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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01L
管理番号 1323103
審判番号 不服2015-22828  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-25 
確定日 2016-12-21 
事件の表示 特願2011-250903「フィルムセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-104847〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月16日の出願であって、平成27年5月20付けの拒絶理由通知に対して平成27年7月14日付けで意見書の提出がなされたが、平成27年10月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年12月25日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、当審における平成28年6月30日付けの拒絶理由通知に対して、平成28年9月1日付けで手続補正がなされ、同日付で意見書の提出がなされたものである。

第2 本願発明
1 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成28年9月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
偏光フィルムと、帯電防止層と、静電容量センサとが順に積層されてなり、
前記静電容量センサは、透明フィルムと、前記透明フィルムの一方の側に形成された透明電極パターンと、前記透明電極パターンを埋設するように前記透明フィルムの一方の側に形成された接着層とを有し、
前記透明フィルムは、前記帯電防止層と前記透明電極パターンとの間に配置され、前記帯電防止層の表面抵抗値は、2.0×10^(9)?8.0×10^(10)Ω/□であり、
前記帯電防止層が前記接着層と接触せず、前記帯電防止層に含まれる帯電防止剤の前記接着層への拡散が防止されることを特徴とするフィルムセンサ。」

2 当審の拒絶理由の概要
当審において平成28年6月30日付けで通知した拒絶理由の概要は、本願の請求項1ないし5に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された、特開2010-277461号公報(平成22年12月9日公開、以下「引用例1」という。)、特開2011-173984号公報(平成23年9月8日公開、以下「引用例2」という。」) に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3 引用例及びその記載事項
(1)引用例1の記載(下線は、当審で付した。)

a「【0022】
<第1の実施の形態>
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示装置1の断面構成の一例を表すものである。液晶表示装置1は、タッチセンサ付きの液晶表示装置であり、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、この液晶表示素子の表面に静電容量型のタッチセンサを液晶表示素子とは別体で備えている。」

b「【0037】
透明基板21,24は、可視光に対して透明な基板、例えば、光透過性の樹脂フィルムからなる。走査電極22、検出電極25およびシールド電極26は、可視光に対して透明な材料、例えばITOからなる。」

c「【0039】
検出電極25は、上記の容量素子における他方の電極に相当するものであり、検出線DET(図4参照)と電気的に接続されている。検出電極25は、例えば、透明基板24の表面に接して形成されている。複数の検出電極25は、例えば、列方向に延在する帯状の形状となっており、互いに並列に配置されている。各検出電極25は、例えば、各共通電極113および各走査電極22の延在方向と直交する方向に延在している。各検出電極25の一端には、周辺回路40と接続する接続パッド25Aが形成されている。各接続パッド25Aは、透明基板24の表面のうち共通する一の辺の近傍に寄せて配置されていることが好ましいが、必要に応じて、透明基板24の表面のうち複数の辺の近傍に分散して配置されていてもよい。例えば、図10に示したように、各接続パッド25Aが、透明基板24の表面のうち互いに対応する2つ辺の近傍に配置されていてもよい。」

d「【0063】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置2について説明する。なお、以下では、上記実施の形態の液晶表示装置1と共通する構成については、同一符号が付されている。
【0064】
本実施の形態の液晶表示装置2は、上記実施の形態と同様、タッチセンサ付きの液晶表示装置である。この液晶表示装置2は、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、静電容量型のタッチセンサを液晶表示素子の内部に備えている。つまり、この液晶表示装置2は、タッチセンサ内蔵型(インセル型)の液晶表示素子を備えている。液晶表示装置1(当審注:2の誤記)は、例えば、図13に示したように、液晶表示パネル60、バックライト30および周辺回路40を備えている。」

e「【0066】
液晶表示パネル60は、例えば、図14に示したように、液晶層130と、液晶層130を挟んで互いに対向配置された光入射側基板110および光射出側基板140とを有している。光入射側基板110は、液晶表示パネル60においてバックライト30からの光が入射する側(バックライト30側)に配置された透明基板である。光入射側基板110の内部構成は、上記実施の形態と同様である。一方、光射出側基板140は、液晶表示パネル60において液晶層130で変調された光が射出される側(観察者側)に配置された透明基板である。光射出側基板140は、例えば、液晶層130側から順に、配向膜121と、カラーフィルタ122と、透明基板123と、接着層27と、検出電極25およびシールド電極26と、透明基板24と、偏光板124とを有している。上記実施の形態と同様、検出電極25およびシールド電極26は同一層内に形成されており、かつ検出電極25の周囲に、シールド電極26が設けられている。」

f「【0068】
なお、上記の図17は、液晶表示パネル60の上面構成の一例を表したものである。また、図18は、図14の液晶表示パネル60のうち静電容量型のタッチセンサの電極に対応する部分を主に抜き出したものである。
【0069】
液晶表示パネル60は、例えば、図14、図17、図18に示したように、共通電極113を静電容量型のタッチセンサの一方の電極として有しており、上記実施の形態の走査電極22を有していない。また、液晶表示パネル60は、上記実施の形態と同様、検出電極25を静電容量型のタッチセンサの他方の電極として有している。さらに、液晶表示パネル60は、例えば、図14に示したように、絶縁層114、配向膜116、液晶層130、配向膜121、カラーフィルタ122、透明基板123および接着層27を、静電容量型のタッチセンサの誘電体として有している。なお、液晶表示パネル60において、静電容量型のタッチセンサの一対の電極に挟まれる誘電体は、上記と異なる構成となっていてもよい。
【0070】
本実施の形態では、共通電極113は、上記実施の形態の走査電極22を兼ねており、共通接続線COMと電気的に接続されている。共通電極113は、例えば、透明基板112の表面に接して形成されている。複数の共通電極113は、例えば、行方向に延在する帯状の形状となっており、互いに並列に配置されている。各共通電極113の一端には、周辺回路40と接続する接続パッド113Aが形成されている(図18参照)。なお、検出電極25およびシールド電極26については、上記実施の形態と同様の構成となっている。」

g 図14には、検出電極25が、透明基板24の一方の側に形成され、接着層27に埋設されていることが示されている。

ア 段落【0064】の記載から、引用例1には、「タッチセンサ付きの液晶表示装置であって、この液晶表示装置2は、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、静電容量型のタッチセンサを液晶表示素子の内部に備えており、液晶表示装置2は、液晶表示パネル60を備えている」ことが記載されている。

イ 段落【0066】の記載から、引用例1には、「液晶表示パネル60は、液晶層130と、光射出側基板140とを有し、光射出側基板140は、液晶層130側から順に、配向膜121と、カラーフィルタ122と、透明基板123と、接着層27と、検出電極25と、透明基板24と、偏光板124とを有している」ことが記載されている。

エ 第2の実施の形態である図14には、「透明基板24」が示されているところ、段落【0063】に「<第2の実施の形態> 次に、本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置2について説明する。なお、以下では、上記実施の形態の液晶表示装置1と共通する構成については、同一符号が付されている」と記載されていることから、第1の実施形態(段落【0022】)として記載されている、段落【0037】を見ると「透明基板21,24は、・・・光透過性の樹脂フィルムからなる。」と記載されているので、引用例1には、「透明基板24は、光透過性の樹脂フィルムである」ことが記載されているということができる。

オ 第2の実施の形態である図14には、「検出電極25」が示されているところ、上記エと同様に、第1の実施形態(段落【0022】)として記載されている、段落【0037】には「検出電極25・・・は、可視光に対して透明な材料、例えばITOからなる。」と、また、段落【0039】には「複数の検出電極25は、例えば、列方向に延在する帯状の形状となっており、互いに並列に配置されている。」と記載されているので、引用例1には、「検出電極25は透明なITOが、帯状の形状となっており、互いに並列に配置されている」ことが記載されているということができる。

カ 上記gから、引用例1には、「検出電極25が、透明基板24の一方の側に形成され、接着層27に埋設されている」ことが記載されている。

キ 段落【0069】の記載から、引用例1には、「液晶表示パネル60は、共通電極113を静電容量型のタッチセンサの一方の電極として有しており、検出電極25を静電容量型のタッチセンサの他方の電極として有しており、絶縁層114、配向膜116、液晶層130、配向膜121、カラーフィルタ122、透明基板123および接着層27を、静電容量型のタッチセンサの誘電体として有している」ことが記載されている。

したがって、上記引用例に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしキを総合すると、引用例1には、次の事項が記載されている(以下、「引用発明」という。)
「タッチセンサ付きの液晶表示装置であって、この液晶表示装置2は、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、静電容量型のタッチセンサを液晶表示素子の内部に備えており、液晶表示装置2は、液晶表示パネル60を備えており、
液晶表示パネル60は、液晶層130と、光射出側基板140とを有し、光射出側基板140は、液晶層130側から順に、配向膜121と、カラーフィルタ122と、透明基板123と、接着層27と、検出電極25と、透明基板24と、偏光板124とを有し、
透明基板24は、光透過性の樹脂フィルムであり、
検出電極25は透明なITOが、帯状の形状となっており、互いに並列に配置されており、
検出電極25が、透明基板24の一方の側に形成され、接着層27に埋設されて、
液晶表示パネル60は、共通電極113を静電容量型のタッチセンサの一方の電極として有しており、検出電極25を静電容量型のタッチセンサの他方の電極として有しており、絶縁層114、配向膜116、液晶層130、配向膜121、カラーフィルタ122、透明基板123および接着層27を、静電容量型のタッチセンサの誘電体として有しているタッチセンサ付きの液晶表示装置。」

(2)引用例2の記載(下線は、当審で付した。)

h「【0003】
しかしながら、偏光板を液晶セルに対して貼合するのは、一般に、偏光板の粘着剤層に積層されている剥離フィルムを剥離した直後であるが、このとき、静電気が発生しやすく、偏光板側にも帯電してしまうため、かかる静電気による液晶表示装置への悪影響が問題となっていた。
より具体的には、静電気の発生により、偏光板表面にゴミが付着しやすくなったり、液晶配向に乱れが生じやすくなったり、周辺回路素子の静電破壊が生じやすくなったりするという問題が見られた。
また、同様に、一度、液晶セルに対して貼合した偏光板を、貼合ミス等の理由により貼り替えする場合にも、静電気が発生しやすいという問題が見られた。」

i「【0023】
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、基材が、光学フィルム基材であるとともに、当該光学フィルム基材の少なくとも一方に、粘着剤層を備えることが好ましい。
このように構成することにより、光学フィルム基材を有する粘着シートを剥離フィルムから剥離した際に、静電気の発生を効果的に抑制することができる一方で、粘着力に優れるとともに、所定環境下における耐久性にも優れた光学フィルム基材を有する粘着シートを得ることができる。
なお、本発明においては、剥離フィルムも基材の一種として定義されるが、光学フィルム基材等との混同を防ぐ観点から、光学フィルム基材等を「基材」と称する一方で、剥離フィルムについては、敢えて「基材」と称せず、単に剥離フィルムと称する場合がある。」

j「【0067】
(1).工程(1)(粘着剤組成物の準備工程)
工程(1)は、(A)成分としての、所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、(B)成分としての帯電防止剤であるカリウム/フッ素含有スルホニルイミド塩0.05?15重量部と、(C)成分としての光硬化成分と、を含む粘着剤組成物を準備する工程である。
より具体的には、例えば、酢酸エチル等の溶媒中に、撹拌下、所定のカリウム/フッ素含有スルホニルイミド塩を添加し、(B)成分の分散液を調製することが好ましい。
次いで、(A)成分を所望により希釈溶剤で希釈し、撹拌下、得られた(B)成分の分散液を滴下して、均一な混合液とすることが好ましい。
続いて、得られた混合液に対し、(C)成分、(D)成分および分散助剤等のその他の添加剤を添加した後、均一になるまで撹拌しつつ、所望の粘度になるように、必要に応じて希釈溶剤をさらに加えることにより、粘着剤組成物の溶液を得ることが好ましい。」

k「【0070】
(3)工程(3)(塗布層の硬化工程)
工程(3)は、粘着剤組成物の塗布層を光硬化させて、粘着剤層とする工程である。
すなわち、図1(b)に示すように、剥離フィルム2上で乾燥させた状態の塗布層1の表面に対し、光学フィルム基材等の基材101を積層させた状態で硬化させて、粘着剤層10とすることが好ましい。
以下、光硬化工程と、シーズニング工程と、に分けて説明する。
【0071】
(3)-1 光硬化工程
光硬化工程は、粘着剤組成物に含まれる光硬化成分、例えば、多官能(メタ)アクリレート系モノマー等を硬化させる工程である。
より具体的には、図1(c)に示すように、活性エネルギー線を照射し、剥離フィルム2に対して塗布された塗布層1を光硬化し、粘着剤層10とする工程である。
そして、活性エネルギー線の照射は、粘着剤組成物を剥離フィルム上に塗布し、乾燥させ、基材を積層させた後、遅滞なく行うことが好ましい。この理由は、経時により剥離フィルム上に形成された粘着剤組成物の塗布層中において、光硬化成分が他の成分と相分離する場合があるためである。
ここで、かかる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線等が挙げられる。
また、紫外線であれば、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等により得ることができ、電子線であれば、電子線加速器等によって得ることができる。
【0072】
また、活性エネルギー線を50?1000mJ/cm^(2)の範囲内で照射することが好ましい。
この理由は、活性エネルギー線の照射量が50mJ/cm^(2)未満の値となると、光硬化成分同士の反応を十分に行わせることが困難となって、所望の粘着剤特性を得ることが困難となる場合があるためである。一方、活性エネルギー線の照射量が1000mJ/cm^(2)を超えた値となると、粘着剤や基材を破壊する恐れがあるためである。
したがって、粘着剤組成物に対し、100?700mJ/cm^(2)の活性エネルギー線を照射することがより好ましく、120?500mJ/cm^(2)の活性エネルギー線を照射することがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線の照射は、図1(c)に示すように、剥離フィルム2側から行うことが好ましい。
この理由は、偏光板等の基材を傷めることなく、効率よく照射を行うことができるためである。」

l「【0076】
(4)-3 表面抵抗率
また、粘着剤の表面抵抗率を1×10^(7)?1×10^(12)Ω/□の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる表面抵抗率が1×10^(7)Ω/□未満の値となると、耐久性や光学物性が悪化する場合があるためである。
一方、かかる表面抵抗率が1×10^(12)Ω/□を超えた値となると、被着体から粘着シートを剥離した際に、静電気の発生を安定的に抑制することが困難となる場合があるためである。
したがって、粘着剤の表面抵抗率を、5×10^(7)?5×10^(11)Ω/□の範囲内の値とすることがより好ましく、1×10^(8)?1×10^(11)Ω/□の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、表面抵抗率の測定方法については、実施例において記載する。
【0077】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、基材上に、第2の実施形態としての粘着剤を含む粘着剤層を備えてなる粘着シートである。
以下、本発明の第3の実施形態を、第1および第2の実施形態と異なる点を中心に、図1を参照しつつ、具体的に説明する。
【0078】
1.基材
本発明においては、基材が、光学フィルム基材であるとともに、当該光学フィルム基材の少なくとも一方に、第2の実施形態において記載した粘着剤を含む粘着剤層を備えることが好ましい。
図1に示すように、本発明の粘着シート100における基材101としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、液晶ポリマー、シクロオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式構造含有重合体、芳香族系重合体等の光学フィルム基材が好ましく挙げられる。
また、用途の面から説明すれば、偏光板、偏光層保護フィルム、視野角拡大フィルム、防眩フィルム、位相差板等、液晶ディスプレイ等に用いられる光学フィルム基材が好ましい。
例えば、本発明によれば、基材を偏光板とした場合であっても、光漏れの発生を効果的に抑制できるという利点を得ることができる。
また、本発明によれば、偏光子等へも良好に密着できることから、偏光板の原料であるヨウ素含有のポリビニルアルコール樹脂を延伸して作製された偏光子自体も、本発明の粘着シート100における基材101となり得る。さらに、偏光子の片面が、トリアセチルセルロースやポリエチレンテレフタレート等の保護フィルムで覆われた偏光子等も同様に対象となる。
なお、基材を偏光板とした場合の粘着シートを、粘着剤層付き偏光板と呼ぶことがある。」

m「【0098】
(2)耐久性
所定条件下における粘着剤層付き偏光板の耐久性を評価した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた粘着剤層付き偏光板を233mm×309mmの大きさに切断して測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、無アルカリガラス(コーニング(株)製、イーグルXG)に貼合した。
次いで、測定サンプルが貼合された無アルカリガラスを、オートクレーブ(栗原製作所(株)製)に投入し、5kg/cm^(2)、50℃、20分の条件で加圧した後、80℃/dryおよび60℃/90%RHの各耐久条件下に投入後、200時間放置した。
次いで、測定サンプルの状態について、10倍ルーペを用いて観察を行い、下記基準に沿って、耐久性を評価した。得られた結果を表2に示す。
◎:サンプルにおいて、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥がいずれも発生していない。
○:サンプルの4辺(外周端部から0.6mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生していない。
△:サンプルの4辺(外周端部から0.6mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生している。
×:サンプルの4辺(外周端部から1.0mm以上)において、発泡、スジ、剥がれ等の欠陥が発生している。」

n 表2には、以下の実施例と表面抵抗率が記載されている。
「実施例 表面抵抗率(Ω/□)
実施例1 7.75×10^(10)
実施例2 7.92×10^(10)
実施例3 8.12×10^(10)
実施例4 2.11×10^(11)
実施例5 6.14×10^(10)
実施例6 9.75×10^(9)
実施例7 2.27×10^(9)
実施例8 8.74×10^(10)
実施例9 1.01×10^(11)
実施例10 2.44×10^(10)
実施例11 9.10×10^(10)
実施例12 8.44×10^(10)」

4 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「検出電極25」は、「静電容量型のタッチセンサの他方の電極」であるから、引用発明の「光射出側基板140は、液晶層130側から順に・・・検出電極25と・・・偏光板124とを有」することと、本願発明の「偏光フィルムと、帯電防止層と、静電容量センサとが順に積層されてなり」とは、「偏光部材と、静電容量センサとが順に積層されてなり」の点で共通する。

(2)引用発明は「透明基板24は、光透過性の樹脂フィルム」であるので、引用発明の「透明基板24」は、本願発明の「透明フィルム」に相当する。
引用発明は「検出電極25は透明なITOが、帯状の形状となっており、互いに並列に配置されて」いるので、引用発明の「検出電極25」は、本願発明の「透明電極パターン」に相当する。
そして、引用発明は「検出電極25が、透明基板24の一方の側に形成され、接着層27に埋設されて」いるので、引用発明の「検出電極25を静電容量型のタッチセンサの他方の電極として有して・・・接着層27を、静電容量型のタッチセンサの誘電体として有している」「静電容量型のタッチセンサ」は、本願発明の「前記静電容量センサは、透明フィルムと、前記透明フィルムの一方の側に形成された透明電極パターンと、前記透明電極パターンを埋設するように前記透明フィルムの一方の側に形成された接着層とを有し」に相当する。

(3)引用発明の「タッチセンサ付きの液晶表示装置」における「タッチセンサ」と、本願発明の「フィルムセンサ」とは、「センサ」の点で共通する。

すると本願発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「偏光部材と、静電容量センサとが順に積層されてなり、
前記静電容量センサは、透明フィルムと、前記透明フィルムの一方の側に形成された透明電極パターンと、前記透明電極パターンを埋設するように前記透明フィルムの一方の側に形成された接着層とを有するセンサ。」

(相違点)
ア 偏光部材が、本願発明では「偏光フィルム」であるのに対して、引用発明では「偏光板」である点。

イ 本願発明は、「偏光フィルムと、帯電防止層と、静電容量センサとが順に積層されて」「前記透明フィルムは、前記帯電防止層と前記透明電極パターンとの間に配置され」ているのに対して、引用発明は、帯電防止層がない点。

ウ 本願発明は、「前記帯電防止層の表面抵抗値は、2.0×10^(9)?8.0×10^(10)Ω/□」であるのに対して、引用発明は、このような特定がない点。

エ 本願発明は、「前記帯電防止層が前記接着層と接触せず、前記帯電防止層に含まれる帯電防止剤の前記接着層への拡散が防止される」のに対して、引用発明は、このような特定がない点。

オ センサが、本願発明は、「フィルムセンサ」であるのに対して、引用発明は、このような特定がない点。

5 判断
(1)相違点ア、オについて
偏光板を光学フィルム基材を用いて形成することは周知であり(例えば、引用例2(上記3(2)l 段落【0078】 下線部参照)、引用発明においても、上記周知技術を適用し、引用発明の「偏光板」を光学フィルム基材を用いて形成することにより、光学フィルム基材からなる偏光板として、上記相違点アに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明は「透明基板24は、光透過性の樹脂フィルム」であり、「検出電極25は透明なITO」であるから、引用発明の「偏光板」を光学フィルム基材を用いて形成したものは、「フィルムセンサ」であるといえるので、上記相違点オに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点イについて
引用例2には、帯電防止剤を含む粘着剤組成物を(上記3(2)j 段落【0067】 下線部参照)、光硬化させて粘着剤層とした(上記3(2)k 段落【0070】?【0072】 下線部参照)、粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板が記載されている(上記3(2)l 段落【0077】?【0078】 下線部参照)。
さらに、引用例2には、帯電防止剤を含む粘着剤層により、粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板を剥離フィルムから剥離させた際に、静電気の発生を効果的に抑制でき、粘着剤層付き偏光板の耐久性を優れたものにすることが記載されている(上記3(2)h 段落【0003】、i 段落【0023】、l 段落【0076】、m 段落【0098】、下線部参照)。
そして、偏光板の静電気の発生防止や耐久性の向上は、液晶表示パネルにおける一般的な課題であるので、引用発明における偏光板の形成にあたり、引用例2記載の粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板を採用して、粘着剤層の表面を透明基板に貼り合わせ、偏光板と、帯電防止剤を含む粘着剤層と、透明基板と、検出電極を順に積層して、上記相違点イに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点ウについて
引用例2の表2(上記3(2)n)には、粘着剤層の表面抵抗値が、7.75×10^(10)Ω/□(実施例1)、7.92×10^(10)Ω/□(実施例2)、6.14×10^(10)Ω/□(実施例5)、9.75×10^(10)Ω/□(実施例6)、2.27×10^(9)Ω/□(実施例7)、2.44×10^(10)Ω/□(実施例10)の例が示されている。
そして、上記相違点イで検討した、引用発明における偏光板の形成にあたり、引用例2記載の粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板を採用したものは、粘着剤層の表面抵抗値は表2に示された値を含むものとなり、この値は、本願発明の帯電防止層の表面抵抗値である2.0×10^(9)?8.0×10^(10)Ω/□の範囲内であるから、上記相違点ウに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)相違点エについて
上記相違点イで検討したように、引用発明における偏光板の形成にあたり、引用例2記載の粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板を採用したものは、偏光板と、帯電防止剤を含む粘着剤層と、透明基板と、検出電極と接着層を順に積層するので、帯電防止剤を含む粘着剤層と接着層の間に透明基板が挟まることになり、帯電防止剤を含む粘着剤層が接着層と接触せず、帯電防止剤の接着層への拡散が防止されることになるので、上記相違点エに係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

よって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成28年9月1日付けの意見書において、下記の事項を主張している。
「引用文献2には、基材に偏光板を貼着してタッチパネルを製造する時に発生した初期静電気の発生を抑制できることを開示、示唆する程度であり、本願発明のように、液晶表示装置の使用時における静電容量センサの誤作動、すなわち視認側の面(偏光フィルム面)をユーザが操作した際の静電容量センサの誤作動の発生を防止することができ、正常な動作が長期に亘って持続することを開示、示唆するものではありません。」

しかしながら、帯電防止のために偏光板に透明導電膜を形成した液晶装置において、製造する時に発生する静電気の発生の抑制とともに、使用時においても静電気の発生を抑制することは周知であり(例えば、特開昭63-212918号公報(3頁左下欄12行?右下欄2行「第1図の液晶セルにおいて・・・このセルのガラス基板の両面に偏光板10を貼着すると共に、偏光板10の外側に透明導電膜を50A形成した。上記処理を施した液晶セルを駆動したところ、静電対策を施す前と比較して、液晶分子の配向もきれいになり、動作状態も安定することが確認された。」、3頁右下欄11?13行「また、副次的な効果として、偏光板貼着時などに発生する静電気が排除でき、ゴミ等の静電付着を防ぐことができる。」)、引用発明に、引用例2記載の粘着剤層付きの光学フィルム基材からなる偏光板を採用したものにおいても、同様に、使用時においても静電気の発生を抑制し、静電容量センサの誤動作の発生を防止し得るものである。
よって、請求人の主張を採用することができない。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-19 
結審通知日 2016-10-24 
審決日 2016-11-08 
出願番号 特願2011-250903(P2011-250903)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 公文代 康祐  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 中塚 直樹
須原 宏光
発明の名称 フィルムセンサ  
代理人 来間 清志  
代理人 二宮 浩康  
代理人 上島 類  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
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