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審決分類 |
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する G05B 審判 訂正 2項進歩性 訂正する G05B 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G05B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G05B 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する G05B 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する G05B |
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管理番号 | 1323796 |
審判番号 | 訂正2016-390123 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2016-09-29 |
確定日 | 2016-12-15 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3711820号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3711820号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第3711820号(以下、「本件特許」という。)は、平成11年11月25日に特許出願され、平成17年8月26日に特許権の設定登録がなされ、平成28年9月29日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正事項 本件訂正の内容は、次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 本件明細書の特許請求の範囲の請求項3に、 「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作盤。」とあるのを、 「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作盤。」に訂正する。 第4 当審の判断 1.訂正の目的について 本件訂正事項は、訂正前の請求項3における「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき」を「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき」とする訂正であって、予めメモリに設定する各種異常の優先順位がどのような事象に応じて設定されるかについて限定がなかったものを、「異常の重要度に応じて」設定する旨の限定を加えたものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2.新規事項の追加の有無について 上記1.のとおり、本件訂正事項は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。この場合、当該訂正事項は、願書に添付された明細書又は図面に記載した範囲内のものでなければならない。 本件訂正事項は、願書に添付された明細書段落【0035】における「この4つの異常表示区画ABW1?ABW4は、異常の重大性又は緊急性の観点で優先順位が予め決められており、同時に多数の異常が発生した場合、4つまでの異常を優先順位の高い順に、左上隅→右上隅→左下隅→右下隅へと順次表示するようになっている。」との記載、同じく段落【0042】の「各異常グループ情報の配列順序は、モニターすべき全ての異常の優先順位をその異常の緊急度や重要度に応じて予め決定しておき、優先度の高い異常グループ情報から小さな番号のアドレス順にRAM13内にテーブルとして登録してある。」との記載を根拠とするものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、本件訂正事項は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 3.特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 本件訂正事項は、発明特定事項を直列的に付加するものであることから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、本件訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 4.独立特許要件について 本件訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件訂正により訂正される請求項は、請求項3及び請求項3を引用している請求項4ないし7であるから、該訂正後の各請求項に係る発明が独立して特許を受けることができるものかどうかについて、検討する。 (1)本件訂正発明の認定 本件訂正事項の請求項3、4、5、6及び7に係る発明(以下、「本件訂正発明3」、「本件訂正発明4」、「本件訂正発明5」、「本件訂正発明6」及び「本件訂正発明7」という。)は、本件訂正審判請求に添付された訂正明細書の特許請求の範囲に記載された請求項3、4、5、6及び7に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 タッチスイッチ機能を備えた表示板と、機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と、メモリと、このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の操作盤において、前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する異常名表示プログラムを設け、また前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加したことを特徴とするPLC用の操作盤。 【請求項2】 前記異常名表示プログラムは、前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の操作盤。 【請求項3】 前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作盤。 【請求項4】 前記メモリには、各種異常をこれら異常の表示優先順にメモリに予め設定しておくと共に、これら異常の各々に関連して、前記異常名のビデオ情報及び詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を設定しておき、前記異常名表示プログラムは発生した異常を前記メモリの表示優先順に前記異常名のビデオ情報記憶アドレスを指定して前記異常名表示区画に表示するように構成され、また前記詳細コメント表示プログラムは前記異常名表示区画の何れか1つがタッチされるときこのタッチされた異常名に対応する詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を指定して詳細コメントを前記表示板上に表示するように構成したことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項5】 前記メモリに記憶された異常識別情報を前記データ伝送手段を介して前記PLCに指定し前記PLCから指定した異常識別情報により特定される異常の有無情報を受領する異常モニタープログラムをさらに設け、前記異常名表示プログラムは前記異常モニタープログラムが前記PLCから前記異常の有無情報を受領する毎に異常の有無を判定すると共に、異常有りと判定されるとき前記異常名表示プログラムが前記PLCに指定した前記異常識別情報により特定される異常について前記異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項6】 前記異常の各々に対応した異常詳細コメント画面は、その異常の原因追求や対応処置を容易にするためのソフトスイッチ及びソフトランプを併せて表示するようになっていることを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項7】 前記異常名表示画面は前記ランプや前記スイッチの組み合わせが異なるものを複数用意しておき、この異常名表示画面に表示されるべき数個の異常の内で最も優先度が高い異常に適した1つの異常名表示画面を選択してこの画面上に前記数個の異常名を表示するように構成されていることを特徴とする請求項2?6の何れか1項に記載の操作盤。」 本件訂正発明3は、請求項2を引用し、請求項2は請求項1を引用していることから、本件訂正発明3について記載を整理すると、次のとおりとなる。 「タッチスイッチ機能を備えた表示板と、機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と、メモリと、このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の操作盤において、前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する異常名表示プログラムを設け、また前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加したこと、 前記異常名表示プログラムは、前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるように構成されていること、及び、 前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていること を特徴とするPLC用の操作盤。」 (2)甲号証及び引用発明 審判請求人は、次の甲第1ないし3号証を提示している。 甲第1号証:GOT-A900総合カタログ(写し) 甲第2号証:SW1D5C-GOTR-PACK形オペレーティングマニュアル(写し) 甲第3号証:大阪地方裁判所平成27年(ワ)第8974号特許権侵害差止等請求事件の被告平成28年2月23日準備書面(4)(抜粋) ア 甲第1号証 甲第1号証(以下、「甲1」という。)は、三菱電機株式会社製の表示操作装置(三菱グラフィックオペレーションターミナル MELSEC-GOT 900 シリーズ)のカタログである。 a.第6ページ「高速画面データ転送/高速OS転送」の図の下方には、「OSプログラム,ユーザ画面データをメモリカードに書込む」と記載された枠と、当該枠の右側にある「内蔵メモリへコピー」と記載された枠と、これら2つの枠の間に配置された右向きの矢印とが記載されている。 b.第6ページ「高速なバス接続」には、「操作盤に不可欠な高速表示やインチング等の高速応答を強力にサポートします。」、「●MELSFC-A/QnAシーケンサで,最高速のバス接続が可能です。」と記載されている。 c.第7ページ「レシピ機能」には「●機械の加工条件や初期値などのデータ(デバイス値)を複数画面GOT内に保持し,適宜必要なデータに入換えることができます。」、「●デバイス初期値として使用する場合は,GOTの内蔵メモリ(フラッシュROM)に画面データとして格納するため,メモリカードは不要です。」と記載されている。 d.第8ページ「システムモニタ機能」には「●デバイス値のモニタと変更(設定値含)が簡単にできますので,デバイスチェックの保全用画面を作る必要がなくなります。」、「●4ウィンドウ表示で異なるシーケンサのデバイスを同時に表示できます。各ウィンドウともに,登録モニタ,一括モニタ,T/Cモニタ,BM(バッファメモリ)モニタを表示/変更(設定値含)ができます。」と記載されている。 e.第14ページ中段には、「詳細ウインドウ表示」と付された図と「ウィンドウ表示」と付された図とがあり、それらの図のどちらにも「Aライン供給コンベア停止中。電源を確認してください。」という文字が看取される。 f.第14ページ中段の「<アラーム流れ表示>」には、「●発生中アラームを発生順に画面上に流れ表示します。」、「●全画面共通で監視デバイス登録し,画面毎に表示有無の指定ができます。」、「●発生中アラーム件数をシーケンサに通知します。」と記載されている。 g.第14ページ下方の「<アラームリスト機能>」には、「ユーザアラーム」として「●発生日時/発生内容を表示します。」、「●発生中アラームのみ表示します。復旧したアラームは画面から自動消去します。」、「●最新順/最古順表示を指定できます。」、「発生中アラーム件数をシーケンサに通知します。」と記載されている。また、同記載の右側にあって矢印で接続された2つの図のうち、下側の図から右斜め下に向けた矢印が3本並んでおり、それら矢印の先には「バックアップ」、「詳細ウィンドウ」、「ウィンドウ表示」と記載されている。 h.第19ページの上部には「操作盤としてやりたいことが思いのままに」と記載され、その下方に複数の区画に分割された図が記載されている。そして、それらの区画には、「アラームリスト表示」、「ランプ表示」、「数値表示」、「時計表示」、「コメント表示」、「パネルメータ表示」、「グラフ表示」、「スイッチ」、「レベル表示」と付されていることが看取できる。さらに、「アラームリスト表示」と記載された区画には、「単独表示」と付された枠であって、枠内に「Aライン供給コンベア停止中。電源を確認してください。」と記載された枠と、「複数表示」という枠であって、「加工機の油圧低下」、「アーム異常下降」、「加工台数オーバ」と記載された枠とが上下に並んでいる事項が看取できる。 i.第24ページの「CPU直接接続」の見出しの下には「A/QnA/FXシーケンサと最も経済的に接続」と記載されている。 j.第31ページ「仕様」の「■本体(表示部)」と付された表には、「タッチパネル」、「メモリ」の欄が設けられている。 イ 甲第2号証 甲第2号証(以下、「甲2」という。)は、三菱電機株式会社製の表示操作装置(三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT MELSEC)専用の、作画ソフトによるモニタ画面作成時の図形の描画、オブジェクト機能の設定、GOTへのデータダウンロード用ソフトウェアのマニュアルである。 a.6-16ページにおける「6.2.2 アラーム履歴表示機能」の「(2)エラー内容の詳細内容の表示(A975GOT/A970GOT/A960GOT使用時のみ)」には、「ON状態(エラー発生)になったコメントについての詳細内容や処置方法をベース画面,ウィンドウ画面,コメントウィンドウに詳細表示することができます。」と記載されている。また、当該記載の下には、「発生日付時刻 メッセージ 復旧 確認」と第1行に記載され、第2行に「98/06/01 10:25 ライン1異常 11:25 10:45」、第3行に「98/06/01 12:05 ライン2異常 12:28」、第4行に「98/06/01 12:35 ライン3異常」と記載された表と表の下方に「上移動」、「詳細表示」、「表示削除」と記載された枠とからなる図が記載されており、第3行が白黒反転されているとともに、白黒反転された第3行上及び「詳細表示」と記載された枠上にはそれぞれ配置された人差し指を伸ばした手の図形が看取される。さらに、当該図の下には「詳細表示は,ワンタッチ/タッチスイッチのキー入力により詳細表示画面を表示します。」と記載されている。 b.6-19ページの「(2)アラームリスト表示(ユーザアラーム機能)」には、「複数のビットデバイスにコメントを対応づけて,ON中のビットデバイスのコメントを指定した優先順(F940GOTではON中のビットデバイスの若番号順)に表示する機能です。」と記載されている。また、その下方の枠内には、「・優先順位を発生順/番号順で表示することができます。」「・表示させるコメントを優先順で複数/単独で表示することができます。」と記載されている。 ウ 甲第3号証 甲第3号証(以下、「甲3」という。)は、大阪地方裁判所平成27年(ワ)第8974号特許権侵害差止等請求事件の被告(三菱電機株式会社)の平成28年2月23日付け準備書面(4)の抜粋である。 a.第7ページ「乙1 14頁 下部の図」には、甲1の14ページの図の再掲として、上から順に「ユーザアラーム 複数番号順」、黄色枠、「X0?X7をON/OFFしてください」、「アラーム発生数 4」、「表示欄をタッチすると詳細ウィンドが出ます」と記載され、当該黄色枠内には、上から順に「98/06/01 23:10:02 X0 Aライン供給コンベア停止」、「98/06/01 23:43:09 X2 加工品1リミット作動せず」、「98/06/01 23:59:55 X4 加工機-1の油圧低下」、「98/06/01 23:59:55 X5 加工機-2の油圧低下」と記載されている図が看取される。 エ 引用発明 a.上記アa.?d.及びi.?j.から、甲1には、三菱電機株式会社製の表示操作装置(三菱グラフィックオペレーションターミナル MELSEC-GOT 900 シリーズ)が、タッチパネルとメモリとCPUとを備え、ケーブルによってシーケンサに接続される表示操作装置であって、メモリ内にはOSプログラムや画面データが記憶されており、タッチパネル操作によってシーケンサを制御する表示操作装置として記載されていると認められる。また、上記アe.?g.から、甲1に記載された表示操作装置は、シーケンサの発生アラーム履歴の一覧が表示でき、さらに、当該一覧画面から詳細ウィンドウを表示することができる表示操作装置であって、詳細ウィンドウには詳細コメント情報が表示されているものと認められる。さらに、上記アh.から甲1に記載された表示操作装置は、ランプ表示、スイッチとともに、アラームリスト表示といった複数種類のオブジェクトを単一の表示画面に配置でき、その際のアラームリスト表示として、詳細コメント情報を単独で表示できる単独表示の表示区画と、複数の異なるアラーム名を表示できる複数表示の表示区画とを、上記単一の表示画面上の一部に並列配置して表示できる表示操作装置である、と認められる。 b.上記イa.から、甲2に記載された三菱電機株式会社製の表示操作装置(三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT MELSEC)は、アラーム履歴の一覧を表示する機能を有し、1つのアラームを選択して、詳細表示をさせることができる表示操作装置である、と認められる。また、上記イb.から、甲2に記載された表示操作装置は、複数/単独のアラームを優先順位を発生順/番号順として表示できる表示操作装置であると認められる。 c.甲3は甲1の第14ページ下部の図を説明する証拠として添付されたものであるから、上記ウa.から、甲1に記載された三菱電機株式会社製の表示操作装置(三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT MELSEC)は、発生日時、コード、アラーム名が複数一覧表示されたアラーム表示画面の表示欄をタッチすることによって詳細ウィンドを表示させることができる装置であると認められる。 d.甲3は甲1の第14ページ下部の図を説明する証拠として添付されたもので、甲1と甲2とは、ともに三菱電機株式会社製MELSEC-GOT 900 シリーズに関するカタログやマニュアルであることから、対象となる表示操作装置は同種のものである。そうすると、甲1?甲3の上記表示操作装置に係る事項a?cを総合すると、以下の発明を把握することができると認められる。 「タッチパネルと、シーケンサとケーブルで接続される手段と、OSプログラムや画面データが記憶されたメモリと、を有し、前記シーケンサからの情報を取り込んでタッチパネル上に複数のランプを表示すると共にタッチパネル上に複数のスイッチを配置したシーケンサー用の表示操作装置において、 前記タッチパネルの一部であって前記ランプ及び前記スイッチの表示区画とは独立して設けた複数表示の表示区画に複数のアラーム名を表示することができ、また、シーケンサで発生したアラームの発生日時、コード、アラーム名をアラーム履歴の一覧としてタッチパネル上に一覧表示し、当該一覧表示をタッチすることによって詳細コメント情報が記載された詳細ウィンドウを表示することができ、 前記複数のランプ及び前記複数のスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される複数表示の表示区画に複数の異なるアラーム名を表示することができ、さらに、 複数のアラーム名を優先順位を発生順/番号順として前記複数表示の表示区画に表示することができる、表示操作装置。」(以下、「引用発明」という。) (3)対比 本件訂正発明3と引用発明とを対比する。 引用発明の「タッチパネル」は本件訂正発明3の「タッチスイッチ機能を備えた表示板」に相当する。引用発明の「シーケンサ」は本件訂正発明3の「機械をシーケンス制御するPLC」に相当する。ここで、引用発明の「ケーブル」はPLCとの間で情報交換がなされるためのものであることから、引用発明の「シーケンサーとケーブルで接続される手段」は、本件訂正発明3の「PLCと情報交換するデータ伝送手段」に相当する。 引用発明の「OSプログラムや画面データが記憶されたメモリ」という事項から、引用発明も、本件訂正発明3における「メモリに記憶されたプログラム」を有していることは、当業者にとって明らかである。ここで、引用発明は「タッチパネル」の制御を行っているから、「メモリに記憶されたプログラム」に「タッチパネル」の制御のための「プログラム」が含まれていることは、当業者にとって明らかである。 引用発明の「ランプ」や「スイッチ」はタッチスイッチ機能を備えた表示板上に配置されるものであることから、それぞれ本件訂正発明3の「ソフトランプ」、「ソフトスイッチ」に相当する。ここで、「ランプ」は表示手段、「スイッチ」は入力手段であることから、引用発明の「前記シーケンサからの情報を取り込んでタッチパネル上に複数のランプを表示すると共にタッチパネル上に複数のスイッチを配置」するという事項は、本件訂正発明3の「前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共に多数のソフトスイッチを表示」するという事項に相当する。そして、引用発明がPLCを制御する表示操作装置であるという事項に鑑みれば、引用発明の入力手段である「スイッチ」は「PLCに与える命令を入力」し得るものであって、当該「スイッチ」が「タッチされるときにPLCに命令を出力するもの」であることも当業者にとって明らかである。さらに、引用発明における「ソフトランプ」及び「ソフトスイッチ」の表示機能や「ソフトスイッチがタッチされるときにPLCへの命令を出力する」という機能をCPUが担っていることも当業者にとって明らかである。 引用発明の「前記タッチパネルの一部であって前記ランプ及び前記スイッチの表示区画とは独立して設けた複数表示の表示区画」は、本件訂正発明3における「前記表示板の単一の表示画面上の一部であって、前記ソフトランプ及び前記ソフトスイッチを表示する表示区画とは独立して設けた異常名表示区画」に相当する。 引用発明の「アラーム名」が「シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称」を意味していることも当業者にとって明らかであり、引用発明の「複数のアラーム名を表示すること」において「複数のアラーム名を優先順位を発生順/番号順として」表示できるために、アラーム名と優先順位との情報を予めメモリに設定しており、当該メモリ中の複数のアラーム名から特定のアラーム名を選択的に表示していることは明らかであるから、引用発明における「複数のアラーム名を表示すること」と、本件訂正発明3の「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する」こととは、「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を複数選択的に表示する」点で一致し、また、引用発明における「複数のアラーム名を優先順位を発生順/番号順として前記複数表示の表示区画に表示する」ことと、本件訂正発明3の「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を」「前記メモリに予め設定しておき、」「発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示する」こととは、「前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき、発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記異常名表示区画に表示する」点で一致する。 引用発明の「前記複数のランプ及び前記複数のスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される複数表示の表示区画に複数の異なるアラーム名を複数表示する」ことと、本件訂正発明3の「前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示」することとは、「前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される異常名表示区画に複数の異なる異常の名称を表示」する点で一致する。 そして、引用発明でアラーム名の表示画面を得るためには、CPUに対する指令がなされていることは当業者にとって明らかであることから、引用発明も当該表示を行うための「プログラム」を有しており、当該「プログラム」は、本件訂正発明3における「異常名表示プログラム」に相当する。 引用発明における「アラーム履歴」はタッチパネル上に一覧表示する項目の中に「アラーム名」が含まれており、当該「アラーム名」は前記「複数表示の表示区画」に表示されたものではないものの「シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称」という点で、本件訂正発明3における「異常名」に相当し、引用発明は当該「アラーム名」を含む「アラーム履歴」画面の「一覧表示」を「タッチすることで詳細ウィンドウに切り替える」機能を有するものである。そして、引用発明の「詳細ウィンドウ」で表示されている「詳細コメント情報」は前記メモリ内に予め登録されたものであることは当業者にとって明らかであることから、引用発明において「アラーム履歴」画面の「一覧表示」をタッチして「詳細ウィンドウ」に切替える事項は、本件訂正発明3における「表示板上の区画がタッチされるとき異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する」事項に相当する。ここで、引用発明は当該詳細ウィンドウへの切替え表示を行うためにプログラムが用いられていることは当業者にとって明らかであるから、引用発明における当該プログラムは、本件訂正発明3の「詳細コメント表示プログラム」に相当する。 そうすると、本件訂正発明3は、以下の点で引用発明と一致する。 <一致点> タッチスイッチ機能を備えた表示板と、機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と、メモリと、このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の操作盤において、 前記表示板の一部であって、前記ソフトランプ及び前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を複数選択的に表示する異常名表示プログラムを設け、また、表示板上の区画がタッチされるとき異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加し、 前記異常名表示プログラムは、前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される異常名表示区画に複数の異なる異常の名称を表示できるように構成されており、 前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは、発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記異常名表示区画に表示するように構成されている、PLC用の操作盤。 また、本件訂正発明3は、以下の点で引用発明と相違する。 <相違点1> 画面を切替えて詳細コメント情報を表示させるためにタッチする「表示板上の区画」が、本件訂正発明3では「前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する表示区画とは独立して設けた数個の異常名表示区画」であって、当該「異常名表示区画」の個数が「数個」であるのに対し、引用発明では「前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチ」を有さない「アラーム履歴の一覧」であって、「前記タッチパネルの一部であって前記ランプ及び前記スイッチの表示区画とは独立して設けた」、「複数のアラーム名を表示することができる」「複数表示の表示区画」をタッチした際にどのようになるかは明らかでなく、当該「複数表示の表示区画」の個数が「数個」ではない点。 <相違点2> 各種異常を優先順位の高いものから順に異常名表示区画に表示するにあたり、本件訂正発明3では「異常の重要度」に応じて優先順位を設定しており、優先順位の高いものから順に表示するのが各種異常が同時多発的に発生したときであるのに対し、引用発明では「発生順/番号順」を優先順位としており、「異常の重要度」に応じて優先順位を設定する点が開示されておらず、優先順位の高いものから順の表示を行う場面についての限定もない点。 (4)当審の判断 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 引用発明の優先順位は、「優先順位を発生順/番号順で表示」させるものであるが、優先順位を異常の重要度に応じて設定する点、及び、当該優先順位に従った表示を行う場面を各種異常が同時多発的に発生したときとする点は、甲1?甲3には記載も示唆もされていない。 さらに、他に本件訂正発明3の出願時に、当該PLC用の操作盤の技術分野において、各種異常を優先順位の高いものから順に異常名表示区画に表示するに際し、優先順位を異常の重要度に応じて設定することや、当該優先順位に従った表示を行う場面を各種異常が同時多発的に発生したときとすることが、当業者にとって容易であったことを示す具体的証拠は発見できない。 したがって、当該相違点2については、引用発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、引用発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 さらに、本件訂正発明4ないし本件訂正発明7は、本件訂正発明3にさらに限定を付した発明であることから、同様に引用発明から当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 また、他に本件訂正発明3ないし本件訂正発明7が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 PLC用の操作盤及び同操作盤における異常表示方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 タッチスイッチ機能を備えた表示板と、機械をシーケンス制御するPLCと情報交換するデータ伝送手段と、メモリと、このメモリに記憶されたプログラムに従って前記PLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共にPLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するCPUとからなるPLC用の操作盤において、前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示する異常名表示プログラムを設け、また前記少なくとも1つの異常名を表示する前記表示板上の区画がタッチされるとき前記異常名を表示する画面を切替えてその異常に対応して前記メモリ内に予め登録された詳細コメント情報を前記表示板上に表示する詳細コメント表示プログラムを付加したことを特徴とするPLC用の操作盤。 【請求項2】 前記異常名表示プログラムは、前記多数のソフトランプ及び前記多数のソフトスイッチを表示する単一の表示画面上の一部に配置される数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の操作盤。 【請求項3】 前記シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の優先順位を異常の重要度に応じて前記メモリに予め設定しておき、前記異常名表示プログラムは前記各種異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に前記数個の異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作盤。 【請求項4】 前記メモリには、各種異常をこれら異常の表示優先順にメモリに予め設定しておくと共に、これら異常の各々に関連して、前記異常名のビデオ情報及び詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を設定しておき、前記異常名表示プログラムは発生した異常を前記メモリの表示優先順に前記異常名のビデオ情報記憶アドレスを指定して前記異常名表示区画に表示するように構成され、また前記詳細コメント表示プログラムは前記異常名表示区画の何れか1つがタッチされるときこのタッチされた異常名に対応する詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を指定して詳細コメントを前記表示板上に表示するように構成したことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項5】 前記メモリに記憶された異常識別情報を前記データ伝送手段を介して前記PLCに指定し前記PLCから指定した異常識別情報により特定される異常の有無情報を受領する異常モニタープログラムをさらに設け、前記異常名表示プログラムは前記異常モニタープログラムが前記PLCから前記異常の有無情報を受領する毎に異常の有無を判定すると共に、異常有りと判定されるとき前記異常名表示プログラムが前記PLCに指定した前記異常識別情報により特定される異常について前記異常名表示区画に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項6】 前記異常の各々に対応した異常詳細コメント画面は、その異常の原因追求や対応処置を容易にするためのソフトスイッチ及びソフトランプを併せて表示するようになっていることを特徴とする請求項1?5の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項7】 前記異常名表示画面は前記ランプや前記スイッチの組み合わせが異なるものを複数用意しておき、この異常名表示画面に表示されるべき数個の異常の内で最も優先度が高い異常に適した1つの異常名表示画面を選択してこの画面上に前記数個の異常名を表示するように構成されていることを特徴とする請求項2?6の何れか1項に記載の操作盤。 【請求項8】 機械をシーケンス制御するPLCと接続され、タッチスイッチ機能を有する表示板上に前記PLCからの制御状態情報を取り込んで多数のソフトランプとして表示すると共に前記PLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチがタッチされるとき前記PLCに命令を出力するPLC用の操作盤において、前記シーケンス制御の実行中に異常が発生するとき少なくとも1つの発生した異常の名称を前記表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチとは独立に配置した異常名表示領域に前記ソフトランプ及び前記ソフトスイッチと併せて表示する異常名表示ステップと、前記異常名表示領域の前記少なくとも1つの異常名を表示する区画がオペレータの指でタッチされるときは前記異常表示ステップで表示した画面を切り替えてオペレータにより指定された異常についての詳細コメントを表示する詳細コメント表示ステップと、からなることを特徴とするPLC用操作盤における異常表示方法。 【請求項9】 前記異常名表示ステップは、同時的に発生する複数の異常の表示優先順位を判定し、この判定された優先順位で前記表示板上の一部に配置した異常表示領域の数コマの区画に前記同時的に発生した異常の名称を順次表示し、また前記詳細コメント表示ステップは、前記数コマの区画の何れかがオペレータの指でタッチされて異常が特定されるとき、前記異常名表示ステップが表示板上に表示する画面を切り替えて前記特定された異常に関する詳細コメント情報を表示することを特徴とする請求項8記載のPLC用操作盤における異常表示方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、生産設備として使用される産業機械、好適には、工作機械の表示機能付操作盤に関する。さらに詳しくは、本発明は、そのような産業機械や工作機械をシーケンス制御するプログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと称する)が検出する各種異常を表示できるようにしたPLC用の操作盤及び同操作盤における異常表示方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 例えば工作機械においては、一般に、この工作機械を制御するPLCに対しオペレータが命令を入力し、逆にPLCから工作機械の動作状態をオペレータに対し表示するための表示装置を備えたディスプレイ操作盤が使用される。 このような操作盤の表示装置は、一般にCRT表示管や液晶(LCD)表示板を使用している。液晶表示板の場合を例にして説明すると、表示板の画面は、データ入力画面、命令・状態表示画面、異常表示画面などに切替え可能である。 【0003】 これまでは、操作盤の液晶表示板が異常表示画面に切替えられたとき表示する異常表示の形態としては、ランプを表示する表示形態と、1項目の異常について名称と詳細なコメントとを合わせて全画面表示する表示形態とが採用されている。 ランプ表示する表示形態では、液晶表示板は多数の異常対象毎に設けたランプを1画面で表示できる。異常名称と詳細コメントとを同時に表示する表示形態では、表示板は発生した異常の内容や要因、さらにはその対処方法も併せて1画面で表示できる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、斯かる従来のディスプレイ操作盤の異常表示形態は、ランプ表示形態か異常名称と詳細コメントの同時表示形態かの何れかの形態であるので、前者の場合では詳細コメントを即座に呼び出せない問題があり、後者の場合では幾つかの同時的に発生する異常をオペレータに対し即座に知覚させ得ない問題があった。 【0005】 さらに、従来のディスプレイ操作盤の異常表示形態は、1画面の全ての画面領域を使用して、多数の異常ランプを表示するか、或いは1つの異常について詳細コメント表示する形態であるので、異常情報以外の動作状況を把握する場合、異常表示画面から他の操作画面(例えば、各個操作画面など)への切り替えが必要であり、また異常の要因チェック作業や異常への対応処置を遂行する場合に頻繁な画面切替えを行わなければならず、煩わし操作を必要としていた。 【0006】 特に、異常処置は、各個操作スイッチが配置された画面しか行えないが、その画面には画面表示能力の制約上異常に係わる全てのランプを配置できないため、画面切替を頻繁に行って異常の詳細ランプ情報を得なければならない。 また、根本原因や重大な異常を最初に表示させるためには、制御回路での処理が必要となり、表示制御のための画面枚数が増えてしまう問題があった。 【0007】 従って、本発明の主たる目的は、表示板の1画面に複数の異常表示ランプを表示でき、この異常表示ランプの何れかを選択することによりこの選択された異常項目の詳細情報を表示する画面へ容易に切替え可能にすることである。 本発明の他の目的は、表示板の1画面の一部の限定された領域に数個の異常が優先度の高い順に表示されるようにすることである。 【0008】 本発明の別の目的は、優先度の高い順に選択的に表示される複数個の異常項目についてのランプと機械装置の動作状態を示すランプとこの機械装置に指令を与えるスイッチとが1画面中に同時に表示できるようにすることである。 本発明のさらに別の目的は、優先度の高い順に選択的に複数個の異常項目が表示される1画面中の限定された領域以外の残りの領域には、選択された異常項目の要因追求に必要なランプ及び指令スイッチが同一画面に表示できるようにすることである。 【0009】 さらに本発明の目的は、異常の詳細を表示する画面には異常の状態や要因や対応などの詳細コメントに加えて、その異常への対応処置に必要なランプ類やスイッチ類も併せて表示できるようにすることである。 【0010】 【課題を解決するための手段】 上述した課題を解決するために、請求項1及び請求項8の発明は、CPUがメモリに記憶されたプログラムに従ってPLCからの制御状態情報を取り込んで表示板上に多数のソフトランプとして表示すると共に、PLCに与える命令を入力する多数のソフトスイッチを表示しかつこのソフトスイッチのタッチによりPLCへ命令を出力するようにしたPLC用の操作盤において、PLCによるシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示板の一部であって前記ソフトランプおよび前記ソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に表示するようにし、また、少なくとも1つの異常名を表示する表示板上の区画がタッチされるときは表示画面を切替えてその異常に対応してメモリ内に予め登録された詳細コメント情報を表示板上に表示するようにした。 【0011】 この発明においては、シーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を表示板の一部に表示し、また異常名を表示する表示板上の区画がタッチされるときその異常名に関する詳細コメントを表示板上に表示する。これにより、異常名の表示画面では他の表示領域をその他の情報の表示に割り当てでき、オペレータは詳細情報を必要とするときは、即座に詳細コメント画面に切替えて指定した異常の詳細を知るができる。 【0012】 さらに好適な形態として、請求項2及び請求項9に記載される発明では、表示画面上の一部に配置する数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるようにし、かつその表示画面の他の領域に多数のソフトランプや多数のソフトスイッチを併せて表示できるようにした。 単一の画面に数個の異常名と共に多数のソフトランプやソフトスイッチが併せて表示され、オペレータがシーケンス制御過程におけ異常発生状況を容易に認識でき、異常に対応した処置をとることができるようにしている。 【0013】 請求項3に記載される発明では、各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき、異常が同時多発的に発生したとき発生した異常の内で優先順位の高いものから順に表示板上に表示するようにした。 異常の優先順位に従って異常が順次表示されるようになり、オペレータがどの異常が重大で緊急性を要するかを認識でき、重要な異常を長時間放置することにより生じる問題を未然に防止できる。 【0014】 請求項4に記載される発明では、メモリには、各種異常をこれら異常の優先順に予め設定しておくと共に、これら異常の各々に関連して異常名のビデオ情報及び詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を設定しておき、発生した異常をメモリに設定した優先順に異常名のビデオ情報記憶アドレスを指定して表示板上に表示し、また表示された異常名の何れか1つがタッチされるときこのタッチされた異常名に対応する詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報を指定して詳細コメントを別の画面として表示板上に表示するようにした。 【0015】 発生した異常はメモリに設定した優先順位の高い異常から選択され、その異常の名称についてのビデオ情報アドレスが指定されて異常名が表示板上に表示される。また、表示板上の異常名がタッチされるときその異常の詳細コメントのためのビデオ情報のアドレスが指定され、詳細コメント画面に表示画面が切替えられる。メモリ内には優先順位の高い順に、異常とその名称のビデオ情報アドレスと詳細コメントのビデオ情報アドレスとを関連付けて設定したので、重要度や緊急性の高い異常が最初に表示されるようになる。 【0016】 請求項5に記載の発明は、メモリに記憶された異常の識別情報をデータ伝送手段を介してPLCに指定すると共に指定した異常の有無情報をPLCから受領する異常モニタープログラムをさらに設け、異常の有無情報から異常有りと判定されるときはPLCに指定した異常の名称を表示板上に表示するようにした。 操作盤側からPLCに対し異常識別情報を送って異常を照会し、PLCは照会された異常についての有無情報を操作盤に通知する。操作盤側からPLCに異常を照会するようにしたので、照会対象及び照会順序は操作盤側で任意に設定できる。 【0017】 請求項6に記載の発明は、各異常毎の詳細コメント画面には、その異常の原因追求や対応処置を容易にするためのソフトスイッチ及びソフトランプを併せて表示するようにした。詳細コメントの表示画面は、1つの異常について画面全域を使用するが、その一部に異常原因の追求や対応処置を行うために必要なソフトスイッチやソフトランプが表示される。これにより、オペレータは、ソフトランプやソフトスイッチを併せて表示する異常名表示画面に戻らずに、詳細コメント画面に教示される異常原因を考慮して、或いは表示される対応処置に従って、異常を取り除くための操作を同じ詳細コメント表示画面上で行うことができる。 【0018】 請求項7に記載の発明は、ランプやスイッチの組み合わせが異なる複数の異常名表示画面を予め用意しておき、異常名表示画面に表示されべき数個の異常の内で最も優先度が高い異常に適した1つの異常名表示画面を選択してこの画面上に前記数個の異常名を表示するようにした。 異常名表示画面には数個の異常名が表示されるが、その内で最も優先度が高い異常に適したランプやスイッチの組み合わせの異常名表示画面が使用される。これにより、異常名の認識だけで対応措置を行うことができる熟練オペレータは、発生している異常の内で最優先の異常についての処置を異常名表示画面上で即座にかつ容易に行うことができる。 【0019】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1は、本発明による操作盤10およびプログラマブル・ロジック・コントロラ(以下、PLC)20のブロック図であり、操作盤10は、中央演算装置であるCPU11と、図5?図7に示すシステムプログラム等を記憶したROM12と、後述する画面定義データや表示制御テーブルTBL等を記憶したRAM13と、インターフェイス(I/F)14を介してCPU11に接続される操作パネル30と、PLC20との通信用のインターフェイス(通信I/F)16とを主たる構成としている。 【0020】 操作盤10は、概ね筐体形状のもので、操作バネル30を除く上述した回路機器を内蔵している。CPU11は、インターフェイス(I/F)17を介して筐体外に接続・非接続可能に設けられるパソコン(パーソナルコンピュータ)18に接続されている。パソコン18は、システムプログラムや各種データ及びパラメータを操作盤10へ入力したり、操作盤設定ツール19により入力される画面設定情報を操作盤10へ入力する機能を有する。 【0021】 操作パネル30は、図2に示すように、操作盤10の筐体にヒンジ31により開閉可能に設けた蓋板上に構成される。パネル30は、液晶(LCD)表示板32とこの表示板32の表示画面全域をカバーするように積層されたタッチスイッチパネル33(図1参照)と、表示板32の周囲に配置された各種のハードスイッチ類34と各種のハードランプ類35からなる。例えば、スイッチ類34は、自動各個切替スイッチ、運転準備スイッチ、起動スイッチ、非常停止スイッチ及びプログラム実行スイッチからなり、ランプ類35は電源ランプ、運転中ランプ、システム異常ランプからなる。これらハードウエアにより構成されるスイッチ類34及びランプ類35は、システム全体の運転制御のために使用されるものである。 【0022】 再び図1において、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)20は、中央演算装置であるCPU21と、システムプログラム等を記憶したROM22と、ラダー回路で組まれたシーケンスプログラム等が記憶されたRAM23と、入出力(I/O)制御回路24と、さらに、操作盤10の通信I/F16と接続される通信I/F25を主たる構成としている。I/O制御回路24は、各種制御対象に接続される。本実施の形態では、制御対象として、例えば周知のマシニングセンタと称される切削工作機械MTの例について説明される。 【0023】 マシニングセンタMTは、位置決め制御に関する部分については図略の数値制御装置(CNC装置)により互いに直交するX、Y、Zの各制御軸が制御され、この制御プロセスと連携される各種の補助機能がPLC20によりシーケンス制御される。本実施の形態の説明では、数値制御装置が実行する機能については本発明と直接関係しないので、省略してある。 マシニングセンタMTの場合における前記シーケンス制御の対象としては、例えば、工具主軸の起動停止、この主軸に取り付けられる工具のクランプ・アンクランプ動作、ワークパレットの割出動作、同パレットのクランプ・アンクランプ動作、クーラントや潤滑油などの各種ポンプユニットのオン・オフ制御、エアーブロー開閉弁のオン・オフ制御、さらには自動工具交換装置の起動・停止等などを含む。 【0024】 さらに、これら制御対象の動作確認のための各種リミットスイッチ類及び作業者により操作される切替スイッチや押釦スイッチがマシニングセンタMT本体の各所に配置されている。これらスイッチ類は、図1において集合的に符号27で示され、I/O制御回路24への入力信号として同回路に接続されている。また、前記の各種制御対象にオン・オフ命令を与えるための多数の電磁リレーは、図1において集合的に符号28で示されており、この電磁リレー28のオン・オフ動作により対応する制御対象である電動機、ソレノイドなどの各種アクチエータが駆動される。 【0025】 周知のように、PLC20は、ROM22に記憶されたシーケンス制御用のシステムプログラムに従って、RAM23に記憶されたシーケンス制御用のアプリケーションプログラム(ユーザのラダープログラム)を実行し、制御対象であるマシニングセンタMTの種々の制御対象をシーケンス制御する。斯かるシーケンス制御の1例を簡単に述べると、例えば、主軸工具をクランプする場合、図略の自動工具交換装置が新工具を主軸に挿入したとき、この挿入前進端確認用のリミットスイッチ(スイッチ27のうちの1つ)の動作信号を受けて電磁リレー28のうちの1つを付勢する。これにより工具クランプ用の油圧又はエアシリンダの流体回路上の方向切替弁のソレノイドが動作され、シリンダーがクランプ動作するように制御する。 【0026】 操作盤10は、図2のハードスイッチ34が動作されるとき、これらスイッチの動作信号を通信I/F16を介してPLC20に入力し、これによりPLC20にシーケンス動作を実行させることができる。つまり、運転準備スイッチを押すと、操作盤10及びPLC20に電源が投与され、起動スイッチを押すと操作盤10及びPLC20が各々のシステムプログラムに従って動作する。次に、自動・各個切替スイッチを「自動」にして実行スイッチを押すと、操作盤10及びPLC20のRAM13、23に記憶されたアプリケーションプログラムが実行され、PLC20は前述したラダープログラムに基づくシーケンス制御動作の実行を開始し、マシニングセンタMTを起動する。この場合、PLC20は、マシニンングセンタMTのCNC装置(図略)にNCプログラムの実行命令を与え、これによりマシニングセンタMTがNCプログラムに従って制御される。 【0027】 このようなシーケンス制御の実行中においては、PLC20の制御対象について各種の異常が発生する。このような異常は、例えば、油圧或いはエア供給回路上に配置したフィルタの目詰まり、方向切替弁のソレノイドの焼付き、スプールの切替動作不良、ポンプユニット内の油量の減少、潤滑油圧力低下、リミットスイッチの故障、パレット割出動作における位置決めピンの挿入不良等などが例示される。 【0028】 本発明に関連して、PLC20のRAM23には、前述した種々の異常をシーケンス動作実行中にモニターするためにモニター用のラダープログラムが組み込まれている。PLC20は、この異常モニタープログラムを所定のタイムインターバル(例えば、10ミリ秒間隔)で実行する。PLC20は、この異常モニタープログラムを実行し異常を検出すると、各種の異常に割当てられた電磁リレー28又は図略のラッチリレーをオンとし、発生した異常を記憶する。さらに、PLC20は、操作盤10から所定のタイムインターバル(例えば、100ミリ秒間隔)で異常記憶リレーの状態について照会されるとき、この異常記憶リレーのオン・オフ状態を異常の有無情報として操作盤20に回答するようになっている。 【0029】 操作盤10のLCD表示板32に表示される画面には、自動運転画面、CNC各個操作画面、PLC各個操作画面及びこのPLC各個操作画面の下位にある異常詳細コメント画面などがあり、自動運転画面、CNC各個操作画面及びPLC各個操作画面の間では相互に画面切替え可能である。自動運転画面(図略)では、自動・各個切替スイッチが「自動」の位置にあってPLC20及び図略のCNC装置が自動モードで運転されているとき、各制御軸の現在位置や、PLC20が実行中のラダー回路が表示される。CNC各個操作画面(図略)は、CNC装置を各個モードで操作するときに使用するために用意され、この操作画面では、表示板32上に軸選択スイッチや、速度指定スイッチや、軸送り指令用押釦スイッチや、現在位置表示カウンタがソフトスイッチ及びソフトカウンタとして表示され、オペレータはこれらスイッチに指タッチすることにより指定された1つの制御軸X、Y又はZを手動操作できる。 【0030】 表示板32には、通常、図3に代表例として例示するPLC各個操作画面が表示され、オペレータがPLC20の運転状況を同画面上のソフトランプから把握し、PLC20に対する命令を同画面上のソフトスイッチにより指令できるようにしてある。図3のように、PLC各個操作画面では、多数のソフトランプSLを表示する画面上段側の第1表示領域DPY1と、多数のソフトスイッチSSを表示する画面中下段の第2表示領域DPY2とが設けられる。第1表示領域DPY1は、工作機械の種々の可動要素の運動状態を、その運動状態を特定するランプ区画の全域の表示色を変えることにより識別表示する。 【0031】 図3に例示するように、各ランプSLは、外枠部とその外枠部で囲まれた中央部の発色を個別に制御できる。例えば「PC運転中」、「MC1K運転」、「搬出OK」、・・・などのランプのように、外枠部のみが発色しているとき、オペレータはこれらランプがオフの状態になっていることを確認できる。これに対し、「気圧」、「クーラント」、「NC準備完了」、「クーラント異常」、「メインアーム装置異常」および「切屑排出装置異常」などのランプのように、外枠部及び中央部が同色で発光しているとき、オペレータはこれらランプがオンの状態になっていることを確認できる。 【0032】 第2表示領域DPY2のソフトスイッチSSは、各個モードにおいて前記PLC20の制御対象である可動要素に対し動作指令を与えるためのものである。表示板32の全表示画面領域に積層されたタッチパネル33は、ソフトスイッチSSに対応して格子状に区画され、これら区画の各々がタッチスイッチを形成している。各タッチスイッチがオペレータにより指タッチされるとき、操作盤10のCPU11はそのスイッチ区画の背面に表示される出力命令に対しオン指令が与えられたことを認識し、その出力命令を通信I/F16を介してPLC20に入力するようになっている。この出力命令は、アドレス情報と1ビットのオン又はオフ指令からなる。PLC20は、この出力命令を受領するとき、そのアドレス情報にて特定される電磁リレーをオン又はオフ動作するようになっている。 【0033】 また、操作盤10のCPU11は、各タッチスイッチが指タッチされる毎に、そのスイッチと同区画の背面に表示された表示区画の発色を変更し、オペレータに出力命令の入力を確認できるようにしている。具体的には、各スイッチの表示区画は、外枠部と中央部とを個々に発色できるようにしてあり、その出力命令のオン状態では例えば図3の「クーラント入り」命令のように、外枠部及び中央部が同色で発光し、オフ状態では図3中に示される他のスイッチのように外枠部のみが発光し、中央部が外枠部と異なる色(例えば、白色)で発光するようになっている。 【0034】 なお、タッチパネル33の第1表示領域DPY1も第2表示領域DPY2と同様に格子状に区画され、図3とは別の表示画面に切替えたときこの第1表示領域DPY1に表示される出力命令について指タッチによりオン・オフ指令を与えることができる。このため、第1表示領域の上下の2つのランプ表示区画が1つのスイッチ区画となるように、各ランプの大きさが決められている。 【0035】 本発明の特徴として、PLC各個操作画面の一部に数コマの異常名表示区画を配置し、この数個の異常名と工作機械の動作状況を示す多数のランプSLと工作機械を各個操作する多数のスイッチSSとを1画面上に同時に表示可能としてある。多数のランプSLを表示する第1表示領域DPY1に4つの異常名表示区画ABW1?ABW4が配置され、図3のPLC各個操作画面の例では、この区画に発生した異常表示の優先順位の高いものから、「クーラント異常」、「メインアーム装置異常」、「切屑排出装置異常」が表示されている。この4つの異常表示区画ABW1?ABW4は、異常の重大性又は緊急性の観点で優先順位が予め決められており、同時に多数の異常が発生した場合、4つまでの異常を優先順位の高い順に、左上隅→右上隅→左下隅→右下隅へと順次表示するようになっている。 【0036】 なお、本実施の形態では、PLC各個操作画面上の異常名表示区画を4コマとしたが、1コマでもよく、また4コマ以上の区画数としてもよい。しかしながら、このコマ数は、表示された異常の原因を容易に追求できるようにするためには多数のランプやスイッチが同一画面に表示されることが有利である点を考慮し、また同時発生する異常の数を考慮して、数コマから8コマ程度が望ましい。また、以降の説明では、PLC各個操作画面を単に”各個操作画面”と称する。 【0037】 第2表示領域DPY2の右下隅には、異常リセットスイッチが配置され、このスイッチがオペレータにより指タッチされるとき、操作盤10のCPU11は後述するメモリ13内の表示制御テーブルTBLに一時登録される発生中の全ての異常をリセットして抹消するために設けられている。この異常リセットスイッチの上段には画面切替えスイッチが配置され、この各個操作画面から自動運転画面及びCNC各個操作画面へ移動できるようにしてある。この画面切替えスイッチは、自動運転画面及びCNC各個操作画面の対応する位置に設けられている。 【0038】 本発明の他の特徴として、オペレータが異常名表示区画ABW1?ABW4の何れかをオペレータが指タッチするとき、各個操作画面がその下位の異常詳細コメント画面に切替わり、オペレータが指タッチにより特定した異常名についての詳細情報を即座に提供できるようにしている。図4は、図3の各個操作画面においてオペレータが「クーラント異常」を指タッチしたときに表示される異常詳細コメント画面の1例を示す。このコメント画面は、異常識別番号の表示窓DW1、画面ページ番号の表示窓DW2、異常状況の表示窓DW3、推定要因の表示窓DW4、対応事項の表示窓DW5及び画面操作キー領域KYZを1画面中に表示するものである。この詳細コメント画面によりオペレータは異常の状況や、推定原因及び異常対応の内容を把握でき、特に表示窓DW5に表示された対応を行うことにより異常を容易かつ迅速に排除できる。 【0039】 画面操作キー領域KYZには、上向き矢印キー、下向き矢印キー、「前異常」キー、「次異常」キー、「各個画面」キー及び「異常リセット」キーが設けられ、上向き及び下向き矢印キーの何れかをタッチし続けることにより表示窓DW5の対応事項を上方又は下方にスクロールでき、「前異常」又は「次異常」キーをタッチする毎に現在詳細コメントを表示している異常名に対して図3の異常名表示区画ABW1?ABW4に表示される上位又は下位の異常名に関する詳細コメント画面に表示板32の表示画面全体を切替えできる。 【0040】 操作キー領域KYZの「各個画面」キーは、図3に例示する各個操作画面に復帰するためにタッチされるキーである。また、「異常リセット」キーは、異常原因が除去された後オペレータにより指タッチされるもので、このキーが指タッチされるときは図3の各個操作画面に右下隅に表示される「異常リセット」スイッチが指タッチされたときと同一の機能が奏せられるようにしてある。 【0041】 以下、上述した本発明の特徴に係わる操作盤10のCPU11の処理機能について、図5?図8を参照して詳細に説明する。 図5に示す異常モニター処理は、PLC20が自動モード及び各個モードのいずれのモードで運転される間、所定のタイムインターバル(例えば100ミリ秒間隔)で周期的に実行される。先ず、ステップS51で初期リセットされ、ステップS52にて「異常リセット」キーがオンか否か判定される。オンと判定されるとき、ステップS53にて、メモリ13内の図8に示す表示制御テーブルTBLの異常フラッグFLG及び順位番号領域ABWに一時登録された異常発生の登録”1”及び順位番号”n”が全てリセットされ、この処理が終了される。 【0042】 表示制御テーブルTBLは、図8に示すように、PLC20の異常記憶リレーの各々毎に、異常の有無を記憶するフラッグ領域FLGと、同時発生した異常の優先順位を記憶する順位記憶領域ABWと、その異常が生じたときに図3の各個操作画面上にある4コマの異常表示領域ABW1?ABW4の何れかに表示する異常名称を記憶したビデオRAMのアドレスと、この異常名称に関する詳細コメント情報を記憶したビデオRAMのアドレスとを1グループの異常情報として記憶している。各異常グループ情報の配列順序は、モニターすべき全ての異常の優先順位をその異常の緊急度や重要度に応じて予め決定しておき、優先度の高い異常グループ情報から小さな番号のアドレス順にRAM13内にテーブルとして登録してある。 【0043】 「異常リセット」キーがオフと判定されるとき、ステップS54にて表示制御テーブルTBLの最初のアドレスK001を指定し、PLC20の出力アドレス”0015”を読み出す。ステップS55では、読み出された異常対象要素のアドレス”0015”を異常識別情報としてPLC20へ照会し、ステップS56で所定時間(例えば、10ミリ秒)待機した後、ステップ57でPLC20から伝送されてくる指定出力リレーのオン・オフ情報を読み取り、異常の有無を判定する。 【0044】 指定した異常記憶リレーが異常を記憶していないと回答される場合、ステップS57での判定はNOとなり、例えばテーブルTBLの出力要素”0015”の場合のように、ステップS63にてテーブルTBLの異常フラッグFLGに”0”が書き込まれる。これに対し、ステップS54においてRAM13アドレス”K002”が指定され、その指定されたPLC異常記憶リレー”2103”が異常を記憶している場合では、ステップS58にて異常順位カウンタnに1が加算され、ステップS59においてRAM13アドレス”K002”の異常情報グループの異常フラッグFLGに”1”がセットされると共に、順位記憶領域ABWに順位番号”1”が登録される。 【0045】 この場合、ステップS60において、図6に示すサブルーチンが実行されて、図3の各個操作画面の4コマの異常名表示領域ABW1?ABW4の左上隅のコマABW1に異常名称、例えば、「クーラント異常」が表示される。その後、ステップS61にて表示制御テーブルTBLのアドレスが最終番号(i=Kie)であるか否か判定され、最終番号でないときは、ステップS62にてアドレス指定カウンタiに1を加算した後、ステップS54に復帰する。 【0046】 上述したステップS54からS63の処理を表示制御テーブルTBLの最終アドレスKieまで繰り返し実行することにより、同テーブルTBLに登録された全ての異常モニター対象リレーのオン・オフ状態、つまり異常の有無が判定され、異常有りとされたリレーの異常フラッグFLGには”1”がセットされ、かつその順位記憶領域ABWには、異常順位番号”1”、”2”、・・・”n”が登録される。また、この異常順位番号の登録処理毎に、その異常名称の表示処理が実行され、図3の4コマからなる異常名表示領域ABW1?ABW4に対応する異常名が表示される。 【0047】 オペレータは、図3の各個操作画面上で異常名称を認識すると、この画面を表示したまま、或いは図4の詳細コメント画面に切替えた状態で、表示された全ての異常の原因を取り除く作業を行う。この異常原因を取り除く作業において、異常名称のみから対応することができる熟練オペレータは、図3の各個操作画面上に表示されるソフトランプSLによりPLC20或いは工作機械MTの運転状況を把握し、同画面に表示されるソフトスイッチSSを操作して作業を進めることができる。 【0048】 そして、異常名表示領域ABW1?ABW4に表示された異常について全ての原因を取り除いた後、「異常リセット」スイッチを指タッチすると、前述したようにステップS63にて異常フラッグ領域FLG及び順位記憶領域ABWが全てクリアーされる。このため、その後図5の異常モニター処理が継続されると、ステップS60の異常名表示処理では、先に異常原因が取り除かれた異常以外の異常の名称が図3の各個操作画面の異常名表示領域ABW1?ABW4に順次表示されるようになる。 なお、図3中の「異常リセット」キーが指タッチされるとき、PLC20へ異常リセット命令が与えられ、PLC20が異常記憶リレーを全てリセットする処理を実行し、この結果、異常リセット処理後にPLC20から操作盤10に通知される異常の内でその原因が排除されたものは除かれるので、図5のルーチンからステップS52及びステップS53を省略してもよい。この場合、ステップS63では、図8に示すテーブルTBLのi番目のアドレスのフラッグFLG欄に”0”を書込むと共に同じくi番目のアドレスの順位記憶領域ABW欄をその都度クリアーするようにする。 【0049】 図6は、図5のステップS60にて実行されるサブルーチンとしての異常名表示処理の具体例を示し、ステップS71では図8の表示制御テーブルTBLの指定されたアドレスの異常情報グループ内の異常フラッグFLGが”1”か否か判定され、”1”でないとき、この表示処理を終了する。フラッグFLGが”1”のとき、ステップS72に進み、表示板32の画面がPLC各個操作画面か或るいは他の画面であるか判定し、他の画面が表示されているときはステップS73でPLC各個操作画面へ画面切替えする。 【0050】 そして、ステップS74では、前記指定されたアドレスの異常情報グループ内の順位記憶領域ABWに登録された順位番号nが判定され、ステップS75にてその異常情報グループ内の異常名称アドレス情報を読み出してこのアドレス情報をビデオRAMに指定することにより、このビデオRAMのこのアドレスに記憶された異常名称が異常名表示領域ABW1?ABW4の前記順位番号nで指定される区画に表示される。 【0051】 例えば、表示制御テーブルTBLの異常フラッグFLG及び順位番号領域ABWに図8に例示するようなデータが一時登録される場合では、RAM13のアドレス”K002”に記憶される異常情報グループについては、ビデオRAMのアドレス”NM002”に記憶された異常名「クーラント異常」が順位記憶領域ABWの順位番号”1”に基づいて、異常名表示領域の左上隅の区画ABW1に表示される。同様に、ステップ74にて順位番号が”2”と判別されるとき、ビデオRAMのアドレス”NM005”に記憶された異常名「メインアーム装置異常」が異常名表示領域の右上隅の区画ABW2に表示される。さらに、順位番号が”3”と判別されるとき、ビデオRAMのアドレス”NMn-3”に記憶された異常名「切屑排出装置異常」が異常名表示領域の左下隅の区画ABW3に表示される。 【0052】 なお、順位番号”4”の異常が表示制御テーブルTBLに登録されるときは、その異常名は異常名表示領域の右下隅の区画ABW4に表示される。このようにして、多数の異常が同時に発生するとき、図8の表示制御テーブルTBLに予め登録されたPLCの異常記憶リレーを操作盤10のCPU10が全て一通りモニターすることにより、最大4つまでの異常を異常名表示領域ABW1?ABW4に順次表示できる。 【0053】 図7は、異常名表示領域ABW1?ABW4に表示された異常についての詳細コメントを表示する処理を示す。この処理は、図5に示す異常モニター処理とは異なる時間帯の所定時間インターバル(例えば、100ミリ秒間隔)で実行される。ステップS81で、図3の各個操作画面上の異常表示領域の4つの異常名表示区画ABW1?ABW4の何れか1つがオペレータにより指タッチされているか否か判定され、これら区画ABW1?ABW4の何れの1つも指タッチされてないと判定されるとき、この処理は終了する。 【0054】 指タッチされていると判定される場合は、ステップS82にてその区画番号ABWmが記憶され、ステップS83にて表示板32の画面が図3に示す各個操作画面から図4に例示する異常詳細コメント画面へ切替えられる。続くステップS84では、図8の表示制御テーブルTBLを参照して指タッチされた異常名表示区画の番号ABWmと順位記憶領域ABWnとの順位番号が対応する1つの異常情報グループが選択され、このグループ内の詳細コメント指定アドレスが読み出されてビデオRAMにアドレス指定される。これによりビデオRAMの指定されたアドレスに登録されている異常詳細コメント情報が表示板32に表示される。 【0055】 表示制御テーブルTBL内に一時登録されたデータが図8のようになっている場合、優先順位1番の異常名表示区画ABW1が指タッチされるとき、詳細コメント指定アドレス”COM002”が選択され、ビデオRAMのこのアドレスに登録された「クーラント異常」に関する図4の詳細コメント画面が表示板32に表示される。同様に、異常名表示区画ABW2又はABW3が指タッチされるとき、詳細コメント指定アドレス”COM005”又は”COMn-3”に登録された「メインアーム装置異常」又は「切屑排出装置異常」のために予め作成済の別の詳細コメント画面が表示板32上に表示される。 【0056】 続くステップS85では、詳細コメント画面の操作キー表示領域KYZに表示される上向き又は下向き矢印キーがタッチされているかどうか判定され、ステップS86ではタッチされている矢印キーに応じて詳細コメント画面の対応事項表示窓DW5内の情報が上方または下方にスクロールされる。ステップS87では、詳細コメント画面の操作キー表示領域KYZに表示される「前異常」又は「次異常」キーがタッチされているかどうか判定され、「前異常」キーがタッチされている場合では、ステップS88で順位記憶領域ABWの順位番号mから1を減算し、「次異常」キーがタッチされている場合では、ステップS89で順位記憶領域ABWの順位番号mに1を加算する。 【0057】 これにより、ステップS84において優先順位が2番目の「メインアーム装置異常」に関する詳細コメント画面(図略)が表示されている状況において「前異常」キーがタッチされるときは、「クーラント異常」に関する図4の詳細コメント画面に復帰し、逆に「次異常」キーがタッチされるときは、「切屑排出装置異常」に関する別の詳細コメント画面(図略)に切り替わることとなる。なお、ステップS88で商が0になるときは、1番目の異常ABW1に関する詳細コメント画面を表示するように処理される。 【0058】 ステップS90で異常リセットキーがタッチされていると判定されるとき、ステップS91にて図8の表示制御テーブルTBLの異常フラッグFLG及び順位記憶領域ABWに登録されたデータが全て初期状態にクリアーされる。さらに、ステップS92にて詳細コメント画面の操作キー表示領域KYZに表示される「各個画面」キーがタッチされているかどうか判定され、タッチされていると判定されるとき、ステップS93にて図3の各個操作画面に復帰する処理を行った後でこの詳細コメント表示処理を終了する。 なお、図7のルーチンにおけるステップS90及びS91は、図5のルーチンにおけるステップS52及びS53について上述した理由と同じ理由により、省略してもよい。 【0059】 図9は、図4に示す詳細コメント画面に代えて使用される詳細コメント画面の変形例を示すもので、画面の最下行に複数の命令スイッチを表示する領域SWZを配置すると共に、画面の最右列に複数の状態表示ランプを表示する領域LMZを配置したものである。これら領域SWZ及びLMZに表示されるソフトスイッチ及びソフトランプは、同一画面上にその詳細情報が表示される異常の原因追求や対応処置を行うためにその異常に関連するものである。表示画面右下隅の「スイッチ次群」スイッチNSS及びその上段の「ランプ次群」スイッチNLSは、それらがタッチされる毎に領域SWZ及びLMZに表示されるスイッチ群及びランプ群を変えるソフトスイッチで、これにより領域SWZ及びLMZが狭い面積であるにもかかわらず異常の原因追求や対応処置に必要な多数のスイッチやランプを表示できる。これらソフトスイッチ及びソフトランプはそれらの表示名称が図3の各個操作画面のそれらと一致するものは、各個操作画面のものと同一のものである。 【0060】 図10は、図6に示す異常名表示処理ルーチンの一部の変形例を示すもので、この処理は、図5のステップS59でテーブルTBLの順位番号領域ABWに書き込まれた順位番号nが1番目であることがステップS72xで判定されるときは、この発生した異常の中で最も優先順位の高い異常についてどの異常グループに属するか否か判定し、その属する異常グループに対応して設定した各個操作画面を操作盤32上に表示させるように実行される。つまり、図11に示すように、PLC各個操作画面を複数枚(図例では3枚)IM1?IM3を用意しておき、優先順位の最も高い異常に適した各個操作画面IM1?IM3の何れかを表示板32上に表示させるようにする。 【0061】 ここで、各個操作画面IM1?IM3は、第1表示領域DPY1に表示するソフトランプSLの種類や配置と第2表示領域DPY2に表示するソフトスイッチSSの種類や配置を、他のものに対して異ならせてある。しかし、4コマの異常名表示区画ABW1?ABW4は各個操作画面IM1?IM3に共通に配置されている。このような画面選択を可能にするため、RAM13には、図12に示すようにモニター対象とする異常の識別情報(異常記憶リレーアドレス)をこれら各個操作画面IM1?IM3に対応して分類した画面選択テーブルGSTが記憶されている。このテーブルGSTの同一グループに属する異常は、そのグループに対応する各個操作画面上に表示されるソフトランプやソフトスイッチにより容易に原因を追求できるようにする観点で分類されている。 【0062】 再び図10において、ステップ73aにてその異常が属するグループがテーブルGSTを参照して判定され、ステップS73b?cにてそのグループに対応する各個操作画面IM1?IM3が表示板32上に表示されるようになる。ステップS72xにてPLC20から取り込まれた異常の優先順位が2番目以降のものであると判定されると、画面切替えは行われずに図6のステップS74へ進む。これにより、表示板32には、発生している異常の内で最も優先度の高い異常の原因を追求するのに適した各個操作画面が表示され、オペレータは、ステップS75にて異常名表示区画ABW1?ABW4の区画ABW1に表示される異常名の異常について、この各個操作画面上のソフトランプ及びソフトスイッチを活用してその対応作業を迅速かつ容易に行うことができる。 【0063】 この変形例では各種異常を3グループに分類して3種類の各個操作画面IM1?IM3を使用するようにしたが、グループ分け数を3以上としてそのグループ分け数に対応した数の各個操作画面を使用するようにしたり、或いは各異常それぞれに特別な各個操作画面を使用するようにしてもよい。 また、PLC20の異常記憶リレーは、図略のCNC装置の異常も含んでいることは云うまでもない。 【0064】 【発明の効果】 以上詳述したように、請求項1及び請求項8記載の発明によれば、PLCによるシーケンス制御の実行中に生じる各種異常の名称を少なくとも1つ選択的に表示板の一部であってソフトランプおよびソフトスイッチの表示区画とは独立して設けた異常名表示区画に表示するようにし、また少なくとも1つの異常名称を表示する表示板上の区画がタッチされるときは表示画面を切替えてその異常に関する詳細コメント情報を表示板上に表示するようにしたので、異常名称の表示画面では他の表示領域をその他の情報の表示に割り当てでき、オペレータは詳細情報を必要とするときは、即座に詳細コメント画面に切替えて指定した異常の詳細を知ることができると云った効果が奏せられる。 【0065】 好ましくは、請求項2及び9記載の発明のように、表示画面上の一部に配置する数個の異常名表示区画の各々に異なる異常の名称を表示できるようにし、かつその表示画面の他の領域に多数のソフトランプや多数のソフトスイッチを併せて表示できるようにしたので、単一の画面に数個の異常名称と共に多数のソフトランプやソフトスイッチが併せて表示され、オペレータがシーケンス制御過程におけ異常発生状況を頻繁な画面切替えを必要とせずに容易に認識でき、異常に対応した処置をとることができる。 【0066】 さらに好ましくは、請求項3の発明のように、各種異常の優先順位を前記メモリに予め設定しておき、複数の異常が同時的に発生したとき表示板上に優先順位の高いものから順に表示するようにしたので、オペレータはどの異常が重大で緊急性を要するかを認識でき、重要な異常が長時間放置されることにより生じる問題を未然に防止できる。 【0067】 請求項4記載の発明によれば、各種異常をこれら異常の優先順に予めメモリに設定するようにしたので、発生した異常はメモリに設定した重要度や緊急性において優先順位の高い異常から選択されてその異常名称を表示板上に表示することができる。また、各異常に対応付けて異常名称のビデオ情報及び詳細コメントのビデオ情報を記憶するアドレス情報をメモリ設定するようにしたので、異常名表示処理及び詳細コメント表示処理が容易となる利点が得られる。 【0068】 請求項5記載の発明によれば、操作盤側からPLCに対し識別情報をデータ入力して異常の識別情報を照会するようにしたので、照会対象の選定及び照会順序を操作盤側で任意に設定できる。 請求項6記載の発明によれば、各異常毎の詳細コメント画面には、その異常の原因追求や対応処置を容易にするためのソフトスイッチ及びソフトランプを併せて表示するようにしたので、オペレータは異常を取り除くための操作を同じ詳細コメント表示画面上で行うことができる。 【0069】 請求項7記載の発明によれば、異常名表示画面には表示される異常の内で最も優先度が高い異常に対応して設定されたソフトランプ及びソフトスイッチを併せて同一画面に表示するようにしたので、異常名称の認識だけで対応措置を行うことができる熟練オペレータは、発生している異常の内で最優先の異常についての処置を同一の表示画面上で即座にかつ容易に行うことができ、かつ表示するソフトランプやソフトスイッチの数を減らせるので、これらランプやスイッチの識別が容易となる。 【0070】 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明によるPLC用操作盤とこれを接続したPLCのブロック線図。 【図2】本発明によるPLC用操作盤の正面図。 【図3】図2の操作盤のLCD表示板上に表示されるPLC各個操作画面の説明図。 【図4】図2の操作盤のLCD表示板上に表示される異常詳細コメント画面の説明図。 【図5】操作盤のCPUが実行する異常モニター処理のフローチャート。 【図6】操作盤のCPUが実行する異常名表示処理のフローチャート。 【図7】操作盤のCPUが実行する詳細コメント表示処理のフローチャート。 【図8】操作盤のRAMに記憶される表示制御テーブルの説明図。 【図9】図2の操作盤のLCD表示板上に表示される異常詳細コメント画面の変形例を説明する説明図。 【図10】操作盤のCPUが実行する異常名表示処理の一部変形例のフローチャート。 【図11】優先度の高い異常に対応して選択的に表示板上に表示されるPLC各個操作画面の説明図。 【図12】PLC各個操作画面の種類と異常分類グループとの対応関係を示す説明図。 【符号の説明】 10・・・操作盤、20・・・PLC、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、16・・・通信インターフェイス、30・・・操作パネル、32・・・LCD表示板、33・・・タッチパネル、SL・・・ソフトランプ、SS・・・ソフトスイッチ、ABW1?ABW4・・・異常名表示区画、TBL・・・表示制御テーブル、GST・・・画面選択テーブル。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2016-11-21 |
結審通知日 | 2016-11-25 |
審決日 | 2016-12-06 |
出願番号 | 特願平11-333704 |
審決分類 |
P
1
41・
832-
Y
(G05B)
P 1 41・ 854- Y (G05B) P 1 41・ 841- Y (G05B) P 1 41・ 851- Y (G05B) P 1 41・ 856- Y (G05B) P 1 41・ 121- Y (G05B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 槻木澤 昌司 |
特許庁審判長 |
栗田 雅弘 |
特許庁審判官 |
長清 吉範 平岩 正一 |
登録日 | 2005-08-26 |
登録番号 | 特許第3711820号(P3711820) |
発明の名称 | PLC用の操作盤及び同操作盤における異常表示方法 |
代理人 | 速見 禎祥 |
代理人 | 速見 禎祥 |
代理人 | 岩坪 哲 |
代理人 | 岩坪 哲 |