• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1322648
審判番号 不服2016-15649  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-20 
確定日 2016-12-27 
事件の表示 特願2014-158418「ローラーインプリント用モールドとインプリント方法およびワイヤーグリッド偏光子とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月17日出願公開、特開2016- 35977、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月4日の出願であって、平成28年3月28日付けで手続補正がされるとともに同日付けで早期審査に関する事情説明書が提出され、同年4月7日付けで拒絶理由が通知され、同年5月10日付けで意見書が提出され、同年5月24日付けで拒絶理由が通知され、同年6月30日付けで手続補正がされるとともに同日付けで意見書が提出されたが、同年7月15日付け(送達同年同月26日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月20日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで早期審理に関する事情説明書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成28年6月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「可撓性を有する基材と、該基材の一の面に設定された主パターン領域と計測パターン領域、を有し、
前記主パターン領域には、ライン形状の主凸パターンあるいは主凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された主パターンが位置し、
前記計測パターン領域には、ライン形状の単位凸パターンあるいは単位凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された計測パターンが位置し、個々の前記単位凸パターン、個々の前記単位凹パターンは、光学顕微鏡による観察が不可能であるが、前記計測パターンは、前記光学顕微鏡により観察可能な部位を有し、
前記主パターンのライン方向と、前記計測パターンのライン方向とが等しく、
前記計測パターン領域は、前記主パターン領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有することを特徴とするローラーインプリント用モールド。」

第3 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物
1.特開2011-176132号公報(以下、「引用文献1」という。)
2.国際公開第2013/126750号(以下、「引用文献2」という。)
3.特開2006-100619号公報(以下、「引用文献3」という。)
4.特開2007-035768号公報(以下、「引用文献4」という。)
5.特開2012-114158号公報(以下、「引用文献5」という。)
6.国際公開第2008/142958号(以下、「引用文献6」という。)
7.特開2001-274073号公報(以下、「引用文献7」という。)
8.特開2009-262546号公報(以下、「引用文献8」という。)

(1)請求項1ないし5
・引用文献1ないし7
ア 本願の請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、以下の点で相違する。
(相違点1)本願発明1のモールドが、可塑性基材を有するローラーインプリント用であるのに対して、引用文献1のテンプレートが、可塑性基材を有するローラーインプリント用ではない点。
(相違点2)本願発明1が、「前記主パターン領域には、ライン形状の主凸パターンあるいは主凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された主パターンが位置し、前記計測パターン領域には、ライン形状の主凸パターンあるいは主凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された計測パターンが位置し、・・・(中略)・・・前記主パターンのライン方向と、前記計測パターンのライン方向とが等しい」構成を備えるのに対して、引用文献1に記載された発明が、当該構成を備えるのか、不明である点。
(相違点3)本願発明1が、「計測パターン領域は、前記主パターン領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有する」構成を備えるのに対して、引用文献1に記載された発明が、当該構成を備えていない点。

イ 相違点について検討する。
(ア)相違点1について、検討する。
ローラーモールドを用いたインプリントプロセスにおいても、テンプレートを用いたインプリントプロセスと同様に、モールドの凹部に樹脂が適切に充填されるようにモールドを樹脂に押し付けることは、当業者が通常行うことであるとともに、スループットの向上は当業者に周知の課題であるから、周知技術である、引用文献2に記載された可塑性基材を有するローラーインプリント用モールドを用いたローラーインプリント法に、引用文献1に記載された手法を適用することは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2について、検討する。
計測パターンの寸法、形状を主パターンと同一のものとすることは、当業者の周知事項である(引用文献3、引用文献4)。インプリントプロセスにおいて欠陥を抑制するという、インプリント法に係る周知の課題を解決するために、転写パターンのライン方向を、テンプレートを転写樹脂層から引き離す方向に沿うように構成することは、当業者の周知事項である(引用文献5、引用文献6)。
さらに、個々の単位パターンが光学顕微鏡で観察不可能な程度に微細なデバイスパターンとしてラインアンドスペースパターンがあることは、当業者の周知事項である(引用文献2、引用文献3)。
してみると、引用文献1に記載された発明において、マークをセグメント化する際に、上記周知事項群を適用して、個々のパターンが光学顕微鏡で観察不可能なラインアンドスペースパターンからなるデバイスパターンと、当該デバイスパターンと寸法、ピッチ、及び方向が同一の計測パターンとを、テンプレートを転写樹脂層から引き離す方向に沿った方向に設けることで、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
(ウ)相違点3について、検討する。
高精度な転写パターン管理のために、主パターンが配置された領域内に計測パターンを設けることは、当業者の周知事項である(引用文献3、引用文献7)。

ウ 本願請求項1ないし5に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び上記周知事項群に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)請求項6及び7
・引用文献1ないし8
引用文献8には、エアを効率的に排除するために、テンプレートの溝に沿って加圧するインプリント手法が記載されているから、引用文献1に記載のインプリントリソグラフィ方法において、テンプレートに形成されたパターンのライン方向に沿ってテンプレートを加圧することは、当業者であれば容易になし得たことである。
請求項7に記載された発明の構成について、上記のとおり、欠陥を抑制するために、転写パターンのライン方向に沿ってテンプレートを転写樹脂層から引き離すことは、当業者の周知事項である(引用文献5、引用文献6照)。
よって、請求項6及び7に係る発明は、引用文献1、8に記載された発明及び上記周知事項群に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)なお、請求項8ないし12に係る発明については、拒絶の理由を発見しない。

第4 当審の判断
1 刊行物の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置及びそのテンプレート並びに物品の製造方法に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常アライメントマークはテンプレート上のスクライブ領域に配置される。アライメントマークを含むスクライブ領域に樹脂が吐出されないようにすると、リソグラフィ工程の後のエッチング工程において、樹脂のないスクライブ領域がエッチングされて好ましくない場合がある。また、樹脂のないスクライブ領域があると、デバイスパターン領域中のエッチングすべき領域のエッチング均一性が損なわれうる。また、スクライブ領域にさらにアライメントマークを形成することができない。これらのことを考慮すると、アライメントマークを含むスクライブ領域にも樹脂を存在させる必要がある。しかしながら、上述したように、アライメントマークの領域に樹脂が充填された状態ではアライメント計測が困難である。
本発明は、例えば、型におけるアライメントマークを有する領域の凹部への未硬化樹脂の充填と該アライメントマークの検出との両立を目的とする。」

ウ 「【0018】
第1実施形態における樹脂の充填の概念図を図3Bに示す。図3Bに示されるように、第1実施形態では、図3Aと比べると時間帯aが延ばされ、時間帯bの立ち上がりにおける充填率が下げられている。その結果、アライメント計測が可能な時間帯cを充填終了時刻dを越えたところまで延長する事が可能となっている。以下、その詳細について述べる。図4はテンプレート3をパターン面から見た図と側面図とアライメントマークの領域の拡大図である。テンプレート3には、メサ100と呼ばれる母体から15?30μm程度飛び出している凸部があり、このメサ100の表面にインプリントするパターンが形成されている。さらに通常メサ部100はデバイスパターンを有する領域102とスクライブ領域101が存在する。第1実施形態においては、スクライブ領域101は、アライメントマーク103を有する領域を含む。図3Aは、デバイスパターンの領域102における充填の概念図であり、デバイスパターンの領域102におけるパターンの幅(パターンサイズ)はハーフピッチ数十nmと非常に小さく、そのため毛細管圧は大きく樹脂の充填速度は速い。樹脂が充填された後、マイクロバブル等が0.1/cm^(2)以下になるまで十分な時間が経過した時点が充填の終了時刻として採用される。従来、アライメントマーク103もセグメント化し、サイズをデバイスパターン並に小さくすることで毛細管圧を大きくし、ショット全体の充填時間を早くすることで、スループットをあげることが考えられた。その様子を図5Aに示す。デバイスパターン領域102とセグメント化されたアライメントマーク103は、拡大された凹部201,201に示されるようにほぼ同じ充填速度で樹脂200の充填が終了する。
【0019】
これに対して図5Bは、アライメントマーク103のパターンの凹部202における最小の幅が、デバイスパターン102の複数の凹部201の最大の幅よりも大きいようにパターン面が構成されている様子を示す。図5Bに示すようにパターンサイズを大きくしたアライメントマーク103の凹部202では、デバイスパターン102の凹部201で樹脂の充填が終わっても未だ樹脂の充填が終わっていない。このとき、アライメントマーク103のパターンサイズの大きさは、充填時間にもよるが、デバイスパターン102のパターンサイズより1桁程度以上大きなサイズとすることが適当である。・・・
【0021】
次に、テンプレート3に形成されたアライメントマーク103を検出するスコープ5について図7を用いて説明する。ウエハ2上のアライメントマーク(ウエハマーク)120とテンプレート3上のアライメントマーク(テンプレートマーク)103は樹脂200を介して近接している。ここで、スコープ5の光源12から出射し、合成プリズム10により同軸上に合成させた計測光は、ウエハマーク120を照射する。ウエハマーク120は、テンプレートマーク103との相対位置によりモアレ信号が発生するように、例えば両マークで間隔の異なるピッチの格子状のマークを構成している。パターン形状としては図8に示すマーク106を使用する。マーク106は2つの異なるピッチP1、P2からなるマークをで、ウエハマーク120も同様なマーク106をX方向に回折光が飛ぶように配置させて使用する。但し、テンプレート側とウエハ側の対応するマークピッチは同じにならないようにする。P1のテンプレートマーク103と対向するウエハマーク120はピッチP2でなければならない。これら2セットのマークにより発生した2つのモアレ信号はスコープ5の結像光学系を通って、撮像素子11上で結像する。合成プリズム10としては、ハーフミラーを使用するか、又は、計測光に偏光を用いて偏光ビームスプリッタを使用する。テンプレートマーク103とウエハマーク120との位置関係より発生する2つのモアレ信号から、先に説明したようにテンプレート3の相対位置を求めることができる。そして、補正量を装置にフィードバックすることで、アライメント中、常時アライメントずれの補正駆動が可能である。またスコープ5を複数個インプリント装置内に持ち、それらスコープ5の観察位置に対応したテンプレートマーク103を複数個配置することにより、テンプレート3の変形も計測可能となる。補正駆動としてはウエハステージ1の駆動やテンプレート3の変形を是正するための是正部21によるクローズド補正が行われる。是正部21は、例えば、テンプレート3に対する圧力を変更することでテンプレート3の変形を是正する。S6で所定時間が経過して充填が終了する時刻dとなると、S7で、インプリント装置は、直ぐに照明系6により紫外線(UV)を照射して樹脂を硬化させる。このUVによる樹脂の硬化工程で前記補正駆動はストップしている。照明系6は、未硬化樹脂を硬化する光を未硬化樹脂に照射する照射手段である。UV照射が完了するとS8の離型工程で、テンプレート3とパターンが転写された樹脂とは切り離され、S9で次のショットに対するインプリント処理へと進む。以下、前記一連の工程を全ショットに対して繰り返す。」

エ 図5は次のものである。


オ 引用発明
上記アないしエによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「パターンの幅(パターンサイズ)はハーフピッチ数十nmと非常に小さく、そのため毛細管圧は大きく樹脂の充填速度は速いデバイスパターンを有する領域と、アライメントマークを有する領域を含むスクライブ領域が存在するメサの表面にインプリントするパターンが形成されているテンプレートにおいて、従来、アライメントマークもセグメント化し、サイズをデバイスパターン並に小さくすることで毛細管圧を大きくし、ショット全体の充填時間を早くすることで、スループットをあげていた、
テンプレートに形成されたアライメントマークを検出するスコープは、光源から出射し、合成プリズムにより同軸上に合成させた計測光は、ウエハマークを照射し、ウエハマークは、テンプレートマークとの相対位置によりモアレ信号が発生するように、パターン形状としては2つの異なるピッチP1、P2からなるマークで、X方向に回折光が飛ぶように配置させて使用し、マークにより発生した2つのモアレ信号はスコープの結像光学系を通って、撮像素子上で結像するインプリント装置のテンプレート。」

(2)同じく、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2には、以下の記載がある(訳は、特表2015-513797号公報に基づいて当審にて作成した。)。
ア 「[0003] An exemplary nano-fabrication technique in use today is commonly referred to as imprint lithography. Imprint lithography is useful in a variety of applications including, for example, fabricating layers of integrated devices such as CMOS logic, microprocessors, NAND Flash memory, NOR Flash memory, DRAM memory, or other memory devices such as MRAM, 3D cross-point memory, Re-RAM, Fe-RAM, STT-RAM, and the like. Imprint lithography is also useful in fabricating layers in a thin film head device for hard disks. Imprint lithography can also be used to fabricate patterned media for hard disk drives, optical devices such as polarizers for displays, photonic crystal structures, light trapping structures and filters for photovoltaic devices, nanostructures for battery electrodes, quantum dot structures for enhanced photonic and photovoltaic devices, biomedical devices, sensors, and in the fabrication of controlled nano- particles. Controlled nano-particles can be used to fabricate crystalline semiconducting materials, or as polymer-based drug carriers, among other uses.」
『[0003] 今日使用されている例示的なナノファブリケーション技術は、一般に、インプリント・リソグラフィと呼ばれる。インプリント・リソグラフィは、例えば、CMOS論理回路、マイクロプロセッサ、NANDフラッシュメモリ、NORフラッシュメモリ、DRAMメモリなどの集積デバイス、又は、MRAM、3D交点メモリ、Re-RAM、Fe-RAM、STT-RAMなどの他のメモリ・デバイスの層を製造することを含む様々な用途において有用である。インプリント・リソグラフィは、ハードディスクの薄膜ヘッドデバイス内の層を製造するのにも有用である。また、インプリント・リソグラフィは、ハードディスク・ドライブのためのパターン形成媒体、ディスプレイ用偏光子、光結晶構造体、光捕捉構造体及び光起電デバイス用フィルタなどの光学素子、バッテリ電極用ナノ構造体、強化された光及び光起電デバイス用量子ドット構造体、バイオ医療デバイス、センサの製造、並びに制御されたナノ粒子の製造にも使用することができる。制御されたナノ粒子は、幾つかある使用の中でも、結晶半導体材料を製造するために又はポリマー・ベースの薬物担体として使用することができる。』

イ 「[0005] The present invention provides for imprint lithography systems and methods for patterning a flexible film substrate and/or flat substrates, including large area flat substrates such as glass or plastic substrates used in flat panel displays incorporated into e.g. in phones, tablets, monitors, televisions and the like. In various aspects, an imprint lithography systems and methods are provided for imprinting polymerizable material positioned between a flexible film substrate and a flat substrate as the two substrates translate simultaneously. Such systems and methods are useful in both patterning a flexible film substrate using a flat, plate-like imprint template (e.g., plate-to-roll imprinting) as well as patterning flat large area substrates using a flexible template (e.g., roll-to-plate imprinting). In either situation, the result patterned substrate can form or be incorporated into a final product or be utilized itself as an imprint template for further patterning. In one aspect, the system includes first and second spaced- apart winding rollers configured to secure opposing ends of the flexible film substrate and to maintain a portion of the flexible film substrate wound around one or the other of the rollers. One or more roller drive assemblies are coupled to the first and second winding rollers, with the drive assemblies configured to impart rotational force to the first and second winding rollers such that the flexible film substrate can be translated under a desired tension between the first and second winding rollers in a first direction and a second opposing direction. First and second imprint/separation rollers are also provided and are positioned proximate to first and second winding rollers. The imprint/separation rollers have parallel axes of rotation and are further configured and positioned to engage and support the backside surface of the flexible film substrate. As the flexible film is wound/unwound from the winding rollers it is translated between the two imprint/separation rollers. Motion actuators coupled to each end of the first and second imprint/separation rollers are also provided. Each motion actuator is configured to provide independent movement to each end of the imprint/separation rollers such that that portion of the flexible film substrate supported between the first and second imprint/separation rollers can be subjected to Z, Y-tilting, X-tilting and skewing motions. Such motion allows for e.g. better conformance between the two substrates during the spreading, filling, and curing of the polymerizable material. A motion stage is further provided having a first chuck configured to secure the flat substrate. The motion stage further configured to translate the flat substrate into superimposition with the flexible film substrate as the flexible film substrate is translated between the first and second imprint/separation rollers. In certain aspect, the motion stage is configured to translate the flat substrate in both the X- and Y- direction (i.e., in a plane parallel to the plane of the flexible substrate as positioned between the imprint/separation rollers with the X-direction being parallel to the direction the flexible film translates and the Y-direction orthogonal to that direction). In such aspect, a smaller flat substrate having a desired pattern (i.e. a flat template) can be used to pattern the larger area of the flexible film substrate in a step-and- repeat fashion. In further aspects, a second chuck or a motion stage containing a second chuck is provided that can secure a second flat substrate, e.g., a large area substrate. This substrate can in turn be patterned using the patterned flexible film substrate (i.e., a flexible film template). A fluid dispense system is provided and is positioned proximate the motion stage or stages. The fluid dispense system is configured to dispense polymerizable material onto the flat substrate. The material can be dispensed e.g. as a plurality of droplets or as a thin film of material. An energy source (e.g. UV source) is positioned between the imprint/separation rollers and adjacent the backside surface of the flexible film substrate. The energy source provides curing energy to solidify polymerizable material positioned between the flexible film substrate and the flat substrate as the two substrates translate between the imprint/separation rollers.」
『[0005] 本発明は、例えば、電話、タブレット、モニター、テレビ等に組み込まれる平面パネルディスプレイに使用されるガラス又はプラスチック基板などの大面積平面基板を含む、可撓性フィルム基板及び/又は平面基板をパターン形成するためのインプリント・リソグラフィ・システム及び方法を提供する。種々の態様において、2つの基板が同時に平行移動する際に、可撓性フィルム基板と平面基板との間に配置された重合性材料をインプリントするためのインプリント・リソグラフィ・システム及び方法が提供される。こうしたシステム及び方法は、平坦なプレート状のインプリント・テンプレートを用いて可撓性フィルム基板をパターン形成する(例えば、プレート・ツー・ロール・インプリント)際にも、可撓性テンプレートを用いて大面積平面基板をパターン形成する(例えば、ロール・ツー・プレート・インプリント)際にも有用である。いずれの状況においても、結果として得られるパターン形成基板は、最終製品を形成すること若しくは最終製品に組み込むこと、又はさらに別のパターン形成のためにそれ自体をインプリント・テンプレートとして利用することができる。一態様において、本システムは、可撓性フィルム基板の両端部を固定するように構成された第1及び第2の離間した巻取りローラを含み、当該ローラは、また可撓性フィルム基板の一部分をローラの一方又は他方の周りに巻き付けた状態に保持するように構成される。1つ又はそれ以上のローラ駆動アセンブリが第1及び第2の巻取りローラに結合され、この駆動アセンブリは、回転力を第1及び第2の巻取りローラに与えて可撓性フィルム基板を所望の張力下で第1の方向及び第2の対向する方向に第1の巻取りローラ及び第2の巻取りローラの間を平行移動させることができるように構成される。また、第1及び第2のインプリント/分離ローラが設けられ、第1及び第2の巻取りローラに近接して配置されている。インプリント/分離ローラは、平行回転軸を有し、可撓性フィルム基板の裏面に係合し、これを支持するようにさらに構成され配置されている。可撓性フィルムが巻取りローラに巻き付けられる/巻き戻されると、可撓性フィルムは、2つのインプリント/分離ローラの間を平行移動する。第1及び第2のインプリント/分離ローラの各端部に結合された移動アクチュエータも設けられる。移動アクチュエータの各々は、第1及び第2のインプリント/分離ローラの間に支持される可撓性フィルム基板の当該部分にZ、Y傾斜、X傾斜及び斜行運動させることができるようインプリント/分離ローラの各端部に独立した動きをもたらすように構成されている。こうした移動は、例えば、重合性材料の拡散、充填及び硬化の際に2つの基板間のより良好な適合を可能にする。平面基板を固定するように構成された第1のチャックを有する移動ステージがさらに設けられる。この移動ステージは、可撓性フィルム基板が第1及び第2のインプリント/分離ローラの間を平行移動される際に可撓性フィルム基板と重ね合わせた状態に平面基板を平行移動させるようにさらに構成されている。特定の態様において、移動ステージは、平面基板をX方向及びY方向の両方に(即ち、X方向は可撓性フィルムが平行移動する方向に平行であり、Y方向はその方向に直交するものである場合、インプリント/分離ローラ間に配置された可撓性基板の平面に平行な面において)平行移動させるように構成されている。こうした態様において、所望のパターンを有する小さい平面基板(即ち、平面テンプレート)を用いて、ステップ・アンド・リピート方式で大面積可撓性フィルム基板をパターン形成することができる。さらに別の態様において、例えば大面積基板などの第2の平面基板を固定することができる第2のチャック又は第2のチャックを含む移動ステージが設けられる。この基板は、パターン形成された可撓性フィルム基板(即ち、可撓性フィルム・テンプレート)を用いてパターン形成することができる。流体分配システムが提供され、移動ステージ(単数又は複数)に近接して配置される。流体分配システムは、重合性材料を平面基板上に分配するように構成されている。例えば、複数の液滴として又は材料の薄膜として、材料を分配することができる。エネルギー源(例えば、UV光源)が、インプリント/分離ローラの間に可撓性フィルム基板の裏面に隣接して配置される。エネルギー源は硬化エネルギーを与え、2つの基板がインプリント/分離ローラ間を移動する際に、可撓性フィルム基板と平面基板との間に配置された重合性材料を固化させる。』

ウ 引用文献2に記載の事項
上記ア及びイによれば、引用文献2には、「平坦なプレート状のインプリント・テンプレートを用いて可撓性フィルム基板をパターン形成するプレート・ツー・ロール・インプリント法」(以下、「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(3)同じく、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献3には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関し、特に、SOC(System On a Chip)等の様に多様なレイアウトパターンを含み、それらの寸法管理を行う半導体装置の製造方法および半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。」

イ 「【0008】
(2)スクライブ領域のマークと実際のレイアウトパターンとでは半導体ウエハ内の位置が異なるため、プロセスに伴う半導体ウエハ内の寸法ばらつき量がそれぞれ異なり、高精度に寸法管理を行うことが困難となる。」

ウ 「【0013】
本発明による半導体装置の製造方法は、半導体チップ内に複数の検査領域を設け、前記複数の検査領域に寸法計測用のパターンをレイアウトし、前記寸法計測用のパターンを含む前記半導体チップのレイアウトデータと前記半導体チップ内での前記複数の検査領域の位置を示すデータとを生成するレイアウト設計工程と、前記半導体チップを形成するための半導体ウエハに対し、レジストを塗布し、前記生成した前記半導体チップのレイアウトデータに基づいて露光および現像を行う工程と、光学式寸法計測装置に、前記生成した位置情報を示すデータを参照させ、前記露光および現像により形成された前記半導体ウエハ上の前記複数の検査領域を対象に前記寸法計測用のパターンの計測を行わせる工程とを有し、前記レイアウト設計工程でレイアウトされる寸法計測用のパターンは、前記検査領域周辺のデバイスパターンに基づいて定められた単一の配線幅および配線ピッチを備えるものとなっている。」

エ 「【0027】
ここでは仮に、メタルの多層配線層の内の1つの層を例に、その層のプロセス工程(フォトリソグラフィ工程)に伴う寸法検査を行いたい場合を想定して説明を行う。まず、設定領域14のメタル配線層において、図3に示すような多数のメタル配線30およびコンタクトホール31を含むデバイスパターンが形成されるものとする。そして、図3の設定領域14には、このデバイスパターンを形成しない領域となる2個の検査領域13a,13bが含まれている。
【0028】
この場合、検査領域13aには、例えば、設定領域14内のデバイスパターンの中で最も配線ピッチが小さいデバイスパターン33aを反映させ、このデバイスパターン33aと同一の配線ピッチおよび配線幅を備えた寸法計測用のメタル配線32を形成する。一方、検査領域13bには、例えば、設定領域14内のデバイスパターンの中で最も配線ピッチが大きいデバイスパターン33bを反映させ、このデバイスパターンと同一の配線ピッチおよび配線幅を備えた寸法計測用のメタル配線32を形成する。」

オ 「【0030】
このような検査領域13は、例えば光学式寸法計測装置(OCD計測装置:Optical Critical Dimension計測装置)を用いて検査される。この場合、検査領域13内では、例えばレイアウトツールにルールを設けることなどによって、水平または垂直方向それぞれについて単一の配線幅と単一のピッチでレイアウトされるようにする。
【0031】
光学式寸法計測装置とは、半導体ウエハ表面からの散乱光(回折光)を解析してパターンの断面形状(配線幅、高さおよびテーパー角等)を非破壊・非接触で得る装置である。具体的には、ライン/スペースの周期構造を持つ格子状パターンに入射光を当て、パターンの形状に依存して変化した回折光の波長特性や入射角特性を解析するというものである。光学式寸法計測装置を用いると、従来技術のSEMに比べて、例えば最小線幅20nm以下、分解能0.4nm以下といった高精度の計測を実現できるほか、スループットの向上も実現可能となる。」

カ 図3は次のものである。


キ 引用文献3に記載の事項
上記アないしカによれば、引用文献3には、「半導体チップ内に複数の検査領域を設け、前記検査領域には、デバイスパターンと同一の配線ピッチおよび配線幅を備えた寸法計測用のメタル配線を形成し、前記検査領域は、ライン/スペースの周期構造を持つ格子状パターンに入射光を当て、パターンの形状に依存して変化した回折光の波長特性や入射角特性を解析する光学式寸法計測装置を用いて検査される半導体チップ。」(以下、「引用文献3に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(4)同じく、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献4には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、微細化された大規模な半導体集積回路の検査に好適な合わせずれ検査用マークの形成方法及び半導体装置の製造方法に関する。」

イ 「【0004】
更に、デバイスパターンの幅に比べて大きい合わせずれ検査用マークを同一マスク基板に造り込む従来のやり方では、デバイスパターンと検査用マークの基板上での被覆率が異なっているため、微細パターンのリソグラフィ工程やドライエッチング工程時のローディング効果等を考慮すると、合わせずれ検査用マークでは、デバイスパターンに対する正確なプロセスのゆらぎは評価できない。
【0005】
このため、合わせずれ検査マークとデバイスパターンの転写位置ずれ量を同程度にし、デバイスパターン間の合わせ誤差を最小にするために、合わせずれ検査用マークの寸法、形状等をデバイスパターンと同一にする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。」

ウ 引用文献4に記載の事項
上記ア及びイによれば、引用文献4には、「合わせずれ検査用マークの寸法、形状等をデバイスパターンと同一にする半導体装置の製造方法。」(以下、「引用文献4に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(5)同じく、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献5には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント方法およびインプリント装置に関する。」

イ 「【0030】
(第2の実施形態)
ラインアンドスペースのように、異方性の強いパターンが一方向に偏向して配列されているパターン群を形成する場合、ラインの伸びる向き(すなわち偏向方向)に沿った方向に離型を行うと、偏向方向と直交する方向に離型を行う場合に比べて生じる欠陥数を少なくすることができる。例えば図8に示すウェハ上の領域106には、y軸方向に伸びるライン状のパターン105-1、105-2と、ライン状のパターンに短いラインが直交して接続されたパターン105-3とが形成されている。このようなパターン群の偏向方向はy方向となる。このようなパターン群では、y軸方向に徐々に離型されるようにすると欠陥数を少なくすることができる。そのためには、例えば図9に示すように、滴下領域104の下部にx軸に平行となるように第2レジスト材料101-2を滴下するとよい。第2の実施形態によれば、異方性が強いパターンが偏向して配列されているパターン群を含む場合において、欠陥をできるだけ少なくなる第2レジスト材料の滴下位置を決定する。」

ウ 引用文献5に記載の事項
上記ア及びイによれば、引用文献5には、「ラインアンドスペースのように、異方性の強いパターンが一方向に偏向して配列されているパターン群を形成する場合、ラインの伸びる向き(すなわち偏向方向)に沿った方向に離型を行うと、偏向方向と直交する方向に離型を行う場合に比べて生じる欠陥数を少なくすることができるインプリント方法。」(以下、「引用文献5に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(6)同じく、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献6には、以下の記載がある。
ア 「[0001] 本発明は、型表面に形成された微細形状のパターンを被成形体に転写するインプリント方法に関し、詳しくは、パターンが転写された被成形体を容易に離型させることができるインプリント方法に関する。」

イ 「[0069] 本発明において、被成形体2に転写される金型1のパターン11は、一方向に沿う方向性を有する溝状のパターンであることが好ましい。図6では図示左右方向に沿う方向性を有する溝状パターン11を示している。この場合、保持部材4、7、8は、被成形体2に転写されるパターン11の転写領域外21であって、図6に示すように、方向性を有するパターン11の一方向に沿う端部領域211(本実施形態においては、前記一方向においてパターン11を挟んで両側に位置する端部領域(図6における斜線部分の領域)に相当する。)の少なくとも一部を保持することが好ましい。 被成形体2の離型方向とパターン11の方向とが一致するため、被成形体2に転写されたパターンを破損することなく、被成形体2を金型1から速やかに剥離することができる。」

ウ 図6は次のものである。


エ 引用文献6に記載の事項
上記アないしウによれば、引用文献6には、「被成形体2の離型方向とパターン11の方向とが一致するため、被成形体2に転写されたパターンを破損することなく、被成形体2を金型1から速やかに剥離することができるパターンが転写された被成形体を容易に離型させることができるインプリント方法。」(以下、「引用文献6に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(7)同じく、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献7には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下地パターンに対して上層パターンを重ね合わせて露光する重ね合わせ露光方法及び露光システムに関する。」

イ 「【0033】図8(a)に、従来のチップ内のマーク配列の概略を示す。従来例では、1つのチップに対して重ね合わせマーク81が4つ、重ね合わせずれ測定用マーク82が4つ配置されていた。ここで、重ね合わせマーク81とは、下地に対して次のパターンを合わせるためのマークであり、上層パターンの形成によってもマーク形状は変わらないものである。重ね合わせずれ測定用マーク82とは、上層パターンが正しく露光されたかを測定するためのマークであり、上層パターンの形成によってマーク形状が変わるものである。
【0034】本実施形態では、絶対座標測定装置11を用いた歪み測定の際に、重ね合わせマーク81を使わずに、重ね合わせずれ測定用マーク82を使う。これは、座標測定装置11がマーク位置測定の際にレジストを露光しない波長の光を用いることから可能となるものである。このとき、歪み測定用のマークは、重ね合わせマーク81以外であればなんでもよい。すると、必要な重ね合わせマーク81は露光装置でマーク検出に使用するマークだけになり、図8(b)に示すように、チップ内1点配置されていれば良いことになる。このようにすれぱ、デバイスパターン領域83が増える。」

ウ 図8は次のものである。


エ 引用文献7に記載の事項
上記アないしウによれば、引用文献7には、「チップ内のマーク配列として、1つのチップに対して重ね合わせマーク81が4つ、重ね合わせずれ測定用マーク82が4つ配置されている重ね合わせ露光方法。」(以下、「引用文献7に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

(8)同じく、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、引用文献8には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、微細形状が転写されて両面に該微細な立体形状を有するシートの製造方法、装置に関する。」

イ 「【0025】
特に微細凹凸形状の凹形状が図1に示すような直線もしくは曲線状に並列に延びた溝であり、複数の溝がストライプ状に並列配置されたインプリントモールドを用いるときは、賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しないことに加えて、溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を持たないように加圧するのが好ましい。これは溝と基材シート内に閉じ込められたエアが微細凹凸形状の凸部を飛び越えて他の溝に移動しにくいため、溝に沿って賦形圧力分布を形成し、エアを排除することが効率的なためである。この場合の「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持つ」とは、前記10mm角の格子を溝の長手方向に沿って並ぶように区切り、任意の格子の平均圧力をP、この格子と溝の長手方向に沿って隣り合う2つの格子の平均圧力をそれぞれP_(1)、P_(2)としたとき、P≦P_(1)かつP≦P_(2)が成立することをいう。つまり、「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持たない」とは、P≦P_(1)かつP≦P_(2)成立するような格子が溝の長手方向に沿って存在しないことである。言い換えると、溝の長手方向に沿う全ての格子について、P_(1)<PまたはP_(2)<Pを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。」

ウ 図1は次のものである。


エ 引用文献8に記載の事項
上記アないしウによれば、引用文献8には、「複数の溝がストライプ状に並列配置されたインプリントモールドを用いるときは、賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しないことに加えて、溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を持たないように加圧する微細な立体形状を有するシートの製造方法。」(以下、「引用文献8に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

2 対比・判断
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「デバイスパターン」、「デバイスパターンを有する領域」、「アライメントマーク」、「アライメントマークを有する領域」、「メサ」及び「インプリント装置のテンプレート」は、本願発明の「主パターン」、「主パターン領域」、「計測パターン」、「計測パターン領域」、「基材」及び「インプリント用モールド」にそれぞれ対応する。
また、引用発明の「デバイスパターン」及び「アライメントマーク」は、パターンの幅(パターンサイズ)はハーフピッチ数十nmと非常に小さく、・・・アライメントマークもセグメント化し、サイズをデバイスパターン並に小さくするものものであって、テンプレートに形成されたアライメントマークを検出するスコープは、光源から出射し、合成プリズムにより同軸上に合成させた計測光は、ウエハマークを照射し、ウエハマークは、テンプレートマークとの相対位置によりモアレ信号が発生するように、パターン形状としては2つの異なるピッチP1、P2からなるマークで、X方向に回折光が飛ぶように配置させて使用し、マークにより発生した2つのモアレ信号はスコープの結像光学系を通って、撮像素子上で結像するものであるから、「デバイスパターンを有する領域」には、ライン形状の凸パターンあるいは凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成されたデバイスパターンが位置し、また、「アライメントマークを有する領域」には、ライン形状の凸パターンあるいは凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成されたアライメントパターンが位置し、個々の凸パターンあるいは凹パターンは、ハーフピッチ数十nmと非常に小さくアライメントマークを検出するスコープによる計測が不可能であるが、アライメントパターンは、アライメントマークを検出するスコープにより観察可能なモアレ信号が発生する部位を有しているといえる。
そうすると、両者は、
「基材の一の面に設定された主パターン領域と計測パターン領域、を有し、
前記主パターン領域には、ライン形状の主凸パターンあるいは主凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された主パターンが位置し、
前記計測パターン領域には、ライン形状の単位凸パターンあるいは単位凹パターンが所望のスペースを介して複数配列され構成された計測パターンが位置し、個々の前記単位凸パターン、個々の前記単位凹パターンは、光学顕微鏡による観察が不可能であるが、前記計測パターンは、前記光学顕微鏡により観察可能な部位を有するローラーインプリント用モールド。」
の点で一致している。
他方、本願発明と引用発明は、下記アないしウの点で相違する。
ア 本願発明の基材は、「可撓性を有」し、また、モールドは、「ローラーインプリント用」であるのに対して、引用発明の基材は、「可撓性を有する」とは特定されず、また、テンプレートは、「ローラーインプリント用」とは特定されない点(以下、「相違点1」という。)。

イ 本願発明の「主パターン」及び「計測パターン」は、「主パターンのライン方向と、前記計測パターンのライン方向とが等し」いのに対して、引用発明の「デバイスパターン」、「アライメントマーク」は、このように特定されない点(以下、「相違点2」という。)。

ウ 本願発明の「計測パターン領域」は、「主パターン領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有する」のに対して、引用発明の「アライメントマークを有する領域」は、このように特定されない点(以下、「相違点3」という。)。

(2)判断
ア 事案に鑑みて上記相違点2及び3から検討する。
(ア)引用発明の「テンプレート」は、「デバイスパターンを有する領域と、アライメントマークを有する領域を含むスクライブ領域が存在する」ところ、引用文献1には、「通常アライメントマークはテンプレート上のスクライブ領域に配置される。アライメントマークを含むスクライブ領域に樹脂が吐出されないようにすると、リソグラフィ工程の後のエッチング工程において、樹脂のないスクライブ領域がエッチングされて好ましくない場合がある。また、樹脂のないスクライブ領域があると、デバイスパターン領域中のエッチングすべき領域のエッチング均一性が損なわれうる。また、スクライブ領域にさらにアライメントマークを形成することができない。これらのことを考慮すると、アライメントマークを含むスクライブ領域にも樹脂を存在させる必要がある。しかしながら、上述したように、アライメントマークの領域に樹脂が充填された状態ではアライメント計測が困難である。」(上記「1」「(1)」「イ」)と記載されていることに照らして、引用発明において、アライメントマークを有する領域が、デバイスパターンを有する領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有するもの(相違点3の構成)となすことは想定されない。

(イ)アライメントマークを有する領域が、デバイスパターンを有する領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有するもの(相違点3の構成)となすことが想定されない引用発明において、上記相違点3の構成を採用した上で、デバイスパターンのライン方向と、アライメントマークのライン方向とが等しいもの(相違点2の構成)とまでなす動機は認められない。

(ウ)そして、引用文献2ないし8に記載の事項は、「計測パターン領域は、前記主パターン領域の外郭線の内側に位置する領域を少なくとも有する」(相違点3の構成)ものにおいて、「個々の前記単位凸パターン、個々の前記単位凹パターンは、光学顕微鏡による観察が不可能であるが、前記計測パターンは、前記光学顕微鏡により観察可能な部位を有し、前記主パターンのライン方向と、前記計測パターンのライン方向とが等し」いもの(相違点2の構成)となすものではなく、また、このようにすることについての示唆もないから、引用発明において、引用文献2?8に記載の事項に基づいて、上記相違点2及び3に係る本願発明の構成となすことが容易に想到し得たとはいえない。

(エ)これに対して、本願発明は、上記相違点2及び3の構成を備えることによって、「主パターン領域内に計測パターンが位置する場合、計測パターンが存在する部位では直線偏光が得られないので、光配向処理に支障を来すという問題」及び(直線偏光が得られない計測パターンを、金属細線を形成する主パターン領域の外側に配置しないので)「計測パターンと主パターンとが離間することになり、精確な位置合わせが困難となったり、ワイヤーグリッド偏光子における有効な偏光領域が狭くなるという問題」(本願明細書段落【0006】)を解消するという顕著な効果を奏するものである。

イ したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし8に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)小括
よって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし8に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願の請求項2ないし7に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし7に係る発明は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし8に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
なお、本願の請求項8ないし12に係る発明は、原査定の拒絶の対象とはなっていない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-05 
出願番号 特願2014-158418(P2014-158418)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今井 彰赤尾 隼人  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
伊藤 昌哉
発明の名称 ローラーインプリント用モールドとインプリント方法およびワイヤーグリッド偏光子とその製造方法  
代理人 太田 昌孝  
代理人 米田 潤三  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ