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審決分類 |
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1323295 |
審判番号 | 不服2016-2133 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-02-12 |
確定日 | 2017-01-04 |
事件の表示 | 特願2014- 85872「遊技用媒体管理システム及び遊技用媒体管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 2日出願公開、特開2014-184225〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年12月27日を出願日とする特願2008-335516号の一部を平成26年3月31日に新たに出願した特願2014-72784号の一部を平成26年4月17日に新たに特許出願したものであって、平成27年7月15日付けで拒絶理由通知がなされ、平成27年9月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年11月13日付け(発送日:平成27年11月17日)で拒絶査定がなされ、これに対して平成28年2月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成28年4月27日付けで前置報告がなされたものである。 第2 平成28年2月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年2月12日付けの手続補正(以下、本件補正という)を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1、請求項2及び請求項5の記載の補正を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項5の記載は、 補正前(平成27年9月24日付け手続補正)の 「【請求項5】 遊技機に対応して設けられ、遊技媒体数が関連付けられた遊技用媒体の処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記台間装置に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技用媒体管理システムに適用する遊技用媒体管理方法であって、 前記台間装置が、前記遊技用媒体として一般の遊技客が所持する一般用媒体を受け付ける一般用媒体受付工程と、 前記台間装置が、会員登録を行った遊技客が所持する会員用媒体を受け付ける会員用媒体受付工程と、 遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値及び遊技客が遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるための処理を行う一般用媒体関連付け処理工程と、 前記会員用媒体受付工程により前記会員用媒体が受け付けられたか否かを判定する判定工程と、 前記判定工程により前記会員用媒体が受け付けられたと判定された場合に、前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する加算更新工程と を含んだことを特徴とする遊技用媒体管理方法。」 から、 補正後(本件補正である平成28年2月12日付け手続補正)の 「【請求項5】 遊技機に対応して設けられ、遊技媒体数が関連付けられた遊技用媒体の処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記台間装置に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技用媒体管理システムに適用する遊技用媒体管理方法であって、 前記台間装置が、前記遊技用媒体として一般の遊技客が所持する一般用媒体を受け付ける一般用媒体受付工程と、 前記台間装置が、会員登録を行った遊技客が所持する会員用媒体を受け付ける会員用媒体受付工程と、 遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるための処理を行う一般用媒体関連付け処理工程と、 前記会員用媒体受付工程により前記会員用媒体が受け付けられたか否かを判定する判定工程と、 前記判定工程により前記会員用媒体が受け付けられたと判定された場合に、前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する加算更新工程と を含んだことを特徴とする遊技用媒体管理方法。」 へ補正された(下線は補正箇所を示す)。 2.補正の適否 上記補正事項は、補正前の請求項5における「遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」を、「当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」と限定したものである。 また、補正後の請求項5に記載された発明は、補正前の請求項5に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 本件補正後の請求項5に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願遡及日以前に出願された特願2008-253316号(特開2010-82110号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ) ア 「【0007】 上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技用装置は、 遊技機(パチンコ機2)に1対1に対応して設けられ、遊技媒体(パチンコ玉)数を計数する機能および該計数された遊技媒体数の範囲内の遊技媒体を払出す機能とを少なくとも有するとともに、遊技場の各会員遊技者を個々に識別可能な会員識別情報(会員ID)に対応付けて各会員遊技者の所有遊技媒体数(貯蓄玉数;持玉数、貯玉数)を管理する管理装置(管理コンピュータ150)と通信可能な遊技媒体計数装置(計数・払出ユニット4)と通信可能であり、 所有遊技媒体数(持玉数)を特定可能な所有遊技媒体数特定情報(持玉数データ)と遊技に使用可能な遊技用価値(プリペイド残額)の大きさを特定可能な遊技用価値特定情報(プリペイド残額データ)とが記録された一般用記録媒体(ビジターカード)、若しくは前記会員識別情報と前記遊技用価値特定情報とが記録された会員用記録媒体(会員カード)の少なくともいずれか一方を受付けて、該受付けた一般用記録媒体或いは会員用記録媒体に記録されている各情報の少なくとも読み出しを行う記録媒体処理手段(カードリーダライタ327)と、 該記録媒体処理手段により読み出した少なくとも会員識別情報を前記遊技媒体計数装置に送信する会員識別情報送信手段(通信部335)と、 前記記録媒体処理手段にて読み出した遊技用価値特定情報から特定される遊技用価値の大きさの少なくとも一部を使用し、該使用する遊技用価値の大きさに相当する遊技媒体を貸出すための遊技媒体貸出し手段(制御ユニット328、貸出処理)と、 前記記録媒体処理手段に受付け中の記録媒体が前記一般用記録媒体のときは、該一般用記録媒体の受付け中に前記遊技媒体計数装置にて計数された遊技媒体数(追加玉数)に基づく所有遊技媒体数を特定可能な前記所有遊技媒体数特定情報を記録することにより、該一般用記録媒体により該所有遊技媒体数を特定可能とするための特定化処理(計数対応処理)を行う特定化処理手段(制御ユニット328)と、 前記一般用記録媒体或いは前記会員用記録媒体を排出するための排出操作を検知する排出操作検知手段(制御ユニット328、Sb5)と、 を備え、 前記排出操作検知手段による排出操作の検知に応じて、前記記録媒体処理手段に受付け中の前記一般用記録媒体或いは前記会員用記録媒体を排出する遊技用装置(カードユニット3)であって、 前記一般用記録媒体の受付け中において、新たに前記会員用記録媒体を受付けたことを条件に、前記特定化処理手段にて該一般用記録媒体により特定可能とされる所有遊技媒体数(持玉数)と、該新たに受付けた会員用記録媒体から前記記録媒体処理手段にて読み出した会員識別情報(会員ID)とを前記会員識別情報送信手段により前記遊技媒体計数装置に送信して、該所有遊技媒体数を該会員識別情報に対応付けて前記管理装置において記憶されている所有遊技媒体数に加算更新させるとともに、該一般用記録媒体に既に前記所有遊技媒体数特定情報が記録されているときには、該所有遊技媒体数特定情報を消去する移行処理を行うことを特徴としている。」 イ 「【0039】 次に、本実施例のカードユニット3について、図2?図7に基づいて以下に説明すると、本実施例のカードユニット3の前面には、図2に示すように、フルカラーLEDにより構成され、複数の色に点灯することによりカードユニット3の状態等を報知可能とされた多機能ランプ301等の各種表示部と、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、装置前面より装置前方側に突出形成された突出部305、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入口309が設けられている。」 ウ 「【0048】 図3は、本実施例のカードユニット3の構成を示すブロック図である。カードユニット3は、紙幣識別ユニット321と、前述のカードリーダライタ327と、表示制御基板329と、カードユニット3の各部の制御を制御プログラムにより実施して該カードユニット3の各種の機能を提供する制御ユニット328と、から主に構成されており、紙幣識別ユニット321、カードリーダライタ327及び表示制御基板329は制御ユニット328と接続されて各種データの送受が可能とされている。」 エ 「【0068】 制御ユニット328は、リモコンからの送信に応じたIR受光ユニット315からの出力や突出部305に設けられている各種ボタンの操作やタッチパネルの操作に応じて表示制御基板329から入力される各種情報や、紙幣識別ユニット321による貨幣識別情報、並びにカードリーダライタ327からのカード挿入情報やビジターカードの貯留状態情報等を受けて、制御ユニット328に接続されている前記多機能ランプ内に設けられたフルカラーLED301a等の各LEDの点灯制御、カードリーダライタ327、表示制御基板329の制御、残額表示器の表示制御等、全体の動作制御、並びに図15に示すように、カード挿入口309に挿入された会員カードやビジターカードの利用の可/不可を判別するカード受付け処理や、受付け中の会員カード或いはビジターカードから読み出したプリペイド残額データに基づくプリペイド残額を使用した玉貸を行う貸出処理や、返却ボタンの操作により受付け中の会員カードやビジターカードの返却する返却処理や、貨幣の受付けに応じて、受付け中の会員カードやビジターカードに残存するプリペイド残額への入金、或いは新たなビジターカードにプリペイド残額を書き込んで発行する発行・入金処理や、貯玉数を用いた再プレイ処理、計数・払出ユニット4において計数済玉数(挿入されたビジターカード並びに会員カードにより特定されるものを含む)の払出に応じた計数済玉数を更新や応答を返信する払出対応処理、リモコンにおける離席操作に基づく信号の受信により離席モードに移行するための離席処理、計数・払出ユニット4においてパチンコ玉の計数の開始に応じて計数済玉数を更新や応答を返信する計数対応処理、リモコンにおける移行操作に基づく信号の受信により持玉数を会員遊技者の貯蓄玉数に移行するための持玉移行処理等の各種処理を実行する。」 オ 「【0264】 この持玉移行処理において制御ユニット328は、・・・受付け中のカードがビジターカードであるか否かを、RAM328bのカードテーブルに記憶されているカードIDに基づいて確認する。 【0265】 受付け中のカードがビジターカードではなく会員カードである場合には、該持玉移行処理を終了して前述したSb2?Sb11の待機状態に戻る一方、受付け中のカードがビジターカードである場合には、持玉移行モードであることの表示を開始した後、計数・払出ユニット4(制御部410)に対して持玉移行モードを開始した旨を示す移行モード(開始)を送信する。・・・ 【0267】 ・・・上位システム接続通知を受信した場合には、カードリーダライタ327に指示して、受付け中のビジターカードを、カード貯留部370に一時回収させるとともに、カード挿入口309におけるシャッタを没状態とさせることで、会員カードをカード挿入口309から追加挿入できるようにした後、表示部312に、「会員カードを挿入して下さい」のメッセージを表示して、会員カードの挿入を促す。 【0268】 そして、カード挿入口309からカードの挿入があった場合には、該挿入されたカードから読み出した(会員)カードIDから、挿入されたカードが会員カードであるか否かを判定する。」 カ 「【0277】 つまり、ビジターカードを、遊技者が不在時に返却操作を行って盗むこと等により不正に取得した会員遊技者が、該ビジターカードの持玉数を自身の会員カードの持玉数に移行させる場合には、ビジターカードの持玉数がその当日のみ有効であることから、不正に取得した複数のビジターカードを1日において移行することが必要となるが、本実施例においては、営業当日の移行回数に上限回数が設けられているので、多数のビジターカードを不正に入手したとしても、全てのビジターカードの持玉数を移行することが不能とされるため、これらの不正の抑止並びに防止をすることができる。 【0278】 尚、ビジターカードに記録されている持玉数は、その当日のみ有効であることから、これら上限回数に達している場合であっても移行を行う必要があるが、このような場合には、ビジターカードを会員カードとを景品交換用POS端末170に持参し、係員による所定の操作に伴って景品交換用POS端末170に挿入することにより、上限回数に達している場合であっても持玉数の移行を行うことができる。」 キ 「【0287】 つまり、本実施例のカードユニット3は、当該会員遊技者の当日の移行回数が上限回数に達していないと判定され、且つ、当日所有遊技媒体数である当該会員遊技者の持玉数が0であると判定されたことを条件に、ビジターカードの持玉数の会員カードの持玉数への移行を行う。 【0288】 そして、管理コンピュータ150からの持玉数の更新完了通知の受信に応じて、受信した移行要求に含まれるビジターカードのカードIDと移行後の持玉数(0)とを含む更新要求を管理コンピュータ150に送信して、ビジター貯蓄管理テーブルにおいて、該カードIDに対応付けて記憶されている持玉数を、送信した持玉数である「0」に更新させ、該更新が完了した旨を示す更新完了通知の受信に応じて、カードユニット3(制御ユニット328)に対し、移行完了通知を送信する。 【0289】 該移行完了通知の受信に応じて制御ユニット328は、受付け中の会員カードの最新の移行履歴として、当日の日付と、移行した持玉数とを更新記憶するとともに、ビジターカードに残存しているプリペイド残額を、挿入された会員カードに移行するプリペイド残額移行処理を実施する。」 ク 上記アには「所有遊技媒体数(持玉数)を特定可能な所有遊技媒体数特定情報(持玉数データ)と遊技に使用可能な遊技用価値(プリペイド残額)の大きさを特定可能な遊技用価値特定情報(プリペイド残額データ)とが記録された一般用記録媒体(ビジターカード)、若しくは前記会員識別情報と前記遊技用価値特定情報とが記録された会員用記録媒体(会員カード)の少なくともいずれか一方を受付けて、該受付けた一般用記録媒体或いは会員用記録媒体に記録されている各情報の少なくとも読み出しを行う記録媒体処理手段(カードリーダライタ327)」と記載されており、上記アの記載からすると、「会員識別情報」とは「会員ID」のことであるから、先願明細書等には「カードリーダライタ327が持玉数を特定可能な持玉数データと遊技に使用可能なプリペイド残額の大きさを特定可能なプリペイド残額データとが記録されたビジターカード、若しくは前記会員IDと前記プリペイド残額データとが記録された会員カードの少なくともいずれか一方を受付けて、カードIDやプリペイド残額データなどの記録情報の少なくとも読み出しを行」うことが記載されているといえる。 ケ また、上記アには「前記記録媒体処理手段に受付け中の記録媒体が前記一般用記録媒体のときは、該一般用記録媒体の受付け中に前記遊技媒体計数装置にて計数された遊技媒体数(追加玉数)に基づく所有遊技媒体数を特定可能な前記所有遊技媒体数特定情報を記録することにより、該一般用記録媒体により該所有遊技媒体数を特定可能とするための特定化処理(計数対応処理)を行う特定化処理手段(制御ユニット328)」と記載されていることから、先願明細書等には「前記カードリーダライタ327に受付け中のカードが前記ビジターカードのときは、制御ユニット328により該ビジターカードの受付け中に前記計数・払出ユニット4にて計数された追加玉数に基づく持玉数を特定可能な前記持玉数データを記録することにより、該ビジターカードにより該持玉数を特定可能とするための計数対応処理を行」うことが記載されているといえる。 コ さらに、上記アには「前記一般用記録媒体の受付け中において、新たに前記会員用記録媒体を受付けたことを条件に、前記特定化処理手段にて該一般用記録媒体により特定可能とされる所有遊技媒体数(持玉数)と、該新たに受付けた会員用記録媒体から前記記録媒体処理手段にて読み出した会員識別情報(会員ID)とを前記遊技媒体計数装置に送信して、該所有遊技媒体数を該会員識別情報に対応付けて前記管理装置において記憶されている所有遊技媒体数に加算更新させる移行処理を行う」と記載されており、上記オの段落【0264】-【0268】には「持玉移行処理において制御ユニット328は、受付け中のカードがビジターカードであるか否かを確認」し、「受付け中のカードがビジターカードである場合には、会員カードの挿入を促」し、「カードの挿入があった場合には挿入されたカードが会員カードであるか否かを判定」することが記載されていることから、「制御ユニット328はビジターカードの受付け中において、新たに会員カードを受け付けられたか否かを判定」するといえる。 そうすると、先願明細書等には「制御ユニット328はビジターカードの受付け中において、新たに会員カードを受け付けられたか否かを判定」し、「前記ビジターカードの受付け中において、新たに前記会員カードを受付けたことを条件に、前記計数対応処理を行う制御ユニット328にて該ビジターカードにより特定可能とされる持玉数と、該新たに受付けた会員カードから前記カードリーダライタ327にて読み出した会員IDとを前記計数・払出ユニット4に送信して、該持玉数を該会員IDに対応付けて前記管理コンピュータにおいて記憶されている持玉数に加算更新させる移行処理を行う」ことが記載されているといえる。 サ 図1,2におけるカードユニット3、計数・払出ユニット4とパチンコ機2の関係から、カードユニット3と計数・払出ユニット4は1対1に対応してパチンコ機2の左隣に配置されており、パチンコ機2の右隣とカードユニット3、計数・払出ユニット4の間に他の機器は何も配置されていないことから、先願明細書等において「カードユニット3と計数・払出ユニット4とは1対1に対応してパチンコ機2の間に設けられている」ことが記載されているといえる。 シ 上記イには「カードユニット3には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入口309が設けられている。」ことが、上記ウには「カードユニット3はカードリーダライタ327と、カードユニット3の各部の制御を制御プログラムにより実施して該カードユニット3の各種の機能を提供する制御ユニット328と、から主に構成されて」いることが記載されており、「カードユニット3は、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入口309が設けられており、カードリーダライタ327と、カードユニット3の各部の制御を制御プログラムにより実施して該カードユニット3の各種の機能を提供する制御ユニット328とを含む」ものといえる。 ス 上記エには「制御ユニット328は、カード挿入口309に挿入された会員カードやビジターカードの利用の可/不可を判別するカード受付け処理、受付け中の会員カード或いはビジターカードから読み出したプリペイド残額データに基づくプリペイド残額を使用した玉貸を行う貸出処理、貨幣の受付けに応じて、受付け中の会員カードやビジターカードに残存するプリペイド残額への入金、或いは新たなビジターカードにプリペイド残額を書き込んで発行する発行・入金処理、計数・払出ユニット4においてパチンコ玉の計数の開始に応じて計数済玉数を更新する計数対応処理、持玉数を会員遊技者の貯蓄玉数に移行するための持玉移行処理等を実行する」と記載されている。 セ 上記カの「ビジターカードの持玉数がその当日のみ有効」「ビジターカードに記録されている持玉数はその当日のみ有効」という記載から、ビジターカードに記録されている持玉数は当日のみ有効であるといえる。 ソ 上記キの段落【0287】には、「カードユニット3はビジタ-カードの持玉数の会員カードの持玉数への移行を行」うこと、段落【0289】には、「制御ユニット328は、当日の日付と、移行した持玉数とを更新記憶するとともに、ビジターカードに残存しているプリペイド残額を、挿入された会員カードに移行するプリペイド残額移行処理を実施する」ことが記載されている。 また、上記ウの記載から、カードユニット3は制御ユニット328を含んでいること、上記ケの認定事項から「制御ユニット328は持玉数を会員遊技者の貯蓄玉数に移行するための持玉移行処理を実行する」ことから、「ビジターカードの持玉数の会員カードの持玉数への移行を行う」のは「カードユニット3の制御ユニット328」であることがいえる。 以上のことから、先願明細書等には「制御ユニット328にて、ビジターカードの持玉数の会員カードの持玉数への移行を行い、ビジターカードに残存しているプリペイド残額を、挿入された会員カードに移行するプリペイド残額移行処理を実施する」ことが記載されているものといえる。 上記ア?キの記載事項及び上記ク?ソの認定事項から、先願明細書等には、 「パチンコ機2に1対1に対応して設けられ、パチンコ玉数を計数する機能および該計数された遊技媒体数の範囲内の遊技媒体を払出す機能とを少なくとも有するとともに、遊技場の各会員遊技者を個々に識別可能な会員IDに対応付けて各会員遊技者の所有遊技媒体数(貯蓄玉数;持玉数、貯玉数)を管理する管理コンピュータ150と通信可能な計数・払出ユニット4と通信可能であり(記載事項ア)、前記計数・払出ユニット4とは1対1に対応してパチンコ機2の間に設けられており(認定事項サ)、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302と、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入口309が設けられており、カードリーダライタ327と、カードユニット3の各部の制御を制御プログラムにより実施して該カードユニット3の各種の機能を提供する制御ユニット328とを含む(認定事項シ)、カードユニット3における処理方法であって、 前記カードリーダライタ327が、当日のみ有効な持玉数を特定可能な持玉数データと遊技に使用可能なプリペイド残額の大きさを特定可能なプリペイド残額データとが記録されたビジターカード(認定事項ク、セ)、若しくは前記会員IDと前記プリペイド残額データとが記録された会員カードの少なくともいずれか一方を受付けて、カードIDやプリペイド残額データなどの記録情報の少なくとも読み出しを行い(認定事項ク)、 前記制御ユニット328は、受付け中の会員カード或いはビジターカードから読み出したプリペイド残額データに基づくプリペイド残額を使用した玉貸を行う貸出処理、貨幣の受付けに応じて、受付け中の会員カードやビジターカードに残存するプリペイド残額への入金、或いは新たなビジターカードにプリペイド残額を書き込んで発行する発行・入金処理、計数・払出ユニット4においてパチンコ玉の計数の開始に応じて計数済玉数を更新する計数対応処理、持玉数を会員遊技者の貯蓄玉数に移行するための持玉移行処理等を実行するものであり(認定事項ス)、 前記カードリーダライタ327に受付け中のカードが前記ビジターカードのときは、制御ユニット328により該ビジターカードの受付け中に前記計数・払出ユニット4にて計数された追加玉数に基づく持玉数を特定可能な前記持玉数データを記録することにより、該ビジターカードにより該持玉数を特定可能とするための計数対応処理を行い(認定事項ケ)、 前記制御ユニット328は前記ビジターカードの受付け中において、新たに前記会員カードを受け付けられたか否かを判定し、前記ビジターカードの受付け中において、新たに前記会員カードを受付けたことを条件に、前記計数対応処理を行う制御ユニット328にて該ビジターカードにより特定可能とされる持玉数と、該新たに受付けた会員カードから前記カードリーダライタ327にて読み出した会員IDとを前記計数・払出ユニット4に送信して、該持玉数を該会員IDに対応付けて前記管理コンピュータにおいて記憶されている持玉数に加算更新させる移行処理を行い(認定事項コ)、制御ユニット328にて該ビジターカードに残存しているプリペイド残高を会員カードに移行するプリペイド残額移行処理を実施する(認定事項ソ) 処理方法。」 という発明(以下、先願発明という)が開示されていると認める。 (2)本件補正発明と先願発明との対比 本件補正発明と先願発明とを対比する。 (ア)先願発明における「パチンコ機2に1対1に対応して設けられ、パチンコ玉数を計数する機能および該計数された遊技媒体数の範囲内の遊技媒体を払出す機能とを少なくとも有する」「計数・払出ユニット4と通信可能であるカードユニット3」は「計数払出ユニット4とは1対1に対応してパチンコ機2の間に設けられて」いることから、「カードユニット3」と「計数払出ユニット4」を合わせたものは、本件補正発明の「遊技機に対応して設けられ、遊技媒体が関連付けられた球技用媒体の処理を行う台間装置」に相当する。 (イ)先願発明における「遊技場の各会員遊技者を個々に識別可能な会員IDに対応付けて各会員遊技者の所有遊技媒体数(貯蓄玉数;持玉数、貯玉数)を管理する管理コンピュータ150」は「計数・払出ユニット4」と通信可能であることから、本件補正発明の「台間装置と通信可能に設けられ、台間装置に関する情報を管理する管理装置」に相当する。 (ウ)(ア)(イ)から、先願発明における「管理コンピュータ150」「カードユニット3」「計数・払出ユニット4」を有するものは本件補正発明の「遊技用媒体管理システム」に相当し、先願発明の「処理方法」は本件補正発明の「遊技用媒体管理システムにおける処理方法」に相当する。 (エ)先願発明における「ビジターカード」は、会員IDを含まないことから会員ではないビジターの遊技客が所持しているということができ、本件補正発明の「遊技用媒体として一般の遊技客が所持する一般用媒体」に相当し、先願発明における「会員カード」は、会員IDが含まれていることから会員登録を行った遊技客が所持しているということができ、本件補正発明の「会員登録を行った遊技客が所持する会員用媒体」に相当する。 また、先願発明における「制御ユニット328は前記ビジターカードの受付け中において、新たに前記会員カードを受け付けられたか否かを判定し」、「前記ビジターカードの受付け中において新たに前記会員カードを受付けたことを条件に」について、制御ユニット328はビジターカードを受け付けること及び会員カードを受け付けることは自明であり、これらは本件補正発明の「台間装置」が「一般用媒体受付工程」及び「会員用媒体受付工程」を行うことに相当する。 さらに、先願発明における「制御ユニット328は前記ビジターカードの受付け中において、新たに前記会員カードを受け付けられたか否かを判定し」、「前記ビジターカードの受付け中において新たに前記会員カードを受付けたことを条件に」は、本件補正発明の「前記会員用媒体受付工程により前記会員用媒体が受け付けられたか否かを判定する判定工程」と、「前記判定工程により前記会員用媒体が受け付けられたと判定された場合」に相当する。 (オ)先願発明における「制御ユニット328」が実行する「貨幣の受付けに応じて、受付け中のビジターカードに残存するプリペイド残額への入金、或いは新たなビジターカードにプリペイド残額を書き込んで発行する発行・入金処理」に関して、「制御ユニット328」は「受付け中の会員カード或いはビジターカードから読み出したプリペイド残額データに基づくプリペイド残額を使用した玉貸を行う」ことから、「プリペイド残額」は「玉の貸与を受けるために使用されるもの」ということができる。 そうすると、先願発明における「制御ユニット328」が実行する「貨幣の受付けに応じて、受付け中のビジターカードに残存するプリペイド残額への入金、或いは新たなビジターカードにプリペイド残額を書き込んで発行する発行・入金処理」は、本件補正発明の「遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値を一般用媒体と関連付けるための処理」に相当する。 また、先願発明における「制御ユニット328」が実行する「前記カードリーダライタ327に受付け中のカードが前記ビジターカードのときは、該ビジターカードの受付け中に前記計数・払出ユニット4にて計数された追加玉数に基づく持玉数を特定可能な前記持玉数データを記録することにより、該ビジターカードにより該持玉数を特定可能とするための計数対応処理」は、「ビジターカード」に「当日のみ有効な持玉数を特定可能な持玉数データ」が記録されていることから、本件補正発明の「当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるため処理」に相当する。 以上のことから、先願発明における上記「発行・入金処理」と上記「計数対応処理」を合わせた処理工程は、本件補正発明の「遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるための処理を行う一般用媒体関連付け処理工程」に相当する。 (カ)先願発明における「前記計数対応処理を行う制御ユニット328にて該ビジターカードにより特定可能とされる持玉数と、該新たに受付けた会員カードから前記カードリーダライタ327にて読み出した会員IDとを前記計数・払出ユニット4に送信して、該持玉数を該会員IDに対応付けて前記管理コンピュータにおいて記憶されている持玉数に加算更新させる移行処理を行」うことは、「ビジターカード」に「当日のみ有効な持玉数を特定可能な持玉数データ」が記録されていることから、本件補正発明における「前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた獲得遊技媒体数に加算して更新処理する」ことに相当し、先願発明における「制御ユニット328にて該ビジターカードに残存しているプリペイド残高を会員カードに移行するプリペイド残額移行処理を行う」ことは本件補正発明の「前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値に加算して更新処理する」ことに相当する。 そうすると、先願発明における上記「移行処理を行」うことと上記「プリペイド残額移行処理を行う」ことを合わせた処理工程は、本件補正発明の「前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する加算更新工程」に相当する。 (キ)先願発明における「カードユニット3による処理方法」について、先願発明においても「カードユニット3」に含まれる「制御ユニット328」が「計数・払出ユニット4においてパチンコ玉の計数の開始に応じて計数済玉数を更新する計数対応処理、持玉数を会員遊技者の貯蓄玉数に移行するための持玉移行処理」を行うことから、「パチンコ玉の管理」を行うということができ、先願発明における「カードユニット3における処理方法」は本件補正発明の「遊技用媒体管理方法」に相当する。 以上のことから、本件補正発明と先願発明は 「遊技機に対応して設けられ、遊技媒体数が関連付けられた遊技用媒体の処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記台間装置に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技用媒体管理システムに適用する遊技用媒体管理方法であって、 前記台間装置が、前記遊技用媒体として一般の遊技客が所持する一般用媒体を受け付ける一般用媒体受付工程と、 前記台間装置が、会員登録を行った遊技客が所持する会員用媒体を受け付ける会員用媒体受付工程と、 遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるための処理を行う一般用媒体関連付け処理工程と、 前記会員用媒体受付工程により前記会員用媒体が受け付けられたか否かを判定する判定工程と、 前記判定工程により前記会員用媒体が受け付けられたと判定された場合に、前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する加算更新工程と を含んだことを特徴とする遊技用媒体管理方法。」 という点で一致し、実質的な相違点はない。 (4)審判請求人の主張について 審判請求人は平成28年2月12日付け審判請求書の(3)d.本願発明と引用文献との対比において、次の主張をしている。 「本願発明では、「会員用媒体が受け付けられたと判定された場合に、一般用媒体関連付け処理手段による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する」よう構成しています。 つまり、本願発明では、会員用媒体に予め獲得遊技媒体が関連付けられていることを条件として、会員用媒体に獲得遊技媒体数を加算して更新処理するよう構成している点で上記先願1と相違します。 上記先願1において、本願発明のように「会員カードに持玉数が存在する場合でも、持玉数を加算更新する」こととすると、この先願1が企図する効果を奏することができなくなります。 ここで、審査官殿は、旧請求項4に対する拒絶理由において、「先願1の明細書の段落[0259]、[0260]、[0267]?[0294]には、ビジターカードに残存しているプリペイド残額を、会員カードIDに対応付けて記憶されているプリペイド残額に加算更新する旨記載されている。」とご指摘されておられますが、上記のご指摘箇所にはプリペイド残額について記載されているだけであり、持玉数については加算更新致しません。 これらのことから、この先願1のものは、本願発明とは実質的に同一ではございませんので、この先願1を根拠に本願発明の拡大された先願の地位を否定することはできないと考えます。 また、審査官殿は、拒絶査定謄本の理由欄において、「請求項1では、『獲得遊技媒体数』を『遊技客が遊技にて獲得して計数された・・・数』としか特定していないため、請求項1の『会員用媒体に予め関連付けられた・・・獲得遊技媒体数』は持玉数(当日の遊技により獲得された玉数)に限らず、いわゆる貯蓄玉数も含むものであると解される。」とご指摘されました。 かかる審査官殿のご指摘に応答して、「遊技客が遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」との記載を遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」と補正致しましたので、本願発明においては、貯蓄玉数が含まれないこととなりました。 」 そこで、上記主張について検討するに、 ア 上記(1)?(3)において示したとおり、先願発明においても、「会員カードにおいて記憶されている持玉数に加算更新する」ものである以上、「会員用記憶媒体において所有遊技媒体数が存在する場合でも加算更新を行う」ことは明らかであり、また、予め会員用記録媒体に所有遊技媒体数が関連付けられていることは自明である。 イ 本件補正発明における「遊技客が当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」は、「一般用媒体関連付け処理手段による処理の対象となっている」ものであり、「一般用媒体」に関連付けられるにすぎず、「会員用媒体に予め関連付けられた獲得遊技媒体数」は依然としていわゆる貯蓄球数すなわち当日より以前の遊技によって獲得された遊技媒体数を含みうるものである。 ア、イのとおりであるから審判請求人の主張は採用できない。 (5)小括 したがって、本件補正発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本願補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願遡及日時点において、その出願人が先願発明の出願人と同一であるともいえないので、本願補正発明は特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項5に係る発明は、平成27年9月24日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるところ、その請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。 「遊技機に対応して設けられ、遊技媒体数が関連付けられた遊技用媒体の処理を行う台間装置と、前記台間装置と通信可能に設けられ、前記台間装置に関する情報を管理する管理装置とを有する遊技用媒体管理システムに適用する遊技用媒体管理方法であって、 前記台間装置が、前記遊技用媒体として一般の遊技客が所持する一般用媒体を受け付ける一般用媒体受付工程と、 前記台間装置が、会員登録を行った遊技客が所持する会員用媒体を受け付ける会員用媒体受付工程と、 遊技客が遊技媒体の貸与を受けるために使用する有価価値及び遊技客が遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を一般用媒体と関連付けるための処理を行う一般用媒体関連付け処理工程と、 前記会員用媒体受付工程により前記会員用媒体が受け付けられたか否かを判定する判定工程と、 前記判定工程により前記会員用媒体が受け付けられたと判定された場合に、前記一般用媒体関連付け処理工程による処理の対象となっている有価価値及び遊技客が遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数を、前記会員用媒体に予め関連付けられた残有価価値及び獲得遊技媒体数に加算して更新処理する加算更新工程と を含んだことを特徴とする遊技用媒体管理方法。」 2.拒絶理由通知の概要 平成27年7月15日付け拒絶理由通知は、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないというものである。 3.先願明細書等及び先願発明の発明 先願明細書等に記載されている、先願発明の認定は前記「第2 平成28年2月12日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、本件補正発明における「獲得遊技媒体数」について、「当日の遊技にて獲得して計数された獲得遊技媒体数」という記載から、「当日の」という限定を削除したものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の3.に記載したとおり,先願発明と実質的に同一の発明であることから,本願発明も同様の理由により,先願発明と同一の発明であるといえる。 5.むすび 以上のとおり,本願発明は、先願発明の発明と実質的に同一の発明であり、しかも、本願補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願遡及日時点において、その出願人が先願発明の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-10-25 |
結審通知日 | 2016-11-01 |
審決日 | 2016-11-14 |
出願番号 | 特願2014-85872(P2014-85872) |
審決分類 |
P
1
8・
16-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤脇 沙絵、寺田 祥子、尾崎 俊彦 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
加舎 理紅子 川崎 優 |
発明の名称 | 遊技用媒体管理システム及び遊技用媒体管理方法 |
代理人 | 諏訪 淳一 |
代理人 | 中辻 史郎 |