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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01J
管理番号 1323285
審判番号 不服2015-19347  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-28 
確定日 2017-01-04 
事件の表示 特願2014- 98263「荷電粒子線装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月 4日出願公開、特開2014-160678〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成20年4月14日に出願した特願2008-104232号の一部を平成25年3月13日に新たな特許出願とした特願2013-49867号の一部をさらに平成26年5月12日に新たな特許出願としたものであって、平成26年5月12日に上申書が提出され、平成27年1月9日付け(発送 同年同月20日)で拒絶理由が通知され、同年3月23日に手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、同年7月23日付けで拒絶査定(謄本送達日 同年同月28日)がされ、これに対し、同年10月28日に拒絶査定不服審判が請求され、平成28年7月8日付け(発送 同年同月12日)で当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年9月12日に手続補正がなされるとともに意見書(以下、「本件意見書」という。)が提出されたものである。

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
[理由1]
平成27年3月23日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

・上記手続補正により、請求項1に「前記下側磁極部材において前記磁束を供給される面と、前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」る点が追加された(以下、単に「補正事項」という。)ところ、以下のとおり、この補正事項は新規事項の追加に当たる。

(1)当初明細書等・・・・の段落【0028】によれば、「電磁重畳型対物レンズ123」は、「ヨーク部材132」、「ブースタ磁路部材116」、「制御磁路部材133」の3つの磁路部材と、「コイル134」とを少なくとも含んで構成されるとされる。
また、・・・同段落【0031】によれば、「ブースタ磁路部材」に属するポールピースを「上部磁極」、「制御磁路部材」に属するポールピースを「下部磁極」と呼ぶ場合もあるとされる。
そうすると、本願請求項1の「上側磁極部材」とは、「ブースタ磁路部材116」を意味し、「下側磁極部材」とは、「制御磁路部材133」を意味すると理解される。
これに対して、本願請求項7において「前記上側磁極部材が接地電位にある」とされるところ、・・・同段落【0035】によれば、「(1)電子源<試料電位<制御磁路部材<ヨーク部材≒0V<ブースタ磁路部材」とされるから、本願請求項1の「上側磁極部材」は、「ヨーク部材132」(≒0V)を意味すると理解される。
したがって、補正事項の「前記下側磁極部材において前記磁束を供給される面と、前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」るとの発明特定事項のうち、「前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面」とは、「ヨーク部材132」と「ブースタ磁路部材116」のいずれの「上側磁極部材」の面を意味するのか不明である(後記 [理由3])が、・・・同図1(b)から明らかなように、「上側磁極部材」の「面」が、「ヨーク部材132」または「ブースタ磁路部材116」のいずれの面であっても、「制御磁路部材133」において「磁束を供給される面」と、「それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」る「磁束を供給する面」があるものとは理解できない。
(例えば、「上側磁極部材」が「ブースタ磁路部材116」であるとすると、「ブースタ磁路部材116」と「制御磁路部材133」は、そもそも「厚み方向」が別方向であって、「厚み方向にて向かい合うように設けられ」るものとはいえない。また、「上側磁極部材」が「ヨーク部材132」であるとすると、「ヨーク部材132」と「制御磁路部材133」は、「ヨーク部材132」から磁束を供給する場所が・・・段落【0029】でいうところの「空間」であるから、やはり、「下側磁極部材へ前記磁束を供給する面」とはいえない。)

(2)以上の検討によれば、「磁束を供給される面」及び「磁束を供給する面」並びに「それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」ることは、いずれも発明の詳細な説明に記載されているということができないから、補正事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとは認められない。
請求項2ないし13についても同様である。

[理由2]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

上記[理由1]で検討したとおり、「前記下側磁極部材において前記磁束を供給される面と、前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」るとの構成を含む本願請求項1は、当初明細書等に記載されているものとは認められないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項2ないし13についても同様である。

[理由3]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

上記[理由1]で検討したとおり、補正事項の「前記下側磁極部材において前記磁束を供給される面と、前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」るとの発明特定事項のうち、「前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面」とは、「ヨーク部材132」と「ブースタ磁路部材116」のいずれの「上側磁極部材」の面を意味するのか不明であるから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項2ないし13についても同様である。

3 本願請求項1ないし11
本願請求項1ないし11に係る記載は、平成28年9月12日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載されたとおりであって、次のとおりである(下線は、請求人が付与したとおりである。)。
「【請求項1】
試料に対して一次荷電粒子線を照射し、前記照射により発生する二次荷電粒子または前記二次荷電粒子が発生させる三次荷電粒子を検出する荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子線装置は、
前記一次荷電粒子線を前記試料上に集束する対物レンズと、
前記試料に対してリターディング電圧を印加する電源と、
前記対物レンズの上方に設けられ、前記二次荷電粒子または前記三次荷電粒子を検出する検出器と、を備え、
前記対物レンズは、
前記荷電粒子線を通過させる開口と、
前記開口を通る中心軸の周囲に配置され、かつ励磁手段から供給された磁束が前記対物レンズの上側磁極として作用する上側磁極部材と、
前記開口を通る中心軸の周囲に配置され、かつ下面が前記試料の上面に対して対向配置され、前記上部磁極に対応する下側磁極として作用する下側磁極部材と、を備え、
前記下側磁極部材において前記励磁手段から前記磁束が受け渡される面と、前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ、
前記下側磁極部材の電位が、前記上側磁極部材の電位よりも低い値に制御されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記下側磁極部材に、前記リターディング電位以上の電位が供給されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記下側磁極部材に、前記試料の電位との電位差が100V以内になる電位が供給されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記下側磁極部材に、前記試料の電位と同電位になる電位が供給されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記下側磁極部材の下面は前記試料の上面と対向するように延在し、
前記下側磁極部材の上面は前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面の下面の面積よりも広く延在することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記対物レンズはセミインレンズ型であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記試料を保持する静電吸着装置を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項7に記載の荷電粒子線装置において、
前記静電吸着装置は、
前記試料に対して誘電体を介して配置される内部電極と、前記試料にリターディング電位を印加するコンタクト電極とを備え、
更に前記荷電粒子線装置は、
前記コンタクト電極の電位と前記下側磁極部材の電位との電位差を±100V以内に保つ手段とを有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記下側磁極部材の冷却手段を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記一次荷電粒子線の照射位置の陰影像を取得する手段を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記検出器の検出に基づくトップビュー像を表示する表示部を有することを特徴とする荷電粒子線装置。」

4 本願が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないこと(上記「2」「[理由3])について
(1)本願当初明細書の記載及び図面
ア 当初明細書の段落【0029】の記載は次のとおりである。
「図1(b)のヨーク磁路部材132は、内部が中空の円環部材により構成されており、その断面は、一次電子線光軸への対向面側が斜面になった台形形状をなす。本実施例の電磁重畳型対物レンズにおいては、ヨーク磁路部材は、一次電子ビーム光軸が円環部材の中心を通るように配置される。円環部材のヨーク磁路部材132の内部にはコイル134が保持されており、当該コイルにより一次電子ビームを集束するための磁束が励磁される。当該台形形状の下底の内面側(一次電子ビームへの対向面側)には空間が設けてあり、当該空間により、励磁された磁束がヨーク磁路部材132内で閉磁路を形成せずにブースタ磁路部材116と制御磁路部材133へ流れるようになっている。また、ヨーク磁路部材132の上面側(一次電子線の入射方向)と底面側(一次電子線の出射方向)には、一次電子ビームの通過する開口を備える。また、ヨーク磁路部材の材料としては軟磁性材料が用いられる。なお、図1(b)に示したヨーク磁路部材132は、断面が台形形状の円環部材が用いられているが、励磁された磁束をブースタ磁路部材116および制御磁路部材133に受け渡す機能が果たされる限り、ヨーク磁路部材132の形状は特に問わない。例えば、ヨーク磁路部材の断面がコの字型であってもよい。」

イ 図1(b)は次のものである。


ウ また、本件請求人は本件意見書において、当審拒絶理由の[理由1]ないし[理由3]について、「2-3 拒絶理由について」の項で、概略下記のとおり主張する。
(1)理由1について
・・・本拒絶理由通知書において、・・・
「(略)そうすると、本願請求項1の『上側磁極部材』とは、『ブースタ磁路部材116』を意味し、『下側磁極部材』とは、『制御磁路部材133』を意味すると理解される。
これに対して、本願請求項7において『前記上側磁極部材が接地電位にある』とされるところ、上記(1)イの段落【0035】によれば、『(1)電子源<試料電位<制御磁
路部材<ヨーク部材≒0V<ブースタ磁路部材』とされるから、本願請求項1の『上側磁極部材』は、『ヨーク部材132』(≒0V)を意味すると理解される。」
従いまして、本出願人は手続補正書にて上記のとおり補正をいたしました。本補正により、本願請求項1の『上側磁極部材』とは、『ブースタ磁路部材に属するポールピース』を意味し、『下側磁極部材』とは、『制御磁路部材133』を意味することが明確になりました。併せて、請求項7、8を削除する補正も併せて行いました。これにより、本拒絶理由は解消されたと思料いたします。
(2)理由2について
理由1と同様に、今回補正をしたことで、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものとなり、本拒絶理由は解消されたと思料いたします。
(3)理由3について
・・・本拒絶理由通知書において、・・・
「(略)上記[理由1]で検討したとおり、補正事項の『前記下側磁極部材において前記磁束を供給される面と、前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ』るとの発明特定事項のうち、『前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面』とは、『ヨーク部材132』と『ブースタ磁路部材116』のいずれの『上側磁極部材』の面を意味するのか不明であるから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。請求項2ないし13についても同様である。」
従いまして、本出願人は手続補正書にて上記のとおり補正をいたしました。本補正により、『前記下側磁極部材へ前記磁束を供給する面』は『前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面』であることが明確になりました。

(2)本願請求項1の、「前記対物レンズは、
前記荷電粒子線を通過させる開口と、
前記開口を通る中心軸の周囲に配置され、かつ励磁手段から供給された磁束が前記対物レンズの上側磁極として作用する上側磁極部材と、
前記開口を通る中心軸の周囲に配置され、かつ下面が前記試料の上面に対して対向配置され、前記上部磁極に対応する下側磁極として作用する下側磁極部材と、を備え、
前記下側磁極部材において前記励磁手段から前記磁束が受け渡される面と、前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ、
前記下側磁極部材の電位が、前記上側磁極部材の電位よりも低い値に制御される」との発明特定事項によれば、本願請求項1の「対物レンズ」が備える「励磁手段」に関しては、次のように特定される。
ア 「上側磁極部材」は、「励磁手段から供給された磁束が前記対物レンズの上側磁極として作用する」。
イ 「下側磁極部材」は、「励磁手段」から「磁束が受け渡される面」が設けられる。
ウ 「下側磁極部材」は、「上部磁極に対応する下側磁極として作用する」。

(3)上記「(1)」「ア」及び「イ」の記載(前者)を踏まえて、上記「(2)」の記載(後者)と対比すると、
ア 後者の「励磁手段」は前者の「コイル134」に対応し、
イ 後者の「上側磁極部材」は、前者の「ヨーク磁路部材132」又は「ブースタ磁路部材116」に対応し、
ウ 後者の「下側磁極部材」は、「ブースタ磁路部材116」又は「制御磁路部材133」に対応すると解することができる。
すなわち、本願請求項1の(「励磁手段」、「上側磁極部材」及び「下側磁極部材」)は、本願明細書の(「コイル134」、「ヨーク磁路部材132」及び「ブースタ磁路部材116」)、(「コイル134」、「ヨーク磁路部材132」及び「制御磁路部材133」)又は(「コイル134」、「ブースタ磁路部材116」及び「制御磁路部材133」)のいずれかの組み合わせに対応し得ることとなる。
また、上記(2)によれば、「励磁手段」は、磁束を「上側磁極部材」に供給するとともに、「下側磁極部材」の「面」に「受け渡」すこととなる。
しかしながら、当初明細書及び図面の記載をみても、上記(1)の図1(b)によれば、一次電子ビームを集束するための磁束が励磁されるコイル134(励磁手段)は、ヨーク磁路部材132(上側磁極部材(であり得る部材))に囲まれており、上記(1)によれば、当初明細書には、「当該台形形状の下底の内面側(一次電子ビームへの対向面側)には空間が設けてあり、当該空間により、励磁された磁束がヨーク磁路部材132内で閉磁路を形成せずにブースタ磁路部材116と制御磁路部材133へ流れるようになっている。」と記載され、上側磁極部材(であり得る部材)の底面に設けた「空間」からブースタ磁路部材116と制御磁路部材133へ磁束が流れることが記載されるにとどまり、当該「コイル134」が、ブースタ磁路部材116ないし制御磁路部材133のいずれの部材のどの面に、どのようにして磁束を受け渡すのか理解できないため、上記発明特定事項における、「前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面」がどの面を意味するのか理解できない。

(4)ここで、本件請求人は、本件意見書において、上記「(1)」「ウ」のとおり、「本補正により、本願請求項1の『上側磁極部材』とは、『ブースタ磁路部材に属するポールピース』を意味し、『下側磁極部材』とは、『制御磁路部材133』を意味することが明確になりました。」と主張する。
しかしながら、本願請求項1の記載からは、『上側磁極部材』が『ブースタ磁路部材に属するポールピース』を意味するという主張は、下記の点で明細書の発明の詳細な説明の記載と整合せず、また、『下側磁極部材』が『制御磁路部材133』を意味することは、本願請求項1の記載から明確ではない。
上記の「ポールピース」に関しては、当初明細書には、段落【0030】ないし【0031】に、「円筒の下部側先端部(試料対向面側の先端部)は、コイルにより励磁された磁束が集中する磁極(ポールピース)を構成する。・・・ブースタ磁路部材に属するポールピースを上部磁極、制御磁路部材に属するポールピースを下部磁極と呼ぶ場合もある。」と記載され(段落【0019】にも同様の記載)、「ポールピース」は「コイルにより励磁された磁束が集中する磁極」として、「先端部」のような「磁束が集中する」場所を意味すると理解され、特定の部材を意味するものとは理解できない。
そうすると、本件意見書の主張をふまえても、「前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面」は理解できない。

(5)したがって、本願請求項1の「前記下側磁極部材において前記励磁手段から前記磁束が受け渡される面と、前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面とは、それぞれ厚み方向にて向かい合うように設けられ」(上記(1))るとの発明特定事項は、「前記励磁手段から前記下側磁極部材へ前記磁束を受け渡す面」が、どの面を意味するのか不明であるため、上記(1)の発明特定事項を含む本願請求項1は特許を受けようとする発明が明確ではない。

(6)まとめ
以上によれば、本願請求項1は特許を受けようとする発明が明確ではないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

5 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-28 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-17 
出願番号 特願2014-98263(P2014-98263)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 直恵  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 伊藤 昌哉
松川 直樹
発明の名称 荷電粒子線装置  
代理人 井上 学  

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