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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
管理番号 1323477
異議申立番号 異議2016-700375  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-28 
確定日 2016-11-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5806929号発明「ブロー成形装置およびブロー成形容器の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5806929号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕及び〔7、8〕について訂正することを認める。 特許第5806929号の請求項1?8に係る特許を維持する。 
理由
第1 手続の経緯

特許第5806929号の請求項1?8に係る特許についての出願は、平成23年12月27日に出願され、平成27年9月11日に特許権の設定登録がされ、同年11月10日にその特許公報が発行され、その後、その特許について平成28年4月28日に特許異議申立人小坂美智子(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年7月1日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年8月25日に特許権者株式会社吉野工業所(以下「特許権者」という。)から意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成28年10月11日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否

1 訂正の請求の趣旨及び内容

平成28年8月25日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は、「特許第5806929号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?8について訂正することを求める」というものであって、その内容は、以下のとおりである。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1の「ブロー成形時に前記空間内に加圧流体を供給する加圧流体供給手段」を「ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段」に訂正する。

(2)訂正事項2

訂正請求の範囲の請求項2の「ブロー成形時に前記空間内に加圧流体を供給する加圧流体供給手段」を「ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段」に訂正する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項7の「前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側にも加圧流体を供給して該外壁面を加圧する」を「前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し、前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を介して加圧流体を供給して該外壁面を加圧する」に訂正する。

(4)訂正事項4

明細書の段落【0006】の「ブロー成形時に前記空間内に加圧流体を供給する加圧流体供給手段」を「ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段」に訂正する。

(5)訂正事項5

明細書の段落【0013】の「前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側にも加圧流体を供給して該外壁面を加圧する」を「前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し、前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を介して加圧流体を供給して該外壁面を加圧する」に訂正する。

2 訂正の適否についての判断

(1)一群の請求項について

ア 特許請求の範囲についての訂正

訂正前の請求項3?6は、請求項1及び2を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1及び訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
よって、訂正前の請求項1?6に対応する訂正後の請求項1?6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の発明である。
これに対し、本件訂正請求は、請求項ごとに全請求項について訂正することを求めるものであって、訂正後の請求項1?6について訂正することを求めることを含むものである。
よって、訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

また、訂正前の請求項8は、請求項7を引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。
よって、訂正前の請求項7及び8に対応する訂正後の請求項7及び8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の発明である。
これに対し、本件訂正請求は、請求項ごとに全請求項について訂正することを求めるものであって、訂正後の請求項7及び8について訂正することを求めることを含むものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

イ 明細書についての訂正

明細書の段落【0006】には請求項1及び2に係るブロー成形装置についての説明が記載されているから、訂正事項4による明細書の訂正に係る請求項は請求項1及び2である。したがって、訂正事項4の対象は、請求項1及び2を含む一群の請求項、すなわち請求項1?6である。
これに対し、本件訂正請求は、請求項ごとに全請求項について訂正することを求めるものであって、訂正後の請求項1?6について訂正することを求めることを含むものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

また、明細書の段落【0017】には請求項7に係るブロー成形容器の製造方法についての説明が記載されているから、訂正事項5による明細書の訂正に係る請求項は請求項7である。したがって、訂正事項5の対象は、請求項7を含む一群の請求項、すなわち請求項7及び8である。
これに対し、本件訂正請求は、請求項ごとに全請求項について訂正することを求めるものであって、訂正後の請求項7及び8について訂正することを求めることを含むものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

(2)訂正事項1

ア 訂正の目的

訂正前の請求項1に係る発明は、加圧流体供給手段がブロー成形時に空間内に加圧流体を供給するとしているが、この空間がどのような態様であるかは特定していない。
これに対し、訂正後の請求項1に係る発明は、この空間を加圧流体を供給するための通路を残して密閉されたものに限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと

上記アで述べたとおり、訂正事項1は、加圧流体が供給される空間の態様を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1を引用する請求項3?6のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であること

願書に添付した明細書の段落【0021】の「ブロー成形装置1は、プリフォーム3の口部3aの外壁面の周りをその相互間に空間20を形成しつつ密(気密または液密)に囲繞する隔壁部材22と、ブロー成形時に上記空間20内に加圧流体を供給する加圧流体供給手段24と、をさらに備えている」との記載、段落【0022】の「隔壁部材22の内部には、加圧流体供給手段24に繋がり上記空間20に開口する通路22が形成されている」との記載及び段落【0027】の「この実施形態のブロー成形装置1によれば、プリフォーム3の口部3aの外側に密閉された空間20を形成し、ブロー成形時に該空間20にも加圧流体を供給する」との記載並びに図面の【図1】の記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、所論の空間が加圧流体を供給するための通路を残して隔壁部材により密閉されている具体的態様が記載されているといえる。
そして、願書に添付した明細書の段落【0016】の「この発明によれば、プリフォームの口部外側に密閉された空間を形成し、ブロー成形時に該空間にも加圧流体を供給する構成としたことから、口部の内壁面側と外壁面側との圧力差を低減することができ、このような圧力差によって口部が拡径変形するのを防止することができる。」との記載に接した当業者であれば、所論の空間が加圧流体を供給するための通路を残して隔壁部材により密閉されていることを、かかる具体的態様においてたまたまそうなっていると把握するのではなく、発明の課題や効果と関連する一般的な技術的事項と把握するといえる。
そうすると、所論の空間が加圧流体を供給するための通路を残して隔壁部材により密閉されているという思想は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項である。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正事項2

上記(2)で述べたのと同様である。

(4)訂正事項3

ア 訂正の目的

訂正前の請求項7に係る発明は、口部の外壁面側にも加圧流体を供給して外壁面を加圧するとしているが、この加圧がどのような態様であるかは特定していない。
これに対し、訂正後の請求項7に係る発明は、加圧を、隔壁部材によって通路を残して形成した密閉された空間にこの通路を介して加圧流体を供給するものに限定するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと

上記アで述べたとおり、訂正事項3は、加圧の態様を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、訂正事項3は、訂正前の請求項7を引用する請求項8のカテゴリーや対象、目的を変更するものでもない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であること

上記(2)ウで述べたのと同様である。

(5)訂正事項4

ア 訂正の目的

訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正及び訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。
よって、訂正事項4は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと

上記アで述べたとおり、訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正及び訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。
そして、上記訂正事項1に係る訂正及び訂正事項2に係る訂正が訂正前の請求項1?6のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは、上記(2)イ及び(3)で述べたとおりであるから、訂正事項4も、訂正前の請求項1?6のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であること

上記(2)ウで述べたのと同様である。

(6)訂正事項5

ア 訂正の目的

訂正事項5は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。
よって、訂正事項5は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと

上記アで述べたとおり、訂正事項5は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものである。
そして、上記訂正事項3に係る訂正が訂正前の請求項7及び8のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことは、上記(4)イで述べたとおりであるから、訂正事項5も、訂正前の請求項7及び8のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であること

上記(4)ウで述べたのと同様である。

(7)訂正の適否についてのまとめ

以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、本件訂正請求に係る請求項はいずれも特許異議の申立てがされている請求項であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かを訂正の適否の一環として判断すべき請求項は存在しない。
よって、訂正後の請求項〔1?6〕及び〔7、8〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて

1 本件発明

上記第2で述べたとおり、訂正後の請求項1?8について訂正を認めたので、特許第5806929号の請求項1?8に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明8」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、
前記ブローノズルは、前記口部内に挿入されるとともに先端が縮径したガイド筒を有することを特徴とするブロー成形装置。

【請求項2】
内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、
前記ブローノズルから供給する加圧流体は液体であり、前記加圧流体供給手段によって供給する流体は気体であることを特徴とするブロー成形装置。

【請求項3】
前記ブローノズルおよび前記隔壁部材を共に、前記ブロー成形型に対して近接、離間移動させる駆動機構を備える、請求項1または2に記載のブロー成形装置。

【請求項4】
前記ブローノズルは、前記口部の上端に対向する平坦面を有し、該口部の上端と平坦面との間に前記プリフォームの内部と前記空間との間をシールするシール要素を配設してなる、請求項1?3の何れか一項に記載のブロー成形装置。

【請求項5】
前記プリフォームは口部の下端にネックリングを有するものであり、
前記隔壁部材は、その下端が前記プリフォームのネックリングに密に当接するよう構成される、請求項1?4の何れか一項に記載のブロー成形装置。

【請求項6】
前記加圧流体供給手段は、前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記空間に加圧流体を供給する、請求項1?5の何れか一項に記載のブロー成形装置。

【請求項7】
有底筒状に予備形成されたプリフォームの口部を残して、該プリフォームをブロー成形型内に収容し、前記口部から加圧流体を供給して前記プリフォームのブロー成形を行うブロー成形容器の製造方法であって、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し、前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を介して加圧流体を供給して該外壁面を加圧するものとし、
前記プリフォーム内に供給する加圧流体は液体であり、前記口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体であることを特徴とするブロー成形容器の製造方法。

【請求項8】
前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記口部の外壁面側に加圧流体を供給する、請求項7に記載のブロー成形容器の製造方法。

2 特許異議申立人が申し立てた取消理由の概要

特許異議申立人が申し立てた取消理由の概要は、以下のとおりである。

本件発明1?9は、その出願前に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?第3号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件発明1?9に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開2009-166482号公報(公開日:2009年7月30日)
甲第2号証:実公平1-33315号公報(公告日:平成1年10月9日)
甲第3号証:特開2000-43129号公報(公開日:平成12年2月15日)

第4 特許異議の申立てについて当審の判断

1 刊行物

甲第1号証:特開2009-166482号公報
甲第2号証:実公平1-33315号公報
甲第3号証:特開2000-43129号公報

2 刊行物の記載

(1)甲第1号証

(1a)
「【請求項1】
有底筒状に形成されたプリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームをブロー成形型に収容し、
前記口部からブローエアーを供給して、前記プリフォームの胴部を膨らませて所定の容器形状にブロー成形するにあたり、
前記ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルの開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するとともに、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給することを特徴とする樹脂製容器の製造方法。」

(1b)
「【請求項2】
前記口部の外周面側を囲繞する空間を形成して、前記空間内に前記冷却媒体を加圧下に供給する請求項1に記載の樹脂製容器の製造方法。」

(1c)
「【請求項4】
前記ブローエアーと同じ又はほぼ同じ圧力で、前記冷却媒体を供給する請求項2又は3のいずれか1項に記載の樹脂製容器の製造方法。」

(1d)
「【請求項8】
有底筒状に形成されたプリフォームを所定の容器形状にブロー成形するためのブロー成形型であって、前記プリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームを収容するブロー成形型と、
ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルであって、ブローエアーが吹き出す開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するブロー成形ノズルと、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給する冷却機構とを備えたことを特徴とするブロー成形装置。」

(1e)
「【0001】
本発明は、有底筒状に形成されたプリフォームを所定の容器形状にブロー成形することによって樹脂製容器を製造する樹脂製容器の製造方法、及びそのような方法に好適なブロー成形装置に関する。」

(1f)
「【0002】
近年、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂をボトル状に成形してなる樹脂製容器が、各種飲料品などを内容物とする容器として急速に普及している。このような樹脂製容器の多くは、有底筒状に形成されたプリフォームを用意し、これをブロー成形することによって、所定の容器形状に成形されている。」

(1g)
「【0014】
図示する例において、プリフォーム2は有底筒状に形成されており、ブローエアーが供給される開口端となる口部21と、この口部21から垂下する胴部23とを有している。また、口部21と胴部23との間には、環状に張り出すネックリング22が形成されている。」

(1h)
「【0015】
このようなプリフォーム2は、ブロー成形型Mの上部にネックリング22を支持して、ブロー成形型Mの外部に口部21が配置されるとともに、ブロー成形型Mの空洞部3内に胴部23が配置されるようにしてブロー成形型Mに収容される。このとき、プリフォーム2の胴部23は、プリフォーム2をブロー成形型Mに収容するに先だって、ブロー成形、又は延伸ブロー成形が可能な軟化状態となるように加熱される。」

(1i)
「【0016】
ブロー成形型Mの内部に形成される空洞部3は、製造しようとする樹脂製容器の胴部外形に応じて形成される容器形成部である。これにより、プリフォーム2内に供給されるブローエアーによって、プリフォーム2の胴部23を膨らませ、空洞部3の周面に密着させることで、所定の容器形状とされた樹脂製容器を製造することができる。
なお、特に図示しないが、ブロー成形型Mは割型構造とすることができ、例えば、左右に分割することで樹脂製容器の取り出しがなされるようにすることができる。また、プリフォーム2の胴部23を膨らませるにあたっては、必要に応じて、この種のブロー成形に利用可能な延伸ロッドを併用し、プリフォームを高さ方向に延伸させた後に、又は、延伸しながら膨らませてもよい。」

(1j)
「【0017】
ブロー成形ノズル1は、ブローエアーの吹き出し口となる部材であり、図示しないブローエアー供給源に接続されている。そして、その基部11に形成された開口部としてのブローエアー供給口15から、高温高圧のブローエアーが吹き出すようになっている。また、ブロー成形に際しては、ブローエアー供給口15周縁のシール面111が、プリフォーム2の口部21の開口端縁に密着するように、ブロー成形型Mに対してブロー成形ノズル1を配置する。これにより、ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させて、その状態で、図中矢印で示すように、プリフォーム2内にブローエアーを供給する。」

(1k)
「【0018】
また、ブロー成形ノズル1には、基部11の周縁部から筒状に突出する隔壁部12が設けられている。そして、上記のようにしてブロー成形ノズル1を配置したときに、隔壁部12の先端がブロー成形型Mの上面に密着して、プリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間が形成されるようにしてある。」

(1l)
「【0019】
さらに、隔壁部12によって形成される上記空間には、冷却媒体としての冷却エアーが、図示しない冷却エアー供給源に接続された冷却エアー供給口16から、加圧下に供給されるようになっている。図中矢印で示すように、冷却エアー供給口16から供給された冷却エアーは、上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却エアー排出口17から排出される。
なお、冷却媒体としては、冷却エアー(空気)以外にも、適宜、窒素、酸素、二酸化炭素などの気体を用いてもよいし、これらの気体を無菌化して用いてもよい。」

(1m)
「【0020】
このように、本実施形態にあっては、プリフォーム2の口部21から高温高圧のブローエアーを供給する際に、口部21の外周面側に冷却エアーを供給する冷却機構を備え、このような冷却機構によって口部21の外周面側が冷却されるようにしている。このようにすることで、プリフォーム2の口部21が、ブローエアーの熱に曝されて変形してしまうのを有効に回避することができる。
また、プリフォーム2をブロー成形型Mに収容するに先だって、プリフォーム2の胴部23を加熱するに際し、プリフォーム2の口部21が不必要に加熱されて軟化してしまうこともある。このような場合でも、口部21を冷却固化させて、口部21の変形を防止することができる。このように、プリフォーム2の口部21が不必要に加熱されて軟化した状態でブロー成形に供されたときには、ブローエアーとして常温で高圧のエアーを用いる場合であっても、口部21を外方からも冷却固化できるので、口部21の変形防止に効果的である。」

(1n)
「【0023】
また、本実施形態では、口部21の外周面側に冷却エアーを供給するにあたり、口部21の外周面側を囲繞する空間を形成し、この空間内に冷却エアーを加圧下に供給するようにしている。このようにすることで、口部21の内周面側と外周面側とで圧力差が生じてしまわないようにすることができ、このような圧力差によって口部21が拡径するように変形してしまうのを防止することできる。このためには、ブローエアーと同じか、又はほぼ同じ圧力で、冷却エアーを供給するのが好ましい。」

(1o)
「【0025】
例えば、上述した実施形態では、隔壁部12の先端がブロー成形型Mの上面に密着して、プリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間が形成されるようにしてあるが、例えば、図2に示すように、隔壁部12の先端は、プリフォーム2のネックリング22に密着させるようにしてもよい。」

(1p)
「【0026】
また、上述した実施形態では、ブロー成形ノズル1に隔壁部12を設けて、プリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間が形成されるようにしてあるが、同様の隔壁部をブロー成形型M側に設けてもよい。ただし、上記空間内に加圧下に供給される冷却エアーのリークを防いで、一定の圧力を維持するためには、ブロー成形ノズル1と一体に形成されるように隔壁部12を設けるのが好ましい。
また、プリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間を形成する隔壁部12は、図3に示すように、ブロー成形ノズル1とは別体に設けることもできる。」

(1q)
「【0029】
また、上述した実施形態では、ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させるために、ブローエアー供給口15周縁のシール面111をプリフォーム2の口部21の開口端縁に密着させているが、これに限定されない。プリフォーム2の口部21の内周面側と外周面側のいずれか一方、又は両方に密着する部位をブロー成形ノズル1に設けて、ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させてもよい。」

(1r)
「【0030】
具体的には、例えば、図5に示すように、ブローエアー供給口15の周縁から筒状に垂下させた筒状突部112を口部21の内周面側に密着させたり、口部21の開口部端縁の外径とほぼ一致する内径の環状突起113を形成して、これを口部21の外周面側に密着させたりするなどして、ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させることも可能である。」

(1s)
「【0031】
なお、図5に示す例では、筒状突部112と環状突起113の両方を設けているが、ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させることができれば、いずれか一方が設けられていればよい。また、この場合において、上述した実施形態のように、ブローエアー供給口15周縁のシール面111をプリフォーム2の口部21の開口端縁に密着させるもの(図1,2)と併用してもよい。また、図5に示す例では、筒状突部112と環状突起113のそれぞれにOリングなどのシール部材112a,113aを設けて気密性を高めているが、十分な気密性が確保できれば、これらのシール部材112a,113aは適宜省略してもよい。」

(1t)
「【図1】



(1u)
「【図2】



(1v)
「【図3】



(1w)
「【図5】



(1x)
「【0011】
以上のような本発明によれば、プリフォームの口部からブローエアーを供給する際に、口部の外周面側に冷却媒体を供給して冷却し、プリフォームの口部の熱による軟化、又は熱収縮状態を防ぐことで、口部が変形してしまうのを有効に回避することができる。」

(1y)
「【0027】
また、上述した実施形態では、プリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間に冷却エアーを供給するにあたり、冷却エアーが、冷却エアー供給口16から供給され、冷却エアー排出口17から排出されるようにしているが、冷却エアー供給口16と冷却エアー排出口17は、その個数,口径,設置位置を適宜設定することができる。例えば、上記空間内の圧力を高めるためには、冷却エアー供給口16の開口総面積が、冷却エアー排出口17の開口総面積より大きい方が好ましい。また、プリフォーム2の口部21が均一に冷却されるように、冷却エアーを口部21へ均一に指向させたり、冷却エアーを上記空間内で循環させたりすることが可能となるように、冷却エアー供給口16と冷却エアー排出口17とを離れた位置に設置するのが好ましい。例えば、冷却エアー供給口16は、冷却エアーがプリフォーム口部21に直接向かうように指向してもよいし、口部21の全周を取り囲むように複数設けてよい。また、冷却エアー排出口17も複数設けてもよいし、冷却エアー排出口17を設ける代わりに、適量の冷却エアーを意図的にリークさせるような構造としてもよい。例えば、図1に示す例では、ブロー成形ノズル1に設けた隔壁部12の先端と、ブロー成形金型Mとの接触面から、図2に示す例では、ブロー成形ノズル1に設けた隔壁部12の先端と、ネックリング22との接触面から、適量の冷却エアーがリークするようにしてもよい。」

(2)甲第2号証

(2a)
「第2図に本考案の第1実施例を示す。・・・ガイドピン36の外径はパリソン又は中空成形品38の口元部内径にはまり合う大きさとしてあ・・・る。・・・
次にこの実施例の作用について説明する。・・・ベースプレート30が下降すると、まずガイドピン36が、下方に置かれているパリソン又は中空成形品38の口元部内径にはまり込む。ガイドピン36がパリソン又は中空成形品38の口元部内径にはまり込むことにより、パリソン又は中空成形品38はガイドピン36と同心位置にくるように位置が補正される。・・・。」(2頁右欄1行?5頁左欄16行)

(2b)
「第3図に本考案の第2実施例を示す。この実施例は、本考案を延伸ブロー成形部の把持装置に適用したものである。延伸ブロー成形部では、延伸ロツドによつてパリソンを延伸させると共にパリソン内部にに高圧空気が吹き込まれる。このため第3図に示す第2実施例では、ガイドピン36′を中空として、この中空部を延伸ロツド72が通過可能とすると共に中空部により高圧空気の通路を形成している。また、高圧空気を密封するために、ガイドピン36′には、環状のシールゴム70がパリソン38の口元上端部に押圧されるように配置されている。その他の基本的な構造は第2図に示した第1実施例と同様である。こ第2実施例についても、前述の第1実施例と同様の作用・効果が得られる。」(3頁左欄43行?右欄13行)

(2c)
「第3図



(3)甲第3号証

(3a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリフォーム材又はパリソンに内容物となる最終的な充填液を充填することにより、プラスチック容器を製品としての形状に成形し得るようにしたプラスチック容器の成形方法に関するものである。」

(3b)
「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のプラスチック容器の成形方法は、所定の温度に加熱されたプリフォーム材或いはパリソンをブロー金型にセットすると共にブロー金型内で延伸ロッドによりプリフォーム材或いはパリソンを延伸させ、しかる後延伸したプリフォーム材或いはパリソン内に所定の温度に加熱した充填液を充填してプリフォーム材或いはパリソンを膨張させ、ブロー金型の内周面に倣った外形のプラスチック容器を形成するものである。」

(3c)
「【0024】図4は一定温度に加熱されているプリフォーム材内に内容物である水、お茶、清涼飲料水等の充填液を供給する工程を示し、図中、15は延伸ロッド5のインナパイプ12(図7?図11参照)にフレキシブルチューブ16及び配管17を介して接続された充填液供給ポンプ、18は充填液供給ポンプ15により圧送されて延伸ロッド5のインナパイプ12に穿設した充填液供給孔12c(図7、11参照)から、延伸されたプリフォーム材4内に供給される充填液、19はプリフォーム材4内から延伸ロッド5のコア9と延伸ロッド本体10との間の隙間11b,11,11a(図7、10、9、8参照)を通って外部へ排出される空気である。」

(3d)
「【0043】本発明の実施の形態によれば、ひとつの工程で充填液18の充填、ペットボトル20の成形、ペットボトル20の無菌化を行うことができるため、工程の簡略化が可能となり、従って生産ラインが短縮化されると共に機器の簡略化が可能となり、その結果設備の設置面積を縮小できると共に、設備費、運転維持費の削減が可能となる。」

3 刊行物に記載された発明

(1)引用発明1

ア 全体構成について

甲第1号証には、「有底筒状に形成されたプリフォームを所定の容器形状にブロー成形するためのブロー成形型であって、前記プリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームを収容するブロー成形型と、
ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルであって、ブローエアーが吹き出す開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するブロー成形ノズルと、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給する冷却機構とを備えたブロー成形装置」が示されている(摘記(1d)、(1t)、(1w))。

イ ブロー成形型について

甲第1号証には、「ブロー成形型Mは、製造しようとする樹脂製容器の胴部外形に応じて形成される容器形成部である空洞部3が内部に形成されたものであること」が示されている(摘記(1h)、(1t)、(1w)))。

ウ プリフォームについて

甲第1号証には、「プリフォーム2は、有底筒状に形成されており、ブローエアーが供給される開口端となる口部21とこの口部21から垂下する胴部23とを有しており、口部21と胴部23との間には環状に張り出すネックリング22が形成されており、ブロー成形型Mの上部にネックリング22を支持してブロー成形型Mの外部に口部21が配置されるとともにブロー成形型Mの空洞部3内に胴部23が配置されるものであること」が示されている(摘記(1g)、(1h)、(1t)、(1w))。

エ ブロー成形ノズルについて

甲第1号証には、「ブロー成形ノズル1は、ブローエアー供給源に接続されその基部11に形成された開口部としてのブローエアー供給口15から高温高圧のブローエアーが吹き出すようになっており、かつ、基部11の周縁部から筒状に突出する隔壁部12が設けられて隔壁部12の先端がブロー成形型Mの上面に密着してプリフォーム2の口部21の外周面側を囲繞する空間を形成するものであること」が示されている(摘記(1j)、(1k)、(1t)、(1w))。

オ 冷却機構について

甲第1号証には、「冷却機構は、プリフォーム2の口部21から高温高圧のブローエアーを供給する際に、隔壁部12によって形成される上記空間に冷却エアーが冷却エアー供給源に接続された冷却エアー供給口16から、加圧下に供給されるようになっており、かつ、冷却エアー供給口16から供給された冷却エアーは、上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却エアー排出口17から排出されるものであること」が示されている(摘記(1l)、(1m)、(1t)、(1w))。

カ 気密性の確保について

甲第1号証には、「ブローエアー供給口15をプリフォーム2の口部21に気密下に連通させるために、ブローエアー供給口15の周縁から筒状に垂下させた筒状突部112を口部21の内周面側に密着させるとともに、口部21の開口部端縁の外径とほぼ一致する内径の環状突起113を形成して、これを口部21の外周面側に密着させ、筒状突部112と環状突起113のそれぞれにOリングなどのシール部材112a,113aを設けて気密性を高めていること」が示されている(摘記(1q)、(1r)、(1s)、(1w))。

キ まとめ

上記ア?カから、甲第1号証には、
「有底筒状に形成されたプリフォームを所定の容器形状にブロー成形するためのブロー成形型であって、前記プリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームを収容するブロー成形型と、
ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルであって、ブローエアーが吹き出す開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するブロー成形ノズルと、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給する冷却機構とを備えたブロー成形装置であって、
ブロー成形型は、製造しようとする樹脂製容器の胴部外形に応じて形成される容器形成部である空洞部が内部に形成されたものであり、
プリフォームは、有底筒状に形成されており、ブローエアーが供給される開口端となる口部とこの口部から垂下する胴部とを有しており、口部と胴部との間には環状に張り出すネックリングが形成されており、ブロー成形型の上部にネックリングを支持してブロー成形型の外部に口部が配置されるとともにブロー成形型の空洞部内に胴部が配置されるものであり、
ブロー成形ノズルは、ブローエアー供給源に接続されその基部に形成された開口部としてのブローエアー供給口から高温高圧のブローエアーが吹き出すようになっており、かつ、基部の周縁部から筒状に突出する隔壁部が設けられて隔壁部の先端がブロー成形型の上面に密着してプリフォームの口部の外周面側を囲繞する空間を形成するものであり、
冷却機構は、プリフォームの口部から高温高圧のブローエアーを供給する際に、隔壁部によって形成される上記空間に冷却エアーが冷却エアー供給源に接続された冷却エアー供給口から、加圧下に供給されるようになっており、かつ、冷却エアー供給口から供給された冷却エアーは、上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却エアー排出口から排出されるものであり、
ブローエアー供給口をプリフォームの口部に気密下に連通させるために、ブローエアー供給口の周縁から筒状に垂下させた筒状突部をプリフォームの口部の内周面側に密着させるとともに、プリフォームの口部の開口部端縁の外径とほぼ一致する内径の環状突起を形成して、これをプリフォームの口部の外周面側に密着させ、筒状突部と環状突起のそれぞれにOリングなどのシール部材を設けて気密性を高めている、
ブロー成形装置」
の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

(2)引用発明2

ア 気密性の確保について

上記(1)ア?オのほか、甲第1号証には、「ブローエアー供給口をプリフォームの口部に気密下に連通させるために、ブローエアー供給口周縁のシール面が、プリフォームの口部の開口端縁に密着するように、ブロー成形型に対してブロー成形ノズル1を配置すること」が示されている(摘記(1j)、(1t))。

イ まとめ

上記アから、甲第1号証には、
「有底筒状に形成されたプリフォームを所定の容器形状にブロー成形するためのブロー成形型であって、前記プリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームを収容するブロー成形型と、
ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルであって、ブローエアーが吹き出す開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するブロー成形ノズルと、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給する冷却機構とを備えたブロー成形装置であって、
ブロー成形型は、製造しようとする樹脂製容器の胴部外形に応じて形成される容器形成部である空洞部が内部に形成されたものであり、
プリフォームは、有底筒状に形成されており、ブローエアーが供給される開口端となる口部とこの口部から垂下する胴部とを有しており、口部と胴部との間には環状に張り出すネックリングが形成されており、ブロー成形型の上部にネックリングを支持してブロー成形型の外部に口部が配置されるとともにブロー成形型の空洞部内に胴部が配置されるものであり、
ブロー成形ノズルは、ブローエアー供給源に接続されその基部に形成された開口部としてのブローエアー供給口から高温高圧のブローエアーが吹き出すようになっており、かつ、基部の周縁部から筒状に突出する隔壁部が設けられて隔壁部の先端がブロー成形型の上面に密着してプリフォームの口部の外周面側を囲繞する空間を形成するものであり、
冷却機構は、プリフォームの口部から高温高圧のブローエアーを供給する際に、隔壁部によって形成される上記空間に冷却エアーが冷却エアー供給源に接続された冷却エアー供給口から、加圧下に供給されるようになっており、かつ、冷却エアー供給口から供給された冷却エアーは、上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却エアー排出口から排出されるものであり、
ブローエアー供給口をプリフォームの口部に気密下に連通させるために、ブローエアー供給口周縁のシール面が、プリフォームの口部の開口端縁に密着するように、ブロー成形型に対してブロー成形ノズルを配置する、
ブロー成形装置」
の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

(3)引用発明3

ア 全体構成について

甲第1号証には、「有底筒状に形成されたプリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームをブロー成形型に収容し、
前記口部からブローエアーを供給して、前記プリフォームの胴部を膨らませて所定の容器形状にブロー成形するにあたり、
前記ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルの開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するとともに、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給することを特徴とする樹脂製容器の製造方法」が示されている(摘記(1a)、(1t))。

イ 冷却媒体の供給態様について

甲第1号証には、「前記口部の外周面側を囲繞する空間を形成して、前記空間内に前記冷却媒体を加圧下に供給すること」が示されている(摘記(1b)、(1t))。

ウ 冷却媒体の圧力について

甲第1号証には、「前記ブローエアーと同じ又はほぼ同じ圧力で、前記冷却媒体を供給するものであること」が示されている(摘記(1c))。

エ 冷却媒体の種類及び冷却媒体の排出について

甲第1号証には、「冷却媒体としては冷却エアーを用いること」及び「上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却媒体としての冷却エアーが冷却エアー排出口から排出されること」が示されている(1l)。

オ まとめ

上記ア?エから、甲第1号証には、
「有底筒状に形成されたプリフォームの開口端となる口部が外部に配置されるように、前記プリフォームをブロー成形型に収容し、
前記口部からブローエアーを供給して、前記プリフォームの胴部を膨らませて所定の容器形状にブロー成形するにあたり、
前記ブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルの開口部を前記口部に気密下に連通させて、前記プリフォーム内に前記ブローエアーを供給するとともに、
前記口部の外周面側に冷却媒体を供給することを特徴とする樹脂製容器の製造方法であって、
前記口部の外周面側を囲繞する空間を形成して、前記空間内に前記冷却媒体を加圧下に供給するものであり、
前記ブローエアーと同じ又はほぼ同じ圧力で、前記冷却媒体を供給するものであり、
冷却媒体としては冷却エアーを用い、上記空間内が一定の圧力に維持されるようにしつつ、冷却エアーが冷却エアー排出口から排出される、
樹脂製容器の製造方法」
の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているといえる。

4 本件特許発明と引用発明との対比及びそれに基づく判断

(1)本件特許発明1について

ア 引用発明1との対比及びそれに基づく判断

(ア)対比

引用発明1における「ブロー成形型」は、空洞部が内部に形成され、ブロー成形型の外部にプリフォームの口部が配置されるとともにブロー成形型の空洞部内にプリフォームの胴部が配置される点で、「内部にキャビティを区画し、キャビティ内にプリフォームを口部を残して収容するブロー成形型」であるといえる。
また、引用発明1における「プリフォーム」は、有底筒状に形成され、ブローエアーが供給される開口部となる口部とこの口部から垂下する胴部とを有しており、所定の形状にブロー成形されるものである点で、「その開口端となる口部を備えた、有底筒状に予備成形されたプリフォーム」であるといえる。
また、引用発明1における「冷却機構」は、プリフォームの口部から高温高圧のブローエアーを供給する際に、隔壁部によって形成される空間に冷却エアーが冷却エアー供給源に接続された冷却エアー供給口から、加圧下に供給されるものである点で、「ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段」であるといえる。
また、引用発明1における「ブロー成形ノズル」は、ブローエアーが吹き出す開口部をプリフォームの口部に気密化下に連通させてプリフォーム内に高温高圧のブローエアーを供給するものである点で、「プリフォームの口部を通じてプリフォーム内に加圧流体を供給する」ものであるといえる。
また、引用発明1における「ブロー成形ノズルの隔壁部」は、プリフォーム口部の外周面側を囲繞する空間を形成するものである点で、「プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する」ものであるといえる。
さらに、引用発明1における「筒状突部」は、プリフォームの口部の内周面内側に密着させるものである点で、「プリフォームの口部内に挿入される」ものであるといえる。

そうすると、引用発明1における「ブロー成形型」、「プリフォーム」おける「冷却機構」は、それぞれ本件特許発明1における「ブロー成形型」、「プリフォーム」及び「加圧流体供給手段」に相当し、引用発明1における「ブロー成形ノズル」、「ブロー成形ノズルの隔壁部」及び「筒状突部」は、それぞれ本件特許発明1における「ブローノズル」、「隔壁部材」及び「ガイド筒」に対応するといえる。

したがって、本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、両者は、
「内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を有する前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、
前記ブローノズルは、前記口部内に挿入されるガイド筒を有するブロー成形装置。」
という点で一致し、

(相違点1)前者は加圧流体を供給する空間が加圧流体を供給するための通路を残して密閉されたものであるのに対し、後者は加圧流体を供給する空間が加圧流体を供給するための通路のほか冷却エアー排出口を有するものである点
(相違点2)前者はガイド筒の先端が縮径したものであるのに対し、後者はガイド筒の先端が縮径したものではない点
で相違する。

(イ)相違点についての検討

a 相違点1について

引用発明1は、プリフォームの口部からブローエアーを供給する際に口部が変形してしまうことを回避することを課題とし、プリフォームの口部からブローエアーを供給する際に口部の外周面側に冷却媒体を供給して冷却してプリフォームの口部の熱による軟化、又は熱収縮状態を防ぐことを課題を解決するための手段とするものである(摘記(1x))。
そして、当業者であれば、引用発明1がこのような課題及び課題を解決する手段であるものであることを踏まえて、引用発明1の冷却エアー排出口から冷却エアーを排出するという構成を、プリフォーム口部の熱を奪って吸熱能力が低下した冷却エアーを新鮮な冷却エアーと入れ替えるための、課題を解決する手段に密接に関係する構成であると認識するといえる。

他方、甲第1号証には、冷却エアー排出口はその個数、口径、設置位置を適宜設定することができることや、一例として空間内の圧力を高めるために冷却エアー排出口を冷却エアー供給口よりも小さくすること、冷却エアー排出口を設ける代わりにブロー成形ノズルに設けた隔壁部の先端とこの先端に接触する面などから適量の冷却エアーが意図的にリークするような構造としてもよいことが示されている(摘記(1y))。

しかし、上記の課題及び課題を解決する手段に接した当業者であれば、これらの記載はあくまでプリフォーム口部の熱を奪って吸熱能力が低下した冷却エアーを新鮮な冷却エアーと入れ替えることを前提とするものであると認識するといえる。
したがって、引用発明1において冷却エアー排出口を小さくすることは甲第1号証の上記記載から当業者が容易に想到し得たことであるということができるが、引用発明1において冷却エアー排出口を有しないものとすることが甲第1号証の上記記載から当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

また、甲第2号証及び甲第3号証には、上記2(2)で摘記した箇所のほか摘記しなかった箇所も含め、そもそも口部の外周面側を囲繞する空間を形成しこの空間内に流体を加圧下に供給することすら明記されていないし示唆もされていない。
したがって、引用発明1において冷却エアー排出口を有しないものとすることは甲第2号証又は甲第3号証の記載から当業者が容易に想到し得たことではない。

さらに、吸熱能力が低下した冷却エアーを新鮮な冷却エアーと入れ替えないことが技術常識であると認めるに足りる根拠がみあたらないから、引用発明1において冷却エアー排出口を有しないものとすることは技術常識から当業者が容易に想到し得たことであるともいえない。

よって、引用発明1において冷却エアー排出口を有しないものとすることは、甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(ウ)まとめ

以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明1並びに甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(2)本件特許発明2について

ア 引用発明2との対比及びそれに基づく判断

(ア)対比

上記(1)ア(ア)で述べたのと同様に、引用発明2における「ブロー成形型」、「プリフォーム」及び「冷却機構」は、それぞれ請求項2に係る発明における「ブロー成形型」、「プリフォーム」及び「ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段」に相当し、引用発明2における「ブロー成形ノズル」及び「ブロー成形ノズルの隔壁部」は、それぞれ本件特許発明2における「ブローノズル」及び「隔壁部材」に対応するといえる。
また、引用発明2における「冷却エアー」は、隔壁部によって形成される空間に加圧下に供給される空気である点で、「加圧流体供給手段によって供給される気体」であるといえるから、本件特許発明2における「加圧流体供給手段によって供給する流体」に相当する。
さらに、引用発明2における「ブローエアー」は、ブロー成形ノズルのブローエアー供給口から高温高圧で吹き出すものである点で、「ブローノズルから供給する加圧気体」であるといえるから、本件特許発明2における「ブローノズルから供給する加圧流体」に対応する。

したがって、本件特許発明2と引用発明2とを対比すると、両者は、
「内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を有する前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、前記加圧流体供給手段によって供給する流体は気体であるブロー成形装置。」
という点で一致し、

(相違点3)上記(1)ア(ア)で述べたのと同様に、前者は加圧流体を供給する空間が加圧流体を供給するための通路を残して密閉されたものであるのに対し、後者は加圧流体を供給する空間が加圧流体を供給するための通路のほか冷却エアー排出口を有するものである点
(相違点4)前者はブローノズルから供給する加圧流体が液体であるのに対し、後者はブローノズルから供給する加圧流体がブローエアーである点
で相違する。

(イ)相違点についての検討

a 相違点3について

上記(1)ア(イ)aで述べたのと同様である。

(ウ)まとめ

以上のとおりであるから、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明2は、引用発明2並びに甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(3)本件特許発明3?6について

本件特許発明3?6は、本件特許発明1又は2に係る発明の発明特定事項をすべて備え、さらに発明特定事項を追加して限定したものである。
したがって、本件特許発明3?6も、引用発明1又は2並びに甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明7について

ア 引用発明3との対比及びそれに基づく判断

(ア)対比

引用発明3における、「プリフォームをブロー成形型に収容する工程」は、プリフォームの開口端となる口部が成形型の外部に配置されるように行うものである点で、「プリフォームの口部を残してプリフォームをブロー成形型に収容する」工程であるといえる。
また、引用発明3における「プリフォーム」は、有底筒状に形成され、ブローエアーを供給して所定の容器形状にブロー成形されるものである点で、「有底筒状に予備成形されたプリフォーム」であるといえる。
また、引用発明3における、「プリフォーム内にブローエアーを供給する工程」は、プリフォームの胴部を膨らませるためにブローエアーの吹き出し口となるブロー成形ノズルの開口部をプリフォームの口部に気密下に連通させて行うものである点で、「プリフォームの口部からブローエアーを供給してプリフォームのブロー成形を行う」工程であるといえる。
また、引用発明3における「口部の外周面側を囲繞する空間を形成する工程」は、「プリフォームの口部の外壁面の周りに、空間を隔壁部材によって形成する工程」であるといえる。
また、引用発明3における「プリフォーム口部の外周面側に冷却媒体を供給する工程」は、プリフォームの口部の外周面側を囲繞する空間を形成して、ブローエアーの供給と共に冷却媒体を加圧下に供給するものである点で、「プリフォーム内に加圧エアを供給すると同時に、プリフォームの口部の外壁面側にも加圧流体を供給して外壁面を加圧する」工程であるといえる。
また、引用発明3における「冷却媒体」は、プリフォームの口部の外周面側を囲繞ように形成された空間に加圧下で供給されるエアーである点で、「プリフォーム口部の外壁面側に供給される加圧気体」であるといえる。
さらに、引用発明3における「ブローエアー」は、プリフォームの胴部を膨らませるためにプリフォーム内に供給されるエアーである点で、「プリフォーム内に供給される加圧気体」であるといえる。

そうすると、引用発明3における「プリフォームをブロー成形型に収容する工程」、「プリフォーム内にブローエアーを供給する工程」、「プリフォーム口部の外周面側に冷却媒体を供給する工程」及び「冷却媒体」は、それぞれ本件特許発明7における「有底筒状に予備形成されたプリフォームの口部を残して、該プリフォームをブロー成形型内に収容」、「口部から加圧流体を供給してプリフォームのブロー成形を行う」、「プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、口部の外壁面側にも加圧流体を供給して外壁面を加圧する」及び「口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体である」に相当する。
また、引用発明3における「ブローエアー」及び「口部の外周面側を囲繞する空間を形成する工程」は、それぞれ本件特許発明7における「プリフォーム内に供給する加圧流体は液体である」及び「前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し」に対応するといえる。

したがって、本件特許発明7と引用発明3とを対比すると、両者は、
「有底筒状に予備形成されたプリフォームの口部を残して、該プリフォームをブロー成形型内に収容し、前記口部から加圧流体を供給して前記プリフォームのブロー成形を行うブロー成形容器の製造方法であって、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を有する空間を隔壁部材によって形成し、前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を加圧流体を供給して該外壁面を加圧するものとし、
前記口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体であるブロー成形容器の製造方法。」
という点で一致し、

(相違点5)前者は隔壁部材によって形成される空間が加圧流体を供給するための通路を残して密閉されたものであるのに対し、後者は隔壁部材によって形成される空間が加圧流体を供給するための通路のほか冷却エアー排出口を有するものである点
(相違点6)前者は、プリフォーム内に供給する加圧流体が液体であるのに対し、後者は、プリフォーム内に供給する加圧流体がブローエアーである点
で相違する。

(イ)相違点についての検討

a 相違点5について

上記(1)ア(イ)aで述べたのと同様である。

(ウ)まとめ

以上のとおりであるから、相違点6について検討するまでもなく、本件特許発明7は、引用発明3並びに甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(5)本件特許発明8について

本件特許発明8は、本件特許発明7の発明特定事項をすべて備え、さらに発明特定事項を追加して限定したものである。
したがって、本件特許発明8も、引用発明3並びに甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

(6)特許異議申立人の主張について

ア 引用発明における空間の意義

特許異議申立人は、異議申立人が提出した平成28年10月11日付け意見書(以下単に「意見書」という。)において、「『加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間』との構成は、エアー排出口がある甲第1号証も含まれるものと思量される。つまり、甲第1号証には、『冷却エアー排出口』も残されてはいるものの、『冷却エアー供給口』も残されているので、甲1号証に構成される空間も、『冷却エアー供給口を残して密閉された空間』に他ならない。」と主張する。
しかし、冷却エアー排出口を有する空間は、明らかに「加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間」という発明特定事項を充足しない。異議申立人のこの主張は採用できない。

イ 冷却エアー排出口の必須性及びこれを有しないものとすることの容易想到性

また、特許異議申立人は意見書において、甲第1号証の段落【0027】を摘示して「これは、冷却エアー排出口17の開口面積が・・・ゼロであることも概念的に含み得る。」とし、これを前提として「冷却エアー排出口17を設けるか設けないかは、冷却効果と空間の圧力効果をどのようにバランスさせるかで決まるものであり、当業者が自由に選択可能な事項である。」とし、「甲第1号証に係る発明において、冷却エアー排出口が必須である旨の権利者の主張は失当である。」と主張する。
しかし、上記(1)ア(イ)aで述べたとおり、引用発明1?3は、プリフォームの口部からブローエアーを供給する際に口部が変形してしまうことを回避することを課題とし、プリフォームの口部からブローエアーを供給する際に口部の外周面側に冷却媒体を供給して冷却してプリフォームの口部の熱による軟化、又は熱収縮状態を防ぐことを課題を解決するための手段とするものであって、当業者であれば、引用発明1?3がこのような課題及び課題を解決する手段であるものであることを踏まえて、引用発明1?3の冷却エアー排出口から冷却エアーを排出するという構成を、プリフォーム口部の熱を奪って吸熱能力が低下した冷却エアーを新鮮な冷却エアーと入れ替えるための、課題を解決する手段に密接に関係する構成であると認識するといえる。
そうすると、甲第1号証の段落【0027】の記載に冷却エアー排出口の開口面積がゼロであることも含まれると当業者が認識するとはいえない。そして、当業者がそのように認識するとはいえない以上、当業者の選択肢に冷却エアー排出口の開口面積がゼロであることが含まれるとはいえない。
したがって、引用発明1?3において冷却エアー排出口が必須であるかどうかはともかく、引用発明1?3において冷却エアー排出口を有しないものとすることが甲第1号証に記載された技術的事項から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

ウ 参考資料1に記載された技術的事項

また、異議申立人は、参考資料1として特開平11-138582号公報を提示し、意見書において、「プリフォームの口部にエアー圧を供給する際、エアーの排出口を設けない構成は、例えば、特開平11-138582号公報の段落【0079】,【図8】に記載のように周知技術であり、上記D’、M’における訂正事項は、本件特許において特別の技術的特徴とはならない。」と主張する。
しかし、参考資料1(特に段落【0079】及び【図8】参照。)に記載される技術的事項は、プリフォームの口部からプリフォームの内部にエアーを供給する際そのエアーの排出口を設けないというものである。
そして、プリフォームの口部からプリフォームの内部にエアーを供給する際そのエアーの排出口を設けないことが周知技術であるか否かや本件特許発明における特別な技術的特徴であるか否かは、引用発明1?3において冷却エアー排出口を有しないものとすることが甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるか否かの判断に影響を与えるものではない。
したがって、異議申立人のこの主張は結論に影響を及ぼすものではない。

エ 発明の効果

また、異議申立人は意見書において、「甲第1号証の冷却機能に関わる冷却エアー排出口の有無は、圧力による口部の変形防止とは無関係である。本件発明では『圧力が確実に安定して担保できる』と主張されているが、冷却エアーが有っても圧力は担保することができ、顕著な効果は認められない。」と主張する。
しかし、効果が顕著かどうかについて検討するまでもなく、引用発明1?3において冷却エアー排出口を有しないものとすることが甲第1号証?甲第3号証に記載された技術的事項又は技術常識から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえないとの結論が導かれたのであるから、効果が顕著かどうかは結論に影響を及ぼさない。
したがって、異議申立人のこの主張は結論に影響を及ぼすものではない。

ウ 参考資料2に記載された技術的事項

さらに、異議申立人は、参考資料2として実公平4-2035号公報を提示し、意見書において、「パリソン(プリフォーム)の口部外周の空間(排出口が無い)にエアー圧を導入して口部内外の圧力バランスを取ることは、例えば、実公平4-2035号公報、第6欄第16?18行、第1図に記載の通り周知である。甲第1号証において、その圧力効果に着目し、上記周知技術のように密閉した構成とする程度のことは、当業者にとって容易に想到し得る事項である。」と主張する。
しかし、参考資料2(特に4欄23行?34行、6欄24行?28行、第1図及び第2図参照。)に記載される技術的事項は、パリソンの口部外周の空間に供給される空気をパリソン内部に排出するというものである。
したがって、参考資料2に記載される技術的事項が技術常識であるかどうかはともかく、引用発明1?3において冷却エアー排出口を有しないものとすることがかかる技術的事項から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件特許発明1?8に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件特許発明1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ブロー成形装置およびブロー成形容器の製造方法
【技術分野】
【0001】
この発明は、有底筒状に形成されたプリフォームをブロー成形してブロー成形容器を製造するブロー成形装置およびブロー成形容器の製造方法に関し、とくに、ブロー成形時におけるプリフォームの口部の変形を防止しようとするものに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂材料を用いて有底筒状のプリフォームを予備成形し、次いで、このプリフォームをブロー成形して得られるブロー成形容器は、形状自由度が高く、安価であって軽量であり、リサイクル性にも優れるため、化粧品や医薬品、飲料品などを充填する容器として広く使用されている。
【0003】
通常、プリフォームをブロー成形型内でブロー成形する際には、保持治具によってプリフォームの開口端となる口部をその内壁側または外壁側から保持したまま、プリフォームの胴部をブロー成形型内に収容し、この保持治具を介してブローエアーの吹込みが行われるが、プリフォームの口部と保持治具との間は、ブローエアーのリークを防止するためシールが形成されるものの、保持治具に対するプリフォームまたはブロー成形後の容器の着脱を可能とするため、プリフォームの口部は保持治具に対して遊嵌されている(下記特許文献1参照。)。このため、プリフォームの口部および保持治具間の遊びの分、ブローエアー吹込み時に口部内外で生じる圧力差によって当該口部が拡径変形するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-251685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、この発明は、ブロー成形時におけるプリフォームの口部の変形を防止することができるブロー成形装置およびブロー成形容器の製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のブロー成形装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明のブロー成形装置は、内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備えることを特徴とするものである。
さらに、請求項1に係る発明のブロー成形装置においては、前記ブローノズルは、前記口部内に挿入されるとともに先端が縮径したガイド筒を有する。
また、請求項2に係る発明のブロー成形装置においては、前記ブローノズルから供給する加圧流体は液体であり、前記加圧流体供給手段によって供給する流体は気体である。
【0007】
なお、この発明のブロー成形装置にあっては、前記ブローノズルおよび前記隔壁部材を共に、前記ブロー成形型に対して近接、離間移動させる駆動機構を備えることが好ましい。
【0008】
また、この発明のブロー成形装置にあっては、前記ブローノズルは、前記口部の上端に対向する平坦面を有し、該口部の上端と平坦面との間に前記プリフォームの内部と前記空間との間をシールするシール要素を配設してなることが好ましい。
【0010】
さらに、この発明のブロー成形装置にあっては、前記プリフォームは口部の下端にネックリングを有するものであり、前記隔壁部材は、その下端が前記プリフォームのネックリングに密に当接するよう構成されることが好ましい。
【0011】
さらに、この発明のブロー成形装置にあっては、前記加圧流体供給手段は、前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記空間に加圧流体を供給することが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、この発明のブロー成形容器の製造方法は、有底筒状に予備形成されたプリフォームの口部を残して、該プリフォームをブロー成形型内に収容し、前記口部から加圧流体を供給して前記プリフォームのブロー成形を行うブロー成形容器の製造方法であって、前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し、前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を介して加圧流体を供給して該外壁面を加圧することを特徴とするものである。
さらに、請求項7に係る発明のブロー成形容器の製造方法にあっては、前記プリフォーム内に供給する加圧流体は液体であり、前記口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体である。
【0014】
また、この発明のブロー成形容器の製造方法にあっては、前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記口部の外壁面側に加圧流体を供給することが好ましい。
【0015】
さらに、この発明のブロー成形容器の製造方法にあっては、プリフォーム内に供給する加圧流体は液体であり、前記口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、プリフォームの口部外側に密閉された空間を形成し、ブロー成形時に該空間にも加圧流体を供給する構成としたことから、口部の内壁面側と外壁面側との圧力差を低減することができ、このような圧力差によって口部が拡径変形するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明にしたがう一実施形態のブロー成形装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にしたがう実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、この発明にしたがう一実施形態のブロー成形装置の要部を示す断面図である。ブロー成形装置1は、有底筒状に予備成形されたプリフォーム3をブローして所定の容器形状に成形するものであり、図示例では、プリフォーム3として、開口端となる口部3aと該口部3aにつながり下端を閉塞させる胴部3bとの間に環状に突出したネックリング3cを有するものを示すが、プリフォーム3の形状としてはこれに限定されない。また、口部3aの外壁にはネジが形成されているが、ネジに代えてアンダーカットのような係合部を有するプリフォーム3としてもよい。
【0019】
図1に示すように、ブロー成形装置1は、ボトルのようなブロー成形容器の最終形状に対応した型面5によって内側にキャビティ7を区画する合わせ金型タイプのブロー成形型8と、プリフォーム3の口部3aを通じてプリフォーム3内に加圧流体を供給するブローノズル10とを備える。図中、符号12は、ブローノズル10を支持する支持ブロックである。
【0020】
ブローノズル10は、圧力源14に接続され、該圧力源14から加圧流体を受け入れる入口および該加圧流体をプリフォーム3内に送出する出口を区画する通路16を有する。また、ブローノズル10は、プリフォーム3の口部3a内に挿入されるとともに先端が縮径したガイド筒10aを有する。ブローノズル10のガイド筒10aの外径は、口部3aの内径よりも小さくする(すなわち、ガイド筒10aの外壁面と口部3aの内壁面との間に隙間を形成する)ことが好ましく、これによれば、ガイド筒10aをプリフォーム3の口部3a内に挿入した際にガイド筒10aと口部3aの内壁面とが擦れて、口部3aの内壁面に傷がつくのを防止することができるとともに、同一のブローノズル10を用いて種々の口部径のプリフォーム3に対応させることができ、装置の簡素化も図ることができる。ところで、上記圧力源14から供給する加圧流体は、この例では液体であり、とくに、商品としてブロー成形容器内に充填する内容物を加圧流体とする。なお、加圧流体には、気体(例えばエアー)を用いてもよい。また、図示例では、ブローノズル10の上記通路16内に延伸ロッド18が配置されているが、延伸ロッド18はなくてもよく、延伸ロッド18を用いない場合、通路16の有効開口面積(加圧流体が通ることができる開口面積)が増大し、昇圧スピードを上げることができるので、成形時間を短縮することができる。
【0021】
ここで、ブロー成形装置1は、プリフォーム3の口部3aの外壁面の周りをその相互間に空間20を形成しつつ密(気密または液密)に囲繞する隔壁部材22と、ブロー成形時に上記空間20内に加圧流体を供給する加圧流体供給手段24と、をさらに備えている。
【0022】
隔壁部材22は、ブローノズル10と共に支持ブロック12に支持されている。隔壁部材22の内部には、加圧流体供給手段24に繋がり上記空間20に開口する通路22aが形成されている。また、隔壁部材22の下端部には、プリフォーム3の、ブロー成形型8の上面に支持されたネックリング3cの上面に密に当接する環状リブ22bが形成されている。なお、図示は省略するが、隔壁部材22の下端をブロー成形型8の上面に密着させて、プリフォーム3の口部3aの外壁面とブロー成形型8の上面と隔壁部材22との間に密閉された空間20を形成するようにしてもよい。
【0023】
加圧流体供給手段24としては、加圧流体を口部3aの外壁面と隔壁部材22との間の空間20に供給できるものであればどのようなものでもよく、その一例としては従来公知の加圧ポンプやコンプレッサを挙げることができる。加圧流体としては一定圧力に調整した空気等の気体を利用するのが好適であり、プリフォーム3内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力の気体を用いることがより好適である。ここでいう「ほぼ等しい」とは、上記空間20に供給する加圧流体の圧力とプリフォーム3内に供給する加圧流体の圧力とが完全に等しい場合のみならず、上記空間20に供給する加圧流体の圧力とプリフォーム3内に供給する加圧流体の圧力との間に、ブロー成形時にプリフォーム3の口部3aに変形を生じさせない程度の圧力差がある場合も含む意味である。
【0024】
また、この実施形態においては、ブローノズル10は、ガイド筒10aの基端から径方向外側に延びて口部3aの上端に対向する平坦面10bを有し、該口部3aの上端と平坦面10bとの間には、プリフォーム3の内部と前記空間20との間をシールするOリングのようなシール要素26が設けられている。
【0025】
また、この実施形態において、ブロー成形装置1は、ブローノズル10および隔壁部材22を共に、ブロー成形型8に対して軸方向に近接、離間させる駆動機構(図示省略)を備える。駆動機構としては、電動モータや油圧シリンダなどのアクチュエータを用いた公知の機構を使用することができる。
【0026】
次いで、このような構成を備えるブロー成形装置1を用いてブロー成形容器を製造する方法について説明するに、まず、加熱により軟化させたプリフォーム3をその口部3aを残してブロー成形型8内に配置し、型締めする。次いで、駆動機構の作動によりブローノズル10および隔壁部材22を共にブロー成形型8に近接移動して、ブローノズル10のガイド筒10aをプリフォーム3の口部3a内に挿入する。これにより、プリフォーム3の口部3aの外壁面と隔壁部材22との間には密閉された空間20が形成される。この状態にて、ブローノズル10によりプリフォーム3内に口部3aを通じて加圧した液体(内容物)を供給してブロー成形を行うと同時に、加圧流体供給手段24により上記空間20に加圧した気体(エアー)を供給する。そして、ブロー成形が終了した後には、上記空間20へのエアーの供給を停止し、駆動機構によりブローノズル10および隔壁部材22を上昇させて、ブローノズル10および隔壁部材22を成形された容器の口部から取り外す。なお、プリフォーム3内に供給する加圧流体と、空間20内に供給する加圧流体との組み合わせは、「液体」と「気体」、「液体」と「液体」、「気体」と「液体」、または「気体」と「気体」の何れでもよい。
【0027】
このように、この実施形態のブロー成形装置1によれば、プリフォーム3の口部3aの外側に密閉された空間20を形成し、ブロー成形時に該空間20にも加圧流体を供給する構成としたことから、口部3aの内壁面側と外壁面側との圧力差を低減またはゼロとすることができ、このような圧力差によって口部3aが拡径変形するのを防止することができる。また、従来のように保持治具によってプリフォームを保持する手法では、プリフォームの口部径や口部の外壁嵌合形状に応じて保持治具を別途用意しなければならないが、このブロー成形装置1によれば、ブローノズル10および隔壁部材22をプリフォーム3の口部3aに嵌合させないため、口部径や口部3aの外壁嵌合形状が異なるプリフォーム3に対して共通のブローノズル10および隔壁部材22を用いることができ、安価なブロー成形装置1を提供することができる。
【0028】
また、この実施形態のブロー成形装置1によれば、ブローノズル10に、口部3aの上端に対向する平坦面10bを設け、該口部3aの上端と平坦面10bとの間にプリフォーム3の内部と空間20との間をシールするシール要素26を配設したことから、共通のシール要素26をもってプリフォーム3の内部と口部3aの外壁面側の空間20とをシールすることができ、ブロー成形装置1の構造を簡素化することができる。
【0029】
さらに、この実施形態のブロー成形装置1によれば、ブローノズル10に、口部3a内に挿入されるとともに先端が縮径したガイド筒10aを設けたことから、ブローノズル10および隔壁部材22をプリフォーム3の口部3aに対して容易かつ確実にセットすることができる。
【0030】
さらに、この実施形態のブロー成形装置1によれば、隔壁部材22の下端をプリフォーム3のネックリング3cに密に当接するよう構成したことから、ブロー成形時におけるプリフォーム3の姿勢を安定させ、より高品質のブロー成形容器を製造することができる。
【0031】
さらに、この実施形態のブロー成形装置1において、上記空間20に供給する加圧流体の圧力を、プリフォーム3内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力とした場合には、ブロー成形時の口部3aの拡径変形をより確実に防止することができる。
【0032】
しかも、加圧流体供給手段24によって供給する流体を液体とした場合には、ブロー成形終了後に上記空間20内の液体を回収する手段を別途設けることが好ましいが、加圧流体供給手段24によって供給する流体を気体とした場合には、このような手段を設ける必要はなく、ブロー成形終了後に上記空間20内の気体をブローノズル10および隔壁部材22をブロー成形型8から離間させて外部に排出すればよく、装置のさらなる簡略化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明により、ブロー成形時におけるプリフォームの口部の変形を防止することが可能となった。
【符号の説明】
【0034】
1 ブロー成形装置
3 プリフォーム
3a プリフォームの口部
3b プリフォームの胴部
3c ネックリング
7 キャビティ
8 ブロー成形型
10 ブローノズル
10a ガイド筒
10b 平坦面
14 圧力源
18 延伸ロッド
20 空間
22 隔壁部材
24 加圧流体供給手段
26 シール要素
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、
前記ブローノズルは、前記口部内に挿入されるとともに先端が縮径したガイド筒を有することを特徴とするブロー成形装置。
【請求項2】
内側にキャビティを区画し、該キャビティ内に有底筒状に予備成形されたプリフォームをその開口端となる口部を残して収容するブロー成形型と、
前記プリフォームの口部を通じて該プリフォーム内に加圧流体を供給するブローノズルと、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りをその相互間に空間を形成しつつ密に囲繞する隔壁部材と、
ブロー成形時に、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された前記空間内に、前記通路を介して加圧流体を供給する加圧流体供給手段と、を備え、
前記ブローノズルから供給する加圧流体は液体であり、前記加圧流体供給手段によって供給する流体は気体であることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項3】
前記ブローノズルおよび前記隔壁部材を共に、前記ブロー成形型に対して近接、離間移動させる駆動機構を備える、請求項1または2に記載のブロー成形装置。
【請求項4】
前記ブローノズルは、前記口部の上端に対向する平坦面を有し、該口部の上端と平坦面との間に前記プリフォームの内部と前記空間との間をシールするシール要素を配設してなる、請求項1?3の何れか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項5】
前記プリフォームは口部の下端にネックリングを有するものであり、
前記隔壁部材は、その下端が前記プリフォームのネックリングに密に当接するよう構成される、請求項1?4の何れか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項6】
前記加圧流体供給手段は、前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記空間に加圧流体を供給する、請求項1?5の何れか一項に記載のブロー成形装置。
【請求項7】
有底筒状に予備形成されたプリフォームの口部を残して、該プリフォームをブロー成形型内に収容し、前記口部から加圧流体を供給して前記プリフォームのブロー成形を行うブロー成形容器の製造方法であって、
前記プリフォームの口部の外壁面の周りに、加圧流体を供給するための通路を残して密閉された空間を隔壁部材によって形成し、
前記口部を通じて、前記プリフォーム内に加圧流体を供給すると同時に、前記口部の外壁面側に形成した前記空間にも前記通路を介して加圧流体を供給して該外壁面を加圧するものとし、
前記プリフォーム内に供給する加圧流体は液体であり、前記口部の外壁面側に供給する加圧流体は気体であることを特徴とするブロー成形容器の製造方法。
【請求項8】
前記プリフォーム内に供給する加圧流体とほぼ等しい圧力で、前記口部の外壁面側に加圧流体を供給する、請求項7に記載のブロー成形容器の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-11-01 
出願番号 特願2011-286343(P2011-286343)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 木村 敏康
加藤 幹
登録日 2015-09-11 
登録番号 特許第5806929号(P5806929)
権利者 株式会社吉野工業所
発明の名称 ブロー成形装置およびブロー成形容器の製造方法  
代理人 塚中 哲雄  
代理人 大谷 令子  
代理人 杉村 憲司  
代理人 大谷 令子  
代理人 田中 達也  
代理人 塚中 哲雄  
代理人 上村 欣浩  
代理人 上村 欣浩  
代理人 田中 達也  
代理人 杉村 憲司  
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