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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1323467
異議申立番号 異議2016-700350  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-25 
確定日 2016-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5800586号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5800586号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第5800586号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許5800586号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は,平成23年6月15日に特許出願され,平成27年9月4日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,特許異議申立人により特許異議の申立てがされ,平成28年6月27日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である同年8月25日に意見書の提出及び訂正の請求があり,その訂正の請求に対して特許異議申立人から同年10月5日に意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における「光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して配設される複数の導光板と,」という記載を,「光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して表示装置の前面側に配設される複数の導光板と,」に訂正する。

イ 訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項1における「複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ,」という記載を,「複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ,前記発光部は,前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され,」に訂正する。

ウ 訂正事項3
本件特許明細書の段落【0007】の
「前記課題を解決するために,本発明の請求項1に記載の遊技機は,
遊技を行うことが可能な遊技機(スロットマシン1/パチンコ遊技機601)であって,
光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して配設される複数の導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}と,
複数の導光板の各々に対応し,導光板の端面(上端面505H)に光を入射可能に設けられる複数の発光体(表示用LED62a,62b)と,を備え,
複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部(反射部510a?510c,511a?511c)が設けられ,
複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に,発光体からの入射光を導光板の板厚(前後)方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており,
前記集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}は,
発光体(表示用LED62a,62b)に対向して配置される入射側端面(上端面507H)と,
導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の端面(上端面505H)に対向して配置される出射側端面(下端面507L)と,を備え,
前記出射側端面(L1)は,前記入射側端面(L2)よりも短寸に形成されている{L1<L2,(図13参照)}とともに,導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている,
ことを特徴としている。」という記載を,
「前記課題を解決するために,本発明の請求項1に記載の遊技機は,
遊技を行うことが可能な遊技機(スロットマシン1/パチンコ遊技機601)であって,
光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して表示装置の前面側に配設される複数の導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}と,
複数の導光板の各々に対応し,導光板の端面(上端面505H)に光を入射可能に設けられる複数の発光体(表示用LED62a,62b)と,を備え,
複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部(反射部510a?510c,511a?511c)が設けられ,
前記発光部は,前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され,
複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に,発光体からの入射光を導光板の板厚(前後)方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており,
前記集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}は,
発光体(表示用LED62a,62b)に対向して配置される入射側端面(上端面507H)と,
導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の端面(上端面505H)に対向して配置される出射側端面(下端面507L)と,を備え,
前記出射側端面(L1)は,前記入射側端面(L2)よりも短寸に形成されている{L1<L2,(図13参照)}とともに,導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている,
ことを特徴としている。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
ア 訂正事項1
訂正事項1は,「複数の導光板」について,「表示装置の前面側」に配設されることに具体的に限定するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また,本件特許明細書の段落【0009】には,「遊技者から見て前記導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の奥側(背面側)に表示装置(液晶表示器51)が設けられている」こと,段落【0090】には,「表示ユニット550は,液晶表示器51と,該液晶表示器51の前面側に配置された表示装置500と,が一体的に組み付けられてなる」こと,段落【0091】には,「表示装置500は,光を透過可能な透光性を有する前導光板505a及び後導光板505bからなる導光板505と,・・・,から主に構成されている」こと,とが記載されており,導光板(導光板505)は表示装置(液晶表示器51)の前面側に配置されているといえる。
このことから,訂正事項1は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
したがって,訂正事項1は,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2
訂正事項2は,「発光部」について,「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」ることに具体的に限定するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

また,本件特許明細書の段落【0007】には,「前記導光板に,該導光板の端面から内部に入射された前記発光体からの入射光により発光する発光部(反射部510a?510c,511a?511c)が設けられ」ること,段落【0100】には,「反射部510a?510c,511a?511cは枠線で囲まれた文字や絵柄として表されているが,実際には枠線はなく,上記ドット等の集まりにより文字や絵柄が形成されている。」こと,段落【0101】には,「導光板505により表示可能とする表示情報として,文字や絵柄が例示されているが,これら以外にも,記号,図柄,あるいは模様等の装飾も含む他の表示情報を表示可能としてもよい」こと,段落【0130】には,「下端面507Lから出射された光は,導光板505の上端面505Hに入射され,前後面により全反射を繰り返しながら下方に誘導されていく。そして,反射部510a?510c,511a?511cに到達したときに,凹部により形成された反射面にて入射光が前面側に向けて反射されることで,遊技者からは,それぞれの反射部510a?510c,511a?511cに対応する箇所が反射光により発光されることで,所定の文字やキャラクタ等の表示情報が表示されるようになる。」こととが記載されており,発光部(反射部510a?510c,511a?511c)は,入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が導光板(導光板505)に表示されるように形成されるといえる。
このことから,訂正事項2は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
したがって,訂正事項2は,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3
訂正事項3は,訂正事項1及び2の訂正により,訂正前の請求項1における特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった明細書の段落【0007】の記載を,訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

そして,補正事項3は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
したがって,訂正事項3は,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,訂正後の請求項1について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「遊技を行うことが可能な遊技機であって,
光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して表示装置の前面側に配設される複数の導光板と,
複数の導光板の各々に対応し,導光板の端面に光を入射可能に設けられる複数の発光体と,を備え,
複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ,
前記発光部は,前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され,
複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に,発光体からの入射光を導光板の板厚方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており,
前記集光部材は,
発光体に対向して配置される入射側端面と,
導光板の端面に対向して配置される出射側端面と,を備え,
前記出射側端面は,前記入射側端面よりも短寸に形成されているとともに,導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている,
ことを特徴とする遊技機。」

(2)取消理由の概要
訂正前の本件特許に対して平成28年6月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。

本件特許の請求項1に係る発明は,甲第1?3号証に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(3)甲号証の記載
ア 甲第1号証について
甲第1号証(特開2004-118207号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0004】
まず,エッジ方式の液晶表示装置のバックライトアセンブリは,ランプが光を案内する導光板の側面に配置される形式のもので,光の均一性が優れ,耐久寿命が長く,液晶表示装置のコンパクト化に有利であるが,液晶表示装置を大型化する場合には直下方式の液晶表示装置に比べて相対的に輝度が低いという短所があるので,主に,ラップタイプ型コンピュータ及びデスクタップ型コンピュータのモニタのように,比較的にサイズの小さい液晶表示装置に適用される。」

(イ)「【0027】
バックライトアセンブリ20は,液晶表示パネル10の後方に相互に離隔間隔をおいて配置される第1導光板21及び第2導光板22と,各導光板21,22の縁部の周りの少なくとも一領域に配置されて各導光板21,22に向け光を照射する第1照明部23及び第2照明部24と,を含む。
【0028】
第1導光板21と第2導光板22との間には離隔部25が介在し,第1導光板21と第2導光板22とは相互に平行に離隔間隔を有する。各照明部23,照明部24は,第1導光板21及び第2導光板22の板面方向の外側において支持フレーム28により囲まれて収容支持される。ここで,離隔部25は,第1照明部23と第2照明部24の間を相互に隔離させることにより,両照明部23,24の間の電気的な干渉を除去する。また,支持フレーム28の内部は,離隔部25により前方及び後方収容空間として区切られる。本発明の実施形態では,離隔部25と支持フレーム28とが一体に形成される形式を採用している。
【0029】
第1導光板21は,その後方が離隔部25により接触支持されて支持フレーム28の前方の収容空間に収容される。また,第2導光板22は,その前方が離隔部25により接触支持されて支持フレーム28の後方収容空間に収容される。即ち,第1導光板21及び第2導光板22は,離隔部25により相互に所定の離隔間隔を有するように配置されて,支持フレーム28の前方及び後方の収容空間にそれぞれ収容される。」

(ウ)「【0030】
第1導光板21の後方側の板面には,光拡散部21aが設けられる。光拡散部21aは,第2導光板22及び第1照明部23からの光を液晶表示パネル10に向けて拡散させることにより,第2導光板22及び第1照明部23からの光を液晶表示パネル10の全領域に均一に分布させるようにして,液晶表示装置1の輝度を向上させる。ここで,光拡散部21aは,第1導光板21の後方側の板面を凹凸パターン形状に形成して設けることもでき,光拡散インクを第1導光板21の後方側の板面に印刷したり,第1導光板21の内部に光を散乱させられることができる材料を混入して出光機能を有するように設けることもできる。
【0031】
また,第2導光板22の前方側の板面にも光拡散部22aを設けることができる。第2導光板22に設けられた光拡散部22aは,第1導光板21側の光拡散部21aと同一の材料及び形状で設けられることが好ましい。」

(エ)「【0032】
第1照明部23及び第2照明部24は,それぞれ第1導光板21及び第2導光板22の縁部の周りと支持フレーム28の前方及び後方の収容空間の内壁面との間に設けられて,第1導光板21及び第2導光板22の内部に光を放出する。
【0033】
第1照明部23及び第2照明部24は,光を放出する光源であるランプ23a,24aと,各ランプ23a,24aからの光が第1導光板21及び第2導光板22の板面方向の外側に放射される光を第1導光板21及び第2導光板22の内部に反射させるランプ反射板23b,24bを含む。このような第1照明部23及び第2照明部24の構成により,第1導光板21及び第2導光板22の反対方向に放出される光の損失を最小化することができる。また,各ランプ23a,24aが,第1導光板21及び第2導光板22の縁部の周りに設けられることにより,バックライトアセンブリ20の後方に設けられるインバータ(図示せず)との距離が相対的に長くなって,相互間の干渉現状による液晶表示パネル10上に発生する縦線のノイズを除去することができる。」

上記(ア)?(エ)の記載事項の認定事項を総合すると,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されている。
「光を案内する,離隔部25により接触支持されて相互に平行に離隔間隔をおいて配置される第1導光板21及び第2導光板22と,
前記第1導光板21及び前記第2導光板22の縁部の周りにそれぞれ設けられて,前記第1導光板21及び前記第2導光板22の内部に光を放出する光源であるランプ23a及びランプ24aと,を含み,
前記第1導光板21及び前記第2導光板22には,それぞれ,前記第1導光板21及び前記第2導光板22の縁部の周りから内部に放出された前記ランプ23a及び前記ランプ24aからの光を拡散させ,凹凸パターン形状に形成し,出光機能を有するように設けられた光拡散部21a及び光拡散部22aが設けられた,
バックライトアセンブリ20を含む液晶表示装置。」

イ 甲第2号証について
甲第2号証(特開平4-186226号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「2 特許請求の範囲
(1)液晶表示パネルの背面に設けられた端面入光型バックライト導光板と,前記バックライト導光板の端面入光部に設置された光源と,前記光源の周囲を取り囲むように固定された高反射率を持つリフレクタと,前記バックライト導光板の前記端面入光部と前記光源の間に,前記光源側に厚く,前記バックライト導光板側に薄くなるようなテーパ状の断面形状を持つ透明集光部材を備えたことを特徴とする液晶表示装置。」(第1頁左下欄第4?13行)

(イ)「上記構成において作用を説明すると,光源13から発生した光は,リフレクタ16によって反射集光され,透明集光部材15の光源側に導入される。光は傾斜をもった二面の間を反射しながら前進し,バックライト導光板12側の短辺端面に集約されて出てくる。透明材料の屈折率の高いものを選ぶことによって,入光面と対向する面以外の面では,光をほとんど反射させることができる。これらの面から外に光が漏れ出すことはほとんとなく,光源側の厚い面から入った光は,ほとんど損失なく導光板側の薄い面まで導かれバックライト導光板12の端面を照明することが可能となる。
以上のように本実施例によれば,光源側の厚い面から入った光は,ほとんど損失なく,バックライト導光板側の狭い面まで導かれバックライト導光板端面を照明することが可能となる。このようにして,バックライト導光板の厚み薄くすることによって生じる輝度の低下を防ぐことができる。
なお,さらにバックライト導光板12の固定のためにその背面あるいは周囲に設けられたフレ-ム14と透明集光部材15を,透明材料で一体成型することによりバックライト導光板12と透明集光部材15との位置関係を精度よく固定することかできる。」(第2頁左下欄第20行?第3頁左上欄第4行)

(ウ)「また,バックライト導光板の固定のためにその背面あるいは周囲に設けられたフレームと透明集光部材を,透明材料で一体成型することによりバックライト導光板と透明集光部材との位置関係を精度よく固定することかできバックライト導光板端面に対する照明位置のずれによる輝度ムラを少なくすることかできるなど,すぐれた効果を得ることができる液晶表示装置を実現できるものである。」(第3頁左上欄第17行?右上欄第5行)

(エ)上記(イ)記載の「光源側の厚い面から入った光は,ほとんど損失なく導光板側の薄い面まで導かれバックライト導光板12の端面を照明することが可能となる」ことと,上記(ウ)記載の「透明材料で一体成型することによりバックライト導光板と透明集光部材との位置関係を精度よく固定することかできバックライト導光板端面に対する照明位置のずれによる輝度ムラを少なくすることかできる」ことと,第1図とから,透明集光部材15のバックライト導光板12側の薄い面の厚みと,バックライト導光板12の厚みとが略同一で,バックライト導光板12の端面に対する照明位置ずれのないように一体成型することが記載されているといえる。

上記(ア)?(ウ)の記載事項及び上記(エ)の認定事項を総合すると,甲第2号証には,次の発明(以下,「甲2発明」という。)が記載されている。
「バックライト導光板12と,
前記バックライト導光板12の端面入光部に設置された光源13と,
前記光源13から発生した光を集約して前記バックライト導光板12の端面を照明する透明集光部材15とを備え,
前記透明集光部材15は,前記バックライト導光板12と前記光源13の間に位置させ,前記バックライト導光板12の固定のために背面に設けられたフレーム14と前記透明集光部材15とが一体成型され,前記バックライト導光板12と前記透明集光部材15との位置関係を精度よく固定し,
前記透明集光部材15は,
前記光源13側の厚い面と,
前記バックライト導光板12側の薄い面と,を有し,
前記薄い面の厚みと前記バックライト導光板12の厚みとが略同一で,一体成型により照明位置ずれのないようにされた,
液晶表示装置。」

ウ 甲第3号証について
甲第3号証(特開2010-172374号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
本発明は,スロットマシン,パチンコ機等の遊技機に関し,共通の光源により装飾パネルと遊技媒体用の受け皿とを照明できるようにしたものである。」

(イ)「【0011】
以下,本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1?図5は本発明をスロットマシンに採用した第1の実施例を例示している。図1及び図2において,1は遊技機本体であり,筐体2と,この筐体2の前側に配置された矩形状の前面パネル3とを備えている。筐体2は前側が開放する箱形に形成されており,その前側を開閉自在に閉鎖するように前面パネル3が装着されている。」

(ウ)「【0015】
第1表示窓17は筐体2側の図柄表示リール5a?5cに対応して矩形状に形成されており,遊技者はこの第1表示窓17を介して図柄表示リール5a?5cを前側から視認可能となっている。第2表示窓18は前面パネル3の裏側に装着された液晶表示ユニット26に対応して矩形状に形成され,遊技者はこの第2表示窓18を介して液晶表示ユニット26に表示される遊技図柄等を前側から視認可能となっている。」

(エ)「【0020】
装飾パネル22は装飾部の一例を示すもので,図3?図5に示すように,前後方向に着脱自在に結合された保護カバー47及び押えカバー48と,この保護カバー47及び押えカバー48間に介在された絵柄シート49とを備え,前カバー23の開口部50に対応してその外周の取り付け枠51に着脱自在に嵌合されている。保護カバー47,押えカバー48は光透過性を有する無色透明又は着色透明なアクリル樹脂等の合成樹脂板により形成されている。
・・・
【0022】
導光手段44は光源43からの光を導光して装飾パネル22を裏側から照明するためのもので,開口部50に対応して図外のネジ等の固定手段により取り付け枠51に裏側から着脱自在に固定されている。
【0023】
この導光手段44は図3,図4に示すように,裏側に傾斜面57を有する導光板58と,導光板58の前面に装着された光拡散シート59と,導光板58の傾斜面57に装着された反射シート60とを有し,支持ケース61内に組み込まれている。
【0024】
導光板58は透明なアクリル板等の透明板により構成され,前後両面間の間隔が上側程小さくなるように,前面に対して裏面が傾斜する傾斜面57を有する。光拡散シート59は導光板58から装飾パネル22に照射する光を拡散させるためのものであり,導光板58の前面に配置されている。」

エ 甲第4号証について
甲第4号証(特開2008-125538号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技機の演出装置は,遊技盤の盤面に備えられた後ろ側表示手段の前に配置され,紫外線の照射により発光する発光体が含有された透明又は半透明の発光板と,
前記発光板の側方に配置され,発光体を励起して蛍光を発せさせる紫外線の照射光源とを備えており,
前記発光体は,希土類錯体と有機色素との何れか一方又は双方からなることを特徴とするものである。」

(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に,本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1?3に,第1の実施形態の演出装置を示す。この演出装置は図示を省略した遊技盤の盤面中央に配設されている。図において,1は透明又は半透明樹脂製の発光板であり,この発光板1は支持枠2に螺着されている。支持枠2の背面には,変動図柄表示装置3が配設され,この変動図柄表示装置3は,発光板1の後ろ側表示手段である表示画面31を備えている。表示画面31においては,複数の図柄が変動表示されて所定の状態に揃ったときに,所謂大当たりとしての特別遊技状態を発生させたりすることができる。
・・・
【0013】
また,発光板1の左側には,上下方向に移動可能な照射光源Fが配設されている。この照射光源Fは,支柱51に摺動可能に装着され,モータ52の駆動によりネジ棒53が回転されることにより昇降することができる。したがって,光の透過ラインfを昇降させて表示画面31の前を装飾することができる。なお,照射光源Fを左右に移動可能なものとするもともできる。」

(ウ)「【0020】
図4,5には,第2の実施形態の演出装置を示す。この形態のものも,発光板1と支持枠2と変動図柄表示装置3とからなる点において,既記したものと変わるところはないが,発光板1の一側には,線光源としての照射光源Gが上下方向に伸びて配設されている。発光板1の内部には文字を描いて発光体が含有されているので,特別遊技状態になったときに照射光源Gから紫外線を発すれば,この文字を遊技者に視認可能に浮かび上がらせることができる。なお,発光体はほぼ無色であるために,照射光源Gから紫外線を照射していない状態では,遊技者が発光板1内に文字を視認することは困難である。
【0021】
文字に替えてキャラクターなどの図柄を描くことができるし,又,文字と図柄の両方を描いてもよい。これらの文字や図柄は,平面的に描いてもよいが,発光体を3次元状に分散させて含有させれば,文字や図柄を立体的に浮かび上がらせることができるので,遊技の興趣をより盛り上げることができる。このような発光板1を製造する方法として,発光体を含有した樹脂材料と含有しない樹脂材料との2種類を用意し,異材質成形の方法を採用することが一例として考えられる。この場合,発光体を含有した樹脂材料を複数種類使用することによって,紫外線照射時に複数の色彩でもって文字や図柄を浮かび上がらせることができるので,より遊技者の興趣を増大させることができる。
【0022】
第2の実施形態のものにおいても,図10に示すように,発光される色彩,文字,図柄が異なる発光板1a,1bを複数枚積層することによって,異なる文字,図柄を表示することが可能となる。図11は遮光板9により発光板1bのみが照射されて小さな「当たり!!!」の文字の形で発光する場合を示す。図12は,遮光板9により発光板1aと1bの両方が照射されて大きな「当たり!!!」と小さな「当たり!!!」の文字の形が重なって立体的に発光する場合を示す。図13は,遮光板9により発光板1aのみが照射されて大きな「当たり!!!」の文字の形で発光する場合を示す。また,遮光板9を動かして図11?13を連続して切り替えることで「当たり!!!」の文字が大きくなったり小さくなったりしながら発光を繰り返すこともできる。このように遮光板9を回転させることで,遊技状態に合わせた様々なパターンの演出を行うことができる。」

オ 甲第5号証について
甲第5号証(特開2006-75362号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】
導光板の平面部に文字や図柄などの表示情報を表すドットパターンを形成し,該導光板の側面より光源から発光される出射光を入光させて表示情報を表示する表示装置であって,
導光板の側方に出射光の方向が異なるように複数の光源を配置し,
前記導光板の平面部に前記出射光のそれぞれに対応して前記表示情報を表示可能な複数のドットパターンを混在して形成し,
それぞれの光源の点灯に対応して異なる表示情報を表示するようにしたことを特徴とする表示装置。」

(イ)「【0002】
一般に,導光板を用いた表示手段としては,発光ダイオードなどの発光素子から導光板の側面に出射光を透光させて導いた光を効率良く反射させることにより発光出力を得る光学的な表示構造を有している。このため,導光板の平面部には出射光を効率良く屈折させるために多数の微細な凹部形状のドット部を形成している。このドット部の凹部形状は,図32(A)に示すように,円錐形のドット部321や図32(B)に示すように,半球状のドット部322のものが多かった。」

(ウ)「【0012】
この発明は,導光板の平面部に文字や図柄などの表示情報を表すドットパターンを形成し,該導光板の側面より光源から発光される出射光を入光させて表示情報を表示する表示装置であって,導光板の側方に出射光の方向が異なるように複数の光源を配置し,前記導光板の平面部に前記出射光のそれぞれに対応して前記表示情報を表示可能な複数のドットパターンを混在して形成し,それぞれの光源の点灯に対応して異なる表示情報を表示するようにしたことを特徴とする表示装置である。」

(エ)「【0031】
前記横軸方向の発光素子16a?16d群若しくは縦軸方向の発光素子17a?17d群から発せられた光は,導光板12の一側端面12a若しくは下端面12bより入光して導光板12の中央部に形成されているドットパターン14,15へと進む。前記ドットパターン14,15に到達した光は,90度屈折してドットパターンの文字が表示情報として発光される。この発光された表示情報が,図4および図5に示すように,導光板12の平面側に対向する観察者18によって視認される。」

(4)対比
本件発明と甲1発明とを対比する。

(a)甲1発明の「離隔部25」及び「第1導光板21及び第2導光板22」は,それぞれ,本件発明の「スペーサー部材」及び「複数の導光板」に相当する。
このことから,甲1発明の「光を案内する,離隔部25により接触支持されて相互に平行に離隔間隔をおいて配置される第1導光板21及び第2導光板22」は,本件発明の「光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して配設される複数の導光板」に相当する。

(b)甲1発明の「(前記第1導光板21及び前記第2導光板22の)縁部」及び「光源であるランプ23a及びランプ24a」は,それぞれ,本件発明の「(導光板の)端面」及び「複数の発光体」に相当する。
このことから,甲1発明の「前記第1導光板21及び前記第2導光板22の縁部の周りにそれぞれ設けられて,前記第1導光板21及び前記第2導光板22の内部に光を放出する光源であるランプ23a及びランプ24a」は,本件発明の「複数の導光板の各々に対応し,導光板の端面に光を入射可能に設けられる複数の発光体」に相当する。

(c)甲1発明の「内部に放出された前記ランプ23a及び前記ランプ24aからの光」は,本件発明の「内部に入射された発光体からの入射光」に相当する。
また,甲1発明の「拡散板31a」は,光を前面に位置する液晶表示パネル10に向けて拡散させ,凹凸パターン形状に形成し,出光機能を有するように設けられ,本件特許発明の「発光部」に関して本件特許の明細書には,光を反射して前面から出射させ,凹凸状態に形成されていることが記載されているから(段落【0007】,【0091】,【0096】,【0097】,【0099】参照),甲1発明の「光を拡散させ,凹凸パターン形状に形成し,出光機能を有するように設けられた光拡散部21a及び光拡散部22a」は,本件発明の「発光する発光部」に相当する。
これらのことから,甲1発明の「前記第1導光板21及び前記第2導光板22には,それぞれ,前記第1導光板21及び前記第2導光板22の縁部の周りから内部に放出された前記ランプ23a及び前記ランプ24aからの光を拡散させ,凹凸パターン形状に形成し,出光機能を有するように設けられた光拡散部21a及び光拡散部22aが設けられ」ることは,本件発明の「複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ」ることに,相当する。

上記(a)?(c)により,本件発明と甲1発明とは,
[一致点]
「光を透過可能な透光性を有し,スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して配設される複数の導光板と,
複数の導光板の各々に対応し,導光板の端面に光を入射可能に設けられる複数の発光体と,を備え,
複数の導光板の各々には,導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ」
る点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
本件発明では「遊技を行うことが可能な遊技機」であるのに対して,甲1発明では,遊技機であることが記載されていない点。

[相違点2]
「複数の導光板」について,本件発明では「表示装置の前面側に配置される」のに対し,甲1発明では,そのように特定されていない点。

[相違点3]
「発光部」について,本件発明では「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」るのに対し,甲1発明では,そのような構成がない点。

[相違点4]
本件発明では,
「複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に,発光体からの入射光を導光板の板厚方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており,
前記集光部材は,
発光体に対向して配置される入射側端面と,
導光板の端面に対向して配置される出射側端面と,を備え,
前記出射側端面は,前記入射側端面よりも短寸に形成されているとともに,導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている」
のに対して,甲1発明では,そのような構成がない点。

(5)判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
上記相違点について検討する。

[相違点1について]
甲第3号証には,液晶表示ユニット26が装着された遊技機が記載されている。
そして,遊技機の分野において,遊技機に液晶表示装置を用いることは技術常識であることから,甲1発明のバックライトアセンブリ20を含む液晶表示装置を,甲第3号証に記載の遊技機に装着された液晶表示ユニット26に適用すること,すなわち相違点1に係る本件発明とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点2について]
甲1発明は,第1導光板21及び第2導光板22を有するバックライトアセンブリ20を含む液晶表示装置についての発明であることから,「複数の導光板」が「表示装置の前面側に配置される」ことについて,開示も示唆もない。
また,甲2発明は,バックライト導光板12を備えた液晶表示装置についての発明であることから,「複数の導光板」が「表示装置の前面側に配置される」ことについて,開示も示唆もない。
さらに,甲第3号証には,装飾パネル22を裏側から照明するための導光板58を有する導光手段44と,液晶表示ユニット26とについて記載されているものの,導光板58が液晶表示ユニット26の前側に配置されることについて,開示も示唆もない。

[相違点3について]
甲1発明は,光拡散部21a及び光拡散部22aが設けられた第1導光板21及び第2導光板22を有するバックライトアセンブリ20を含む液晶表示装置についての発明であることから,「発光部」が「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」ることについて,開示も示唆もない。
また,甲2発明は,バックライト導光板12を備えた液晶表示装置についての発明であり,そもそもバックライト導光板12は発光部を有しないので,「発光部」が「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」ることについて,開示も示唆もない。
さらに,甲第3号証には,装飾パネル22は絵柄シート49とを備えることが記載されているものの,装飾パネル22を裏側から照明するための導光手段44における導光板58は,そもそも発光部を有しないので,「発光部」が「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」ることについて,開示も示唆もない。

[相違点4について]
甲2発明は,上記(3)イに記載したとおり,バックライト導光板12と,光源13と,前記光源13側の厚い面と前記バックライト導光板12側の薄い面とを有し,前記薄い面の厚みと前記バックライト導光板12の厚みとが略同一で,照明位置ずれのないように一体成型される透明集光部材15とを有する液晶表示装置である。
そして,甲1発明も甲2発明も共に,導光板と光源とを有する液晶表示装置に関する発明であるから,甲1発明の第1導光板21及び第2導光板22のそれぞれについて,甲2発明に基づき,導光板21,22とランプ23a,24aの間に,ランプ23a,24a,側に厚い面,導光板21,22側に薄い面を有し,導光板21,22側の薄い面の厚みは導光板21,22の厚みと略同一で位置ずれのないように成型される透明集光部材を有する構成とし,その際に,透明集光部材の配置方向について,甲2発明におけるバックライト導光板12の背面側(フレーム14側)を甲1発明の導光板21,22における隔離部25側とすることで,甲1発明の導光板21,22と透明集光部材とを一体成型により離隔部25に当接させる状態に設ける構成とすることは当業者にとって容易であり,当該構成を有するバックライトアセンブリを甲第3号証の遊技機に装着された液晶表示ユニット26に適用可能なことは,明らかである。

そして,上記相違点2,3により,本件発明は,遊技者が導光板に設けられた発光部に形成された文字や図柄などの表示情報を視認可能になるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明は,甲1?2発明及び甲第3号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって,請求項1に係る特許は,特許法第29条第2項に違反してされたものとはいえない。

イ 特許異議申立人の意見について
(ア) 訂正事項1(上記相違点2)について
特許異議申立人は訂正事項1により追加された「複数の導光板」が「表示装置の前面側に配置される」こと(上記相違点2)について,甲第4号証の記載から当業者が容易に相当し得ると主張する。
当該主張について検討すると,甲第4号証の上記(3)エ(ア)の段落【0007】には,発光板が表示手段の前に配置されること,同(イ)の段落【0011】には,発光板1の後ろ側に表示画面31を備えること,とが記載されているが,甲1発明に甲第4号証の当該記載事項を適用しようとしても,甲1発明の第1導光板21及び第2導光板22は液晶表示装置を背面から明るくするためのバックライトであり,甲第4号証の発光板は,表示画面31の前で遊技者に表示情報を視認させるためのものであるから,適用する動機付けがない。
また,仮に,甲1発明の第1導光板21及び第2導光板22について,甲第4号証の当該記載事項を参照して,液晶表示装置の前側に配置させたとしても,バックライトとしての機能を持つ導光板が液晶表示装置の前側に配置される構成となるだけで,液晶表示装置として技術的に意味をなさないものとなるため,相違点2に係る本願発明の構成となるとはいえない。
したがって,上記相違点2に係る本件発明の構成が,甲1?2発明及び甲第3?4号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ) 訂正事項2(上記相違点3)について
特許異議申立人は訂正事項2により追加された「発光部」が「前記入射光により発光することで,文字,キャラクタ,絵柄,記号,図柄,あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され」ること(上記相違点3)について,甲第4号証または甲第5号証の記載から当業者が容易に相当し得ると主張する。
当該主張について検討すると,甲第4号証の上記(3)エ(ウ)の段落【0020】?【0022】には,発光板1には,文字,図柄を表示する発光体を含有することが記載されているが,甲1発明に甲第4号証の当該記載事項を適用しようとしても,甲1発明の光拡散部21a及び光拡散部22aは液晶表示装置を背面から明るくするためのものであり,甲第4号証の発光体は遊技者に表示情報を視認させるためのものであるから,適用する動機付けがない。
また,甲第5号証の上記(3)オ(ア)の【請求項1】と同(ウ)の段落【0012】には,導光板の平面部に文字や図柄などの表示情報を表すドットパターンを形成することが記載されているが,甲1発明に甲第5号証の当該記載事項を適用しようとしても,甲1発明の光拡散部21a及び光拡散部22aは液晶表示装置を背面から明るくするためのものであり,甲第5号証のドットパターンは遊技者に表示情報を視認させるためのものであるから,適用する動機付けがない。
したがって,上記相違点3に係る本件発明の構成が,甲1?2発明及び甲第3?5号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

なお,甲第4号証には,上記(3)エの記載事項に基づけば,表示画面31の前に配置される複数の透明又は半透明の発光板1a,1bの内部に文字や図柄を表示する発光体を含有し,照射光源Gから紫外線を照射することで,文字や図柄が遊技者に視認可能になるような遊技機について記載されている。
甲第4号証に記載の遊技機における複数の発光板1a,1b及び照射光源Gを含む構成について,仮に,甲1発明の第1導光板21及び照明部23と第2導光板22及び照明部24とを離隔部25により接触支持されて配置される構成を適用したとしても,甲1発明の離隔部25はバックライトにおける照明部23,24の間の電気的な干渉を除去するための構成であるから,本件発明の一方の導光板の出射光が漏れて,他方の導光板の表示情報が薄く表示されてしまうことを回避するための導光板,発光体,集光部材及びスペーサー部材の位置関係を有する構成とはならない。
したがって,本件発明は,甲第1?5号証の記載から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)明確性要件について
特許異議申立人は訂正事項1により追加された「複数の導光板」が「表示装置の前面側に配置される」ことについて,「表示装置と遊技機との相互関係が不明であるため,「表示装置の前面側」がどの向きなのか,訂正特許請求の範囲の記載から理解することはできない」旨,主張する。
しかしながら,遊技機において表示装置は遊技者が視認可能に配置されるものであるから,「表示装置の前面側」とは,遊技者から見た「表示装置の前面側」と解することができるため,訂正事項1により追加された「複数の導光板」が「表示装置の前面側に配置される」との記載は,不明とはいえない。

(エ)小括
よって,請求項1に係る特許は,特許法第29条第2項及び第36条第6項第2号に違反してされたものとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用価値を用いて遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、パチンコ遊技機やスロットマシンにおいて、遊技に関連する演出を行う演出手段の一例として、例えば、導光板を用いた表示装置がある。この表示装置は、発光ダイオードなどの光源から導光板の端面を通して内部に透光させて導いた光を、導光板の平面部に設けた反射部により反射させることで発光させるものがあり、該反射部を、文字や図柄などの表示情報を表すドットパターンにて形成することで、光源からの光により表示情報を表示可能としたもの等があった。
【0003】
この種の表示装置において、光源からの光の照射領域を広げつつ、光を入光方向に向かう平行光とするための湾曲状のレンズ面を導光板の側面に形成したり、光源と導光板12との間にレンズを設け、該レンズにより光を入光方向に向かう平行光としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-75362号公報(第15-16頁、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の遊技機では、レンズにより導光板の端面長手方向への光の拡散が防止されていたが、光源からの入射光が導光板の端面に入射されるまでに該端面の板厚方向に光の一部が拡散して減衰されてしまい、表示情報の視認性が損なわれてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、発光体からの光の板厚方向への拡散を防止して発光部の輝度低下を防止できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
遊技を行うことが可能な遊技機(スロットマシン1/パチンコ遊技機601)であって、
光を透過可能な透光性を有し、スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して表示装置の前面側に配設される複数の導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}と、
複数の導光板の各々に対応し、導光板の端面(上端面505H)に光を入射可能に設けられる複数の発光体(表示用LED62a,62b)と、を備え、
複数の導光板の各々には、導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部(反射部510a?510c,511a?511c)が設けられ、
前記発光部は、前記入射光により発光することで、文字、キャラクタ、絵柄、記号、図柄、あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され、
複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に、発光体からの入射光を導光板の板厚(前後)方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており、
前記集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}は、
発光体(表示用LED62a,62b)に対向して配置される入射側端面(上端面507H)と、
導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の端面(上端面505H)に対向して配置される出射側端面(下端面507L)と、を備え、
前記出射側端面(L1)は、前記入射側端面(L2)よりも短寸に形成されている{L1<L2、(図13参照)}とともに、導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、発光体からの光を集光部材を透して導光板に入射させることで、発光体からの光を板厚方向に拡散させることなく導光板の端面に導くことができ、これにより光の減衰が抑制されるため、発光部の輝度の低下を防止できる。
尚、前記発光部は、前記発光体からの入射光を反射させて光出射面から出射させる凹部等からなる反射部や、前記光出射面に形成され前記発光体からの入射光を全反射させずに光出射面から出射させる凸部等からなる透光部を含む。
【0009】
本発明の手段1に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
遊技者から見て前記導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の奥側(背面側)に表示装置(液晶表示器51)が設けられている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、板厚方向への光の拡散による減衰が防止されることで、発光部を目立たないように形成しても輝度が著しく低下することがないので、発光部の非発光時に該発光部により表示装置の視認性が妨げられることがない。
【0010】
本発明の手段2に記載の遊技機は、請求項1または手段1に記載の遊技機であって、
前記導光板(前導光板505a,後導光板505b)は、板厚(前後)方向に重畳して複数配設され、
前記発光体(表示用LED62a,62b)及び前記集光部材(前レンズ507a、後レンズ507b)は、前記複数の導光板各々に対応して設けられている(図12参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、複数の導光板のうちいずれかに対応する発光体からの光が漏れて他の導光板の端面に入り込み、発光させたくない発光部が発光してしまうことを回避できる。
【0011】
本発明の手段3に記載の遊技機は、請求項1または手段1、2のいずれかに記載の遊技機であって、
前記発光体(表示用LED62a,62b)の発光制御を行う発光制御手段(サブCPU91a)を備え、
前記発光体は、前記導光板{導光板505(前導光板505a,後導光板505b)}の端面(上端面505H)に沿って複数並設され(図14参照)、
前記集光部材{集光レンズ507(前レンズ507a,後レンズ507b)}は、
前記複数の発光体に対向して配置される入射側端面(上端面507H)と、
前記導光板の端面に対向して配置され、該導光板の端面に向けて膨出する湾曲面にて構成される出射側端面(下端面507L)と、を有し、
前記出射側端面は、前記複数の発光体各々に対応して設けられ(図14参照)、
前記発光制御手段は、前記複数の発光体のうち一部を部分的に発光させる制御が可能である(図15?図17参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、発光体からの出射光を広域の平行光にして導光板に略均一に入光させることができるため、発光体の中心部付近が明るく、外側が暗くなるような不安定な入光にはならないばかりか、発光された発光体に対応する表示情報のみを表示させることができるため、多彩な演出を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明を適用したスロットマシンの正面図である。
【図2】 スロットマシンの内部構造図である。
【図3】 前面扉を示す背面図である。
【図4】 スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図5】 筐体上部の内部構造を示す断面図である。
【図6】 (a)は表示ユニットを斜め前方から見た状態を示す斜視図、(b)は斜め後方から見た状態を示す斜視図である。
【図7】 表示ユニットの内部構造を示す分解斜視図である。
【図8】 (a)は前導光板、(b)は後導光板、(c)はドットパターンを示す要部拡大図、(d)はドットパターンを示す拡大断面図である。
【図9】 上フレームの内部構造を示す分解斜視図である。
【図10】 (a)は集光レンズの平面図、(b)は集光レンズの正面図、(c)は(a)のA-A断面図、(d)は(a)のB-B断面図である。
【図11】 (a)は上フレームを示す要部拡大平面図、(b)は(a)のC-C断面図、(c)は(a)のD-D断面図である。
【図12】 表示ユニットを示す縦断面図である。
【図13】 図12の要部拡大断面図である。
【図14】 図12のE-E断面図である。
【図15】 表示ユニットの表示制御の一例である。
【図16】 表示ユニットの表示制御の他の例である。
【図17】 表示ユニットの表示制御の他の例である。
【図18】 集光レンズの変形例を示す図である。
【図19】 集光レンズの他の変形例を示す図である。
【図20】 集光レンズの他の変形例を示す図である。
【図21】 パチンコ遊技機を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明が適用された遊技機の一例であるスロットマシンの実施例を図面にもとづいて説明する。図1は、本発明を適用したスロットマシンの正面図である。図2は、スロットマシンの内部構造図である。図3は、前面扉を示す背面図である。図4は、スロットマシンの構成を示すブロック図である。図5は、演出ユニットが取り付けられた筐体上部を示す構造図である。尚、以下においては、スロットマシンの正面図である図1の左側を左側、右側を右側、上側を上側、下側を下側、手前側を前面側、奥側を背面側として説明する。
【0015】
まず、本実施例のスロットマシン1の概略を説明すると、図1?図3に示すように、スロットマシン1は、前面が開口する箱状に形成された筐体1a(図2参照)と、この筐体1aの左側辺に回動自在に枢支された前面扉1b(図3参照)と、から構成されている。
【0016】
筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L,2C,2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L,2C,2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0017】
リール2L,2C,2Rそれぞれの外周面には、例えば「黒7」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」(図示略)、「チェリー」、「オレンジ」(図示略)、「ブドウ」(図示略)、「プラム」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L,2C,2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0018】
各リール2L,2C,2Rは、各々対応して設けられるリールモータ32L,32C,32R(図4参照)によって回転させることで、各リール2L,2C,2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L,2C,2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0019】
リール2L,2C,2Rの内側には、図2に示すように、リール2L,2C,2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L,33C,33R(図4参照)と、リール2L,2C,2Rを背面から照射するリールLED55(図4参照)と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L,2C,2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0020】
前面扉1bにおける各リール2L,2C,2Rに対応する位置には、リール2L,2C,2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L,2C,2Rが視認できるようになっている。
【0021】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例では後述するレギュラーボーナス(以下、RBと略称する)では2、RB以外の遊技状態では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L,2C,2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8Rが遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0022】
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20、後述するRB中である旨を点灯により報知するRB中LED19が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
【0023】
MAXBETスイッチ6の内部には、該MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L,8C,8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L,8C,8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L,22C,22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0024】
前面扉1bの背面には、図3に示すように、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のビッグボーナス(以下、BBと略称する)終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のビッグボーナス終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30(図4参照)、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31(図4参照)を有する投入メダルセレクタ131、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25が設けられている。
【0025】
筐体1aの内部には、図2に示すように、前述したリール2L,2C,2R、リールモータ32L,32C,32R、各リール2L,2C,2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L,33C,33R(図4参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b(図4参照)、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34c(図4参照)を備えるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0026】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0027】
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。尚、これらスイッチの前面には開閉扉が設けられており、各スイッチが被覆されるようになっている。
【0028】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L5(図1参照)のうち遊技状態に応じて定められた入賞ラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数としてRBでは2が定められ、RB以外の遊技状態では3が定められており、規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1?L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0029】
入賞ラインとは、各リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図1に示すように、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわちV字型に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち山型に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
【0030】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L,2C,2Rが回転し、各リール2L,2C,2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、対応するリール2L,2C,2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0031】
そして全てのリール2L,2C,2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化され入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化され複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化され入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では10枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化され入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0032】
図3及び図5に示すように、前面扉1bにおける透視窓3の上方位置には演出ユニット200が配設されている。演出ユニット200の筐体は、非透光性の合成樹脂板からなる上板、下板、左側板、右側板及び背板により前面が開口する箱状に構成されている。また、背面には、演出制御基板ケース800とパネル中継基板804とが取り付けられている。
【0033】
筐体内には、音を出力するスピーカ153L,153Rと、発光可能なスピーカLED60L,60R及びスピーカ枠LED61L,61Rと、が一体に組み付けられたスピーカユニットが前面開口から組み付けられている。
【0034】
また、スピーカユニットの前面側には、第2表示装置としての液晶表示器51と、該液晶表示器51の前面側に設けられる表示装置500と、から構成される表示ユニット550が設けられている。このように表示ユニット550は、前面扉1bの上部前面よりもやや奥まった位置に配設されており、遊技店の室内光等が入り込みにくいようになっている。また、表示ユニット550の左右側には、スピーカ153L,153Rから出力される音が放音される透音部154L,154R(図1参照)が設けられている。
【0035】
このように構成された演出ユニット200は、液晶表示器51や透音部154L,154Rを前面に向けた姿勢で前面扉1bの背面上部に取り付けられ(図5参照)、前面扉1bを閉鎖した状態において、リールユニット2の上方に形成された空間内に配置される。
【0036】
また、前面扉1bにおける透視窓3の下方位置には、透明な合成樹脂材により正面視横長長方形状に形成された下部パネル120と、該下部パネル120の背面に組み付けられ、透明な合成樹脂材により正面視横長長方形状に形成されたベースパネル(図示略)と、当該スロットマシン1の機種名やタイトル等が透光性インクにより印刷されたタイトルシート(図示略)と、ベースパネル(図示略)の背面側に配置され、非透光性を有する合成樹脂材により形成された反射パネル(図示略)と、複数のパネル用LED(図示略)が列設された帯状のパネル用LED基板(図示略)と、から構成される下部パネルユニットが設けられている。
【0037】
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101及び各種中継基板が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0038】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び演出制御基板90それぞれに別個に供給されるようになっている。
【0039】
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0040】
遊技制御基板40には、前述したMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L,33C,33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0041】
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、1?3BETLED14?16、投入要求LED17、スタート有効LED18、RB中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L,22C,22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L,32C,32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0042】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0?65535)の乱数を生成する乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L,32C,32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0043】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0044】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0045】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0046】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
【0047】
なお、本実施例では、遊技制御基板40と演出制御基板90とが演出中継基板80を介して接続されていたが、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されていてもよい。
【0048】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された複数の演出効果LED52、スピーカ53L,53R、スピーカ153L,153R、演出に用いられる演出スイッチ54(図1参照)、リールLED55、後述する演出ユニット200に設けられる液晶表示器51、スピーカ153L,153Rの透音部154L,154Rを照明するスピーカLED60L,60R、スピーカ枠LED61L,61R、表示装置500を表示させるための表示用LED62a,62b、タイトルシート590を照明するパネル用LED63等が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0049】
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、演出効果LED52、スピーカ53L,53R、スピーカ153L,153R、リールLED55、液晶表示器51、スピーカLED60L,60R、スピーカ枠LED61L,61R、表示用LED62a,62b、パネル用LED63等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
【0050】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55、スピーカLED60L,60R、スピーカ枠LED61L,61R、表示用LED62a,62b、パネル用LED63の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53L,53R、スピーカ153L,153Rからの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に直接または中継基板を介して接続された演出スイッチ54等のスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、図示しない役物等の駆動を行うモータ駆動回路99、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0051】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0052】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0053】
なお、本実施例では、特に詳細な図示はしないが、遊技制御基板40と各種遊技用電子部品(例えばリールモータ32L,32C,32R)とを中継する遊技用中継基板や、演出制御基板90と各種演出用電子部品(例えばパネル用LED63等)とを中継する演出用中継基板がそれぞれ別個に設けられているが、例えば前記遊技用中継基板および前記演出用中継基板双方を1つの中継基板にて共用するようにしてもよく、このようにすることで、配線等を所定箇所にまとめて配線することができるようになる。
【0054】
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0055】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0056】
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすれば良い。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
【0057】
本実施例のスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
【0058】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0059】
尚、本実施例では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
【0060】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
【0061】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
【0062】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインCPU41aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0063】
尚、本実施例では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
【0064】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、BB中か、通常遊技状態か、などの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(BB中であればBB中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしても良い。
【0065】
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、RTワーク、停止相ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0066】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、BB終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、内部当選フラグ、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、BB中のメダル払出総数等、BB終了時に初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数等、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークであり、設定開始前(設定変更モードへの移行前)の初期化において0が格納された後、1に補正され、設定終了時(設定変更モードへの終了時)に新たに設定された設定値が格納されることとなる。RTワークは、現在の遊技状態がリプレイタイム(以下、RTと略称する)(0)?(4)のいずれかである場合にその旨を示すRTフラグ、RT残りゲーム数が格納されるワークである。停止相ワークは、リールモータ32L,32C,32Rの停止相を示すデータが格納されるワークであり、リールモータ32L,32C,32Rが停止状態となった際にその停止相を示すデータが格納されることとなる。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0067】
本実施例においてメインCPU41aは、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時、設定キースイッチ37のみがONの状態での起動時、BB終了時、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の6つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる6種類の初期化を行う。
【0068】
初期化0は、RAM異常エラー発生時に行う初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化1は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合において、その前に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域及びRTワークを除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化2は、起動時において設定キースイッチ37のみがONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合において、その前に行う初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域、RTワーク及び停止相ワークを除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化3は、BB終了時に行う初期化であり、初期化3では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化4では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化5は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化5では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。
【0069】
尚、本実施例では、初期化1、初期化2を設定変更モードの移行前に行っているが、設定変更モードの終了時、すなわち設定が確定した後に行うようにしても良い。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定値ワークの初期化は行われない。
【0070】
前述のようにリールを滑らかに回転開始させるためには、リールモータの回転開始時にロータの正確な停止位置を特定しておく必要があるが、従来のように設定変更に伴ってリールモータの停止相を示すデータを含むRAM41cのデータを初期化してしまうと、設定変更後、ロータの正確な停止位置を特定することが不可能であり、最初にリールモータを回転させる場合には、急激にロータの永久磁石が励磁相に吸引されてしまい、回転の開始時にリールが振動してしまうため、リールの回転態様が見苦しくなってしまうとともに、遊技者から設定変更されたことが見抜かれてしまうという問題がある。
【0071】
これに対して本実施例では、リールモータ32L,32C,32Rの停止時における停止相を示すデータがRAM41cに割り当てられた停止相ワークに設定されることで、ロータの正確な停止位置を特定可能とする。そして起動時において設定キースイッチ37のみがONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合においては、RAM41cが初期化されるが、停止相ワークは初期化されないようになっており、設定変更後の遊技状態においても停止相ワークに格納されたリールモータ32L,32C,32Rの停止相を示すデータが維持されるようになっている。このため、設定変更後、最初にリールモータ32L,32C,32Rを回転させる場合にも、これらのロータの正確な停止位置を特定することが可能となり、このような状況であってもリールを滑らかに回転開始させることが可能となる。これにより設定変更後、最初にリールを回転させる際にリールが振動してしまうことがなく、遊技者から設定変更されたことが見抜かれてしまうことを防止できる。
【0072】
また、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合においては、停止相ワークも含めてRAM41cを初期化することが可能となるため、起動時において設定変更モードへ移行させる際の操作方法によって、停止相ワークを初期化させるか否かを選択できるようになっている。これにより、停止相ワークも含めてRAM41cを初期化することが可能となるため、ステッピングモータの励磁相を記憶するために割り当てられた停止相ワークを利用して不正プログラムなどが常駐してしまうことを防止できる。
【0073】
尚、本実施例では、設定キースイッチ37のみがONの状態で起動し、設定変更モードへ移行させる場合において、RAM41cが初期化されるが、この際、停止相ワークを初期化しないことにより、設定変更後の遊技状態においても停止相ワークに格納されたリールモータ32L,32C,32Rの停止相を示すデータを維持することで、設定変更後、最初にリールモータ32L,32C,32Rを回転させる場合にも、これらの停止相を特定することができるようになっているが、設定値の変更に伴ってRAM41cのデータがクリアされる場合にも、特定の初期励磁相を停止相ワークに設定し、停止相ワークに設定したデータが示す励磁相を、設定変更後、ゲームが開始可能となる前に励磁することで、設定変更後、最初にリールモータ32L,32C,32Rを回転させる場合に、これらの停止相を特定することができるようにしても良い。
【0074】
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、遊技状態としてRB、RT(0)?(4)があり、RBでは規定数の賭数として2が定められ、RB以外の遊技状態では規定数の賭数として3が定められており、RTでは賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となり、RB以外の遊技状態では、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1?L5の全てが有効化されることとなる。
【0075】
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L,2C,2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下、単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであっても良いし、異なる図柄を含む組合せであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0076】
尚、これら各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
【0077】
このスロットマシン1における役としては、特別役としてビッグボーナス(1)(2)が、再遊技役としてリプレイ(1)、リプレイ(2)が、小役としてブドウ、スイカ、チェリー、10枚役(1)?(3)、2枚役(1)?(4)、1枚役(1)?(4)が定められている。
【0078】
ブドウは、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ブドウ-ブドウ-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態に関わらず10枚のメダルが払い出される。
【0079】
スイカは、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「スイカ-スイカ-スイカ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは10枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では5枚のメダルが払い出される。
【0080】
チェリーは、いずれの遊技状態においても左リールについて入賞ラインのいずれかに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、RBでは5枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では4枚のメダルが払い出される。尚、「チェリー」の図柄は左リールの上段または下段のいずれかに必ず停止するように制御されるようになっており、入賞ラインL1、L3の入賞ラインまたは入賞ラインL2、L4の入賞ラインにチェリー組合せが揃うこととなり、2本の入賞ライン上でチェリーに入賞したこととなるため、RBでは10枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では8枚のメダルが払い出されることとなる。
【0081】
10枚役(1)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「白7-黒7-プラム」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態に関わらず10枚のメダルが払い出される。10枚役(2)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「白7-白7-プラム」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態に関わらず10枚のメダルが払い出される。10枚役(3)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「白7-オレンジ-プラム」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態に関わらず10枚のメダルが払い出される。
【0082】
2枚役(1)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「リプレイ-プラム-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では2枚のメダルが払い出される。2枚役(2)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「リプレイ-スイカ-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では2枚のメダルが払い出される。2枚役(3)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「リプレイ-チェリー-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では2枚のメダルが払い出される。2枚役(4)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「リプレイ-ベル-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では2枚のメダルが払い出される。
【0083】
1枚役(1)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ブドウ-プラム-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では1枚のメダルが払い出される。1枚役(2)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ブドウ-スイカ-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では1枚のメダルが払い出される。1枚役(3)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ブドウ-チェリー-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では1枚のメダルが払い出される。1枚役(4)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ブドウ-ベル-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となり、RBでは4枚のメダルが払い出され、RB以外の遊技状態では1枚のメダルが払い出される。
【0084】
リプレイ(1)は、RT(0)?(4)において入賞ラインのいずれかに「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となり、リプレイ(2)は、RT(0)?(4)において入賞ラインのいずれかに「リプレイ-リプレイ-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(1)(2)のいずれかが入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0085】
尚、本実施例では、RT(2)(3)においてリプレイ(2)は、必ずBB(1)(2)のいずれかと当選するため、BB(1)(2)の当選時に当該ゲームの終了を待つことなくRT(4)へ移行する構成を採用した場合には、RT(2)(3)においてリプレイ(2)の組合せが入賞ラインに揃うことはない。
【0086】
BB(1)は、RT(0)?(4)において入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となり、BB(2)は、RT(0)?(4)において入賞ラインのいずれかに「白7-白7-白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。尚、BB(1)(2)の当選時に当該ゲームの終了を待つことなくRT(4)へ移行する構成を採用した場合には、BB(1)(2)は、RT(4)においてのみ入賞可能となる。
【0087】
BB(1)(2)のいずれかが入賞すると、遊技状態がBBに移行するとともに同時にRBに移行する。RBは、小役、特にブドウの当選確率が高まることによって他の遊技状態よりも遊技者にとって有利となる遊技状態であり、RBが開始した後、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。RBが終了した際に、BBが終了していなければ、再度RBに移行し、BBが終了するまで繰り返しRBに制御される。すなわちBB中は、常にRBに制御されることとなる。そして、当該BB中において遊技者に払い出したメダルの総数が348枚を超えたときに終了する。BBの終了時には、RBの終了条件が成立しているか否かに関わらずRBも終了する。
【0088】
次に、表示ユニット550の詳細な構造について説明する。図6は、(a)は表示ユニットを斜め前方から見た状態を示す斜視図、(b)は斜め後方から見た状態を示す斜視図である。図7は、表示ユニットの内部構造を示す分解斜視図である。図8は、(a)は前導光板、(b)は後導光板、(c)はドットパターンを示す要部拡大図、(d)はドットパターンを示す拡大断面図である。図9は、上フレームの内部構造を示す分解斜視図である。図10は、(a)は集光レンズの平面図、(b)は集光レンズの正面図、(c)は(a)のA-A断面図、(d)は(a)のB-B断面図である。図11は、(a)は上フレームを示す要部拡大平面図、(b)は(a)のC-C断面図、(c)は(a)のD-D断面図である。図12は、表示ユニットを示す縦断面図である。図13は、図12の要部拡大断面図である。図14は、図12のE-E断面図である。図15は、表示ユニットの表示制御の一例である。図16は、表示ユニットの表示制御の他の例である。図17は、表示ユニットの表示制御の他の例である。
【0089】
尚、以下の説明においては、前面扉1b設けられた表示ユニット550をスロットマシン1の正面から見た場合を規準として上下左右方向を説明することとする。
【0090】
図6及び図7に示すように、表示ユニット550は、液晶表示器51と、該液晶表示器51の前面側に配置された表示装置500と、が一体的に組み付けられてなる。液晶表示器51は、左右側辺に演出ユニット200に取り付けるための取付金具501a,501bが設けられた取付部材502の前面に取り付けられている。表示装置500は、液晶表示器51の表示画面51aの前面側を覆うように配置された状態で、上辺及び下辺から背面側に向けて突設された係止爪503a?503cを介して取付部材502に係止されている。
【0091】
表示装置500は、光を透過可能な透光性を有する前導光板505a及び後導光板505bからなる導光板505と、該導光板505の端面に光を入射可能に設けられる発光体としての表示用LED62a,62b(図9参照)と、導光板505の背面に所定の表示情報(図8参照)を表す態様にて設けられ、導光板505の端面から内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を誘導して前面から出射させることで表示情報を表示する反射部510a?510c,511a?511cと、導光板505と表示用LED62a,62bとの間に配置され、該表示用LED62a,62bからの入射光を導光板505側に誘導しながら板厚方向に集光して該導光板505の端面に向けて出射する前レンズ507a及び後レンズ507bからなる集光レンズ507(図9参照)と、非透光性を有する合成樹脂材により四角枠状に形成されたフレーム枠体504と、から主に構成されている。
【0092】
フレーム枠体504は、左フレーム504a及び右フレーム504bと、これら左フレーム504a及び右フレーム504bの下端間を連結する下フレーム504c及び上端間を連結する上フレーム504dと、により四角枠状に形成されている。左フレーム504a、右フレーム504b及び下フレーム504cは一体化され上向きコ字形に形成されているとともに、上フレーム504dは、左フレーム504a及び右フレーム504bの上端にネジN1により着脱可能に取り付けられ、上辺を開放可能に設けられている。
【0093】
左フレーム504a、右フレーム504b及び下フレーム504cの内側面には、前導光板505aが差し込まれる差込溝508aと、後導光板505bが差し込まれる差込溝508bと、が長手方向にわたり連続して、かつ平行に形成されており、図7に示すように上フレーム504dを取り外すことで、導光板505を上方から差込溝508a,508b内に差し込み及び上方に抜き取り可能とされている。
【0094】
このように導光板505を左フレーム504a、右フレーム504b及び下フレーム504cから取り外し可能に設けることで、導光板505を容易に交換することができるため、例えば表面が汚れたり傷付いたり、あるいは表示情報が異なる他の導光板505へ交換する場合において、導光板505のみを容易に交換することができる。
【0095】
図8に示すように、前導光板505a及び後導光板505bは、所定の前後幅寸法L3{板厚(例えば、5mm)}を有するアクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂板により正面視横長長方形状に形成されている。尚、導光板505は、透光性を有していれば必ずしも透明でなくてもよく、例えば着色されていてもよいし、半透明とされていてもよい。
【0096】
前導光板505aの背面505Bには、表示用LED62aからの光を反射して前面505Fから出射させるための反射部510a?510cが形成されている(図8(a)参照)。反射部510aは「大」、反射部510bは「当」、反射部510cは「り」の文字を表す態様に形成され、前面505Fを左右方向に3等分した左領域、中領域、右領域それぞれに収まるように配置されている。
【0097】
また、後導光板505bの背面505Bには、表示用LED62bからの光を反射して前面505Fから出射させるための反射部511a?511cが形成されている(図8(b)参照)。反射部511aはドラムを有するキャラクタ、反射部511bは「CHANCE!」の文字、反射部511cは女の子のキャラクタを表す態様に形成され、前面505Fを左右方向に3等分した左領域、中領域、右領域それぞれに収まるように配置されている。
【0098】
よって、これら反射部510aと511a、510bと511b、510cと511cとは、前導光板505aと後導光板505bとがフレーム枠体504に差し込まれた状態で前後に重畳する位置に配置される。
【0099】
これら反射部510a?510c,511a?511cは、図8(c)(d)に示すように、導光板505内を導光される光の進行方向の断面視が一定ピッチの略三角波形状をなす凹凸状態(粗面)に形成されている。具体的には、スタンパーやインジェクションにより導光板505の背面505Bに凹凸部をつける成型方式にて構成されているが、例えばアクリル板に白色インクで反射ドットを印刷したシルク印刷方式や、アクリル板と反射板とをドット状の粘着材で貼り付けた貼着ドット方式や、溝加工方式等により反射部を構成してもよい。
【0100】
尚、本実施例では、導光板505の背面505Bにおける反射部510a?510c,511a?511cを光の進行方向の断面視が略三角波形状の凹凸部としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら反射部510a?510c,511a?511cの断面形状を略半円形状等、光を前面505Fに向けて反射可能な反射面を構成するものであれば種々に変形可能である。尚、図8(a)(b)などにおいて、これら反射部510a?510c,511a?511cは枠線で囲まれた文字や絵柄として表されているが、実際には枠線はなく、上記ドット等の集まりにより文字や絵柄が形成されている。
【0101】
また、本実施例では、導光板505により表示可能とする表示情報として、文字や絵柄が例示されているが、これら以外にも、記号、図柄、あるいは模様等の装飾も含む他の表示情報を表示可能としてもよい。
【0102】
図9及び図11に示すように、上フレーム504dには、左右方向に延設されるとともに上下方向に貫通される前後一対のレンズ溝512a,512bが形成されている。レンズ溝512a,512bは、中央の壁部513を挟んで前後に隔てて並設され、上方から下方に向けて漸次前後幅寸法が小さくなるようにテーパ状に形成されている。また、壁部513の左右端部には、レンズ溝512a,512bそれぞれに臨む前後一対の係止爪517a,517bが設けられており、レンズ溝512a,512bに嵌合された集光レンズ507の上端を係止して、上方への移動を規制するようになっている。
【0103】
また、上フレーム504dの上面開口には、表示用LED62a,62bが下面に設けられたLED基板514が嵌合可能な凹状の基板配置部515が形成されている。この基板配置部515に、LED基板514を配置することで、前後のレンズ溝512a,512bの上面開口に表示用LED62a,62bが対向して配置され、その左右端部に取り付けたネジN2をネジ穴516a,516bに螺入することでLED基板514を固定できるようになっている。
【0104】
図9及び図10に示すように、前レンズ507a及び後レンズ507bは、アクリルまたはポリカーボネート等の透光性を有する合成樹脂材により横長板状に形成され、導光板505の上端面505Hに沿うように延設され、導光板505の上端面505Hと表示用LED62a,62bとの間に配設される(図14参照)。
【0105】
具体的には、前レンズ507a及び後レンズ507bの下辺部には、正面視で下向きに膨出する略半円形状の複数の凸部518が長手方向に複数連続して並設されている。各凸部518は、表示用LED62a,62b各々に対応して1つずつ形成され、各凸部518の先端面、つまり前レンズ507a及び後レンズ507bにおいて導光板505の上端面505Hに対向する下端面507L(出射面)は、複数の湾曲面(レンズ面)を構成している。
【0106】
尚、複数の凸部518は表示用LEDに一対一に対応するものに限らず、例えば2以上のLED(発光体)に対応する凸部518(レンズ面)が複数設けられていてもよい。また、前レンズ507a及び後レンズ507bは複数の凸部518が一体に設けられた単一の部材にて構成されていたが、上端面505Hに沿って複数並設される表示用LED62a,62b各々に対応して、互いに別個に形成された複数の集光レンズを配設してもよい。
【0107】
前レンズ507a及び後レンズ507bの上辺部には、正面視で上向きに僅かに膨出する湾曲形状の膨出部519が長手方向に複数連続して形成されている。各膨出部519は、表示用LED62a,62b各々に対応して1つずつ形成され、各膨出部519の先端面、つまり前レンズ507a及び後レンズ507bにおいて表示用LED62a,62bに対向する上端面507H(入射面)は、複数の湾曲面(レンズ面)を構成している。尚、湾曲状の上端面507Hは、湾曲状の下端面507Lに比べて曲率は小さく、僅かに膨出する程度に形成されている。
【0108】
また、前レンズ507a及び後レンズ507bの下端面507Lにおける最下位部の前後幅寸法L1(板厚)は、上端面507Hの最上位部の前後幅寸法L2(板厚)よりも短寸とされている(L1<L2)。また、下端面507Lの前後幅寸法L1は、導光板505の前後幅寸法L3とほぼ同寸とされ(L1≒L3)、上端面507Hの前後幅寸法L2は、表示用LED62a,62bの発光面62cの前後幅寸法L4(図13参照)とほぼ同寸に形成されている。
【0109】
そして、前面507Fは、上端面507Hから下端面507Lに向けて漸次後側に傾斜する平坦な傾斜面を構成し、背面507Bは、上端面507Hから下端面507Lに向けて漸次前側に傾斜する平坦な傾斜面を構成している。つまり、前面507F及び背面507Bは、上端面507Hから下端面507Lに向けて漸次互いに近づく方向に傾斜する傾斜面を構成しているため、前レンズ507a及び後レンズ507bは、上端面507Hから下端面507Lに向けて漸次板厚が薄くなる縦断面視略逆ハの字状に形成されている。
【0110】
よって、前レンズ507a及び後レンズ507bの下端面507Lの前後幅寸法(板厚)は、各凸部518における最下位部に近づくにつれて短寸となり、最下位部において前後幅寸法L1が最小となる。尚、本実施例では、上端面507Hと傾斜面との間に互いに平行をなす短寸の非傾斜面507Fa,507Bbが設けられている。
【0111】
前レンズ507a及び後レンズ507bの左右端部にはフック片520a,520bが形成されており、上フレーム504d内に設けられたリブ(図示略)に上方から係止され、レンズ溝512a,512b内に保持されるようになっている。
【0112】
図11に示すように、このように構成された前レンズ507a及び後レンズ507bは、上フレーム504dの上面開口から前後のレンズ溝512a,512b内に上方から差し込まれる。そして、上端面507Hがレンズ溝512a,512bの上面開口とほぼ同高さ位置に位置するまで差し込まれ、フック片520a,520bがリブ(図示略)に係止された状態において、下端面507Lはレンズ溝512a,512bの下面開口よりもやや上方位置に位置し、レンズ溝512a,512b内下部に、導光板505が差し込まれる凹溝部が形成されるようになっている。
【0113】
実際には、上フレーム504dを左フレーム504a及び右フレーム504bの上端間に連結したときに、前導光板505a及び後導光板505bがレンズ溝512a,512b内下部に差し込まれる。このように、前導光板505a及び後導光板505bがレンズ溝512a,512b内下部に差し込まれることで、前導光板505a及び後導光板505bの上端面505Hと、前レンズ507a及び後レンズ507bの下端面507Lとは、レンズ溝512a,512b内にて所定の隙間を隔てて対峙する。このように前導光板505a及び後導光板505bがレンズ溝512a,512b内下部に嵌合されることで、上端面505Hと下端面507Lとの前後方向の位置ずれが防止される。
【0114】
また、特に図11(c)に示すように、凸部518により下端面507Lが湾曲面にて形成されていることで、下端面507Lと上端面505Hとの間に空間部が形成されるが、レンズ溝512a,512bを構成する上フレーム504dの非透光性壁面によりこの空間部が密封されることで、下端面507Lから出射される光が周囲に漏出することなく上端面505Hに入射される。
【0115】
図12に示すように、このように構成された表示装置500は、液晶表示器51の前面側に組み付けられる(図6参照)。前面側に組み付けられた状態において、フレーム枠体504により表示画面51aの周囲が囲まれるとともに、前後一対の導光板505a、505bにより表示画面51a全域が覆われる。
【0116】
また、後導光板505bは、表示画面51aに対して所定の隙間(例えば、約20mm)を隔てて前面側に配置され、前導光板505aは、後導光板505bに対して所定の隙間(例えば、約15mm)を隔てて前面側に配置される。尚、この隙間幅は種々に変更可能である。また、前導光板505aと後導光板505bとを互いに当接させた状態で配置してもよい。
【0117】
また、液晶表示器51と表示装置500とは別個に構成され、互いに着脱可能に組み付けられて一体化できるようになっていることで、液晶表示器51と表示装置500とを一体化した状態で演出ユニット200に組み付けたり取り外したりすることができるため、作業性が向上するばかりか、演出ユニット200への組み付け時に液晶表示器51と表示装置500との相対位置にずれなどが生じることがない。
【0118】
また、液晶表示器51と前後の導光板505a,505b及び表示用LED62a,62bの交換作業等を互いに分離した状態で別個に行うことができるため、交換作業が容易になる。さらに表示装置500は、導光板505、LED基板514、集光レンズ507などがフレーム枠体504を介して一体化されていることで、液晶表示器51から分離しても各部材の相対位置関係が変わることがないため、作業性が向上するとともに、交換による取り外しにより各部材の相対位置関係が変化して発光表示に悪影響が及ぶことがない。
【0119】
次に、図13及び図14に示すように、表示装置500は、集光レンズ507、LED基板514、導光板505がフレーム枠体504に一体に組み付けられた状態において、前導光板505aの上辺に沿って前レンズ507aが配設され、前レンズ507aの上方位置に複数の表示用LED62aが長手方向に並設されるとともに、後導光板505bの上辺に沿って後レンズ507bが配設され、後レンズ507bの上方位置に複数の表示用LED62bが長手方向に並設される。つまり、導光板505と表示用LED62a,62bとの間に集光レンズ507が配設される。
【0120】
具体的には、集光レンズ507は、下端面507Lが導光板505の上端面505Hに対向し、上端面507Hが各表示用LED62a,62bの発光面62cに対向する。また、各表示用LED62a,62bは、各凸部518に対応する個々の上端面507H及び下端面507Lの左右方向の略中央位置に配置される。
【0121】
そして、上端面507Hの前後幅寸法L2と発光面62cの前後幅寸法L4とはほぼ同寸であり(L2≒L4)、発光面62cと上端面507Hとの前後方向のずれはないことで、発光面62cからの出射光は前後方向に拡散されることなく上端面507Hに入射される。また、上端面505Hの前後幅寸法L3は下端面507Lの最下位部付近の前後幅寸法L1とほぼ同寸であり(L3≒L1)、上端面505Hと下端面507Lとの前後方向のずれはないことで、下端面507Lからの出射光は前後方向に拡散されることなく上端面505Hに入射される。
【0122】
また、下端面507Lの最下位部と上端面505Hとの間及び上端面507Hと表示用LED62a,62bの発光面62cとの間には、所定の隙間(例えば、約1?3mm程度)が設けられる。これにより、遊技機の輸送や使用の際に生じる振動により集光レンズ507や導光板505に傷が付くことが防止されている。
【0123】
次に、表示用LED62a,62bからの出射光の導光状態について説明する。
【0124】
各表示用LED62a,62bから出射された出射光は、集光レンズ507の上端面507H内に入射される。ここで、上端面507Hの前後幅寸法L2と発光面62cの前後幅寸法L4とはほぼ同寸であるため(L2≒L4)、各表示用LED62a,62bからの出射光は、前後方向に拡散せずにほぼ上端面507H内に入射される。また、上端面507Hの左右幅は発光面62cの左右幅よりも長寸であるため、左右方向に拡散される光もほぼ上端面507H内に入射される。
【0125】
上端面507Hから集光レンズ507内に入射された入射光は、下方の導光板505に向けて誘導される。LEDの光は指向性が高いが、レンズ面をなすように湾曲状に形成された上端面507Hを通して入射されることで、入射光は左右方向に放射状に拡散される。そして、同じように湾曲状のレンズ面として形成された下端面507Lを通過する際に、鉛直下方に向けて屈折して出射されるようになっている(図14参照)。
【0126】
これにより、指向性が高い表示用LED62a,62bからの出射光を、集光レンズ507によりある程度左右方向に放射状に拡散させて発光領域を広げることが可能となるとともに、下端面507Lにおける左右方向の異なる位置から出射される光は鉛直下方に導光されて放射状に拡がることはないので、各表示用LED62a,62bに対応する鉛直下方領域のみを部分的に発光させることが可能となる。
【0127】
また、上端面507Hから集光レンズ507内に入射された入射光は、下方の導光板505に向けて誘導されながら、前後(板厚)方向に全反射を繰り返し、該前後方向の略中央位置に向けて集光され(図13参照)、最終的に上端面507Hよりも前後幅が短い下端面507Lから出射される。
【0128】
このように、表示用LED62a,62bからの光を前後幅(板厚)方向に拡散させることなく集光して導光板505の上端面505Hに導くことができるため、光の減衰が抑制される。特に、表示用LED62a,62bの発光面62cの前後幅寸法L4が、上端面505Hの前後幅寸法L3よりも大きい場合(L4>L3)であっても、表示用LED62a,62bからの光を前後幅(板厚)方向に拡散させることなく導光板505の上端面505Hに導くことができるため、表示用LED62a,62bからの光が周囲に拡散されることが防止される。
【0129】
また、特に図示しないが、例えば表示用LED62a,62bが前後幅方向に複数配置される場合でも、上端面507Hの前後幅寸法L2を表示用LED62a,62bに応じて拡げ、これにより出射光を周囲に拡散させずに上端面507Hに入射させることができる。よって、導光板505の前後幅寸法L3(板厚)よりも表示用LED62a,62bの発光領域の前後幅寸法が大きい場合でも、表示用LED62a,62bからの出射光を誘導しながら板厚方向に集光して導光板505内に入射させることができる。
【0130】
下端面507Lから出射された光は、導光板505の上端面505Hに入射され、前後面により全反射を繰り返しながら下方に誘導されていく。そして、反射部510a?510c,511a?511cに到達したときに、凹部により形成された反射面にて入射光が前面側に向けて反射されることで、遊技者からは、それぞれの反射部510a?510c,511a?511cに対応する箇所が反射光により発光されることで、所定の文字やキャラクタ等の表示情報が表示されるようになる。
【0131】
次に、図15?図17に基づいて、サブCPU91aが行う表示装置500の表示制御の一例について説明する。
【0132】
本実施例では、通常時において、サブCPU91aは、表示用LED62a,62bを消灯し、液晶表示器51の表示画面51aにて所定の演出を行う。このように表示用LED62a,62bを消灯している状態では、反射部510a?510c,511a?511cを構成するドットパターンは目立たないため、遊技者からは視認困難とされている。
【0133】
そしてサブCPU91aは、例えば予告演出やボーナス中演出等において、前導光板505aの各反射部510a?510c及び後導光板505bの各反射部511a?511cそれぞれに対応する表示用LED62a,62bを個別に制御することで、導光板505の左表示領域L,中表示領域C,右表示領域Rに表示情報を個別に表示可能とされている。
【0134】
以下、表示装置500による予告演出の一例を説明する。
【0135】
例えば、図15に示すように、左ストップスイッチ8Lの操作に応じて前導光板505aの左表示領域Lに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62aを点灯させることで「大」の文字が表示され(図15(a)参照)、中ストップスイッチ8Cの操作に応じて前導光板505aの中表示領域Cに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62aを点灯させることで「当」の文字が表示され(図15(b)参照)、右ストップスイッチ8Rの操作に応じて前導光板505aの右表示領域Rに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62aを点灯させることで「り」の文字が表示される(図15(c)参照)。
【0136】
このように、各ストップスイッチ8L,8C,8Rの停止操作に応じて、各ストップスイッチに対応する表示領域のみに所定の表示情報を表示することができる。尚、この場合、液晶表示器51はoffとされて表示画面51aは黒色になっている。
【0137】
図16には、前後の導光板505を使った表示パターンが示されている。具体的には、左ストップスイッチ8Lの操作に応じて前導光板505aの左表示領域Lに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62aを点灯させることで「大」の文字が表示され(図16(a)参照)、中ストップスイッチ8Cの操作に応じて前導光板505aの右表示領域Rに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62aを点灯させることで「り」の文字が表示され(図16(b)参照)、右ストップスイッチ8Rの操作に応じて後導光板505bの中表示領域Cに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62bを点灯させることで「CHANCE!」の文字が表示される(図16(c)参照)。
【0138】
このように、サブCPU91aにより、前後の導光板505に対応する表示用LED62a,62bをそれぞれ個別に表示制御可能とすることで、前後いずれか1枚の導光板505のみで表示する場合に比べて、表示のバリエーションを増やすことができる。すなわち、例えば、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に応じて点灯させる表示用LED62a,62bは任意であるため、多彩な表示パターンでの表示が可能となる。
【0139】
図17には、後導光板505bと液晶表示器51とを使った表示パターンが示されている。具体的には、左ストップスイッチ8Lの操作に応じて後導光板505bの左表示領域Lに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62bを点灯させることでドラムキャラクタが表示され(図17(a)参照)、中ストップスイッチ8Cの操作に応じて後導光板505bの右表示領域Rに対応する複数(例えば、6個)の表示用LED62bを点灯させることで女の子のキャラクタが表示され(図17(b)参照)、右ストップスイッチ8Rの操作に応じて、液晶表示器51の表示画面51aにおいて「BONUS GET!」の文字及び背景が表示される(図17(c)参照)。
【0140】
このように、前後の導光板505に対応する表示用LED62a,62bをそれぞれ個別に表示制御するだけでなく、液晶表示器51を同時に表示制御することで、前後いずれか1枚の導光板505、あるいは前後2枚の導光板505で表示する場合に比べて、表示のバリエーションを増やすことが可能となる。すなわち、例えば、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に応じて点灯させる表示用LED62a,62b及び液晶表示器51は任意であるため、多彩な表示パターンで表示することが可能となる。
【0141】
以上説明したように、本発明の実施例としてのスロットマシン1に設けられた表示装置500にあっては、導光板505と表示用LED62a,62bとの間に、該表示用LED62a,62bからの入射光を導光板505側に誘導しながら板厚(前後)方向に集光して該導光板505の上端面505Hに向けて出射する集光レンズ507が設けられていることで、表示用LED62a,62bからの光を集光レンズ507を透して導光板505に入射させることで、表示用LED62a,62bからの光を板厚方向に拡散させることなく導光板505の上端面505Hに導くことができ、これにより光の減衰が抑制されるため、反射部510a?510c,511a?511cにより発光される文字やキャラクタ等の表示情報の視認性が向上する。
【0142】
具体的に説明すると、集光レンズ507は、表示用LED62a,62bに対向して配置される上端面507Hと、導光板505の上端面505Hに対向して配置される下端面507Lと、を備える板状部材からなり、下端面507Lは、上端面507Hよりも前後幅寸法が短寸に形成され(L1<L2)、前面507F及び背面507Bは上端から下端に向けて漸次互いに近づく方向に傾斜する平坦面であることで、上端面507Hから入射された入射光を全反射により誘導しながら板厚方向に集光して下端面507Lから出射させることができる。
【0143】
特に、表示用LED62a,62bの発光面62cの前後幅寸法L4よりも、導光板505の上端面505Hの前後幅寸法L3の方が短寸の場合(L3<L4)や、LEDを板厚方向に複数並設するなどして光量を増加する場合などにおいても、LED等の光源から出射される光の入射面を、このような発光面や光源の数量等に応じて大きくすることができるため、表示用LED62a,62bからの出射光を周囲に拡散させて減衰させることなく導光板505の上端面505Hに入射させることができる。
【0144】
また、このように表示用LED62a,62bの出射光を周囲に拡散させずに導光板505に入射されることで、前導光板505aに対応する表示用LED62aの光が漏れて後導光板505bの上端面505Hに入り込んだり、あるいは後導光板505bに対応する表示用LED62bの光が漏れて前導光板505aの上端面505Hに入り込んだりすることがない。よって、前後のうち一方の導光板505に対応する表示用LED62a,62bの出射光が漏れて他方の上端面505Hに入り込んで表示情報が薄く表示されてしまうことを回避できる。また、これら表示用LED62a,62bの出射光が液晶表示器51の表示画面51aの前面側に漏れて表示画面51aが見難くなることもない。
【0145】
また、このように表示用LED62a,62bからの入射光の減衰が防止されることで、反射部510a?510c,511a?511cでの反射光が弱くなり表示情報の視認性が低下することがないので、反射部510a?510c,511a?511cを構成する凹凸部を極力小さく目立たないように設けることができるため、例えば、表示用LED62a,62bを消灯させているときに、反射部510a?510c,511a?511cを構成する凹凸部が目立って遊技者から見えて違和感を与えてしまうことがない。
【0146】
例えば、導光板505が前導光板505aと後導光板505bとから構成されていることで、後導光板505bにて表示しているときに、非表示の前導光板505aの反射部510a?510cを構成する凹凸部が目立ち邪魔になって後導光板505bの視認性が損なわれることが防止される。
【0147】
また、導光板505の背面側に、表示装置500とは別個の液晶表示器51が設けられていることで、液晶表示器51にて表示を行っているときに、非表示の前導光板505aの反射部510a?510cや後導光板505bの反射部511a?511cを構成する凹凸部が目立って表示画面51aの視認性が損なわれることが防止される。
【0148】
また、導光板505の前後幅寸法L3(板厚)を、表示用LED62a,62bの配置位置や発光面62cの前後幅寸法L4等により制限されることなく、肉薄とすることができるため、製造コストを低減できる。
【0149】
さらに、表示装置500では、前後2枚の導光板505を通して液晶表示器51の表示画面51aを見ることになるため、導光板505の前後幅寸法L3である板厚を薄くできることで、例えば遊技者が、表示画面51aの正面から左右いずれか側にややずれた位置から該表示画面51aを視認する場合に、導光板505の板厚により表示画像が屈折して見えてしまうことがあるが、上記のように集光レンズ507を設けることにより導光板505の板厚を極力薄くすれば、屈折を極力抑えることができる。
【0150】
また、前記実施例では、集光レンズ507は横長板状に形成されていたが、表示用LED62a,62bからの入射光を導光板505側に誘導しながら板厚(前後)方向に集光して該導光板505の上端面505Hに向けて出射することが可能であれば、板状部材に限定されるものではなく、例えば図18に示すように、表示用LED62a,62bを被覆可能なドーム形状の透光性部材からなる集光レンズ507’であってもよい。
【0151】
この集光レンズ507’は、上端面に表示用LED62a,62bを収納可能な凹部507Nが形成され、該凹部507Nの内面が入射面とされている。形状は、上端から下端に向けて先細りになるドーム形状をなし、下端部から光を出射可能に構成されている。このような集光レンズ507’にあっても、上端から下端に向けて前後幅寸法が漸次短寸となり、入射光を全反射により導光板505側に誘導しながら前後方向に集光させて出射させることができる。
【0152】
前記実施例の集光レンズ507は、前面505F及び背面505Bはそれぞれ平坦状の傾斜面であったが、内部に入射された光を導光板505側に誘導可能であれば、図18に示す集光レンズ507’のような曲面にて構成されていてもよい。
【0153】
また、前記実施例の集光レンズ507の凸部518は、正面視略半円形状に形成され、下端面507Lが湾曲面にて構成されていたが、左右方向に広がる光を鉛直下方に向けて平行に誘導できれば形状は上記のような半円形でなくても、例えば図19に示すように台形状など種々に変更可能である。また、下端面507Lも、必ずしも湾曲面にて構成されていなくてもよい。
【0154】
また、前記実施例では、反射部510a?510c,511a?511cは、導光板505の背面505Bに設けられ、導光板505の上端面505Hから内部に入射された表示用LED62a,62bからの出射光を反射させて前面505Fから出射させる反射凹部であったが、上端面505Hから内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を前面505Fから出射させることで表示情報を発光表示可能なものであれば、例えば図20に示すように、前面505Fに設けられ、導光板505の上端面505Hから内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を全反射させずに、前面505Fから出射させる複数の凸部530等の透光誘導部であってもよいし、あるいは、特に図示しないが、前後面に形成される凹部や凸部ではなく、導光板505の内部に形成される反射部等であってもよい。
【0155】
また、前記実施例では、表示装置500の導光板505は、前導光板505aと後導光板505bとから構成されていたが、前後方向に重畳して配置した3枚以上の導光板505から構成されていてもよいし、1枚の導光板505のみ構成されていてもよい。
【0156】
また、前記実施例では、前導光板505aと後導光板505bとが所定の隙間を隔てて離間配置されることで、背面側の反射部511a?511cにて反射され前側に出射された出射光により前側の導光板505aの反射部510a?510cで反射して光ることが防止されていたが、互いに当接して配置されていてもよい。
【0157】
また、前記実施例では、表示用LED62a,62bは導光板505の上端面505Hに光を入射可能に設けられていたが、左右側端面または下端面に光を入射可能に設けてもよい。さらに光源は、LEDに限定されるものではなく、例えば冷陰極管等他の発光体であってもよい。
【0158】
また、前記実施例では、導光板505の一辺にのみ発光体が配設されていたが、例えば左右側辺または下辺等の他辺にも発光体を配置してもよい。そしてこの場合、例えば反射部を、異なる辺に配置されたそれぞれの発光体からの入射光のみを前面側に反射可能な反射面を有するように設ければ、発光させる発光体により異なる表示情報を表示させることができる。
【0159】
また、前記実施例では、表示装置500は、演出用の表示装置としての液晶表示器51の表示画面51aの前面側に重畳するように配設され、互いに一体化されて表示ユニット550を構成していたが、表示装置500は、必ずしもこのような他の表示装置(第2表示装置)の前面側に配設されるものに限定されるものではなく、例えば、リール2L、2C、2Rの前面側、あるいは所定の壁面や演出部材等の前面側等に配設され、単独で使用可能に構成されていてもよい。また、スロットマシン1の任意の箇所に設置可能である。
【0160】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0161】
例えば、前記実施例では、本発明の遊技機の一例として、遊技用価値としてメダル(遊技媒体)やクレジット等を用いて遊技を行うスロットマシン1を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技用価値としてパチンコ球(遊技媒体)を用いて遊技を行う遊技機、例えば、流路切替ソレノイド30や投入メダルセンサ31など、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行う球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、ホッパーモータ34bや払出センサ34cなど、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払い出しを行う球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダルおよび遊技球の双方を用いて賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球が払い出されるスロットマシンであってもよいし、パチンコ遊技機や雀球遊技機等にも適用可能である。
【0162】
また、前記実施例では、遊技者所有の遊技用価値としてのメダルの一部(前記実施例では50枚まで)をクレジットとして記憶可能であり、メダルまたはクレジットを用いることで遊技(ゲーム)を行うことができるようになっていたが、例えば貸出要求に応じて貸し出された価値や入賞に応じて付与された価値を全てクレジットとして記憶し、該クレジットのみの使用で遊技を行うことが可能な遊技機であってもよく、この場合、遊技用価値とはクレジットにあたる。
【0163】
また、本発明は、所定の遊技を行うことが可能な遊技機であればよく、例えば図21に示すように、入賞や大当り等の発生など遊技を行うことにより成立する所定条件の成立にもとづいて有価価値(例えば、遊技を行うための遊技用価値としてのメダルや遊技球等の遊技媒体であってもよいし、賭数の設定をクレジットのみを使用して行う完全クレジット式であればクレジットを付与するものであればよい)を付与する所謂パチンコ遊技機601にも適用可能である。
【0164】
尚、この種のパチンコ遊技機601に表示装置500’を適用する場合、例えば第1特別図柄表示器608aまたは第2特別図柄表示器608bによる特別図柄の可変表示に同期して可変表示される飾り図柄を表示する演出表示装置609等の前面側等に設けることが好ましいが、このように図柄の変動表示が行われる可変表示装置以外の演出用の表示装置の前面側等であってもよく、設置場所は任意である。
【符号の説明】
【0165】
1 スロットマシン
62a?62c 表示用LED
500 表示装置
504 フレーム枠体
505 導光板
505a 前導光板
505b 後導光板
505F 前面
505B 背面
505H 上端面
507 集光レンズ
507a 前レンズ
507b 後レンズ
507F 前面
507B 背面
507H 上端面
507L 下端面
510a?510c 反射部
511a?511c 反射部
550 表示ユニット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
光を透過可能な透光性を有し、スペーサー部材に当接することで所定の隙間を隔てた状態により板厚方向に重畳して表示装置の前面側に配設される複数の導光板と、
複数の導光板の各々に対応し、導光板の端面に光を入射可能に設けられる複数の発光体と、を備え、
複数の導光板の各々には、導光板の端面から内部に入射された発光体からの入射光により発光する発光部が設けられ、
前記発光部は、前記入射光により発光することで、文字、キャラクタ、絵柄、記号、図柄、あるいは模様を含む表示情報が前記導光板に表示されるように形成され、
複数の導光板の各々と対応する各発光体との間に、発光体からの入射光を導光板の板厚方向に集光して該導光板の端面に向けて出射する集光部材が前記スペーサー部材に当接した状態によりそれぞれ設けられており、
前記集光部材は、
発光体に対向して配置される入射側端面と、
導光板の端面に対向して配置される出射側端面と、を備え、
前記出射側端面は、前記入射側端面よりも短寸に形成されているとともに、導光板の端面の板厚幅寸法と略同寸であり板厚方向のずれがないように形成されている、
ことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-10-24 
出願番号 特願2011-133666(P2011-133666)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
P 1 651・ 537- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 海川口 聖司  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 平城 俊雅
加舎 理紅子
登録日 2015-09-04 
登録番号 特許第5800586号(P5800586)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 溝渕 良一  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 石川 好文  
代理人 石川 好文  
代理人 平木 祐輔  
代理人 関谷 三男  
代理人 渡辺 敏章  
代理人 重信 和男  
代理人 重信 和男  
代理人 頭師 教文  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 溝渕 良一  

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