11の両側のスイッチ11aも操作パネル11の内側に配置される。これにより、操作パネル11の対向面に形成された第1隆起部21の両端部に形成される脚部23も内側に形成することができるから、結果として、第1隆起部21の横幅寸法W1も横幅寸法Wより小さくすることでき、使用状態において第1隆起部21を第1筐体10aの陰に隠して見え難くすることができるので、遠隔操作装置1の薄形感を向上させることができる。 【0025】 また、第2隆起部22には、その長手方向に沿って、電池収納スペース24の外側を覆う開閉蓋27を設けている、これにより、電池18の装着が容易となる。更に、第2隆起部22は、その長手方向に沿って指をかける幾つかの凹部26を形成することで、保持性をより向上させている。 【0026】 図3(a)および図3(b)において、前記したように、この実施形態によれば、本体筐体10の長手方向に沿って形成される第2隆起部22の両側に幅の広い段差部16が形成されるので、この段差部16に指をかけて片手で支持することができる。しかも、この段差部16は長手方向に沿って一様に形成されるので、長手方向のどの位置で持っても確かな保持性が得られる。このため、長手方向の前部に配置したテレビ系の操作ではグリップ部13の上部を保持し、あるいは録画再生系の操作ではグリップ部13の下部を保持して良好な保持姿勢で操作を行うことができる。また、第2隆起部22よりも外側に張り出した第1隆起部21により、遠隔操作装置1が落下することを軽減することができる。 【0027】 一方、図3(c)に示すように、遠隔操作装置1をテーブル面に設置した状態においては、操作パネル11の片側のスイッチ11aを指で押下しても、その力を両側に張り出した第1隆起部21に設けた脚部23で支持することができるので、遠隔操作装置1が前記押下の力により変形してしまうことを軽減することができる。 【0028】 (第2の実施の形態) 図4を参照して、本発明に係る第2の実施形態に係る遠隔操作装置を説明する。ここで、図4は第2の実施の形態に係る遠隔操作装置の外観図であり、図4(a)が背面から見た状態の外観斜視図、図4(b)が側面図を示している。なお、同一部位や寸法などは同一符号をもって示し、重複した説明を省略する。 【0029】 図4において、この実施の形態に係る遠隔操作装置2は、第2隆起部22の長手方向の両端に設けた一対の第1隆起部21の内、送信窓20を備えた第1隆起部21を残して他の第1隆起部21をなくした構造を特徴とする。即ち、この実施の形態は、クサビ形に形成した第2隆起部22の尖った先端を第2筐体10bの裏面側に収束して馴染んだ形状としている。そして、この収束した近傍の第2筐体10bの裏面の両側に一対の脚部23aを配置したものである。この実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様な作用効果がある。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】第1の実施の形態に係る遠隔操作装置の外観図である。 【図2】第1の実施の形態に係る遠隔操作装置の外観図である。 【図3】第1の実施の形態に係る遠隔操作装置の使用状態図である。 【図4】第2の実施の形態に係る遠隔操作装置の外観図である。 【符号の説明】 【0031】 1…遠隔操作装置、10…本体筐体、10a…第1筐体、10b…第2筐体、11…操作パネル、12…操作配置面、13…グリップ部、14…上カバー、15…下カバー、16…段差部、17…操作スイッチ基板、18…電池、19…結合溝、20…送信窓、21…第1隆起部、22…第2隆起部、23…脚部、24…電池収納スペース、25…縁取部、26…凹部、27…開閉蓋、H…高さ寸法、W…横幅寸法、W1…第1隆起部の横幅、W2…第2隆起部の横幅、W3…段差部の奥行き寸法、D…奥行き寸法、D1…奥行き寸法、H1…第1筐体の高さ、H2…一端側の高さ寸法(厚さ)、H3…他端側の高さ寸法(厚さ)。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 その内部に、操作基板と電池と通信部を備え、高さ寸法より横幅寸法が大きく、この横幅寸法より奥行き寸法が長い縦長の本体筐体の最も広い面の一面を操作パネルの操作配置面とし、その両側と裏面側の筐体面をグリップ部とする遠隔操作装置において、 前記本体筐体は、前記操作配置面を備えた薄い板状の第1筐体と、この第1筐体の裏面側に段差部をもって隆起して形成される第2筐体とから構成され、 前記第2筐体は、前記第1筐体の裏面側の中央に、その長手方向に沿って一様な横幅で形成される第2隆起部と、該第2隆起部の一端側に形成され、該第2隆起部の横幅より幅広の第1隆起部とから構成され、 前記第1隆起部は、その両側に形成される脚部と通信窓を備え、 前記第2隆起部は、直列配置の電池収納部を備えている ことを特徴とする遠隔操作装置。 【請求項2】 その内部に、操作基板と電池と通信部を備え、高さ寸法より横幅寸法が大きく、この横幅寸法より奥行き寸法が長い縦長の本体筐体の最も広い面の一面を操作パネルの操作配置面とし、その両側と裏面側の筐体面をグリップ部とする遠隔操作装置において、 前記本体筐体は、前記操作基板を内蔵した薄い板状の第1筐体と、この第1筐体の裏面側に段差部をもって隆起して形成される第2筐体とから構成され、 前記本体筐体は、その長手方向の両端部に形成される第1隆起部と、この一対の第1隆起部の間で前記第1隆起部の横幅より小さい一様な横幅で棒状に形成される第2隆起部とから構成され、 前記第1隆起部の両端部に脚部を備え、前記第2隆起部には直列配置の電池収納部を備えている ことを特徴とする遠隔操作装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2016-09-21 |
結審通知日 | 2016-09-26 |
審決日 | 2016-10-11 |
出願番号 | 特願2007-250369(P2007-250369) |
審決分類 |
P
1
41・
856-
Y
(H04Q)
P 1 41・ 852- Y (H04Q) P 1 41・ 851- Y (H04Q) P 1 41・ 854- Y (H04Q) P 1 41・ 853- Y (H04Q) P 1 41・ 855- Y (H04Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 矢島 伸一 |
特許庁審判長 |
大塚 良平 |
特許庁審判官 |
山中 実 中野 浩昌 |
登録日 | 2012-02-10 |
登録番号 | 特許第4919914号(P4919914) |
発明の名称 | 遠隔操作装置 |
代理人 | 特許業務法人 武和国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人武和国際特許事務所 |