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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1322656 |
審判番号 | 不服2015-16814 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-14 |
確定日 | 2016-12-08 |
事件の表示 | 特願2012-520652「異方性熱伝導要素およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月20日国際公開、WO2011/008467、平成24年12月27日国内公表、特表2012-533882〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年6月25日(パリ条約に基づく優先権主張 平成21年7月14日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成26年6月3日付け拒絶理由通知に対して、同年11月10日付けで手続補正がなされたが、平成27年5月1日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年9月14日付けで拒絶査定不服審判が請求されると共に手続補正がなされた。 第2 平成27年9月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年9月14日付の手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 平成27年9月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、請求項1については、 本件補正前に、 「熱源からの熱を伝導するための異方性熱伝導要素であって、 グラファイト・シートの積層体を含み、 前記グラファイト・シートの各々が、平面状であり、各グラファイト・シートによって形成される平面の方向に高い熱伝導度と、各グラファイト・シートの厚さ方向に低い熱伝導度とを有し、 前記グラファイト・シートは、前記グラファイト・シートの厚さ方向を横切って前記熱源に接触するための接触面を有し、 前記グラファイト・シートの積層体は、少なくとも部分的に樹脂で被覆され、それによって前記異方性熱伝導要素の支持部が形成され、 前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱硬化性樹脂は、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリアミンイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性のエポキシ樹脂、紫外線硬化性のシリコーン樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択されたものである、 異方性熱伝導要素。 」 とあったところを、 「熱源からの熱を伝導するための異方性熱伝導要素であって、 グラファイト・シートの積層体を含み、 前記グラファイト・シートの各々が、平面状であり、各グラファイト・シートによって形成される平面の方向に高い熱伝導度と、各グラファイト・シートの厚さ方向に低い熱伝導度とを有し、 前記グラファイト・シートは、前記グラファイト・シートの厚さ方向を横切って前記熱源に接触するための接触面を有し、 前記グラファイト・シートの積層体は、少なくとも部分的に樹脂で被覆され、それによって前記異方性熱伝導要素の支持部が形成され、 前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱硬化性樹脂は、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリアミンイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン、およびこれらの組合せからなる群から選択されたものである、 異方性熱伝導要素。」 とするものである。 2.補正の目的要件について 補正された請求項1に係る発明は、補正前の請求項1のグラファイト・シートの積層体を被覆する樹脂を「熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂」に限定し、更に、熱硬化性樹脂における選択肢を「フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂」に限定したものである。 そうすると、本件補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2006-303240号公報(平成18年11月2日公開。以下「引用例」という。)には、「放熱シート、放熱体、放熱シート製造方法及び伝熱方法」について、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。 ア.「【請求項1】 グラファイトシートが複数枚積層された放熱シートであって、グラファイト結晶のa-b面が放熱シートのシート面に対して垂直であることを特徴とする放熱シート。 【請求項2】 前記放熱シートの前記シート面以外の面が樹脂によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱シート。」 イ.「【0001】 本発明は、電子部品から発生する熱を放散する技術に関し、特に電子部品などの発熱体と、ヒートシンクやヒートパイプなどの放熱体との接触熱抵抗を低減するために、発熱体と放熱体との間に挟んで用いる放熱シート、かかる放熱シートを備える放熱体、かかる放熱シートの製造方法、及び発熱体から放熱体へ熱を伝える伝熱方法に関する。 ・・・(中略)・・・ 【0005】 一般的に、発熱電子部品と放熱体との間の接触熱抵抗を低減するため、サーマルグリースや放熱ゴム、グラファイトシートなどを間に介在させる。例えば、図4に例示するように、電気機器10においては、発熱体となるICチップ13と、放熱体として使用するヒートシンク11の間には、介在材料12が挟まれて配置され、ICチップ13で発生した熱を速やかに上方のヒートシンク11へと伝達して拡散する働きをし、電子機器10の温度が上昇することを防ぐ構造になっている。」 ウ.「【0008】 しかしながら、グラファイトシートは面方向の熱伝導率に比べて厚み方向(a-b面に垂直なc軸方向)の熱伝導率が極めて低く、放熱材料との接合に用いても、厚み方向に拡散する熱に対して、高い熱伝導性を発揮し得なかった。」 エ.「【0027】 (実施例1) 図1(a)に示すように、縦横約50mm、厚さ約100μmのグラファイトシート20を用意し、図1(b)に示すように、スキージ21を用いて、グラファイトシート20の片面に約10μm厚になるようにエポキシ系接着剤22を塗布し、図1(c)に示すように、接着剤塗布済グラファイトシート23を重ね合わせた。そして、接着剤塗布済グラファイトシート23を500枚積層し、上下方向から加圧して強固に接着させて、図1(d)に示す厚さ約55mmのグラファイトシート積層体24を得た。 【0028】 そして、グラファイトシート20に対して垂直に100μm厚に切断して、図1(e)に示す縦55mm、横50mm、厚さ100μmの積層体断面シート25を得た。 【0029】 グラファイトシート積層体24を切断して、積層体断面シート25を得るためには、半導体産業で一般的な切断方法を用いることができ、ワイヤーソーを用いる方法が好ましい。 【0030】 図2に示すように、積層体断面シート25は、厚み方向(図面に垂直な方向)にグラファイトシート20の断面が露出している。つまり、図2に示すX軸方向とグラファイトシート20のc軸方向が一致し、図2に示すY軸と図面に垂直なZ軸(図示せず)を含むY-Z面とグラファイトシート20のa-b面が一致する。 【0031】 よって、積層体断面シート25は、厚み方向(Z軸方向)に熱伝導率が高い放熱シートとして利用することができる。」 オ.「【0032】 (実施例2) 図1(a)から(d)に示した方法によって得たグラファイトシート積層体24を、ゲル状の熱硬化型アクリル樹脂に浸漬し、グラファイトシート積層体24の周囲にアクリル樹脂を付着させ、この付着したアクリル樹脂を加熱することによって、グラファイトシート積層体24の周囲にアクリル樹脂被膜を形成する。 【0033】 その後、実施例1と同様に100μm厚に切断して、図3に示す積層体断面シート41を得る。 【0034】 積層体断面シート41は、積層体断面シート25と同様に熱伝導率が高く、かつ周囲をアクリル樹脂被膜42に覆われているため、グラファイトシート20が剥離しにくいため、取扱性の良い放熱シートとして利用することができる。」 上記アないしオの記載から、引用例の放熱シートには以下の事項が記載されている。 ・上記イ、図4によれば、放熱シートは、発熱体から放熱体に熱を伝え、グラファイトシートからなるものである。そして、上記ウによれば、グラファイトシートを複数積層して用いるものである。 ・上記ウによれば、グラファイトシートは、面方向の熱伝導率に比べて厚み方向(a-b面に垂直なc軸方向)の熱伝導率が極めて低いものである。 ・上記ア、エ、図1によれば、グラファイトシートを積層し切断してなる積層体断面シートは、厚み方向(図面に垂直な方向)にグラファイトシートの断面が露出しており、グラファイト結晶のa-b面が放熱シートのシート面に垂直であり、厚み方向(Z軸方向)に熱伝導率が高い放熱シートである。 ・上記オ、図3によれば、グラファイトシート積層体の周囲に熱硬化型アクリル樹脂被膜を形成するものである。そして、上記アによれば、樹脂は、放熱シート面以外、つまりシート面に対して垂直であるグラファイト結晶のa-b面に被覆されているものである。 したがって、上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「発熱体からの熱を伝えるためのグラファイトシートを積層してなる放熱シートであって、 該グラファイトシートは、面方向の熱伝導率に比べて厚み方向(a-b面に垂直なc軸方向)の熱伝導率が極めて低いものであり、 該グラファイトシートを積層し切断してなる積層体断面シートは、厚み方向にグラファイトシート20の断面が露出しており、グラファイト結晶のa-b面が放熱シートのシート面に垂直であり、厚み方向に熱伝導率が高く、 該グラファイトシート積層体のグラファイト結晶のa-b面に熱硬化型アクリル樹脂被膜を形成した、 放熱シート。」 4.対比・判断 本願補正発明と引用発明とを対比する。 a.引用発明の「放熱シート」は、面方向と厚み方向とで異なる熱伝導率を有するグラファイトシートであって、ICチップなどの発熱体の熱をヒートシンクに伝導するものであるから、本願補正発明の「異方性熱伝導要素」に相当する。 よって、引用発明の「発熱体からの熱を伝えるためのグラファイトシートを積層してなる放熱シートであって」は、本願補正発明の「熱源からの熱を伝導するための異方性熱伝導要素であって、グラファイト・シートの積層体を含み」に相当する。 b.引用発明の「該グラファイトシートは、面方向の熱伝導率に比べて厚み方向(a-b面に垂直なc軸方向)の熱伝導率が極めて低いものであり」は、グラファイトシートの面方向に高い熱伝導率、グラファイトシートの厚み方向に低い熱伝導率を有すると意味するものであるから、本願補正発明の「前記グラファイト・シートの各々が、平面状であり、各グラファイト・シートによって形成される平面の方向に高い熱伝導度と、各グラファイト・シートの厚さ方向に低い熱伝導度とを有し」に相当する。 c.引用発明の「積層体断面シート」は、a-b面(グラファイトシートの面方向)が垂直方向にあるから、グラファイトシートの厚み方向であるc軸方向(グラファイトシートの積層方向)が発熱体と接触するものである。 よって、引用発明の「該グラファイトシートを積層し切断してなる積層体断面シートは、厚み方向にグラファイトシート20の断面が露出しており、グラファイト結晶のa-b面が放熱シートのシート面に垂直であり、厚み方向に熱伝導率が高く」は、本願補正発明の「前記グラファイト・シートは、前記グラファイト・シートの厚さ方向を横切って前記熱源に接触するための接触面を有し」に相当する。 d.本願補正発明の「支持部」とは、樹脂で被覆された部分を定義したものであって、本願の図面を参酌すると、熱源と接触しない面を被覆したものである。一方、引用発明の樹脂被膜を形成する「グラファイトシート積層体のグラファイト結晶のa-b面」とは、発熱体と接触しない面である。 よって、引用発明の「該グラファイトシート積層体のグラファイト結晶のa-b面に熱硬化型アクリル樹脂被膜を形成した」は、本願補正発明の「前記グラファイト・シートの積層体は、少なくとも部分的に樹脂で被覆され、それによって前記異方性熱伝導要素の支持部が形成され、前記樹脂は、熱硬化性樹脂から選択され」に相当する。 但し、本願補正発明の熱硬化性樹脂は「フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂」から選択されるのに対し、引用発明の熱硬化型樹脂はそのようなものに特定されていない。 よって、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「熱源からの熱を伝導するための異方性熱伝導要素であって、 グラファイト・シートの積層体を含み、 前記グラファイト・シートの各々が、平面状であり、各グラファイト・シートによって形成される平面の方向に高い熱伝導度と、各グラファイト・シートの厚さ方向に低い熱伝導度とを有し、 前記グラファイト・シートは、前記グラファイト・シートの厚さ方向を横切って前記熱源に接触するための接触面を有し、 前記グラファイト・シートの積層体は、少なくとも部分的に樹脂で被覆され、それによって前記異方性熱伝導要素の支持部が形成され、 前記樹脂は、熱硬化性樹脂から選択された、 異方性熱伝導要素。」 <相違点> 本願補正発明の熱硬化性樹脂は「フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂」から選択されるのに対し、引用発明の熱硬化型樹脂はそのようなものに特定されていない。 <予備的な相違点> 本願補正発明は、「熱硬化性樹脂」または「熱可塑性樹脂」の一方を選択すれば足りるので、上記相違点のみを実質的な相違と認定できるが、以下の点を予備的な相違点としてあげておく。 本願補正発明が「熱可塑性樹脂」から選択され、具体的には「ポリカーボネート、ポリアミンイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン」から選択されるのに対し、引用発明はそのようなものに特定されていない。 そこで、<相違点>および<予備的な相違点>について判断する。 本願補正発明において、「フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂」(熱硬化性樹脂)や「ポリカーボネート、ポリアミンイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン」(熱可塑性樹脂)を用いることは、本願明細書の段落【0030】ないし【0032】を参酌しても、単にこれらのものを用いる旨の記載があるだけで格別な作用効果を備えているものとは認められず、上記本願明細書に記載されている樹脂(本願補正発明において特定されていない樹脂も含む。)のどれかを用いれば同様の効果が得られるものと認められる。 そうすると、具体的な樹脂の限定は格別な事項とはいえないところ、異方性熱伝導要素を少なくとも部分的に樹脂で被覆する場合、上記のような樹脂を用いることは、例えば特表2006-525660号公報(ポリイミドを選択する点。特許請求の範囲、段落【0006】を参照。)、特開平11-179830号公報(ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンを選択する点。段落【0025】を参照。)に記載されているように周知の技術事項である。 よって、引用発明の「異方性熱伝導要素を少なくとも部分的に被覆する樹脂」として周知技術を採用して相違点の構成とすることは、当業者であれば容易になし得た事項である。 したがって、本願補正発明は、引用発明および周知技術により当業者が容易になし得たものである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明および周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用例に記載された発明および周知の技術事項により容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成27年9月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし27に係る発明は、平成26年11月10日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 熱源からの熱を伝導するための異方性熱伝導要素であって、 グラファイト・シートの積層体を含み、 前記グラファイト・シートの各々が、平面状であり、各グラファイト・シートによって形成される平面の方向に高い熱伝導度と、各グラファイト・シートの厚さ方向に低い熱伝導度とを有し、 前記グラファイト・シートは、前記グラファイト・シートの厚さ方向を横切って前記熱源に接触するための接触面を有し、 前記グラファイト・シートの積層体は、少なくとも部分的に樹脂で被覆され、それによって前記異方性熱伝導要素の支持部が形成され、 前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱硬化性樹脂は、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリアミンイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン、およびこれらの組合せからなる群から選択され、 前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性のエポキシ樹脂、紫外線硬化性のシリコーン樹脂、およびこれらの組合せからなる群から選択されたものである、 異方性熱伝導要素。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びそれらの記載事項は、上記「第2 3.引用例」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、本願補正発明よりも樹脂の選択肢が広がっているものである。(熱硬化性樹脂として、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂を追加。紫外線硬化性樹脂として、紫外線硬化性のエポキシ樹脂、紫外線硬化性のシリコーン樹脂を追加。) そうすると、本願発明よりも限定した本願補正発明が、上記「第2 4.対比・判断」に記載したとおり、引用発明および周知技術により容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術により容易になし得たものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術事項により容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-07-06 |
結審通知日 | 2016-07-12 |
審決日 | 2016-07-25 |
出願番号 | 特願2012-520652(P2012-520652) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 多田 幸司、深沢 正志、田中 晃洋 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 酒井 朋広 |
発明の名称 | 異方性熱伝導要素およびその製造方法 |
代理人 | 川上 光治 |