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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q |
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管理番号 | 1322942 |
審判番号 | 不服2015-7787 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-04-27 |
確定日 | 2016-12-12 |
事件の表示 | 特願2010- 74021「ダイヤル呼出プラン分析及びクリーンアップ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日出願公開、特開2011- 41245〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成22年3月29日(優先権主張 2009年8月13日 米国)の出願であって、原審において平成25年11月7日付けで拒絶理由が通知され、平成26年4月21日付けで手続補正がされ、さらに、同年8月11日付けで拒絶理由が通知され、同年12月6日付けで手続補正がされ、同年12月25日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成27年4月27日付けで拒絶査定不服の審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がされ、当審において平成28年1月4日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月15日付けで手続補正がされたものである。 2 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成28年3月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである。 本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「(A)データ処理システムで使用するための電話番号を用意し、前記電話番号をメモリに格納するステップと、 (X)前記メモリの所定の割合が利用されていることを検出するステップと、 (B)前記検出結果に応答して、下記のいずれかの基準 (y)前記電話番号の使用回数、 (z)任意の電話番号が削除されてから前記電話番号が使用された回数、 に基づき、前記メモリから削除すべき電話番号を識別するステップと を有することを特徴とする方法。」 (当審注:「(A)データ処理システムで使用するための電話番号を用意し、前記電話番号をメモリに格納するテップと、」の末尾の「格納するテップと、」については、「格納するステップと、」の誤記であると認め、上記のとおり認定した。) 3 引用例 (1)引用発明 当審の平成28年1月4日付け拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された特開平7-245654号公報(以下「引用例1」という。)には、「電子交換機」(発明の名称)に関して図面とともに以下の事項が記載されている。 あ.「【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は登録端末から複数の内線代表グループの登録を行うことのできる電子交換機に関する。 【0002】最近、オフィスにおける各種OA端末の普及台数が増加してきており、その中の代表的なOA端末である電話機も、一人で一台を使用するような環境になってきつつある。 【0003】このような、多数の電話機を使用しているオフィスで、各人は業務上の通話を行う相手は、ある程度限定され、優先順位がある場合が多い。また、複数の業務を担当しているような場合には、その業務の内容により、通信を行う相手のグループが異なる場合もある。 【0004】そこで、自分の電話機(以下登録端末と称する)からのダイヤル操作で、複数の内線代表グループを設定し、着信端末の着信グループおよび着信順位を発信者自身が定めることのできる電子交換機が要求されている。」(2頁右欄) い.「【0010】・着信する端末は電子交換機単位で設定されており、着信させたくない端末に着信する場合もある。 本発明は登録端末から複数の内線代表グループを設定することができ、その着信順序を指定できる電子交換機を実現しようとする。 【0011】 【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理を説明するブロック図である。図中の100は交換接続処理を制御する中央制御装置であり、200は交換処理プログラム、局データを格納しておく記憶装置であり、300は中央制御装置100の制御により指定の端末A?N相互の接続を行うネットワークである。 【0012】また、本発明では、中央制御装置100に登録端末Tからの内線代表グループ登録特番を受信し、記憶装置200内に内線代表グループを登録する内線代表登録ブロック捕捉部110を設け、記憶装置200に発呼端末Tの電話番号を登録する登録端末電話番号領域220と、複数の端末よりなる内線代表グループG1?Gnを登録する複数の内線代表グループテーブル231?23nをもつ内線代表登録ブロック210を設け、登録端末Tから内線代表グループ登録特番を送出することにより、内線代表登録ブロック210を捕捉し、登録端末電話番号領域220に登録端末Tの電話番号を登録し、内線代表グループテーブル231?23nには、内線代表グループG1?Gnを構成する任意の数の端末A?Nの電話番号を登録する。」(3頁左欄) う.「【0039】図9は本発明の実施例の局間での内線代表グループ登録のフローチャートを示す。図9では、局間にまたがって内線代表グループを登録するので、着信局側の内線代表グループテーブル230Bには登録端末が収容される電子交換機の局番と登録端末Tの電話番号が書き込まれる。さらに、一定時間(例えば、1週間、2週間等電子交換機として設定しておく)内線代表グループテーブル230Bがアクセスされない場合には、内線代表グループのデータを解除するようにしている。ここでは、一定時間を2週間とすると、内線代表グループを登録した日時から2週間先の日時を解除日時として登録しておき、解除日時を経過したときは、内線代表グループテーブル230Bのデータを解除する。 【0040】図10は本発明の実施例の局間での内線代表グループ登録解除日時更新のフローチャートを示す。図9で説明したように一定時間内線代表グループにアクセスがないと内線代表グループテーブル230Bのデータを解除する。したがって、局間で内線代表グループによる着信処理が実行された場合には、内線代表グループのデータの解除日時を、その時点からさらに2週間先の日時に更新して登録しておく。 【0041】このように、解除日時を逐次更新することにより、継続的に内線代表グループのデータがアクセスされる場合には、その内線代表グループのデータが解除されることはない。」(4頁右欄?5頁左欄) え.「【0046】また、局間でも発信局側から内線代表グループの設定を自由に行うことができ、使用されない内線代表グループのデータは自動的に削除されるので、メモリ量も節減することがてきる。」(5頁左欄) 上記摘記事項あ.?え.の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例1には、以下の技術事項が記載されている。 (あ)上記摘記事項あ.の【0001】より、引用例1には、「内線代表グループの登録を行うことのできる電子交換機」が記載されている。 (い)上記摘記事項い.の【0012】の「記憶装置200に発呼端末Tの電話番号を登録する登録端末電話番号領域220と、複数の端末よりなる内線代表グループG1?Gnを登録する複数の内線代表グループテーブル231?23nをもつ内線代表登録ブロック210を設け」と、同【0012】の「登録端末電話番号領域220に登録端末Tの電話番号を登録し、内線代表グループテーブル231?23nには、内線代表グループG1?Gnを構成する任意の数の端末A?Nの電話番号を登録する。」の各記載より、引用例1の前記「電子交換機」は、「記憶装置に、登録端末の電話番号、内線代表グループごとの任意の数の端末の電話番号を登録」するものと認められる。 (う)上記摘記事項う.の【0039】の「着信局側の内線代表グループテーブル230Bには登録端末が収容される電子交換機の局番と登録端末Tの電話番号が書き込まれる。さらに、一定時間(例えば、1週間、2週間等電子交換機として設定しておく)内線代表グループテーブル230Bがアクセスされない場合には、内線代表グループのデータを解除するようにしている。」の記載より、引用例1の前記「電子交換機」は、「内線代表グループのデータに一定時間アクセスされない場合には、前記内線代表グループのデータを解除する」ものと認められる。 以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認める。 (引用発明) 「内線代表グループの登録を行うことのできる電子交換機において、 記憶装置に、登録端末の電話番号、内線代表グループごとの任意の数の端末の電話番号を登録し、 内線代表グループのデータに一定時間アクセスされない場合には、前記内線代表グループのデータを解除する方法。」 4 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)本願発明の「データ処理システム」は、本願明細書【0012】の「一実施例では、データ処理システム100はPBXであり、これにより、或るタイプの呼出管理を提供する。」と、同【0013】の「しかし、本発明の別の実施例の形成方法及び使用方法は当業者には自明であり、例えば、データ処理システム100は、通信交換機、パケットルータ、セッション・イニシエーション・プロトコル(SIP)サーバー等のような別のタイプの呼出管理装置であることもできる。」との各記載から、PBX又はその他のタイプの呼出管理装置であると認められる。いっぽう、引用発明の「電子交換機」は、「内線代表グループの登録を行うことができる」電子交換機であって、内線を有することから、構内交換機(PBX)であるといえ、また「内線代表グループの登録」は、呼出し時のためのものであることは明らかであって、「呼出管理」をしているといえるので、引用発明の「内線代表グループの登録を行うことのできる電子交換機」は、本願発明の「データ処理システム」に相当する。 (2)引用発明の「記憶装置」は、本願発明の「メモリ」に相当することは明らかである。 また、引用発明の「記憶装置」には、「登録端末の電話番号、内線代表グループごとの任意の数の端末の電話番号を登録し」ているので、「前記電話番号をメモリに格納するステップ」を有しており、また、前記「記憶装置」が、前記電話番号の登録に先だって、「使用するための電話番号を用意し、」ていることは当然である。 (3)引用例1の前項の摘記事項え.の【0046】の「使用されない内線代表グループのデータは自動的に削除される」の記載より「解除」は「削除」と同義であると認められるので、引用発明の「内線代表グループのデータに一定時間アクセスされない場合には、前記内線代表グループのデータを解除する」ことは、内線代表グループのデータに、一定時間「一回もアクセスがない場合に」、前記内線代表グループのデータを記憶装置から削除すると解されるので、「使用回数に基づき」、削除が行われているといえる。また「内線代表グループのデータ」は、電話番号からなるものであるから、その「使用回数」は「電話番号の使用回数」であるといえ、さらに、記憶装置から削除する際には、該削除の対象となる電話番号を「識別する」ことは明らかである。 そうすると、引用発明の「内線代表グループのデータに一定時間アクセスされない場合には、前記内線代表グループのデータを解除する」は、本願発明の「下記のいずれかの基準(y)前記電話番号の使用回数、(z)任意の電話番号が削除されてから前記電話番号が使用された回数、に基づき、前記メモリから削除すべき電話番号を識別するステップ」に含まれる。 以上をまとめると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「データ処理システムで使用するための電話番号を用意し、前記電話番号をメモリに格納するステップと、 電話番号の使用回数に基づき、前記メモリから削除すべき電話番号を識別するステップとを有する方法。」 (相違点) 本願発明が「前記メモリの所定の割合が利用されていることを検出するステップ」を有し、「前記検出するステップに応答して」削除すべき電話番号を識別するのに対し、引用発明はそのような「検出ステップ」を有さず、また、削除すべき電話番号を識別するのが、「検出するステップに応答して」ではない点。 上記(相違点)について検討する。 一般的に、記憶する装置(メモリ)は、記憶容量(メモリ容量)に限界があることから、オーバーフローしてそれ以上の情報が記憶できなくなることを防ぐ目的で、「メモリの使用状態に応じて予めデータを削除すること」(以下「周知技術」という。)は周知であるが(例えば、特開平10-224461号公報(段落【0007】、【0010】、【0013】)、特開2005-110003号公報、特開平4-284772号公報(段落【0006】、【0007】、【0009】?【0011】、【0015】、【0016】)、特開平2-296443号公報(2頁右下欄))、その「メモリの使用状態」としては、メモリの残容量、空き件数の残りが少ないこと、メモリに余裕がないこと、メモリの所定の割合がすでに使っていること等、さまざまなものがふつうに考えられ、当業者が適宜選択すべきことに過ぎないところ、その中で、メモリの「所定の割合が利用されている」ことを選択することも格別なことではない。 引用発明の電子交換機も、電話番号を記憶する装置でありメモリを有するから、引用発明に、上記周知技術を単に適用することにより「メモリの所定の割合が検出されるステップ」を付加して「メモリの所定の割合が利用されていることを検出するステップ」の「検出結果」に応答して「前記メモリから削除すべき電話番号を識別する」ことは当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する作用効果も引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、周知技術を参酌することにより、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-06-20 |
結審通知日 | 2016-06-22 |
審決日 | 2016-08-01 |
出願番号 | 特願2010-74021(P2010-74021) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、角張 亜希子、佐藤 智康 |
特許庁審判長 |
新川 圭二 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 山中 実 |
発明の名称 | ダイヤル呼出プラン分析及びクリーンアップ |
代理人 | 三俣 弘文 |