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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
管理番号 1323056
審判番号 不服2015-7059  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-15 
確定日 2016-12-22 
事件の表示 特願2011- 29902「金属調印刷物の印刷方法及び金属調印刷物」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月 6日出願公開、特開2012-166470〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成23年2月15日を出願日とする出願であって、平成26年2月3日、同年5月7日付けで手続補正書が提出され、平成27年1月9日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年4月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において平成28年2月2日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年4月11日付けで手続補正書が提出され、更に当審において、同年5月16日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年7月19日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.本願の発明
本願の請求項1に係る発明は、前記の平成28年7月19日付けの手続補正後の明細書、特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。

【請求項1】
溶剤を含有するソルベントインクに鱗片状の金属粒子を分散させたメタリックインクを、平滑な印刷面を有する光透過性の印刷媒体にインクジェット印刷装置により印刷する印刷工程と、
その後、前記印刷工程により印刷されたインク滴に含まれる前記溶剤を揮発させて、前記金属粒子を前記印刷面側に堆積させた金属層を含むメタリックインク層を形成するように乾燥される乾燥工程と、を有することを特徴とする金属調印刷物の印刷方法。

3.引用例

(1)当審の平成28年5月16日付けの拒絶理由通知で引用された本願の出願日前の平成17年12月22日に頒布された刊行物である特開2005-349778号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は、審決で付した。以下同じ)。

ア.「【0016】
(実施形態1)
以下、図1?図5を参照して、この発明の加飾方法および加飾部材の実施形態1について説明する。この実施形態1では、加飾方法を説明しながら加飾部材についても説明する。
まず、図1に示すように、ベースフィルム1の上面にメタリック層2を形成する。このメタリック層2は、図2に示すように、アルミニウムなどの金属箔の小片からなる金属材3が顔料として含有された流動性を有するメタリックインク4からなる。このメタリックインク4は、ベースフィルム1の上面に印刷されると、メタリックインク4中の金属材3のうち、特にベースフィルム1の上面に接触する金属材3がベースフィルム1の上面に平行に配列される。また、ベースフィルム1は、メタリックインク4がのりにくいシリコーンやフッ素などの合成樹脂で形成され、離形紙としての機能を有している。
【0017】
この後、図3に示すように、メタリック層2の上面に接着剤を塗布して接着層5を形成する。これにより、ベースフィルム1の上面にメタリック層2と接着層5とが積層された加飾用転写フィルム6が形成される。この加飾用転写フィルム6は、それ自体が商品として取り扱われる加飾部材として用いることができる。
【0018】
そして、図4に示すように、加飾用転写フィルム6を上下反転させ、この状態で加飾用転写フィルム6の接着層5を加飾面である液晶表示素子の上面、つまり液晶表示素子の上側の透明基板7の上面に設けられた上側偏光板8の上面に加圧して接着する。このときに、メタリックインク4中の金属材3がベースフィルム1の表面(図4では下面)に沿って連続的に整列される。この後、図5に示すように、ベースフィルム1を剥離すると、加飾面である上側偏光板8の上面にメタリック層2が接着層5によって転写される。この場合、メタリック層2は、上側偏光板8の上面における液晶表示素子の表示領域を除いた部分に設けられ、液晶表示素子に表示された情報が外部から見るようになっている。
【0019】
このように、この加飾方法によれば、メタリックインク4中の金属材3をベースフィルム1の表面(図4では下面)に連続的に整列させた状態で、メタリック層2を加飾面である上側偏光板8の上面に接着層5によって設けることができる。このため、金属材3を含有するメタリックインク4を用いても、加飾面である上側偏光板8の上面に設けられたメタリック層2の金属材3がベースフィルム1の面方向に連続的に整列された状態で、ベースフィルム1が剥離されるので、このメタリック層2によって金属調の鏡面光沢を得ることができる。」

イ.図2は次のものである。

ウ.「【0035】
また、上記実施形態1?4およびその各変形例では、メタリックインク4に含有させる金属材3としてアルミニウムを用いたがアルミニウムに限らず、銀、クロム、ニッケル、スズ、亜鉛、鉛、パラジウム、ロジウム等であっても良い。更に、上記実施形態1?4およびその各変形例では、加飾部材である加飾用転写フィルム6、12、22、31を加飾面に接着させた後、ベースフィルム1を剥離しているが、これに限らず、例えばベースフィルムを透明な合成樹脂で形成すれば、加飾用転写フィルム6、12、22、31を加飾面に接着させた状態で、ベースフィルムを剥離しなくても、このベースフィルムを通してメタリック層2を視認することができ、これにより金属調の鏡面光沢を得ることができるほか、このベースフィルムをメタリック層2の保護膜としても使用することができる。」

前記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「透明な合成樹脂で形成したベースフィルム1の上面にメタリック層2を形成し、このメタリック層2は、金属箔の小片からなる金属材3が顔料として含有された流動性を有するメタリックインク4からなり、このメタリックインク4は、ベースフィルム1の上面に印刷されると、メタリックインク4中の金属材3のうち、特にベースフィルム1の上面に接触する金属材3がベースフィルム1の上面に平行に配列され、メタリック層2の上面に接着剤を塗布して接着層5を形成し、ベースフィルム1の上面にメタリック層2と接着層5とが積層された加飾用転写フィルム6が形成され、加飾用転写フィルム6を上下反転させ、この状態で加飾用転写フィルム6の接着層5を加飾面に加圧して接着し、加飾面である上側偏光板8の上面にメタリック層2が接着層5によって転写され、加飾面である上側偏光板8の上面に設けられたメタリック層2の金属材3がベースフィルム1の面方向に連続的に整列された状態で、ベースフィルム1が剥離されるので、このメタリック層2によって金属調の鏡面光沢を得ることができる、加飾方法。」

(2)前記の平成28年5月16日付けの拒絶理由通知で引用された本願の出願日前の平成20年7月31日に頒布された刊行物である特開2008-174712号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0006】
本発明は、比較的安価な金属材料としてアルミニウムに着目し、高い金属鏡面光沢を有する顔料分散液、インク組成物、記録装置、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び記録物を提供することを目的とする。
また、本発明は、金属顔料濃度の異なるインク組成物を含むインクセットを構成することにより、印刷物上に異なる金属光沢を有する塗膜を形成することが可能なインクセットを提供することを目的とする。」

イ.「【0017】
前記メタリック顔料は、コストの観点及び金属光沢を確保する観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加されうる別の金属元素または非金属元素としては、金属光沢を有する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。」

ウ.「【0020】
前記メタリック顔料(平板状粒子)の粒度分布(CV値)は、下記の式で求められる。
[式1]
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100」

エ.「【0047】
[インク組成物]
本実施形態のインク組成物は、上述したメタリック顔料と、有機溶剤と、樹脂と、を含有するものである。」

オ.「【0102】
一方、前記記録媒体がインク受容層を有していない場合は、乾燥速度を高め、高光沢が得られるという観点から、前記記録媒体を加熱して印刷することが好ましい。
【0103】
加熱は、記録媒体に熱源を接触させて加熱する方法、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長を持つ電磁波)などを照射し、または熱風を吹き付けるなど記録媒体に接触させずに加熱する方法などが挙げられる。
【0104】
前記加熱は、印刷する前及び/又は印刷と同時に及び/又は印刷した後に行うことが好ましい。換言すれば、前記記録媒体の加熱は、印刷の前に行っても、同時に行っても、後に行ってもよく、印刷を行っている間を通して加熱してもよい。加熱温度は記録媒体の種類によるが、30から80℃が好ましく、40?60℃がより好ましい。」

前記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「メタリック顔料(平板状粒子)は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、インク組成物は、上述したメタリック顔料と、有機溶剤と、樹脂と、を含有し、乾燥速度を高めるために、記録媒体を加熱することを、印刷した後に行う、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法。」

4.対比

本願発明と引用発明1とを対比すると、

・後者の「透明な合成樹脂で形成したベースフィルム1」は、前者の「光透過性の印刷媒体」に相当し、以下同様に、「メタリック層2」は「メタリックインク層」に、「金属箔の小片からなる金属材3」は「鱗片状の金属粒子」に、「メタリックインク4」は、「メタリックインク」に、「ベースフィルム1の上面」は「印刷面」に、「加飾用転写フィルム6」は「金属調印刷物」に相当する。

・後者の「メタリックインク4」は、金属箔の小片からなる金属材3(鱗片状の金属粒子)が顔料として含有されているから、金属材3が分散されているといえる。

・後者は、「加飾面である上側偏光板8」に「メタリック層2が接着層5によって転写され」る「加飾方法」であるが、「ベースフィルム1」(印刷媒体)に「メタリックインク4」(メタリックインク)を「印刷」して「加飾用転写フィルム6」(金属調印刷物)を形成するものでもあるので、「印刷工程」と「金属調印刷物の印刷方法」を包含しているといえる。

したがって、両者は、

「鱗片状の金属粒子を分散させたメタリックインクを、印刷面を有する光透過性の印刷媒体に印刷する印刷工程と、有する金属調印刷物の印刷方法。」

の点で一致し、以下の相違点1ないし5で相違している。

相違点1:本願発明は、「溶剤を含有するソルベントインクに鱗片状の金属粒子を分散させたメタリックインク」により、印刷されるのに対して、引用発明1は、金属箔の小片からなる金属材3(鱗片状の金属粒子)が分散されるのが,「溶剤を含有するソルベントインク」なのか否か明らかでない点。

相違点2:本願発明の印刷媒体は、「平滑な印刷面」であるに対して、引用発明1の「ベースフィルム1の上面」は、平滑であるのか否か明らかでない点。

相違点3:本願発明は、「インクジェット印刷装置により印刷する」のに対して、引用発明1は印刷するものであるが、インクジェット印刷装置を使用するか否か明らかでない点。

相違点4:本願発明は、「印刷工程により印刷されたインク滴」を含むのに対して、引用発明1の「印刷される・・・メタリックインク4」は、インク滴か否か明らかでない点。

相違点5:本願発明は、「インク滴に含まれる前記溶剤を揮発させて、前記金属粒子を前記印刷面側に堆積させた金属層を含むメタリックインク層を形成するように乾燥される乾燥工程」を含むのに対して、引用発明1は「乾燥工程」を含むのか否か、引用発明1の「金属材3」(金属粒子)は「ベースフィルム1の上面」(印刷面)側に堆積されるのか否か明らかでない点。

5.判断

前記の各相違点について検討する。

(1)相違点1について
本願発明の「ソルベントインク」について、本願明細書発明の詳細な説明をみると、「本実施形態で用いる溶媒に金属粒子を分散させたメタリックインクを例示すると以下の通りである。一例としてインクジェット印刷用のインクとして溶剤を含むソルベントタイプのソルベントインクが用いられる。インク成分としては、例えば主溶剤としてPnb(ポリプロピレングリコールノルマルブルエーテル);80?95重量%、他溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)、酢酸エチルや酢酸プロピル等;1重量%未満?20重量%、金属粒子として顔料;アルミペースト(若しくはアルミニウム合金)1重量%未満?5重量%、バインダーとして合成樹脂(ニトロセルロースほか)1重量%未満を含むものが用いられる。」(段落【0019】)、「上述した実施形態では、メタリックインクの一例として溶剤を含有するソルベントインクを用いた・・・」(段落【0031】)と記載されていることや、一般に、solvent(ソルベント)とは溶剤、溶媒の意味(研究社、新英和大辞典、第6版第1刷、2002年3月)なので、前記「ソルベントインク」は溶剤、溶媒を含むインクであると解釈される。
これに対して、引用発明1の「メタリックインク4」は「流動性を有する」ものであるので、一般的なインクと同様に溶剤を含むものと解されるから、「ソルベントインク」であるといえる。
よって、後者の前記「メタリックインク4」と前者の前記「メタリックインク」は、溶剤に鱗片状の金属粒子を分散させたソルベントインクという点で差異はないので、相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
引用発明1の「ベースフィルム1の上面に印刷されると、メタリックインク4中の金属材3のうち、特にベースフィルム1の上面に接触する金属材3がベースフィルム1の上面に平行に配列され」ることや、「金属材3がベースフィルム1の面方向に連続的に整列された状態で、ベースフィルム1が剥離されるので、このメタリック層2によって金属調の鏡面光沢を得ることができ」ることからみて、ベースフィルム1のメタリック層2が設けられる上面(印刷面)は、金属調の鏡面光沢が得られるほど平滑といえるから、引用発明1の前記「ベースフィルム1」は平滑な印刷面を有するといえる。
よって、相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)相違点3、4について
引用発明2は、アルミニウム又はアルミニウム合金(金属)のメタリック顔料(平板状粒子)をインクジェットによって印刷するインクジェット記録方法であるので、インクジェット印刷装置を使用することは自明である。
してみると、引用発明2には、前記相違点3に係る本願発明の発明特定事項が示されている。
また、インクジェット印刷装置はインク滴を飛ばして印刷をおこなうものであるから、引用発明2には前記相違点4に係る本願発明の発明特定事項が示されている。
そして、引用発明1と引用発明2とは、メタリック印刷という共通の技術分野に属し、一般にインクジェット印刷装置による印刷は、印刷方法として、常とう手段といえるものであるから、引用発明1において、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1に引用発明2を適用して、相違点3及び4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(4)相違点5について
引用発明1は、流動性を有するメタリックインクを印刷するものであり、印刷後、加飾用転写フィルム6を使用する際に、当然メタリックインクを乾燥させて流動性がない状態で使用するものであるから、印刷後にメタリックインクを乾燥させていると解される。
また、引用発明2は、乾燥速度を高めるために、記録媒体を加熱することを、印刷した後に行うものであり、前記(3)で検討したとおり、引用発明1において、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、引用発明1は、メタリックインク4は、ベースフィルム1の上面に印刷されると、メタリックインク4中の金属材3のうち、特にベースフィルム1の上面に接触する金属材3がベースフィルム1の上面に平行に配列されるものであり、前記図2をみると、金属材3がベースフィルム1の上面に堆積しているのがみてとれる。
したがって、引用発明1に引用発明2を適用して、相違点5に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5)そして、本願発明の全体の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、2から当業者が予測し得る範囲内のものである。

6.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-18 
結審通知日 2016-10-25 
審決日 2016-11-09 
出願番号 特願2011-29902(P2011-29902)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (B41M)
P 1 8・ 121- WZ (B41M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 亀田 宏之  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 金属調印刷物の印刷方法及び金属調印刷物  
代理人 堀米 和春  
代理人 傳田 正彦  
代理人 岡村 隆志  
代理人 平井 善博  
代理人 綿貫 隆夫  
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