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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1322897
審判番号 不服2015-12016  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-24 
確定日 2017-01-10 
事件の表示 特願2013-551301「基地局においてレート・ループを管理するためにユーザ機器フィードバックを容易にすること」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月 2日国際公開、WO2012/103177、平成26年 4月 3日国内公表、特表2014-508457、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、2012年1月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年1月25日、米国、2012年1月24日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年7月11日付けで拒絶理由が通知され、平成26年10月20日に手続補正がされ、平成27年2月16日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年6月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、平成27年8月14日に前置報告がなされ、平成28年3月9日に当審により拒絶理由が通知され、平成28年6月21日に手続補正がされ、平成28年8月15日に当審により最後の拒絶理由が通知され、平成28年11月11日に手続補正がされたものである。


第2 原査定の理由の概要と前置報告の内容及び当審による拒絶理由通知の概要

2-1.原査定の理由の概要

この出願については、平成26年 7月11日付け拒絶理由通知書に記載した理由(1:第29条第1項第3号及び第2項)によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書並びに手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
1. 第29条第1項第3号及び第2項
引用文献1は、競合する LTE と BT(Bluetooth)との共存に関する技術文書である。
そして、引用文献1の「LTE」、「BT」が、それぞれ、本願の「第1のRAT」、「第2のRAT」といえる。

引用文献1の3.1欄の最初の段落最終文には、FDDモード(バンド7)のLTEにとって、マスタ又はスレーブのために妨害なしのBT Rxスロットはない(For LTE in FDD mode (Band 7), there may be no BT Rx slot that is interference free for either master or slave.)ことが記載されている。
引用文献1の3.1欄の最終段落の It can be considered as a technique for in-device coexistence with appropriate mechanisms to inform eNB about the intended denials, e.g. through a feedback from the UE of the denied subframes. から、引用文献1には、拒否されたサブフレームの UE からのフィードバックを通じて、故意の拒否について eNB に知らせることが記載されている。
これらから、引用文献1には、UEがBTの受信のためにLTEのULサブフレームを拒否し、拒否されたサブフレームについてeNBにフィードバックすることが記載されているといえる。
そして、引用文献1の「UEがBTの受信のためにLTEのULサブフレームを拒否(すること)」が、本願の「ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別することと、前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否すること」といえる。
また、引用文献1の「拒否されたサブフレームについてeNBにフィードバックすること」が、本願の「担当基地局にメッセージを送信すること」であって、「前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報をレポートすること」といえる。

よって、請求項1に係る発明と引用文献1に係る発明との間に、格別の検討を要する相違点は存在しない。

請求項1-3、8-10、15-20に係る発明は、依然として、引用文献1に記載された発明と同一、又は、引用文献1-2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができた程度のものである。

2. その他
2-1. 請求項4-5、11-12に係る発明は、明確ではない。
「すべてのPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否に基づいて、パケット誤り率を計算すること」、「実際にNACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送しているPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージに対応するPHICHのフラクションに基づいて、パケット誤り率を計算すること」が、どのような計算か不明である。
また、発明の詳細な説明との対応関係が不明である。

さらに、この計算結果は利用されず、この計算を行う技術的意味が不明である。
加えて、この計算を行う主体が、UEかeNBか不明である。

2-2. 発明の詳細な説明は、請求項4-5、11-12に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
これらの請求項に係る計算に対応しそうな【0080】-【0088】に係る内容が理解できず、実施できない。
<補足>
UEとeNBのそれぞれが有している情報・観測できる情報が何か、そして、それらをUE及びeNBのそれぞれが、どのように利用するかが、不明りょうである。

引 用 文 献 等 一 覧
1.Qualcomm Incorporated,Scenarios for LTE-ISM coexistence with LTE denial based solutions,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #72-bis,2011年 1月11日,R2-110477,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_72bis/Docs/R2-110477.zip
2.Qualcomm,Short term TDM solutions for LTE and Bluetooth voice coexistence,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #71-BIS,2010年10月15日,R2-106006,URL,http://www.3gpp.org/FTP/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71bis/Docs/R2-106006.zip

2-2.前置報告書の内容

・根拠条文 第29条第2項第36条第6項第2号
・請求項 1-20
・引用文献等 1-2
・特許査定できない理由
1.第29条第2項について
請求人は請求項に係る次のメッセージが、引用文献1に記載されたものではないと主張している。
「前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報をレポートする」

上記記載に係る「前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報」について検討する。明細書には次の記載がある。
「ループ不安定を回避するために、一例では、UEは、特定の送信がなぜ拒否されたのかを説明する情報を、その他の可能な情報と同様に含む共存メッセージで、サイド情報をeNBへフィードバックしうる。」

また、特許請求の範囲には次の記載がある。
「前記情報は、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える」(請求項2)
「前記情報は、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える」(請求項3)

請求項に係る「前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報」と「特定の送信がなぜ拒否されたのかを説明する情報」([0068])とが、同一の情報であるとは理解できない。また、請求項に係る当該情報は、「前記第2のRATとの共存による拒否率」、「前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率」、「前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率」などを下位概念に有すると理解される。

引用文献1の3.1欄の最終段落「例えば、拒否されたサブフレームのUEからのフィードバックを通して、故意の拒否についてeNBに通知する適切なメカニズムを用いたデバイス内共存の技術として考えられる」は、“UEがeNBに、どのフレームが拒否されたかについて通知すること”を示唆している。そして、引用文献1が、LTEとBTとが競合する際にLTEの送受信が拒否されることに関する文献であることを考慮すると、上記示唆による通知が、請求項の「前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報」の通知といえる。

審判請求の理由を検討したが、請求項1-3、8-10、15-20に係る発明は、依然として引用文献1に記載された発明と同一、又は、引用文献1-2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができた程度のものである。

2.第36条第4項第1号及び第6項第2号について
2-1.請求項4-5、11-12に係る発明は、明確ではない。
請求項4、11に係る発明において、UEが送信するメッセージ内にPHICHの拒否率があるか不明りょうである。
請求項5、12に係る発明において、UEが送信するメッセージ内に何があるか不明りょうである。

2-2.請求項5、12に係る発明は、明確ではない。
請求項に係る次の記載が不明りょうである。
「前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに対する、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加えること」

また、この記載が、[0087]に係る式と同じ意味か不明りょうである。この記載に係る「拒否されたすべてのチャネル誤りに対する、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値」が、「α・ePHICH_Denial」([0087])に対応するように見えない。

2-3.発明の詳細な説明は、請求項5、12に係る発明について、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
これらの請求項に対応すると主張している[0087]に係る式を、実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
「フラクション(α)」の定義が不明りょうである。次の記載から定義を明確に把握できない。
「実際に拒否されたPHICHのフラクション(α)のみがNACKとしてカウントされる。このフラクション(α)は、NACKを伝送するUEによって受信されたPHICHのパーセンテージから推定されうる。」

また、このフラクションを測定・計算できるのが、UEかeNBが不明りょうである。

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<引用文献等一覧>
1.Qualcomm Incorporated,Scenarios for LTE-ISM coexistence with LTE denial based solutions,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #72-bis,2011年 1月11日,R2-110477,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_72bis/Docs/R2-110477.zip
2.Qualcomm,Short term TDM solutions for LTE and Bluetooth voice coexistence,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #71-BIS,2010年10月15日,R2-106006,URL,http://www.3gpp.org/FTP/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71bis/Docs/R2-106006.zip

2-3.当審による平成28年3月9日付けの拒絶理由

本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



・請求項1-20
請求項1には、「前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報をレポートする」との記載がある。
上記記載の「前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合により」との節は、「拒否された」を修飾しており、拒否の原因を説明したものであると文言上解釈される。
一方で、審判請求人は、審判請求書において、「引例1のこの言及は、UEがeNBに、どのフレームが拒否されたかについて通知することを示唆していますが、言及は、本願の請求項1に規定されているように「第1のRATの複数の通信と第2のRATの通信との間の潜在的な競合により」フレームが拒否されたことをeNBに通知することは含んでおりません。引例1は、故意の拒否の存在をeNBに通知することのみを議論しているのであります。引例1は、故意の拒否に対する理由をeNBに伝えることについては言及しておりません。」と説明していることから、請求項1の「メッセージ」が拒否の理由を表す情報を含んでいるとの認識を、審判請求人が持っていると理解できる(ただし、請求項の文言上からはそのような解釈はできない)。
してみると、上記記載は、以下の(ア)から(ウ)のいずれの意味であるのかが不明確となっている。請求項1と同様の記載が存在する請求項8、15及び18についても同様であり、それらの請求項の従属項である請求項2-7、9-14、16、17、19及び20についても同様である。
(ア)メッセージは、単に、第1のRATの複数の通信が拒否されたという情報を伝えるのみであって、2つのRAT間の競合は拒否の原因を説明したに過ぎず、メッセージに拒否の理由が含まれているか否かは限定されていない
(イ)メッセージは、第1のRATの複数の通信が拒否された理由が2つのRAT間の競合であるとの情報を伝える
(ウ)その他

〈付記〉上記(イ)に該当するのであれば、そのことが明確になるよう請求の範囲の記載を補正されたい。上記記載の補正案を以下に示す。
(案)前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否された情報をレポートし、上記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の潜在的な競合を理由として拒否されたことを示す情報を含む

・請求項5、12
請求項5には、「前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに対する、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加える」との記載があるが、該記載は、何の値に「PHICHのパーセンテージから推定されるフラクションを乗じ」ているのかが不明である(「拒否されたすべてのチャネル誤りに対する」との節は、「パーセンテージ」を修飾していると解釈されるので、「フラクション」を乗じる対象となる値が何なのかが不明である)。

・請求項18-20
請求項18から20には「コンピュータ・プログラム製品」との記載があるが、「コンピュータ・プログラム」と「製品」との技術的関係が不明であり、「コンピュータ・プログラム製品」という言葉によってどのような物を限定しようとしているのかが不明確である。

2-4.当審による平成28年8月15日付けの最後の拒絶理由

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項2-3について

「前記情報」が何を示しているのか不明である。

請求項9-10、16-17、19-20について

請求項2-3と同様である。


第3 平成28年11月11日付の手続補正の適否

平成28年11月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、

「【請求項1】
無線通信の方法であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別することと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否することと、
担当基地局にメッセージを送信することと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す方法。
【請求項2】
前記情報は、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報は、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージを加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記拒否しきい値を基地局から受信すること、をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無線通信のための装置であって、
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別し、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否し、
担当基地局にメッセージを送信するように構成され、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項9】
前記情報は、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記情報は、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージが加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値が加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、前記拒否しきい値を基地局から受信するように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
無線通信のための装置であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別する手段と、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否する手段と、
担当基地局にメッセージを送信する手段と、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項16】
前記情報は、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記情報は、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
無線ネットワークにおける無線通信のための非一時的プログラムコードを記憶するコンピュータ読取可能記憶媒体であって、
前記プログラムコードは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別するためのプログラム・コードと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否するためのプログラム・コードと、
担当基地局にメッセージを送信するためのプログラム・コードと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示すコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項19】
前記情報は、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項20】
前記情報は、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。」

から

「【請求項1】
無線通信の方法であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別することと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否することと、
担当基地局にメッセージを送信することと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す方法。
【請求項2】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージを加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記拒否しきい値を基地局から受信すること、をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無線通信のための装置であって、
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別し、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否し、
担当基地局にメッセージを送信するように構成され、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項9】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージが加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値が加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、前記拒否しきい値を基地局から受信するように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
無線通信のための装置であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別する手段と、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否する手段と、
担当基地局にメッセージを送信する手段と、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項16】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
無線ネットワークにおける無線通信のための非一時的プログラムコードを記憶するコンピュータ読取可能記憶媒体であって、
前記プログラムコードは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別するためのプログラム・コードと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否するためのプログラム・コードと、
担当基地局にメッセージを送信するためのプログラム・コードと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示すコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項19】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項20】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。」

と補正された。

本件補正は、平成28年8月15日付けの拒絶理由で通知した請求項2-3、9-10、16-17、19-20の「前記情報」を「前記メッセージ」と補正することにより、「前記情報」が示すものが不明瞭であったのを「前記メッセージ」とすることで示すものを明瞭にしたものである。
そうすると、本件補正は、明瞭でない記載の釈明であって拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

したがって、本件補正を認める。


第4 本願発明

4-1.本願発明

平成28年11月11日付けの補正を認めるので、本願の請求項1-20に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)である。

「【請求項1】
無線通信の方法であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別することと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否することと、
担当基地局にメッセージを送信することと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す方法。
【請求項2】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージを加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記担当基地局が、パケット誤り率を推定するために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加えること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記拒否しきい値を基地局から受信すること、をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無線通信のための装置であって、
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサとを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別し、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否し、
担当基地局にメッセージを送信するように構成され、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項9】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージが加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記担当基地局によって、パケット誤り率の推定のために、チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値が加えられる、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
拒否される通信の数は、拒否しきい値以下である、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、前記拒否しきい値を基地局から受信するように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
無線通信のための装置であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別する手段と、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否する手段と、
担当基地局にメッセージを送信する手段と、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示す装置。
【請求項16】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
無線ネットワークにおける無線通信のための非一時的プログラムコードを記憶するコンピュータ読取可能記憶媒体であって、
前記プログラムコードは、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別するためのプログラム・コードと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否するためのプログラム・コードと、
担当基地局にメッセージを送信するためのプログラム・コードと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートし、前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否されたと示すコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項19】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存による拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク・アクノレッジメント(ACK)を伝送するアップリンク制御チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、各ダウンリンク送信番号に関するダウンリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項20】
前記メッセージは、前記第2のRATとの共存によるアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第2のRATとの共存による、各アップリンク送信番号に関するアップリンク・データ・チャネルの拒否率と、前記第1のRATの通信チャンネルによる、アップリンク割当のパケット誤り率とのうちの少なくとも1つを備える、請求項18に記載のコンピュータ読取可能記憶媒体。」

である。

4-2.平成28年3月9日付けの拒絶理由について

請求項1-20に記載される「メッセージ」について、その意味するところが、「第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポート」するものであって、「前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により拒否された」と示すものであることが明確となった。

請求項5、12に記載される「フラクション」を乗じる対象について、「拒否されたすべてのチャネル誤り」であることが明確となった。

請求項18-20について、「コンピュータ読取可能記憶媒体」を請求の対象とすることにより、その対象が明確となった。

4-3.前置報告書について

請求項4、11は、「パケット誤り率を推定するために、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル)パケット誤り率に、PHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)拒否率のパーセンテージを加える」と記載することにより、UEが送信するメッセージ内にPHICHの拒否率が加えられることが明確となった。

請求項5、12は、「チャネル誤りによる誤りに、拒否されたすべてのチャネル誤りに、NACK(否定的なアクノレッジメント)を伝送するユーザ機器によって受信されたPHICH(物理HARQ(ハイブリッド自動反復要求)インジケータ・チャネル)のパーセンテージから推定されるフラクションを乗じた値を加える」と記載することにより、UEが送信するメッセージは明細書【0087】に基づいた記載であることが明確となった。

4-4.原査定の理由について

(1)特許法第29条第1項第3号及び第2項について

原査定の拒絶の理由に引用された3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #72-bis R2-110477,(17-21 Jan.2011), Qualcomm Incorporated,"Scenarios for LTE-ISM coexistence with LTE denial based solutions"(以下「引用例1」という。下線は当審が付与。)には、

「3 LTE denials for connection mode use cases
In this section, we consider the use cases of simultaneous connection on LTE and ISM technologies and discuss the advantage of autonomous UE denials. LTE with BT voice on earphone use case is discussed first followed by LTE with WiFi traffic offload use case.
3.1 LTE with BT voice connection
As explained in [3], the most used configuration in practice for BT voice is enhanced Synchronous Connection Oriented (eSCO) mode with a 6 slot interval of total length 3.75msec, and the number of packet transmissions set to three. If BT is master, the eSCO interval starts first with a transmit slot followed by a receive one. If BT is a slave, the interval starts with a receive slot followed by a transmit one. If the packet is not delivered over an eSCO interval, it is dropped and a new one is transmitted in the next interval. If BT on terminal is master, we can control the local clock to align eSCO and LTE time lines if LTE is in TDD mode (Band 40). If BT on terminal is slave, it has no control on its time line (as that is controlled by the remote master device) and hence, depending on the offset (between LTE and eSCO timelines) at a given point in time, there could be no clean Tx/Rx pair in a given eSCO interval as shown in [3]. As described in [2], it is important to consider the case of BT terminal being a slave since a role-switch to master may not always be possible (ex. older devices not supporting role-switch or the case of cars which need to remain master to serve multiple devices). For LTE in FDD mode (Band 7), there may be no BT Rx slot that is interference free for either master or slave.
A possible scenario for LTE in Band 40 (TDD) and BT slave with an arbitrary timing offset is shown in Figure 3-1. In order to provide at least one Tx and one Rx opportunity per eSCO interval for BT, some LTE subframes need to be denied. One can minimize the impact to LTE by carefully selecting the denied subframes. In the figure shown, 2 out of 9 DL subframes and 1 out of 6 UL subframes are denied, leading to 22.2% DL subframe error rate and 16.7% UL subframe error rate. Other selections of denied subframes are possible, but will likely lead to same or worse subframe errors.

3-1 LTE in Band 40 with BT Slave
For LTE in Band 7 (FDD), there is no impact on LTE DL and only LTE UL subframes need to be denied to allow at least one BT Rx opportunity per eSCO interval. The set of allowed BT Rx slots can be chosen to minimize the number of subframes denied to LTE. For instance, in Figure 3-2, 4 out of 15 UL subframes are denied, leading to 26.7% UL subframe error rate.

3-2 LTE in Band 7 with BT Slave
Though the UL denial rates in the 10-30% range look large, the performance loss due to LTE denials may actually be acceptable. It can be considered as a technique for in-device coexistence with appropriate mechanisms to inform eNB about the intended denials, e.g. through a feedback from the UE of the denied subframes. Alternatively, the eNB with knowledge of the BT configuration (i.e. knowledge that the UE is using BT in eSCO mode) may be able to learn about the denials on its own given that the denial patterns will be periodic. The eNB can then avoid scheduling the UE in those denied subframes which could eliminate any throughput loss for the UE.」
(当審訳:
3 接続モードの使用例に対するLTE拒否
このセクションでは、LTEとISM技術の同時接続の使用例を検討し、自律的なUE拒否の利点について議論する。イヤホン使用時のBT音声と一緒のLTEについて最初に議論し、続いてWiFiトラフィックオフロード使用時のLTEについて論じる。

3.1 BT音声接続と一緒のLTE
[3]で説明したように、実際にBT音声で最もよく使用される構成は、全長3.75msecの6スロット間隔でパケット送信数を3に設定した拡張同期接続指向(eSCO)モードである。BTがマスタの場合、eSCOインターバルは最初に送信スロットとそれに続く受信スロットで開始される。BTがスレーブの場合、インターバルは受信スロットとそれに続く送信スロットで開始される。パケットがeSCOインターバルで配信されない場合、パケットは廃棄され新しいパケットが次のインターバルで送信される。端末のBTがマスタの場合、LTEがTDDモード(帯域40)であれば、eSCOとLTEタイムラインを並べるようにローカルクロックを調整できる。端末のBTがスレーブの場合、(リモートマスタデバイスによって制御されるように)タイムラインは制御されないため、特定の時点における(LTEとeSCOタイムラインの間の)オフセットに応じた、[3]に示されたeSCOインターバル内のクリーンなTx/Rxペアはない。[2]で説明したように、BT端末がスレーブからマスターに役割変更することが常に可能であるわけではない(役割変更をサポートしない古いデバイスやマスターのまま複数のデバイスに対応する場合)ことを考慮することは重要。FDDモード(帯域7)のLTEの場合、マスターであってもスレーブであっても、干渉無しのBT Rxスロットが無いかもしれない。
任意のタイミングオフセットを有する帯域40(TDD)のLTEとBTスレーブの可能なシナリオが図3-1に示されている。BTに対してeSCOインターバル毎に少なくとも1つのTxとRxを提供するため、いくつかのLTEサブフレームは拒否される必要がある。拒否するサブフレームを慎重に選択することでLTEへの影響を最小限にすることが可能である。示されている図では、9DLサブフレームのうちの2つと6ULサブフレームのうちの1つが拒否されることで、22.2%のDLサブフレーム誤り率と16.7%のULサブフレーム誤り率となる。他の拒否サブフレームを選択して、サブフレーム誤り率は同じがより悪くなる可能性もある。

3-1 BTスレーブによる帯域40におけるLTE
帯域7(FDD)のLTEでは、eSCOインターバル毎に少なくとも1つのBT Rx機会を与えるため、LTE DLには影響がなく、LTE ULサブフレームだけが拒否される必要がある。許可されたBT RxスロットのセットはLTEに対する拒否されたサブフレーム数を最小にするように選択することができる。例えば、図3-2では、15ULサブフレームのうち4つが拒否されることで、26.7%のULサブフレーム誤り率となる。

3-2 BTスレーブによる帯域7におけるLTE
10-30%範囲のUL拒否率は大きく見えるが、LTE拒否によるパフォーマンスの低下は実際は許容可能である。これは、意図された拒否に関するeNBへの通知、例えばUEからの拒否サブフレームのフィードバック、をする適切な技術を備えたデバイス内共存のための技術として検討することができる。あるいは、BT構成を知っているeNBは、拒否パターンが周期的であると仮定すると、自身で拒否についてを知ることができる。eNBは、これらの拒否サブフレームにUEをスケジュールすることを避けて、UEのためのスループット損失を無くすことができる。)

の記載があるから、引用例1には、

「イヤホン使用のBT音声と一緒のLTEについて、
FDDモード(帯域7)のLTEの場合、マスターであってもスレーブであっても、干渉無しのBT Rxスロットが無く、
帯域7(FDD)のLTEでは、eSCOインターバル毎に少なくとも1つのBT Rx機会を与えるため、LTE DLには影響がなく、LTE ULサブフレームだけが拒否される必要があり、例えば、15ULサブフレームのうち4つが拒否され、
意図された拒否に関するeNBへの通知、例えばUEからの拒否サブフレームのフィードバック、をする適切な技術を備えたデバイス内共存のための技術として検討することができる
方法」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

引用発明の「eNB」と「UE」は、それぞれ、本願発明の「基地局」と「ユーザ機器」に相当する。
引用発明の「LTE」と「BT」は、それぞれ、本願発明の「第1のラジオ・アクセス技術(RAT)」と「第2のRAT」に相当する。

引用発明は、「デバイス内共存のための技術」として、BT Rx機会を与えるために、LTE ULのサブフレームが拒否され、例として15ULサブフレームのうち4つが拒否されるから、「第1のRATと第2のRATの潜在的な競合」を識別して、「第1のRATの複数のサブフレームを拒否」している。
これは、「第1のRATと第2のRATの潜在的な競合を識別」するとともに、「第2のRATの通信を可能」にするために、UEによって「第1のRATの複数の通信を自律的に拒否」しているといえる。

引用発明は、「意図された拒否に関するeNBへの通知」をするから、「担当基地局にメッセージを送信」しているといえる。

したがって、本願発明と引用発明は、

「無線通信の方法であって、
ユーザ機器の第1のラジオ・アクセス技術(RAT)の通信と、前記ユーザ機器の第2のRATの通信との間の潜在的な競合を識別することと、
前記第2のRATの通信を可能にするために、前記ユーザ機器によって、前記第1のRATの複数の通信を自律的に拒否することと、
担当基地局にメッセージを送信することと、を備え、
前記メッセージは、前記第1のRATの複数の通信が拒否されたとレポートする
方法。」

である点で一致し、下記の点で相違する。

相違点

メッセージが、本願発明は、「前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により」拒否されたと示すのに対し、引用発明は、「複数の通信が拒否された」とレポートするものの、拒否された理由について示すことが記載されていない点。

上記相違点について検討する。

引用発明には、基地局に対するレポートに「拒否の理由」を示すことは記載されておらず、また、本願の【0068】(下線は当審が付与。)に

「【0068】
ループ不安定を回避するために、一例では、UEは、特定の送信がなぜ拒否されたのかを説明する情報を、その他の可能な情報と同様に含む共存メッセージで、サイド情報をeNBへフィードバックしうる。eNBは、レート・ループを調節するために、この情報を使用しうる。一例では、このメッセージのコンテンツは、チャネル条件による送信エラーと、共存問題による送信エラーとを区別するために、eNBに関する十分な情報を含んでいる。特に、送信が、共存問題によって拒否されると、eNBは、外部レート・ループにおけるしきい値を決定する場合に、このエラーを含めないことを知るだろう。チャネル条件によってパケットが受信されない場合、eNBは、外部レート・ループを決定する場合に、この情報を含めうる。」

と記載されるように、ループ不安定を回避するためには、「特定の送信がなぜ拒否されたのかを説明する情報」が必要であって、本願発明は、外部レート・ループにおけるしきい値を決定する場合に、エラーを含めないようにするために「前記第1のRATの複数の通信が前記第1のRATの複数の通信と前記第2のRATの通信との間の前記潜在的な競合により」拒否されたと示すものである。

一方、引用発明は、ループ不安定の回避や外部レート・ループにおけるしきい値の決定について何ら記載していない。

そして、本願【0067】に

「【0067】
LTEラジオとISMラジオとの共存を促進するための1つの例では、LTEアップリンク・フレームおよび/またはLTEダウンリンク・フレームは、ISMラジオ受信および/または送信を可能にするために、自律的に拒否される。このような自律的な拒否は、この拒否が共存問題によるのか、またはチャネル問題によるのかを示さず、eNBにおけるレート・ループ不安定(RLI:rate loop instability)をもたらしうる。一般に、eNBは、送信を拒否する理由を知らないのであれば、この送信は、チャネル劣化の結果として拒否されたと仮定しうる。チャネルが悪化しているとeNBが仮定すると、割り当てられたレートが下げられ、スループット・ロスをもたらす。たとえチャネル条件が変動していなくても、割り当てられたレートは、UEの側における自律的な拒否によって、さらに減少するだろう。この持続的なプロセスによって、ループは不安定になり、究極的には、コールが途絶する。」

と記載されるように、本願発明によれば、拒否された理由を知らない場合にはループが不安定になりコールが途絶する、ということが無くなり、【0011】-【0014】に記載されるように、接続セットアップを容易にすることができるという効果が存在する。

したがって、本願発明は、引用発明と同一でなく、また引用発明より容易に発明をすることができたとはいえない。

本願の請求項8、15、18に係る発明も、本願発明と同様に、引用発明と同一でなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願の請求項2-7、9-14、16-17、19-20に係る発明も上記相違点を含むから、引用発明と同一でなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)請求項4-5、11-12について

原査定の理由ではないが、拒絶査定において「その他」として記載されている請求項4-5、11-12について検討する。

上記「第3 平成28年11月11日付の手続補正の適否」「4-2.平成28年3月9日付けの拒絶理由について」「4-3.前置報告書について」で記載したように、請求項4-5、11-12の記載は明確である。


第5 むすび

以上のとおり、本願の請求項1-20に係る発明は、いずれも、引用発明と同一でなく、また当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-19 
出願番号 特願2013-551301(P2013-551301)
審決分類 P 1 8・ 536- WY (H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 深津 始中元 淳二  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 古市 徹
吉田 隆之
発明の名称 基地局においてレート・ループを管理するためにユーザ機器フィードバックを容易にすること  
代理人 井関 守三  
代理人 福原 淑弘  
代理人 奥村 元宏  
代理人 蔵田 昌俊  

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