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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1323037
審判番号 不服2015-21002  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-26 
確定日 2017-01-11 
事件の表示 特願2013-172093「映像符号化方法および映像復号化方法並びにその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014- 3681、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2007年1月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2006年1月9日 米国)を国際出願日とする出願である特願2008-550342号の一部を平成24年6月25日に新たな特許出願とした特願2012-141824号の一部をさらに平成25年8月22日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月26日付けで拒絶理由がなされ、これに対し、平成26年12月25日に手続補正がなされたが、平成27年7月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、27年11月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同時に手続補正がなされたものである。

第2.補正の適否
1.補正の内容
平成27年11月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年12月25日付けの手続補正による特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正前及び本件補正後の特許請求の範囲は、それぞれ以下のとおりである。(下線は、審判請求人が示した補正箇所である。)
なお、以下、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「補正前発明1」、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「補正発明1」という。

(補正前発明1)
ブロックの予測を可能にする時間的予測と視点間予測との間で選択することによってピクチャのブロックを符号化する符号器であって、前記ピクチャは、多視点映像コンテンツに対応し、同じ又は同様のシーンに対して異なる視点を有する一連のピクチャのうちの1つであり、前記ピクチャは、前記異なる視点のうちの1つを表す、前記符号器を含み、
構文要素を使用して、ブロックレベルで、前記ブロックの視点間予測の利用を示す、映像符号化装置。

(補正発明1)
ブロックの予測を可能にする時間的予測と視点間予測との間で選択することによってピクチャの第1のブロックを符号化する符号器であって、前記ピクチャは、多視点映像コンテンツに対応し、同じ又は同様のシーンに対して異なる視点を有する一連のピクチャのうちの1つであり、前記ピクチャは、前記異なる視点のうちの1つを表す、前記符号器を含み、
構文要素を使用して、ブロックレベルで、前記第1のブロックの視点間予測の利用を示し、
前記符号器は、前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する、映像符号化装置。

2.補正事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前発明1の「符号器」に関し、「前記符号器は、前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する」と追加補正する補正事項と、補正前発明1の「ブロック」を、上記補正事項にあわせて「第1ブロック」と補正する補正事項を含んでいる。本件補正は、発明特定事項である「符号器」を限定するものであって、補正前発明1と補正発明1の産業上の利用分野および解決しようとする課題は同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第17条の2第4項(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件
上述のとおり、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むことから、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正発明1
補正発明1を以下に再掲し、説明のために(A)ないし(D)の記号を当審において付与した。以下、構成A、構成B等と称することにする。

(A)ブロックの予測を可能にする時間的予測と視点間予測との間で選択することによってピクチャの第1のブロックを符号化する符号器であって、前記ピクチャは、多視点映像コンテンツに対応し、同じ又は同様のシーンに対して異なる視点を有する一連のピクチャのうちの1つであり、前記ピクチャは、前記異なる視点のうちの1つを表す、前記符号器を含み、
(B)構文要素を使用して、ブロックレベルで、前記第1のブロックの視点間予測の利用を示し、
(C)前記符号器は、前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する、
(D)映像符号化装置。

(2)引用発明
原査定の理由に引用された、特開平10-191393号公報(以下、「引用文献」という。)には「多視点画像符号化装置」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像高能率符号化において、特に動き補償および視差補償予測を用いた多視点画像の高能率符号化に関するものである。」

イ.「【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1に本発明の多視点画像符号化装置の実施の形態を示す。本実施の形態は2眼式の例であり、この画像符号化装置に入力する画像は視差のある立体画像とする。またこの立体画像はそれぞれ動画像であるものとする。
【0017】まず立体画像30を符号化する手順を図2を用いて説明する。符号化は以下の(a)?(d)の手順で行なわれる。
【0018】(a)左目用画像31の符号化…立体画像30の左目用画像31をフレーム内で符号化を行なう。
【0019】(b)右目用画像32の符号化…左目用画像31の復号画像を用いた視差補償により、右目用画像32に対してフレーム間符号化を行なう。
【0020】このときすべてのブロックに対して視差ベクトルを求めるが、通常の動き補償と同様にブロック内の誤差の総和によってブロック毎に視差補償を行なう場合と行なわない場合とに判定する。
【0021】同時にこの視差ベクトルより右目用画像32から左目用画像31の復号画像の差分をとった差分画像33を作成する。
【0022】(c)左目用画像34の符号化…左目用画像34は、前の左目用画像31の復号画像を用いた動き補償によりフレーム間符号化を行なう。
【0023】(d)右目用画像35の符号化…右目用画像35に対する符号化はブロック毎に行なわれ、図3を用いて説明する。
【0024】符号化は次の(1)から(5)の手順で行なわれる。
【0025】(1)図3の判定部100で右目用画像35に対し、右目用画像32の復号画像を用いてブロックマッチングを行なった後、その予測誤差がある閾値以下のとき動き補償を行ない、そうでなければ動き補償を行なわないように判定する。
【0026】判定部100で動き補償を行なうと判定された場合はフラグMCに1を代入し、判定部101で動きベクトルが(0,0)であると判定された場合、右目用画像35に対し、左目用画像34の復号画像を用いて視差ベクトルを求める。右目用画像35と動きベクトルが(0,0)で動き補償された右目用画像32の復号画像との差分をとり、その差分値を符号化する。
【0027】(2)判定部100で動き補償を行なわないと判定された場合はフラグMCに0を代入する。
【0028】この場合と判定部101で動きベクトルが(0,0)でないと判定された場合のどちらの場合も右目用画像35に対し、左目用画像34の復号画像を用いて視差ベクトルを求めた後、判定部102で、視差ベクトルを求めた際の予測誤差がある閾値以下であれば視差補償を行ない、そうでなければ視差補償を行なわないように判定し、視差補償を行なうと判定された場合、右目用画像35と視差補償された左目用画像34の復号画像との差分をとり、差分画像36を作成する。
【0029】判定部103で、差分画像36に対し、差分画像33を用いてブロックマッチングを行ない、その予測誤差がある閾値以下であれば動き補償を行ない、そうでなければ動き補償を行なわないように判定し、動き補償を行なうと判定された場合、差分画像36と動き補償された差分画像33との差分をとり、その差分値を符号化する。
【0030】(3)判定部103で動き補償を行わないと判定された場合、そのときの差分値を符号化する。
【0031】(4)判定部102で視差補償を行わないと判定され、かつ判定部104でフラグMCが1であると判定された場合、右目用画像35と動き補償された右目用画像32の復号画像との差分をとり、その差分値を符号化する。
【0032】(5)判定部104でフラグMCが1でないと判定された場合、右目用画像35の画素値をそのまま符号化する。
【0033】なお(1)?(5)において差分画像36を作成しなかった場合は、(1)、(2)で求めた視差ベクトルを用いて視差補償を行なった左目用画像34の復号画像と右目用画像35との差分をとり、差分画像36を作成する。
【0034】すなわち左目用画像は動き補償で符号化され、右目用画像は同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償、もしくは一つ前のフレームの右目用画像を用いた動き補償、もしくは同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償後に、一つ前のフレームの差分画像を用いた動き補償を行なうことにより符号化される。
【0035】以降(c)、(d)の手順を繰り返して符号化は行なわれる。ただし(c)、(d)の手順を繰り返して符号化するとき、予測誤差の伝搬を防ぐために(c)、(d)の手順の代わりに(a)、(b)の手順による符号化を、一定の周期で行なってもよい。」

ウ.「【0060】このとき動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ、もしくは視差補償のみを行なうことを示すフラグ、もしくは視差補償を行なった後に動き補償を行なうことを示すフラグとその動きベクトルが、可変長符号化部6に伝送され、可変長符号化される。」

エ.「【0065】本実施の形態では2眼式の立体画像の符号化について述べたが、多視点立体画像においても同様に符号化できる。」

上記ア.?エ.の記載(特に下線の記載)及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して引用文献の記載事項を検討する。

(i)引用文献には、上記ア.の段落【0001】及びイ.の段落【0016】に記載のように、動き補償および視差補償予測を用いた多視点画像の符号化を行う多視点画像符号化装置に関して記載がある。ここで、符号化は、上記イ.の段落【0023】に記載のように「ブロック毎」に行われている。
(ii)上記イ.の段落【0034】には、少なくとも、右目用画像を「同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償」により符号化するか、もしくは、右目用画像を「一つ前のフレームの右目用画像を用いた動き補償」により符号化することが記載されている
(iii)上記ウ.の段落【0060】には、少なくとも、「動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ」、もしくは、「視差補償のみを行なうことを示すフラグ」と「動きベクトル」を可変長符号化部に伝送することが記載されている。
(iv)上記エ.の段落【0065】によれば、2眼式の立体画像の符号化(すなわち、右目用画像及び左目用画像の符号化)は多視点立体画像符号化の例示であるとされている。

したがって、引用文献には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。なお、下記のとおり説明のために(a)ないし(c)の記号を当審において付与した。以下、構成a、構成b等と称することにする。

(引用発明)
(a)少なくとも、同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償により符号化するか、もしくは、一つ前のフレームの右目用画像を用いた動き補償により符号化することで右目用画像のブロックを符号化し、
(b)少なくとも、動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ、もしくは、視差補償のみを行なうことを示すフラグと動きベクトルを可変長符号化部に伝送する、
(c)多視点画像符号化装置。

(3)対比
補正発明1と引用発明と対比する。
(i)補正発明1の構成Aと引用発明の構成aの対比
引用発明の「同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償により符号化する」ことは、同時刻の右目と左目の視点のそれぞれの画像間の予測によって符号化することであるから補正発明1の「視点間予測」による符号化に相当し、また、引用発明の「一つ前のフレームの右目用画像を用いた動き補償により符号化する」ことは、明らかに補正後発明の「時間的予測」による符号化に相当する。ここで、これら2種類の「符号化」を行う引用発明の構成aは、補正発明1の「符号器」に相当する。
そして、引用発明は、「ブロック」を単位に符号化しているから、上記2種類の「符号化」が「ブロックの予測を可能にする」ことは明らかであり、上記2種類の「符号化」のいずれかにより符号化することは「選択」による符号化であるといえる。なお、符号化する対象の「ブロック」を「第1のブロック」と称呼することは任意である。
したがって、引用発明の「少なくとも、同時刻のフレームの左目用画像を用いた視差補償により符号化するか、もしくは、一つ前のフレームの右目用画像を用いた動き補償により符号化することで右目用画像のブロックを符号化」する構成は、補正発明1の「ブロックの予測を可能にする時間的予測と視点間予測との間で選択することによってピクチャの第1のブロックを符号化する符号器」に相当する。

さらに、引用発明の右目用画像について検討すれば、右目用画像は動画像におけるフレーム画像であるから「ピクチャ」であり、また、右目用画像は左目用画像と「同じ又は同様のシーンに対して異なる視点」による画像であることは自明であり、また、上記「(2)引用発明」の(iv)に記載したとおり、右目用画像は多視点画像の一例である。なお、このような多視点の上記動画像は「多視点映像コンテンツ」であるといえる。
したがって、引用発明の「右目用画像」は、補正発明1と同様に「ピクチャは、多視点映像コンテンツに対応し、同じ又は同様のシーンに対して異なる視点を有する一連のピクチャのうちの1つであり、前記ピクチャは、前記異なる視点のうちの1つを表す」ものといえる。

以上のとおりであるから、補正発明1の構成Aと引用発明の構成aは一致する。

(ii)補正発明1の構成Bと引用発明の構成bの対比
引用発明の構成bでは、「少なくとも、動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ、もしくは、視差補償のみを行なうことを示すフラグ」を可変長符号化部に送信している。ここで、「動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ」は視差補償によらない符号化が行われたことを示すフラグであり、「視差補償のみを行なうことを示すフラグ」は視差補償による符号化が行われたことを示すフラグであるといえる。そして、視差補償による符号化が補正発明1の「視点間予測」に相当することは上述したとおりである。
そして、引用発明において、フラグを、符号化する構成の後段の可変長符号化部に送信することは、符号化する構成が「視点間予測」の「利用」を後段の構成に対して「示す」ものであることは明らかである。

したがって、引用発明の構成bと補正発明1の構成Bとは、「特定の情報を使用して、ブロックレベルで、前記第1のブロックの視点間予測の利用を示す」点で共通し、補正発明1では上記「特定の情報」が「構文要素」であるのに対し、引用発明では「フラグ」である点で相違する。

(iii)補正発明1の構成Cと引用発明の構成bの対比
引用発明では、符号化する構成が「動きベクトル」を可変長符号化部に送信しているものの、補正発明1のように「前記符号器は、前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する」ものではない。

(iv)補正発明1の構成Dと引用発明の構成cの対比
引用発明の「多視点画像符号化装置」は、明らかに補正発明1の「映像符号化装置」に相当する。

(v)まとめ
上記(i)ないし(iv)で検討したとおりであるから、補正発明1と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

[一致点]
ブロックの予測を可能にする時間的予測と視点間予測との間で選択することによってピクチャの第1のブロックを符号化する符号器であって、前記ピクチャは、多視点映像コンテンツに対応し、同じ又は同様のシーンに対して異なる視点を有する一連のピクチャのうちの1つであり、前記ピクチャは、前記異なる視点のうちの1つを表す、前記符号器を含み、
特定の情報を使用して、ブロックレベルで、前記第1のブロックの視点間予測の利用を示す、
映像符号化装置。

[相違点]
(相違点1)ブロックレベルで、第1のブロックの視点間予測の利用を示す「特定の情報」に関し、補正発明1では「構文要素」であるに対し、引用発明では「フラグ」である点。
(相違点2)補正発明1の符号器は、「前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する」構成を有するのに対し、引用発明では、そのような構成を有さない点。

(4)当審の判断
(4-1)相違点1について
上記(相違点1)について検討する。
符号化する構成において行われた符号化に関する情報を、符号化装置における後段の構成や復号装置に対して示すにあたり、「フラグ」を利用することも、「構文要素」を利用することも両者ともに符号化技術における常套手段である。
当業者であれば、引用発明の「フラグ」に替えて、「構文要素」を使用して、ブロックレベルで、前記第1のブロックの視点間予測の利用を示すことは、適宜為し得るものである。

(4-2)相違点2について
上記相違点(2)について検討する。
補正発明1の符号器は、相違点2に係る「前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する」構成を有するとしている。ここで、本構成に関して、本願の出願当初の明細書及び図面には、以下の記載がある。(下線は当審で付したものである。)
「【0078】
第1の方法では、各ブロックに対して、動きベクトル又は視差ベクトルを送って格納するが、両方を送って格納しない。動きベクトル又は視差ベクトルのどちらかが、構文mvc_pred_flagに応じて送られ、格納される。これは、必要となる記憶装置は少なくなるが、結合されたベクトル場は整合性がない。」
「【0080】
第1の方法の例示的実施形態について、図5と関連して示して説明する。第2の方法の例示的実施形態について、図6と関連して示して説明する。
【0081】
図5は、本発明の一実施形態により、多視点映像コンテンツに対応する同じスライスに対して動きベクトル及び視差ベクトルを処理する例示的方法を示す流れ図で、全体として参照符号500で、多視点映像コンテンツに対応する同じスライスに動きベクトル及び視差ベクトルを処理する例示的方法が示されている。この方法500は、判定ブロック510へ制御を渡す開始ブロック505を含んでいる。判定ブロック510は、mvc_pred_flagが0に等しいかどうかを判定する。そうである場合、制御は機能ブロック515へ渡される。そうでない場合には、制御は判定ブロック520へ渡される。機能ブロック515は、視差ベクトル予測子を形成し、視差ベクトルDVを処理し、視差ベクトルDVをVectorBufferに格納し、終了ブロック525へ制御を渡す。
【0082】
機能ブロック520は、動きベクトル予測子を形成し、動きベクトルMVを処理し、動きベクトルMVをVectorBufferに格納し、終了ブロック525へ制御を渡す。」




上述の明細書及び図面の記載によれば、本願では、各ブロックに対して、時間的予測または視点間予測を行った際、時間的予測であれば「動きベクトル」を、また、視点間予測であれば「視差ベクトル」を、同一のVectorBufferに格納することが開示されており、両ベクトルは、各ブロックの構文mvc_pred_flagが0に等しいかどうかで区別されている。この構成を、補正発明1では「前記第1のブロックについての視差ベクトルと第2のブロックについての動きベクトルを、単一のベクトル場で併用する」と表現していると認められる。

これに対し、引用発明は、「少なくとも、動き補償部14から動き補償のみを行なうことを示すフラグ、もしくは、視差補償のみを行なうことを示すフラグと動きベクトルを可変長符号化部に伝送する」構成を有しており、動き補償による予測(時間的予測)、視差補償による予測(視点間予測)を区別するフラグが存在し、また、各ブロックにおける動きベクトルは符号化情報として用いられている。また、引用文献には、符号化情報として視差ベクトルも用いられることが記載されている。
しかしながら、各ブロックにおける動きベクトルと視差ベクトルを併用した情報と為し、上記フラグに応じて区別するような構成については引用文献に記載も示唆もなく、当業者にとって容易に想到し得る構成とはいえない。また、この相違点2に係る構成は、原審の拒絶理由通知において引用された引用文献2(米国特許出願公開第2003/0202592号明細書)にも開示されておらず、また、当業者において周知の構成であるともいえない。

以上のとおりであるから、補正発明1は引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、他に、補正発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができないというべき理由も発見しない。

したがって、補正発明1は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

4.むすび
本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。

第3.本願発明について
本件補正は上記のとおり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-20 
出願番号 特願2013-172093(P2013-172093)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 堀井 啓明長谷川 素直  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡邊 聡
藤井 浩
発明の名称 映像符号化方法および映像復号化方法並びにその装置  
代理人 倉持 誠  
代理人 吹田 礼子  

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