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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1323297
審判番号 不服2016-3903  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-14 
確定日 2017-01-04 
事件の表示 特願2013-105427「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 8日出願公開、特開2014-226159〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月17日の出願であって、平成27年1月29日付けで拒絶理由が通知され、同年4月2日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年8月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月20日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月30日付けで同年10月20日付けの手続補正を却下する決定がなされるとともに拒絶査定がなされたのに対し、平成28年3月14日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年3月14日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年3月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成27年10月20日付けの手続補正は既に却下されている。そして、本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、特許請求の範囲の請求項1は、補正前(平成27年4月2日付け手続補正)の
「所定の開始条件の成立により、内部抽選を行うとともに図柄の変動表示を開始させ、所定の停止条件の成立により、前記図柄の変動の停止制御を行って所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機において、
複数の前記図柄が描かれた円環状のリールと、
前記リールを回転させる駆動装置と、
前記リールおよび前記駆動装置を収納するリールケースと、
を備え、
前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする開口部が形成されていることを特徴とする遊技機。」から、

補正後の
「所定の開始条件の成立により、内部抽選を行うとともに図柄の変動表示を開始させ、所定の停止条件の成立により、前記図柄の変動の停止制御を行って所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機において、
複数の前記図柄が描かれた円環状のリールと、
前記リールを回転させる駆動装置と、
一部が前記駆動装置の近傍に設けられた導体板と、
前記リールおよび前記駆動装置を収納するリールケースと、
を備え、
前記導体板は、複数の前記リールのそれぞれに対応して、前記リールの一方の側面側に設けられ、
前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成されている
ことを特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線は補正箇所を示す。)。

2 本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に対して、以下のように補正することを含むものである。
(a)「一部が前記駆動装置の近傍に設けられた導体板」を発明特定事項として付加する補正
(b)「導体板」について「複数の前記リールのそれぞれに対応して、前記リールの一方の側面側に設けられ」ていることを付加する補正
(c)「リールケース」に「形成されている」「前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする開口部」について、「それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな」もので「一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成されている」ものであることを付加する補正

前記(a)に係る補正は、請求項1における「遊技機」の構成として、補正前の「駆動装置」に関連付けて新たに「導体板」を付加して限定するものであるから、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
また、前記(b)に係る補正は、前記(a)に係る補正で「遊技機」の構成として付加される「導体板」について、さらに「複数の前記リールのそれぞれに対応して、前記リールの一方の側面側に設けられ」ていることを付加して「遊技機」の構成を限定するものであるから、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
前記(c)に係る補正は、請求項1における「開口部」の構成として、「それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな」もので「一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成されている」ものであることを付加して限定するものであるから、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
以上より、本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的するものに該当するものといえる。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、本件の特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-061254号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面の図示と共に、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0022】
…実施例のスロット機20は、図1に示すように、遊技機枠21と、左辺を回動軸として遊技機枠21に回動可能に取り付けられた前面扉22とにより構成されている。
【0023】
前面扉22には、図1,2に示すように、上部に設けられた演出ランプ23a?23cと、遊技の進行に伴って効果音などを発するスピーカ24a,24bと、略中央に配置され内側で回転・停止するリール25L,25C,25Rを表示する表示窓26と、表示窓26の両側に配置されベット数に応じて有効ラインを示すベットランプ27a,27bと、1ベットボタンや清算ボタンなどの各種ボタンを有すると共に賞球数やゲーム数などを表示する操作パネル28と、操作パネル28の下方に設けられ上受け皿29aの前面を覆う上受け皿カバー29と、上受け皿カバー29の左部に設けられ最大ベット数(実施例では、3ベット)をベットするMAXベットボタン30と、上受け皿カバー29の前面に設けられ回転するリール25L,25C,25Rの停止を指示するストップボタン31L,31C,31Rと、上受け皿カバー29の左下に設けられたスタートレバー32とを備え、操作パネル28の1ベットボタンやMAXベットボタン30が押されると上受け皿29aに貯留されている遊技球がベット数に応じて所定数(実施例では、5個/1ベット)取り込まれ、スタートレバー32が操作されるとリール25L,25C,25Rが回転し、ストップボタン31L,31C,31Rの押下に伴って各リール25L,25C,25Rが停止して、その停止図柄に応じて賞球を払い出したりビッグボーナスやレギュラーボーナスなどの特別遊技を開始したりする。」

(イ)「【0025】
スロット機20は、機能的には図4に示すように、メイン制御基板40を中心として構成されている。メイン制御基板40は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、操作パネル28の1ベットボタンやMAXベットボタン30に連動するベットスイッチ41からの入力信号に応じて上受け皿29aから遊技球を取り込む取込装置42に対して駆動信号を出力し、スタートレバー32に連動するスタートスイッチ43やストップボタン31L,31C,31Rに連動するストップスイッチ44L,44C,44Rからの入力信号などに応じてリール25L,25C,25Rの各々に取り付けられているリールモータ45L,45C,45Rに対して駆動信号を出力する。また、メイン制御基板40には各リール25L,25C,25Rの回転位置を検出するためのリールセンサ46R,46C,46Lからの検出信号が入力され、各リール25L,25C,25Rの回転位置を判断できるようになっている。ここで、リールモータ45L,45C,45Rに対する駆動信号の出力やリールセンサ46R,46C,46Lからの検出信号の入力は、メイン-リール中継基板40aを介して行なわれるようになっている。」

(ウ)「【0028】
図7は、リールユニット90の外観を示す斜視図である。リールユニット90は、図示するように、円筒状のリール25L,25C,25Rと各リール25を収納するリールケース91とにより構成されている。リールケース91は、片側に開口部を有する略箱型形状に形成され、開口部の反対側(背面側)の上部に下り傾斜面91aを有すると共に下部に上り傾斜面91bを有し、下り傾斜面91aの外側にはサブ-リール中継基板50aが取り付けられ上り傾斜面91bの外側にはメイン-リール中継基板40aが取り付けられている。このように、リールケース91の下り傾斜面91aや上り傾斜面91bにサブ-リール中継基板50aやメイン-リール中継基板40aを取り付けることにより、円筒状の各リール25の背面側の上下部に生じるスペースを有効に活用することができるのである。また、前述したように、リールユニット90の上面に沿ってサブ制御基板50が配置されリールユニット90の下方向左側にメイン制御基板40が配置されているから、サブ制御基板50とサブ-リール中継基板50aとの電気配線やメイン制御基板40とメイン-リール中継基板40aとの電気配線をより短くすることができるのである。こうしたリールユニット90は、リールケース91の開口部に露出する各リール25に配列された図柄が前面扉22の表示窓26に表示されるように配置されている。」

(エ)図7はリールユニット90の外観を示す斜視図であって、同図から、リールケース91は、開口部の反対側(背面側)の中部に、各リール25L,25C,25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して一つずつそれぞれ形成され、また、上面側に、リール25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな二つの開口部が形成され、さらに、側面側に、リール25Rを視認可能とする複数の開口部が形成されていることが見てとれる。

上記の記載事項(ア)?(エ)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。

「操作パネル28の1ベットボタンやMAXベットボタン30が押されると上受け皿29aに貯留されている遊技球がベット数に応じて所定数(実施例では、5個/1ベット)取り込まれ、スタートレバー32が操作されるとリール25L,25C,25Rが回転し、ストップボタン31L,31C,31Rの押下に伴って各リール25L,25C,25Rが停止して、その停止図柄に応じて賞球を払い出したりビッグボーナスやレギュラーボーナスなどの特別遊技を開始したりするスロット機20において、
リール25L,25C,25Rの各々に取り付けられているリールモータ45L,45C,45Rと、
円筒状のリール25L,25C,25Rと、
各リール25を収納するリールケース91と、
各リール25に配列された図柄と、
を備え、
リールケース91は、片側に開口部を有する略箱型形状に形成され、開口部の反対側(背面側)の中部に、各リール25L,25C,25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して一つずつそれぞれ形成され、また、上面側に、リール25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな二つの開口部が形成され、さらに、側面側に、リール25Rを視認可能とする複数の開口部が形成されている
スロット機20。」(以下、「引用発明」という。)

イ 本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-112426号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面の図示と共に、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0056】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るドラム式図柄表示装置20の作用に付き説明する。前記ドラム式図柄表示装置20に設けられる各図柄表示ユニット21は、ベース板金27に駆動モータ31を配設して、該駆動モータ31をプリント配線板24に開設した開口部24aに挿通した状態で、プリント配線板24とベース板金27とを固定することで、図柄表示ユニット21の支持板23を構成している。このように、プリント配線板24に対してベース板金27を重ねることで、図柄表示ユニット21(支持板23)の剛性を飛躍的に高めることができる。このとき、前記プリント配線板24には、前記駆動モータ31に配線接続される第2コネクタ受け部26bや、照明手段41のLED42を表面実装したことで、プリント配線板24の裏面から部品リードが突出することはなく、該部品リードを逃がすための逃げ孔をベース板金27に設ける必要がない。従って、ベース板金27によるプリント配線板24の補強効果の低下を招来することはなく、またベース板金27の加工に要する手間を省略してコストの低減を図り得る。そして、ベース板金27に駆動モータ31が取り付けられることで、ベース板金27が所謂ヒートシンクとして機能し、該駆動モータ31の過熱を防止することができる。」

(2)補正発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「操作パネル28の1ベットボタンやMAXベットボタン30が押されると上受け皿29aに貯留されている遊技球がベット数に応じて所定数(実施例では、5個/1ベット)取り込まれ、スタートレバー32が操作される」ことは、補正発明の「所定の開始条件の成立」に相当する。
また、「図柄」が「配列された」「リール25L,25C,25Rが回転」することが、補正発明の「図柄の変動表示を開始させ」ることに相当する。
そして、引用発明の「ストップボタン31L,31C,31Rの押下」は、補正発明の「所定の停止条件の成立」に相当する。
さらに、引用発明は「停止図柄に応じて賞球を払い出したりビッグボーナスやレギュラーボーナスなどの特別遊技を開始したりするスロット機20」であるから、補正発明のように「内部抽選を行」い、その抽選結果に応じて「図柄の変動の停止制御を行」うものであることは技術常識から明らかである。
また、引用発明の「各リール25L,25C,25Rが停止して、その停止図柄に応じて賞球を払い出したりビッグボーナスやレギュラーボーナスなどの特別遊技を開始したりするスロット機20」は、補正発明の「所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機」に相当する。
以上より、引用発明の「操作パネル28の1ベットボタンやMAXベットボタン30が押されると上受け皿29aに貯留されている遊技球がベット数に応じて所定数(実施例では、5個/1ベット)取り込まれ、スタートレバー32が操作されるとリール25L,25C,25Rが回転し、ストップボタン31L,31C,31Rの押下に伴って各リール25L,25C,25Rが停止して、その停止図柄に応じて賞球を払い出したりビッグボーナスやレギュラーボーナスなどの特別遊技を開始したりするスロット機20」は、補正発明の「所定の開始条件の成立により、内部抽選を行うとともに図柄の変動表示を開始させ、所定の停止条件の成立により、前記図柄の変動の停止制御を行って所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機」に相当するといえる。

イ 引用発明の「各リール25に配列された図柄」が複数の図柄であることは自明であるから、引用発明の「図柄」が「配列された」「円筒状のリール25L,25C,25R」は、補正発明の「複数の前記図柄が描かれた円環状のリール」に相当する。

ウ 引用発明の「リール25L,25C,25Rの各々に取り付けられているリールモータ45L,45C,45R」は、「リール25L,25C,25R」を回転させるものであることは明らかである。
また、リールモータはリールケースに収納されるのが一般的であり、刊行物1の段落【0004】の「リール…をコンパクトに配置する」という記載や、図7のリールユニットの外観からリールケースの外側にリールモータが取り付けられていないことからも、「リール25L,25C,25Rの各々に取り付けられているリールモータ45L,45C,45R」はリールケースに収納されているものと解される。
以上より、引用発明の「各リール25を収納するリールケース91」は、補正発明の「前記リールおよび前記駆動装置を収納するリールケース」に相当するといえる。

オ 引用発明の「リールケース91は、片側に開口部を有する略箱型形状に形成され、開口部の反対側(背面側)の中部に、各リール25L,25C,25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して一つずつそれぞれ形成され」「ている」ことと、補正発明の「前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成されている」こととは、「前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が少なくとも一つの前記リールに対してそれぞれ形成されている」点で共通する。

そうすると、両者は
「所定の開始条件の成立により、内部抽選を行うとともに図柄の変動表示を開始させ、所定の停止条件の成立により、前記図柄の変動の停止制御を行って所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機において、
複数の前記図柄が描かれた円環状のリールと、
前記リールを回転させる駆動装置と、
前記リールおよび前記駆動装置を収納するリールケースと、
を備え、
前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対してそれぞれ形成されている
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
補正発明では「一部が前記駆動装置の近傍に設けられた導体板」であって「複数の前記リールのそれぞれに対応して、前記リールの一方の側面側に設けられ」た「導体板」を備えているのに対し、引用発明ではそのような特定がされていない点。

(相違点2)
リールケースにおいて、リールの他方を覆う壁面のリールと対向する位置に、一つのリールに対してそれぞれ形成されている、それぞれリールに描かれた図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が、補正発明では「二つ」であるのに対し、引用発明では「一つ」である点。

(3)相違点についての検討・判断
(相違点1について)
刊行物2には前記(1)のイで記載したように、ドラム式図柄表示装置20に設けられる各図柄表示ユニット21において、ベース板金27に駆動モータ31が取り付けられることで、ベース板金27が所謂ヒートシンクとして機能し、該駆動モータ31の過熱を防止することができる旨記載されている。
そして、引用発明においてリールケースに開口が形成されていることから過熱に関する課題も内在しているといえるから、引用発明の「リールモータ45L,45C,45R」にこの刊行物2に記載された技術事項を適用して相違点1に係る補正発明の構成にすることは、当業者が容易になし得るものである。

(相違点2について)
引用発明のリールケース91は、背面側に、各リール25L,25C,25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな開口部が一つの前記リールに対して一つずつそれぞれ形成されているだけでなく、上面側に、リール25Rに配列された図柄を視認可能とする程度に大きな二つの開口部が形成され、さらに、側面側に、リール25Rを視認可能とする複数の開口部が形成されている。
そして、リールケースの各面において、リールを視認可能とする開口部をどのように形成するかは、リールケース91の強度、リールの視認性、通気性、軽量化、組み付け易さ等を勘案しながら当業者が適宜選択し得る設計的事項というべきであり、引用発明のリールケース91の上面側のように開口部を一つのリール25Rに対して二つとする構成を、背面側の各リール25L,25C,25Rに対応した「一つ」の開口部に適用して、相違点2に係る補正発明の構成にすることは当業者が容易になし得るものである。

請求人は、補正発明が、図6等に示すように、通気孔721aと通気孔721d、通気孔721bと通気孔721e、通気孔721cと通気孔721fとの間に、十分な太さのリールフレーム720があるため、リールケースとしての十分な強度も保つことができる旨主張するが、十分な太さのリールフレームについては請求項1には特定されておらず、請求項1の記載に基づかない主張である。また、請求人の主張を、補正発明が、開口部を一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成することで、二つの開口部の間にリールフレームが形成されるため、リールケースとしての十分な強度を保つことができる旨の主張と善解しても、例えば、引用発明のリールケース91の上面側や側面側において二つの開口部の間に形成されるリールフレームがリールケースとしての十分な強度を保つことに資することは当業者に明らかであり、請求人が主張する作用効果は、当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。

(4)小括
以上のとおり、補正発明は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明に対する判断
1 本願発明の認定
平成28年3月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年4月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであると認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「所定の開始条件の成立により、内部抽選を行うとともに図柄の変動表示を開始させ、所定の停止条件の成立により、前記図柄の変動の停止制御を行って所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合に、遊技利益を付与する遊技機において、
複数の前記図柄が描かれた円環状のリールと、
前記リールを回転させる駆動装置と、
前記リールおよび前記駆動装置を収納するリールケースと、
を備え、
前記リールケースは、前記リールの一方を表出させ、前記リールの他方を覆う壁面の前記リールと対向する位置に、前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする開口部が形成されていることを特徴とする遊技機。」

2 平成28年8月28日付け最後の拒絶理由の概要及び刊行物
(1)平成28年8月28日付け最後の拒絶理由の概要は以下のとおりである。
ア 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

イ 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2006-061254号公報

(2)刊行物1の記載事項は、前記第2の3の(1)のアに記載したとおりである。

3 判断
本願発明は、補正発明における「一部が前記駆動装置の近傍に設けられた導体板」であって、その「導体板」が「複数の前記リールのそれぞれに対応して、前記リールの一方の側面側に設けられ」たものであるという「遊技機」としての限定を省き、「リールケース」に「形成されている」「前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする開口部」について、「それぞれ前記リールに描かれた前記図柄を視認可能とする程度に大きな」もので「一つの前記リールに対して二つずつそれぞれ形成されている」ものであるとの限定を省いたものである。
そうすると、前記第2の3の(2)において検討したように、本願発明と引用発明に相違点はなく、一致するといえる。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-31 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-14 
出願番号 特願2013-105427(P2013-105427)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之井海田 隆  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 藤田 年彦
小島 寛史
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  
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