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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K
管理番号 1323894
審判番号 不服2016-566  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-13 
確定日 2017-01-11 
事件の表示 特願2013-558446「車両本体下部実装センサー及び制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月20日国際公開、WO2012/123554、平成26年 7月10日国内公表、特表2014-516325〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012(平成24)年3月15日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011(平成23)年3月15日 英国)を国際出願日とする出願であって、平成25年9月17日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成25年10月10日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、平成25年10月10日に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成26年10月30日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成27年4月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年9月7日付けで拒絶査定がされ、平成28年1月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年1月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年1月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
(1)本件補正の内容
平成28年1月13日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年4月9日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
陸上車両が当該車両の後部排気管が水に浸る程の車両渡り深さの水を通過して移動しようとする可能性があることを決定するためのシステムであって、
本体下部実装センサーの実質的に下及び/又は周りに水の存在を遠隔的及び/又は直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサーであって、当該センサーが、制御閾値深さで水の存在を検出するように動作可能であり、前記制御閾値深さが前記車両渡り深さ未満であり、前記制御閾値深さでは後部排気管が水に浸らない、本体下部実装センサー;及び
前記制御閾値深さの水の存在の検出に基づいて、前記決定に応じて、1以上の車両制御戦略を実施するように構成されたコントローラーを備える、システム。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
陸上車両が当該車両の後部排気管が水に浸る程の車両渡り深さの水を通過して移動しようとする可能性があることを決定するためのシステムであって、
本体下部実装センサーの実質的に下及び/又は周りに水の存在を遠隔的及び直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサーであって、当該センサーが、制御閾値深さで水の存在を検出するように動作可能であり、当該センサーが、超音波トランスデューサセンサーを含み、前記制御閾値深さが前記車両渡り深さ未満であり、前記制御閾値深さでは後部排気管が水に浸らない、本体下部実装センサー;及び
前記制御閾値深さの水の存在の検出に基づいて、前記決定に応じて、1以上の車両制御戦略を実施するように構成されたコントローラーを備える、システム。」
(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「本体下部実装センサー」について、本件補正前の「遠隔的及び/又は直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサー」を「遠隔的及び直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサー」と限定するとともに、「当該センサーが、超音波トランスデューサセンサーを含み、」という事項を付加して限定することにより、請求項1に記載される発明を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2 独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2-1 引用文献
2-1-1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-69136号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「内燃機関自動始動停止制御装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源としての内燃機関を車両の運転状態に応じて自動的に停止または自動的に始動させる内燃機関自動始動停止制御装置であって、
前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定する浸水判定手段と、
前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関を自動的に停止させる動作の実行を禁止する自動停止禁止手段と
を備えることを特徴とする内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項2】
前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、停止状態の前記内燃機関を自動的に始動させる始動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関の排気系に設けられ、排気ガスの温度あるいは該排気ガスの温度に係る温度状態量を検出する温度センサを備え、
前記浸水判定手段は、前記温度センサから出力される検出値に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項4】
複数の前記温度センサを備え、
前記浸水判定手段は、複数の前記温度センサの何れか2つの前記温度センサから出力される2つの検出値の差に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関の排気系の排気口近傍に設けられ、検出対象の液体の液面位置あるいは該液面位置に係る状態量を検出する液面センサを備え、
前記浸水判定手段は、前記液面センサから出力される検出結果に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項6】
前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関のアイドル運転に対する目標エンジン回転数を所定値だけ増大させるエンジン回転数増大手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項7】
車両の駆動源としてのモータを備え、
前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、
前記内燃機関を自動的に停止させる動作の実行を禁止する、または、前記モータの駆動力のみにより車両を走行させる動作の実行を禁止する禁止手段
を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。
【請求項8】
前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、
停止状態の前記内燃機関を自動的に始動させる、または、前記モータの駆動力のみにより車両を走行させる状態から前記内燃機関の駆動力により車両を走行させる状態へと切り換える制御手段
を備えることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関自動始動停止制御装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項8】)

(イ)「【0001】
本発明は、内燃機関自動始動停止制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駆動源としての内燃機関およびモータを備え、少なくとも内燃機関またはモータの何れか一方の駆動力により走行するハイブリッド車両において、例えば運転者のブレーキ操作に係る車両停車時に自動的に内燃機関の運転を停止すると共に、この内燃機関の停止状態において、例えば運転者のブレーキ操作の解除を検知したときに自動的に内燃機関を再始動させるアイドル停止手段に加え、内燃機関の排気管が浸水することを防止する浸水防止手段および内燃機関の排気管に侵入した水を除去する浸水除去手段とを備えるハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このハイブリッド車両において、浸水防止手段は、例えば排気管を閉塞するバルブや、排気管の配置を変更するアクチュエータ等を備えて構成され、浸水除去手段は、例えば内燃機関を起動して排圧により排気管から水を排出したり、排気管に具備されるドレインバルブを開弁する制御手段を備えて構成されている。
そして、浸水防止手段は、車両外部の水位が所定位置を超えて上昇した場合に排気浄化用の触媒装置を含む排気系に水が侵入して、排気系に悪影響を及ぼしてしまうことを防止するようになっている。
【特許文献1】特開平9-156382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の一例に係るハイブリッド車両において、浸水除去手段は、排気管内に水が侵入したことを検知してから、この浸水状態がさらに悪化することを防止するための防止策として機能するものであって、必ずしも排気系への水の侵入を阻止するものではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入することを防止することが可能な内燃機関自動始動停止制御装置を提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0003】)

(ウ)「【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、車両の駆動源としての内燃機関を車両の運転状態に応じて自動的に停止または自動的に始動させる内燃機関自動始動停止制御装置であって、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定する浸水判定手段(例えば、実施の形態でのステップS01,ステップS05,ステップS91)と、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関を自動的に停止させる動作の実行を禁止する自動停止禁止手段(例えば、実施の形態でのステップS15およびステップS13)とを備えることを特徴としている。
【0005】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、作動状態の内燃機関が自動停止させられることを禁止することにより、内燃機関の所望の排圧を確保し、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、停止状態の前記内燃機関を自動的に始動させる始動手段(例えば、実施の形態でのステップS55およびステップS56)を備えることを特徴としている。
【0007】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が実際に浸水する状態に到るのに先立って内燃機関を自動始動させることによって、内燃機関の所望の排圧を確保し、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、前記内燃機関の排気系に設けられ、排気ガスの温度あるいは該排気ガスの温度に係る温度状態量を検出する温度センサ(例えば、実施の形態でのCAT温センサ33、排気口温度センサ35)を備え、前記浸水判定手段は、前記温度センサから出力される検出値に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴としている。
【0009】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、排気系の適宜の位置が浸水する際には、この位置近傍の比熱が増大し、例えば排気ガスの温度や内燃機関の機関温度の所定の温度変化に対して、この位置近傍での温度変化の応答が鈍くなったり、温度変化量が減少する。このため、排気系に設けられた温度センサから出力される検出値に基づき内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、複数の前記温度センサを備え、前記浸水判定手段は、複数の前記温度センサの何れか2つの前記温度センサから出力される2つの検出値の差に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴としている。
【0011】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、排気系において浸水が発生する位置近傍では比熱が増大し、例えば排気ガスの温度や内燃機関の機関温度の所定の温度変化に対して、この位置近傍での温度変化の応答が鈍くなったり、温度変化量が減少する。このため、例えば浸水が発生していない位置近傍に配置された温度センサと浸水する位置近傍に配置された温度センサとの2つの検出値の差は、例えば浸水が発生していない位置近傍に配置された2つの温度センサの検出値同士の差に比べて、所定温度差を超える値となる。これにより、排気系に設けられた複数の温度センサの何れか2つの温度センサから出力される2つの検出値の差に基づき、内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、前記内燃機関の排気系の排気口近傍に設けられ、検出対象の液体の液面位置あるいは該液面位置に係る状態量を検出する液面センサ(例えば、実施の形態での液面検出装置40,50,60)を備え、前記浸水判定手段は、前記液面センサから出力される検出結果に基づき、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することを特徴としている。
【0013】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、例えばフロート式や光学式や導電式等の各種の液面センサによって排気系の排気口近傍の液面位置、例えば車両外部の水位や、該液面位置に係る状態量、例えば車両外部の水位が所定水位を超えたか否か等を検出することによって、内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関のアイドル運転に対する目標エンジン回転数を所定値だけ増大させるエンジン回転数増大手段(例えば、実施の形態でのステップS03)を備えることを特徴としている。
【0015】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、内燃機関のアイドル運転に対する目標エンジン回転数を所定値だけ増大させることにより、内燃機関の所望の排圧を確保し、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
【0016】
さらに、請求項7に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、車両の駆動源としてのモータを備え、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関を自動的に停止させる動作の実行を禁止する、または、前記モータの駆動力のみにより車両を走行させる動作の実行を禁止する禁止手段(例えば、実施の形態でのステップS15およびステップS13)を備えることを特徴としている。
【0017】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、作動状態の内燃機関が自動停止させられることを禁止することにより、内燃機関の所望の排圧を確保し、内燃機関や排気系に具備される排気浄化装置等に水が吸い込まれてしまうことを防止することができる。また、モータの駆動力のみにより車両を走行させる動作の実行を禁止することによって、車両の走行状態において内燃機関の作動を継続して所望の排圧を確保することができる。
【0018】
さらに、請求項8に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置は、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、停止状態の前記内燃機関を自動的に始動させる、または、前記モータの駆動力のみにより車両を走行させる状態から前記内燃機関の駆動力により車両を走行させる状態へと切り換える制御手段(例えば、実施の形態でのステップS55およびステップS56)
を備えることを特徴としている。
【0019】
上記構成の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が実際に浸水する状態に到るのに先立って内燃機関を自動始動させることによって、内燃機関の所望の排圧を確保し、内燃機関や排気系に具備される排気浄化装置等に水が吸い込まれてしまうことを防止することができる。また、モータの駆動力のみにより車両を走行させる状態から内燃機関の駆動力により車両を走行させる状態へと切り換えることによって、車両の走行状態において所望の駆動力を確保しつつ内燃機関の所望の排圧を確保することができる。」(段落【0004】ないし【0019】)

(エ)「【0020】
請求項1に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、作動状態の内燃機関が自動停止させられることを禁止することにより、内燃機関の所望の排圧を確保し、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が実際に浸水する状態に到るのに先立って内燃機関を自動始動させることによって、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項3に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、排気系に設けられた温度センサから出力される検出値に基づき内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、排気系に設けられた複数の温度センサの何れか2つの温度センサから出力される2つの検出値の差に基づき、内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、排気系の排気口近傍に設けられた液面センサから出力される検出結果に基づき内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができる。
さらに、請求項6に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が浸水する可能性がある場合であっても、内燃機関のアイドル運転に対する目標エンジン回転数を所定値だけ増大させることにより、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項7に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の所望の排圧を確保し、排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。
さらに、請求項8に記載の本発明の内燃機関自動始動停止制御装置によれば、内燃機関の排気系が実際に浸水する状態に到るのに先立って内燃機関を自動始動させることによって、内燃機関の始動時に排気浄化装置等を具備する排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。しかも、車両の走行状態においては、所望の駆動力を確保しつつ排気系に水が侵入してしまうことを防止することができる。」(段落【0020】)

(オ)「【0025】
そして、FIECU24は、後述するように、車両の運転状態、特に、排気系への浸水の有無あるいは浸水発生の可能性に応じて内燃機関11のアイドル運転の停止および再始動を制御する。ここで、FIECU24は、例えば排気系の温度に基づき、浸水の有無あるいは浸水発生の可能性を判定する。
例えば図3に示すように、内燃機関11の各気筒に接続されて排気管集合部を構成する排気管31には、排気ガス中のHC、CO、NOX等の成分を浄化する排気浄化装置32が備えられ、この排気浄化装置32には触媒の温度(触媒温度TCAT)を検出するCAT温センサ33が備えられ、CAT温センサ33から出力される検出信号はFIECU24に入力されている。
さらに、排気管31に具備される消音装置34の下流側の位置であって排気口31a近傍には、排気口31aの温度(排気口温度TEND)を検出する排気口温度センサ35が備えられ、排気口温度センサ35から出力される検出信号はFIECU24に入力されている。
【0026】
例えば図4に示すように、所定時間以上に亘って停止状態の内燃機関11が時刻t1にて始動すると、この時刻t1以降において排気浄化装置32に導入される排気ガスの温度(排気温度、例えば触媒温度TCATとほぼ同等)は、内燃機関11の機関温度の上昇に伴い上昇傾向に変化する。
ここで、例えば晴天時の通常走行時等のように、排気口31aの浸水が発生しない状態において、排気口温度TEND(晴天)は触媒雰囲気の排気温度よりも低い温度となる。
これに対して、例えば雨天時の通常走行時における排気口温度TEND(雨天)は、大気が相対的に高湿度状態であることに起因して、晴天時における排気口温度TEND(晴天)よりも低い温度となる。
そして、例えば河川敷での走行等によって排気口31aが浸水した場合の排気口温度TEND(水中)は、雨天時における排気口温度TEND(雨天)よりも低く、かつ、所定温度以下となる。
すなわち、排気温度と排気口温度TENDとの温度差(排気温度-排気口温度TEND)は、例えば図5に示すように、排気口31aの浸水が発生した場合や排気口31aの周辺部が水に浸された場合に所定温度差を超えて増大するため、FIECU24は、排気口31aや排気口31aの周辺部に浸水が発生している状態と、排気口31aや排気口31aの周辺部に浸水が発生していない状態(例えば、晴天時や雨天時等)とを、排気系における異なる位置間の温度差に基づき判別することができる。
【0027】
また、例えば一時的なアイドル停止状態からの内燃機関11の再始動時等のように、相対的に高温状態の内燃機関11が始動する場合には、例えば図6に示すように、内燃機関11が始動する時刻t1以前において触媒雰囲気の排気温度と排気口温度TENDとの温度差が所定温度差を超えた状態となる。そして、内燃機関11の始動に伴い、高温の排気ガスが排気浄化装置32から排気口31aへ流通することに伴って、排気口31aや排気口31aの周辺部の浸水が発生していない状態においては、触媒雰囲気の排気温度と排気口温度TENDとの温度差が減少傾向に変化し、所定温度差以下となる。
この状態において、例えば河川敷での走行等によって時刻t2以降において排気口31aや排気口31aの周辺部に浸水が発生すると、排気口31aが冷却され、触媒雰囲気の排気温度と排気口温度TENDとの温度差が上昇傾向に変化し、所定温度差を超えた状態となる。
従って、FIECU24は、排気系における異なる位置間の温度差の時間変化に基づき、排気系の浸水の有無、あるいは、排気系にて浸水が発生する虞があるか否かを判別することができる。
【0028】
そして、FIECU24は、排気系にて浸水が発生したと判定した場合、あるいは、排気系にて浸水が発生する虞があると判定した場合に、運転状態の内燃機関11のアイドル停止の実行を禁止、あるいは、アイドル停止状態の内燃機関11を再始動させ、排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを抑制するようになっている。
また、FIECU24は、排気系にて浸水が発生したと判定した場合、あるいは、排気系にて浸水が発生する虞があると判定した場合に、各モータジェネレータ12,14の駆動力のみにより車両を走行させる動作の実行を禁止する、あるいは、各モータジェネレータ12,14の駆動力のみにより車両を走行させる状態から内燃機関11の駆動力により車両を走行させる状態へと切り換える。
このとき、FIECU24は、内燃機関11のアイドル運転に対する目標エンジン回転数を所定回転数だけ増大させ、排気ガスの排出量を増大させることで、排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを、より一層、抑制するようになっている。」(段落【0025】ないし【0028】)

(カ)「【0048】
上述したように、本実施の形態による内燃機関自動始動停止制御装置10によれば、内燃機関11の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、作動状態の内燃機関11が自動停止させられることを禁止することにより、内燃機関11の所望の排圧を確保し、排気浄化装置32等を具備する排気系に水が侵入してしまうことを防止することができる。また、各モータジェネレータ12,14の駆動力のみにより車両を走行させる動作の実行を禁止することによって、車両の走行状態において内燃機関11の作動を継続して所望の排圧を確保することができる。
さらに、内燃機関11の排気系が実際に浸水する状態に到るのに先立って内燃機関11を自動始動させることによって、内燃機関11の所望の排圧を確保し、排気浄化装置32等を具備する排気系に水が侵入してしまうことを防止することができる。また、各モータジェネレータ12,14の駆動力のみにより車両を走行させる状態から内燃機関11の駆動力により車両を走行させる状態へと切り換えることによって、車両の走行状態において所望の駆動力を確保しつつ内燃機関11の所望の排圧を確保することができる。
【0049】
なお、本実施形態において、FIECU24は、排気系における異なる位置間の温度差の時間変化に基づき、排気系の浸水の有無、あるいは、排気系にて浸水が発生する虞があるか否かを判別するとしたが、これに限定されず、例えば排気管31の排気口31a近傍等に液面検出装置を備え、この液面検出装置から出力される検出信号に応じて排気系の浸水の有無、あるいは、排気系にて浸水が発生する虞があるか否かを判別してもよい。
ここで、液面検出装置としては、例えばフロート式や、光学式や、導電式等の各種の液面検出装置を用いることができる。
例えば図12に示すフロート式の液面検出装置40は、例えばフロートスイッチであって、例えば筒状のフロートガイド41と、フロートガイド41の内部で中心軸Pに沿って移動可能に収容された球状のフロート42と、フロートガイド41の内部で中心軸Pに沿った一方の端部に配置されたリードスイッチ43とを備えて構成され、フロートガイド41には、検出対象となる液体を内部に導入あるいは外部へ排出するための複数の開口部41a,…,41aが設けられ、フロート42には永久磁石(図示略)が備えられている。
そして、フロート式の液面検出装置40を、例えば図12に示すように、中心軸Pが鉛直方向に平行となるように、かつ、リードスイッチ43が設けられた一方の端部が他方の端部の鉛直方向上方に配置されるように設定した状態で、例えば検出対象となる液体の液面が徐々に鉛直方向上方に向かい上昇してフロートガイド41の内部に侵入すると、フロート42は初期位置F0から上限位置F1まで鉛直方向上方に向かい上昇する。これに伴い、例えば通常時において開状態(OFF状態)となるように設定されたリードスイッチ43の接点は、フロート42に具備された永久磁石の励磁によって閉状態(ON状態)となる。
【0050】
また、例えば図13に示す光学式の液面検出装置50は、例えば光を透過する樹脂等の光透過性材料からなる導光材51と、導光材51内部に配置された発光ダイオード等からなる発光素子52およびフォトダイオード等からなる受光素子53とを備えて構成され、発光素子52は、この発光素子52から導光材51の外面51Aに向かい照射された照射光Laが、例えば大気中に露出された導光材51の外面51Aにおいて全反射されるように配置され、さらに、この全反射による反射光Lbが導光材51の内部を透過して受光素子53へ到達するように構成されている。
そして、光学式の液面検出装置50を、例えば図13に示すように、導光材51の外面51Aの直交軸Qが鉛直方向に平行となるように配置した状態で、例えば検出対象となる液体の液面が徐々に鉛直方向上方に向かい上昇して導光材51の外面51Aが液体中に浸されると、屈折率の低下によって全反射は生じずに、照射光Laは透過光Lcとして液体中へ透過するようになる。これに伴い、例えば導光材51の外面51Aが大気中に露出さ
れる通常時(OFF状態)に比べて、導光材51の外面51Aが液体中に浸される状態(ON状態)において受光素子53にて検出される受光量が減少する。
【0051】
また、例えば図14に示す導電式の液面検出装置60は、例えば電源Eに接続された導線からなる芯線61と、芯線61を被覆する第1被覆62と、第1被覆62の外周面上において芯線61の伸びる方向Rに沿った所定位置まで螺旋状に巻装され、接地された導線からなるシールド線63と、シールド線63が巻装された第1被覆62の外周面上を被覆する第2被覆64とを備えて構成されている。
ここで、第1被覆62は、芯線61の一端部61aを被覆する導電性フッ素等からなる導電部62aと、芯線61の一端部61a以外の他の部分を被覆する絶縁性のフッ素樹脂等からなる絶縁部62bとを備えて構成されている。
また、第2被覆64は、芯線61の伸びる方向Rに沿った所定位置近傍においてシールド線63の一端部63aを含む第1被覆62の外周面上を被覆する導電性フッ素等からなる導電部64aと、芯線61の伸びる方向Rに沿った所定位置近傍以外の他の部分を被覆する絶縁性のフッ素樹脂等からなる絶縁部64bとを備えて構成されている。
そして、導電式の液面検出装置60を、例えば図14に示すように、芯線61の伸びる方向Rが鉛直方向に平行となるように、かつ、芯線61の一端部61aが他端部61bの鉛直方向下方に配置されるように設定した状態で、例えば検出対象となる液体(例えば、水)の液面が徐々に鉛直方向上方に向かい上昇して第1被覆62の導電部62aと第2被覆64の導電部64aとが液体中に浸されると、この液体を介して導電部62a,64a間に電流が流れるようになる。これに伴い、例えば第1被覆62の導電部62aと第2被覆64の導電部64aとが大気中に露出される通常時(OFF状態)に比べて、第1被覆62の導電部62aと第2被覆64の導電部64aとが液体中に浸される状態(ON状態)において、シールド線63に接続された電流センサにて検出される電流値が増大する。
【0052】
そして、液面検出装置40,50,60を備えた内燃機関自動始動停止制御装置10の動作、特に、上述したステップS01?ステップS07での内燃機関11に浸水が生じる虞があるか否かを判定する処理においては、例えば図15に示すように、ステップS01およびステップS04を省略し,ステップS05の代わりにステップS91を実行すればよい。
すなわち、ステップS91においては、各液面検出装置40,50,60の検出結果がON状態であるか否か、つまりフロート式の液面検出装置40ではリードスイッチ43の接点が閉状態となるか否か、光学式の液面検出装置50では受光素子53にて検出される受光量が所定値以下に減少するか否か、導電式の液面検出装置60では電流センサにて検出される電流値が所定値を超えて増大するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS06に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS02に進む。」(段落【0048】ないし【0052】)

(2)引用文献1の記載から分かること
上記(1)(ア)ないし(カ)及び図1ないし図15の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。

(サ)上記(1)(ア)(特に特許請求の範囲の請求項1を参照。)ないし(カ)及び図1ないし図15の記載から、引用文献1には、車両の駆動源としての内燃機関を車両の運転状態に応じて自動的に停止または自動的に始動させる内燃機関自動始動停止制御装置であって、前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定する浸水判定手段と、前記浸水判定手段にて前記内燃機関の排気系が浸水する可能性があると判定された場合に、前記内燃機関を自動的に停止させる動作の実行を禁止する自動停止禁止手段とを備える内燃機関自動始動停止制御装置が記載されていることが分かる。

(シ)上記(1)(ア)(特に特許請求の範囲の請求項5を参照。)、(ウ)(特に段落【0012】及び【0013】を参照。)、及び(カ)(特に段落【0049】ないし【0052】を参照。)並びに図12ないし図14の記載から、引用文献1に記載された内燃機関自動始動停止制御装置において、排気管31の排気口31a近傍に設けられ、検出対象の液体の液面位置を検出する液面センサ(例えば、実施の形態での液面検出装置40,50,60)を備え、浸水判定手段は、前記液面センサから出力される検出結果に基づき、内燃機関の排気系が浸水する可能性があるか否かを判定することができることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1ないし15の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「車両が当該車両の排気系が浸水する可能性があることを判定するための内燃機関自動始動停止制御装置であって、
排気管31の排気口31a近傍等に備えられた液面センサ40,50,60及び
排気系に浸水が発生する虞があるか否かに応じて、作動状態の内燃機関11が自動停止させられることを禁止するように構成された制御手段を備える、内燃機関自動始動停止制御装置。」

2-1-2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2009-32513号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「燃料電池自動車」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に反応ガスを供給するガス供給流路と、前記燃料電池から排出される反応オフガスを流通させるオフガス流路とを含むガス流路と、
前記ガス流路の開口部から、前記ガス流路への液体の流入を推定する推定手段と、
液体の流入が推定される場合に、前記燃料電池への液体の流入を抑制する流入抑制手段と、
を備える燃料電池自動車。
【請求項2】
前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段を備え、
前記流入抑制手段は、液体の流入が推定される場合に、前記酸化ガス供給手段を継続的に駆動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池自動車。
【請求項3】
前記オフガス流路のガス排出口からの排気によって液体の流入を抑制するために必要な、ガスの必要排気圧を算出する必要排気圧算出手段を備え、
前記流入抑制手段は、液体の流入が推定される場合に、前記排出口から排出されるオフガスの排気圧が前記必要排気圧以上になるように、酸化ガス供給手段を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池自動車。
(中略)
【請求項10】
燃料電池と、
路面上の水位を検知する水位検知手段と、
路面上の水位が所定値以上である場合に、前記燃料電池への液体の流入を抑制する、流入抑制手段と、
を備える燃料電池自動車。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項10】)

(イ)「【0001】
この発明は、燃料電池を搭載した自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を自動車に搭載する場合、強い雨や道路の冠水などによって排気口などの外部から水などの液体が流入することが考えられる。例えば、水が流入すると、燃料電池の構成部材を劣化させたり、反応ガスの供給に不具合を生じさせたりする。下記特許文献1には、排気口を想定される水面よりも高い位置に設けることによって燃料電池システムへの水の流入を防止することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004-319167号公報
【特許文献2】特開2005-241476号公報
【特許文献3】特開2005-11797号公報
【特許文献4】特開平9-107628号公報
【特許文献5】特開2005-69136号公報
【特許文献6】特開2005-153853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排気口を高い位置に設ける構成では、水位や雨量が想定を超えてしまった場合には流入を抑制する効果が失われるため、これのみでは流入抑制は十分ではなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外部から燃料電池に液体が流入することを抑制することができる燃料電池自動車を提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0005】)

(ウ)「【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池自動車であって、
燃料電池に反応ガスを供給するガス供給流路と、前記燃料電池から排出される反応オフガスを流通させるオフガス流路とを含むガス流路と、
前記ガス流路の開口部から、前記ガス流路への液体の流入を推定する推定手段と、
液体の流入が推定される場合に、前記燃料電池への液体の流入を抑制する流入抑制手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段を備え、
前記流入抑制手段は、液体の流入が推定される場合に、前記酸化ガス供給手段を継続的に駆動させる、
(中略)
【0015】
また、第10の発明は、燃料電池自動車であって、
燃料電池と、
路面上の水位を検知する水位検知手段と、
路面上の水位が所定値以上である場合に、前記燃料電池への液体の流入を抑制する、流入抑制手段と、
を備えることを特徴とする。」(段落【0006】ないし【0015】)

(エ)「【0016】
第1の発明によれば、液体が外部から燃料電池へ流入することを抑制することができる。
【0017】
第2の発明によれば、ガス排出口から継続的にガスが排気される。当該排気は、ガス排出口から流入しようとする液体を外部に戻す向きに流れているので、ガス排出口から液体が流入することを抑制できる。
(中略)
【0025】
第10の発明によれば、路面上の水位が高い場合に流入を抑制することができる。」(段落【0016】ないし【0025】)

(オ)「【0026】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は実施の形態1の燃料電池自動車1の構成を示す図である。図1に示すように燃料電池自動車1は燃料電池10を床下に搭載している。燃料電池10は反応ガスとして空気と水素の供給を受けて発電を行うものである。なお、図1では、空気の供給・排気系についてのみ図示し、水素側は省略した。空気は、車両前方からエアクリーナ17を通って、コンプレッサ18に導入される。そして、コンプレッサ18で加圧されて、ガス供給流路12を通って燃料電池10に供給される。ガス供給流路12には、加湿器20が備えられており、燃料電池10に供給される空気を加湿することで燃料電池の湿度を調整する。空気は、燃料電池内部で発電に利用された後、オフガス流路14を通って車両後方のガス排出口16から外部へ放出される。
【0027】
オフガス流路14は、上流から下流に向けて下降している。そのため、ガス排出口16から液体がオフガス流路14に流入した場合でも、燃料電池10にまで到達することを抑制できる。また、後述するように本実施の形態では排気ガスの流れによって液体の流入を抑制するところ、流入を抑制するために必要とされる排気ガスの圧力を低くすることができる。これによりコンプレッサ18で消費されるエネルギを低減できる。
【0028】
また、オフガス流路14にはマフラ22が設けられている。マフラ22は、オフガス流路14よりも径が大きく、内部に吸音材を保持している。また、マフラ22の下面は、オフガス流路14のうちマフラの直前部分および直後部分の下面よりも低くなっている。これにより、オフガス流路14はその途中に下方に凹む凹部を有することとなる。ガス排出口16から液体が流入した場合、液体はこの凹部(マフラ)に一旦溜まるので、即座に燃料電池10に流入することはない。したがって、液体の流入を抑制するガスの流れが発生する前に、液体がオフガス流路に入ったとしても、燃料電池10にまで到達することはない。すなわち、多少の応答遅れがあっても、燃料電池10への液体の流入を抑制できる。
【0029】
図2は実施の形態1の燃料電池自動車の外部の構成を示す図である。図2に示すように燃料電池自動車1は車両の前方および後方に水位センサ50を備えている。水位センサ50は、車両の下方へ向かって超音波を照射してその反射から路面が冠水している場合にその水位を測定する。
【0030】
図3は実施の形態1の燃料電池自動車に搭載されるシステムを示す略図である。図3に示すように、燃料電池10は空気のほかに水素の供給を受ける。水素は水素タンク24に貯蔵されており、調圧弁26で所定の圧力に調圧されて燃料電池10に供給される。水素は燃料電池10で発電に利用された後、循環流路28を通って水素タンク24からの水素と合流し、再び燃料電池に供給される。循環流路28には燃料電池10で発電に伴って生成された水を外部に放出するための排水口30があり、排水口30にはその流通を遮断可能な排水弁が備えられる。
【0031】
燃料電池10は、空気と水素を受け取って発電する。得られる電力は、自動車の動力であるモータ、その他の補器やバッテリ32などに供給される。ECU34は水位センサ50からの情報などに基づいて、コンプレッサ18や加湿器20を制御する。
【0032】
なお、本実施の形態と請求項記載の発明との関係では、空気が酸化ガスに、コンプレッサ18が酸化ガス供給手段に、バッテリ32が蓄電手段に、水位センサが水位検知手段に、それぞれ対応する。」(段落【0026】ないし【0032】)

(カ)「【0033】
[実施の形態1の具体的処理]
図4は実施の形態1の処理のフローチャートである。この処理は、所定の時間ごとに実行される。ECU34は、まず、路面上の水位を取得する(S101)。水位は水位センサ50によって測定されたものである。次に取得した水位が所定値以上であるかどうかを判断する(S103)。所定値以下である場合には、流入のおそれはないと考えられるので、通常の燃料電池制御を行う(S105)。
【0034】
ここで、通常の燃料電池制御、すなわち流入が推定されていない場合について説明する。流入が推定されていない場合には、そのときの負荷およびバッテリの残量に基づいて、燃料電池に対する発電要求がなされる。そして、当該発電要求に対応した量の水素および空気が燃料電池10に供給される。供給される空気の量は、発電に必要な酸素の量や発電効率、コンプレッサ18の消費電力などから算出されている。例えば、実際に消費される酸素の2倍の量の酸素が供給されるようにコンプレッサが制御されている。加湿器はそのような条件下においてフラッディングやドライアップを防止できるように加湿条件を制御されている。以下、流入が推定されていない場合の発電条件を通常の発電条件、そのときの加湿モードを通常の加湿モードと呼ぶ。
【0035】
次に、流入が推定される場合の処理について説明する。ステップS103で水位が所定値以上である場合には液体の流入を推定する。その場合、ECU34は、必要排気圧を算出する(S107)。ここで、必要排気圧とは、ガス排出口16から排出されるオフガスの排気圧によって水の流入を抑制する場合に、前記オフガスの排気圧として必要な圧力である。必要排気圧の算出は、ECUに記憶されているマップを用いて行う。当該マップは事前の実験によって、水位とそのときの必要排気圧を対応付けたものである。
【0036】
次に、ECU34は、要求排気圧を算出する(S109)。ここで、要求排気圧は、通常の発電条件において、要求電力に対応する排気ガスの排気圧である。要求排気圧の算出は、ECUに記憶されているマップを用いて行う。当該マップは、要求電力とそれに対応する排気圧を対応付けたものである。
【0037】
次に、ECU34は算出した必要排気圧と要求排気圧とを比較する(S111)。要求排気圧が必要排気圧以上である場合には、通常の燃料電池制御を行う(S105)。この場合、要求電力に基づいた発電を行うことになるので、流入の抑制に必要な排気圧よりも高圧の排気がなされる。したがって、液体の流入を抑制することができる。
(中略)
【0042】
[実施の形態1の効果]
本実施の形態によれば、液体の流入が推定される場合、ガス排出口16からは、必要排気圧と要求排気圧のうち高い方の排気圧で継続して排気が行われる。そのため、ガス排出口16からは必要排気圧以上の排気がなされているので、ガス排出口16から液体が逆流していくことを抑制できる。結果、燃料電池に液体が流入することを抑制できる。」(段落【0033】ないし【0042】)

(キ)「【0048】
[実施の形態1の変形例3]
実施の形態1では、超音波の反射を利用した水位センサによって、液体の流入を推定したが、これに限らない。超音波でなく、電波を照射するものでも良く、カメラ等の撮像手段でも良い。撮像手段としては、バックモニタなど運転支援用の車載カメラを併用しても良い。また、図6に記載のようにタイヤの周辺部などをカメラ等の撮像手段で監視するセンサ51でも良い。また、図7に記載のように端子間の電圧を測定するセンサ52でも良い。また、フロート型の水位センサや流量計など、他の既存の水位計でもよい。路面上の水位を測定することができれば足りる。また、図8に示すように走行抵抗に基づいて水位を推定しても良い。すなわち、道路が冠水している場合走行抵抗が上昇すると考えられるので、走行抵抗と水位との関係を求めておけば、水位を推定することができる。具体的には、モータの出力、勾配、車速などから走行抵抗を算出する(S501、S502)。そして、当該走行抵抗から水位を推定する(S503)。」(段落【0048】)

(2)引用文献2の記載から分かること
上記(1)(ア)ないし(キ)及び図1ないし図16の記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていることが分かる。

(サ)上記(1)(ア)(特に特許請求の範囲の請求項1、3及び10を参照。)ないし(カ)(特に段落【0035】を参照。)及び図1ないし図16の記載から、引用文献2には、燃料電池と、路面上の水位を検知する水位検知手段と、路面上の水位が所定値以上である場合に、前記燃料電池のガス排出口16から燃料電池への液体の流入を抑制する、流入抑制手段と、を備える燃料電池自動車であって、水位が所定値以上であるときには液体の流入を推定し、ガス排出口16から排出されるオフガスの排気圧によって水の流入を抑制するものが記載されていることが分かる。

(シ)上記(1)(オ)(特に段落【0029】を参照。)及び図1ないし図16の記載から、引用文献2に記載された燃料電池自動車において、水位センサ50として、例えば、車両の下方へ向かって超音波を照射してその反射から路面が冠水している場合にその水位を測定するものが用いられることが分かる。

(ス)上記(1)(キ)及び図1ないし図16の記載から、引用文献2に記載された燃料電池自動車において、水位センサ50として、端子間の電圧を測定するセンサ52や、フロート型の水位センサ等の水位計を使用することもできることが分かる。

(3)引用文献2記載の技術
上記(1)及び(2)並びに図1ないし16の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。

「路面上の水位を検知する水位センサ50として、車両の下方へ向かって超音波を照射してその反射から路面が冠水している場合にその水位を測定するものを用いる技術。」

2-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「車両」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「陸上車両」に相当し、以下同様に、「排気系」は「後部排気管」に、「浸水する可能性があること」は「水に浸る程の車両渡り深さの水を通過して移動しようとする可能性があること」に、「判定」は「決定」に、「内燃機関自動始動停止制御装置」は「システム」に、「排気系に浸水が発生する虞があるか否かに応じて」は「制御閾値深さの水の存在の検出に基づいて、前記決定に応じて」に、「作動状態の内燃機関11が自動停止させられることを禁止するように構成された制御手段を備える」は「1以上の車両制御戦略を実施するように構成されたコントローラーを備える」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「排気管31の排気口31a近傍等に備えられた液面センサ40,50,60」は、「センサの実質的に下及び/又は周りに水の存在を直接的に検出するように構成された少なくとも一つのセンサ」という限りにおいて、本願補正発明における「本体下部実装センサーの実質的に下及び/又は周りに水の存在を遠隔的及び直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサーであって、当該センサーが、制御閾値深さで水の存在を検出するように動作可能であり、当該センサーが、超音波トランスデューサセンサーを含み、制御閾値深さが前記車両渡り深さ未満であり、制御閾値深さでは後部排気管が水に浸らない、本体下部実装センサー」に相当する。

以上から、本願補正発明と引用発明は、
「陸上車両が当該車両の後部排気管が水に浸る程の車両渡り深さの水を通過して移動しようとする可能性があることを決定するためのシステムであって、
センサの実質的に下及び/又は周りに水の存在を直接的に検出するように構成された少なくとも一つのセンサ及び
制御閾値深さの水の存在の検出に基づいて、決定に応じて、1以上の車両制御戦略を実施するように構成されたコントローラーを備える、システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

〈相違点〉
「センサの実質的に下及び/又は周りに水の存在を直接的に検出するように構成された少なくとも一つのセンサ」に関して、本願補正発明においては「本体下部実装センサーの実質的に下及び/又は周りに水の存在を遠隔的及び直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサーであって、当該センサーが、制御閾値深さで水の存在を検出するように動作可能であり、当該センサーが、超音波トランスデューサセンサーを含み、前記制御閾値深さが前記車両渡り深さ未満であり、前記制御閾値深さでは後部排気管が水に浸らない、本体下部実装センサー」であるのに対し、引用発明においては「排気管の排気口近傍等に備えられた液面センサ」である点(以下、「相違点」という。)。

2-3 判断
上記相違点について検討する。
本願補正発明は、「本発明は、可能性として渡り深さの水に進入しようとする車両を準備及び/又は保護するために予防又は先制の動作を取るように動作するシステムを提供することにより、例えば、ある渡り深さの水を通過して移動する陸上車両の更なる改良を提供することを探求する。有利には、本発明のシステム及び方法は、閾値渡り深さ以上の水に進入しようとする車両を予見又は検出することを探究し、そのような渡り深さの水に車両が置かれる前、閾値渡り深さ以上の水に可能性として車両が部分的に浸水するに先だって渡り用車両を準備する。」(段落【0006】)ということを課題とし、本願補正発明の発明特定事項を備えることにより、「後部排気管18tが車両渡り深さ「d」以上の水に浸される十分前に排気システム18が水進入から保護されることを確実にする。」(段落【0045】)という作用効果を有するものである。
一方、引用発明は、「内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入することを防止することが可能な内燃機関自動始動停止制御装置を提供することを目的とする。」(段落【0003】)ものであり、引用発明の発明特定事項を備えることにより、「排気浄化装置等を具備する内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止することができる。」(段落【0005】)という作用効果を有するものである。
すなわち、本願補正発明と、引用発明とは、車両への浸水を防止するという課題において共通し、内燃機関の排気系に車両外部から水が侵入してしまうことを防止するという作用効果においてもを軌を一にしている。

本願補正発明における「当該センサー(本体下部実装センサー)が、制御閾値深さで水の存在を検出するように動作可能であり」、「前記制御閾値深さが前記車両渡り深さ未満であり、前記制御閾値深さでは後部排気管が水に浸らない」という事項について検討する。
引用発明においては、排気系の排気口近傍に液面センサが設けられ、排気系が浸水する前に所定水位が検知されることから、液面センサの位置は排気系の排気口近傍であって、排気口よりも下方ということになる。
そうすると、本願補正発明における本体下部実装センサーの位置は後部排気管よりも下の位置であり、引用発明における液面センサの位置は排気系の排気口の近傍で排気口よりも下の位置であるから、両者は格別相違しないといえる。

次に、本願補正発明における「本体下部実装センサーの実質的に下及び/又は周りに水の存在を遠隔的及び直接的に検出するように構成された少なくとも一つの本体下部実装センサー」及び「当該センサーが、超音波トランスデューサセンサーを含み」について検討する。
これらの記載から、本願補正発明における「本体下部実装センサー」は、一例として、水の存在を遠隔的に検出する超音波トランスデューサセンサー及び水の存在を直接的に検出するセンサーを含むと解される。
ところで、引用文献2には、「路面上の水位を検知する水位センサ50として、車両の下方へ向かって超音波を照射してその反射から路面が冠水している場合にその水位を測定するものを用いる技術。」(上記「引用文献2記載の技術」)が記載されている。
引用発明においては、水の存在を直接的に検出するように構成されたセンサが記載されているが、センサを備える安全装置の技術分野において、センサの故障に備えて複数のセンサを備えるようにすることは常套手段であり、また、引用発明が備える水の存在を直接的に検出するセンサよりも先に水の存在を検知するために、水の存在を遠隔的に検出するセンサを設けることは、当業者であれば当然に考えることである。
したがって、引用発明において、水の存在を直接的に検出するように構成されたセンサに加えて、引用文献2記載の技術を採用することにより、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたことである。

(3)まとめ
そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明及び引用文献2記載の技術から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、平成28年1月13日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし19に係る発明は、平成25年10月10日提出の手続補正書によって補正された明細書、平成27年4月9日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び願書に最初に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)(ア)【請求項1】のとおりのものである。

2 引用発明及び引用文献2記載の技術
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2005-69136号公報)及び引用発明は、前記第2[理由]2-1 2-1-1に記載したとおりである。
また、本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2009-32513号公報)及び引用文献2記載の技術は、前記第2[理由]2-1 2-1-2に記載したとおりである。

3 対比・判断
前記第2[理由]1(2)で検討したとおり、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2[理由]2-2及び2-3に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-12 
結審通知日 2016-08-16 
審決日 2016-08-30 
出願番号 特願2013-558446(P2013-558446)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B60K)
P 1 8・ 121- Z (B60K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 和人田中 将一▲高▼木 真顕  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 梶本 直樹
金澤 俊郎
発明の名称 車両本体下部実装センサー及び制御システム  
代理人 アクシス国際特許業務法人  

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