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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 A61B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1322640 |
審判番号 | 不服2015-15449 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-08-20 |
確定日 | 2016-12-27 |
事件の表示 | 特願2010-282500「コネクタ監視アセンブリ、及び該コネクタ監視アセンブリを含む検出器アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日出願公開、特開2011-229899、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年12月20日(パリ条約による優先権主張2010年4月19日 米国)の出願であって、平成26年9月19日付けで拒絶理由が通知され、同年12月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年5月29日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年8月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年8月1日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月31日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれの発明を「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、平成28年8月31日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願発明1及び8は以下のとおりである。 「 【請求項1】 アナログ-ディジタル変換器(142)と、 該アナログ-ディジタル変換器に結合されたプロセッサ(82)と を備え、可搬型イメージング・システム検出器に配置されたコネクタ監視アセンブリ(120)であって、前記プロセッサは、 バッテリを収容し、それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された前記可搬型イメージング・システム検出器において検出される電圧を決定し、 一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)を介して前記可搬型イメージング・システム検出器に電力を供給する電源(Ps)により発生される電圧を決定して、 前記可搬型イメージング・システム検出器において検出される前記決定された電圧及び前記電源により発生される前記電圧を用いて前記一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)の電気抵抗を決定する ようにプログラムされており、前記一対の電気コネクタ装置は、前記電源に結合される電源コネクタ(16)と、前記可搬型イメージング・システム検出器に結合される負荷コネクタ(22)とを含んでおり、前記電源コネクタは前記負荷コネクタに着脱可能に結合されており、 前記プロセッサ(82)はさらに、 前記可搬型イメージング・システム検出器が、前記複数の動作モードの内のどの動作モードで動作しているのかを決定し、 決定された前記動作モードに基づいて決定された前記可搬型イメージング・システム検出器において検出される前記電圧及び前記電源により発生される前記電圧を用いて前記一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)の電気抵抗を決定するようにプログラムされている、 コネクタ監視アセンブリ(120)。」 「 【請求項8】 それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された可搬型X線検出器(10)であって、 バッテリを収容し、複数の検出器素子を含む検出器パネル(74)と、 該検出器パネルに電力を供給するように構成され、電力コネクタ(16)と結合するように構成されているドッキング・コネクタ(22)と、 該ドッキング・コネクタ(22)に結合されているコネクタ監視アセンブリ(120)とを備えた可搬型X線検出器(10)であって、前記コネクタ監視アセンブリは、 前記可搬型X線検出器(10)が、前記複数の動作モードの内のどの動作モードで動作しているのかを決定し、 検出器パネル(74)において検出される電圧を決定し、 前記ドッキング・コネクタ(22)を介して前記可搬型X線検出器に電力を供給する電源(Ps)により発生される電圧を決定して、 前記検出器パネルにおいて検出される前記決定された電圧及び前記電源により発生される前記電圧を用いると共に、決定された前記動作モードに基づいて前記ドッキング・コネクタの電気抵抗を決定する ように構成されている、可搬型X線検出器(10)。」 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 (理由1)本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 発明の詳細な説明において、例えば、段落[0015]に「図2は、図1に示す可搬型検出器10の上面破断図である。」と記載されており、段落[0017]に「図3は、図2に示す可搬型検出器10を図2の線3-3に沿って見た側面破断図である。」と記載されており、段落[0010]にも同様の説明が記載されているが、図2及び図3に示されたものがそれら記載のとおりのものであるとは解釈できないことなど、明細書の記載と図面の記載との対応関係が不明瞭であり、その結果、発明の詳細な説明の記載から本願発明の技術上の意義を明確に把握することができない。 よって、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1-10に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。 (理由3)本願の請求項1ないし10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2007-285833号公報 引用文献2:特開2010-29419号公報 引用文献3:特開2010-46315号公報 引用文献4:特開2004-257810号公報 引用文献5:特開2004-257812号公報 請求項1ないし10に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1ないし5に記載された事項に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 原査定の理由についての判断 (1) (理由1)(特許法第36条第4項第1号)について 平成28年8月31日になされた手続補正により、明細書の記載と図面の記載とは整合するものとなった。 よって、原査定の(理由1)によっては、本願を拒絶することはできない。 (2) (理由3)(特許法第29条第2項)について ア 引用文献の記載事項 (ア)引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加したものである。)。 (引1-ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、電気回路における接点の接続異常検知技術に関し、特に挿抜可能な接点を介して信号や電力を伝達する電気回路の接続部における接触抵抗の増加等の接続異常を検知する接続異常検知装置、接続異常検知方法及び前記接続異常検知装置を備えた電気装置に関する。」 (引1-イ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。 図1は、本発明の接続異常検知装置にかかる基本構成を説明する図である。同図において、本体10側から電源(+24V)を供給するラインがコネクタ15で負荷ユニット20に接続されている。ここで、本体10は電気で稼働する電気装置で、例えばプリンタや複写機、パーソナルコンピュータ等のオフィス機器でも、電子レンジや冷蔵庫、テレビ等の家庭用電気製品でもよい。電源はコネクタ15の1番ピンより供給されており、負荷電流の帰線は、図示しないGND線で正極側と同様にコネクタ15に接続されている。本体10側に設けられている基準抵抗11は、抵抗値が既知の抵抗であるので、抵抗両端の電圧とコネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧を比較すれば、通電電流の大きさにかかわらず1番ピンの接触抵抗の変化を検知できる。 検知回路50は、基準抵抗11の電圧降下を入力する基準入力端子と、1番ピンの接触抵抗による電圧降下を入力する被測入力端子とを備えている。この検知回路50は、基準入力に対する被測入力の割合が設定された条件になると検知出力を反転するように作用する。 【0010】 図2は本発明の一実施形態にかかる検知回路50の回路図である。以下、同図を参照して、検知回路50を図1に関連付けてその動作を説明する。 オペアンプ1は、基準抵抗による電圧降下をA点を基準にして出力する。オペアンプ2は、1番ピンの両側の電圧降下をB点を基準にして出力する。ここで、A点、B点の電圧をVA、VBとすると、次式が成り立つ。 オペアンプ1の出力=V_(A)-(24-V_(A))=2V_(A)-24 ・・・式1 オペアンプ2の出力=V_(B)-10(V_(A)-V_(B))=11V_(B)-10V_(A) ・・・式2 上の2式は、オペアンプの反転増幅回路の式で、式1では、入力抵抗とフィードバック抵抗がともに10KΩなので、入力電圧の電位差の(-1)倍の電圧に基準電圧V_(A)が上乗せされた出力電圧となる。また、式2では、フィードバック抵抗が100KΩで入力抵抗の10倍になっているので、入力電圧の電位差の(-10)倍の電圧に基準電圧VBが上乗せされた出力電圧となる。 【0011】 1番ピンの接触抵抗は通常、数十ミリΩであるが、仮に50mΩとして計算すると、負荷電流が1Aのとき、オームの法則により、V_(A)は電圧降下が1A×1Ωで1V、つまり24-1=23Vとなり、同様にVBは電圧降下が1A×0.05Ω=0.05Vで、V_(A)より0.05V低くなるから、23-0.05=22.95Vとなる。この値を上記式1及び式2に代入すると、 オペアンプ1の出力=22.0V オペアンプ2の出力=22.45V となり、オペアンプ1の出力<オペアンプ2の出力となって、この実施形態のように接続されたコンパレータの出力はオープン状態で4.7kΩで+3.3Vにプルアップされた状態となる。 【0012】 他方、接触抵抗が増加して、オペアンプ2の出力が低下しコンパレータの出力が反転する(即ちオペアンプ1の出力 ≧ オペアンプ2の出力 となる)とき、次式3が成り立つ。即ち、式1、式2で両オペアンプの出力電圧が等しいと置き、 2V_(A)-24=11V_(B)-10V_(A) ・・・式3 負荷電流をIとして、接触抵抗をXとすると、 V_(A)=24-I・1 ・・・式4 V_(A)-V_(B)=I・X ・・・式5 となる。 なお、式4における“I・1”は、本実施形態の基準抵抗の抵抗値1Ωによる電圧降下によるものを表す。上式3?5より、変形していくと、V_(A)-V_(B)=I/11=I・Xが得られ、 X=1/11=0.0909Ω が求まる。つまり、接触抵抗Xが、約90mΩ以上に増加したとき、コンパレータ出力が反転する。この回路ではLowレベルを出力する。コンパレータ出力はオープン状態のとき+3.3Vでプルアップされているので、TTLレベル等のロジック回路にインタフェースでき、図示しない制御回路に接続可能となる。これにより制御回路では警告表示や電源供給停止などの制御を行うことができる。 【0013】 検知出力は、コンパレータのスレッショルドレベル(閾値)付近で不安定になることが知られている。不安定とは、コンパレータの出力が頻繁に反転する状態をいう。検知出力を安定化するために、図3に示すようにコンパレータ1に100KΩの抵抗を介して正帰還回路を設ける。これにより、ヒステリシス特性が得られ、検知出力を安定化することができる。なお、この回路はシュミット回路としてよく知られたものである。コンパレータ2は、コンパレータ1の出力をTTLレベル等のロジック回路にインタフェースする為に使われる。なお、本実施形態では電圧降下の比較にコンパレータを用いたが、他にA/Dコンバータとマイクロプロセッサを使用してソフトウェアで処理する方法でもよい。その場合は、ヒステリシス特性や閾値に関してもソフト的に適宜変更できる。」 (引1-ウ)【図1】 「 」 (イ)引用文献1に記載された発明の認定 上記(引1-ア)ないし(引1-ウ)の記載から、引用文献1には、 「 挿抜可能な接点を介して信号や電力を伝達する電気回路の接続部における接触抵抗の増加等の接続異常を検知する接続異常検知装置を備えた電気装置であって、 本体10は電気で稼働する電気装置であり、 本体10側から電源(+24V)を供給するラインがコネクタ15で負荷ユニット20に接続されており、 電源はコネクタ15の1番ピンより供給されており、負荷電流の帰線は、GND線で正極側と同様にコネクタ15に接続されており、 本体10側に設けられている基準抵抗11は、抵抗値が既知の抵抗であり、 検知回路50は、基準抵抗11の電圧降下を入力する基準入力端子と、1番ピンの接触抵抗による電圧降下を入力する被測入力端子とを備え、電圧降下の比較をA/Dコンバータとマイクロプロセッサを使用してソフトウェアで処理し、基準抵抗11両端の電圧とコネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧を比較することにより、通電電流の大きさにかかわらず1番ピンの接触抵抗の変化を検知できるものであり、基準入力に対する被測入力の割合が設定された条件になると検知出力を反転するように作用し、 出力が反転すると制御回路では警告表示や電源供給停止などの制御を行うものである、接続異常検知装置を備えた電気装置。」 の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 イ 本願発明1について (ア)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「A/Dコンバータ」及び「マイクロプロセッサ」は、それぞれ本願発明1の「アナログ-ディジタル変換器」及び「プロセッサ」に相当する。 b 引用発明の「負荷ユニット20」と、本願発明1の「バッテリを収容し、それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された」「可搬型イメージング・システム検出器」とは、「電力供給を受ける負荷機器」である点において共通する。 c 引用発明の「接続異常検知装置」は、本願発明1の「コネクタ監視アセンブリ」に相当する。 d 引用発明の「コネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧」と、本願発明1の「可搬型イメージング・システム検出器において検出される電圧」とは、「負荷機器に関連する電圧」である点において共通する。 e 引用発明の「コネクタ15」は、本願発明1の「一対の電気コネクタ(装置)」に相当する。 f 引用発明の「電気で稼働する電気装置であり」、「電源(+24V)を供給するラインがコネクタ15で負荷ユニット20に接続されて」いる「本体10」と、本願発明1の「一対の電気コネクタを介して前記可搬型イメージング・システム検出器に電力を供給する電源」とは、「一対の電気コネクタを介して負荷機器に電力を供給する機器」である点において共通する。 g 引用発明の「本体10側に設けられている」「基準抵抗11両端の電圧」と、本願発明1の「電源により発生される電圧」とは、「負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧」である点において共通する。 h 引用発明の「1番ピンの接触抵抗」は、本願発明1の「一対の電気コネクタの電気抵抗」に相当する。 i 引用発明の「コネクタ15」の本体10側の部分及び「コネクタ15」の負荷ユニット20側の部分は、それぞれ本願発明1の「電源コネクタ」及び「負荷コネクタ」に相当する。 j 引用発明の「挿抜可能」は、本願発明1の「着脱可能」に相当する。 k 引用発明の「マイクロプロセッサを使用してソフトウェアで処理し」、「1番ピンの接触抵抗の変化を検知できる」ことは、本願発明1の「プロセッサ」は「一対の電気コネクタの電気抵抗を決定するようにプログラムされている」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 よって、本願発明1と引用発明とは、 「アナログ-ディジタル変換器と、 該アナログ-ディジタル変換器に結合されたプロセッサと を備えた、コネクタ監視アセンブリであって、前記プロセッサは、 電力供給を受ける負荷機器に関連する電圧を決定し、 一対の電気コネクタを介して前記負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧を決定して、 前記負荷機器に関連する前記決定された電圧及び前記電力を供給する機器に関連する前記電圧を用いて前記一対の電気コネクタの電気抵抗を決定する ようにプログラムされており、前記一対の電気コネクタ装置は、前記電力を供給する機器に結合される電源コネクタと、前記負荷機器に結合される負荷コネクタとを含んでおり、前記電源コネクタは前記負荷コネクタに着脱可能に結合されている、 コネクタ監視アセンブリ。」 の発明である点で一致し、次の5点で相違する。 (相違点1) 電力供給を受ける負荷機器が、本願発明1においては、「バッテリを収容し、それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された」「可搬型イメージング・システム検出器」であるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。 (相違点2) 一対の電気コネクタを介して負荷機器に電力を供給する機器が、本願発明1においては、「電源」であるのに対し、引用発明においては、「電源(+24V)を供給するライン」を備えた「電気で稼働する電気装置であ」る「本体10」である点。 (相違点3) コネクタ監視アセンブリが、本願発明1においては、電力供給を受ける負荷機器である「可搬型イメージング・システム検出器」に配置されているのに対し、引用発明においては、電力を供給する機器である「電気で稼働する電気装置であ」る「本体10」に備えられている点。 (相違点4) プロセッサが一対の電気コネクタの電気抵抗を決定する際に用いる、電力供給を受ける負荷機器に関連する電圧、及び、負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧が、本願発明1においては、負荷機器である「可搬型イメージング・システム検出器において検出される電圧」、及び、電力を供給する機器である「電源により発生される電圧」であるのに対し、引用発明においては、「コネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧」、及び、電力を供給する機器である「本体10側に設けられている」「基準抵抗11両端の電圧」である点。 (相違点5) プロセッサが、本願発明1においては、「さらに」、「可搬型イメージング・システム検出器が」、「複数の動作モードの内のどの動作モードで動作しているのかを決定し、決定された前記動作モードに基づいて決定された前記可搬型イメージング・システム検出器において検出される」「電圧及び」「電源により発生される」「電圧を用いて」「一対の電気コネクタの電気抵抗を決定するようにプログラムされている」のに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。 (ウ)判断 上記相違点4について検討する。 引用文献2ないし5には、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を開示又は示唆する記載はない。 そして、引用発明は、通電電流の大きさにかかわらず1番ピンの接触抵抗の変化を検知できるようにするために、本体10側に設けられている基準抵抗11両端の電圧とコネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧を比較するものであるから、負荷ユニット20において検出される電圧及び本体10側の電源により発生される電圧を用いて1番ピンの接触抵抗の変化を検知するように構成することが、単なる設計変更であるともいえない。 してみると、引用文献1ないし5に接した当業者といえども、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想起することはできない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献1ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本願発明2ないし7について 本願発明2ないし7は、本願発明1の特定事項を全て含み、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献1ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本願発明8について (ア)対比 本願発明8と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「負荷ユニット20」と、本願発明8の「それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された可搬型X線検出器」とは、「電力供給を受ける負荷機器」である点において共通する。 b 引用発明の「コネクタ15」の本体10側の部分及び「コネクタ15」の負荷ユニット20側の部分は、それぞれ本願発明8の「電源コネクタ」及び「ドッキング・コネクタ」に相当する。 c 引用発明の「挿抜可能」であることは、本願発明1の「結合するように構成されている」ことに相当する。 d 引用発明の「負荷ユニット20」が電力の供給を受ける負荷を有していることは明らかであり、当該「負荷」と、本願発明8の「複数の検出器素子を含む検出器パネル」とは、「負荷」である点において共通する。 e 引用発明の「接続異常検知装置」は、本願発明8の「コネクタ監視アセンブリ」に相当する。 f 引用発明の「コネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧」と、本願発明8の「検出器パネルにおいて検出される電圧」とは、「負荷機器に関連する電圧」である点において共通する。 g 引用発明の「電気で稼働する電気装置であり」、「電源(+24V)を供給するラインがコネクタ15で負荷ユニット20に接続されて」いる「本体10」と、本願発明8の「ドッキング・コネクタを介して」「可搬型X線検出器に電力を供給する電源」とは、「ドッキング・コネクタを介して負荷機器に電力を供給する機器」である点において共通する。 h 引用発明の「本体10側に設けられている」「基準抵抗11両端の電圧」と、本願発明8の「電源により発生される電圧」とは、「負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧」である点において共通する。 i 引用発明の「1番ピンの接触抵抗」は、本願発明8の「ドッキング・コネクタの電気抵抗」に相当する。 (イ)一致点及び相違点 よって、本願発明8と引用発明とは、 「電力供給を受ける負荷機器であって、 負荷と、 該負荷に電力を供給するように構成され、電力コネクタと結合するように構成されているドッキング・コネクタとを備えた負荷機器であって、 コネクタ監視アセンブリは、 負荷機器に関連する電圧を決定し、 前記ドッキング・コネクタを介して前記負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧を決定して、 前記負荷機器に関連する前記決定された電圧及び前記負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧を用いて前記ドッキング・コネクタの電気抵抗を決定する ように構成されている 、負荷機器。」 の発明である点で一致し、次の6点で相違する。 (相違点6) 電力供給を受ける負荷機器が、本願発明8においては、「バッテリを収容し」、「それぞれが異なる量の電力を消費し、それぞれが異なる基準電圧を有する複数の動作モードで動作するように構成された可搬型X線検出器」であるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。 (相違点7) 負荷機器が備える負荷が、本願発明8においては、「複数の検出器素子を含む検出器パネル」であるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。 (相違点8) コネクタ監視アセンブリの配置に関して、本願発明8においては、電力供給を受ける負荷機器である「可搬型X線検出器」に備えられ、「ドッキング・コネクタに結合されている」のに対し、引用発明においては、電力を供給する機器である「電気で稼働する電気装置であ」る「本体10」に備えられている点。 (相違点9) ドッキング・コネクタを介して負荷機器に電力を供給する機器が、本願発明8においては、「電源」であるのに対し、引用発明においては、「電源(+24V)を供給するライン」を備えた「電気で稼働する電気装置であ」る「本体10」である点。 (相違点10) コネクタ監視アセンブリがドッキング・コネクタの電気抵抗を決定する際に用いる、電力供給を受ける負荷機器に関連する電圧、及び、負荷機器に電力を供給する機器に関連する電圧が、本願発明8においては、負荷である「検出器パネルにおいて検出される電圧」、及び、電力を供給する機器である「電源により発生される電圧」であるのに対し、引用発明においては、「コネクタ15の1番ピンの両側(A点とB点)の電圧」、及び、電力を供給する機器である「本体10側に設けられている」「基準抵抗11両端の電圧」である点。 (相違点11) コネクタ監視アセンブリの構成に関して、本願発明8においては、「可搬型X線検出器が、」「複数の動作モードの内のどの動作モードで動作しているのかを決定し」、「決定された前記動作モードに基づいて」「ドッキング・コネクタの電気抵抗を決定する」のに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。 (ウ)判断 上記相違点10について検討する。 上記相違点10は、実質的に、上記「ア(ウ)」で検討した上記相違点4における「プロセッサ」、「一対の電気コネクタ」及び「可搬型イメージング・システム検出器」を、それぞれ「コネクタ監視アセンブリ」、「ドッキング・コネクタ」及び「検出器パネル」に置き換えたものに相当する。 よって、上記「ア(ウ)」で説示した理由と同様の理由により、本願発明8は、引用発明及び引用文献1ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本願発明9及び10について 本願発明9及び10は、本願発明8の特定事項を全て含み、本願発明8をさらに限定したものであるから、本願発明8と同様に、引用発明及び引用文献1ないし5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 小括 以上のとおりであるから、原査定の(理由3)によっては、本願を拒絶することはできない。 3 原査定の理由についてのむすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項8に「前記可搬型イメージング・システム検出器」とあるが、これ以前に「可搬型イメージング・システム検出器」の記載はないので、発明を明確に把握することができない(「可搬型イメージング・システム検出器」は、「可搬型X線検出器」の誤記と思われる。)。 よって、請求項8並びに請求項8を直接又は間接的に引用する請求項9及び10に係る発明は明確でない。 (2)請求項9の冒頭に「前記コネクタ監視回路」とあるが、引用する請求項8には「コネクタ監視回路」の記載はないので、発明を明確に把握することができない(「コネクタ監視回路」は、「コネクタ監視アセンブリ」の誤記と思われる。)。 よって、請求項9及び請求項9を引用する請求項10に係る発明は明確でない。 (3)請求項10に「当該可搬型イメージング・システム検出器」(二箇所)及び「前記コネクタ監視回路」とあるが、上記1及び2で指摘したように、「可搬型イメージング・システム検出器」及び「コネクタ監視回路」は適切な表現であるとは認められない。 よって、請求項10に係る発明は明確でない。 2 当審拒絶理由についての判断 平成28年8月31日になされた手続補正により、本願発明8ないし10は明確となった。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-12-13 |
出願番号 | 特願2010-282500(P2010-282500) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(A61B)
P 1 8・ 536- WY (A61B) P 1 8・ 121- WY (A61B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原 俊文 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 ▲高▼見 重雄 |
発明の名称 | コネクタ監視アセンブリ、及び該コネクタ監視アセンブリを含む検出器アセンブリ |
代理人 | 黒川 俊久 |
代理人 | 荒川 聡志 |
代理人 | 田中 拓人 |
代理人 | 小倉 博 |