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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C08J 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08J 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08J |
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管理番号 | 1323461 |
異議申立番号 | 異議2016-700257 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-03-29 |
確定日 | 2016-10-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5786217号発明「コンポジット成形体及びシリカガラス、並びに、それらの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5786217号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-16〕について訂正することを認める。 特許第5786217号の請求項2ないし7、12ないし16に係る特許を維持する。 特許第5786217号の請求項1及び請求項8ないし11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯等 特許第5786217号(設定登録時の請求項の数は16。以下、「本件特許」という。)は、平成22年7月7日(優先権主張 平成21年7月8日 平成22年2月16日)を国際出願日とする特願2011-521951号に係るものであって、平成27年8月7日に設定登録された。 特許異議申立人 山田宏基(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成28年3月29日、本件特許の請求項1ないし16に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。 当審において、平成28年5月24日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、同年7月8日付けで、訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)及び意見書を提出したので、異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年8月16日付けで意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正の内容は以下のア?セのとおりである。なお、下線については訂正箇所に当審が付したものである。 訂正事項ア 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 訂正事項イ 本件訂正前の請求項2に、 「前記ナノポアの径が、5?50nmである、請求項1に記載のコンポジット成形体。」 とあったのを、請求項1を引用するものを独立形式に改め、 「ヒュームドシリカのナノ粒子と有機高分子とを含み、前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、 前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されており、前記ナノポアの径が、5?50nmであり、前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下である、コンポジット成形体。」 に訂正する。 訂正事項ウ 本件訂正前の請求項3に、「請求項1又は2に記載の」とあったのを、「請求項2に記載の」に訂正する。 訂正事項エ 本件訂正前の請求項4に、「請求項1?3のいずれかに記載の」とあったのを、「請求項2又は3に記載の」に訂正する。 訂正事項オ 本件訂正前の請求項5に、「請求項1?4のいずれかに記載の」とあったのを、「請求項2?4のいずれかに記載の」に訂正する。 訂正事項カ 本件訂正前の請求項6に、「請求項1?5のいずれかに記載の」とあったのを、「請求項2?5のいずれかに記載の」に訂正する。 訂正事項キ 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 訂正事項ク 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 訂正事項ケ 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 訂正事項コ 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 訂正事項サ 本件訂正前の請求項12に、「前記混合液のpHを2.0以上4.0以下とする、請求項11に記載のコンポジット成形体の製造方法。」とあったのを、請求項11を引用するものを独立形式に改め、 「ヒュームドシリカのナノ粒子を溶媒に分散させて分散液を調整する、第1の調整工程、有機高分子を溶媒に溶解させて有機溶液を調整する、第2の調整工程、前記分散液と前記溶液とを混合して混合液とする、混合工程、及び前記混合液を乾燥させて、前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されてなる成形体とする、乾燥工程を備え、前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、前記成形体における前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下であり、前記混合液のpHを2.0以上4.0以下とするコンポジット成形体の製造方法。」に訂正する。 訂正事項シ 本件訂正前の請求項13に、「請求項11又は12に記載の」とあったのを、「請求項12に記載の」に訂正する。 訂正事項ス 本件訂正前の請求項14に、「請求項11?13のいずれかに記載の」とあったのを、「請求項12又は13に記載の」に訂正する。 訂正事項セ 本件訂正前の請求項15に、「請求項11?14のいずれかに記載の」とあったのを、「請求項12?14のいずれかに記載の」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項ア及びキないしコについて 訂正事項ア及びキないしコは、特許請求の範囲の請求項1、請求項8ないし11を削除するというものであるから、当該訂正事項ア及びキないしコは、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正事項ア及びキないしコは、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項イについて 訂正事項イは、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正である。 そして、当該訂正事項イは、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3) 訂正事項ウないしカについて 訂正事項ウないしカは、訂正前の請求項3ないし6が請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1を引用しないものとする訂正であるから、請求項間の引用関係を解消し、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正である。 そして、当該訂正事項ウないしカは、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4) 訂正事項サについて 訂正事項サは、訂正前の請求項12が請求項11を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正である。 そして、当該訂正事項サは、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5) 訂正事項シないしセについて 訂正事項シないしセは、訂正前の請求項13ないし16が請求項11の記載を引用する記載であったものを、請求項11を引用しないものとする訂正であるから、請求項間の引用関係を解消し、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正である。 そして、当該訂正事項シないしセは、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6) 一群の請求項について 上記訂正事項ア?セの訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-10][11-16]について、一群の請求項ごとに訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項2ないし7、12ないし16に係る発明(以下、それぞれ「本件発明2」ないし「本件発明7」、「本件発明12」ないし「本件発明16」という。)は、平成28年7月8日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2ないし7、12ないし16に記載された事項により特定される以下に記載のとおりのものである。 「【請求項2】 ヒュームドシリカのナノ粒子と有機高分子とを含み、 前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、 前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、 前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されており、 前記ナノポアの径が、5?50nmであり、 前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下である、 コンポジット成形体。 【請求項3】 BET法に基づく比表面積が50m^(2)/g以上250m^(2)/g以下である、請求項2に記載のコンポジット成形体。 【請求項4】 前記ポリビニルアルコールのけん化度が、80%以上100%以下である、請求項2又は3に記載のコンポジット成形体。 【請求項5】 導電体が、成形体の表面又は内部に設けられている、請求項2?4のいずれかに記載のコンポジット成形体。 【請求項6】 成形体の少なくとも一部に金属又は金属酸化物由来の元素を含むドープ領域が設けられている、請求項2?5のいずれかに記載のコンポジット成形体。 【請求項12】 ヒュームドシリカのナノ粒子を溶媒に分散させて分散液を調整する、第1の調整工程、 有機高分子を溶媒に溶解させて有機溶液を調整する、第2の調整工程、 前記分散液と前記溶液とを混合して混合液とする、混合工程、及び 前記混合液を乾燥させて、前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されてなる成形体とする、乾燥工程を備え、 前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、 前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、 前記成形体における前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下であり、 前記混合液のpHを2.0以上4.0以下とする コンポジット成形体の製造方法。 【請求項13】 前記乾燥工程により得られた前記成形体を、金属又は金属酸化物由来の元素を含む溶液と接触させる、ドープ工程をさらに備える、請求項12に記載のコンポジット成形体の製造方法。 【請求項14】 前記成形体の表面又は内部に導電体を配設する、配設工程をさらに備える、請求項12又は13のいずれかに記載のコンポジット成形体の製造方法。 【請求項15】 請求項12?14のいずれかに記載のコンポジット成形体の製造方法によって得られたコンポジット成形体を焼成する、焼成工程を備える、シリカガラスの製造方法。 【請求項16】 前記コンポジット成形体をさらに成形・加工したのち、前記焼成工程に供する、請求項15に記載のシリカガラスの製造方法。」 第4 取消理由の概要 平成28年5月24日付けで通知した取消理由は、本件特許の請求項1、3?7、11、13?16についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきもの(取消理由1)というものと、本件特許の請求項8?10についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきもの(取消理由2)というものである。 第5 取消理由に対する当審の判断 上記取消理由1及び2に係る請求項は、本件訂正により削除されたので、当審は、いずれの取消理由も採用する余地はないから、訂正後の請求項2ないし7、12ないし16に係る発明についての特許は、いずれも取り消すべきものでなく、また、訂正後の請求項1及び8ないし11については、いずれも削除されたことにより、請求項1及び8ないし11についての特許異議申立は、いずれも不適法なものとして却下すべきもの、と判断する。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由について 1 特許異議申立書に添付された甲1(特開2002-145633号公報)及び甲2(Langmuir 2009,25(11),6155-6161)に基づく特許法第29条第2項(進歩性)について 甲1には、ヒュームドシリカと極性溶媒からなるシリカスリラーを乾燥させた石英ガラス前駆体(本件発明2における「コンポジット成形体」)が記載されていて、「PVA等の水溶性高分子・・を添加して石英ガラス前駆体を粉砕しやすくすることができる。」との記載がある。 しかしながら、当該PVA(本件発明2のポリビニルアルコール)の分子量および配合量について記載がなく、本件発明2において特定するポリビニルアルコール(PVA)の当該数値範囲を選択することによる効果は、甲1及びその他あの提示された証拠からは予測できないから、本件発明2は、少なくとも特定の分子量と特定の配合量のポリビニルアルコールを利用する点で、当業者が甲1に記載の発明から想到容易とはいえない。 甲2には、HS-30(コロイダルシリカ)、ポリビニルアルコール(PVA)、水から構成されるサスペンションであって、ポリビニルアルコールとして分子量(31-50)×10^(3)g/molのものを利用し、シリカ/PVA/DI水溶液の加重関数を10:5:85としたものが記載されている。 しかしながら、ポリビニルアルコールの数平均重合度は不明であって、HS-30(コロイダルシリカ)に対するポリビニルアルコールの重量比は0.5であって本件発明2とは相違し、さらに、HS-30は、分散性のよいコロイダルシリカであって、当該HS-30を分散性が悪いヒュームドシリカとする動機もないことから、本件発明2は、甲2に記載の発明から想到容易とはいえない。 2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)違反について 本件発明2の解決課題である「例えば、導電性が付与されたシリカガラスの製造にも好適に用いられ得る」「シリカ微小光学部品を簡便に低コストで開発可能な加工技術」により「成形加工性に優れた」「コンポジット成形体を提供」(本件特許明細書の【0004】?【0009】)することは、本件発明2の発明特定事項で特定されるコンポジット成形体により当該課題が解決されることが、本件特許明細書の記載(具体的には、段落【0012】【0013】において、径が5?50のナノポアを有する構造とすることで、十分な強度とシリカガラスの収縮量を低減できること、段落【0015】において、シリカナノ粒子に対する有機高分子(審決注:ポリビニルアルコール)の重量比が、0.02以上0.45以下であることで、成形加工性に優れたコンポジット成形体となること、段落【0017】において、有機高分子がポリビニルアルコールであることで、3次元ネットワークを適切に構成でき、成形加工性にも優れたコンポジット成形体とできること、段落【0018】において、ポリビニルアルコールの分子量を1000以上1600以下とすることで、コンポジット成形体の成形加工性が一層向上すること)から、当業者に理解できるから、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足している。本件発明3ないし7も同様である。 コンポジット成形体の製造方法である本件発明12についても、本件発明12の発明特定事項で特定されるコンポジット成形体の製造方法により当該課題が解決されることが、本件特許明細書の記載(具体的には、段落【0031】【0055】において、混合液のpHを2.0?4.0とすることで所望のナノポアを形成できること、段落【0015】において、シリカナノ粒子に対する有機高分子(審決注:ポリビニルアルコール)の重量比が、0.02以上0.45以下であることで、成形加工性に優れたコンポジット成形体となること、段落【0017】において、有機高分子がポリビニルアルコールであることで、3次元ネットワークを適切に構成でき、成形加工性にも優れたコンポジット成形体とできること、段落【0018】において、ポリビニルアルコールの分子量を1000以上1600以下とすることで、コンポジット成形体の成形加工性が一層向上すること)から、当業者に理解できるから、本件発明12は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足している。本件発明13ないし16も同様である。 異議申立人は、サポート要件に関し、本件特許の発明の詳細な説明には、P1について「0.25」の実施例しか記載されていないから、P1が0.02以上0.45以下の範囲全体にまで拡張ないし一般化できない旨主張する。 しかしながら、上記のとおり、発明の詳細な説明の記載から、当業者は本件発明2及び本件発明12により、本件発明の課題が解決できると理解できるから、上記異議申立人の主張は採用できない。 また、異議申立人は、本件発明のコンポジット成形体の製造方法には、混合液のpHを2.0以上4.0以下とすることが特定されておらず、本件発明の課題解決に必須の構成が記載されていないから、サポート要件を満足していない旨主張する。 しかしながら、本件発明12において、発明特定事項として、混合液のpHを2.0以上4.0以下とすることが特定されたので、請求人の前記主張は採用できない。 さらに、異議申立人は、甲4号証に基づいて、本件発明の発明特定事項を満足していても、本件発明の課題を解決できないから、サポート要件を満足していない旨主張する。 しかしながら、本件発明の課題は、上記のとおり「例えば、導電性が付与されたシリカガラスの製造にも好適に用いられ得る」「シリカ微小光学部品を簡便に低コストで開発可能な加工技術」により「成形加工性に優れた」「コンポジット成形体を提供」することであって、その「成形加工性」を特定のもの以上とするものでないから、従来の成形加工性と対比して優れていれば良いものと解される。 そして、甲4に記載の成形加工性の評価基準は、甲4において定められた特定の基準であるから、甲4の記載から直ちに、従来の成形加工性との対比の結果、本件発明の課題が解決されていないことにはならない。 そうすると、甲4に記載の事項に基づいて、本件発明の発明特定事項を満足していても、本件発明の課題を解決できないということにはならないから、異議申立人の主張は失当であって、採用できない。 3 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)違反について 本件特許の請求項12ないし16に係る発明であるコンポジット成形体の製造方法は、本件特許の明細書の記載及び当業者の技術常識を参酌すれば、本件特許の出願時の当業者において、実施でき、本件特許の請求項2ないし6にかかる発明のコンポジット成形体を得ることができると認められるので、実施可能要件を満足している。 第7 平成28年8月16日付け意見書において異議申立人が主張する取消理由について 平成28年8月16日付け意見書において異議申立人が主張する取消理由について検討しても、当該理由により、訂正後の請求項2ないし7、12ないし16に係る発明についての特許を取り消すことはできない。なお、異議申立人が当該意見書において主張する取消理由は、当初の申し立て理由とは異なる理由であって、本件訂正により、新たに生じたものでもない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由1ないし2によっては、本件特許の請求項2ないし7、12ないし16に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項2ないし7、12ないし16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項1及び請求項8ないし11は、本件訂正により削除されたので、本件特許の請求項1及び請求項8ないし11に係る特許についての特許異議申立は不適法なものであり、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 ヒュームドシリカのナノ粒子と有機高分子とを含み、 前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、 前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、 前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されており、 前記ナノポアの径が、5?50nmであり、 前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下である、 コンポジット成形体。 【請求項3】 BET法に基づく比表面積が50m^(2)/g以上250m^(2)/g以下である、請求項2に記載のコンポジット成形体。 【請求項4】 前記ポリビニルアルコールのけん化度が、80%以上100%以下である、請求項2又は3に記載のコンポジット成形体。 【請求項5】 導電体が、成形体の表面又は内部に設けられている、請求項2?4のいずれかに記載のコンポジット成形体。 【請求項6】 成形体の少なくとも一部に金属又は金属酸化物由来の元素を含むドープ領域が設けられている、請求項2?5のいずれかに記載のコンポジット成形体。 【請求項7】 成形体の少なくとも一部に金属又は金属酸化物由来の元素を含むドープ領域が設けられており、前記導電体が、該ドープ領域と接触するように設けられている、請求項5に記載のコンポジット成形体。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 ヒュームドシリカのナノ粒子を溶媒に分散させて分散液を調整する、第1の調整工程、 有機高分子を溶媒に溶解させて有機溶液を調整する、第2の調整工程、 前記分散液と前記溶液とを混合して混合液とする、混合工程、及び 前記混合液を乾燥させて、前記ナノ粒子が前記有機高分子中に分散されてなるとともに、前記有機高分子の部分にナノポアが形成されてなる成形体とする、乾燥工程 を備え、 前記有機高分子がポリビニルアルコールであり、 前記ポリビニルアルコールの数平均重合度が1000以上1600以下であり、 前記成形体における前記ナノ粒子に対する前記有機高分子の重量比が0.02以上0.45以下であり、 前記混合液のpHを2.0以上4.0以下とする コンポジット成形体の製造方法。 【請求項13】 前記乾燥工程により得られた前記成形体を、金属又は金属酸化物由来の元素を含む溶液と接触させる、ドープ工程をさらに備える、請求項12に記載のコンポジット成形体の製造方法。 【請求項14】 前記成形体の表面又は内部に導電体を配設する、配設工程をさらに備える、請求項12又は13に記載のコンポジット成形体の製造方法。 【請求項15】 請求項12?14のいずれかに記載のコンポジット成形体の製造方法によって得られたコンポジット成形体を焼成する、焼成工程を備える、シリカガラスの製造方法。 【請求項16】 前記コンポジット成形体をさらに成形・加工したのち、前記焼成工程に供する、請求項15に記載のシリカガラスの製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-10-20 |
出願番号 | 特願2011-521951(P2011-521951) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J) P 1 651・ 536- YAA (C08J) P 1 651・ 113- YAA (C08J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岸 進 |
特許庁審判長 |
小柳 健悟 |
特許庁審判官 |
前田 寛之 大島 祥吾 |
登録日 | 2015-08-07 |
登録番号 | 特許第5786217号(P5786217) |
権利者 | 国立大学法人九州大学 |
発明の名称 | コンポジット成形体及びシリカガラス、並びに、それらの製造方法 |
代理人 | 山本 典輝 |
代理人 | 山下 昭彦 |
代理人 | 岸本 達人 |
代理人 | 山下 昭彦 |
代理人 | 岸本 達人 |
代理人 | 山本 典輝 |